”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。

知の詩歌人たち
服を脱がないで、と私は言いたい

 現代思想、というかニューアカ・ブームというのがありましたよねえ、と漫才ブームを振り返るように言いますね。あれ、なんだったのだろうか。要するに超越的な視点を否定する超越的な視点、を否定する超越的な――だったり、テクストを批評するテクストを批評するテクスト、を批評する――だったりしたような、今思いますと。暇っぽくていい時代だったじゃないですか、八〇年代。
 しかしあのブームの過程で紹介されたいろいろな書籍で、結局、積んでおくだけで読まなかったものが多かったりしますが(苦笑)、この一冊だけは何回も読みました、私。ロラン・バルト『テクストの快楽』。こんな面白い本はない。テクストの快楽を語っているこの本が実に、楽しいのである。短いし(笑)。
我々が本を読むときは「すばやくダンサーの服を脱がせ、ストリップの先を急がせるキャバレーの客」に似ているという。こういう順序正しく暴露されるのはテクストの快楽ではないのだそうだ。そうではなく「倒錯においては性感帯はない。エロティックなのは間歇である。二つの衣服(パンタロンとセーター)、二つの縁(半ば開いた肌着、手袋と袖)の間にちらちら見える肌の間歇。誘惑的なのはこのちらちら見えることそれ自体である。言い換えれば出現―消滅の演出である」なんて部分を今、読んでもどきどきする。セーラー服という衣装が人気があるのも間違いなく、この点であるから、熱心なブルセラマニアは明らかに快楽の何たるかを知っている。
バルトはけっこう頭が悪いとか、変なけなし方してる人もいて、それがまた私などよくて、そんなこと関係ないんだから、快楽には。私の文学態度、文学への態度? 文学に向かう態度? ああ、面倒くさい。そのへんに影響大でした。まだの方はご一読を。

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