”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。

日本はどこに行くの?

今回は、なににテーマを絞るでもなく時事放談という感じで、まああんまり、主題にとらわれないで、だらだらと書きましょう。なにしろ近頃もいろいろとあります。
近頃の大きな問題というと、まずはイスラエルですか。なんといってもシャロンという人が出てきて、どうにもならなくなってきた訳です。
ものすごく焦っているのですよね、ヨーロッパ帰り系のユダヤ人(いわゆるアシュケナージ)の衆が。なにに焦っているというと、この富裕なイスラエルの上層階級は、貧困にあえぎながらどんどん出生率を上げているパレスチナ人および周辺の反イスラエル的アラブ諸国にやがて、のみこまれてしまうだろうことを予想して恐怖しているわけだ。要するに人口の大きい ものの圧力には抗しかねるのです。だから、世 界有数の能力を持つメルカバ戦車に代表される機甲師団や、F16、クフィルに代表される、主として米軍の援助を受けたこれまた世界レベルで強力な空軍など、圧倒的なハイテク軍備がものをいうだろう間に、決着をつけたいのであろう、と思われます。もうしばらくしたら、なにしろ国家の正規軍でないテロリストやゲリラが、これだけ強力な戦いを仕掛けられる時代ですから、精強な軍を持つイスラエルといえど、人口の圧力で呑み込まれるだろう。
 話は転じて、こちらも他人事じゃないというのが中国ですね。とにかく巨大すぎるというか過大すぎる人口。これが経済力や技術力をつけてきて、贅沢な暮らしを覚え、アメリカ人のようなライフスタイルを目指せば、どういうことになってくるか。これは実に大変な圧力になってくる。石原都知事が、尖閣諸島の問題などで日本が弱腰な態度をとれば、他のアジア諸国も迷惑するのだ、日本はしっかりしなさい、と言うのも間違いなく正しい言説。彼がタカ派だから嫌い、というような好き嫌いだけではすまないでしょう、こういうことは。日本の領事館が中国警察官の「領土侵犯」を許した一件やら例の北朝鮮籍らしき不審船引き揚げに中国の顔色を見なければならんやら、実際に調査中の海上保安庁の船のすぐそばまで中国海軍の監視艇が迫ってきたやら。領事館の件では韓国などで「日本は冷たい。ほかの国の領事館はちゃんと逃げてきた同胞を受け入れてくれたのに」と 言う声が出てきました。いわゆる「懺悔外交派」 の中には中国も韓国も一緒くたにしている人 もいるが、もちろんあの両国はぜんぜん別物で あって、それぞれの国益も違う。ただなんでも弱腰に振る舞っていれば喜ばれる、なんてものじゃありません。
 しかしこの件では韓国の人たちにも日本人の立場としては言いたい。いつも弱腰で情けない日本であることを最も望んできたのは恐らく韓国。それで今回だけ毅然とした態度を中国に対して示せといわれても。こんなへろへろ国家になったについては、そちらの圧力も大きな原因じゃないのか、と。ただ単に古くは真珠湾攻撃で布告文書の翻訳を後回しにして豪華昼食をとり、以後今日に至るまで、かの戦争に関し日本の言い分をまるきり言えなくしてしまった無能外務省が、今回もまた国辱的な態度を取ってビデオに撮られた、ということではすみますまい。
 いやもう、昔の戦争のことを言い募ってノスタルジーにふけっておられる環境じゃなくなってきてるんですね。恐ろしいです。冷戦時代が懐かしいですよね、本当に。
 なのに日本はどんどん、どんどんたるんでお ります。大丈夫なんでしょうか。
 先日、テレビでヒトラーの勃興を取り上げるドキュメンタリーを放映しました。これを見た母親が、「今の日本もナチスの突撃隊みたいなのを作って、失業者に治安維持をさせたらいいのじゃないか」とのたもうた。ううん、さすが わが母親、いいところに気づいた、そうなんだよ、今、ナチス党みたいのが出てきて、私兵み たいな組織を作ればできると思うのだよ、私。 というか、三島由紀夫の楯の会というのは、あまりに旧陸軍がかっこわるかったので、ナチ親衛隊にならってかっこいい制服を作らせたわけだ、ピエール・カルダンに依頼して。今、三島さんがいたらナチみたいなのを日本で作れますよ。もっともっと失業者が増えて治安が悪化したら、ありうるのだよ。
 イスラエルのことで、世界中でネオナチ系の勢いが増しております。フランスの大統領選でシラクと戦ったのはジョスパンじゃなくてルペンだった。その他、あちこちでそういう動きあり。至る所で爆弾テロの嵐です。その根本は「グローバリズム反対」です。やっとそういう 機運になったか。
 で、アメリカ主義はもういや、と。EU統合も待て、と。ここで、出てくるのが、中国やインドのような本質的に「でかい国」のエゴである、と。その中で日本なるこの国がどうするつもりなのか、このまま衰退して目立たぬように没落というのも一手であり、アメリカに吸収されるのも一手、中国にひれ伏すのもまたひとつの考え方。そんなことが本当にあるのか、とお思いのあなた、つい十年ほど前の世界地図を見てご覧なさい。
 それで有事法制、というのでまたもめております。あれがまた拙速を絵に描いたようないい加減なところがあって、不安ですね。有事法制 そのものがいかん、とは私は思わない。ああいうものはなんでもかんでもいかん、という人が詩人の中にも多いでしょうが、たとえば先日の 北朝鮮籍らしき不審船との撃ち合いで日本の海上保安庁職員が海に落ちて捕まったらどうなるのか。あれは軍人ではないので捕虜じゃない。するとどうされてもジュネーブ協定外なので文句は言えません。外国では国境警備隊とか沿岸警備隊はすべて軍隊もしくは有事の際に軍の指揮下に入ることになっている。そもそも日本の自衛隊は法制上、軍ではない。あの人たちは特別職公務員にすぎない。だから海保職員どころか自衛隊員も一戦交えることになったら捕虜になる権利がない可能性がある。
 専守防衛とよくいいます。あれも実は恐ろしいおとぎ話から出てきたような考え方で、要は相手側からの第一撃、先制攻撃を受けてからでないとわが自衛隊は手が出せません。つまり、だれか日本人が死傷してからでないと反撃できません。相手がミサイルや大砲を発砲していても、こちらに命中して、だれかが死ぬまで待たなきゃいけない。その第一撃でこちらが全滅するような、たとえば日本中が壊滅するような強力な核兵器だったりしたら、なにもしないまま全滅するだけであります。
 日米同盟という。あれもしかし、あくまでアメリカの国益にかなう場合に限り、出てきてくれるというだけのこと。
 いちばん問題なのは、全人類が平和を望んで いるわけではなく、話せば分かる、という相手 ばかりではない、というしごく当たり前の現実であって、日本は結局、長い間それを考えないでいい特権を享受してきたが、もうそうではなくなったということですね。
 で、有事法制に話を戻せば、そういうことを 考えておくのは国家の常道。それ自体がいかんというわけではない。時期尚早といって反対する人もいるが、ああいうものに適当な時期などありません。だが、今回のいかにもどさくさな感じの、ワールドカップ前に何でも決めてしまえ、みたいな、さらに法案もたとえば自衛隊の指揮権のもんだいとか、ここぞ重要なところというのをいい加減のままにした法案で、どう見てもとりあえず私権制限しておこう、という側面しか見えない内容なのが気に入らない。
 やるならちゃんとやれ。もっと真面目に。日本の政治家は不真面目なのが気に入らない。国民がなぜ聞く耳もたんかといえば、政治家やら官僚の皆さんが当面、とりあえずの間に合わせ、という考え方しか出さないからである。結局、どうしたいのよ。そこをはっきりしろ。むかしも、なんとなく間に合わせ、を繰り返して日米開戦となったのではなかったか、この国は。 まあいいや。もう私は三十五歳ですよ。第一次徴兵年限は過ぎたでしょう。これからのより若い人によくよく考えていただこう。
 日本はどこに行くのでしょうか。どういう立場でどういう物書きをやっている人も、そこらをおさえて書いていない文章やら詩は私、最近あまり読みたくない。現実は厳しいですね。

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