”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。

恋愛講座

 なーんて言ってもさ。別に恋愛の達人なんかじゃないもんね、私は。いろいろと、経験豊富な人たちがためになることを書いてるんじゃないの。いまさら屋上に屋を重ねるのも愚じゃないのかな。
 でもねえ。私も人並みに女の子に振り回されたことはありますねえ。そういう経験はねえ。よく「恋愛経験がない」とか「人を好きになったことがない」とか言う人いますね。あれは本当なんかな。傷つきたくなくて、そう言ってる人も多いんじゃないのか。まったくときめきもなければ、たとえば好きな人の前で気を引こうと焦ったり、いいところ見せようとしてかえってしくじったり、そんなようなことが全然ない人間てのはたぶんいないと思うがなあ。やたらコンサートのチケット取って誘ってみたり(で、断られてどんどん無駄にしたり)、いろいろプレゼント買ってみて結局、渡せなくて無駄になったり。ただ、うまくいかなかった場合、つまりこっちはこんなにも惚れてるのに向こうはぜんぜん、という場合には、とにかく後に残るのは腹立たしい気分だけだからねえ。そうなると「自分はあんな女、初めからそんなになんとも思っていなかった」と言いたくなる。そりゃ当然だ。
 やっぱりねえ、私も今や30代も後半です。もう10代や20代のころのような恋愛観とか女性観もないわけです。しかしあれだな、やっぱり時々は思うね。
 ひとつは、結構いい仲になりそうだった女のこと。それなりにうまく行っていて、はあ、こういうのが恋愛なのかなあ、と自分でも思っていて、でも実に些細なこと、たとえばなんだか気に入らない髪形にしてきたとか、そういう詰まらないことをきっかけに何となく切れてしまった相手。あるいは、滅多にないことだけど向こうが積極的で、明らかに迫ってきたんだし、こちらも決して憎くはないんだけど、急にそうなると生意気な気持ちが起きてきて、「こいつも、もうちょっと気が利くのならいいんだが」とか「もうちょっと、理想と違うんだよな」などと増長し、あげく断ってしまった相手。こういう人たちのことは、何年もたっても気にはなるもんです。いや、実際に具体的にどうこうしようと言うんじゃない、ただ、ひょっとしたら今、自分の奥さんになっている人じゃない、その人が自分と一緒に暮らしていたとしたら(で、そういう可能性もあった人たちですね)、今頃、自分はどこでどういう人生になっているのか。それはかなり、パートナーによって人生左右されますからね。
 私は今、奥さんの実家がある街に住んでいるし、今度は近くに家を建てる話があるし。こういうことも、パートナーが違えばぜんぜん、変わってますね。あるいは子供がいるとかいないとか、いろいろ条件も違っているでしょう。趣味でテニスやスキーをやらされているかもしれないし。そういうことを想像することはやっぱり、ある。
 もうひとつ、こっちが大いにその気があってアタックして、敢え無くふられた相手ね。これはまた忘れられないもんです。で、ふられた当座、まあ2,3年の間はけっこう、美化していて「あいつと自分は縁がなかったが、俺はいつまでもあいつの幸せを祈ってやろう」などと殊勝な誓いを立てます。でもね、5年、10年たつと違うね。最近になると、ものすごく意地悪な心境になっている自分に気付きます。実際、そういう女性と再会することはあまりないとはいえ、また絶無でもない。そういう場合、「おお、また年取って醜くなったなこいつ。なんでこんな女に惚れたんだろう」と思っているんですよ、私。で、安心してるのね。こんなやつ選んでたら損したな、とか。いや、決して悔し紛れで言うんじゃない、以前に夢中になったことがもう自分で理解できなくなっているんですよ。でまあ、なるほど、縁がないというのはこういうことなのか、と思ったりするんですね。
 あれねえ・・・。若い時分のこと考えると、面白いねえ。みんな同じだと思う、自分が惚れてる相手の前ではうまくふるまえなくて、なんの気もない相手には自然にふるまえるんだよな。ところが、自然にふるまえる相手が、結局、相性がいいもんで、それも経験を重ねるとだんだん気付いてくるんですけどね。
 だから、同性愛の男の子が妙に女の子からもてたりします。下心がなさそうで、自然でいい、とか言われて。当たり前だよそれは。彼から見たら、女の子は友達でしかないんだから。ぜんぜん対象じゃないわけだ。そういう男に惚れた女の悲劇というのもままあるそうですが、さて。
 ああ・・・。私は自分のヰタ・セクスアリスを物語る気なんてありませんけど、早かったですね。早熟だったと思います。小学五年生で男になってた(笑)。男性としては早かったでしょうね。でもう、小学校の同級生の女の子が気になり始めるわけ。ありゃ危険だったんじゃないかな。小学校のクラスにもうオヤジ化した子供を置いといたのは(笑)。
 ちょっと前まで、男のほうが多くて女が少なくて、恋愛では男が下風に立っていたでしょ? ミツグ君とかアッシー君の時代に。でも、最近は恋愛自体成り立たない人も多いみたいでしょう。人付き合いがそもそも出来ない若い人だと。で、エロゲームとかおたくい方で解消したり、ね。二次元の女の子じゃないと興奮しないとか(笑)。それに、バブル時代のお話には嘘があってさ、今になってみると、なんだかんだ言ってそれなりのルックス、それなりの収入の男は、それなりに相手見つけてるもんね、やっぱり。いろいろ理屈をつけてもそれなりにパートナー見つけてますよ。そうじゃない人というのは、もちろん人さまざまなんだが、多いケースが、若いころにちょっともてた男女ね。で、増長して「もっといい男が現れるの待とう」とか「俺は惚れられるの嫌いで、惚れた相手じゃないと夢中になれないんだよね」とか言ってるうちに年取って、商品価値が下落するまで気付かない。
 恋愛は人生勉強なんだろうけど、また一種の取引でもあるんだろうから、自分の値打ちは自分で計らないといけないんでしょうな。
 あとは・・・不倫? さあ。少なくとも今の私にはあまり関係ない。面倒くさいわ、そんなの。ま、やるんならあらゆるリスクを自分で背負う覚悟を持つべきでしょうね。
 とまあ、今日の講座はここまでね。詳しい話は後で先生に個別に聞きに来てください。起立


トップページ
経歴とフォトギャラリー
お取引先
刊行物
イラストギャラリー
新聞・雑誌書評
ライブビデオ
ライブ予告
近作詩集
近作エッセイ集
リンク集
不定期日記
© Tujimoto.jp All right reserved.