”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。

割れちゃったらどうしよう

あきれるほどにどうということもなく僕自身はべつにかなしくも痛くもなくて
せかいのあかるいたいよう たいようはさんさんさんさんと ふりそそぐ
僕らの みんなの とてもへいわで おなかはいっぱい いっぱいだおデブちゃん
 そしてどこかで巡航ミサイルの数はそろいつつあり 
 そしてどこかで小型戦術核爆弾の信管は慎重にセットされ
 そしてどこかで貧しい村落は大人も子供も飢えて死に
 そしてどこかで土砂降りの雨は街を押し流す

ほら なにか とまっすぐに手をさしのべて恋人たちは 互いを求め合い
遊園地とイタリアンレストランの詰まった風船をふくらませあっては 穏やかに
僕らは なんていうのか このくには とてもおなかは はちきれそうでくるしくて
ぱん
割れちゃったらどうしよう ああどうしよう
 そしてどこかで死臭は谷を覆い
 そしてどこかで動物たちはひとつずつこの世から消えていき
 そしてどこかで狂った刃物が子供たちの臓腑をえぐり
 そしてどこかで大金持ちたちは自分だけが生き残ろうと画策する

ああなんだかな 今年も夏は終わっていく なにかいいことないだろうか
命尽きた蝉が高層ビルの壁からはがれ落ち かさりと乾いた音を立てて
アスファルトの上ではじけて壊れた

 そういえばあのテロ事件から一年だっけ
 そしてどこかで ほらなにか
 そしてどこかで ああなんだかな
個人的には僕一個としてはぜんぜんどうでもいいや
僕の問題じゃないしい 関係ないしい どうでもいいしい
でも 世界はどこへ行くんだろうかな
ぱん
割れちゃったらどうしよう?

僕らはいつもおいてきぼりだ

【詩作メモ】早いですね、もう一年たっちゃったんだって、911テロから。それで次の戦争というのはそろそろ始まるんだろうか。でもそんなことより僕の問題は傘がない、なんてもんでもなくて。体重を落とすにはどうしようか、そんなことばかり。蝉がかしゃんといって僕の目の前で死んだのは本当の話。生き物は死ぬまで生きている、全力で。にんげんはぼんやりと生きて突然、死んだりする。悲しいね。

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