”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。

にんげんなど減ったほうがよろしい

みんなアットホームにたたずんで自分探しに夢中な
そんなある日を激震が襲う

ここまでメモ帳に書いてから思う
いけない 
今日は頭が散文に向いているしこの文章は横書きである
だけど仕方ない 僕は詩人だったりするのだから
まずはパソコンの電源を入れる
ぶーんとヘンチクリンな音がする

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そんなメールが何通か届いているので消去する

みんなアットホームにたたずんで自分探しに夢中な
そんなある日を激震が襲うのだねえ 不真面目に
へらへらと生きて
へらへらと死ぬ
愚かな

僕らの 苦い苦い認識だけが
浮きのようにぴょこついて沈む どこか深海へ
僕らの知らないところへ

そんなことを書いてから
デリートボタンで消去した
ついでにウィンドウズをシャットダウンして
パソコンの電源を落とした

テレビをつけた ニュースを見た
また事件が増えていた
ひどく疲労した テレビを消した

僕は寝て寝てそれから寝ておまけに寝て
思い切り寝て寝て寝て そして寝てみた
頭はすっきりするはずだった
だが なんと重苦しいこと
雨が降り止まないのは
なんと面白くないこと
事件が増え続けるのはなんと面倒くさいこと
それから無為に
無為に流れていくものごと それでもって自分の人生
なんてものを深く考え直すことをやってみようと
思った クマのプーみたいに
あるいは即興哲学者みたいに
あはあはあは
詰まらないのであった
だから
昔の人は剣闘士のショーを見に行ったものだ
なんで
今の日本にはコロセウムがないのか
ざざ
ざあああ
サボテンが音もなく伸びる
僕は なにも吐き出すほどの言葉がないことに気付く
そうとも
結論を出すためには
情報が足りないと思った 違う 情報が多すぎると思った

外は雨 ざんざ ざんざ 雨

英雄といって誰を思い出すか
なぜみんなはそこそこの生活をしていられるのか
面白くないものだと思った
黙って言葉を並べ替えることは詰まらない作業だと思った
よく考えてもみよ
英雄はなぜそこそこの生活をしていられるのか
サボテンといって誰を思い出すのか
なぜみんなはクマのプーではないのか
剣闘士は自分探しに夢中だ
かあ

断言が必要なのだが
それにも飽きた
雨粒は個人の脳細胞に染みるのを知っているか
だらだらと透明の血が
殉教者の茨の冠から滴る
雨は嫌いだ うざったくなる
雨は嫌いだ ここにいたくなくなる
雨は嫌いだ 箱舟に乗れるやつだけが幸せになれる気がする
雨は嫌いだ 
大抵のものが嫌いだ
自分が嫌いだ

ぐわし と心臓をわしづかみにしたいものだが
できない つまり才能がないのだ 僕には

人々の歩みはのろい べちゃべちゃとおしゃべりはうるさい
彼ら彼女らはとにかく邪魔くさい
声のでかい背広の人々も 声のでかい短いスカートの女の子も 声のでかい老人会のゴルフコンペのメンバーも 声のでかい歌舞伎愛好家のおばさんたちも
うるさい みんなうるさい そして遅い とにかく遅い
歩みが
天候は回復しない 雨はざんざ ざんざ
傘が連なる
傘の下にはいつでも殺意が潜む
違うか

秋の空は通常 宇宙とつながりがある
しかし今年は違う 秘密はなくてただ雨 うんざりするほど
ばらまかれる雨に にんげん
なんで少子化などと騒ぐのか
どう考えても
にんげんなど減ったほうがよろしい
中学生たちは授業の合間に教室移動のついでに制服を脱いで
性器をまさぐりあうが それ以上のことは許すべきではない
にんげんが減ることで
駅は混まなくなるし傘は減る 
政治的言説も場違いな文学作品も減る めでたいことではないか

みんなアットホームにたたずんで自分探しに夢中な
そんなある日

これだけいろいろあっても
何も思いつかないのだ
一つの警句すら
薄汚れた雨の街には無力だ 永遠などない
ページ設定で縦書きに直す必要などあるのか
ほほえましく温かい言葉をどこに向けて
発射し続けているのか皆さんよ
誰のために
誰に褒められたいために?

そうとも
吐き散らかした言葉なんぞに意味などない
読むな!
これもそれもどれも 屑篭行きでいい

たった今の一瞬 百億年が経過すればどんなに爽快か。


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