”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。


不定期日記 2014年

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2014年12月31日(水)
 今年も我が家の洋蘭が満開に咲いてくれました。毎年、この時期になるとよく咲いてくれるものです。
 さていよいよ今年も大晦日を迎えました。2014年、皆様はどんな一年だったでしょうか。
 私どもとしましては、今年は2008年に出した『図説軍服の歴史5000年』(彩流社)の中国語版である『図説世界軍服歴史5000年』(東方出版)が出たのが大きかったです。初の海外進出で、感慨深いものがありました。
 また、こちらは初の翻訳書となる『華麗なるナポレオン軍の軍服』(マール社)を刊行することもできました。ほかに『イギリス文化事典』(丸善出版)にも参加しました。いずれも、それなりにかなり苦労したのですが、世に出すことが出来てほっとしております。
 ほかにも進行中のことが2、3ございますが、これはまたおいおい、はっきりしてからご報告できればと思います。
 一方、日刊ゲンダイの連載「鉄板! おしゃれ道」が終了しました。これは震災直後から前身の「辻元よしふみオシャレうんちく道」がスタートし、3年半も続けることが出来ました。これほどの長期連載になるとは思っておりませんでしたので、まことにありがたいことでした。
 そういえば、若干、昨年末から年始にかけて、トラブルめいたこともあったのですが、もう済んだことですので、そのへんはよしといたしましょう。
 とまあ、出版を中心にけっこう、我が家的にはいろいろあったような気がいたします。それに今年は私も玲子も、比較的、体調面でも大きな病気はなく、その意味でもよかったです。
 来年、2015年はさらに、いろいろなことが出来れば、と念じております。
 ということで、本年も誠にありがとうございました。どうか皆様、よいお年をお迎えくださいませ。
 

2014年12月25日(木)
 今年も東京メトロ東西線・浦安駅近くのイタリアン・トラットリア「トレフレッチェ」に行きましてクリスマスディナーを楽しんでみました。特別素材を使ったフルコースで1人6500円は、リーズナブルですよね。けっこうどこに行っても1万円超え、が普通みたいですから。

2014年12月21日(日)
 いよいよクリスマス週間、そして年末ですね。近所のお店で、手のひらサイズの「お手玉」のサンタさんを見つけて、買いました。「テノリーノ」という商品名のようですが、この小ささとくったりしたゆるい感じがなかなか絶妙な味です。

2014年12月19日(金)
 「ホビット 決戦のゆくえ」THE HOBBIT THE BATTLE OF THE FIVE ARMIESを見ました。1999年以来、16年にわたって製作されてきたピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」シリーズ6部作の最終章です。ビルボ・バギンズの「行きて帰りし物語」の結末である、中つ国で名高い「五軍の戦い」の顛末が語られます。
 ◆  ◆  ◆
 前作「竜に奪われた王国」で、ついに悪竜スマウグ(ベネディクト・カンバーバッジ)から離れ山エレボールの王国を取り戻したドワーフ族の王子トーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)ですが、ドワーフ王の象徴である「アーケン石」が見つからず、徐々に疑心暗鬼に陥り、仲間も信用できない猜疑心の塊になっていきます。実はビルボ(マーティン・フリーマン)は、スマウグの財宝の山からアーケン石を密かに見つけ出して所持していましたが、それをトーリンに渡していいものか、心を痛めます。
 一方、離れ山を飛び立ったスマウグは、湖の町に襲来。町が炎上して廃墟となる中、バルド(ルーク・エバンス)は、スマウグを仕留め損なってデイルの王国を失った先祖の汚名を晴らすべく、先祖伝来の「黒い矢」を放ちます。矢は先祖が命中させて鱗がはがれていた弱点部を貫通し、スマウグは絶命します。しかし湖の町はもはや住むことはできず、バルドは住民を率いて山ノ下の旧都デイルに向かいます。首尾よくエレボールの王となったトーリンから、約束通り財宝の一部を貰い受け、街の復興に役立てようと考えたのでした。
 そのころ、「グルド・デュアの死人使い」なる新たな敵の状況を偵察に行った灰色のガンダルフ(イアン・マッケラン)は、その死人使いなる者が、古の大魔王サウロンが復活した姿であることに気付きますが、敵の手にとらわれてしまいます。しかしそこに、エルフの女王ガラドリエル(ケイト・ブランシェット)、裂け谷の領主エルロンド卿(ヒューゴ・ウィーヴィング)、城の魔術師サルマン(クリストファー・リー)、そして茶色の魔術師ラダガスト(シルベスター・マッコイ)が現れ、ガンダルフを救出します。
 スマウグが倒れたことを知り、緑の森のエルフ王スランドゥイル(リー・ペイス)は、トーリンにエルフの秘宝を返還することを要求。またバルドもトーリンに援助を求めます。ビルボはスランドゥイルとバルドにアーケン石を渡し、トーリンと交渉させて和平を結ばせようと努力しますが、スマウグの財宝の魔力に憑りつかれてしまったトーリンはすべてを拒否、こうしてドワーフと、エルフ、人間の三つの軍勢が戦争になることは必至となってしまいます。
 そこに駆けつけたガンダルフは、愚かな戦争をやめ、別の敵に備えるよう主張します。古の敵が復活し、オークの将軍アゾグ(マヌー・ベネット)率いる暗黒の軍団が離れ山を攻略しようと迫っていることを告げますが、誰も聞く耳を持ちません。
 同じころ、密かに北方の魔王国アングマールに潜入していたスランドゥイルの王子レゴラス(オーランド・ブルーム)と部下の近衛隊長タウリエル(エバンジェリン・リリー)は、アゾグの息子ボルグ(ジョン・チュイ)率いる新たな大軍が出発したことを知ります。ドワーフの仲間の一人キーリ(エイダン・ターナー)に恋心を抱くタウリエルは心配でなりません。
 さて、エレボールでは、三つの軍勢に加え、トーリンの従弟ダイン(ビリー・コノリー)が率いる「くろがね山」のドワーフ軍が駆けつけ、四軍による合戦が今しも起ころうとしていましたが、そこに突然、地中から出現したアゾグの軍勢が奇襲を仕掛けてきます。かくて、五軍の戦いの火ぶたが切って落とされるのでした・・・。
 ◆  ◆  ◆
 今回は、何しろ結論としては、ビルボが無事にホビット庄に帰還して、例のサウロンの「指輪」を持ち帰る、というのが決まってます。そうでないと、ロード・オブ・ザ・リングのフロドの冒険につながらないわけですから。よって、エンドシーンを言ってしまいますと、五軍の戦いから60年後、老いて111歳となったビルボ(イアン・ホルム)をガンダルフが訪問する、という第1作目ロード・オブ・ザ・リングの冒頭のシーンが再現されます。
 また、おそらくロード・オブ・ザ・リングの2作目「2つの塔」で、フロドやガンダルフの一行が離れ山の地中奥深くに入って行き、ドワーフたちのミイラ化した遺体を見つける、といったシーンを、なんの意味か分からない方も多かったかもしれませんが、今回の作品をご覧になればわかるようになったかと思います。スマウグから王国を奪還したドワーフたちはここに住んだものの、悪の軍勢により結局、ガンダルフたちが60年後に再訪したときには、皆、死に絶えていた、というわけなのです。
 また、今作では、原作以上に、サウロンの復活と、ガラドリエルやサルマンたちの対処が詳細に描かれているのが嬉しいサービスです。ガラドリエルは、指輪を手にしていないサウロンを撃退してしまうほど強大な人であることが、今作では明瞭に描かれます。だから、後になってフロドが指輪をガラドリエルに渡そうとしたとき、強く拒否されたのですね。彼女があの指輪を手にしたら、サウロン以上の悪の女王になってしまうだろう、と自分でもわかっているからです。ケイト・ブランシェットの堂々の熱演が光ります。また、ロード・・・では悪役だったサルマンが悪に堕落する前の姿が見られるのも嬉しいサービスです。今年なんと92歳で、原作者のトールキン教授と面識があるというクリストファー・リーは、もはやレジェンドそのものです。
 旧シリーズが出世作となったオーランド・ブルーム、そして今シリーズが出世作となったルーク・エバンスは共に大活躍です。見どころいっぱい、カッコいいシーン盛りだくさんです。
 しかしなんといっても感動的なのは、トーリンとビルボの友情、そしてタウリエルとキーリの恋の行方、です。いずれも種族を超えた友情と愛情です。これはもう劇場でご覧になってください。もう終盤は、涙腺を刺激しまくりです。最後の方は激しい戦闘が50分近くも続きますが、一瞬も目が離せない緊密さで、感動的に描き切っており、さすが名匠ジャクソン監督。今回は脚本にギレルモ・デルトロも加わっていっそう演出面でも磨きがかかっているようです。
 それにしても、タウリエルはホビット3部作のオリジナル・キャラです。60年後の物語には登場していません。彼女は五軍の戦いの後、どうなったのでしょう・・・おそらく、一足早く、中つ国を離れ、海を渡って行ったのかもしれません・・・。
 シリーズ6部作の最終章を飾る見事な作品でした。すごいシリーズでした。ジャクソン監督の多年の努力に惜しみない拍手を送りたいと思いました。
 
 
 
 
 
 

2014年12月11日(木)
 きょう。ダイエー浦安駅前店に行ってみました。するとなんと、新浦安店で展開中のテディベアキャンペーンのシールを、こちらでも配布しておりました。連動するようにしたんですね。同じ市内だから当然の配慮かと思います。同店では、やたらにあった弁当や総菜はなんとなく縮小気味、生鮮食品や一般的な食品、雑貨、それにティッシュペーパーやトイレットペーパーも普通に置かれるようになっており、明らかに「普通のスーパー」化していました。ダイエー共通の「木曜市」のBGMまで流れ、まことに普通のダイエーっぽく変化していました。これならたまに足を運んでもいいな、夜の1時までやっていることだし、と素直に感心しました。
 というわけで、じつは昨日、ダイエー新浦安店でテディベア3匹目、バックパックベアを手に入れました。後ろで背負うことができるようになっています・・・はずですが、胸囲1メートルを遥かに超える私の場合、まったく背負えませんでした。
 

2014年12月04日(木)
 このほど丸善出版さんから『イギリス文化事典』が刊行されました。936ページ、定価2万円+税とまあ、単価はお高いのですが、この中の「軍服の歴史」「軍隊の歴史」という項目を、私が執筆しました。両項目の挿絵は辻元玲子が担当しております。

2014年12月01日(月)
12月、師走となりました。久しぶりに東京・丸の内の通りを歩いてみましたが、今年も電飾が綺麗ですね。東京駅からブリックスクエア、丸ビルのあたりの人通りはすごく、どこかの縁日のようでした。ところが、そこから新丸ビルを過ぎると急に閑散としてきて、大手町まで行くと人っ子一人いない感じに。何か街の持つパワーの違い、というものですかね・・・。

2014年11月28日(金)
 クリストファー・ノーラン監督の話題作「インターステラー」Interstellarを見ました。原題は「星間」という意味。星の海を越えて遠い宇宙の果てに至る冒険を大きなスケールで描いています。
 それにしてもこの作品、大変に重量級のキャストの布陣ぶりです。主演にアカデミー賞俳優のマシュー・マコノヒー、ヒロインにやはりアカデミー賞のアン・ハサウェイ、共演のベテランにはこれまたオスカー受賞のマイケル・ケイン、エレン・バースティン。ほかの出演者もジェシカ・チャステイン、ケイシー・アフレック、ジョン・リスゴー・・・とオスカー・ノミネート歴のある実力派ばかり。また大事な役どころにマット・デイモンまで出ています。
 実際、本作はかなり哲学的なSF映画です。何に似ていると言えば、やはり「2001年宇宙の旅」に非常に似た持ち味があります。中盤からは宇宙船の中の密室劇で、難解な設定や、異常な極限状態を俳優の演技力でしっかり描かないと全く様にならない難しい作品だったと思います。SFといっても、派手なCGさえ使えば今やなんでも描けるわけですが、本作はそういう薄っぺらい映画ではなく、重厚です。3時間近い長尺ですが、それだけの濃さがあります。
 ◆  ◆  ◆
 かつてNASAの宇宙飛行士の訓練を受けたクーパー(マコノヒー)ですが、突然の重力異常による墜落事故で引退し、今はトウモロコシ農家となっています。妻に先立たれ、長男トムと10歳の長女マーフ(マッケンジー・フォイ)、それに父親のドナルド(リスゴー)と暮らすクーパーですが、実際は農夫としての現在の生活に疑問を抱いています。しかし、地球の環境は急速に悪化し、すべての技術開発は農業以外は放棄され、食料の生産をする農家と農業技術者のほかは無用、ということでNASAも10年前に組織として廃止されていました。
 異変はマーフの部屋で起こります。毎晩のように本棚の本が規則的に落ちるのです。幽霊の仕業か、というマーフをクーパーは一笑に付しますが、やがて、その本の落ち方は明らかに人為的なもので、重力を用いてある座標を示している暗号だと気付きます。
 その地点にたどり着いたクーパーは、解散したはずのNASAが秘密裏に活動を再開していることを知ります。熟練の飛行士を探していたブランド教授(ケイン)は、人類を救うべく外宇宙に宇宙船を派遣する計画があることをクーパーに告げ、パイロットとして協力するように要請します。40年以上前に、土星周辺で重力異常が起き、外宇宙につながっているらしいワームホールが発見されていたのです。すでに10年以上前から、勇敢な12人の志願者がワームホールを抜けて探査の旅に出かけていました。そして、マン博士(デイモン)ら3人の到着した惑星から、人類の移住に有望という信号が届いていたのです。
 人類の未来をかけて地球を離れる決意をするクーパーですが、マーフは自分を見捨てていく父親を理解できません。クーパーは「必ず帰ってくる」と約束します。しかし、いったい何年かかるのか、誰にも分からないことなのでした。
 クーパーは、ブランド教授の娘アメリア(ハサウェイ)らと宇宙船エンデュアランス号で飛び立ち、まずは土星までの数年の旅を経験します。さらにその先、どこか異なる銀河系に向かうクーパーたちには過酷な運命が待ち受けています。
 一方、地球に残されたマーフはブランド教授を補佐する科学者の道を選びます。宇宙空間の異なる時間を生きるクーパーにとっても残酷なことに、地球の時間はどんどん早く経過し、とうとうマーフ(チャステイン)は父親クーパーが地球を出て行った年齢を超えてしまいます。
 親娘は本当に再会することができるのでしょうか? そして人類の運命は・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、先にも書きましたがS・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」の現代版という感じもする本作。土星の重力異常を感知して探索の旅に出る、という基本の部分がよく似ています。あちらではコンピューターが乗組員を裏切るのですが、今作でも人工知能搭載のロボットが大活躍します。その描き方がどう違うのかは一つの見ものです。また、この計画にはクーパーも、責任者ブランド教授の娘アメリアさえも知らされていない秘密があるわけです。そういう何か後ろめたいものがある、という設定も「2001年」に似ているかもしれません(その後ろめたさゆえに、2001年のコンピューターHALは発狂してしまうわけでした)。
 マシュー・マコノヒーは「マジック・マイク」あたりから急激に演技派という呼び声が高まりアカデミー俳優にまでなりました。今回もこの人でなければ成り立たない作品だったのではないかと思います。アン・ハサウェイをはじめ共演者も、冒頭に書きましたが実は演技力が勝負の重厚な作品ですので、すごく難しかったのではないかと思います。実際、一人でも足を引っ張るようなキャストがいたらダメな作品かもしれません。
 最後にどうなるか、はもうここでは決して明かせません。とにかく最後まで見応えのある作品でした。クリストファー・ノーラン恐るべし、です。
 

2014年11月27日(木)
 陸上自衛隊の松戸駐屯地にある陸上自衛隊需品学校にて、QMフェスというものが開催されました。要するに自衛隊の物資調達・補給部門に納品している業者、あるいは納入したい業者さんがさまざまな展示品を披露する、自衛隊関連物資の見本市、というようなものです。
 なぜかこの日、木更津市のキャラクター「キサぽん」が、自衛隊の迷彩戦闘服を着て場内で愛嬌を振りまいておりましたが…なぜ木更津から松戸に? もちろん木更津にも駐屯地があるわけではありますが。でもかわいいので、広報の女性自衛官の方に記念撮影してもらいました。
 会場を回りますと、何しろいろいろな業者さんが試供品をくれます。特に最後の方に伺ったので、大盤振る舞い状態。戦闘糧食とかパンとか…しかし、本当に最近のこういう食品はうまいですね。驚くほど美味です。非常食とか戦闘食だとは微塵も思えないよい味です。
 ということで、帰ってみたらどっさり山盛り、食料品をいただいていました。これは助かります…。
 中でも岐阜県可児市の「酵母工業有限会社」のロングライフパンは、非常に美味いので驚きました。ロングライフうんぬんを抜いて、純粋に美味です。
 楽天で通販もしている模様。http://www.rakuten.co.jp/koubo-panettone/
 こちら、90個で5000円! とかすごいセール売りもしているようですよ。
 

2014年11月26日(水)
 私どもの翻訳書「華麗なるナポレオン軍の軍服」ですが、このほど「モデルアート」様と「繊研新聞」様から書評をいただきました。ありがとうございました。いずれもリュシアン・ルスロ氏の研究を高く評価していただき、日本に紹介できた私どもにとっても喜びです。また、モデルアートの方では「翻訳も信頼の置けるもの」という一言をいただきました! まあ実際、こういう特殊な分野となると翻訳もいろいろと…単に英語やフランス語に堪能、というだけではダメであって、19世紀当時のフランスの軍事用語を理解できないとどうにもならないわけで、そのへんも読み取っていただけて嬉しいです。重ねて御礼申し上げます。

2014年11月20日(木)
 前にちょっと触れたダイエーの一部店舗で展開中の「テディベア・キャンペーン」というものですが、1000円分の買い物をするとシールが1枚もらえ、これを台紙に張って提出すると・・・テディベアがもらえる、というわけではなく、しかし非常に安く手に入る、というキャンペーンです。@ベビーベア(座高16センチ)の場合、シール10枚で、希望小売価格1026円のクマが300円で買える、というわけ。以下、Aスモールベア(24センチ)がシール15枚で2484円のものを700円で、Bミディアムベア(34センチ)だとシール20枚で3726円のものが1100円で、Cラージベア(46センチ)になると、シール30枚にて6156円のものが2000円で買える、というわけで、じつは我が家にはすでにラージベア君が鎮座しておるのですが、このほどさらに、ミディアムベアも手に入れました。
 ラージと並べてみると、一回り小さいですが、34センチは十分な迫力です。これで1100円ならいいんじゃないでしょうか。


2014年11月11日(火)
 このたび防衛省職員・自衛官向けの専門紙「朝雲」に、「華麗なるナポレオン軍の軍服」の商標が載りました。以下のような内容です。
 ◆  ◆  ◆
 2014年 10月30日付「朝雲」ブックレビュー

「華麗なるナポレオン軍の軍服」リュシアン・ルスロ著 辻元よしふみ・玲子監修翻訳

 派手な色に装飾品、出てくる言葉は「おしゃれ」の一言。陸軍の軍服といえば、カーキや迷彩服を思い浮かべるが、その真逆を行く絢爛豪華な軍服の数々に圧倒される。
 本書はフランス陸軍の公認画家を務めたリュシアン・ルスロ(1900│92年)が描いたナポレオン軍の制服を収録。さまざまな階級、軍種のあらゆる軍服パターンを網羅しており、その緻密さに驚かされる。
 19世紀の欧州を席巻したナポレオン軍の軍服は多くの軍が手本とし、明治期の日本陸軍が最も参考にしたことでも知られている。現代ファッションにも脈々と息づいており、その普遍的な価値は色あせることがない。
 それにしてもなぜこんなに"派手"なのか?
 監修翻訳者で軍装史研究の第一人者である辻元氏によれば、当時は小銃の性能が低かったため、砲煙が立ちこめる戦場で敵味方の区別をつけるためだったという。国内の繊維・服飾産業を振興させる目的もあった。
 軍服研究の一助にしてもよし、イラストの参考にしてもよし。とにかく見て楽しい一冊。手に取って見やすいA5判なのもうれしい。
 ◆  ◆  ◆
 また、学研「歴史群像」の12月号(通巻128号)にも書評を載せていただきました。こちらは12月6日の消印有効で、巻末ハガキで応募すると、この本を3名様にプレゼント、とのことです。ご興味のある方、ただで手に入るかもしれませんので、ご覧ください。


2014年11月10日(月)
 フランス、ドイツ合作映画「美女と野獣」LA BELLE ETLA BETEというものを見ました。「ブラック・スワン」のヴァンサン・カッセル、「イングロリアス・バスターズ」や「ロビン・フッド」のレア・セドゥが共演。作中は全編フランス語という作品ですが、これがいい。1991年の大ヒットしたディズニー・アニメのイメージが強いこの作品ですが、やはり本国が手掛けると一味違います。監督はクリシュトフ・ガンズ。
 ディズニーのアニメをはじめ、何度も映像化されているこのテーマですが、一般に知られている原作は1756年発表のボーモン夫人のおとぎ話。しかしこの前、1740年にヴィルヌーヴ夫人が書いた長編が本当の原作だとされております。今回はそのヴィルヌーヴ版を深く掘り下げて今までにない要素を加え、ことに従来、はっきりしなかった「どうして王子が野獣になっていたのか。王子はどんな罪を犯したのか」という部分を強く打ち出しています。
 ◆  ◆  ◆
 お話は、お母さんが寝物語に子供たちに絵本「美女と野獣」を読み聞かせる形で始まります……。
 時は1800年代初め、ナポレオン1世のフランス第一帝政期。裕福な商人(アンドレ・デュソリエ)は所有していた3隻の船が一度の航海で沈没し、瞬く間に破産。3人の息子と3人の娘を連れてパリを離れ、田舎暮らしを余儀なくされます。まもなく、3隻のうちの1隻が見つかり港に戻ってきますが、積荷ともども債権者に差し押さえられ、ぬか喜びに。長男は自暴自棄となり借金を重ね、盗賊まがいの悪党ペルデュカス(エドュアルド・ノリエガ)に追われる身となってしまいます。そのとばっちりを受けることとなった商人は、ペルデュカス一味の追跡を逃れて雪の中をさまよい、雪の中で道に迷ってしまいます。深い森の中で見つけたのは、数百年も放置されている古い城でした。商人はその城の庭で、末娘のベル(セドゥ)が望んでいた美しいバラの花を見つけ、とってしまいます。すると、城主である恐ろしい野獣(カッセル)が現れ、バラと引き換えに命で償うように要求、これに従わなければ家族全員の命を奪う、と告げます。
 商人は家に戻り、この話を娘、息子たちに披露します。自分が望んだバラの花で、父が命を落とすことに耐えがたいベルは、自らが身代わりとして野獣の城に向かうことを決意します。野獣はしかし、ベルに「毎晩7時には食事を共にすること」以外の要求はせず、城内を自由に歩くことも許可します。そこでベルは、夢でこの城のいにしえの栄華の時代を見るようになります。城主の王子(カッセル)の傍らには、美しい妃(イボンヌ・カッターフェルト)の姿が。その妃は度を越して狩猟にのめりこんでいる夫に嫌気がさしていました。やがてベルは、妃の墓所を城内で発見します。一体、何があったというのか。ベルは強い好奇心を抱きます。
 ベルは野獣とダンスをすることを条件に、一度だけ家に帰らせてくれるように嘆願。野獣は意外なことにこれを許可します。喜び勇んでベルが家に戻ると、一家はペルデュカス一味に脅かされて息をひそめて暮らしており、父の商人は寝込んで瀕死の状態になっていました。一方、長男から野獣の城の話を聞いたペルデュカスは、城に行けば財宝が手に入ると考え、手下を引き連れて城に乗り込んできます。ベルは野獣との約束を守り、城に戻ろうと急ぎますが……。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、かつての王子と妃の描写が、今までの映画化にはなかった要素ですが、ここがいいんです。本作における「現代」は19世紀初め。すでにフランス革命を経験し、商人のような中産階級も台頭している時代です。一方、かつての数百年前の時代は、まさに中世。ブルボン王朝の初期あるいはそれより前の時代、ということになりそうです。
 注目なのは豪華な衣装。19世紀の紳士たちはみな、燕尾服やフロックコートにベスト、頭には二角帽かトップハットといういでたち。襟の形は、ラペルとカラーの間に大胆なカットが入っている「M字ラペル」です。18世紀末から19世紀初めに一世を風靡した襟形です。
 女性はエンパイア・スタイルという直線的なドレス。これはブルボン王朝時代に流行ったマリー・アントワネットが好んだような釣鐘型の大きなスカートと異なり、フランス革命期から流行りだした、古代ローマ風の身体のラインをはっきり出すドレス・スタイル。
 しかし一方で、中世の世界の人々は全く異なる服装です。15世紀ごろと思われる時代の王子=野獣は豪華な生地のダブレットという裾が短い上着に半ズボンという、いかにも中世の王子様のスタイル。妃や侍女たちは当然、釣鐘型の優雅なドレス姿です。そして、野獣の城に住むことになり、いわば数百年もタイムトリップするような状態になったベルも、城の中では野獣が与えた当時としても古いスタイルのドレス姿になる…彼女が古風な中世のプリンセス姿になることが、城にとどまる運命を受け入れる覚悟をしたことを意味するわけで、視覚的にその表現がよく分かるわけです。このへんは実はレア・セドュがガンズ監督に提案したのだとか。監督は城内の衣装もすべて、ナポレオン時代のエンパイア・スタイルにしようと考えていたそうですが、セドゥが城内ではスタイルを変えることを主張したとか。結果的にそれは大成功だったと思います。何しろコスチュームの要素がとても大事なドラマですからね。
 孤独な影のある野獣に扮するカッセル、どこか子供っぽさの残る不思議な魅力があるセドゥのキャスティングは、まさにはまり役。そして、シックでどんなに激昂しても興奮しても、あまり声を張り上げない感じのフランス語というのが、やはりいい。仮に日本語で吹き替えをやれば、ベル役の声優さんはおそらくずっと高い声で演じるでしょう…日本語では女の子とか、お姫様は高い声、という一種の記号的な声があるからです。が、フランス語だと、日本人の感覚からすれば女性の声もものすごく低いのですが、これが魅力的です。なにか説得力が増すというか、おとぎ話的であるより、大人の物語に見えてきます。
 それから注目されたのが、お妃役のイボンヌ・カッターフェルトというドイツの女優さん。これが美しいんです。ドイツ、オーストリア、スイスのドイツ語圏では何度もヒットチャートの1位をとったことのある有名な歌手で、ドイツの映画やテレビでは引っ張りだこの人ですが、国際的な作品に出るのは本作が初めてではないでしょうか。これでぐっと知名度を上げてくるかもしれませんね。
 ディズニー晩のアニメもとても良かったですが、もともとフランス語で書かれ、フランスの物語であるこの美女と野獣、エンディングも、設定をフランス革命後の時代背景にしたこともあって、ちょっと従来のものとは異なります。ぜひ絢爛豪華なセットや衣装を大画面で見ていただきたい作品です。
 

2014年11月06日(木)
 ただ今、私たち辻元夫婦は、実は新作の最終追い込みをしておりまして、かなり毎日、厳しいのですが……そんな中、見に行きましたのが「ドラキュラZERO」DRACULA UNTOLDという映画。近年、人気急上昇中のルーク・エヴァンス主演の作品です。「インモータルズ」とか「三銃士」で存在感を見せて注目され、「ホビット」シリーズで準主役に抜擢。そして今作はユニバーサル映画が、マーブル・コミックの「アベンジャーズ」シリーズの向こうを張って制作を計画しているというユニバーサル・モンスターのリメイク計画の第1作の主演を任されたわけ。責任重大なんですね。
 ブラム・ストーカーがドラキュラ伯爵なるモンスターを創造した原作小説の「ドラキュラ」を発表したのは1897年。そして、それを基に作られた吸血鬼映画の走りといえば、戦前にドイツで製作された「吸血鬼ノスフェラトウ」だとよくいわれます。しかし、ドラキュラという名前を使って初めて製作されたのは、ユニバーサル映画が、あのベラ・ルゴシを主演にして世に放ったドラキュラ映画の第一作「魔人ドラキュラ」(1931年)なんですね。つまりドラキュラ映画の元祖はユニバーサル、なわけです。しかしドラキュラ映画は、1958年にハマー・フィルムがクリストファー・リーとピータ・カッシングを起用して作った「吸血鬼ドラキュラ」が大ヒットして、それからハマーは70年代までに9本も製作、ユニバーサルとしてはすっかりお株を奪われてしまった次第。1992年にはトライスターが製作したフランシス・コッポラ作品「ドラキュラ」がヒットしました。まだ知名度の低かったゲイリー・オールドマンやキアヌ・リーブスを有名にした映画でしたね。
 どの作品もブラム・ストーカーの原作を下敷きにしているのですが、そもそも原作からしてその「ドラキュラ」なる人物が何者なのか、はっきり描いていない。それもそのはず、ストーカーは15世紀に実在したルーマニア、ワラキア公国の歴史上の君主、ドラキュラ公ことヴラド3世の伝説を基にオリジナルの吸血鬼物語を創作したわけで、そもそもなんでこういう吸血鬼が生まれたか、なんてところはそんなに描写がない。ただ、92年のコッポラ版では、ヴラド公がなんで吸血鬼になっちゃったのか、冒頭部分でそれなりに丁寧に描いていました。
 で、今回のユニバーサルによるドラキュラ・リブート計画としましては、その原点、15世紀に実在のドラキュラ公ヴラドが、なんで吸血鬼ドラキュラになっちゃったのか、というのを描くことにしたわけであります。
 史実では、ワラキアは強大なオスマン帝国に臣従を余儀なくされ、ヴラド公は子供のころに人質に出されています。当時、オスマン皇帝は旺盛な征服欲で有名だったメフメト2世。東ローマ帝国を滅ぼし、コンスタンチノポリスを征服してイスタンブールとし、しきりに欧州に侵攻を重ねておりました。ヴラド公はその中で果敢にオスマン軍に抵抗を試み、何度も勝利を重ねています。いわばメフメトが最も恐れた敵だったわけ。だからヴラド公はルーマニアでは今でも最高の英雄で、魔物だなんてとんでもない。一方のメフメトは1481年に陣没していますが、その最後ははっきりしていないそうです。このへん、この映画化のために都合がよかったわけですが…。
 ◆  ◆  ◆
 ときは15世紀後半。幼いころにオスマン帝国に人質として出され、苦労したヴラド3世(エヴァンス)も、ワラキア公として即位してからは、美しい妻ミレナ(サラ・ガドン)と結婚して世継ぎの息子も生まれ、オスマン帝国ともうまく付き合って幸せな10年間を過ごしていました。しかし現在のオスマン皇帝であり、かつてヴラドの戦友でもあったメフメト2世(ドミニク・クーパー)はついに欧州侵攻の野心をむき出しにし、本性を現します。メフメトは貢納金と共に自分の親衛隊イェニチェリの兵士として、ワラキアから1000人の子供を差し出すように要求、ヴラドの一人息子も人質として出すように命じてきました。もちろん、それに従えばよし、逆らえばこれを口実にワラキアを武力で併合する魂胆です。苦悩したヴラドですが、ついにオスマン帝国の死者を斬り捨て、オスマン帝国との開戦を決意します。
 とはいえ、当時、世界最強のオスマン軍を相手に小国ワラキアがまともに抵抗できるはずもなく、領民と妻子を守るには尋常の手段ではとても……。
 悩みに悩んだ末、ヴラドは自分を犠牲にしても国と愛する者たちを守り抜こうと決意します。それは、領内の山奥に数百年も生きる伝説の吸血鬼(チャールズ・ダンス)と取引し、悪魔の力を手に入れてオスマン軍を破る、というもの。しかし吸血鬼が言うには、力を手に入れると同時に、人の血を渇望するようになる、3日間その渇きに耐えれば人間に戻れるが、誘惑に負けて血を飲んでしまえば、永遠に吸血鬼のしもべとして生きることになる、というもの。
 ヴラドは3日の間にオスマン軍を破り、平和を取り戻そうとしますが、ミレナをはじめ周囲の人たちはヴラドの身に起こった異変に気付きます。オスマン軍の先鋒隊1000人をたった一人で全滅させてしまったヴラドの超人ぶりに、山の魔物と取引したのでは、という噂が流れ始め……。
 さて、ヴラドは迫りくるオスマン軍の脅威と、吸血の誘惑に打ち勝つことができるのでしょうか?
 ◆  ◆  ◆
 ということで、鍛えまくって本当に戦士の体形を手に入れたエヴァンスの肉体美と殺陣まわりの見事なこと。この人は本当にカッコいいですね。これは彼の一つの代表作になっていくのでしょうが、時代劇が本当に似合いますね。それと、山の吸血鬼を演じたチャールズ・ダンスがすごくいいです。存在感があります。後半、アッと驚くような変貌ぶりを見せますが、これが見ものです。ミレナ役のガドンはまだほとんど無名の人ですが、清新な演技でいいです。全体に悲劇的で暗い話なので、この人がとにかく光の部分を担っています。
 まあ、結末は吸血鬼ドラキュラが誕生する、ということですから、伏せておくべき落ちもなにもないのですけれど、史実そのものがオスマン帝国の侵攻を前提とした、かなり可哀そうなお話なので、どうしても暗い感じに。上映時間1時間32分といいますが、もっと長い作品に思えました。しかし最後、救いもある描き方に。今後、シリーズ化が見込まれていますが、展開が楽しみです…まあ、時代劇としては今回限りになるかもしれないのが残念ですけれど。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「ラスト・サムライ」の衣装担当ナイラ・ディクソンが参加していて、コスチュームも見ものです。史実とオリジナルをうまく組み合わせた素晴らしい重厚な衣装です。ヴラドやメフメトのまとう甲冑などもよく出来ていますね。オスマン軍の軍装も、まあ有名なイェニチェリ軍団は描かれていないようなんですが、かなりしっかりと作られているようです。

2014年11月02日(日)
 先日、刊行した『華麗なるナポレオン軍の軍服』(マール社刊 リュシアン・ルスロ原著。辻元よしふみ、辻元玲子翻訳監修)ですが、11月2日未明(午前4時過ぎ)アマゾンの「フランス史」分野で1位を獲得しました。皆様、まことにありがとうございます。

2014年11月01日(土)
11月1日発売「日刊ゲンダイ」のp5(白黒)に私、辻元よしふみのコメントが掲載されました。「巷の言い換えカタカナ大研究」の中の「ファッション用語は文化のバロメーター?」という一節です。ジーパンがジーンズになり、デニムになり・・・面白いものですね。

2014年10月28日(火)
 さて、先日ちょっと「ダイエー浦安駅前店」のことを書きましたが、23日はプレオープンということで、いよいよきょう28日が正式なグランドオープンだそうですね。しかしやっぱり、お惣菜とやたらめったらワインが置いてある、というお店であるみたいです。
 また、そこでちょっと触れた「ダイエー新浦安店」で展開中の「テディベア・キャンペーン」というものですが、同店で1000円分の買い物をするとシールが1枚もらえ、これを台紙に張って提出すると・・・テディベアがもらえる、というわけではなく、しかし非常に安く手に入る、というキャンペーンなのです。@ベビーベア(座高16センチ)の場合、シール10枚で、希望小売価格1026円のクマが300円で買える、というわけ。以下、Aスモールベア(24センチ)がシール15枚で2484円のものを700円で、Bミディアムベア(34センチ)だとシール20枚で3726円のものが1100円で、Cラージベア(46センチ)になると、シール30枚にて6156円のものが2000円で買えるのです。
 というわけで、じつはもはや我が家にはラージベア君が鎮座しておるのです。ご覧のとおり。46センチもある、これが2000円なら悪くないでしょ? そもそも日常的にダイエーで買い出しする人ならシールはすぐに溜まりますから。
 今は、ミディアムベアかスモールベアを狙っています。この際、全種類、集めるのも悪くないので。これ、2月10日までやっているキャンペーンです。
 そういうことがあるので、新しく出来た「浦安駅前店」ではシール配布しないのにがっかりしたんですが。もしシールがあるなら、こちらの方がずっと近いことだし、また行ってもいいんだけど・・・。こういう人もいるわけですよダイエーさん。

2014年10月25日(土)
 先日、発刊しました「華麗なるナポレオン軍の軍服」(マール社。リュシアン・ルスロ著、辻元よしふみ、辻元玲子監修翻訳)ですが、おかげさまでご好評をいただいております。ありがとうございます。
 このたびは、「ミリタリークラシックスvol.47」(イカロス出版)で書評を賜りました。イカロス出版様、まことにありがとうございました。
 また本書は、銀座・風月堂ビル5階のオーダーサロン「サローネ・オンダータ」様(滝沢滋代表、林倫広店長。03・3569・3962)にても取り扱っていただいております。実はこちらは、私どもの既刊書「スーツ=軍服!?」や「図説軍服の歴史5000年」も、書店ではないのに常備してくださっております。
 第一次大戦から100年、大坂の陣から400年、というほかに、今年から来年にかけてはナポレオン戦争終結から200年という節目の年なのです。欧米の人たちにとってナポレオン戦争は、ある意味、二つの世界大戦以上に重要な歴史であり、一方、日本人にとってはこのへんが苦手というか、非常に知識の不足している時代でもあります。ぜひこれを機に、日本でもナポレオンものが盛り上がってほしい、自分たちの紹介活動が及ばずながら少しでもその契機を作れれば、と思っております。

2014年10月23日(木)
 今日は、主に浦安市民むけのお話ですが・・・浦安市北栄の、かつて市営駐車場があった場所に、本日(2014年10月23日)「ダイエー浦安駅前店」というのがオープンいたしました。
http://www.daiei.co.jp/corporate/index.php/release/lists/detail/1089

 なんでも、「単身者」「働くお母さん」などをターゲットにした新店舗、なのだというのですが、じつは近隣の店舗や住民から反対運動を食らうなど、開店まで何かと曲折があった店舗のようなのです。
 で、23日に開店、という情報もほんの数日前になって私も知ったぐらいで、なんだかひっそりとオープンしたわけですが・・・。地下鉄東西線の浦安駅周辺には価格破壊で有名な西友や、ワイズマートの本社直営店舗など強豪がひしめく戦国地域。おまけに市内には、JR新浦安駅前に巨大なダイエーの旗艦店があるわけで、「なんで浦安にもう一軒、ダイエーが必要なの?」という素朴な疑問が最初からあったわけです。また、ダイエーは先日、イオン・グループの完全子会社となって、数年後には「ダイエー」屋号も消滅することが決まっており、なんでこの時期に新店舗?とますます疑問符が付く要素があるんですが・・・。
 なんにしても、オープン日というのはたった一日しかないわけで、未来永劫、二度とないわけなので、私も歩いて行ける距離ですので、行ってみました。
 開店日というと、どこでも大行列の大渋滞、となりがちですが・・・夕方の7時過ぎ、いちばんお客さんが来そうな時間帯に行ってみましたが、まったく普通の状態。初日でこれでいいんだろうか、と率直に思いまして。
 1階は全部、駐車場で、フロアーは2階のみ、というのが拍子抜けです。売り場に行くと、たしかに単身者などをターゲットにしているらしい、惣菜とかお弁当がものすごい分量で並んでいます。もうフロアーの半分は惣菜と弁当ですね。
 しかし、生鮮食品は奥の方で、生活雑貨は申し訳程度。はっきりいって、これは「大きなコンビニ」という感じです。
 弁当で目に付いたのが「オリジン弁当」と提携した商品。箱書きにも「オリジン弁当」と明記した弁当や総菜があるのはちょっと驚きました。しかし、駅前にはオリジンの店舗があり、そちらに比べて全体に割高ですね。かなりお高い。
 その他、全体に価格が高いと感じます。2人でちょっと買い物して軽く2000円を超えましたが同じ内容を西友でしたら、たぶん1000円安いでしょう。
 それから生活雑貨には、なんとティッシュペーパーがない。働く主婦、だったらなおさら、ちょっとついでにティッシュでも、と思うでしょうに、初めから置いてないのは驚きです。
 薬の類も全く置いてないんですよね。これは不便ですね。
 さらに、同じ浦安市内なのに、いまダイエーの新浦安店で展開中のテディベア・キャンペーン(1000円でシールを1枚もらえ、一定数、シールをためるとテディベアのぬいぐるみが手に入るという企画です)とも連動していない。これもがっかりです。2000円買ったからシールが2枚、もらえるのかと思ったのですが・・・。
 さらに。1階にオープンしたはずのパン屋さんですが、こちらの方がむしろ期待していたのですが・・・初日だからなんでしょうが、8時前なのにもう閉店している。これ、けっこう多くの人たちが呆然としていました、パン屋の玄関まで来て。
 グランドオープン後はダイエーは午前1時、パン屋さんも午後9時まで営業、のはず。プレオープンの間もダイエーは午後9時までやっているので、当然、パン屋さんも9時までやっていると思ったのですが・・・。がっかりです。
 通りすがり、高校生ぐらいの女の人が「これならOKの方がいいね」と大きな声で話しているのを聞いてしまいました。浦安市内にはOKの大規模なお店もあります。ほかにもイトーヨーカドーにマルエツに成城石井に、と千葉県内でも最も面積が狭い市域に20以上の大きなスーパーがひしめく大激戦地。当然、市民の目も厳しいです。
 なかなか前途多難じゃないのかな、と思ってしまったオープン日でした・・・。
 

2014年10月18日(土)
 いま日本橋の三越本店で、「三重展」というイベントを開催中です。三重県といえば松阪牛に伊賀牛、イセエビにアワビ、パール・・・ということでいつも人気のご当地物産展ですが、これでいつ行っても売り切れ、となりがちなのが伊勢の名物「赤福」。しかし、きのう私が午後4時ごろに行ったところ、余裕で買えました。まあ土日はこうはいかないかもしれませんが・・・。本展は20日月曜日までです。

2014年10月14日(火)
台風19号、皆様のご当地ではいかがだったでしょうか。関東地方では、当初見込みより台風のスピードが上がり、朝の通勤時間直撃、という最悪のパターンを免れてとりあえず、ラッキーでしたね。
 ということで、今日も宣伝です。辻元よしふみ、辻元玲子の翻訳本、「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が、好評発売中です!

 ナポレオン時代、というとひとつのトピックが、勲章を軍人が胸に飾り始めた時代、でもあるのです。有名なレジョン・ド・ヌール勲章も1812年、ナポレオンが共和制執政官時代に創設したものですね。以来、210年以上の歴史があるわけです。
 なんであの勲章は五角形なのか? あれも意味があるんです。それまでの勲章というのは、基本的にキリスト教的な文化でした。神様の名のもとで組織した騎士団の紋章、というのが本来の勲章というものです。だから十字型のものが多いんですね。それがやがて、神様の名と、王様の名の下で、ということになっていくのです。しかしレジョン・ド・ヌールはフランス革命の産物です。だからキリスト教の要素を排除するために、十字型ではなく、あえての五角形なのです。
よって、ナポレオンの時代にはレジョン・ド・ヌールの等級に「十字章」という名はなかったのですが、その後の王政復古で十字型でないにもかかわらず、「グランクロワ(大十字章)」などという名になって今日に至っておりますが、制定の経緯からいうと変な話なわけです。
 まあとにかく、軍人が胸に勲章を飾る、ということひとつとっても、現代的な戦争とか、軍人とか、軍服というものの原型が出来上がったのが、ちょうど200年前、日本でいうと江戸時代後期のナポレオンの時代だったわけです。
 
 この本は、フランスの軍装学Uniformologyの第一人者で、著名な歴史復元画家だったリュシアン・ルスロ氏(1990年没)が人生をかけて描いたナポレオン軍のイラストと研究成果をまとめたものです。私ども夫婦から見ると、軍装学、服飾史および歴史復元画の分野での大先輩にあたる偉大な方です。研究成果が認められ、フランス陸軍の公認画家にまでなりました。
 本書では、ナポレオン軍の制服や帽子ばかりか、装備品や刀剣、小銃、さらに馬具や砲車、当時の消防車まで掲載されており、あまり実態を知られていない当時の国家憲兵や海兵、輜重兵(しちょうへい)とか、消火任務にあたった親衛工兵といった特殊な支援兵科まで取り扱っています。ぜひご一読ください!

 詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服〜絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー
定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本
   漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年〜1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。
貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。
ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。


2014年10月09日(木)
 月食、見られましたか? 私も通りすがりの駅前でしっかり目撃しました。
 ところで、amazonでも、私ども(辻元よしふみ、辻元玲子)の新刊翻訳書「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著)を売り始めたようです。
 ナポレオン軍の軍服はことのほか華美でした。それはナポレオンの意図として、繊維、服飾産業を興そうという政治的配慮もあったと言われております。ここに掲げたのは「帝国元帥」の制服ですが、金色の刺繍を全面に施しております。もちろん当時はすべてが手縫いですから、大変な手間がかかったでしょう。200年の時を経て、華麗なるナポレオンの大陸軍が蘇ります!

 本書の詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服〜絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー 定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E

<内容>
1790年〜1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。 軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。 貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。

<本書内「監訳者の辞」辻元よしふみ、より引用>
2015年はワーテルローの決戦が行われた1815年から200年という節目の年です。まさにナポレオンの華麗なる大陸軍が改めて注目を集めることになります。
(中略)
ナポレオン軍は瞬く間に全欧州を席巻しました。その結果、ナポレオン無敵伝説は浸透し、19世紀の世界中の軍服がその影響を受けることになりました。欧州はもちろんのこと、南米諸国や、遠く離れた日本まで。明治期の日本陸軍が最も参考にしたのはフランス軍のファッションでした。時代はすでにナポレオンの甥、ナポレオン3世による第2帝政の時代でしたが(この甥の登場で、ナポレオン本人の時代は第1帝政と呼ばれるようになります)、ナポレオン伝説は日本にも鳴り響いていたのです。初期の日本陸軍の制服はフランス式で、その後、徐々にドイツ風に流行は変わりますが、肋骨式の軍服とか、正装の際に帯びる儀礼剣、肩章の付け方などにフランス軍の影響が長く残ります。日本軍のみならず、ナポレオン軍のハンガリー軽騎兵や猟騎兵が着用した肋骨軍服、ポーランド槍騎兵が着たクルトカ(ドイツでいうウーランカ)などの華やかな制服は、第1次大戦頃まで世界の軍服の標準に残りました。
そして今日でも、当時の軍服の襟にヒントを得たいわゆる「ナポレオン・ジャケット」はファッション・スタイルの一つとして各ブランドが取り入れ、繰り返し流行しています。各国軍隊の礼装や、各種のパレード服などに、肋骨服や正肩章、飾緒などの様式が色濃く残っております。有名なバッキンガム宮殿の英国近衛兵が被っている熊毛帽も、もともとナポレオンの皇帝親衛擲弾兵の帽子を模倣したものです。このように、最も華やかな制服文化が花開いたナポレオン軍の意匠が、しっかりと今に受け継がれているわけです。

<著者紹介>
リュシアン・ルスロ Lucien Rousselot (1900〜92年)
フランス陸軍公認画家(1960年任命)。リュシアン・ルスロは世界で最も重要な軍事画家の一人であり、軍装史研究を真の学術レベルに高める重要な役割を果たした。彼が生まれた当時、1871年の普仏戦争で、プロイセン軍に敗れたことによる心理的な傷跡がフランス国民に深く残っていた。しかしその少し前には、ナポレオン1世のフランス軍が全欧州を席巻し、人々を熱狂させていたのだった。彼は有名なパリ装飾美術学校で画法を学び、同時に古典的な軍事イラストの世界を探求した。ルスロの偉大な才能は慎み深くも激しく仕事に献身する姿勢にあり、最も困難な時代に厳密で実証的な、驚くべき水彩画として結実した。その成果の一端が本書である。

2014年10月08日(水)
 世間はノーベル賞一色! でしょうが、私は構わず(笑)、今日も宣伝です。辻元よしふみ、辻元玲子の翻訳本、マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が、早ければ今日あたりから店頭に並びます!

 この本は、昨年にアメリカのアンドレア・プレスAndrea Press社が出したものです。この版元は、模型好き、モデラーの方にはおなじみのアンドレア・フィギュア社の出版部門。だからそもそもは、歴史フィギュア(人物)模型製作のための参考書、というものです。
 とはいえ、内容はフランスの軍装学Uniformologyの第一人者で、著名な歴史復元画家だったリュシアン・ルスロ氏(1990年没)が人生をかけて描いたナポレオン軍のイラストと研究成果をまとめたものです。私ども夫婦から見ると、軍装学、服飾史および歴史復元画の分野での大先輩にあたる偉大な方です。
 ルスロ氏は、フランスがナチス・ドイツ軍に占領されていた第二次大戦中に、意気消沈している国民を勇気づけるためにも、大活躍した自国の英雄ナポレオンと、それに従ったフランス軍の精鋭の雄姿を再現し、世に問い始めたそうです。幸いというか、ドイツ側もヒトラー本人が大のナポレオン崇拝者だったこともあってか、お咎めもなく、戦後も研究を続けて、後にはフランス陸軍の公認画家にまでなりました。
 本書では、制服や帽子ばかりか、装備品や刀剣、小銃、さらに馬具や砲車、当時の消防車まで掲載されており、あまり実態を知られていない当時の国家憲兵や海兵、輜重兵(しちょうへい)とか、消火任務にあたった親衛工兵といった特殊な支援兵科まで取り扱っています。

 詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服
     〜絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー
定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本
   漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年〜1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。
貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。
ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。


2014年10月05日(日)
 本日も私ども(辻元よしふみ、辻元玲子)の新刊翻訳書を宣伝させていただきます! マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が、まもなく出版されます。ついに私どもの手元にも初刷りがやってきました。ハンディー判ですがなかなかのボリュームある本になりました。
 雑誌と比較すると、半分の大きさですが、中はビジュアル重視で、フルカラーの絵は非常に見やすいです。

 ところで、本書の原書は、もともと、フランスの軍装史研究家で画家のリュシアン・ルスロ氏(1992年没)が長年かけて少しずつ発表した研究成果の中から、ナポレオン軍に関するものだけを、アメリカのアンドレア・プレス社が独自に抽出し、ルスロ氏のフランス語テキストを英語訳して編集したものです。こういう経緯なので、ルスロ氏の原文がすでに、用語の統一がとれていません。また、ルスロ氏は多くの古文書を参照しており、それがまたいろいろな言語だったと思われ、その古文書の原表記に従っている点もあるでしょう。さらに、アンドレア社がフランス語を英訳した時点でも、いくつかの誤解や誤訳も含めて混乱が起きているようです。
 このため、どの時点で出てきた用語か分からないものは、あえて統一していません。たとえばマントーManteau(フランス語で外套。日本でいうマントMantleではない)、クロークCloak、大外套Great coat、ケープCapeといった用語は、本文ではそれぞれ何を指しているのか必ずしも明確ではありません。あるページでマントーと呼んでいるのと同じような服が別の箇所ではクローク、と表現されている、といった例が多々あります。また、どうもフランス語のフラクFrac(燕尾服)を英語にする際にフロックコートFrockcoatとしているらしき箇所がいくつかあり、これは明らかな誤訳と見て修正しました。しかし、それ以外は、安易に判断することを避け、英語版を基にし、用語も統一していません。



 本書の詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服 〜絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー 定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E

<内容>
1790年〜1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。 軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。 貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。

<本書内「監訳者の辞 辻元よしふみ」より引用>
 2015年はワーテルローの決戦が行われた1815年から200年という節目の年です。まさにナポレオンの華麗なる大陸軍が改めて注目を集めることになります。
(中略)
 ナポレオン軍は瞬く間に全欧州を席巻しました。その結果、ナポレオン無敵伝説は浸透し、19世紀の世界中の軍服がその影響を受けることになりました。欧州はもちろんのこと、南米諸国や、遠く離れた日本まで。明治期の日本陸軍が最も参考にしたのはフランス軍のファッションでした。時代はすでにナポレオンの甥、ナポレオン3世による第2帝政の時代でしたが(この甥の登場で、ナポレオン本人の時代は第1帝政と呼ばれるようになります)、ナポレオン伝説は日本にも鳴り響いていたのです。初期の日本陸軍の制服はフランス式で、その後、徐々にドイツ風に流行は変わりますが、肋骨式の軍服とか、正装の際に帯びる儀礼剣、肩章の付け方などにフランス軍の影響が長く残ります。日本軍のみならず、ナポレオン軍のハンガリー軽騎兵や猟騎兵が着用した肋骨軍服、ポーランド槍騎兵が着たクルトカ(ドイツでいうウーランカ)などの華やかな制服は、第1次大戦頃まで世界の軍服の標準に残りました。
 そして今日でも、当時の軍服の襟にヒントを得たいわゆる「ナポレオン・ジャケット」はファッション・スタイルの一つとして各ブランドが取り入れ、繰り返し流行しています。各国軍隊の礼装や、各種のパレード服などに、肋骨服や正肩章、飾緒などの様式が色濃く残っております。有名なバッキンガム宮殿の英国近衛兵が被っている熊毛帽も、もともとナポレオンの皇帝親衛擲弾兵の帽子を模倣したものです。このように、最も華やかな制服文化が花開いたナポレオン軍の意匠が、しっかりと今に受け継がれているわけです。


<著者紹介>
リュシアン・ルスロ Lucien Rousselot (1900〜92年)
フランス陸軍公認画家(1960年任命)。リュシアン・ルスロは世界で最も重要な軍事画家の一人であり、軍装史研究を真の学術レベルに高める重要な役割を果たした。彼が生まれた当時、1871年の普仏戦争で、プロイセン軍に敗れたことによる心理的な傷跡がフランス国民に深く残っていた。しかしその少し前には、ナポレオン1世のフランス軍が全欧州を席巻し、人々を熱狂させていたのだった。彼は有名なパリ装飾美術学校で画法を学び、同時に古典的な軍事イラストの世界を探求した。ルスロの偉大な才能は慎み深くも激しく仕事に献身する姿勢にあり、最も困難な時代に厳密で実証的な、驚くべき水彩画として結実した。その成果の一端が本書である。

2014年10月02日(木)
 10月に入りまして、いよいよ年末が視野に入ってきました。ところで、今日はまたひとつ我が家の新顔のぬいぐるみを紹介・・・。
 ドイツのブランドNICI(ニキ)http://www.nici.jp/の「双頭ドラゴン」さんです。
 ニキ社は1986年に創業で、名だたるぬいぐるみの老舗が名を連ねるドイツにあっては新興勢力ですが、かわいい、というか日本人の目から見ると漫画っぽい、といっていいデザイン性と企画力、品質で大人気を呼び、今や欧州では著名なブランドです。私どもは、もう6、7年ほど前になりますが晴海トリトンスクエアにて、初めてこのブランドの商品に接してファンになりました。
 しかし日本では、どこでもかしこでも手に入る、という感じではありませんが、それがまたいいのですね。
 しかもこの「双頭ドラゴン」さんは、2012年の特別企画ものでした。非常に珍しいですね、頭が二つあるドラゴン、というのは。これがなぜか、舞浜イクスピアリのレインフォレスト・カフェの売店にひとつだけあったので、購入しました。いうまでもなく最後の一個。お店の人に聞くと、たぶんこれが日本国内でも最後の一個でしょう、今後、入荷することはまずないかと思います、とのお答えでした。
 なんというか、そこはかとなく人柄(?)の優しさがにじみ出ているドラゴンさん。我が家のプリンターの上に鎮座しております。

2014年9月30日(火)
 本日も私ども(辻元よしふみ、辻元玲子)の新刊翻訳書を宣伝させていただきます! マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が10月上旬、まもなく出版されます。

本書で苦労したのは、もともとのリュシアン・ルスロさんの原文はフランス語で、それをアンドレア・プレス社が英語に翻訳したものをもとに、日本語版を製作したのです・・・が、そのフランス語から英語にする段階でいろいろ、混乱や誤訳らしきものもあって、それを判断しながら作業していく、というのが非常に困難でした。
 単に英語やフランス語に堪能なだけではダメで、19世紀当時のフランス軍特有の階級や制度、部隊編成などに理解がないと翻訳できない、というかなり難事業でした。
 たとえばですが、Major generalという英語は、普通は「少将」の意味ですよね? でもフランス軍ではこれは「参謀長」の意味になります。こんなような、フランス軍独特の言い回しがたくさんあり、しかもなまじっか、英語とフランス語は似ているために、今のメジャー・ジェネラルの例のように、一見して似たような語彙が多いがゆえに、じつは意味が異なっている場合、どんどん混乱してしまう・・・まことにフランス軍は難物です。
 しかも、今のフランス軍とナポレオン時代、それにそれ以前の王政時代でも、階級や制度がかなり異なるのです・・・。このへんは本当にややこしくて、フランス人でも分からない人が多いのじゃないでしょうか。


 本書の詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服
     〜絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー 定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本。漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年〜1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。 軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。 貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。

<本書内「監訳者の辞」より引用>
2015年はワーテルローの決戦が行われた1815年から200年という節目の年です。まさにナポレオンの華麗なる大陸軍が改めて注目を集めることになります。
(中略)
ナポレオン軍は瞬く間に全欧州を席巻しました。その結果、ナポレオン無敵伝説は浸透し、19世紀の世界中の軍服がその影響を受けることになりました。欧州はもちろんのこと、南米諸国や、遠く離れた日本まで。明治期の日本陸軍が最も参考にしたのはフランス軍のファッションでした。時代はすでにナポレオンの甥、ナポレオン3世による第2帝政の時代でしたが(この甥の登場で、ナポレオン本人の時代は第1帝政と呼ばれるようになります)、ナポレオン伝説は日本にも鳴り響いていたのです。初期の日本陸軍の制服はフランス式で、その後、徐々にドイツ風に流行は変わりますが、肋骨式の軍服とか、正装の際に帯びる儀礼剣、肩章の付け方などにフランス軍の影響が長く残ります。日本軍のみならず、ナポレオン軍のハンガリー軽騎兵や猟騎兵が着用した肋骨軍服、ポーランド槍騎兵が着たクルトカ(ドイツでいうウーランカ)などの華やかな制服は、第1次大戦頃まで世界の軍服の標準に残りました。
そして今日でも、当時の軍服の襟にヒントを得たいわゆる「ナポレオン・ジャケット」はファッション・スタイルの一つとして各ブランドが取り入れ、繰り返し流行しています。各国軍隊の礼装や、各種のパレード服などに、肋骨服や正肩章、飾緒などの様式が色濃く残っております。有名なバッキンガム宮殿の英国近衛兵が被っている熊毛帽も、もともとナポレオンの皇帝親衛擲弾兵の帽子を模倣したものです。このように、最も華やかな制服文化が花開いたナポレオン軍の意匠が、しっかりと今に受け継がれているわけです。


<著者紹介>
リュシアン・ルスロ Lucien Rousselot (1900〜92年)
フランス陸軍公認画家(1960年任命)。リュシアン・ルスロは世界で最も重要な軍事画家の一人であり、軍装史研究を真の学術レベルに高める重要な役割を果たした。彼が生まれた当時、1871年の普仏戦争で、プロイセン軍に敗れたことによる心理的な傷跡がフランス国民に深く残っていた。しかしその少し前には、ナポレオン1世のフランス軍が全欧州を席巻し、人々を熱狂させていたのだった。彼は有名なパリ装飾美術学校で画法を学び、同時に古典的な軍事イラストの世界を探求した。ルスロの偉大な才能は慎み深くも激しく仕事に献身する姿勢にあり、最も困難な時代に厳密で実証的な、驚くべき水彩画として結実した。その成果の一端が本書である。

2014年9月26日(金)
 「猿の惑星 新世紀(ライジング)」DAWN OF THE PLANET OF THE APESを見ました。前作の「猿の惑星 創世記」は2011年秋に公開されましたので、ちょうど3年たったわけですが、その間にまたVFX技術が進んだようです。今回も前回に続き、俳優の表情や動作などの演技をコンピューターに取り込むモーション・キャプチャーで猿のリーダー、シーザーを演じるのは「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」シリーズのアンディ・サーキスですが、今やモーション・キャプチャーはブルー・スクリーンで一人で演じるのではなく、屋外ロケでもそのまま使用できるようになったそうです。すなわち、山や森のロケ地などで、人間役の俳優さんと、サル役の俳優さんが向き合って、自然なやりとりをし、お芝居ができる・・・これはすごいですね。今まではどうしても、実際には目の前にいないものを相手に、いるようなフリをして演技することに難点があったのですが、これからは事実上、どんな姿かたちのキャラクターでも、全く自然に演出できるわけで、またまた、ひとつの映像技術の最先端、という作品になったようです。
 ◆  ◆  ◆
 前作では、製薬会社の技術者ウィル(ジェームズ・フランコ)に育てられ、痴呆症の特効薬の試験薬を投与された母親から受け継いだ驚異的な知能を開花させたシーザー(サーキス)。しかしこの特効薬は、サルに対しては知能を高める作用をもたらす一方、人類にとっては致命的な殺人ウイルスとなってしまった、というのが前作の結末でした。
 こうして、シーザーと彼の率いる知能の高いサルたちが、サンフランシスコの金門橋で人類と戦い、森の中に逃れて10年。その間に人類はほとんどが、彼らの言う「猿ウイルス」で死に絶えてしまいました。シーザーは妻のコーネリア(ジュディ・グリア)と息子のブルーアイズ(ニック・サーストン)に囲まれ、前作からシーザーを支えている仲間のコバ(トビー・ケベル)やモーリス(カリン・コノヴァル)たちと平和な猿人(エイプ)の楽園を築いていました。その合言葉は「エイプはエイプを殺さない」でした。人間は互いに殺し合い、滅びてしまった。だから殺し合いをしないエイプは人類より賢く優れている・・・それがシーザーの確信だったのです。
 しかし突然、少なくともここ2年は姿を見かけなくなった人間たちの一団が、サルの国にやってきたのです。サルを嫌悪しているカーヴァー(カーク・アセヴェド)という男がおびえて発砲し、一触即発の危機に。しかしシーザーの「帰れ!」という一喝に、リーダーのマルコム(ジェイソン・クラーク)たちは驚愕し、立ち去ります。
 サンフランシスコの一角、ゾーン9と呼ばれる隔離地域に、人間たちは細々と生き残っていました。猿ウイルスに免疫のある人だけが、辛くも生存していたのです。人類のリーダー、ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)は、戻ってきたマルコムの話を聞いて驚きます。彼らはせっかく再建しかけたコミュニティーを維持できず、あと数日で燃料が枯渇し、電気が使えなくなろうとしていました。最後の頼みの綱は、山中にあるダムの発電所を復旧することでしたが、その山は知能のあるサルたちに支配されて、立ち入ることができない、というわけだからです。
 一方、サルの間でも議論は紛糾しており、人類に憎悪を抱くコバは、シーザーに対して、先制攻撃を主張します。この際、人類が弱いうちに、彼等の街を滅ぼしてしまおう、というのです。しかしシーザーは強硬策を採用せず、威嚇だけすることにします。武装し乗馬したサルの軍団が金門橋を越えてゾーン9に入り、ドレイファスたちに示威行為をします。シーザーは「戦争は望まない。サルはサル、人は人。二度と来るな!」と警告して去ります。
 しかし、なんとしてもダムを復旧しなければならないマルコムは、もう一度、サルの国に立ち戻ることにします。シーザーに事情を説明し、作業させてもらおうというのですが、ドレイファスは懐疑的で、州軍の武器庫に残っている武器弾薬を持ち出し、戦争の準備を始めます。
 最初はかたくなだったシーザーも、徐々にマルコムの真摯な人柄に心を開き、サルたちも協力して電力を復旧しよう、という話になりますが、カーヴァーのようなサルを嫌悪する人間、そしてコバのように人間を憎悪するサルが次々にトラブルを起こします。人類との戦争を望むコバはついに「シーザーはサルよりも人間が好きなんだ!」と言い放ち、公然と反旗を翻します。シーザーはリーダーとして、力づくでコバを抑えつけましたが、コバの内側に芽生えた暗い怨念と野心には気付きませんでした。
 コバたちはシーザーに無断でゾーン9に入り、人間たちの銃を奪います。ついに人間たちの力の象徴である武器を手に入れたコバの暴走が始まります。平和的共存を望むシーザーやマルコムたちは、これとどう対処していくのでしょうか・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、今回のテーマはなんなのか、というと明らかに「戦争」です。戦争というものが一部の者の根強い憎悪と偏見から生まれ、どのように平和を望む勢力が努力しても、防ぐことができないのではないか、という暗い認識を感じるわけです。今やもっとも今日的なテーマなのではないかと思われます。そして、「2001年宇宙の旅」で、猿人が武器で仲間を殺すことを覚えた瞬間から人類に進化したのだ、というシーンがありましたが、まさにそのまま、今作でも銃を手にしてしまったサルたちが「サルはサルを殺さない」という掟を破るようになる、という描き方は、人類というものの本質をあぶりだしているようです。それは本当に「進化」なのだろうかと、見る人に疑問を投げかける一作です。
 存在かを見せつけるアンディ・サーキス、ゲイリー・オールドマンの2人のほかは、ビッグネームというような俳優は出ていませんが、今回、目立ったのはコバ役のトビー・ケベル。今までも「魔法使いの弟子」「タイタンの逆襲」「プリンス・オブ・ペルシャ」などで結構、癖のある脇役をこなしてきましたが、これが大きく彼のキャリアに弾みをつけそうな熱演ぶりです。もちろんサルのモーション・キャプチャーなのでどんな容姿なのか分からなくなっているのですが、逆に演技力が丸出しになるわけですので、彼のうまさに注目が集まるのではないでしょうか。コーネリア役のジュディ・グリアもいろいろな役を演じてきた女優さんですが、最近では「キャリー」で先生役をやっていました。その他、サル側が中心になるお話なので、総じて人間側は影が薄いのですがこれは致し方ありません。
 面白いのはカメを出演者です。冒頭の人類が滅びていく記録映像でオバマ大統領が「出演」しており、「ウイルスの封じ込めに我々は失敗しました」と声明を出すシーンがありますが、あの音声は実際に大統領にやってもらったのでしょうか? それから、公式には出ていないはずのジェームズ・フランコも非常に大事なシーンで出てきます。前作のフランコや、その恋人のフリーダ・ピントーが演じたキャラクターは、恐らく猿ウイルスの蔓延の中でいち早く命を落としたのでしょうね・・・。実際にエボラ熱とかデング熱とか、恐ろしい感染症が流行する今、「ヒトの世紀が終わろうとしている」というキャッチコピーが絵空事ではなく、非常に重いものに感じられる一本でした。
 
 
 

2014年9月25日(木)
 MENS CLUBの11月号を見ていて、あッ、と思いました。ゴルフファッションを紹介するページにて「ヘッドカバー14選」ということで、シカの頭の形をしたゴルフクラブのヘッドカバーを取り上げていたのです。なんと、これはつい最近、私も手に入れていたのですよね。もちろんこの雑誌を見る前に、です。私の近所では日本橋高島屋のゴルフ売場にあるCHERVOの店頭で、私と妻とで見ていて「う、かわいい・・・」ということで、その日は買わなかったのですが、翌日に考え直して購入しました。
 本当に、最近のゴルフ用品は面白いですね。ゴルフをあまり最近ではやらない私も、ゴルフ用品売り場には結構、行くのです。
 そういえば。LEOMの11月号にあった「楽力向上委員会」というコラムの一節が気に入りましたです。
 「群れる、とは自身の自由行動を差し出すことだ。誰かが作ったルールに倣って、横並びの一体感と受動的快楽に満足することだ。だから、ルールを突き付けられた群衆は、黙ってそれに従うか、居場所を求めて彷徨うしか選択肢はない(中略)自分の意思で自由に生きるオヤジは、だから群れない。群衆の中に埋もれようと欲しない。自己実現のために群れから外れ、新しい場を作ることに努力する」
 おそらく、群れの中に生きたがるのが凡人、群れから外れ彷徨うのが変人、自分は群れの外にいて、群れたがる人々を統率するのが独裁者、なのでしょう。
 私は昔から、4人以上で歩くのが嫌いです。自分でもしないし、他人の群れも4人以上集まっているものは嫌悪します。なんとはなしの同調圧力が我慢できないのです。だからパーティーや会合も好きではありません。しかし一方、隊伍を組んだ軍隊のパレードは「群れ」ではありません。あれは100人いても1000人いても、事実上、一人なのです。指揮官を頭脳とした一人格なのですね。
 私は本当に「群れ」というのが嫌いです。病的に嫌いです。おそらく私は、危険人物なのでしょう。

2014年9月24日(水)
 辻元玲子が加盟している日本理科美術協会http://www.rikabi.jp/に、このほどプラモデルのボックスアートで著名な大西將美画伯が参加されました。それで、その大西先生が中心となった、「各種飛行機による飛行機展」という展覧会が、銀座並木通り沿いのギャラリーミハラヤ(中央区銀座1−4−6、紅雀ビル1F)で開催中です。9月27日土曜日まで。正午〜午後6時半まで(最終日は午後4時まで)。銀座にお寄りの折はぜひ、お立ち寄りください。

2014年9月23日(火)
 今日も宣伝です。辻元よしふみ、辻元玲子の翻訳本、マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が10月上旬に出版されます。

 この本は、昨年にアメリカのアンドレア・プレスAndrea Press社が出したものです。この版元は、模型好き、モデラーの方にはおなじみのアンドレア・フィギュア社の出版部門。だからそもそもは、歴史フィギュア(人物)模型製作のための参考書、というものです。
 とはいえ、内容はフランスの軍装学Uniformologyの第一人者で、著名な歴史復元画家だったリュシアン・ルスロ氏(1990年没)が人生をかけて描いたナポレオン軍のイラストと研究成果をまとめたものです。私ども夫婦から見ると、軍装学、服飾史および歴史復元画の分野での大先輩にあたる偉大な方です。
 ルスロ氏は、フランスがナチス・ドイツ軍に占領されていた第二次大戦中に、意気消沈している国民を勇気づけるためにも、大活躍した自国の英雄ナポレオンと、それに従ったフランス軍の精鋭の雄姿を再現し、世に問い始めたそうです。幸いというか、ドイツ側もヒトラー本人が大のナポレオン崇拝者だったこともあってか、お咎めもなく、戦後も研究を続けて、後にはフランス陸軍の公認画家にまでなりました。
 本書では、制服や帽子ばかりか、装備品や刀剣、小銃、さらに馬具や砲車、当時の消防車まで掲載されており、あまり実態を知られていない当時の国家憲兵や海兵、輜重兵(しちょうへい)とか、消火任務にあたった親衛工兵といった特殊な支援兵科まで取り扱っています。

 詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服
     〜絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー
定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本
   漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年〜1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。
貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。
ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。


2014年9月20日(土)
 20日に封切りしたばかりの「NY心霊捜査官」DELIVER US FROM EVILなる映画を見てきました。原題は「我らを悪から遠ざけたまえ」というところでしょうか。製作はあの「パイレーツ・オブ・カリビアン」などで知られる超大物ジェリー・ブラッカイマー。公開時にはアメリカでかなり話題になったそうです。というわけで、さぞかし鳴り物入りで大興行を打つのか、と思ったら、このあたりではららぽーと豊洲か市川コルトンプラザまで行かないと見られない。それで、わざわざ豊洲まで見に行ったわけですが、一応この作品は18禁扱い。エロい作品でないのに18禁というのは、高校生でも見られないわけですよね。そりゃまたどんなに怖いホラーなんだろう、と思ったわけです。
 これは、実在する元ニューヨーク市警捜査官ラルフ・サーキ氏の実録に基づく映画、なのですが脚本的にはオリジナルで、登場人物も実在しません。ただ、サーキ氏が捜査中に体験した摩訶不思議な出来事を盛り込んでおり、ひとつひとつのディテールは実体験、なのだそうです。
 ◆  ◆  ◆
 お話は2010年、イラク戦線で戦う米海兵隊員から始まります。戦闘中に3人の兵士が、古い洞窟の中に迷い込みます。そこにはおどろおどろしい人骨と謎めいたラテン語の呪文らしきものが書かれた壁があり、3人は正気を失っていきます・・・。
 そして2013年、サーキ巡査部長(エリック・バナ)は相棒のバトラー捜査官(ジョエル・マクヘイル)とパトロール中、動物園でジェーンという女性が錯乱し、自分の子どもをライオンの檻に放り投げて殺そうとした殺人未遂現場に遭遇。70年代のロックバンド「ドアーズ」の歌詞を口走り、常軌を逸している様のジェーンに驚くサーキですが、その場に見るからに怪しい塗装工(ショーン・ハリス)の姿を見かけ、不審に思います。なぜか隔離されているはずのライオンも現れ、サーキは食い殺される寸前、すんでのところで助かります。次いで、妻に対する暴行の現行犯で逮捕した男トラトナー(クリス・コイ)の狂態に直面し、さらに通報を受けて駆けつけた民家の地下室では腐敗した塗装工グリッグスの遺体を発見します。グリッグスとトラトナーは、イラク帰りの元海兵隊員で、驚いたことにジェーンはグリッグスの妻だと分かります。姿をくらましているもう一人の塗装工サンティーノ(ショーン・ハリス)も、やはり元海兵隊員でした。サーキは一連の不審な事件の黒幕がサンティーノだと断定し捜査を続けますが、徐々にこれが通常の事件ではなく、超常的な要素の問題であることに気づいていきます。捜査の過程で知り合ったメンドーサ神父(エドガー・ラミレス)にその事実を諭されますが、サーキはなかなかそれを受け入れることが出来ません。
 一方、サンティーノの黒い影はサーキの愛妻ジェン(オリヴィア・マン)や一人娘にまで及んできます。また、サーキ自身にも人には言えない暗い秘密が過去にあり、誰にも打ち明けられずに悩んできましたが、悪霊はどうもこのサーキの弱みにつけ込もうとしてくるようです。そしてついに、メンドーサとサーキは悪霊との対決に挑むことになりますが・・・。
 ◆  ◆  ◆
 というような流れで、さすがに実録に基づいている描写はリアルで、大変に迫力がありますが・・・しかしなんですね、激辛ですよ、といわれて食べてみたら、案外に普通だったという感じも否めません。ディスカバリー・チャンネルでやっている実録もの人気番組「怪奇現象の研究」の拡大スペシャル、という感じで、ああいうものを見慣れている人には、おなじみの感じかもしれません。そもそも欧米の悪霊は、キリスト教文化に基づく「悪魔」というスタイルで登場するパターンが多いので、日本の叙情的で湿っぽいホラーが好きな人は違和感を覚えるかも、とも感じますね。全体としては、おどろおどろしいホラー、というよりも犯罪捜査もの、刑事もの作品という側面が強いです、特に前半は。
 ところで、実在のラルフ・サーキ氏は、その「怪奇現象の研究」でもおなじみの著名な心霊研究家ウォーレン夫妻の指導を受けて、今では警察を辞めて、心霊現象に悩んでいる人たちのための活動をしているそうです。そういう意味で、やはりあの番組の豪華予算をかけた長尺特番、という印象です。
 出演者は、何しろ悪霊に憑依されている役をやる人たちが多いわけで、それはもう大変だったと思います。主演は「トロイ」で人気者になり「ミュンヘン」で有名になった後、「ブーリン家の姉妹」とか「スター・トレック」以来、ちょっとここ数年、ご無沙汰気味だったエリック・バナ。奥さん役のオリヴィア・マンはどこかで見た顔、と思うと「マジック・マイク」で主人公の長年腐れ縁の恋人である医学生の役をやっていた人ですね。その他、ブラッカイマー作品だけに、超有名人はいないながら、地味でも実力のある役者さんが脇を固めており、神父役のラミレスは「タイタンの逆襲」の軍神アレス役などが記憶にあります。悪霊に取り憑かれる元兵士の塗装工サンティーノ役のハリスは「プロメテウス」でも個性的な、ちょっといかれた技術者ファイフィールドを熱演していた人(あの作品ではエイリアンに寄生されてしまう役柄でした)ですが、今回もこの人の演技力が光っています。主人公の相棒バトラーを演じたマクヘイルは、ヒット作「テッド」に出ていましたね。
 とにかく、割とひっそり公開中ですので、ご興味のある方はお早めに・・・。
 
 

2014年9月16日(火)
 本日は私ども(辻元よしふみ、辻元玲子)の新刊本をご紹介! 今回は翻訳本です。マール社http://www.maar.com/さんから「華麗なるナポレオン軍の軍服」(リュシアン・ルスロ著。辻元よしふみ、辻元玲子 監修翻訳)が出版されます。
 詳細は以下の通りです。

タイトル:華麗なるナポレオン軍の軍服
     〜絵で見る上衣・軍帽・馬具・配色
原書タイトル:Napoleon's Army 1790-1815
著者:リュシアン・ルスロ(Lucien Rousselot)
監修翻訳:辻元よしふみ、辻元玲子
体裁:A5ヨコ判/並製/224頁オールカラー
定価:本体2450円(税別)
ISBNコード:ISBN978-4-8373-0743-3 C3071 2450E
分類:一般/ビジュアルで伝える知識の本
   漫画家必携書/マンガやアニメを描く際に役立つこんな本もあります!

<内容>
1790年〜1815年に、全欧州を席巻したナポレオン軍。
本書は、フランス陸軍公認画家であったルスロによる、ナポレオン軍の軍服研究の集大成とも言える図版集です。
軍服・軍帽・銃や小物入れ・装備・馬具などの、細密で色鮮やかなカラー図版が現代に蘇ります。
貴重な歴史資料としてはもちろん、ファッション・デザインの基礎知識として、また、マンガやイラストなどの創作時の参考にもぜひお役立て下さい。
凛々しい軍人たちの立ち姿、颯爽と軍馬にまたがる姿は、作画時の参考にもおすすめ。
ナポレオン、軍服、フランス好きの方へのギフトにも最適な、眺めるだけでも価値のある一冊です。

<本書内「監訳者の辞」より引用>
2015年はワーテルローの決戦が行われた1815年から200年という節目の年です。まさにナポレオンの華麗なる大陸軍が改めて注目を集めることになります。
(中略)
ナポレオン軍は瞬く間に全欧州を席巻しました。その結果、ナポレオン無敵伝説は浸透し、19世紀の世界中の軍服がその影響を受けることになりました。欧州はもちろんのこと、南米諸国や、遠く離れた日本まで。明治期の日本陸軍が最も参考にしたのはフランス軍のファッションでした。時代はすでにナポレオンの甥、ナポレオン3世による第2帝政の時代でしたが(この甥の登場で、ナポレオン本人の時代は第1帝政と呼ばれるようになります)、ナポレオン伝説は日本にも鳴り響いていたのです。初期の日本陸軍の制服はフランス式で、その後、徐々にドイツ風に流行は変わりますが、肋骨式の軍服とか、正装の際に帯びる儀礼剣、肩章の付け方などにフランス軍の影響が長く残ります。日本軍のみならず、ナポレオン軍のハンガリー軽騎兵や猟騎兵が着用した肋骨軍服、ポーランド槍騎兵が着たクルトカ(ドイツでいうウーランカ)などの華やかな制服は、第1次大戦頃まで世界の軍服の標準に残りました。
そして今日でも、当時の軍服の襟にヒントを得たいわゆる「ナポレオン・ジャケット」はファッション・スタイルの一つとして各ブランドが取り入れ、繰り返し流行しています。各国軍隊の礼装や、各種のパレード服などに、肋骨服や正肩章、飾緒などの様式が色濃く残っております。有名なバッキンガム宮殿の英国近衛兵が被っている熊毛帽も、もともとナポレオンの皇帝親衛擲弾兵の帽子を模倣したものです。このように、最も華やかな制服文化が花開いたナポレオン軍の意匠が、しっかりと今に受け継がれているわけです。


<収録内容>
◆正規軍
歩兵…軽歩兵(猟兵、カラビニエール、選抜兵)/戦列歩兵(フュージリア、擲弾兵、選抜兵)
騎兵…ハンガリー軽騎兵/軽槍騎兵/竜騎兵/戦列猟騎兵/胸甲騎兵/カラビニエール
砲兵…徒歩砲兵/騎馬砲兵/牽引砲兵
支援部隊…国家憲兵/輜重牽引兵

◆皇帝親衛隊
親衛歩兵…親衛擲弾歩兵/親衛猟歩兵/親衛フュージリア(猟兵、擲弾兵)
親衛騎兵…親衛ポーランド槍騎兵/親衛猟騎兵/親衛竜騎兵/親衛擲弾騎兵
親衛砲兵…親衛徒歩砲兵/親衛騎馬砲兵/親衛牽引砲兵
     親衛海兵/親衛工兵/親衛精鋭憲兵


<著者紹介>
リュシアン・ルスロ Lucien Rousselot (1900〜92年)
フランス陸軍公認画家(1960年任命)。リュシアン・ルスロは世界で最も重要な軍事画家の一人であり、軍装史研究を真の学術レベルに高める重要な役割を果たした。彼が生まれた当時、1871年の普仏戦争で、プロイセン軍に敗れたことによる心理的な傷跡がフランス国民に深く残っていた。しかしその少し前には、ナポレオン1世のフランス軍が全欧州を席巻し、人々を熱狂させていたのだった。彼は有名なパリ装飾美術学校で画法を学び、同時に古典的な軍事イラストの世界を探求した。ルスロの偉大な才能は慎み深くも激しく仕事に献身する姿勢にあり、最も困難な時代に厳密で実証的な、驚くべき水彩画として結実した。その成果の一端が本書である。

2014年9月15日(月)
 今日は、先日訪れた舞浜イクスピアリの新店舗「ビーイング」で手に入れた面白いTシャツをご紹介。この独特の青色と、胸のロゴ文字はだれがどう見ても「ドラえもん」のはずですが・・・あれれ、よく見てください。実は「ビームス」と書いてあるのです。よく考えますね。これは今、公開中の3Dドラえもん映画とのコラボ企画。もうすぐジャイアンの黄色いシャツをモチーフにしたものも発売するそうです。
 ビーイングは、ビームスの新しいレーベルで、親から子。さらに孫まで3世代が楽しめるセレクトショップ、がコンセプトなのだとか。若いころにビームスに通ったけど、その後、あんまりおしゃれじゃなくなってしまったお父さんお母さん、さらにそのうえの、若い時分にはみゆき族でした、というようなお祖父ちゃん世代まで、セレクトショップに戻ってきてほしい、という狙いがあるそうですが、それは面白い発想。このTシャツもその一環で、確かに3世代で笑えそうなアイテムです。

2014年9月11日(木)
 今日は当ブログでは珍しくグルメ情報をば・・・。2012年に日本上陸して、「ハワイで一番おいしい朝食を出すお店」として有名な「カフェカイラ」http://www.cafe-kaila.tokyo/。ホノルルの本店は2時間待ち、3時間待ち当たり前(それだけ待ったら朝食のはずが昼食になってしまうのでは?)の超人気店となっており、表参道ヒルズ近くにできた日本1号店も行列の絶えないお店、だとか。
 そんな人気店が、浦安市の舞浜イクスピアリに日本2号店をオープンさせたのが、ちょうど1か月前の8月10日。何しろ最初から行列が出来ちゃってとても入れない感じでした。それで先日ですが、物は試しで行ってみたのですが、案の定、誘導係の方が言うには「今日もお昼は3時間待ちでして・・・。でも、今は3組ほどの待ちですので、ご案内できると思います、保証はできないのですが」とのこと。それで、ここはダメもとで行ってみよう、とお店に入りますと、なんと幸運なことに、ものの5分もしないうちに入店できてしまいました。本当にラッキーでした。
 入ってみて、実にいい感じのお店ですね。料理も噂にたがわないボリュームと美味しさです。私たちは評判のオムレツと、フルーツどっさりのパンケーキを頼んでみましたが、まあちゃんと完食しましたけれど、かなりの分量です。しかし、しつこいものではないので、全然、胃にもたれたりしません。なるほど、これは人気店になるわけです。
 なにがなし、スタッフの皆さんはかなりお疲れのようにも・・・。人気のあるお店、というのも嬉しいけれど厳しいものなんでしょうね。
 カフェカイラができた場所は、イクスピアリの入り口近く、かつて子どものための託児施設やカレーショップがあったところの2階です。また1階には、あのセレクトショップBEAMSの系列店がやってきました(9月10日オープン)。こちらもなかなか雰囲気が良いようでした。
 いつもこんなにうまく入店できるとは限りませんが、またぜひ行ってみたいですね。

2014年9月10日(水)
9月8日発売「日刊ゲンダイ」のp13(カラー)下に私、辻元よしふみのコメントが掲載されました。安倍首相と石破大臣のファッション・チケックの内容です。「ストライプのこだわりを捨てた安倍/バブル期引きずる石破」という見出しで、ちょっと石破大臣には辛い内容になってしまったかもしれません。

2014年9月04日(木)
 リュック・ベッソン監督、スカーレット・ヨハンソン主演の新作「ルーシー」LUCYを見てきました。ルーシーというのはヒロインの名前ですが、また人類の祖先である一人の女性(の原人)の名前でもあります。ちなみに、その人類の祖とされる女性原人の名がルーシーであるのは、ビートルズの曲名「ルーシー・インザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド」からとられた、というのは割とよく知られた話ですよね。
 リュック・ベッソン監督は、ナタリー・ポートマンとかミラ・ジョヴォビッチを発掘したことで知られる名匠です。女優さんを見る目があって、魅力的に撮るんですね。また、戦うヒロインを描くのがうまい。「ニキータ」とか「フィフス・エレメント」、「ジャンヌ・ダルク」などですね。今回もそういう流れの作品ではあります。今作の起用はすでに有名女優であるスカーレット・ヨハンソンで、それに戦う強いヒロインという役柄も「アベンジャーズ」シリーズなどで経験済みですが、それとは違う、新たな魅力を引き出しています。今作は、初めは全く平凡で取り柄のない女の子、というような設定なんですが、本当にそう見えるのです。それが、あることをきっかけに普通の女の子ではなくなってしまうのですが・・・そのへんの描き方が見事です。
 何に似ているかといえば、前半はアクション、ヴァイオレンス路線で、やはり「フィフス・エレメント」とか、ミラ・ジョヴォビッチが以前に主演したスーパーヒロインの活躍を描く「ウルトラ・ヴァイオレット」なんかに似ているんです。しかし、後半になるとですね・・・あの「2001年宇宙の旅」に雰囲気が似てきます。それから少し前にジョニー・デップ主演で公開された「トランセンデス」にも似てきますね。つまり、すごく哲学的な深淵で崇高といってもいい話になってきます。このへんは、さすがにフランス人監督、娯楽的な作品であっても、やはりハリウッド王道の路線と少し異なりますね。
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 台湾の台北に住んでいる平凡な女性ルーシー(ヨハンソン)。彼女は1週間前に知り合ったばかりの軽薄な男リチャード(ピルウ・アスベック)に、高級ホテルの前に呼び出されます。そして何かが入ったジュラルミンのカバンを持ってホテルのフロントに行き、チャン氏に渡してくれ、と頼まれます。胡散臭いものを感じたルーシーは断ろうとしますが、強引に頼まれてしまいます。言われたようにすると、黒ずくめのアジア系のマフィアたちが現れて、リチャードは射殺され、ルーシーは韓国人マフィアのボス、チャン(チェ・ミンシク)の前に引き立てられます。カバンの中身は得体のしれない青い薬品で、ルーシーは無理やり、ビニールに入ったその薬を下腹部に埋め込まれてしまい、海外への運び屋になるよう強要されます。ほかにも数人の男が運び屋にされるようでした。
 しかし、ルーシーは移送の途中で、組織の下っ端の中国人チンピラに強姦されそうになり抵抗、下腹部を激しく蹴られてしまいます。袋が破れて青い薬はルーシーの体内で急速に変化を始めます。この薬とは、人類の脳を覚醒させ、通常なら10%しか使われていない脳細胞を、最終的には100%にまで高めて超人化させてしまう代物なのでした。目覚めたルーシーは平凡な女の子から、すべてを支配できる神のごとき恐るべき能力を開花させていきます。彼女は組織の監視から脱出すると、自分以外の運び屋とされた3人の男を止めるべく、フランスの警察官ピエール(アムール・ワケド)に連絡を取り協力させます。また自分自身もパリに行き、脳科学の権威ノーマン博士(モーガン・フリーマン)に会おうとします。チャンの組織は執拗に彼女の後を追いますが、ルーシーは自分自身があと24時間もすれば「死ぬ」・・・いや、いわゆる死ぬのではなく、今の自分としては存在できなくなってしまうことを悟っていました。すでに彼女の能力は暴走を始めており、ルーシーは超人に近づいていくほどに、徐々に本来の人間性や感情が希薄になっていくことを止められなくなっていました・・・。
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 ということで、能力に開花したスーパーヒロインのルーシーが、マフィアたちを相手に恐るべき戦闘能力を発揮する、みたいなありがちな、分かりやすい展開は中盤まで、なんです。あっという間に彼女は人知を超えた高みに上って行ってしまうのですが、そのへんから後はもう、本当に人類とは何者か、生命とは・・・そんな超越的な、哲学的な、あるいはスピリチュアル的と言ってもよいお話に変貌していくあたりが本作の特徴。そこをどう見るかで評価も変わりそうですが、私はこの後半のどこか物悲しさ、考えさせられるテーマ性に引きつけられました。1時間半ほどの短編といってよいコンパクトな作品で、扱うのもほんの2日間ほどの出来事。出てくる主要キャストもそんなに多くありません。なのに、壮大といってもいいスケールの話になってくるのは、リュック・ベッソンらしいところでしょう。そんなお話の魅力をモーガン・フリーマンの知的な存在感が大いに引き立てています。
 チェ・ミンシクの演じるマフィアもとことん悪でいいですね。その初めは圧倒的で恐ろしい悪も、ルーシーが背負ってしまった運命の前には、だんだん詰まらない、どうでもいい存在に見えてくるのです。
 短いのに、まことに印象的な一本でした。さすがにベッソン監督はうまいですね。
 

2014年8月30日(土)
きょう8月30日発売「日刊ゲンダイ」のp13(カラー)下に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第32回が掲載されました。今回は「夜、夏の帽子の扱い方」です。なお本連載は今回が最終回です。震災直後の2011年4月に「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」としてスタート以来、3年4か月、計83回の長期連載になりました。まことにありがとうございました。

2014年8月28日(木)
 辻元玲子が加入している画家の団体「理科美術協会」のリチャード・アンセル先生が四国に移住されましたが、このほど「リチャード・アンセル展 日本の空を飛んだ飛行機画 明治・大正・昭和初期」を、高知県いの街幸町の「いの町紙の博物館」で開催されることになりました。お近くの方はぜひご覧ください。英国から来られたアンセル先生は、日本の航空黎明期の飛行機研究の第一人者です。
 会期は9月13〜23日、午前9時〜午後5時(最終日は4時)、16日と22日は休館、大人500円、中学生以下100円です。

2014年8月23日(土)
本日はお知らせです。日刊ゲンダイの紙面刷新に伴いまして、本連載は8月30日発行の同紙に掲載予定の第32回が最終回となることになりました。思えば震災直後の2011年4月に「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」としてスタート以来、3年4か月にわたり、計83回もの長期連載になりました。まことにありがとうございました。ぜひ30日発売のゲンダイをご覧ください。

2014年8月20日(水)
 お子様の夏休みも終盤。最後に何か手ごろなイベントはないか、という向きにこれはどうでしょう。いま銀座松屋8階で開催中の「くまのプーさん展」です。私も何となく行ったのですが、これがなかなかの濃い内容でした。原作のミルン、イラストを描いたシェパード、そしてアニメ化したディズニーという3人の熱い想いが伝わってくるような展示。特にシェパード氏の手描きの絵や、ディズニーのスタッフの膨大な設定画や実物のセル画、歴代のぬいぐるみや関連グッズ・・・けっこう、ちゃんと見ると1時間ぐらいはたってしまいます。百貨店なので物販も充実。ここだけで売っているという、オリジナルのシェパード版のプーと、イーヨーを我が家も買いました。ディズニー版とはまた違う魅力がありますね。
 本展は一般入場料1000円とそれなりにしますが、これだけ集めればそのぐらいは欲しいだろうと思わせるだけの一見の価値はあります。8月25日月曜日まで。午前10〜午後8時まで(最終日は午後5時閉場)です。

2014年8月16日(土)
きょう8月2日発売「日刊ゲンダイ」のp13(カラー)下に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第31回が掲載されました。今回は「はやりの短パン」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は8月30日(土)発売号の予定です。

2014年8月14日(木)
 大人気シリーズであるトランスフォーマーの第4弾「トランスフォーマー ロストエイジ」TRANSFORMERS AGE OF EXTINCTIONを見ました。原題のエクスティンクションというのは「絶滅」、です。シリーズの生みの親であるマイケル・ベイ監督は、これまでの3部作で監督からは降板するような話がありましたが、結局、4作目も自分でやることに。ただし、これまでの出演者は完全一新しています。製作総指揮には今回もスティーブン・スピルバーグが名を連ねています。また、声の出演で渡辺謙さんが参加。今や大活躍ですね。


2014年8月10日(日)
 台風11号、どうでしょうか? お住まいの場所によってかなりいろいろかと思います。三重県では57万人に避難指示が出たとか・・・。高知県でも平年の8月の月間降水量の倍以上も降っているとか・・・。おそらく関東から北日本にもこれから影響があるのでしょうが、そしてすでに千葉県や茨城県でもすでにかなり降ったところもあるように聞いておりますが、私の居ります千葉県の浦安市は、午前9時すぎ、時として強い日差しすら差しております。

2014年8月02日(土)
きょう8月2日発売「日刊ゲンダイ」のp13(カラー)左下に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第30回が掲載されました。今回は「マリンファッション後編」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は8月16日(土)発売号の予定です。

2014年8月01日(金)
 8月となりましたが、思うに、今年もそろそろ終盤が近いんですね。これで来月ぐらいになると、年末の準備が各地で始まる、とかいう報道が始まるわけです。それはそうとして、今年はちゃんと蝉が鳴いていますね。ここ何年か、蝉がいない、と話題になったこともありましたが。昨日、我が家の窓の網戸にも一匹の蝉が止まって、3時間ほど休んで、去って行きました。

2014年7月31日(木)
 アメリカ版「ゴジラGODZILLA」を見ました。1998年のあまり評判が芳しくなかったローランド・エメリッヒ監督版とは異なり、54年公開の第一作ゴジラに敬意を表した作品で、渡辺謙が54年版に登場する「芹沢博士」と、同作品の本多猪四郎監督の名を合わせた日本人のゴジラ研究家「芹沢猪四郎博士」として登場しています。また、モーション・キャプチャーでゴジラを「演じている」のは、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ以後、この分野の第一人者であるアンディ・サーキスだそうです。
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 1950年代、アメリカは世界初の原子力潜水艦ノーチラス号を実用化しますが、そこで謎の古代の巨大生物が覚醒したことを悟ります。米軍は、さらに何度も大洋で水爆実験を繰り返しましたが、その真の狙いは明かされないままでした。
 そして1999年、フィリピン鉱山で巨大な生物の化石と、謎めいた生物の卵らしきものが発見されました。巨大生物を研究する秘密機関モナークに属する日本人・芹沢博士(渡辺)と助手のヴィヴィアン(サリー・ホーキンス)は、それが彼らの追っている生物の化石であることを確かめますが、さらに、ここから卵の一つが孵化し、海に出て行ったことを突き止めます。
 同じころ、日本のジャンジラ市にあるジャンジラ原子力発電所が原因不明のメルトダウンを起こして崩壊。技術責任者のジョー・ブロディ(ブライアン・クランストン)は、妻であり助手でもあるサンドラ(ジュリエット・ピノシュ)を目の前で助けることが出来ず、失います。二人の子であるフォードは心に深い傷を負いました。
 それから15年たった2014年。海軍の技術将校となっているフォード・ブロディ大尉(アーロン・テイラー・ジョンソン)は、忙しい任務の合間を見つけて休暇を取得し、妻のエル(エリザベス・オルセン)と息子サムが待つサンフランシスコの自宅に帰ってきます。しかしそこに思わぬ連絡が。相変わらず日本のジャンジラ市周辺にとどまっている父ジョーが、日本の警察に逮捕された、というのです。かつての忌まわしい記憶を思い出したくないフォードですが、急きょ、日本に行き、警察でジョーの身元を引き受けて釈放してもらうことになります。ジョーはいまだに15年前の事件が納得できず、放射能汚染地域として退避区域となり、閉鎖されている原発の跡地に踏み込んで、調査をしているうちに警察に捕まったといいます。もう昔の悪夢を振り返らないように父をいさめるフォードでしたが、ジョーはあれが単なる地震でも事故でもなく、日米の当局者が原発の跡地に何かを隠している、と主張して、再び退避区域に潜入。やむなくフォードも同行することになります。
 退避区域では明らかに放射能などなく、当局が何かを欺瞞している、とジョーは喝破しますが、その直後、またも父子は逮捕され、ジャンジラ原発跡地にある秘密の施設に連行されます。
 その折も折、施設では卵が孵化し、芹沢博士たちの目の前で、巨大な古代生物MUTO(ムートー)が覚醒していました。ムートーは翼を広げて飛び去り、事態はステンツ提督(デヴィッド・ストラザーン)指揮下のアメリカ第七艦隊に委ねられることに。芹沢は15年前の事件の詳細を知っているブロディ父子に同行、協力を求めます。
 その後、ムートーはハワイ・ホノルルに出現して街を破壊。それを追って、ムートーの天敵である巨大生物ゴジラが出現します。さらに、かつてフィリピンで発見されたもう一つのムートーの卵が、ネバダ州の核廃棄物場で孵化。このもう一匹のムートーはメスで、ラスベガスを破壊して海岸に向かいます。最初のムートーは海を渡り、サンフランシスコに向かって行きます。それを追ってゴジラもアメリカへ。フォードは3匹の怪獣を倒すべく用意された核弾頭を操作する任務に志願します。その間にも、フォードの妻子が住むサンフランシスコは怪獣大決戦の戦場となろうとしています。人類の未来は、そして、フォードは家族と再会できるのでしょうか・・・。
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 ということで、54年版のゴジラを意識した作り、特に今作では地震に津波、原発事故と避難区域・・・という大いに東日本大震災以後を思わせる設定が盛りだくさん。ちょっと日本人としては見ていてシリアスで苦しい、という感じもしないではありません。しかし逆に、オリジナルのメッセージも踏まえた非常に日本人にも納得できる描き方、というものがあり、パニック映画とか娯楽作品という枠組みでは収まらない、なかなかの仕上がりなのではないか、と思います。
 ゴジラの鳴き声は、54年のオリジナル音源を研究し、何年もかかって再現した苦心の作ということで、確かに「あのゴジラの鳴き声」です。製作側の執念を感じます。
 ドラマ的には、とにかくジョーとサンドラの夫婦の悲劇がかわいそうで、印象も強いです。比べると主人公であるフォードとエルの若夫婦はとってつけ、という感じもあります。ちなみにテイラー・ジョンソンとオルセンは、アベンジャーズ・シリーズの次作で双子の役で共演するそうですが、これは全くの偶然だそうです。そんなこともあるのですね。それから、謙さんはいいです。存在感がありますね。さすがです。出番も想像していた以上に多く、非常に大事な役どころであり、最初から最後まで登場します。
 まあ、相変わらず日本の描き方はちょっと変な感じもあるのですが、まあ、かなりましな方ではないかと思います。ただジャンジラ市、というのはちょっと日本の地名としては・・・。何かムエタイの有名なボクサーにジャンジラさんという人がいるようですが、そのへんがネーミングの出どころでしょうか。もう少し日本的な名前にしてほしかったところですが、デリケートな話でもあるので、つまり原発が崩壊して放射能汚染で封鎖されている町、というわけですので、日本のどの地名とも似ていない妙な名前をわざと持ち出したのかもしれません。
 アメリカ出の好評を受けて、本作はシリーズ化の続編製作がすでに決まっているとかで、聞くところでは今後、モスラとかキングギドラまで出演するのではないか、と言われています。ぜひ今後も、日本のオリジナルの要素を大事にしたハリウッド版として続いてほしいものです。もちろん渡辺謙さんはじめ日本人も出してほしいですね。
 
 
 

2014年7月19日(土)
 ただいま有楽町の東京国際フォーラムで、第22回日本テディベアwith Friendsコンベンションが開催されています。国内外のテディベア作家さんが一堂に会する、日本では最大級のイベントです。私どもをご招待いただいた岡部紀代美さんも出展されています。シュタイフやケーゼンのレアなクラシックベアも販売しています。このイベントはあす20日まで、午前10時〜午後4時まで。

2014年7月19日(土)
きょう7月19日発売「日刊ゲンダイ」のp13(カラー)下に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第29回が掲載されました。今回は「マリンファッション」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は8月2日(土)発売号の予定です。

2014年7月18日(金)
 トム・クルーズ主演の最新作「オール・ユー・ニード・イズ・キルEDGE OF TOMORROW」を見ました。これは、日本の桜坂洋さんの小説『ALL YOU NEED IS KILL』を原作としていますが、英語である原作タイトルを、エッジ・オブ・トゥモロウ・・・なんでしょう、直訳すれば「明日の刃」とか「明日の先端」といった程度の意味でしょうか、そういうものにわざわざ変更しています。なんでも製作側の判断で、killという題名はよくない、ということだったそうです。英語圏の人には、「お前に必要なのは殺しだけ」という原題は、殺伐としすぎる印象があったようです。しかし日本では原タイトルで公開している次第です。

 そして、大筋では原作小説どおりなのですが、原作では日本人の新兵キリヤ・ケイジというのが主人公ですが、これをそのまま今や52歳になったトム・クルーズがやるわけにはいかないので(とはいっても、せいぜい40歳前後に見えますが、今でも)、宣伝広報担当の軟弱なアメリカ人、ウィリアム・ケイジ少佐、という設定に置き換えています。ヒロインのリタ・ブラタスキという名前は原作通りですが、これも少女という設定から、エミリー・ブラント扮する鍛え抜かれたベテラン兵士、という感じになっています。

 この話は、いわゆるループもの、です。つまりロールプレイング・ゲームのように、何回も同じ時間が繰り返されることで、登場人物の経験が増し、少しずつ問題が解決されていく、というタイプの物語です。

 時は近未来。謎の異星人ギタイが地球に侵攻してきて5年が経過しています。連中はまずドイツに降り立って欧州占領を図っており、すでにフランスも陥落、全欧州がギタイの支配下に入りつつあります。地球側は70か国が参加する統合防衛軍UDFを編成して抵抗していますが、徐々に打つ手がなくなってきています。最後の頼みの綱は、強力な新型パワー・スーツ。これを使用して鬼神のように暴れまくり、久々にフランス、ヴェルダンの戦いで地球側に勝利をもたらした女性兵士、リタ・ブラタスキ曹長(ブラント)は「ヴェルダンの女神」として英雄視されています。

 まもなくブリガム将軍(ブレンダン・グリーソン)が指揮するフランス奪還作戦が行われようとしており、アメリカ軍からUDFに出向している広報担当官ウィリアム・ケイジ少佐(クルーズ)はテレビに出まくって大いに宣伝に努めています。ロンドンのトラファルガー広場に軍用ヘリで降り立ったケイジは、ブリガム将軍の司令部に呼び出され、ノルマンディー海岸への上陸作戦に従軍し、最前線レポートをテレビ中継するよう命令されます。しかし、もともと広告マンで実戦経験ゼロのケイジは命令を拒否、将軍を激怒させます。ケイジは憲兵隊に逮捕されて、階級を剥奪され、脱走兵としてノルマンディー上陸部隊に送り込まれてしまいます。

 ファレウ曹長(ビル・パクストン)指揮する曲者揃いのJ分隊に二等兵として配属されたケイジは、慣れないパワー・スーツを着込み、ノルマンディー海岸に降り立ちますが、すぐに恐ろしい激戦に巻き込まれます。J分隊が全滅し、リタが戦死する様を目撃したケイジは、最後に一匹の見慣れないタイプの青いギタイを倒し、その血を浴びながら自分もあえなく戦死してしまいます。

 ところが次の瞬間、彼は自分が出撃前夜の英国の基地にいることを知ります。ファレウ曹長につかまり、J分隊のみんなに紹介され、訓練に出て・・・。全く同じ経験が繰り返されることにケイジは驚愕します。そしてまたノルマンディーに出撃し、戦死。ところがまた英国の基地に戻り・・・そう、なぜかケイジは何度でも死ぬと同じ場面まで人生がリセットされて繰り返されるというループ現象に巻き込まれたことを悟ります。

 何回でも同じ経験を繰り返せるため、ズブの素人だったケイジも少しずつ経験を蓄積し、また次に起こることが予測できるため、戦闘能力が向上していきます。そして、あるループでリタから、「今度、目覚めたら私を探して」と言われます。次の機会からケイジは、できるだけ早くJ分隊から離れ、施設でトレーニング中のリタに出会うようにします。リタは驚くべき話をし始めます。つまり、リタも以前に同じようなループ状態になることで戦闘能力を増し、ヴェルダンの戦いで超人的な活躍をすることができたのだ、というのです。しかし負傷して輸血を受けた後、リタからその能力は失われてしまいました。

リタはループの秘密を共有するカーター博士(ノア・テイラー)にケイジを会わせます。博士によれば、ギタイは時間を操り、何度も同じ経験を積むことで戦局を有利にする、という能力があるといいます。その能力を持つ特殊な青いギタイが「アルファ」で、その血を浴びた者は自分もループするようになるのだとか。しかし、本当に「アルファ」を操っているギタイの中枢といえる個体が「オメガ」で、これを倒さない限り、ギタイに勝利することはできないというのです。リタにループ能力がなくなった今、戦局を打開してギタイ・オメガに迫ることができる者は、ケイジのほかにはいません。こうして、何度も生き返ってはリタにしごかれ、トレーニングを繰り返して、出撃し、戦死する。また蘇って同じ経験をするが、少しずつ強く賢くなり、今まで試していない手を試して試行錯誤し・・・という経験を何百回と繰り返す日々をケイジは生きることになりました。

ケイジは無限に繰り返されるリタとの訓練と、彼女の戦死を見ているうちに、自分が彼女に特別な感情を抱きつつあることに気付きます。しかし、リタにとってはいつでもケイジは初対面のよく知らない男です。そんな一方通行の思いの中、ケイジはリタを守り抜き、人類の危機を打開し、そして地獄のループから抜け出すことができるのでしょうか・・・。

このお話はヴェルダンとかノルマンディーとか、かつての人類の世界大戦を彷彿とさせる地名が舞台設定されているのが興味深く、ケイジやほかの将校が着ている統合軍の制服も、近未来の話と言いながら、とてもクラシックで、大戦中を思わせます。パワー・スーツという新しい要素も、現在、各国で実際にこの手のものが研究されていますが、もちろん撮影に使っているのは見かけ倒しの偽物ですので、パワーなどなく、重いだけの代物。重量40〜50`にもなるというそれを着込んで、熱演する兵士役の皆さんには拍手を送りたいです。とにかく見るからに撮影は過酷だったろうな、と思わせる映像が目白押しで、何度も何度も同じようなシーンを繰り返して撮る現場はさぞかし厳しいものだったろうな、と。

日本の原作ということで、イギリスの統合軍基地では英語やドイツ語に混じり、日本語が聞こえてくるシーンがあり、またパワー・スーツの武器も日本製らしく、コンピューターが日本語で「安全装置、解除!」などと言う興味深いシーンもあります。

主演のクルーズとブラントの2人。情けない口先野郎から戦闘マシーンに変貌していくクルーズの演技力はすごいです。1981年に映画「タップス」で狂信的な陸軍幼年学校の生徒役で注目された頃を覚えていますが、あれから30年以上たって、今でも一番人気のあるスターであり続けている・・・毀誉褒貶いろいろあると思いますが、とにかくこれだけ長くハリウッドに君臨するというのは、すごい人です。またエミリー・ブラントは、これまで「プラダを着た悪魔」や「ヴィクトリア女王〜世紀の愛」での演技が絶賛されてきた女優さんですが、こういう激しい戦争アクションの役柄は初めて。しかしどこから見ても筋金入りの鬼曹長に見え、なんとも凛々しい女戦士ぶりに、心ときめいてしまいます。

ループものとしての面白さと、謎解きの興味深さもあって、2時間があっという間にすぎさりました。エンディングへの盛り上げ方と、落ちの付け方も秀逸。これは快作だと私は思いましたよ。原作を読んでいる方も、どこらへんがどう、味付けが変わっているのか、見てみると興味深いのではないか、と思いました。


2014年7月18日(金)
 映画「ダイバージェントDivergent」を見ました。この言葉の意味は、異なっている、とかずれているとか、合っていないとか・・・要するに「異端者」の意味で使っています。何かというと周囲に合わせる集団主義といわれる日本人にとっては、いわゆるKYというか、異端者であることはかなり大変ですよね。それでこの作品では、社会全体がいくつかのグループ分けされ、そのような集団主義的圧力で覆われている近未来社会を描いているわけです。
 原作はヴェロニカ・ロスの大ヒット小説で、すでにこの映画はシリーズ化が決まっており、3作目、あるいは4作目まで製作が予定されているそうです。主演は、今もっとも有望な若手女優であるシャイリーン・ウッドリーです。
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 今から150年ほど後の近未来。世界は最終戦争のために荒廃しており、ごく一部の生き残った人たちは比較的、小さなコミューンを作って生活しています。ここ北米のシカゴでは、人々は五つの「派閥」に分かれて社会グループを構成しています。司法家たちの集団「高潔=キャンダー」、学者や研究者の集団「博学=エリュアダイト」、軍事や警察を担当する「勇敢=ドーントレス」、行政を司る「無欲=アブネゲーション」、そして農業を行う「平和=アミティ」です。それぞれの派閥の家庭で生まれ育った子供たちは、一定の年齢になると「適性検査」を受けます。この結果、95%の子弟は親と同じ派閥に分類され、そのまま同じ派閥に属しますが、5%ほどの少数者は、親とは異なる道を選びます。それぞれの派閥内では、さらに正式なメンバーに昇格するまでに数段階のテストがあってふるいにかけられます。途中で脱落した者は、そのまま社会から落伍した「無派閥者」となり、役立たずとみなされて社会参加を許されず、「無欲」の人々の施しを受けながら細々と暮らすしかなくなります。
 しかし、それだけではなく、テストの結果、ほんの少数ながらどの派閥にも分類できない人間が発見されます。そのような者は「ダイバージェント=異端者」として排除され、多くの場合は命を奪われます。彼ら彼女らは常に変革者の素質を持ち、社会の安寧を損なう存在で、安定した社会秩序の邪魔者だからです。
 だが、中には自分が異端者であることを隠して生き延びる者もいます。「無欲」の指導的な立場にあるアンドリュー(トニー・ゴールドウィン)と、ナタリー(アシュレイ・ジャッド)夫婦の間に生まれ、慎ましい無欲の生活を送って育ったベアトリス(ウッドリー)は、しかし自分がどこか「無欲」には向いていないのでは、と悩んでいます。兄のケイレブ(アンセル・エルゴート)と共に適性検査を受けますが、試験官のトーリ(マギーQ)は顔色を変えます。「あなたは、勇敢にも博学、無欲にも適性がある。つまり分類できない。異端者よ」。そして「絶対にこのことを人に知られないように。命を奪われる」と諭されます。
 その後、ベアトリスとケイレブは、自分の属する派閥を決める儀式に参加しますが、両親の期待を裏切り、ケイレブは「博学」を、ベアトリスは「勇敢」を選んでしまいます。
 「勇敢」にはベアトリスのほかに、他の派閥からの転向を望んだ「志願者」がいました。「高潔」出身のクリスティーナ(ゾーイ・クラヴィッツ)や、ピーター(マイルズ・テラー)らと親しくなったベアトリスは、「勇敢」派閥の中では名前を改めてトリスと名乗ることにし、厳しい選抜テストに臨むことになります。新人たちを担当する教官は冷血なエリック(ジェイ・コートニー)と、どこか謎めいた陰のあるフォー(テオ・ジェームズ)。トリスはなんとはなしに、フォーに惹かれていきます。一方、フォーもトリスに興味を抱き、彼女が本当に「勇敢」の適性の枠に収まるのかどうか、疑い始めます。そんな中、「博学」に進んだ兄ケイレブから、「博学」グループと「無欲」グループの間に確執があることをトリスは聞きます。さらに、「博学」グループのリーダーであるジェニーン(ケイト・ウィンスレット)が不自然にトリスに接近してきます。人に知られてはいけない秘密を抱えつつ、何か大きな陰謀が進行していることを予感するトリス。さらに、フォーや、自分の母親ナタリーにも秘密があることが分かりますが・・・。
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 ということで、なんといってもシャイリーン・ウッドリーののびのびした演技が魅力的です。確かにこの人は才能があるな、と感じます。何かこう、訴える力がある人です。飛んだり跳ねたり、戦ったりと、相当に激しいアクションシーンにも体当たりで挑戦しています。それからお相手役のフォーを演じるテオ・ジェームズ。この人は精悍でカッコいいです。この人、どこかで見た顔だと思えば、「アンダーワールド〜覚醒」でもヒロイン役のケイト・ベッキンセールを庇って守る、という役柄でした。ちょっと似た役柄ですが、誠実な雰囲気が確かにそういう役に合う人です。それから、兄ケイレブ役のアンセル・エルゴートもどこかで見たな、と思えば「キャリー」でクロエ・グレース・モレッツ扮するキャリーのお相手役だった人。この人も注目株で、若手の中では引く手あまただそうです。
 「勇敢」というのは軍事・警察部門ですので、ここで新人が鍛えられていく、という展開は学園ものとか、軍隊ものとかではよくあるパターン。当然、若手の有望な俳優さんがたくさん出ており、きっとこの中から、もっと有名になる人が出てきそうです。
 今回の配役でいちばん大物といえるのはケイト・ウィンスレットですが、まあ悪だくみをしている政治家といった役どころなので、あれでいいのでしょうが、「タイタニック」のころを覚えている人からすると、あんなに出来上がってしまって・・・と感じるかも。もちろん役柄からいえば絶対に必要な、見事に堂々たる貫禄を見せつけています。
 原作がよく出来ている、ということなのでしょうが、最後まで引きつけられる展開でした。続編が予定されているとうことで、エンディングもそのような終わり方ですが、十分に本作だけでも盛り上がる内容だったと思います。今後の、若い出演者たちの成長ぶりを見てみたいですね。
 

2014年7月12日(土)
 ディズニー映画「マレフィセントMALEFICENT」を見ました。こう聞けば、ああ、あのディズニー・アニメ「眠れる森の美女」に出てくる魔女だな、と思い出す方も多いでしょう。私もあのアニメはかなり好きで、古典的なストーリー展開ですがなかなか盛り上がるもので、音楽もよく、それになんといってもマレフィセントなる魔女が絵にかいたような悪女なのが魅力的で、非常に印象に残ったものです。
 それで、今回はそのマレフィセントを主人公にした映画化、というちょっと聞くと、そんなものが成り立つのかな、というような企画。しかも演じるのはアンジェリーナ・ジョリーです。確かにアンジーの雰囲気はマレフィセントにぴったり。それにオーロラ姫をやるのがダコタ・ファニングの妹で人気上昇中のエル・ファニング。それから、オーロラ姫の父のステファン王をシャールト・コプリー・・・と聞いて驚く人もいるのではないでしょうか。ニール・ブロムカンプ監督の「第9地区」とか「エリジウム」で、かなり狂気の入ったあくの強い怪演ぶりを披露してきた彼が、なんでこのおとぎ話で、「家族思いの優しい王様」であるはずのステファンという役柄をやるのだろうか。
 それが、ちゃんと理由がありまして・・・。
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 昔々、ヘンリー王の治める人間の王国と、妖精たちの棲むムーア国が隣り合っておりました。両国はかねてより険悪な関係にありましたが、ムーア国の翼がある妖精マレフィセントは、ふとしたことから人間の国の少年ステファンと知り合い、恋に落ちます。彼女が16歳のとき、ステファンは真実の愛のキスをして永遠の愛を誓いました。
 しかし時は流れ・・・。マレフィセント(ジョリー)はムーア国の守護者としてリーダーに成長していました。しかしその傍らにステファン(コプリー)の姿はありません。貧しい平民出のステファンは、いつか王宮に暮らす身分になる、と決心してヘンリー王の城に仕官していたのです。そのヘンリー王はムーア国に侵略の軍を進めますが、マレフィセントたちにさんざんな目にあい敗北します。王は、マレフィセントを倒した者に、自分の娘と結婚させ、後継者にすると宣言。ステファンはムーア国にやってきて、マレフィセントを油断させ、彼女に薬を飲ませて眠らせて殺そうとしますが、それは思いとどまり、代わりに背中の翼を切り落とします。
 マレフィセントの翼を持ち帰ったステファンは王位継承者となり、国王に即位。マレフィセントはやがて、カラスのディアヴィル(サム・ライリー)の知らせにより、ステファン王と王妃の間に王女が生まれたことを知ります。マレフィセントは王宮に現れ、オーロラ姫に「16歳の誕生日の日没までに、糸車に指を刺して永遠の眠りにつく。その目を覚ますのは真実の愛のキスだけである」という呪いをかけます。
 ステファンは国中の糸車を集めて破棄し、オーロラを3人の妖精に預けて森で秘密に育てます。しかし3妖精は全く無能で、その隠れ家はたちまちマレフィセントの知るところとなります。初めは憎悪していたオーロラの無邪気さに、マレフィセントは母性の目覚めのような感情を覚え、呪いをかけたことを後悔し始めます。しかし、自分のかけた呪詛は強力すぎて自分自身でも解除できないことが分かり、悲嘆にくれます。そんなことを知らず、やがて美しく疑うことを知らない少女に育ったオーロラ(ファニング)は、マレフィセントを母親のように慕うようになります。そんな中、彼女の16歳の誕生日がやってきました。ステファン王はマレフィセントを倒すべく秘策の限りをめぐらして城で待ち受けます。一方、森の中で偶然、オーロラと出会った隣国の王子フィリップ(ブレントン・スウェイツ)が呪いを解くカギだと判断したマレフィセントは、彼を城中に運び込みますが、呪いの発動には間に合わず、オーロラは糸車に指を刺して眠りについてしまいます・・・。
 ◆  ◆  ◆
 というような展開ですが、すでにして「あれ、なんだかオリジナルとは違うな」と思われる方がほとんどでしょう。マレフィセントは悪い魔女などではなくて、信じていた男に裏切られた被害者で、おまけにオーロラを実の娘のようにかわいがっていた? 非常に思いがけない設定です。そして、ステファン王というのは成り上がりの野心家で、私利私欲のために手段を択ばない、ろくでもない悪党の中の悪党。これまた仰天するようなお話です。だからシャールト・コプリーが起用されているのですね。
 とまあ、なんともかなり奇想天外というか、あの眠れる森の美女を思い描いてみると、仰天のストーリーです。そこが面白いのですが、付いてこられない人もいるのかも。しかし、なんといってもジョリーとコプリーの熱演がおとぎ話くささを感じさせません。それにファニングがいいです。天真爛漫な役をやらせたら、この人しかいない感じです。
 けっこう、ステファン王が悪い人過ぎて、かなり後味は暗いのですが・・・。いや本当に、この王様はこんな悪人でしたっけ、というのが意外すぎる一本。実は、かなり驚きの作品であるかもしれません。


2014年7月11日(金)
 トランセンデンスTRANSCENDENCEという映画を見ました。ジョニー・デップの新作です。トランセンデンスという言葉の原義は「超越」とです。本作で何を意味するかというと、コンピューターの能力がますます上がって、ついに自我や意識、自立した感情を持ち、人類の脳を超越する、ということ。一般的な用語ではシンギュラリティ(特異点)ということが多いようです。
 人工知能が完全に人間を超えて、意識と自我を持つとはどういうことか。よくこれはチューリング・テストによって判定できる、とされます。人間が質問し、コンピューターの反した答えが、人間によるものとまったく区別できないようになったら、それはもう機械ではなくて意識のある人工知能である、というもの。アラン・チューリングという学者が提唱したものですが、これにちなんで、本作でもヒロインが訳あって身を隠しホテルに宿泊する際、フロントで「予約していたチューリングですが」と偽名を名乗るシーンがあります。
 さてそれで、すでにそういう人工知能と呼べるレベルのコンピューターが実用化し、そこに科学者の記憶をすべて移したらどうなるか・・・。これはSFではそんなに珍しい設定ではないですよね。しかし、いかにも漫画的な遠い未来の話ではなく、もはや目の前に迫ったリアルな問題として取り上げているのが、本作の特徴です。
 ◆  ◆  ◆
 天才科学者ウィル・キャスター博士(デップ)。彼は妻のエヴリン・キャスター博士(レベッカ・ホール)と共に人工知能の開発に明け暮れ、やがてコンピューターが人類の能力を凌駕するトランセンデンスが起こり、人類の歴史が変わるだろうと予測していました。しかし、そのような事態に反対する組織RIFTは、有力な科学者たちを一斉に殺害する同時テロを断行。ウィルも銃撃を受け負傷します。軽い傷だったため、夫妻の恩師であるタガー博士(モーガン・フリーマン)やFBIのブキャナン捜査官(キリアン・マーフィー)の来訪を受けて、現在、極秘に開発中の新型人工知能PINNを披露します。PINNはすでにチューリング・テストをパスするレベルのものでした。しかしその後、ウィルの容体が悪化。テロリストの銃弾には放射能が仕込まれており、ウィルは被曝、あと数週間の命であることが分かります。
 エヴリンは夫妻の共通の友人であるマックス・ウォーターズ教授(ポール・ベタニー)の協力を得て、ウィルの記憶をPINNのシステムに写し、その自我をコンピューター上に保存することを決意。やがて静かにウィルは亡くなり、実験も失敗したかに思えましたが、ついにコンピュータ画面に「誰かいるか?」というメッセージが現れます。ウィルはこうしてコンピューターの中にダウンロードされたのでした。しかし、ことの重大さにマックスは悩みます。
 酒場にて、突然、謎めいた女性ブリー(ケイト・マーラ)が近づいてきます。彼女はRIFTのリーダーであり、マックスを拉致するとエヴリンの実験室を急襲。しかし一足早く、ウィルの意識は人工衛星の通信回路を経てネット上に逃げ延び、エヴリンも逃走していました。
 ネットと接続されたことで、世界中のあらゆるデータとアクセスすることができるようになったウィルは、まさに全能の天才となり、今や神のごとき存在となります。彼はRIFTのメンバーの情報をFBIのブキャナンに送って一網打尽に逮捕させる一方、エヴリンを田舎町に向かわせ、そこで巨大な研究設備を構築、要塞化します。
 そして2年後。もともとの天才的知性に加えて、疲れを知らない無限の演算能力と情報記憶力を持ったウィルは、ナノテクノロジーを究極的なレベルに進化させていました。もはや人類の歴史は変わろうとしています。タガーとブキャナンはウィルの要塞を訪れ、脅威を感じます。一方、RIFTの協力者となっていたマックスも、事態の進展を知ってウィルを止めなければ、と考えます。さらに、エヴリンも止まるところを知らないウィルの行動に疑問を持ち始めていました。そもそもこのウィルは、本当にあのウィルなのだろうか。こうして、FBIと軍部、そしてRIFTが手を組んでウィルの施設を攻撃することになりますが・・・。
 ◆  ◆  ◆
 とにかく重いテーマです。絵空事ではないだけに、考えさせられてしまう内容です。2時間ほどでそんなに長いわけではないのですが、後味は非常にヘビーです。そして、これは夫婦の愛の物語でもあります。なんとしても愛する人を助けようとする妻、そして、その妻を守り抜こうとする夫・・・。悲しいラブストーリーという側面も強い一作です。
 デップ、ホール、フリーマンらの重厚な演技が、近未来的なお話を決してSFチックな枠に収めてしまいません。
 専門家の話では、実際にトランセンデンス、あるいはシンギュラリティはあと30年ほどすると実現するのではないか、ということです。つまり2045年ごろ、というわけです。今、生まれた赤ん坊が30歳のときです。もうほんのすぐそこ、です。社会は一体、どうなるのでしょうか? 今のような労働とか、社会通念とか、経済とか・・・想像もつきません。
 そのころ私は80歳近くになっていますので、そろそろもうどうでもよくなっていそうですが、しかしそういう時代を目撃する可能性は十分にありそうです。
 本作は、後になって、そういえばこんな予言的な映画があったな、と言われる作品になるのかもしれません。

2014年7月05日(土)
きょう7月5日発売「日刊ゲンダイ」のp12(カラー)下に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第28回が掲載されました。今回は「ラテンファッション」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は7月19日(土)発売号の予定です。

2014年7月02日(水)
 7月に入り、2014年も後半戦。どうだったか、といわれれば、実は個人的には公私ともにお陰様でかなりいろいろ多忙で。かかわっている企画もいくつかあって、出版関係ではいくつか大詰めを迎えておりまして。これから秋口にかけて、さらにいろいろありそうです。
 それはさておきまして、また昨日、銀座あたりを歩く機会がありました。歌舞伎座向かいの群馬県の公認ショップ「ぐんまちゃん家」店頭には、ぐんまちゃんご本人が来ていましたね。それと共演していたのは、なんだか赤い謎のキャラでして・・・調べたところ、わたらせ渓谷鉄道のキャラ「わっしー」という方だそうです。
 そのあと、また東銀座の方に出て、旧日産ビルを見ました。周囲にある囲いに掲示されている文章を見ますと、ひょっとしてこのビル本体は「修復工事」であって、完全に解体するのではないのかもしれませんね。私、別に関係者じゃないのでよく分かりませんが。ただし、この本体と連結している別館は「解体」と書いてあるようでした。よくよく見ると、二つのビルを結ぶ連結通路の中に赤い仕切り壁のようなものがありまして、あるいはここの線まで壊して、本体の方は残すのかもしれませんね。

2014年6月28日(土)
 いけませんね。またブログやFBの更新が1週間も滞っています。そろそろ何か書かないとまたぞろ、辻元は病気にでもなったのか、という声が届きかねません・・・、それであまり意味もなくまた我が家のぬいぐるみ自慢など。これは我が家の「まん丸三兄弟」です。そのうち二人の「コックさん」は近くのお店で買ったものですが、「船長さん」はシナコバというゴルフウエア・ブランドのオリジナル商品。じつはこれ、人形ではなくてゴルフ用のカバーです。最近はゴルフなど全くやりませんが、新宿伊勢丹メンズ館でこれを見つけて、面白いというだけの理由で購入しました。

2014年6月21日(土)
きょう6月21日発売「日刊ゲンダイ」のp12(カラー)下に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第27回が掲載されました。今回は「サマージャケットの選び方」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は7月5日(土)発売号の予定です。

2014年6月20日(金)
 ポンペイPOMPEIという映画を見ました。これは西暦79年、ローマ皇帝ティトゥスの時代にヴェスヴィオ火山の大噴火で壊滅した古代ローマ帝国の都市ポンペイの悲劇を扱う作品です。といえば、ブルワー・リットンの小説「ポンペイ最期の日」だとか、これを原作にしたかつての映画化作品がいくつか思い浮かびますけれど、本作のストーリーはオリジナルで、主人公が剣闘士であるという以外、ブルワー・リットンの作品と重なる点はありません。メガホンをとったのは「バイオハザード」シリーズや「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のポール・W・S・アンダーソン監督です。
 ◆  ◆  ◆
 西暦62年、北ブリタニア(現在の英国北部)に侵攻したローマ軍団は、あるケルト人の集落を焼き払い、村人を皆殺しにします。目の前で両親を殺され、ただ一人生き残った少年マイロは、軍団の司令官であるローマ元老院議員コルヴス(キーファー・サザーランド)の顔を目に焼き付けます。それから17年の月日がたち、西暦79年。ロンディウム(現代のロンドン)の闘技場で、マイロ(キット・ハリントン)は最強の剣闘士(グラディエーター)として頭角を現しています。その試合ぶりを見た興行主は、マイロをもっと繁華なポンペイの闘技場に移籍させることにします。
 ポンペイに向かう移動のさなか、奴隷戦士の一行は、帝都ローマからポンペイに向かう貴婦人の馬車と出会います。馬車を引く一頭の馬が、けがをして苦しんでいるさまをマイロは目撃。脚を折った馬に助かる道はなく、馬車の主であるカッシア(エミリー・ブラウニング)の頼みで、マイロは苦しむ馬を安楽死させてやります。そのわずかの交わりで、惹かれあうマイロとカッシアですが、高貴な女性と奴隷の身ではどうにもなるものではありません。
 カッシアはローマの陰惨な政界や社交界にうんざりしてポンペイの実家に帰り、ポンペイ市の有力者である父セヴェルス(ジャレッド・ハリス)、母アウレリア(キャリー・アン=モス)の元に戻ります。しかしセヴェルスはローマの有力者をポンペイに迎え、数年前の地震で荒廃した市の再建計画に投資させようと画策しており、カッシアは父の方針に疑念を抱きます。
 一方、マイロはポンペイの闘技場で、チャンピオンのアティカス(アドゥエール・アキノエ=アグバ)と知り合います。彼は明日の試合で勝てば、晴れて奴隷の身から自由民となることになっており、最後の一騎打ちの相手をマイロと指定されます。
 そこに到着したローマの有力者。それはあのコルヴス議員でした。コルヴスはローマでカッシアに強引に言い寄っており、セヴェルスの邸に赴くと、ここでも父のポンペイ復興計画に協力する見返りに、自分と結婚するようカッシアに迫ります。カッシアは憤然とコルヴスの求愛を断ります。ちょうどそのとき、カッシアの愛馬が世話をしていた馬丁を振り切り、一頭だけで邸に帰ってきて暴れだします。すでに小さな地震が頻発しており、動物の勘で火山噴火が近いことを知っているのです。たまたま貴婦人たちの夜の慰み者となるべく連れてこられた剣闘士たちの中に、マイロがいました。カッシアは愛馬を落ち着かせるようマイロに頼みます。馬を乗りこなしたマイロは、カッシアに手を差し伸べます。2人で逃げ出そうと・・・。迷うカッシアですが、馬に乗り、しっかりとマイロの背中に抱き着きます。2人は馬で郊外に逃げ出しますが、コルヴスの追手に追いつかれてしまいます。
 マイロはコルヴスの前に引き出され、目の前にいる男が両親の敵であることを悟ります。コルヴスはマイロを処刑しようとしますが、カッシアがそれを押しとどめ、その代わりにコルヴスの求愛を受け入れることを示唆します。
 翌日、闘技場ではコルヴス、カッシアと両親が見守る中、血なまぐさい殺戮ショーが開催されることとなります。予定されていたマイロとアティカスの一騎打ちは中止となり、代わって、コルヴスのブリタニア侵攻を再現する恐ろしい処刑ショーを行うことに。ローマ軍団兵士に扮した剣闘士の群れが、マイロとアティカスに襲い掛かります。絶体絶命のピンチの中、次々と敵を倒す2人。だがそこで、ヴェスヴィオ火山が大きく揺れ、煙を噴き上げます。今まさに、悲劇の幕は切って落とされようとしていました。巨大な災害が襲おうとする中、敵に囲まれてしまったマイロは、そしてカッシアとの愛の行方はどうなるのでしょうか・・・。
 ◆  ◆  ◆
 というわけで、ストーリーを見るとかなり盛りだくさんのようですが、メインのお話はマイロとカッシア、そしてコルヴスがほとんど同時にポンペイにやってきて、翌日には闘技場で試合、そして大噴火ということになりますので、実はほんの丸一日の物語に過ぎません。
 最新のVFXを使った映像は凄いの一言です。本作は史劇+災害映画ですので、その両面で最新の技術がいかんなく活用されています。ポンペイの市街地は発掘調査でかなり明らかになっているのですが、それがこのように映像化されると、そのあまりの素晴らしさに息をのみます。ほんの10年前なら考えられなかったような、まさに悲劇の都ポンペイが蘇ったかのような臨場感はそれだけで一見の価値があります。そして、噴火が始まると、まずは火山礫が降り注ぎ、次に火山弾、それから港では海が後退していき、と思ったら大きな津波が押し寄せてきて、船が町の中まで流されてきます・・・このへんは明らかに日本の大震災をリサーチしたのでしょう。そして止めとして、恐ろしいスピードの火砕流が流れてきて、すべてを呑みこんでしまいます。このへんは科学的知識を盛り込み、また当時の目撃記録である小プリニウスの記録にも基づいて、完全な再現を試みているようです。この噴火当時、海軍の司令官だった大プリニウスはポンペイ市民の救出に向かって死亡しており、その甥であり養子でもあった小プリニウスが唯一のポンペイ被災記録を後世に残しています。適当なロマンス史劇という枠ではない出来栄えですので、古代ローマに関心のある人は必見でしょうね。
 剣闘士の描き方も、ポンペイの闘技場では上述のとおり、ちょっとイレギュラーな催しとなってしまうのですが、ロンディニウムでのシーンでは、あの当時の何種類かあった剣闘士のコスチュームを史実通り正確に再現していたようです。なんだか剣闘士というと、ファンタジーになってしまう映画も多いので好感を持ちました。
 余談ですが、主人公マイロ役のキット・ハリントンは、役者としてはまだキャリアは浅いですが、英国では有名な貴族の家柄ハリントン準男爵家の御曹司なんだとか。ヒロインのエミリー・ブラウニングもまだ25歳の新鋭。2人ともこれからの成長が楽しみな人です。キーファー・サザーランドとか、「マトリックス」シリーズのキャリー・アン=モスとかが脇を固めていますが、できればキャスト的にはもう少し重鎮的な人も欲しかったかもしれません。もっとはっきり言えば、アンダーソン監督としては奥様のミラ・ジョボヴィッチを出してほしかったですね。まあ、あんまりいつも出しているとそれはそれで公私混同、といわれるのかもしれませんが、ミラは史劇に似合うと思うのですが。
 

2014年6月10日(火)
 久しぶりに東銀座界隈を歩いてみました。昨年末まで読売新聞東京本社が入っていた旧日産本社ビルは、4月に最後まで残っていた整体院が移転し、今月に入っていよいよ解体作業が始まりました。この姿もまもなく見られなくなるでしょう。それにしても、毎日人が来ている間は不思議に古びなかった建物ですが、読売退去後のわずか半年でこんなに劣化してしまいました。建造物は生き物なんだな、と思いますね。また、つい1年前に撤退した松坂屋の跡地は今や、全く何もありません。2020年五輪を見据えて、銀座も新しくなっていくのですが、それ以前を知っている人には寂しい感じもありますね。

2014年6月08日(日)
 先日ですが、葛西にありますイトーヨーカドーの食肉売り場で、とてもリアルなのだけれど妙にかわいいブタのぬいぐるみが飾られているのを見まして。で、よく見ると「トイざらす」のタグが付いていました。それで、ひょっとしてトイざらすに行けば、同じものが買えるのかな、と思いまして・・・で、このほど市川市のニッケ・コルトンプラザにあるトイざらすにて、このブタさんを購入いたしました。基本的に非常にリアル路線ですが、背中やおなかの曲線、太り方が実にブタブタしい。そこがかわいい、というものになっております。意外に、リアル路線のブタのぬいぐるみ、というのは珍しいかもしれませんね。

2014年6月07日(土)
きょう6月7日発売「日刊ゲンダイ」のp12(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第26回が掲載されました。今回はサッカーW杯にちなんで「サムライブルーの由来は?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は6月21日(土)発売号の予定です。◆Free&Easy6月号の著名人寄稿の捏造問題、主要新聞各紙が取り上げNHKニュースでも報じたようですね。私が文芸家協会の会報をネット上で紹介したのもいくらか意味があったようです。ひとごとではなく、他山の石にしたいと思います・・・。

2014年6月05日(木)
 映画「X−MENフューチャー&パスト」X-MEN DAYS OF FUTURE PASTを見ました。ブライアン・シンガー監督がメガホンをとり、ベトナム戦争終結間近の1973年と、近未来である2023年という、ちょうど半世紀へだたった二つの時代を舞台に描く異色の作品です。そのため、同じキャラクターの若い時代と、50年後の老年期を描く必要があり、従来のX-MENシリーズの俳優と、60年代の若き日々を描いた「X−MEN:ファーストジェネレーション」が共演を果たすという夢のような豪華企画になりました。二つの世界をつなぐのが、年老いない超人であるウルヴァリンことヒュー・ジャックマンという設定なわけです。
 ◆  ◆  ◆
 2023年、世界は破滅を迎えようとしていました。アメリカ軍部が開発したミュータントを殲滅するためのロボット兵器「センチネル」が暴走し、ついにミュータントの遺伝子を生み出す人類そのものも抹殺することに。ことにセンチネルはミュータントの能力を取り込んで身に着けてしまうという特性を持ち、どんな攻撃もすぐに記憶して倍返ししてくる始末で、もはやミュータントたちも人類もこれを止めることはできません。生き残った少数の者たちは最後の抵抗をしていました。全滅しかけた彼らは、精神を過去に飛ばして、かつての自分に警告を発することができるキティ・プライド(エレン・ペイジ)の特殊能力により、最悪の結末である歴史を書き換える、ということを繰り返しており、辛くも綱渡り状態で絶望的な戦いを繰り広げています。今回もモスクワの戦いで全滅しかけますが、なんとかしのいで中国の僧院に生き残りメンバーが集まることに成功。かつての仇敵であるプロフェッサーX(パトリック・スチュワート)とマグニートー(イアン・マッケラン)も手を組み、なんとか危機を打開する方法を考えます。そしてたどり着いた答えは、すべての破局の始まりとなった50年前の過去、1973年にさかのぼり歴史を完全に書き換えてしまう、という抜本的な解決法でした。事の起こりは、この年にセンチネル計画の指導者だったトラスク博士(ピーター・ディンクレイジ)が、プロフェッサーの妹のように育ったミュータントで、自在に姿を変える特殊能力を持つミスティーク(ジェニファー・ローレンス)の手にかかり暗殺されたことが発端でした。ミスティークはトラスクの暗殺に成功しましたが、軍部に捕獲され、その遺伝子が解析されてセンチネルに無敵の変幻自在に戦う能力を付与する結果となり、今日の状態に至ってしまったのです。そこで、まずはミスティークによるトラスク暗殺を阻止しなければならない、ということになりますが、通常の精神の持ち主では50年ものタイムトリップには耐えられません。しかしただ一人、ウルヴァリン(ジャックマン)の強靭な再生能力があれば、これに耐えられるだろう、ということになります。ウルヴァリンは73年当時の自分の体内に現在の意識を飛ばし、歴史を変えるという難事業に挑みます。
 意識だけ70年代に戻ったウルヴァリンは、まだX−MENのメンバーではなく、拳から飛び出すのも骨であって、超合金アダマンタイトではありません。彼は50年前のプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア(ジェームズ・マカヴォイ)とビースト(ニコラス・ホルト)に出会いますが、肝心のチャールズはベトナム戦争で多くの仲間を失って失意の日々を送っており、テレパシー能力も喪失しており、役に立ちません。また、ミスティークを止めるにはこの時代のマグニートー(マイケル・ファスベンダー)に協力してもらう必要がありましたが、彼はある事件の犯人として軍部に監禁されており、これを助け出すことも容易ではありません。ウルヴァリンは本来ならまだ出会っていない若き日のクイックシルバー(エヴァン・ピーターズ)の協力を得てマグニートーを脱獄させますが、チャールズとの確執は深く、ウルヴァリンの語る未来の話を一応は受け入れますが、なかなか結束できません。
 そのころ、パリで開催されるベトナム戦争和平会議の会場に、ミスティークはベトナム軍の将軍に化けて潜入しています。トラスク博士はここに現れて、なかなか理解を得られないセンチネル計画を推進するべく、諸国の軍高官にミュータントを抹殺する計画の必要性を説くことになっていました。ウルヴァリンたちもこの場に駆けつけて、ミスティークによるトラスク殺害を阻止することに成功します。しかし、トラスクの傍らには、若き日のストライカー少佐(ジョシュ・ヘルマン)の姿があり、後に彼に苦しめられることになるウルヴァリンは激しく動揺、未来からの精神の接続が維持できなくなります。その間に、マグニートーは冷酷にもかつての仲間であるミスティークを殺害しようとします。彼女の存在がミュータントの未来を損なうと分かった以上、生かしておけない、というのです。平和会議を放映するために集まっていたテレビカメラが回る中、ミスティークとマグニートー、それにビーストの三つ巴の戦いが繰り広げられ、彼らの異様な姿と驚異的な能力が世界に放送されてしまいます。さらに現場に残されたミスティークの血痕からDNAが解析され、ミュータントの脅威を認識したニクソン大統領は、正式にトラスク博士にセンチネル計画の推進を承認してしまいます。ウルヴァリンは当初の目的は何とか達したものの、かえってますます難しい局面を迎えてしまいました。その間にも、2023年の世界ではセンチネルの大軍が最後に生き残ったX-MENたちを襲撃しようとしており、今度こそ全滅は免れないようです。さて、ウルヴァリンは過去を書き換えて未来の世界を救うことができるでしょうか・・・。
 ◆  ◆  ◆
 なんといってもこのシリーズは、これでスターになった何人ものオスカー俳優や女優を輩出していますが、そんな新旧のメンバーが勢ぞろい、という豪華さと、タイムトリップ物の面白さ、いかにも70年代を思わせる描写、話の展開の妙・・・これまでのシリーズの中でも最高にスケールの大きな作品となったと思います。本作によって歴史は大きく変わってしまう展開になり、いわばリブートすることになるので、今後のシリーズ展開も気になるところ。
 最後の方になりますと、ジーンやサイクロプスなど、すでに今までのシリーズでは死んだことになっていたキャラたちも総登場します。このへんは見ものですよ。それから、エンドクレジットの後に追加シーンがあります。意味深な古代エジプトを思わせるシーンのようです。これはつまり、次回作として予定される「X-MEN:APOCALYPSE」の伏線のようですね。まだまだ続くX-MENワールドはどこまで行くのでしょうか。

2014年6月04日(水)
 私が所属している日本文藝家協会から「文藝家協会ニュース」最新号が届きました。その6〜7ページには、「著作権管理部より・先月の相談から」というコーナーがあり、同協会が対応した5件の著作権侵害事件の実例が掲載されています。
 その5件目、「相談5」というものを見て驚きました。
 タイトルは「勝手に執筆原稿を創作して掲載・・・。とんでもない事件発生」とあります。
 以下、本文を長いですがそのまま引用します。
◆ ◆ ◆
 相談5:執筆した覚えもなく、インタビューも受けていないのに、自分の名前の文章が雑誌に掲載されていた、というとんでもない事件が発生しました。
 男性向けのファッション誌「Free & Easy」6月号に赤瀬川原平さんのコラムがあります。安西水丸さんの追悼特集ですが、追悼にはふさわしくなく、赤瀬川さんの書きぶりでもない不思議な文章です。
 奥様から「主人は入院中なので、書いてもいないし、インタビューも受けていない。編集部に確認したが、誠意のある対応ではなかったので、協会からも何事が起きたのか調べてほしい」とご連絡がありました。
 事務局:編集部に電話すると、奥様がおっしゃるように「担当者が不在でわかりません。連絡しますのでお電話番号を」という頼りない対応です。メールアドレスを伝えたところ、2日後に「説明したい」というメールが届き、ほどなく電話がありました。結論は、過去に2度、インタビューした編集者が、勝手に書いた文章でした。
 編集長と2人でお詫びに行くと言われたが、謝られてもしょうがないので、店頭からの回収とバックナンバーの販売をやめてくれるように伝える、と赤瀬川夫人。
 角田光代さんの文章が次のページだったので、確認したところ、「『週刊朝日』に以前に書かれたものを無断で話し言葉に書き直しました。申し訳ありません。店頭からは回収しました」という手紙が編集部から届いた、とのことです。
 各社の雑誌編集部は、真剣に懸命に仕事をしているのに、この件は、著作者のみならず、雑誌編集者たちを貶める重大な事件です。
◆ ◆ ◆
 そして協会ニュースの編集後記では、この件を受けて「相談5のような言語道断の商業誌がまかり通っている」と糾弾しております。
 私は「フリー&イージーFree & Easy」誌は、ほぼ毎号、読んでおり、問題の安西水丸さんの追悼特集も読んでいたので、協会ニュースの記事が事実であるなら、まったく架空の文章を本人になりすましてねつ造して載せたことになり、それは本当に残念なことだと思いました。
 問題の赤瀬川さんが書いた、ということになっていた文章の末尾はこんな感じです。「当時、スロンという言葉がありました。『ガロ』のなかで川崎ゆきおが使っていた表現ですが、この言葉と水丸さんが重なるんです。(中略)彼はスロンと生き、スロンと去って行った。誰の目にも触れず、誰にも迷惑をかけずにね」・・・というのですが、確かにこれは追悼文の結末としては変な気がいたします。
 繰り返しになりますが、事実とするなら残念なことです。

2014年6月03日(月)
 スペイン国王が突然の退位、などと世の中はいろいろあるようですが、私の方も最近、突然のサプライズが。というのも、我が家が愛読している学研の「月刊ムー」で健筆をふるわれている漫画家・飛鳥昭雄先生のサインが、突如、我が家に送られてきたのです。これはこの春のムー創刊400号記念プレゼントに応募したためですが、それにしても生サインは数が少ないはずで、よくまあ、我が家にいただけたものです。
 色紙には飛鳥先生のお名前と、漫画に登場するキャラクター「ミスター加藤」の顔が描かれています。飛鳥先生と、ムー編集部に厚く御礼申し上げる次第です。

2014年5月25日(日)
 おっと、5月17日以来、また更新が滞っています・・・何もないのか、というとウソだったりします。進行中の話もあったりしますが、かといって発表するには早すぎる、という具合でして。そんなわけで、今日は話題として、このところ手に入れたちょっとしたアイテムをご紹介いたします。このクマさんの存在感ある銀の固まりは何かといいますと、指輪です。アメリカ先住民・ナバホ族が手作りした一品で、指にはめるとこんな感じ。相当に迫力があります。葛西のチチカカさんで、破格の安値で売っていました。
 もうひとつは、新宿の丸井アネックス7階のアクセサリー店で見つけた「勲章型」の飾りもの。まさに勲章そのもので、取り付け部分も本物同様のピンになっています。が、メダルの部分は時計のモチーフでちょっとファンシー。本物ミリタリーではごつすぎる、けれどそういうテイストの格好がしたい、という人には待ってました、のアイテムかと存じます。私も今日はぶら下げております・・・。

2014年5月17日(土)
きょう5月17日発売「日刊ゲンダイ」のp12(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第25回が掲載されました。今回は「いま流行りのワイシャツの襟は?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は5月31日(土)発売号の予定です。

2014年5月12日(月)
 2日に「テルマエ・ロマエU」の映画評を載せてから10日ほど、更新しておりません。そろそろ「ひょっとしてまた病気?」と仰る方もいるかも・・・ということで、なんの意味もありませんが、先週、新宿の伊勢丹で撮影した私どもの近影です。このように元気にしております。はい、本当にそれだけです。今、2冊ほど進行中の書籍の話があり、いずれも大詰め段階に入っていまして、奮闘中です。2冊とも盛夏から初秋までには世に出したいと思っております。詳細が見えてきましたらまたご報告します。

2014年5月02日(金)
 2012年4月公開の大ヒット映画「テルマエ・ロマエ」から2年、その続編である「テルマエ・ロマエU」THERMAE ROMAE Uを見ました。武内英樹監督、阿部寛、上戸彩、北村一輝、市村正親、宍戸開、竹内力といった製作・出演陣は再結集、さらに元横綱の曙、元大関の琴欧洲、それに松島トモ子、白木みのるといった大御所まで出演して花を添えています。
 いうまでもなく、ヤマザキマリの原作コミックを下敷きにしているのですが、前作以上にオリジナル度の高いストーリーになっているようです。要するに本作は、阿部の演じる古代ローマ時代のテルマエ(浴場)設計技師ルシウスが思い悩む→現代日本の浴場にタイムスリップする→勝手な思い込みや誤解をしながら、珍騒動を繰り広げる→ローマ時代に戻って、日本で見た銭湯や温泉の技術、デザインなどをなんとか再現する→いい加減な記憶と技術的制約で、奇妙にローマ化した日本風のテルマエが出来る、という流れの繰り返しになっています。それは一作目から同じ黄金パターンなのですが、水戸黄門のシリーズと同様、この繰り返しそのものが分かっていても、とにかく珍妙でおかしい。単純に笑えるシーンが多いという意味では、前作よりそういう要素も回数も多い、と思います。よく続編を作るにあたって、変に新味を出そうとひねり過ぎたり、凝り過ぎたり、という作品もあるものですが、本作は素直に前作で観客に受けたパターンをしっかり踏襲していると思います。つまり、「テルマエ・ロマエはこうでなくちゃ」というところを続編化してくれた作品です。
 ◆ ◆ ◆お話は・・・。古代ローマ帝国は第14代ハドリアヌス帝(市村)の時代。先代トラヤヌス帝の際限ない領土拡大政策を改め、国境線を後退させたハドリアヌスは、ルキウス(阿部)を重用してテルマエを各地に造り、平和な国づくりを推進しようとしていていました。しかし、それを快く思わない元老院議員の一部が反発、コロッセウム(闘技場)でアケボニウス(曙)らグラディエーター(剣闘士)たちに血なまぐさい戦いを繰り広げさせ、市民を好戦的な方向に扇動しようとしました。ある日、ルキウスは闘技場に招かれ、元老院議員から剣闘士たちを癒すテルマエを建造するよう依頼されます。その場で、次期皇帝候補ケイオニウス(北村)と出会いますが、ケイオニウスは北方のパンノニア属州にいるはずで、しかもなぜか旧知のルキウスのことを覚えておらず、その態度にルキウスは不信感を覚えます。新たなテルマエ造りに思い悩む彼は、例によって現代日本にタイムスリップ。その風呂場には、現代日本の剣闘士である相撲部屋の力士たちがひしめいており、ルキウスはマッサージ器やバスクリン、また非常に平和的なルールに終始する相撲に心動かされます。相撲巡業の桟敷には相撲雑誌のライターになっている山越真実(上戸)がいて、ルキウスが再び日本を訪れたことを知り驚きます。ルキウスはローマに戻って新しいテルマエを造り大成功。続いて皇帝補佐官アントニヌス(宍戸)の依頼で子供向けのテルマエ、ハドリアヌスの命令でバイアエに新たな大温泉郷を相次いで建造することになり、さらに寒冷なパンノニアのケイオニウスの陣中に簡易風呂を送ることまで依頼されます。その都度、悩んでは日本にやってきて、真実と再会し・・・を繰り返しますが、ルキウスの予想以上の手腕に驚いた元老院議員たちは、ルキウスの暗殺を画策。さらに、彼らはとんでもない陰謀を巡らせてローマ帝国を支配しようとしていました・・・。
 ◆ ◆ ◆ということで、基本的にやたら難しく考えたり、時代考証面をうんぬんするべき作品ではないわけですが、そうでありながら冒頭の大コロッセウムを再現した映像の見事さには目を見張ります。剣闘のシーンでは、勝利したアケボニウスが場内を見まわして観衆の意向をうかがいますが、あれは史実通りで、観衆が親指を下に向けて「殺せ」と叫ぶ声が多ければ、剣闘士は敗者を殺すことになっていました。ローマのセットはブルガリアに半年もかけて作られ、ことにコロッセウムは高さ50メートルの巨大な建物を再現したそうで、このへんの本気度は前作を上回るものがあります。
 また、エンディングにかけてのルシウスと真実の恋の行方・・・というのも美しく描いています。ここもなかなかの仕上がりで、印象深いですよ。
 まさに安心して見ていられる娯楽路線の王道作品で、決して期待を裏切りません。本作に何か新たな要素を求める人はあまりいないと思いますので、前作が面白かった人は迷わずご覧になっていい快作ではないかと思います。私が見た場内も大受けでした。コメディー作品でも、これだけ実際に場内で反応がある作品は珍しいのではないでしょうか。

2014年5月01日(木)
 オープンしたばかりの日本橋・宝町コレド2のTOHOシネマズ日本橋にて、トム・ヒドルストン主演の舞台を映像化したナショナル・シアター・ライヴ「コリオレイナス」を見ました。これは2月までロンドンで公演していたお芝居で、4月25日〜30日の5日間限定で全国の東宝系映画館で公開されました。事前に申し込んで抽選で予約できる、というシステムで、最後の30日の回も会場は満席でした。
 原作はかのウィリアム・シェークスピア。「オセロ」とか「ハムレット」みたいな知名度はない演目ですが、古代ローマ時代の悲運の名将をテーマにした非常に考えさせられる内容。400年も前のエリザベス朝に書かれたとは思えないほど現代的な内容で、ことに民主主義とは何か、という政治的な重いお話を扱っています。
 主演のトム・ヒドルストンは「マイティ・ソー」シリーズのロキ役でブレイクし、今や「トムヒ」の愛称でアイドル的な人気を誇ります。ある雑誌で「世界一セクシーな男性」に選ばれたこともあって、女性ファンの注目度は絶大。しかしこの芝居での彼は、重厚なシェークスピア史劇を渾身の力で演じています。かつてはイアン・マッケランの当たり役だったという難しい役どころを、全身血まみれになったり、頭から水を被ったり、男性とのキスシーン、さらに天井から逆さづりになったり、と大変な体当たり演技で見事にこなしておりました。
 時代は都市国家ローマがまだイタリア半島の小さな勢力だったころの物語。王政が廃止されて貴族と市民の合議による共和制に移行したばかり、という時期が背景です。ローマ軍の最優秀の将軍であるマーシアス(ヒドルストン)は、数々の武功に輝いていましたが、一般市民に対する態度は尊大で、旧友の貴族メニーニアスのとりなしにもかかわらず、はなはだ人気がない人物。そんな彼の人間性は野心家の母親の育て方によるもので、母親の望みは、息子がさらに立身して共和時代ローマの最高官職である執政官になることでした。今回の戦争でも、隣国ヴォルサイの将軍オーフィディアスを破ってコリオレイナスという名誉称号を元老院から与えられます。得意の絶頂となったコリオレイナスはローマに凱旋、執政官の候補となり、市民の投票を経て正式に就任しようとしますが、これを嫌った護民官たちが民衆を扇動してコリオレイナスを失脚させ、ついに国外追放にしてしまいます。復讐の念に燃えたコリオレイナスは、これまでの宿敵であるオーフィディアスの元に身を寄せ、ヴォルサイ軍の司令官としてローマを滅ぼすことを決意。コリオレイナス率いるヴォルサイ軍はついにローマを陥落寸前に追い込みますが、その前に現れたのはかつての親友メニーニアスと、妻子、そして母親でした・・・。
 というような話で、突出した存在を英雄として持ち上げておいて、後で嫉妬と誹謗中傷をまきちらして失脚させる、という民主主義の衆愚化の傾向を見事に描き出しています。今ならマスコミの役割を果たしていそうなのが護民官たちで、その舌先三寸で民衆は右に左に簡単に態度を変えていく。非常に嫌な後味があります。
 それにしても、なんだかキスシーンが多い作品でして・・・。男女のノーマルなキスもかなり何度も出てきますし、何よりも男性同士のぶっちょりシーンはかなりビックリしました。いえ、この作品でこういうBL的な演出が出てくるとは思っていなかったもので・・・。トムヒ様ファンの女性はドキドキしてしまったのでは?
 もともとバナナ倉庫だったという狭い舞台をあらゆる手法で端から端まで使い、よくもこんな風に効果的に見せるものだなと感心させられました。派手なセットもなく衣装も地味。なのにスケールの大きな史劇にちゃんと見えるのがすごいです。
 それにしてもトム・ヒドルストン、大変な演技派です。ただのアイドル的な俳優ではありません。その実力のほどがよく分かりました。本当に5日間だけの限定的な公開でしたので、見られてよかったです。

2014年4月25日(金)
 アメリカ大統領が来日されている折も折、「キャプテン★アメリカ ウィンター・ソルジャー」THE CAPTAIN AMERICA,THE WINTER SOLDIERを見てきました。マーベル・コミック・シリーズの最新作で、「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年)の直接の続編であるとともに、「アベンジャーズ」(2013年)の続編の一つとなる作品。そして、今後のアベンジャーズ・シリーズに内容がつながっていくことになっています。
 膨大な過去作品があり、ファンもたくさんついているマーベル・コミックの中から、どの流れを選択して、この大河シリーズを組み上げていくか、というのは至難の業なのだろうと思われます。作品により、いろいろなテイストも変えていく必要があり、たとえば「マイティ・ソー」関連はシェークスピア史劇のような持ち味が強く感じられます。「キャプテン・アメリカ」はもともとが戦時中に米国の士気高揚、国威発揚をテーマに生まれたキャラで、第1作はその流れを裏切らないものでしたが、しかし第2次大戦から70年を経た今、世界も米国も新たな混沌の状況にあり、キャプテンも無垢な正義漢として星条旗を背負っていればいい、というわけではありません。本作で色濃く描かれるのは、ブッシュ政権下であらわになった「先制攻撃ドクトリン」というものです。要するに世界平和と米国の安全の敵となるものは、国家であれ組織であれ、さらに危険人物個人であれ、敵が動き出す前に先制攻撃する権利がある、という考え方。敵が手を出す前は何もしない、という日本のような専守防衛とは全く逆、少し考え方を間違えれば、気に入らないものは何でもテロリストの汚名を着せて、抹殺できる、という主張であり、恐怖による世界支配を意味します。
 そこに、あのナチス・ドイツが持ち込んだ優生思想・・・そもそも劣った人間を選別して抹殺し、優れた人間だけが生き延びる権利がある、といった考え方が加わればどうなるか。大戦後のアメリカに、多くのナチス高官や高級軍人、科学者が招かれて、戦犯指定から外すことを条件に米国の軍や政府に協力した、というペーパークリップ作戦というものがありました。そのもっともよく目に見える成果は、フォン・ブラウン博士によるアポロ計画の成功です。
 本作は、このような世界観を背景に、公式パンフレットの製作者ケヴィン・ファイギ氏の言葉によれば、70年代の政治ものスリラー映画、たとえば「大統領の陰謀」のようなテイスト+最新のアクション映画というものにしたそうです。よって、非常にシリアスで、いわゆるヒーロー・コミックものという色よりも、確かにアクション・スリラー+近未来SFという作りになっておりまして、きわめて異色の作品に仕上がっております。
 キャプテン・アメリカという名前やイメージで敬遠するのはもったいないです。これは映画としてみると、シリーズ中でも最高によくできている一本といっていいのではないでしょうか。
 ◆  ◆  ◆
 お話は・・・。あのアベンジャーズで、マイティ・ソーたちと共にロキと戦い、世界を守ってから2年。キャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は、ニック・フューリー長官(サミュエル・L・ジャクソン)率いる平和維持組織シールドの一員となりブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)らと行動を共にしています。シールドの船がフランスの海賊にジャックされ、キャプテンたちはこれを奇襲、人質解放に成功しますが、ナターシャはキャプテンの知らない別任務を受けていて、ブリッジのコンピューターから情報を盗み出します。それに気付いたキャプテンは組織に不信感を抱き、ニックに真意を問い詰めます。ニックはシールドの上部機関である世界安全保障委員会のピアース委員長(ロバート・レッドフォード)の支持のもとで、世界から脅威を取り除く新しい先制攻撃主義の極秘計画が進行していることを知らされます。
 シールドにこのまま所属することに疑問を抱いたキャプテンは、ジョギング中に知り合った退役軍人ファルコン(アンソニー・マッキー)から「辞めたら、好きなようにいきればいいじゃないか」と諭されます。スミソニアン博物館にある「キャプテン・アメリカ」の展示コーナーに赴いて過去を振り返るキャプテンは、年老いて病に伏すかつての恋人ペギー(ヘイリー・アトウェル)と悲しい再会をします。
 一方、やはり秘密計画に内心、疑問を抱いていたニックは、ピアースに計画の延期を進言。その帰り道で正体不明の謎の刺客に襲撃され、キャプテンの住むアパートに逃げ込みます。「だれも信用してはいけない」と言い残して、キャプテンの目の前で撃たれるニック。キャプテンの隣室の住人と思われた女性看護師(エミリー・ヴァンキャンプ)は実はシールドの派遣した「エージェント13」で、すぐにニックを救出しますが、キャプテンやナターシャ、ニックの秘書マリア・ヒル(コビ・スマルダーズ)の見守る中、あえなく死亡してしまいます。ナターシャはニックを襲ったのは正体不明の謎の殺し屋「ウィンター・ソルジャー」(セバスチャン・スタン)であることを告げます。ピアースは、ニックが海賊を雇ってシールドの船を襲撃させ、機密情報を盗み出そうとしていたことをキャプテンに暴露。キャプテンは疑心暗鬼に陥りますが、ナターシャを信じ、彼女が船から盗み出してニックに渡し、ニックが殺される寸前にキャプテンに託した極秘情報を頼りに、ニュー・ジャージーにあるかつての軍の訓練場に潜入します。そこは大戦中、キャプテンが訓練を受けた場所でしたが、見慣れない建物があることに彼は気づきます。その地下に入ると、旧式のコンピューターが彼らを待っており、起動したところ、聞こえてきたのはあの戦時中にキャプテンたちと戦い死んだはずのナチス科学組織ヒドラの開発責任者・ゾラ博士(トビー・ジョーンズ)の声でした。ゾラたちヒドラの残党は戦後にアメリカに渡り、シールドの中に食い込み、ヒドラの計画を着々と推進していたのでした。キャプテンはナターシャ、ファルコンらと共にヒドラの計画を阻止しようとしますが、またも立ちはだかるウィンター・ソルジャー。キャプテンはその敵が、自分の幼馴染で戦友でもあり、戦時中にヒドラとの戦いで戦死したはずのバッキー・バーンズ軍曹であることに気付き衝撃を受けます・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ということで、ものすごくシリアスで、まさに誰も信用できない二転三転の展開。シリーズ中でも白眉の快作といっていいでしょう。ペギーとの再会のシーンは泣けますね。それから、大物レッドフォードが出てくると確かに政治陰謀もの映画のテイストが強まります。あと、最後の方で意外なことにトーマス・クレッチマンが出てきますが、どんな役でそう出てくるかは見てのお楽しみ。本作は最後のエンドクレジットの後に、追加シーンがあるタイプの映画なので、慌てて退席しないように。しかも、追加シーンが2回もあります! 最後の最後まで、見逃さないことをお薦めしますよ。

2014年4月24日(木)
4月26日発売「日刊ゲンダイ」掲載予定だった「鉄板! おしゃれ道」第25回がGW特別編成により延期となりました。次回は5月17日(土)発売号の予定です。間が開いてしまいますがなにとぞご了承くださいませ。

2014年4月24日(木)
 私は持ち物自慢みたいな記事は滅多に書きませんが、今日はちょっと珍しいものを手に入れたのでご紹介(あれ、昨日と同じ文面に・・・)。この写真のぬいぐるみを見て、すぐわかる人は北欧ファンですね。どう見ても顔はムーミン、だけど全身に毛が生えているわけですが、これはムーミンに登場する「ご先祖様」のぬいぐるみです。ムーミン好きな人の中では熱狂的なファンが多いキャラなんですね。さてこれは、松屋銀座8階で5月6日まで開催中の「ムーミン展」で販売しているもの。ほかにもものすごく広い物販会場があるので、GWに銀座に行かれた方はぜひご覧くださいませ。http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20140416_moomin.html

2014年4月23日(水)
 私は持ち物自慢みたいな記事は滅多に書きませんが、今日はちょっと珍しいものを手に入れたのでご紹介。有楽町の阪急メンズTOKYOで見つけたイタリア・ボリーニBolliniのボタンアップ・ブーツです。まさに19世紀後半に大流行した紳士靴そのもの! 20世紀以後のファッションにあまり興味のない化石化した私(?)としましては、即買いいたしました。このタイプ、足と足首に合わなければどうにもならないのですが、残っていた在庫品が奇跡のように私の足に合いました。運命的な出会い、というようなものだったのでしょうか。

2014年4月18日(金)
 なんだか冬のように寒いですね。ところで昨日から今日にかけて、渋谷区代々木の文化学園大学にて、同大服装学部服装造形学科の学生さんたちによる第29回ファッッションショー「angle」が開催されました。私は、同大の小柴朋子先生のお計らいで拝見することができました。小柴先生、ありがとうございました。
 すごいですね、在学生でここまで出来てしまうんですね。日本の若い世代、頼もしいですね。同席しましたビジネスファッション協会の福永成明先生にご教示いただきましたが、文化学園大は2年前に男女共学になったばかりで、今年の新4年生はまだ女性ばかり、なんですね。だからデザイナーさんもモデルさんも、運営も司会も、皆さん、女性ばかり。しかしまもなく男子学生も加わって、メンズクロージングも入ってくると、ますます楽しみです。
 いろいろ見た中でも、第7部Compactの「小さく持ち歩けるビジネスウエア」というのは特に目を引きました。カバンからさっと上着を取り出して、羽織るのがカッコよかったです。
 文化学園大は創立50周年とのことで、日本を代表する服飾大学ですが、すばらしい環境で目を見張りました。
 いま、文化学園服飾博物館で開催している「ヨーロピアン・モード」1770〜1990も見応えがあります(5月24日まで、10時〜16時半開館、日・祝休)。私は18世紀のジュスタコープや燕尾服、19世紀のフロックコートなどにくぎ付けになりました・・・おそらくほとんどの方は女性のドレスを見るのでしょうが、私はどうしても、紳士服を見てしまいますね。
 

2014年4月12日(土)
きょう4月12日発売「日刊ゲンダイ」のp29(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第24回が掲載されました。今回は、「靴の手入れはどうすればいい?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は4月26日(土)発売号の予定です。

2014年4月10日(木)
 マーベル・コミックのキャラクターをデフォルメしたPoP!シリーズに最近、はまっております。それで、マイティ・ソー、ロキ、ローガン、ダークエルフの4体と、友情出演で銀座和光で買ったポニーの置物で写真を撮ってみました。ちなみに玲子は最近、ロキ役のトム・ヒドルストンを応援中です。

2014年4月04日(金)
 毎年のことですが、桜が満開になると、雨が降ってきて・・・というパターン。今年もそんな感じですが、我が家の盆栽のミニ桜も、雨の中で満開です。

2014年4月03日(木)
きょう4月3日発売「日刊ゲンダイ」のp11(白黒)の「新年度特集 新人の前で言ってはいけない、見せてはいけない」に私、辻元よしふみのコメントが載りました。「サイズが合わない服」についてコメントしています。今日のゲンダイを買われた方は、ぜひご覧になってください。

2014年4月02日(水)
 新年度、消費税も上がりまして、昨日は銀座の某ブランドの店員さんが呼び込みをやっているという珍風景を見ました。1日になって、よほどお客さんが来ないのでしょう。さて今夕は浦安市内の通り沿いにある桜並木を「夜桜観察」してきました。あまり市外の方は知らないことですが、浦安市の通りには相当な数の桜が植えられており、この時期になると壮観です。

2014年3月29日(土)
きょう3月29日発売「日刊ゲンダイ」のp12(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第23回が掲載されました。今回は、「デキる男に見えるネクタイの選び方は?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は4月12日(土)発売号の予定です。

2014年3月28日(金)
 通りすがりの日本橋で桜を見ました。まだ咲ききってはいない感じですね。今度の土日あたりに咲きそろうのでは、という話ですが、非常に「平年並み」でいい感じですね。

2014年3月20日(木)
 国内の有力なビスポーク(注文)3ブランドが一堂に会する展示会「Real Bespoke〜目に見えない手仕事の累積〜」が、東京・表参道で開催中です。日本に高級注文靴という文化を根付かせたHIRO YANAGIMACHI(柳町弘之さん)、いま最も注目されるテーラー羊屋(中野栄大さん)、そしてフルオーダーの高級カバン工房として有名なFugee(藤井幸弘さん)の3ブランドがコラボして、それぞれの作品や製作工程を公開、さらに靴・服・カバンを合わせたコーディネート提案までしているすごい展示会です。いうまでもなく、いずれも手作りの一品もので、オーダーしても半年待ちは当たり前、お値段も相応な感じでございまして、柳町さんのフルオーダー靴なら初回35〜40万円(2回目からは20〜25万円)、羊屋さんのスーツ(2ピース)で一着35万円〜、藤井さんのカバンはパターン・オーダーで30万円台〜、フルオーダーだと50万円〜、アタッシェなら90万円〜、という感じになります。よって、いいものだとは分かっているが、そうおいそれとは暖簾をくぐれない、敷居が高い! いきなり訪ねていくのも勇気がいるし! 
 そんなわけなので、まずはこんなものです、ということを知っていただきたい、というのが本会の趣旨。だいたい、お支払いも全額1回で払うのでなく、前金、後金なので、いきなり全額の40万とか50まんがないと頼めない、という話でもありませんから・・・というのを知っていただきたい、という会なのです。純粋に見ていただき、知っていただく会であって、オーダーを承る会ではないので「そんなにお金がないので・・・」と仰ることなく、安心しておいでください、とのことですよ。
 場所は港区北青山3−5−25表参道ビル4階「アートスペース リビーナ」。東京メトロ表参道駅のA3出口を出て本当に目の前のビルの4階です。かなり広いスペースですので、ゆっくり見られますし、お店の方とお話もできますよ。会期は23日(日曜)まで。午前11時〜午後8時(最終日は午後6時まで)となっています。
 柳町さんは、実は私・辻元よしふみとは、かつて学生時代に「千葉進学塾」という塾のアルバイト講師仲間でした。それ以来のご縁なのでもう四半世紀のお知り合いです。また、今日は私、羊屋の中野様と、各媒体でご活躍のファッション・エディター・矢部克己様ともお目にかかれました。本当にこういう会は有意義だと思います。実力派による最高品質のものとはどういうレベルなのか、を体感していただくにはうってつけの催しです。この連休にもぜひご覧ください。

2014年3月17日(月)
 先月、中国の東方出版社より、私どもの『図説軍服の歴史5000年』(彩流社)の中国語版『図説世界軍服歴史5000年』(張永訳・東方出版社)が刊行されました。
 http://item.jd.com/1087021261.html
 なんでも定価は49・80人民元、だそうです。これは高いのでしょうか、安いのでしょうか。なんにしても、海外の方に読まれるというのは、嬉しいのですが、また新たな緊張を覚えます。

2014年3月16日(日)
 恵比寿ガーデンプレイスで開催中の「ジャパンテディベアフェスティバル 2014 in 東京」に行ってまいりました。テディベア作家・岡部紀代美様からお招きを受けまして、今回もお邪魔いたしましたが、このたびは岡部様からサプライズが。なんと私たち夫婦(辻元よしふみ&玲子)をイメージしたカップル・ベアを作ってくださっていたのです。足の裏にちゃんとYoshifumi、Reikoと名前を入れていただいています。感動いたしました。さらに今回は岡部様としては初めて製作されたというネコちゃんの作品が出展されていたので、こちらを購入させていただきました。広い会場にはほかにもたくさんの出展者さんがぎっしりで、力作ぞろい。同フェスティバルは今日も同会場で、入場は午後3時までだそうです。恵比寿周辺に行かれる方は、ぜひ。
 それで昨日は、その足で銀座に出て、エトロ銀座本店で開催されたLEONとのコラボ企画「テキーラ・サンライズ」に招待されていたので、行ってきました。ドレスアップしてください、というのが唯一のドレスコードだったので、エトロの燕尾服に、英国クリスティーズのトップハットで臨んでみました。なかなか燕尾服を着こんでいく機会もないですからね。玲子のほうはエトロの今季の新作のカウボーイハットを被ってみました。
 会のほうはLEONの前田編集長さんたちのトークショーなどがあり、盛会でしたが、なにしろテキーラ・サンライズを飲む会、でもあって、悪酔いされていた人もいたような・・・。

2014年3月15日(土)
きょう3月15日発売「日刊ゲンダイ」のp12〜p29(見開きカラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第22回が掲載されました。今回は「スーツの手入れはどうすれば?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は3月29日(土)発売号の予定です。

2014年3月07日(金)
「ホビット 竜に奪われた王国The Hobbit: The Desolation of Smaug」を見てまいりました。いうまでもなく、「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」シリーズの前日譚「ホビット」シリーズの第2作目でございます。
 第1作目の「ホビット 思いがけない冒険」の時も感じましたが、「ロード・・・」三部作は重厚長大で暗いトーンの原作小説を、どれだけシーンをカットして映画の枠に押し込むか、が大事だったようでしたが、「ホビット」三部作は逆に、割と軽い児童文学である原作を、どれだけ映画として膨らませるか、そして「ロード・・・」の世界の前日譚として、どれだけつないでいけるか、がピーター・ジャクソン監督の思案のしどころだったんだろうな、と思わせるものがあります。原作者のトールキン教授は、初めにごく軽い児童文学として「ホビット」を書き、そこから中つ国の世界大戦を壮大なスケールで描く「指輪物語」を続編として書きました。当然、初めの構想からすると、とんでもなく話が大きくなってしまったわけなので、先に書いたホビットに相当、加筆を加えたほか、「指輪物語」の巻末にも、60年前の「ホビット」におけるビルボの冒険の時に、すでに指輪戦争につながるいろいろな前兆が起こっており、特に冥王サウロンの復活や、ガラドリエルやサルーマン、ラダガスト、ガンダルフたち「賢人会議」の人々が、このときどんな対処をしていたのか、といったことが記されておりまして、そういう部分を映画に盛り込んでいるわけです。そういうわけで、原作を知らない人には、初めから整合性がとれて見えるでしょうし、原作をよく知っている人からは、「ああ、ここでこのシーンを入れるのか」と納得するところが多々ある、そんな映画化になっております。
 本作の冒頭は、今回の冒険から遡ること1年ほど前、ホビット庄の隣村であるブリー(粥)村のご存じ「子馬亭」、「ロード・・・」ではフロド一行が初めてアラゴルンと出会うあの宿屋で始まります。離れ山のドワーフ王国の王位継承者、ドワーフのトーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)を付け狙うあやしい男たち。その一触即発の場に姿を現すのが灰色の魔術師ガンダルフ(イアン・マッケラン)です。トーリンに「黒の言葉」で記された兇状が回っていることを知らせたガンダルフは、かつての王国にすまう悪竜スマウグ(ベネディクト・カンバーバッチ)を打倒し、祖国を取り返すように諭します。このまま竜の支配に任せておけば、離れ山もいずれ悪の勢力の拠点になることを恐れてのことでした。そして、スマウグの元からドワーフ族の王位継承の証「アーケン石」を奪還するために、小回りの利く「忍の者」を雇い入れることを提案します。こうして、白羽の矢が立ったのが、ホビットのビルボ・バギンス(マーティ・フリーマン)なのでした・・・。
 そして1年後、オークの軍団の襲撃を受けたトーリン、ビルボらの一行は、熊男ビヨルン(ミカエル・パーシュブラント)の協力を得て危機を脱しますが、離れ山の秘密の入り口を見つけるには特定の日でなければならず、時間がありません。期日に間に合わせるには、闇の森を突っ切って行かなければなりませんが、森のエルフの王スランドゥイル(リー・ペイス)は排他的でよそ者を歓迎しません。それを承知で森を突破しようというそのとき、ガンダルフは、バラド・ドゥアの古い要塞で勢力を増しつつあるという謎の「死人使い(ネクロマンサー)」の噂を聞きつけ、早急に調査する必要を感じます。そこで、いったん一行から離れることとし、決して自分抜きで離れ山に踏み込まないようにトーリンに言い置きます。
 しかしガンダルフ抜きのドワーフ一行は、スランドゥイルの息子レゴラス(オーランド・ブルーム)と、警護隊長タウリエル(エバンジェリン・リリー)に捕まってしまいます。タウリエルは、エルフがドワーフと交わるなどあってはならないはずでしたが、トーリンの甥のキーリ(エイダン・ターナー)に心惹かれるものを感じます。過去の確執もあってスランドゥイルとトーリンの交渉は決裂しますが、ビルボは、ゴラムから奪ったあの「魔法の指輪」を使って脱走を成功させます。
 森を抜けた一行は、どこか謎めいた人間の弓の名手バルド(ルーク・エバンス)の手引きを得て、かつて離れ山との交易で繁栄したものの、今は見る影もなく寂れている湖の街に潜入。バルドは一行が離れ山の竜を呼び起こすことで災いが起きることを恐れますが、彼と対立している領主(スティーブン・フライ)は一行を歓迎し、離れ山に送り出します。
 そのころ、ガンダルフは茶色の魔法使いラダガスト(シルベスター・マッコイ)の協力を得てバラド・ドゥアに乗り込みますが、そこで彼が目にしたのは、恐るべき冥王サウロンの復活と、強力な悪の軍勢が集結しているさまでした。彼は力及ばずサウロンに屈服し、オーク軍の大将アゾグ(マヌー・ベネット)に捕えられてしまいます。
 さて、離れ山に到達したトーリンとビルボは、スマウグとどう対峙するのか。一方、ガンダルフの運命は・・・。
 ということでして、お話はすべて第3作目につながっていくので、まあどうしても「続く」という終わり方になってしまうのは致し方ないところ。この後、スマウグとの対決や、オークの大軍との決戦が控えている、というわけですが・・・。早く先が見たいですね、これは。
 前のシリーズと合わせた六部作の一作としてみると、興味深い点も多々あります。たとえば原作では「ホビット」には登場しないレゴラスが登場すること。そして、一行の一人グローイン(ピーター・ハンブルトン)から、息子のギムリの肖像画を見せられて「醜い奴だな」と呟くのですが、このレゴラスとギムリが、60年後には種族を超えた無二の親友となるわけです。またタウリエルが、オークの矢を受けて苦しむキーリを、アセラス(王の葉)という薬草で癒すシーンがあります。これは、本来なら指輪戦争でアラゴルンがゴンドールの城内で行う施術なんですが、ここで再現して見せてくれている感じですね。そういえば、タウリエルというこの女性エルフは原作では出てこない人物です。この点で、人によっては原作至上主義から嫌がるのかもしれませんが、映画としてみると、この人は絶対に入れて正解。というか、原作より面白くなっていると私は思います。あと、特筆すべきはカンバーバッチが演じる悪竜スマウグ。これ、声をあてているだけでなく、表情や動きまでモーション・キャプチャーに挑戦しており、ちゃんと竜のようにのた打ち回って演技したようです。それは大変ですよね。美声で知られる彼のこと、まことに存在感あるスマウグになりました。これは一見の価値があります。そういえば、カンバーバッチは英国BBCの「シャーロック・ホームズ」のホームズ役。一方、マーティ・フリーマンはワトスン役なんですね。思いがけずホームズ・コンビの顔合わせとなったようです。
 それからこれはちなみに、ですが、原作小説では、後に山の下の領主となるバインの孫ブラントが、60年後の指輪戦争でアラゴルンたちを応援するために参戦します。
 この後の展開もまあ、結局「ゆきて帰りし物語」なので、ビルボが指輪を持って帰還しなければ60年後の物語の伏線にならないわけです。「指輪物語」ではフロドがお供のサムに諭すわけです。「ビルボの冒険はゆきて帰りし物語だった。でも今回は違う。行ったら帰ってこれないかもしれない。それでもお前はついてくるのかね」と。だからまあ、結末は分かってはいるのですが、それでも楽しみですね。中つ国の冒険は、いったんはまると病み付きになりますね。
 

2014年3月01日(土)
きょう3月1日発売「日刊ゲンダイ」のp29(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第21回が掲載されました。今回は「スーツの由来は?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は3月15日(土)発売号の予定です。

2014年2月27日(木)
 「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」を見ました。あのクロエ・グレース・モレッツの出世作となった「キック・アス」から4年、待望の新作ですが、原題はKick-Ass 2と至ってシンプルです。前作ほどの強烈なハチャメチャ感は薄れていますが、凄惨なバイオレンスとずっこけコメディーの奇妙な混交ぶりは相変わらず。前作の監督マシュー・ヴォーンは製作に回り、新人のジェフ・ワドロウが脚本と監督を担います。
 作品の中の世界もあれから数年。前作で父のビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)を失ったミンディも高校生となりますが、相変わらず父親代わりの警察幹部マーカス(モリス・チェスナット)の目を盗んでは、最強のヒロイン「ヒット・ガール」となって街の無法者を退治する自警団活動に精を出しています。一方、かつて世間の「正義の味方」ブームの火付け役となった「キック・アス」ことデイヴ(アーロン・テイラー・ジョンソン)は活動を引退し、退屈な日常にうんざりしています。そこで、デイヴはミンディに持ちかけてコンビでの活動を提案。しかしそんな中、ミンディは彼女の自警団活動を気付いたマーカスから、ヒット・ガールとしての活動をやめるように固く言い渡されてしまいます。ミンディは「普通の女子高生」になることにしますが、「ハニー・ビー=女王蜂」(アメリカの高校特有の学園の女王様)であるブルック(クローディア・リー)から目をつけられ、いびりぬかれることに・・・。
 一方、ミンディとのコンビを組めないことに落胆したデイヴはネットで知り合ったヒーロー仲間のドクター・グラヴィティ(ドナルド・フェイソン)を通じて新しい正義の世直しヒーロー集団に加入。ヒーロー軍団の合言葉は「正義よ永遠なれ!」。リーダーはスターズ&ストライプス大佐(ジム・キャリー)というカリスマ的な人物です。
 キック・アスが新しいヒーロー軍団と活動を再開したことを知って、かつてキック・アスに父親のギャング組織ボス、フランコ(マーク・ストロング)を殺害されたことを根に持っているかつての「レッド・ミスト」ことクリス(クリストファー・ミンツ・プラッセ)は、思いがけなく母親が死んだのをいいことに、莫大な遺産を手にして、悪の軍団を組織し、自らを悪のヒーロー「マザー・ファッカー」と自称するようになります。その配下には旧KGBの女殺し屋マザー・ロシア(オルガ・キュルクリナ)など凄腕の悪人が集結。キック・アスとその仲間に対して宣戦布告します。
 悪の軍団は手始めに大佐を襲い、血祭りにあげ、さらにほかの仲間も襲撃。覆面をした正義と悪の集団が夜の街で殺し合いを繰り返す事態に、マーカスたち警察幹部は業を煮やし、マスクをした者は正義でも悪でもすべて逮捕する、という強硬手段に。デイヴの家にも警察が来ますが、父親のリゼウスキ(ギャレット・M・ブラウン)は息子をかばって逮捕されてしまいます。留置所にマザー・ファッカーの部下が現れ、リゼウスキを虐殺してしまいます。キック・アスの怒りは爆発、ミンディも加わり、ついに正義のヒーローたちと悪の軍団の決戦に・・・。
 というような展開でして、面白いことに、ニコラス・ケイジとマーク・ストロングがやたらににっこり笑った遺影として「出演」しています。そもそもクロエ・モレッツのための作品、という感じの本シリーズ、彼女の魅力は今作でも全開です。近作の「キャリー」そっくりの展開があって、クラスの女王様にいじめられるわけですが、そこがキャリーとミンディの違い、超能力に頼ることなくいじめっ子たちに逆襲していくところが興味深いです。一方、アーロン・ジョンソンは私生活では結婚して子供までいるので、そろそろ冴えないアメリカの高校生、という役柄はきついかもしれません。うまくやっていますが。でも、今やカッコよすぎますね。
 ニコラスに代わる大物としてジム・キャリーが登場。しかし案外、出番は少ないのですね。
 悪の軍団の面々も個性的ですが、とりわけ目を引くのが、今作でヒット・ガールの最大の敵となるロシアの女殺人マシーン、マザー・ロシア。演じるオルガ・キュルクリナは1971年生まれのロシア系イスラエル人で、高跳びとボディビルの選手だとか。ものすごい存在感です。今後も映画界で活躍してくれるかもしれません。それから、サブキャラながらミンディをいじめるブルック役のクローディア・リー。女優としては長編映画初出演だそうですが、劇中で見せたダンスや体当たり演技はなかなかの見もの。憎まれ役というのもなかなか難しいものですが、シンガー・ソングライターとしても有望な17歳だそうで、これからの成長に期待できそうです。
 映画は最後、エンド・クレジットの後の追加シーンで、なんとなく「キック・アス3」を作っても良さそうな雰囲気を匂わせて終わりますが、さてどうなりますか。できれば大人になったミンディとデイヴによる3作目を見てみたいシリーズですね。
 

2014年2月16日(日)
 ここに来てようやくソチ五輪もメダルがそろってきました。今回は今のところ、男性選手が頑張っているような。なんといっても羽生結弦選手の快挙が光っていますが、それで改めて注目されているのが、彼が演技のBGMに使用している「パリの散歩道」という曲。これ、知る人ぞ知るゲイリー・ムーアの1978年のヒット曲で、原曲はアルバム「バック・オン・ザ・ストリーツ」に収録されています。しかし羽生選手の使用しているのは、有名なマーキークラブでのライヴ・バージョンのようですね。ゲイリーのファンである私は、自分の結婚式に妻のピアノ伴奏で、この曲を演奏したぐらいですから、よく知っていますが、初めて聞いた若い世代などには新鮮だったのではないでしょうか。人によっては、郷ひろみさんのカバーで知っているかもしれないし、また最近で言うと、NHKの「セクスィー部長」のテーマ曲、ということで知っていた人もいるかもしれません。なぜ羽生選手が、彼からすれば随分、昔の曲を使うことになったのか、私は存じませんが、人間国宝級のエモーショナルで官能的なギター、と評されたゲイリー・ムーアの演奏が、羽生選手の演技を大いにもり立てていたのも間違いないと思います。
 そのゲイリー・ムーアは大震災のちょっと前、2011年の2月に亡くなりました。ちょうど亡くなってから3年、というタイミングで、彼の曲がこういう形で注目されるのは、昔からのファンの一人として嬉しいことです。

2014年2月15日(土)
きょう2月15日発売「日刊ゲンダイ」のp29(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第20回が掲載されました。今回は「注目のロシア流を取り入れたいが・・・」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は3月1日(土)発売号の予定です。

2014年2月08日(土)
 午前9時過ぎ、千葉県浦安市も銀世界です。朝起きてびっくりした方も多いのではないでしょうか。今日はまだまだ降りそうですが、私はこの後、出社です・・・大変だ。

2014年2月07日(金)
 「マイティ・ソー ダーク・ワールド THOR THE DARK WORLD」という映画を見てきました。2011年の「マイティ・ソー」および12年の「アベンジャーズ」の続編となる作品。そして、お話は来年に公開予定のアベンジャーズ続編にもつながっていく予定です。
 北欧神話の英雄神ソー(トール)を演じて3度目となるクリス・ヘムズワースもすっかり板についてきましたが、相変わらずどこかお人よしのキャラはそのまま。そして、このシリーズで人気者となったロキ役のトム・ヒドルストンは大活躍。こちらも、敵なんだか味方なんだか分からない食えないキャラクターぶりが最後まで目を離せません。また、アベンジャーズの戦いの間、ノルウェーにいてソーに会えなかった、という設定のジェーン役はナタリー・ポートマン。1作目ではひたすら得体のしれない異星人にふりまわされる、という役柄でしたが、今作ではストーリーのカギを握る大活躍をします。また、これまでの出演陣もみな総結集。父親オーディン役のアンソニー・ホプキンス、母親フリッガ役のレネ・ルッソ、アベンジャーズでロキに乗り移られてからちょっとおかしなキャラになってしまったエリック博士役のステラン・ステルスガルド、1作目ではチョイ役だった助手ダーシー役のカット・デニングス・・・いずれも今までよりもフィーチャーされています。一方で、そのあたりの人物の人間ドラマを重視したので、ソーの戦友たちで、1作目では大活躍したヴォルスタッグ(レイ・スティーブンソン)、ファンドラル(サッカリー・レヴィ)、ホーガン(浅野忠信)の出番は少ないです。浅野さんなんか、序盤にちょっと、最後にちょっと、と2回ほど顔出しするだけ、になっていて残念。ただし、ソーに片思いしている美女シフ(ジェイミー・アレクサンダー)はちゃんと活躍していますが・・・ソーもなんですね、美女2人に囲まれていて、モテモテなわけですね。シフちゃんがちょっとかわいそうな感じになっていますが・・・。
 どんなお話かといえば、アスガルド人が九つの世界を支配するようになる以前に、世界を支配してた闇の軍団ダーク・エルフの長マレキス(クリストファー・エクルストン)が長い眠りから復活し、惑星直列の機会を狙って、闇のエネルギー「エーテル」を開放し、世界を再び闇に閉ざそうと画策します。問題のエーテルはかつて、オーディンの父ボーが地球に隠したのですが、偶然、それを科学者であるジェーンが発見してしまい、彼女は体内にエーテルのパワーを取り込んでしまいます。地球のジェーンに異変が起こったことを知ったソーは彼女を救出し、アスガルドの宮殿に連れ帰りますが、そこをマレキスの軍団が奇襲、多くの犠牲者が出ます。オーディンは徹底抗戦を決意しますが、ソーはマレキスにジェーンの体内からエーテルを取り出させ、その機を狙って攻撃するプランを立てます。そして、地下牢に幽閉されている反逆者の弟、ロキに協力するよう申し出ます。さて、ソーの計画はうまくいくのでしょうか。ロキは本当に味方なのか、やはり裏切るのか・・・そんな展開でございます。
 前作までで安定した世界観ができているので、安心して見ていられる作品。そして、結構コミカルな部分も多いのが目につきます。監督はテレビシリーズ「ローマ」で知られるアラン・テイラー。ダークエルフという新たな敵の設定は、ちょっと取ってつけな御都合的なものも感じるのも事実ですが、脚本は十分に練れていて、今回は単純なアクション映画ではなく、なかなか見応えある人間ドラマになっていますよ。シリーズものですが、本作一本だけ見ても十分に面白くみられるようになっているのは、さすがの配慮ぶりを感じます。

2014年2月01日(土)
きょう2月1日発売「日刊ゲンダイ」のp29(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第19回が掲載されました。今回は「本当に暖かい防寒着は?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は2月15日(土)発売号の予定です。

2014年1月30日(木)
 日本映画専門チャンネルという局がありまして、そこで1959年の大映作品「あ々江田島 海軍兵学校物語」というものを見てしまいました。冒頭、海軍兵学校の生徒たちの亡霊が次々と純白の二種軍装で現れる幻想的なシーンが印象的で、そのまま見ちゃいましたね。
 なんといっても前半部、兵学校の日常を描く部分が秀逸でして、三号生徒の入校式とか一号生徒の卒業式、あとは後半にある主要人物が戦死してしまって葬式のシーンがあります。それはもう戦後14年しかたっていない時期の製作なので、よく描かれています。
 冒頭部に近い入校式で演説している校長の将官が出てきますが、昭和17年末というと井上成美中将ということになるんでしょうか。
 それで、新入生を前に上級生が気合を入れる「自己紹介」のシーン。海軍兵学校には自治的な組織がいろいろあって「係」と称していたんですが、一号生徒(3年生)が正式な●●係、二号(2年生)が●●係補佐、三号(新入生)が●●係付き、となる次第。普通の学校にもありそうな「図書係」とか、軍の学校らしい「小銃係」というのはすぐに分かります。で、映画の中ではある一号生徒が「軍歌係、弥山(みせん)係、ヤギ・アキラ」と名乗ると、新入生が「それはなんのお仕事でありますか?」と聞く場面があります。で、弥山係というのは、年に1回、兵学校生徒が安芸の宮島の弥山に駆け足で登山する訓練を担当する係だ、と説明を受けるんです。
 しかし、私はその弥山係もよく分からないけれど、むしろ最初に分隊伍長(学級委員長、首席の人)が名乗った「第203(ふた・まる・さん)分隊伍長、シュホ・ヨウコウカン・ガカリ、サタ・ケイイチロウ」という方がよほど一般的には分からないように感じました。漢字で書くと「酒保・養浩館係」となります。酒保は要するに売店のこと、養浩館というのは娯楽室のこと。売店・娯楽室担当ということですね。こんほか、映画では出てこないのですが「被服・月渡品係」なんてものもありました。ヒフクはいいとして、後の方をゲットヒンと読める人はすでに普通の人ではないのでは? これは月々に支給される生活用品、官給品の係をさします。
 卒業式で、軍楽隊が演奏する中、見事にクラスヘッド(学年首席)となったサタ伍長が「御下賜品拝受者(ごかしひん・はいじゅしゃ」として、天皇陛下から賜る短剣を受け取るシーンなど、本当に見応えがありました。
 後半ちょっととってつけ、な感もありますが、資料価値的にも興味深い映画ですね。

2014年1月26日(日)
 なんかあっという間に今年も1か月が終わろうとしています。いま、進行中のプロジェクトがあるので、内心ではけっこう焦っていたりします。おまけにこのところ、ちょっと内外にゴタゴタがありまして、いろいろと。ストレス多いです。
 まあそんな心境を和らげようと(?)、通りすがりの日比谷・帝国ホテル地下アーケードに入っている婦人服店・伊太利屋http://www.italiya.com/さんの店頭で、大変、よくできたホワイトタイガーとユキヒョウのぬいぐるみを発見。なんでも聞きますと、婦人服のかたわらで作ってみたぬいぐるみなのに大人気で、入荷する横から売れてしまう大ヒット商品なのだそうです。
 当然、うちの玲子さんがほっておくはずもなく、2匹を購入致しまして、我が家になかよく鎮座しております。さすがに高級アパレルの手掛けたもの、生地の選び方、縫製・仕上げも素晴らしいように見受けますね。
 伊太利屋さんはガレーヂ伊太利屋として高級輸入車販売でも有名だそうで、いろいろなことをされている会社なんですね。

2014年1月22日(水)
 雪の予報が出ていましたが、深夜の午前2時頃、千葉県浦安市でも一時的にかなり激しく雪が舞い散りました。すぐにやんでしまったようですが。今年はなかなか寒いですね。

2014年1月19日(日)
先日の報道で、サントリーが米バーボン酒造大手のジムビーム社を合併する、とのニュースが流れました。それで、日本ではそんなに誰しもが知っていたわけではない同社の名前もかなり知れ渡ったのですが、この会社のコピー'world's finest bourbon' 「世界で一番素晴らしいバーボン」というのも目に付くようになりました。しかし、英語で見るとバーボンというのはつまり、「ブルボン」なんだな、と気がつくわけです。これは、ケンタッキー州バーボンで醸造が始まった酒のことですが、この地名というのは、そもそもアメリカ独立戦争でアメリカ植民地側を支援してくれたフランス、ルイ16世のブルボン王家にちなんだもの。よって、ブルボン酒という名前なんですね。アメリカにはほかにも、「ルイ王の土地」ルイジアナに、メイン州にあったフランス領アルケディア植民地の名にちなむケイジャンの人々がいて、今でもフランス語を守っていたりします。アメリカという国もそれなりに17世紀ぐらいからの歴史はいろいろあって、面白い物です。


2014年1月18日(土)
きょう1月18日発売「日刊ゲンダイ」のp12(カラー)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第18回が掲載されました。今回は「サラリーマンにふさわしい手袋は?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は2月1日(土)発売号の予定です。

2014年1月14日(火)
きょう1月14日発売「日刊ゲンダイ」のp5(白黒)にあります「ACミラン本田圭佑のファッションセンスがイタリアでえらいことになっている」に私、辻元よしふみがコメントを寄せております。ご覧頂けましたら幸甚です。

2014年1月13日(月)
 成人の日ですね。晴れ着姿の方をちらほら見かけました。私は今日は東京メトロ東西線の日本橋駅で降りて、日本橋三越で開催中の長崎展を見てきました。イートインで五島灘丼というのを食してみました。1781円です。3連休ということでかなり盛況でした。本展は明日までです。

2014年1月09日(木)
 このほど、新浦安ダイエー2階の天然石専門店「クリスタルワールド新浦安店」さんでこんなものを発見! 昨年の2月にロシアのチェリャビンスク郊外に飛来して世界を騒然とさせた「チェリャビンスク隕石」です。一部では、この隕石は地球文明に対する攻撃で、それを友好的なエイリアンの宇宙船が破壊して地球を守ってくれたのではないか、などというお話まで飛び出している謎の隕石であります。そこらのトンデモ系の話題はともかく、あの恐竜が隕石の衝突で絶滅した、というのは本当だったんだ、また20世紀初めのツングースカ隕石というのもこういう感じだったのか、と人々がしみじみ再認識した驚異の現象でした。
 それで、前からこの隕石の小片が少しずつ出回っていて、我が家でも妻の玲子さんが前から欲しがっていたのですが、灯台もと暗し、御近所で売っていたのですね。
 ということで、宇宙からやってきた最強のパワーストーン、我が家に鎮座することになりました。宇宙のかなたから飛来して、さらにロシアの地から我が家まで来てくれたこの石、その御縁に不思議な感じがいたします。

2014年1月04日(土)
きょう1月4日発売「日刊ゲンダイ」のp5(白黒)に私、辻元よしふみの連載「鉄板! おしゃれ道」第17回が掲載されました。今回は「スーツと靴、どちらにお金をかけるべき?」です。本連載は隔週土曜日掲載で、次回は1月18日(土)発売号の予定です。

2014年1月01日(水)
 あけましておめでとうございます。今、元日の午前2時すぎですが、近くの神社にお参りしてきました。どうぞ皆様、本年も宜しくお願い申し上げます。

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