”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。


不定期日記 2006年

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2006年12月31日(日)
最後の最後でフセインの処刑というおまけまであった2006年も今日で終わり。どうなんでしょうかね、世間的に見ても・・・まあ、あまりぱっとした1年じゃなかったのではないでしょうか。私は・・・まあまあ、だったかな。うーん、去年よりはまし、という感じだったかもしれない、トータル的には。
 それにしても、アメリカには「多極主義者」というのが大勢いて、アメリカが世界から手を引いて、経済エンジンをあちこちに作ることで、国境を越えた金儲けが出来ればそれでよし、と考えているために、アメリカは最近どこに行っても勢力後退気味なのだ、あれはわざとやっているのだ、などという説を唱えている田中宇さんなんてジャーナリストがいらっしゃいますが、どうも私はそういうのは、アメリカのエリートを過大評価しすぎというか、そんなに物事が分かっていて陰謀的になにかをリードしているならむしろ頼もしいけれど、実際にはただただ人類の今の文明が行き詰りつつあるだけではないか、という気がしてなりませんが。
 なんか昨日あたり、たけしの超常現象番組、という毎年やっている特番をやっていましたけれど、なんといってもセヴェリーノだかなんだかいうブラジルの預言者というのが気になりましたよね。
 2007年も災害が多い、トルコなどで地震、フィリピンで巨大台風、という予言も嫌だし、2008年9月13日にアジアで惨事が、という予言も気になりますが、ネット検索すると、あの人、2043年には人類滅亡か、と言っているそうでもあります。
 ま、無責任なことを言えば私なんかもうそのころ80過ぎ。とっくに人生終わっているかも知れず、本当だったとしてもどうでもいいですな。
 なんで子どもが増えないのか、なんてはっきりしていまして、こういう終末論的なイメージをみんなが持っているようでは、子どもなんて増えるわけがありません。先進国が行き詰まりを感じていることだけは確かですね。
 日本も来年当たりはどんどん増税が始まりますでしょ? まあ・・・なんかねえ。安倍さんの支持率が下がるなんて当たり前だわな、もともと、イメージばかりでなにもしていなかった小泉さんが放り出していったことの後始末をする運命なんだから。
 とにかくまあ、これで2006年もおしまい。
 本年もお世話になりました。2007年もよろしくどうぞ。
 

2006年12月27日(水)
昨日ふれたジェームス・ブラウンの最期だが、スポニチにAP電の引用として「ブラウンさんは、亡くなる3日前までオーガスタで行われたショーに出演。24日に病院に運ばれ、最期の言葉は「今夜出かけるよ」。その後3回ため息をついて息を引き取ったという。また、ブラウンさんの代理人は死因を心不全と発表した」ということで、やはり最後の最後まであの激しいショーをやって、そのまま旅だったらしい。見事な最期である。
 青島幸男さん、岸田今日子さん、カンニング中島さんと2006年末に駆け込むように訃報が相次いだ。35歳でなくなった中島さんはあまりのことに言葉もないが、あんな人でもこうして人生を退場するのか、という人も多く、無常観に包まれますな。
 ◇  ◇  ◇
 それに加えてまた、駆け込むように安倍内閣の佐田大臣が辞任である。というか多くの人は今回の辞任報道でこんな大臣がいたのを知ったのじゃないか。
 なんかもうあの内閣もメタメタですな。私はアンチ安倍でも安倍大好きでもなく、まあはっきりいってなんとも思っていなかったのだが、こうなってくると駄目じゃないのですか、あの内閣も。まったく統率がとれないみたいですね。
 かといって民主党というのもどんどん魅力低下中。
 なんか仕事で扱っていても馬鹿馬鹿しくなりますな。

2006年12月26日(火)
クリスマスに亡くなる人、というのは徳が高い、神様に愛されている人だ、という。そんなことをチャーリー・チャプリンが亡くなったときに聞いた覚えがある。
 きのう25日、ソウルの帝王ジェームス・ブラウンが73歳で亡くなった。つい最近まで派手なステージをつとめていただけに信じられない。
 死因は肺炎をこじらせたということらしいから、無理をしたのかもしれない。
 実は、ほんの数日前にあの「ブルース・ブラザース」のDVD・・・長らくDVD化がなかったものが最近になってリリースされて、それを買ったばかりだった。そしてまた、たまたまあの、教会で踊り狂う謎の説教師役のジェームス・ブラウンと、それをみて神の啓示を受け、これまた踊り狂うジョン・ベルーシの滑稽にしてゴージャスなシーンを見て笑い転げたばかりだった。はて、自分にもなにかの予感があったものか。
 これだけ音楽の流行が変わり、ロックンロールの時代からハードロック、パンク、そしてヒップホップ時代を経ても一度も忘れ去られることなく、それどころか後進のミュージシャンに影響をあたえ続けた。すごい人だったが、またひどくあっけなく旅立ってしまった。
 残念だが・・・神様からほんとうにコーリングされたのかもしれない。
 しかし、ブルース・ブラザースに出ていた人の中でもかなり物故者が出てきた。私にとっては音楽と、ミリタリーと、おまけにナチスネタまで入っている宝物のような映画である。
 ◇  ◇  ◇
 年末にあたってどうということもなく、まあ世間よりは短いが何日か正月も休めそうだ。それで、ゲーム機をそろそろ更新しないと・・・などと思っていたのだが、というのもここ6年間酷使してきたPS2がついに読み込みが出来なくなってきたからだが・・・だましだまし起動してみたら、おとといから急にまた動き出した。
 で、先日から買ったばかりで、機械が動かないため放置していたゲームをちょっとやることができた。KIDの「ホワイトブレス」というのである。
 まあ、基本的に恋愛ゲームであり。それももともとは2004年発売の18歳未満禁止のゲームだったようだが、そういうお色気シーンは大幅にカットしてストイックな内容に改まっている・・・が、そのためにかえって面白い電子小説になっている。
 よくありがちな、きれいな幼なじみの従姉、友達以上恋人未満の級友、といった登場人物の設定はこの手のゲームにありがちだが、そして文芸的な批評をする人にはこういうことが不満かもしれないが、私は非常に面白いと思っている。というのも、そのへんの下手な小説よりもずっとディテールが良くできているからだ。
 ことに、両親の離婚のために、家族からただの後輩になってしまった「元義妹」の存在とか、また逆に親の再婚で義理の弟ができてしまったヒロイン、さらに自分の親だと思っていた人たちが実が赤の他人で、自分はもらわれッ子であることを知る別のヒロイン・・・などなど、なんかこう「家庭の崩壊とアイデンティティーの喪失」というテーマが実に濃厚である。ゲームだから、ストーリーの分岐があるわけで、小説のように一本道ではない。特定の人物とかかわることで、その人の背景が見えてくるので、逆に言えば深入りしないとその人の悩みが分からないまま終わる。
 きわめつけは、主人公は難病を抱えていて、あるヒロインとの決着をつけてまもなく倒れてしまい・・・なんと、展開次第では命を落とすこともある。そういうわけで、相当に重苦しい話である。
 とにかく現実の高校生、というか自分の高校時代を振り返っても、考えられないぐらい一生懸命に自分の存在証明をかけて生きる登場人物ばかりで、なんだか、作り話ながら申し訳ないような気さえしてしまう。が、思うにこういう物語が求められている、というのはひとつ、今時の状況を反映しているのか。
 まずもってありえない設定ながら、実に後味が残るゲームである。
 KIDは以前も「メモリーズオフ」など、ずいぶんと重い味のゲームを出している。 
 近頃はまったくゲームなどやらなかったが、久しぶりになんか夢中になった。年甲斐もなくと思われるかもしれないが、いや、かえって40に近くなると高校生活を描いた物語など懐かしい感じがしてくるものである。
◇  ◇  ◇
 調べていたらそのKID社は先頃、倒産してしまったそうだ。実に残念だ。ホワイトブレスが遺作となってしまったらしい。MSNによれば「ゲームソフト会社のキッド(資本金1億6090万円、東京都大田区、市川久祥社長)が11月30日に営業を停止し、12月1日に東京地裁へ自己破産の申請を申し立てたことが分かった。民間の信用調査会社、帝国データバンクによると、負債総額は約5億3000万円。同社は88年に設立。「Ever17」など恋愛をテーマにしたソフトを中心に開発、06年もプレイステーション2向けソフトを月1タイトル以上のハイペースで出していたが、携帯ゲーム機のヒットなどに押されて売り上げが伸びず、資金繰りに行き詰ったという」ということで、やはりPS2,あるいはソニーの勢いの陰りに心中した形のようである。


2006年12月23日(土)
今年最後の映画鑑賞になると思うが「エラゴン 遺志を継ぐ者」を見てきました。原作者はなんと15歳でこの小説を書き始め、17歳で自費出版、書店や図書館をめぐって置いてもらっていたところ人気爆発、大手出版社の目に留まり300万部のベストセラー、という驚くべき経過を辿ったもの。しかし15歳、というのはすごいね。トールキンのロード・オブ・ザ・リングの愛読者だった彼は、がっちりした正統派ファンタジーを書いてみたくなったのだとか。パロディーじゃなくてガチンコ勝負なのが小気味よく、むしろ大人の知恵だといろいろ難しく考えがちなのを、自然に書きたいものを書いた、その勝利でしょうね。
 で、3部作の予定だがまだ第三部は完成していない。だがその時点で早くも映画化決定してついにその第一作が日の目を見た、というわけです。
 で、見た感じですが、これは面白いです。非常に面白い。ロード・・・以来、ファンタジー活劇の映画化が盛んですが、本家のロードの次ぐらいに面白いんじゃないか。あそこまでのスケールは無いけれど。まあ当社比(笑)ハリー・○○○ーとかナル○○とかより、正統派のファンタジー戦争映画としてずっと見ごたえアリ。
 ドラゴンを乗りこなす「ドラゴン・ライダー」たちが世界の安定と繁栄に貢献していた世界。だが、一人の野心的なライダーが、他のライダーを抹殺し世界を支配しようともくろむことで、世界は危機を迎えます。そこで一人、ふとしたことから「ドラゴンの卵」を手に入れた、農家のごく平凡な17歳の少年エラゴンは、圧制者と戦う新たなドラゴン・ライダーになる宿命を受け入れていくわけであります・・・。
 ということで、ロード・オブ・ザ・リング+スター・ウオーズ+ゲド戦記、という具合でしょうか、あえていいますと。エルフとかドワーフなども出てくる典型的なトールキン型のファンタジーですが、あちらほどエルフやドワーフがそれらしく見えません、というか人間と区別がつかないんですが。
 主人公は実際に17歳で、これまでまったくプロの俳優経験が無いずぶの素人、これがなかなか内容に合っているので好感をもてる。エルフの王女様をやっているのは「タイムマシン」で見たあの美女、これもはまっている。エラゴンを助ける謎の騎士にジェレミー・アイアンズ・・・どっかで見たような、と思えばキングダム・オブ・ヘブンでも同じようなコスチュームで同じような騎士役。そして悪い王様はあのマルコビッチ。後半出てくる謎めいた少年役はどこかで見たと思ったらトロイでブラッド・ピットの従兄弟やってた人。
 ということで、どこかで見たような顔ぶれなんだが、しかしすごい有名人、というのもいない感じ。
 いちばんの見せ所はドラゴンのサフィラなんだが、これはまあ、今時の技術だから生きているように描けていて当然か。声をやっているのは「ナイロビの蜂」「ハムナプトラ」「コンスタンチン」などの売れっ子レイチェル・ワイズ。実はこれがいちばんの大物配役かも。とにかくドラゴンは魅力的である。一見の価値アリ。当社比(・・・)ゲド○○よりはずっと存在感あるドラゴンである。
 そういうことで日本で受けそうな配役ということでもなく、どこまで人気が出るか不明なんだが、3部作の映画化は決まっているそうで、登場人物の伏線も張られているので、ぜひ後の展開を見てみたい。
 ◇  ◇  ◇
  そんなことで2006年もけっこう映画は見たほうだと思うが、個人的に印象が強かったのは「戦場のアリア」「バルトの楽園」「トンマッコルへようこそ」「硫黄島からの手紙」「ユナイテッド93」「デスノート2」「パイレーツ・オブ・カリビアン2」「王の男」「トゥモローワールド」でしょうか。それから駄作の呼び声につられて見た「ゲド○○」と「ダ・ヴィ○○・コー○」は、激しい駄作の期待がかえって裏切られ、「思ったよりもずっとまともじゃないか」という後味。
 やはり妙に過剰な期待は持たないことが大事なのかも。
 

2006年12月20日(水)
それにしてもなんで、今年に限ってこうも「ブレイク」しているのか。「ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の流行が止まらない。全国約3000の小児科の定点調査で11月下旬、1施設当たり過去最多の患者数を記録して以降も全国の学校や老人施設、旅館などで患者の集団発生が続発。過去最大の流行になることはほぼ確実。冬の流行は毎年のことだが、今シーズンはなぜ多いのか。ウイルスの遺伝子変異が一因に挙げられているものの、決定的理由については専門家も首をかしげる」(共同)というわけで、専門家にも実は分かっていないようだから困る。ノロウイルスなんて昔からあったわけで、今年は暖冬だから、といっても暖冬もここ10年ほど、むしろ暖冬気味のほうが普通で昨冬のようなパターンのほうが珍しかったぐらいだ。説によれば、今までは「風邪」とか「インフルエンザ」、つまり「今年の風邪は腹に来ます」とかいっていたものの中に、ノロもあったのじゃないか、という。それにしても。
 実はこのウイルス、発見されたのはここ40年ほど前。そんなに昔から知られていたものじゃないようで、また「ノロ」ってなに、野呂さんでも発見したのか、と思ってしまうが、どうもアメリカで最初に発見されたノーウォークという町の名前にちなみようだ。
 ウィキペディアには「1968年、米国オハイオ州ノーウォークの小学校において集団発生した胃腸炎の患者から発見され、1972年に電子顕微鏡によりその形態が明らかにされたウイルスが「ノーウォークウイルス(Norwalk virus)」と名づけられた。・・・1977年、札幌で幼児に集団発生した胃腸炎から、ノーウォークウイルスとよく似た小型球形ウイルスが病原体として発見され、サッポロウイルス(Sapporo virus)と名付けられた。・・・2002年、第12回国際ウイルス学会(パリ)において、それまでノーウォーク様ウイルスと呼ばれていたものを「ノロウイルス属(Norovirus)」、サッポロ様ウイルスと呼ばれたものを「サポウイルス(Sapovirus)」という名称で呼ぶことが定められた」という次第。なんと「ノロウイルス」という名前ができたのは2002年、たった4年前であるからなじみがないのも道理である。確かに、今までは冬の風邪だと思っていた症状の中に実はこのウイルスがあったのかもしれない。
 今のところ対症療法しかなく、老人子どもには死病だというから恐ろしい。なんとかならないものですかね。

2006年12月19日(火)
本間正明なんて人名は、政財界の人かマスコミ関係者でもない限り、決して有名なものじゃなかったと思う。少なくともほんの半年前には、前任者の石弘光(この仁だっていろいろ言われたけれど。税調の委員長なんて末代まで恨まれる可能性がある、名誉などと思って引き受けない方がいいのじゃないか、経済学者の皆さん)のほうがよほど知られていたと思う。が、今やワイドショー的な週刊誌的なネタの人となってしまった。馬鹿である。
「愛人との公務員宿舎同居問題で針のムシロの本間正明政府税調会長。18日付で宿舎からの退去を届け出たが、与党からは自発的辞任を求める声が強まるばかりだ。安倍晋三首相は18日夜、記者団に「職責を全うして責任を果たしてもらいたい」と表明。自民党の中川秀直幹事長も「官舎利用は規則違反に当たらない」と擁護したが、本間氏の援軍は与党内にも数少ない。塩崎恭久官房長官が18日午前の記者会見で「説明責任は本人にもある。実態をきちっと説明してもらうことが大事だ」と述べれば、自民党の石原伸晃幹事長代理も、「本間氏は社会的な責任を有している」と自発的辞任に期待を示し、中川昭一政調会長も「本人が判断するのではないか。政策以前の話」と突き放した。公明党の漆原良夫国対委員長も「本人がなかなか(辞任を)決断できないなら、(首相が)決断してやるのが最もいい」と指摘。・・・安倍首相サイドとしては、消費税増税に傾いた石弘光前税調会長を差し替える形で、法人税減税先行の「成長路線」が持論の本間氏を起用した経緯があるだけに、簡単には辞めさせたくないのが本音のようだ。しかし、年明けの通常国会まで進退問題が長引いた場合、野党の絶好の攻撃の的となってしまう」(産経・夕刊フジ)てなもんで、もはやとても長くは勤まらない感じである。しかしなんで、こんなの間違いなく反対派からつつかれて週刊誌にでもネタにされればまずいだろうに、そのへん考えなかったのかねえ。
 本当を言えば、消費税を上げたい財務省あたりがこの男をつぶして邪魔者を葬りたいのかもしれないが、しかしなんであっても、合理化がどうの税制がどうのと議論している本人が公私混同して税金の無駄食いをしているというのでは、かばう気もうせる。
 前の首相だとこのへんでなんか無茶苦茶な論理を言い立てたり、別の問題をさも問題のように持ち出したりしてうまく誤魔化したろうが、安倍さんはそういう芸はないだろうし。
 とにかく、まもなく増税だ、増税だ、とずっと言っているわけで・・・財務省のPRは成功してきたわけでして、そんなことを知っていて個人消費が増えるはずもなく、GDPもじりじり下方修正であって、見通しというのはグズグズと暗い。
 しかしあれである。2007年までに高い買い物は済ましておいた方がいいんじゃないか、と私は思う。私は先日、ブライトリングのクロノコクピットを購入した。後回しにしていると本当に買いはぐれると思うからである。
 

2006年12月18日(月)
 話題の映画が多い中で埋没しがちなのかもしれないが、韓国映画「王の男」を見てきまして・・・これが面白かった。埋もれてしまうのはもったいない。「トンマッコルにようこそ」を上回る4人に1人の韓国人が見た、という映画である。それも時代劇であるから異色である。
 時は1500年ごろ、というから日本は戦国時代のまっただ中である。朝鮮李氏王朝の9代目・燕山君の時代である。この人というのは、暴君の代名詞で韓国の人で知らない人はいない人物だそうだ。ちなみに、この暴君の行った粛清で父親を殺された少女が、その後、官女として人生を切り開いていくのが燕山君の次の王様、中宗の時代を扱う「チャングムの誓い」だそうである。中宗というのは燕山君の異母弟で、燕山君はクーデターを起こされて追放・配流の身となる。
 が、この王様が暴君となってしまったには訳があって、生母が父王の命令で毒殺されたことから、非常にねじくれた性格になってしまった、ということらしい。だから暴君ではあるがなんだか可哀想なんである。
 この王様、しかし見ようによれば儒教道徳にがんじがらめの朝鮮王朝の中で異色の人でもあり、身分の低い人を登用したり、古い重臣たちを粛清したりというのも見方によれば改革の人であって、残虐な暴君か、恐れを知らぬ改革者か、という両面を併せ持っているという点では、日本の織田信長のようなイメージもあるらしい。
 その王様に取り立てられて、異例の「王の芸人」となった連中がいた。しかもその中に一人、今で言う女形、絶世の美女のような姿かたちだが立派な男性、というのがいて、これが「王の男」として宮廷の権力闘争に巻き込まれていく、という非常に異色な内容である。ことに韓国映画として、そういったニューハーフというか、同性愛的なテーマを取り上げるのは異例ではなかろうか。
 そもそも評判だった舞台劇の映画化で、「トンマッコル」とも共通するが、舞台がルーツの映画の脚本はきわめて質が高いものになる。すでに多くの人の「市場テスト」を経ており練られ方が違うからである。
 そもそも、重臣たちの忠誠心や母親の死について疑心暗鬼にとらわれている王様、これに対して芸人たちが必死に芸をして見せるわけですが、王様の右腕のある大臣が、明らかに意図的に情報リークというか、重臣のスキャンダルや汚職、さらには王母殺しの顛末などを芸人たちに脚本として手渡していくわけ。それを演じるたびに王の怒り爆発、宮廷の粛清が進んでいくわけです。しかし、身分の低い芸人たちからすると、権力者への強烈な批判であって、なにやらすかっとする。王様の後ろ盾があるわけだが、また非常に痛烈な体制批判でもある。そういう芝居を見て笑うのは王様だけで、重臣たちはしばしば青くなって震えているわけである。実にそういう劇中劇の使い方が巧みな構造になっている。
 腰に「無」という漢字を書いた布をつければ、あそこがない「宦官」の役だったり、あからさまな民衆芸のしきたりは笑える。実におかしい。
 そういう爆笑できるシーンと裏腹に、徐々に陰惨なトーンに変わっていく後半は切ないほどである。宮廷クーデーターに向かって話は進行するわけで、相当に哀しいお話であるが、詳細は書くまい。
 宮廷の美しい衣装に綿密な考証、そして演じる役者たちの演技は見事で、ことに王様役の人と、女形の芸人を演じる人は圧倒的に素晴らしい。自滅して行く暴君のさまはシェークスピア劇を思わせる。
 話題作・注目作の多い年末の映画界だが、これは見終わった後の印象が強い一本。見ない手は無いと思う。


2006年12月14日(木)
 宮崎の安藤前知事が2000万円を受け取っていたことを認めていた、という報道があったようだが、まあ言い逃れはむなしいよなあ。そのまんま東が立候補するということで、しかしどうなんですか宮崎の県民は。はっきりいって芸能人ちゃんとやれないで首になった人物でしょう、彼は。政治家ならちゃんとやれるんでしょうか? 知事なんて職もなめられたもので・・・。
 ◇  ◇  ◇
 タウンミーティングのやらせ事件というのがあるが、しかし小泉政権というか、竹中政権というか、あれはとにかくアメリカナイズ、アメリカのタカ派政権の物まねをしていればトレンディーという政権だったから、広告代理店の政界への食い込み方もこれまでになく大きかったのは周知じゃないのかね。昨年の総選挙も、自民も民主もアメリカ系の代理店がついていて広告合戦を打った結果、PRしやすいキャラを持っていた小泉さんが圧勝したわけだった。竹中さんの閣僚在任時にも、例の「国民の7割はだまされやすい馬鹿、女、若者だから、その人たち向けの単純で明解なメッセージを作る」という広告代理店のプレゼン資料が出回って話題となった。あれで話題になるだけで、なぜかあまり国民が怒らなかったのは、ほとんどの人が自分は3割の賢い層だとうぬぼれていたからだろうか?
 とにかくそんなわけだったから、タウンミーティングなんてのも代理店に丸投げ、はじめのころは一回につき2200万円もかかったという。国が破産しかけているというときに、あの政権は何をやっていたんだろう、と今更思うが遅い。
 で、広告会社の見積もりなんて、昨日の報告書では「一般国民の常識からは外れた請求」などとあったけど、あんなのごく普通よ、普通。なんの根拠か分からない「企画費」とか「管理運営費」とか「進行費」とかいう費目があって、アバウトに50万円、とか100万円とか無雑作に書いてあるものですよ、代理店の見積もりなんて。で、「この費目はなんなのよ」なんて聞くと「ああ、ここはクリエイティブな部分の料金ですので」とか、いろいろ言われるわけ。慣れてない人はそれで丸め込まれる。だから絶対に単社指定などしては駄目で、入札でなくとも数社の相見積(あいみつ)にするのは常識・・・それをD社あたりに丸投げしては、2000万ですんだなら安いほうと思うべきである。「タウンミーティング一式 お見積書」というのを私も見たけど、自分とこの社員の人件費を一日10万ぐらい平気で載せるし、エレベーターの開け閉めとか、大臣の車の送迎だのなんだの、いちいち人件費が載ってくるし・・・まあ、しかしあんなもんです。
 イメージばかり、いいかっこばかりの政治なんてこんなもんですよ、という実例ではないかと思う。
 ◇  ◇  ◇
 ドラゴンクエストが任天堂陣営に移ると騒いでいた。ソニーのPS3は見捨てられた、というのである。まあ実際、私はすでにPS2の仰々しいゲームにかなり辟易している。近頃なんとなく暇つぶしにやるとしたら、96、97年ごろに発表されたゲーム「ゼルドナーシルト」とか「提督の決断3」とか、もう10年も前のものばかりだ。
 32ビット機に戻ってはどうかね。私は携帯ゲームはやらない。しかしスペックは32ビットで十分だと思う。PS3となると、PS1の時代のゲームはできないわけだろう。見捨てられた理由の一つはそこではないか。
 とにかくPS3は・・・今のところ買う予定はない。ほんの6年前の、PS2の時代が嘘のようだ。世の中、あっという間に流れは変わるものだ。

2006年12月13日(水)
当然のことだが「財政再建団体となることを決めた北海道夕張市が、来年4月以降、市長の給与を条例で定められた額の約70%減となる月額25万9000円にすることが13日、分かった。同市は「市長では全国最低」と説明している。・・・助役給与も約64%減となる月額24万9000円とする。現在の条例では市長給与は月額86万2000円、助役は69万9000円。今年9月以降は市長は50%、助役は40%減額している。・・・年収レベルでは市長は約75%、助役は約70%減となるという。嘱託職員などの報酬も大幅に引き下げ、一層の人件費削減も図る」(報知)ということだ。まあそのへんの大卒初任給なみだ。今後、今の市長さんは責任上、財政再建を果たすまで投げ出すことを許されないとは思うが、もし退任したら、ここの市長をやりたい人などいないだろう・・・金持ちが売名的に立候補するなんて可能性はあるかもしれないが。
 ◇  ◇  ◇
 私はケータイを持っているが、とにかく電話機としてしか使っていない。メール機能などほぼ宝の持ち腐れである。着信音の変更ぐらいか、いじったとすると。ちなみに通常の相手からの電話の着信音は「いとしのレイラ」にしている。当初、「天国への階段」にしていたが静か過ぎて、ぜんぜん聴き取れないのでやめた。あれでは着信音の意味がない。
 というようなものだから、あの番号持ち運び制度というのも興味なく、ソフトバンクの誇大広告なんてのもほとんど興味はなかった・・・が、こんな私でも、あれを見て「ああ、次に買い換えるのが何年後かは知らないが、その場合には会社を変えてみるのもいいかもな」と確かに思った。広告の力は絶大である。
 今回のミソというのは、ソフトバンクを非難していたドコモやKDDIまで公取委から名指しで注意されたことで、同じ穴のムジナ、お前らの広告だって似たようなもんじゃないかとたしなめられてしまった。おかしな話である。
 ◇  ◇  ◇
 安倍内閣の支持率が落ちている、と騒いでいるが、大衆人気なんて政治家に必要なものだろうか、と私などは思う。前の人がとにかく話題作りに徹する人だったから、今度がつまらなく見えるのは当然だろうが、やっていることの検証ということでは、前の内閣は自分らでアピールしているほど大したことはしていなかった、今度の内閣はなにをどうしても「改革の後退だ、後退だ」と騒がれる、実にくだらないと思う。前の内閣がそんなに本当に改革とやらをしていたかどうか冷静に検証してみればいいと思う。結局、道路財源でも復党問題でも小泉さんが後のことを考えずに放り出していったことばかりである。そのへんを考えないで、じゃあまた前任者のように「ぶっ壊せ」「競争だ」「後のことなど知らない」と煽り立てて世の中ぎすぎすしていれば幸せなのか、ということだ。私は別に安倍さんのファンではないが、もともとむやみに支持する人の気持ちが分からなかったし、またここにきて支持しないと騒ぐ人が理解できない、ということだ。そもそも政治なんて本来、分かりやすいものでも面白いものでもなく、それをそのように見せていたのだとしたら前の内閣は、なにかと敵だの手以降勢力だのを国内外に作り出しては世論を煽って国民の目を塞ぐ単純明快な詐欺師であったということを知るべきである。
 



2006年12月12日(火)
このところ立て込んでいて日記更新が遅れている。それはともかくクリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」を見てきた。一言で言って「これはすごい!」。アメリカ人監督がこれを撮った、ハリウッドで、というのは大変なことだと思う。日本人としてイーストウッド監督に感謝したいと思う。
 すでに知られていることと思うが、太平洋戦争末期、硫黄島での激戦を、小笠原兵団司令官だった栗林忠道中将を中心に徹底的に日本側の視点から描いた「アメリカ映画」である。そういうわけで、ハリウッド映画なのに台詞のほとんどは日本語である。
 ひとつの戦争を描くに、敵味方両サイドから描く、ということ自体、実際にはなかなかないことで、かつての「空軍大戦略」や「トラトラトラ!」「史上最大の作戦」などが名作とされるのは、多くの場合、制作国の観客から見て都合のいい展開になりがちな戦争映画が、とにかく両サイドきちんと描かれ、それぞれの国の俳優が自国語でしゃべる、そういうものだったからだ。実際、ハリウッドの映画というと、ドイツ兵や日本兵は血も涙もない「けだもの」のような扱いであり、一方、連合軍側の兵士は結局、正義の味方で、人道的で、といったことになるうえに、面倒くさいからだろうが、日本人だろうがドイツ人だろうが平気で英語をしゃべらせてしまうのがごく普通だった。イーストウッド自身も「ああいうどちらかの側が正義の味方、という戦争映画はうんざりだ」と語っているそうだ。
 が、今回のように、わざわざ2本、アメリカサイドと日本サイドの映画を同時制作するというのは、これは壮挙である。そして、ほとんど日本語台詞で、ほとんど日本人しか出演しないハリウッド映画・・・そううものを作ったというのは大変なことである。とにかく商業的な成功を追求したがる制作会社として、日本サイドに立った日本語の映画、などというものは尋常な判断ではなかなか企画が通らないはずである。スティーブン・スピルバーグとクリント・イーストウッドがプロデュースする、という強力チームでなければ決して実現しなかったに違いない。
 最後はどうなってしまうかは、史実なので言うまでもないことだろう。日本軍は玉砕してほとんど全滅してしまうのだが、とにかく、つい日本人が映画を作っても、日本軍というと目のつり上がった狂信的な、なにかと自殺的なことをしたがる兵士、にしてしまいがちであるが、そしてもちろん、そういう集団ヒス的な要素は実際末期の日本軍の特徴だったのも事実なので、映画にもそのような狂信的軍人は出てくるのだけど、しかし一方で、赤紙一枚で集められた庶民としての日本兵、というのがこれほど自然に描かれた映画は、日本映画にもあまりないのではないか。日本人が戦争物をやるとどうも肩に力が入ってしまう。イーストウッド映画では、よくアメリカ側を描くときにGIたちの日常をさりげなく描くように、日本兵を描いている。で、狂信的な軍人はというと、だいたいは不名誉で駄目な描き方がされているのも一つの特徴である。実際、凄惨な持久戦でしかも、守備隊は大本営から見捨てられており、あそこにいる者にとっては事実上、決して生き残ることはできない状況だったから、早く死んでしまう方ずっと楽であった。だから最後の最後まであきらめず、投げ出さず敢闘するというのは本当に勇気ある者でなければできないことだった。栗林以下、兵卒に至るまで、そういう「真の勇気」とはなにか、という視点もこの映画には一本通っていると思う。
 そして、本作で栗林を演じた渡辺謙は見事にアメリカ帰りの当時としては異色な陸軍将官を演じているし・・・とにかく体育会的なノリの軍人が多かった中で、栗林は異色の国際派であり知将であった。それからもう一人の主人公である西郷という一等兵を演じた二宮という俳優・・・彼はなんとジャニーズ事務所の「嵐」のメンバー出身だというが、あの演技も光っている。もう一人、副主人公としてあのロサンゼルス五輪の金メダリスト、バロン西こと西中佐が出てくるが、これがなんとも魅力的でかっこいい。男の中の男として描かれているが、見所である。少しだけだが、西中佐の率いる97式戦車も登場する。戦史マニアはあれだけでも驚喜するのではないだろうか。
 日本人が見て、まあいくらか台詞まわしとして、アノ当時の日本軍人としてはこうは言わないかもな、というところもないではないのだが、しかしアメリカ映画だから、という違和感がほとんどないというのはすごい。まるで日本映画のように見てしまうのだが、つい忘れがちだが、これはハリウッド映画である。つまり、イーストウッド監督はアメリカ人の観客に見せようとして作っているのだ、というのは大事なポイントだ。
 はっきりいってアメリカ人にとってはショックな内容であると思う。前の「父親たちの星条旗」もそうだったと思うが、今作はもっと衝撃的じゃないかと思う。一例を挙げれば、実はアメリカ兵による日本人捕虜への虐待シーンが出てくるのだ。それだけでもアメリカ映画として大変なことではないだろうか!
 しかもその一方、負傷したアメリカ兵を助けてやる日本側のシーンがあるのである。普通のハリウッド作品では決してあり得ないことではないだろうか。
 イラク戦争後の映画、ということなのかもしれない。日本はアメリカの友人になった、イラクだってあのように出来るに違いない、とブッシュ政権は開戦前に説明したわけだが、日本人がアメリカの友人となるまでにどれほどの血が流れたか、そんなに簡単なものではなかったはずではないか、という監督のメッセージは確かに底流にあるだろう。今だからこそアメリカ人の観客にも訴えるものが大きいのではないか。正義の戦争、正義の軍隊、そんなものはあり得るのか、ということだ。狂信的な、理解できない、愚かな異民族を目覚めさせてやった、というのがアメリカ人の第二次大戦へのイメージだろうし、またイラク戦争もそのような理解の仕方で始めたのだろう。
 だが、この映画に登場する日本人はみな普通の血の通った人間であり、一方、アメリカ兵はごく普通の、誤ったことも残虐行為もする軍隊であって、日本軍との違いといえば、絶対に生きて帰らない、という前提があるかないか、だけである。
 イーストウッドは、この「決死」のメンタリティーを理解するのは大変だったそうだ。がしかし、ある意味、こういう踏みにじられる側の意識が理解できなければ、アメリカ人はとうていイラクでの問題も理解できまい。
 非常に重いテーマ性のある映画である。すでにアメリカで批評家協会賞を受けたそうだがそれも当然だろう。イーストウッドはすごい、の一言に尽きる。
◇  ◇  ◇
 ところで日刊ゲンダイが一生懸命、この映画を否定する記事を載せていた。別にそんなことはいろいろ意見があって構わないが、「果たして栗林中将は偉かったのか、あんな参謀将校がつけるヒモの肩章を飾って実戦をやるのか、戦闘服も着ず通常の軍服で戦うのか」という見出しには、なんか不快を覚えた。一項目目はまあ見方の問題だからいいが、二項目目、栗林が飾緒をつけて登場するのは、着任した日のシーンと、戦闘開始の日のシーンの2回だけである。着任時は礼装で行くのが当然で、日本軍の礼装には「ヒモの肩章」があるのだよ、そもそも。日ごろからあのヒモを下げているのは確かに参謀だけだが礼装としては、一般の将校も着けていいんです、だからこの難癖は駄目です。戦闘開始にあたってもう一度礼装して見せた、というのも描き方としては別にいいのじゃないか。最高指揮官で一番前にいるワケじゃないし。今生最後の戦い、ということで礼装に威儀を正してみせるのはそんなに妙じゃあるまい。それから三項目目の「戦闘服も着ず」というのはなんだろうか。旧日本軍には戦闘服なんてないのですよ。通常の軍服がそのまま戦闘服だった。戦闘服、という明確なものを当時、採用していたのは米軍と英軍だけでしょう。ドイツ軍なんかも通常の軍服で基本的に戦っていた。難癖をつけるのは勝手だが、それにしても間違ったことを書いてはいけないと思う。

2006年12月07日(木)
いじめの件でまたなんか出てきたのだが「いじめを受けていることを学校に相談した後輩を、集団で暴行したとして、警視庁少年事件課は7日、東京都武蔵野市内の都立定時制高の3年生(18)ら少年4人を傷害容疑で逮捕したと発表した。4人のうち1人は小学校時代から、被害者にいじめを繰り返していた。調べによると、少年4人は先月9日午後5時すぎ、武蔵野市内の公園で、同じ高校の1年男子生徒(17)の顔を殴るなどの暴行を加え、軽傷を負わせた疑い」(読売)という話。
 なんでも「男子生徒は両親の失跡で、幼いころから乳児院や養護施設を転々としており、小学校時代、4人のうちの1人から、言葉によるいじめを受けていた」というのだが、別の報道によれば、この子のそういう境遇を知った上で「お前は親がいないから汚えんだよ」などといっていじめてたんだそうですな、この者たちは。
 人間の屑、というのはこういう連中ですな。絵に描いたような屑ですな。自分らはなんだというのかね、じゃあ。親もちゃんといるし境遇も恵まれているくせに、人でなしの馬鹿なんだよおまえらは、と言われたらなんとこたえるかね。
 教育再生会議で、いじめられた子どもが転校する、というのは本末転倒で、いじめた者が追放されるのが正しいのじゃないか、という議論があるそうだが、まさにそれはその通りなので、そのようにしてもらいたいと思う。出来るかどうか知りませんが。
 「高校進学後も、この少年と同じ学校になったため、再びいじめを受けるようになり、今年6月に、男子生徒は「上級生が絡んでくる」などと学校側に相談。先月7日には、職員室で教師に「上級生に狙われている」と訴えている最中、この少年が乱入し、もみ合いになった。4人は2日後、男子生徒を公園に呼び出して暴行したり、全裸にして写真を撮ったりしていた」というので、もうどうしょうもないんですけどね。死刑でいいんじゃないの、こんなのは。どうせ将来も社会のお荷物にこそなれ、役に立つ者になどなるまいし。少子高齢化だかなんだか言っているが、こんな不良債権みたいな子どもが増えても何にもなるまい。かえって将来のためになるまいよ。
 ◇  ◇  ◇
 それでですが、防衛庁の昇格とか、教育基本法がどうとか、いろいろ言っていますが世間では実はあまり興味なく、国民投票法案もまあ、次の国会あたりには決まるだろうけど、これも世間は興味なく。まあね、去年の9月の総選挙の結果の延長線上にあるものが粛々と決まっているだけですから。国策の路線はもう決まってんだから、今更何を言っても始まらないので、世間が興味がないのも道理である。道路財源の一般化なんて話も、車持っている人はあんなのけしからんと思うだけで、塩崎さんが、なんだか安倍改革の試金石なんてぶち上げても白けた空気が流れているのは当然である。まだしも郵政法案は改革の本丸と嘘を承知でぶち上げて見せた前の首相のほうが意味合いとしては理解できなくはなかったか。
 ところで、その国民投票法案は、基本的には憲法のもんだいを論じているのではなくて国民投票のやり方を論じるもので、それ自体はあってそもそもしかるべきなんだろうが、修正協議で民主党の意見がかなり通っていて、国民投票は18歳でできることにする、という線になった。ばかりか、この線でほかの法律も18歳でそろえましょう、という動きになっているのは意外に知られていない。
 つまり、法律上の成人が18歳となる公算が大きいのである。これを機に、民法も少年法も、18歳をもって成人と見なすようになると思われる。
 それはまあ、それで結構なことと思う。18、19にもなって親の責任もないもんだと思う。高校在学中に選挙に行かされるのも教育として悪くないのじゃないか。

2006年12月05日(火)
昨日は安倍さんの「再チャレンジ」だかの構想に絡んで、ニート、フリーターに関しては減税の支援対象にしない、という話が出たが、今日は今日で「自民党税制調査会(津島雄二会長)は4日、所得税の扶養控除拡大や企業内託児所設置に伴う法人税軽減措置など、各部会から出されていた少子化対策税制を軒並み見送る方向で検討に入った。2007年度税制改正では、少子化対策のメニューはほとんど盛り込まれない見込み。税による子育て支援については、来秋以降に行う抜本的な税制改革で、消費税率引き上げや所得控除見直しとの関連で検討する。現行の所得税の扶養控除では、子供1人につき38万円を所得から差し引くことで所得税額を圧縮している。内閣部会などが扶養控除の拡大を求めていた。しかし自民税調は、扶養控除拡大が少子化対策にどれだけ寄与するかが明らかでないとして、見送る方向となった」(時事)ということで、少子化対策もなにもしないことになった。
 今後は何をするにしても、ほかの増税をしないとできません、ということだそうである。
 税制改正は来年の秋だというが、そんな1年も後まで、そのころまで安倍政権というのはもつのであろうか?
 自民党の復党問題なんてのもあった。私は興味がないが・・・というのも、私はもともと自分自身が反郵政改革ではなく反コイズミだったので、コイズミ嫌いのために反郵政改革のレッテルを貼られて放逐された者など、コイズミさんが総裁でないのなら復党させたければさせればいいではないか、としか思わないので、なんの反発もないのだが、去年の選挙で本気でコイズミを応援した人々としては反発があるのかもしれない。
 とにかく、自民党の支配組織が緩んでいるから、あちこちの首長の談合だの汚職が明るみに出るのだろうし、小泉さんという人が後先考えずに自民党をぶっ壊すことだけは公約を守ったのは確かでなようで、まあ、後のことを考えないでなたを振るうだけなら実はそんなに難しいことでもなんでもない。
 ◇  ◇  ◇
 アメリカでボルトン国連大使の更迭が決まったらしい。ラムズフェルドに続いて、ボタンダウン組・・・ブルックス・ブラザーズ風の襟先にボタンがついたスポーツシャツを公式の席でも着たがる連中・・・おおむね、アメリカのパワーエリートの世界で愛好される服装でネオコンの制服のようでもあった。アメリカ発祥のシャツなので彼らの愛国心を喜ばすのだろうし、もともとアメリカの成功者イメージにはブルックス・ブラザーズのようなスタイルというのがあって、日本もアメリカ信仰の雰囲気が強かった小泉竹中時代にクールビズ用というふれこみで(その解釈自体、誤解も甚だしいが)流行した。とにかくそんなボタンダウン組がまたも退場する。
 へろへろのままブッシュ政権がまだ2年近く続く。世界は右往左往して方向を見失って行くかもしれない。そして、とにかく経済も外交も内政もブッシュ政権の方針についていけばいいや、という意思表示だけを21世紀に入ってからの6年ほど、続けてきたわが国は、ますますなにをどうしていいか分からなくなるに違いない。
 

2006年12月04日(月)
おりしも教員免許の更新制度を教育再生会議が検討しているなか、またアホな話が出てきたもんで「東京都あきる野市に住む小学校教諭の男(33)が、交通事故死した子ども6人の写真をインターネットのホームページ(HP)上に無断掲載していた問題で、男は今年6月に愛知県警に著作権法違反容疑で事情聴取を受けた際に、勤務している羽村市内の小学校に対し「捜査中」を理由に具体的な説明を拒み、書類送検後も教壇に立っていたことが分かった。学校側は先月27日に外部から指摘を受けるまで、具体的な内容を把握しておらず、今月1日になって男を自宅待機とした。無断掲載された遺族は4日午前、警視庁に侮辱と児童ポルノ処罰法違の両容疑での告訴状などを提出した。遺族らは「子どもの遺体写真などに興味を示す男が、児童を前に教壇に立っていること自体が問題だ」などと憤りをあらわにした。男は名古屋市緑区の保育園で02年9月、屋上駐車場から落下した車の巻き添えになり死亡した片岡樹里ちゃん(当時3歳)の母親が作成したHPから、無断転用して自分のHPに掲載。遺族の感情を害するようなコメントを付けていた。・・・男は同県警から9月に書類送検されたが、東京の片山隼君の父、徒有(ただあり)さん(50)ら遺族側が、男が交通事故のほか、虐待や災害で死亡した子どもの裸を含む遺体写真などを大量に掲載したHPも制作していたことを突き止めた。学校側は先月27日に外部から指摘を受けてようやく、男から具体的な事実確認を始めた。同校校長は「他人の映像を自分のHPに掲載したとは聞いていたが、遺体の写真を掲載していたことまでは把握できなかった。対応が甘かったと言われても仕方がない」と話している」(毎日)というのだけど、いやあ、危ないんじゃないですか。子どもの死体見てむらむら興奮するような変態性欲者が小学校のセンセイやってるというのは。いままで何にも問題なかったんですかね、勤務している学校じゃ? 校長さんものんびりしたこと言ってますけど、こりゃ問題だろうよ。
 安倍首相は「駄目教師は去ってもらう」なんていうが、なにしろ駄目教師なんてレベルじゃないのがいるからなあ、実際に。たくさんのなかのごく一部の馬鹿者、という言い方がよくなされますが、それにしても変態教師の話題って、今じゃ週に一つや二つは出てきますけど、どういうもんですか。
 ◇  ◇  ◇
 なんか景気拡大しているしている、と政府ばかり言っていて、さらに法人税を思い切り下げるようなことばかり議論しているが、それで庶民の生活実感としてはちっとも金が回ってこない、なんとなく毎年毎年、目減りしているような気がする・・・うまくいっているんですかね。
 気がつけば小泉時代、というのが忘れ去られて近頃じゃ話題にもならない。しかし、あの何年か、中韓と仲たがいしたまま北朝鮮の暴走を許し、見せ掛け倒しの景気回復をしてみせたが、つまりこんな話であって、市場の自由化だ経営のアメリカ化だ、と竹中路線を推し進めたところが経営者は株主の顔色ばかり伺ってますますリストラに励むばかりである・・・あの選挙であれほどまでにコイズミ路線を支持したことになっている人々よ、あんたら本当に責任取れや、といまだに思う。
 反米主義を掲げて貧民にカネをばら撒いているベネズエラのチャベスが3選されたが、なんかしかし、あれはあれで筋が通っているんじゃないか。日本の「貧民」はなにを考えてきたんだろう、それとも自分らが貧民だという自覚がないのだろうね。
 昔なら、気に入らない政権が出来るたびに軍事介入も侵略も辞さなかったアメリカも手が出せない。もうそんな力はないのだろう。
 コイズミ時代の判断、というのが歴史的にどうだったかというのは、むしろこれから分かってくるだろう・・・それはもう何年も前に私はそんなことを書いたけど、そろそろそういう検証が出来る時期に入ってくるのじゃないかと思う。

2006年11月30日(木)
ロシアなんて国をいまどき信用しているものもいないだろうが、しかしあの「元中佐被ばく事件」というのはなんだろうか? 「元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐のアレクサンドル・リトビネンコ氏変死事件にからみ、英国航空(BA)は29日、同社の欧州便2機から極めて少量の放射線反応があったことを明らかにした。人体への影響はないとされている。2機はヒースロー空港で運航を停止中。別にもう1機がモスクワの空港で放射線検査のため運航を停止している。変死事件の関係者が事件の前後にこれらの便を利用した疑いがある。
 英警察当局は、リトビネンコ氏が放射性物質ポロニウム210を摂取したとみられる今月1日を基点に、その1週間前から現在まで、これら3機の計221回分のフライトの利用者の確認作業を進めている」(毎日新聞)という、あれだ。これについては「イズベスチヤは、ロンドンの同氏の立ち回り先数カ所で放射性物質ポロニウム210が検出されたことは、誰かに売るために自ら持ち歩いていた可能性を示していると報じた。同紙によれば、ポロニウム210を運ぶ際には完全気密の小容器に入れる。この容器が何らかの原因で損傷してポロニウムが漏れ、皮膚を通じてリトビネンコ氏の体内に入り、変死の原因になった可能性があるという」(時事)などという話しもあるけれど、転売したかったのか、なにか暗殺目的だったのか、それともやっぱり消されたのか、これがいろいろ言われるのはほかにも反政府的なジャーナリストなんかが消されたり、とにかくもう1、2世紀も古い時代のようなことがまかりとおる国になっちまっているから、なにがどうあってもまともには見られないのである。元副首相の体調不良まで「暗殺か」と言われるのもこのためだが、なにしろ信用がないのだから仕方がない。
 ◇  ◇  ◇
 沖縄の次期知事・仲井真氏が昨日、政府与党関係を廻ってあいさつ回りをしたようだが、それで結局、国からの県北部振興予算というの、いったん打ち切りとなっていたのが復活となりそうな按配だ。要はその3年分300億円、のために仲井真氏は当選したのであるから当然ではあるが、それにしてもえげつない話でもある。
 とはいえ、300億で国の軍門に下った沖縄県を誰が批判できようか、地方自治体というもの、先日の読売の報道でも近々再建団体に転落しそうな自治体が少なくとも50〜60はあるという。これらはみんな、夕張市の二の舞になりそうなわけだ。
 もちろん、夕張のような元産炭地で、国策で閉山した結果、ジリ貧となっていて、しかも被害者意識の強さからすっかり国の助けを受けるのが当たり前となっているような自治体、つまりこうなった経緯が分かるところも多いのだが、そのなかには大阪なんかも相変わらず入っているわけである。こないだの奈良市の公務員の馬鹿げた休職扱いの問題でもばれたがどこにああいう者を飼っておく余裕があるのか・・・とにかく理解できない。堕ちる所まで落ちないと公務員という人々は理解できないもんですかね。
 ◇  ◇  ◇
 給食費の滞納、などという問題がちょっと話題になっている。金がないので払えない、というだけではなくて、金があるのに「勝手に学校で給食を出している。うちで頼んだ覚えはないから払わない」とNHKの未払いみたいな理屈を言う家庭が多いのだという。
 私はそういう理屈を言うのなら、自分の子供には弁当でも持たせて、決して給食は食うなと命じるべきだと思う。それなら給食を拒否することは問題ないと思う。私は子供のころ、確かに強制的にまずい飯を頼みもしないのに食わされることに反発を覚えていたが、だからといって、食ってしまったものは当然、払わなければならない。嫌なら食わない、それは当たり前であろう。実際、ある学校の校長は親に対して「だけどあなた、それは食い逃げですよ、犯罪じゃないですか」と言ったという。
 まあはっきりいって、義務教育だの給食だの・・・こういう敗戦後に出来たシステムというもの全体がもう時代に合わないのかもしれない。
 なんでもいいが、今時の親・・・というのはもはや私より若い世代、20代の人らであるが、この人らはひょっとして、今のような日本社会が30年後も50年後も維持できるという前提で子供の教育を放棄しているのかしら(おそらくそうはいかない。不要な人間はまずます不要となる、現在の負け組み論議などたいしたものじゃないことになるだろう)。それとも未来を諦めているので放棄するのだろうか(だったらはじめから一時的快感でセックスなどするな、子供など作るな)。  

2006年11月29日(水)
J−CASTの記事で「mixi神話の終焉」なる記事を見かけた。引用すると「 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のミクシィ(mixi)が伸び悩んでいる。ネットレイティングスが発表した調査結果では、PV(ページビュー)では国内で2位につけているものの、06年7月から伸び悩び、ここにきて減少傾向にある。しかも、利用時間が長いのがmixiの大きな特徴だったが、ここでも一人あたりの月間平均利用時間も急激に減少している。ここまで不調にあえいでいるのはなぜなのか。・・・マイネットジャパンアドバイザーで、有名ブロガーの藤代裕之さんは次のように見る。「考えられる要因はいくつかあると思いますが、一つはサービスがすでに『踊り場』にあることでしょうか。この状態はどのサービスにもあるものですが、Webにはどこが『踊り場』だったりするのか、このあとどうなるのか分からないという面もあります。そして、もう一つは、(mixiに対して)不安な感じを持っている人が増えてきたことでしょうか。mixiには一種の『居心地の良さ』というものがありましたが、(規模が)大きくなって、敬遠する人も増えたのかもしれないですね」 ・・・さらに、藤代さんは次のように続ける。「(mixi内で起きた)トラブルについて、対処が後手に回ったというのも大きいですね。マスコミにはミクシィが注目されたことでネガティブ情報も出るようになっていますが、それに対するリレーション(広報)に問題があると思います。マスコミの取材に答えないで、事務局がお知らせを掲載するだけ。そういったことは、上場企業にはありえないことです」・・・06年10月5日にmixi上で起きた俗に言う「三洋電機事件」で、mixi側が実名登録を推奨していたために、会員だった女性の写真と自宅住所、電話番号などの個人情報などがネット上で流出する事態が発生した。このときも、mixi側は、「お知らせ」を掲載・・・多数のアカウントが予告なしに削除(つまり強制退去)される、という事態も発生しており、mixiのユーザーが運営者側に「不信感」や「不安感」を植えつけてしまった可能性が高い。・・・追い討ちをかけるように株価の下落も続いている。06年9月15日に295万円の初値をつけた同社株も06年11月28日終値は189万円まで下落した」というようなことだ。
 そういえば上場までしたのだった。が、既に頭打ちどころか退潮にあるという。
 2年程前にはSNSというのはそれだけで新鮮だった。しかし今や、そのSNSというもの自体が普及しすぎてまた飽和しつつある。
 ものめずらしいから意味があるようなビジネスモデルであって、誰でもやっているようなものなら、飽きられてしまうのは当然である。
 私は昨年の9月、ちょうどコイズミ政権のまやかし選挙をやっていたころから、mixiを全く使っていない。はっきり言わせて貰って、あんなエセ小泉劇場とやらのまやかし選挙のからくりを見抜けない低能なにんげんが馴れ馴れしく書き込んでくるのに辟易したのである。よほど普通のブログのほうが馬鹿げた勘違いをしてこないだけましである。SNSなどというが、その内部ならベタベタと付き合っていいかのような誤解がある。よほどに普通のブログ、普通のサイトのほうがドライでよろしい。
 そんなわけで、上の記事を読んですぐにmixiを退会した。
 実を言えばブログなんてのも1年半ほど継続しているが、そろそろ飽きてきている。これまたあまりにも普及しすぎた。誰でもやっていることは、つまりつまらないことだ。
 面倒くさくなったらこれもいつでも打ち切ってしまうつもりである。ただ自分の本サイトだけはやめないだろうけれど。



2006年11月28日(火)
世の中、陰気な話題ばかり多く、なんか嫌にならないだろうか。景気はいざなぎ超え、なんていうが、さすがにどんなにお調子者で前の小泉首相の提灯持ちみたいだった者でも、こんな程度の景気回復では実際の下々の生活は改善しないことを認めないではいられない状況である。要は大企業の決算が書類上良くなったこと、一応、大銀行の決算が書類上かたちがついて、目に付く不良債権が処理されたこと・・・ただしそれは大銀行の決算書から消えたというだけで、しわよせがよそに行っただけの事である・・・それだけが小泉政権6年弱の全成果であった、ということだ。それで、造反議員の「復党」ですべてはケリ。小泉時代はこれをもって完全に過去のものとなるのであろう。
 そしてまもなく、この「回復局面」もしぼんでいくいことだろう。企業の決算さえよければ日本国の大赤字は何とかなるのだろうか。安倍さんの手腕が見ものである。
 その間、日本じゃろくな話題なく、モラルの低下した談合に癒着に犯罪にいじめに、ともう面倒くさくて聞いていられない。
 外国に目を転じれば完全に内戦となったイラク、いったいあれは何のための戦争だったのか当のブッシュ本人も強弁すらできなくなっている。おそらくイランも含めてシーア派すべてと事を構える覚悟を持たない限り、もはや手を出せまい。そして、そんなことはしょせんアメリカでもできはしない。つまり、もう誰にもどうにも出来ないということだ。
 自分らを現代のローマ帝国だと信じたアメリカ人、愚かなものだ。もっともその犬だか軍曹だったかいう首相を崇拝していたこっちの国民はもはや救いがたい。
 フランスもひどい。人種差別の度合いがどんどんひどくなっている。
 北朝鮮? なんか話題にするのも面倒くさい。
 あっちでもこっちでも荒れている。近未来映画の暗い予測になんか似たような雰囲気になってきているのは気のせいか。
 ネガティブなことは言わない、考えないのがよい、としきりに説く本がある。そのとおりとは思うが、しかし現実は直視する必要も常にある。都合の悪いことはちゃんと理解してポジティブに対処するならいい。都合の悪いことを見ない聞かない、ただ能天気なことを言えばいい、というのは昔の、本土が爆撃を受けて燃えているのに、日本は勝っている、と放送し続けたラジオのようなものである。
 日本人は気をつけないと、どうしてもそのような傾向になりがちである。現実から逃避するか、逆に現実に打ちのめされて絶望する。いまだに弱い国民性である。
 ◇  ◇  ◇
 ベルリンで、サンタ役のアルバイトが不足しているのだという。日給5000円ぐらいでしかもサンタの服を借りるのに金を払う必要がある、というのだからあまり割りのいい仕事とは言えないが・・・。それに、太った人が望ましい、らしい。
 前にアニメで、どうしても太れないサンタが、無理に大食いして苦労する、というストーリーのものを見て笑った。案外にそうかもしれない。武田信玄とか西郷隆盛とか、本当は痩せていたんじゃないか、と言われている「大人物」もいる。
 しかし、こうも陰気臭い話題が多いと、サンタさんぐらいに頑張ってもらうしかないような気がするそろそろ年の瀬である。
 

2006年11月24日(金)
毎日新聞になかなか鋭い指摘をしている記事を見かけた。いじめに関する分析である。
 長いが引用すると「教師が教え子に友だち感覚で接する「なれ合い型」の学級でいじめが生まれやすいことが、河村茂雄・都留文科大教授(心理学)の調査で分かった。こうした学級では、教師が子供に引きずられ、いじめを防ぐどころか加担する恐れもあるという。・・・河村教授は、全国の児童生徒約5万人を対象に、教師や同級生との関係などを問う「QUテスト」と呼ばれる心理テストを実施。・・・学級の特性について、河村教授は「なれ合い型」と教師が厳しく指導する「管理型」に分類しているが、98年と06年を比べた場合、なれ合い型の学級は小学校で倍増して半数近くを占め、管理型は半減。中学校では管理型が主流だが、なれ合い型は倍近くに増えた。さらに、小学4〜6年生(約5000人)を詳細にみると「長期間いじめを受けてつらい」という子供の所属学級は、約半数がなれ合い型で、管理型は3割強だった。河村教授によると、教師の教え子への接し方には(1)有無を言わせず従わせる指導タイプ(2)子供の言い分を尊重する援助タイプ――がある。子供の満足度の高い学級の教師は状況に応じて両方を使い分けるが、(1)に偏ると管理型、(2)に偏るとなれ合い型になるという。なれ合い型では、当初は教師と子供が良好な関係を保つかに見えるが、最低限のルールを示さないため学級はまとまりを欠き、子供同士の関係は不安定でけんかやいじめが生じやすい。教師の「○○してよ」という友だち口調の指示を誰も聞かなくなり、放置すれば学級が崩壊するという。また、運動や勉強が得意だったり、けんかの強い子供が学級をまとめ、教師が頼りにするケースも多いが、その子供や取り巻きが特定の子供をいじめの標的にし、学級全体が同調した場合、なれ合ってきた教師が止めるのは困難で、助長や加担の恐れもあるという。河村教授は「いじめた子や加担した教師を非難するだけでは解決しない。子供を暴走させ、教師も巻き込まれる『なれ合い』をどう回避し、いじめを生まない学級を作るか、教師たちが議論することが大切だ」と話している。【井上英介、吉見裕都】(毎日新聞)」というわけである。
 実際のところ、子供はなれ合い型のクラスを求めるもんだし、実は教師もそのほうが楽である。私も少ないながら、教壇に立ってみたことがあるので思うが、結局コミュニケートの方法として情で落とすか権力で抑えるか、これはどんな人間集団でも同じパターン。とはいえ権力で抑えることに合理的な意味がある軍隊とか、経済的裏付けのある企業とかならともかく、学校の場合はなかなか抑えるのが難しい。権柄尽くでいきたくともその根拠がなかなかなかったりするので、面倒な教師は腕力に訴えたりする。しかしそれも、せいぜい小学校の低学年までしか通用しなかったりもする。
 となると、後はなれあいでだらだらしておく、しかなくなるが、これは失敗すると実は管理的な集団よりよほど嫌らしいものになる。つまり中央権力がなければ集団の中で擬似的な権力が発生して、そこで村八分に会う・・・いじめってのはそういうことだろう、と。
 実のところ大人の社会でも、ことに地方に行くほどに中央権力の押さえが弱く、なにかと談合システムになってしまうのも、なれあい社会の結果であろう。
 教師がダラダラしているクラスは最初は居心地がいいが、やがて生徒のほうも「あの先生もっとしっかりしてくれないかな」と言い出すようになる。そうやって評判を落とした教師というのもけっこう実際に見聞きしているけれど。
 面倒くさがってはいけないのだろうな、どんな仕事も。
 物わかりがいい教師だの親だの、というのは要するに無責任で面倒くさがりなだけの場合が多い。体験的な結論でもそうなる。上の河村教授の研究が正鵠を得ている感じがするのである。

2006年11月23日(木)
ロバート・アルトマン監督が亡くなった。といってもいわゆる巨匠というよりはかなりマニアックな監督じゃないだろうか私にとってはもちろん1970年の「M★A★S★H」である。私はあれを小学生の頃に初めて見たが、考えてみると当時的にはまだ新しい映画だったわけだ。そして、陰惨な日本の反戦型戦争映画か、あまりにもご都合なハリウッドの戦争映画しか知らなかった私としては、ああいうドライに戦争を茶化してもいいのだ、というのを初めて知らされた映画だった。ついでに濃いことを付け足せば、米軍の階級章があんなに簡単に剥がせるいい加減なバッチであることを知った最初の映画だった。下士官が大尉の階級章をインスタントで襟に付けて、でたらめな命令をするシーンがあるのである。あのあとさらに、「パットン大戦車軍団」を見て、将官用の襟章だってインスタントで付け替え可能であることを知った。女性軍医のお色気シーンもあったなあ・・・当時の私にはいささか強烈だった。
 そういえば灰谷健次郎さんが亡くなった、と今、会社に来て聞いた。「問題のある子どものほうが優秀で将来性がある」などと言い切ってしまう豪快な人だったが、まあそういう教育論じゃいまどきどうにもならないわけで、問題児と優秀児に二分されるなんて話はもはやないわけですから、誰がいつ暴発し、誰がいつ自殺し、誰がいつ親や教師に殺され又は親や教師を殺すか分からない、そういう時代ですから。で、「あんな人とは思わなかった」「挨拶をするときちんと返すまともな人でした」「教育熱心な先生でした」などなどと弁解が続くわけですから。で、・・・まあ古きよき時代を思わせるというか、そういう意味合いで感慨深いものがある。そういえば柄谷行人や周辺のポストモダンの論客が非常にこの人の教育論を嫌っていたのを思い出すが、それは、それだけ影響が大きかった、ということだろう。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、今、韓国でむちゃむちゃ揉めていると聞いた。なんでもアメリカとのFTA(自由貿易協定)を結ぶな、という反政府デモと、教員のデモ、中小企業の労働者のデモが複合して大規模な暴動状態になっているとか。
 まあ要するに盧武鉉政権への不満が溜まっていると言うことだろう。
 ドイツのメルケル政権も評判悪く、アメリカは言うまでもなく、フランスもぐちゃぐちゃで・・・なんだかどこもかしこもどうしょうもない。
 こうしてみると、これでも日本なんてましに見えてしまうのだから仕方がない。

2006年11月21日(火)
映画「トウモローワールド」を見てまいりました。監督はあの「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンゾ・キュアロン、主演は「キング・アーサー」のクライヴ・オーウェン、そしてユニヴァーサルが制作費120億円を投じた近未来SF・・・と聞けばさぞかし派手やかな、コマーシャリズムに溢れた作品かと思ってしまいますが、まるきり違うので驚いてしまいます。というのも、これは2027年の英国を舞台にしていながら、非常に「現在」を生々しく表現している映画だからです。
 2009年、なんらかの理由で・・・映画ではその辺ははっきり語っていませんが、どうも世界的に新型のインフルエンザが流行したりした模様です、で、その後、なにかの理由で全世界的に子供が生まれなくなった、人類に生殖能力が無くなった、というのが設定です。
 そして冒頭は、2027年11月、人類でもっとも若いブエノスアイレスの少年が傷害事件で死亡する、というニュースから始まります。彼は18歳と2ヶ月(だったかな)ぐらいで人生を終えたのですが、それ以後、地球には一人も新生児が生まれていない。
 で、後継者がいない、ということが人類の士気を低下させモラルを崩壊させ、絶望してしまったそうであります。結果、すでに21世紀はじめからブッシュ政権のミスリードによる暴力の連鎖とテロが世界を覆っていたものがますます激化、多くの国家が事実上、崩壊してしまったのだといいます。かくて、唯一、島国であるがために、そして政府の強権が保てたために、なんとか国家の安定を保っているのが英国なのだ、と。ただし、すでに8年前から国家の安定と、崩壊した大陸などからの移民を排除する排他的移民追放政策をとっているのであります。が、当然それに反発するテロリストグループも登場し、治安は悪化、街は常に爆弾テロと暴力の影に怯えている、しかしそれでも、ほかの国よりはまし、なのだと。
 ・・・どうでしょう。すでにして、現在の世界の情勢の延長ではないでしょうか。フランスなど移民暴動で無茶苦茶になって久しい、アメリカもしかり、そして続発するテロ。
 おまけに少子高齢化、というのは先進国共通の問題です。生殖能力そのものの低下を議論するべきだという声も実際にあります。単にライフスタイルの変化だの生活水準の上昇の問題ではないのではないか、というのですが。
 それはさておいて、今作の主人公のセオ(クライヴ・オーウェン)は、かつては反政府活動家の経歴がありますが、今は冴えない小役人。それがある日、突然に拉致されてテロリストグループに監禁されてしまう。そこで彼は、意外な人物に再会するのであります。今やテロリストのリーダーとなっている元妻のジュリアン(ジュリアン・ムーア)です。そして彼は、不法移民の少女キー(クレア・ホーブ・アシティ)を助けて、逃げ回る羽目となるのですがまあ、そのへんは見てのお楽しみに。
 キーはその名の通り、人類の未来の唯一の希望なのです。予告を見た人はご承知のように彼女は実は、なのですね。彼女は、崩壊した世界を逃れアゾレス諸島にあるという謎の世界賢人会議「ヒューマン・プロジェクト」に救いを求めていくのでありますが・・・しかし、そんなプロジェクトが本当にあるのか、それとも絶望した人類が生み出した、ただの伝説なのか。真相は誰も知らないのであります・・・。
 それにしてもものすごい映像です。荒れ果てたテロの続く世界、しかしよくありがちな近未来SFと違いあくまでも現代の英国の延長です。服装も持ち物も20年ではさして変化はなく、まして停滞した時代にはほとんど変わりが無い、という予測に基づくからで、それはまったくそのとおりだと思われます。そして最大の特徴は、ものすごいカメラの長回し。つまり一つのシーンが始まると、途中でぜんぜんカットが入らない。そのシーンが終わるまでずっと役者は演技を続けます。最も長いシーンだとなんと6分! その間の銃撃戦がずっと一回の撮影で、ノーミスでやり遂げられたわけで、一体どのぐらいリハーサルをしたのでしょう。実際、撮影そのものよりリハーサルが大変だった、とパンフレットにあります。
 だから、よくあるご都合で視点が切り替わったり、話がすっ飛んだり、というのが一切ないのです。すべて主人公の視点から、彼のすぐそばにカメラマンが常に同行していてドキュメンタリー映画を取っているような撮り方。だから映像もけっこう荒いところもあり、しかしそれがまた恐ろしい緊迫感をもたらします。
 戦闘とかテロとか、偶発的にものごとがおき、それに遭遇した人はまったく突然のことに呆然となるのですが、それがこれほど再現されている映画は珍しい。普通の映画だと、爆弾を仕掛けるテロリストが映ったり、その爆弾に近づく主人公の絵に切り替わったり、いろいろあるわけですが、この映画では、本当に普通の絵の中に突然、暴力が始まります。普通の映画だと、あ、ここでカットが切り替わるからなにか起きるな(サスペンスやホラーなんてそればかりですね。あ、ここでお化けが出てくるな、とか)と準備できますが、この映画では一切が本当のドキュメンタリーのように、人が不意に倒れ、死んでいきます。
 そのへんがまったく斬新な映像です。監督によれば、アルジェリア戦争をテーマにしたドキュメント風映画の影響を受けたのだとか。なるほど。
 それほどリアリティーにこだわりながら、エンディングは神話的と言ってもいいほど。あのへんは「なんで」と思う人もいるかも・・・しかし、超リアリティーの後だからこそ神話のようなまとめ方が効いているのは事実であります。
 それから、この映画の原作は1992年のベストセラー小説で、作家のP・D・ジェイムズは現代英国を代表する推理作家、なんとこのペンネームで女性です。しかも1920年生まれで、この小説の時にはすでに72歳。さらに今でも86歳で現役バリバリというすごい人です。デビューしたのはなんと42歳。すごい人がいるものです。
 また、名優マイケル・ケインが出演しているのも見逃せません。重要な役で出てきます。この役は1950年代生まれぐらいの老人、という設定で今、50代ぐらい、20年後に70代というところ。だから1970年代の音楽を好み、意外なところでディープ・パープルの最初のヒット曲「ハッシュ」などが流れます。その他、映画全編で往年の名曲がどんどんかかりますが、圧巻です。キング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」など、この映画のための書き下ろしかというぐらい見事に使われていました。
 また、著名な作曲家ジョン・タブナーが初めて映画音楽を担当、ダイアナ元妃の葬儀で使った彼の代表曲なども流れて、実に音楽の面でも贅沢です。
 映画の中で描かれるのは、ほんの5,6日の出来事のようですが、上に書いた特殊な撮り方もあってワンシーンの密度が濃く、また音楽の凝り方もあるのか、とにかく全編2時間だとは思えませんでした。長尺が気にならない、あっという間に終わったので傑作、という褒め方は娯楽作品としてありだと思いますが、これは逆。たった2時間? 嘘でしょう。そのぐらいの重くて濃い映像、・・・まあ気楽な娯楽作品を求める向きには合わないかもしれません。むしろ最近で言えば「ユナイテッド93」や「ワールド・トレード・センター」のようなテロものをご覧になった人にこそお勧め、ではないでしょうか。
 いやあ、大変な作品です。

2006年11月20日(月)
なーるほど、という結果だった沖縄知事選挙。まあ一つにはあまりにも反米反基地の候補を立てたものだから、一般的にいって民主党支持といえるような層も敬遠したのだろう。それとなんといっても公明票7万表が効いたのだろう。
 逆にいえば野党候補はそれでも4万票差までとったのだから、やはりそう簡単に勝った負けたという話じゃないのかもしれない。ないのかもしれないが、結果が全てであって、安倍自民党はこれから着々と参院選シフトを敷いていく。
 でもって、日本の路線というのはおおむね決まっていくんだろうが、それにしてもアメリカがこれから変化して行くのは間違いない中で、時代遅れのネオコン路線みたいなことを言わないで欲しいとは思う。
 小泉チルドレン、という連中が今頃になって前の首相から「使い捨てが嫌なら代議士になんてなるな」と冷や水を浴びせられて大笑いだったが、まあ一般論としてその通りなんだが責任者だった本人がこう言い放つのだから、やっぱりこのオトコは面白い。まあつまり、こんな人なんだ、ということでこういう冷血な者に5年も6年も政権を委ねたのは国民が悪いのだ、21世紀に入ってからの日本社会のこのぎすぎすした雰囲気というのは確かにあの馬鹿者が発信源なんだな、といまさらながら思う。今となっては小泉時代ってなんだったのだろうか。イラク戦争というもんがほぼ全否定されかけている今日この頃、あの数年はなんだったのだろうと思う。アメリカ、アメリカ、といったってあくまで小泉軍曹が忠義を誓ったのは一政権に過ぎなかったので、アメリカという国全般に恩義を売るなんてことは出来ないのだよ、政権が変わればちゃらになる国だから(そこがあの国の恐らくいいところである、民主主義ってああいうもんだろう)。
 が、とにかく参院選シフト、なんだから郵政造反議員はみんな復党であろう。であるからチルドレンなんて連中はみんな本当に御用ずみ、いい気味ではある。
 ◇  ◇  ◇
 面白いオトコといえば、小泉時代の申し子ホリエモンである。話せば話すほど、自分は形ばかりの社長だった、名ばかりだった、CEOなんてかっこいいから名乗っただけ、全部、宮内さんがやっていた・・・これが本当なら、彼のことを崇拝して株を買っていた人々はまったく救われないのだね。
 ◇  ◇  ◇
 昨日だか、北海道・夕張市・・・あの赤字転落自治体である、あそこの財政再建説明会があったそうだが、あまりのことに住民がみんな途中退席したそうだ。要は公衆便所も図書館もなにもかもなくし、固定資産税その他は全国でも最高レベルに引き上げ、老人医療も育児補助も全部打ち切りでこれまた全国でももっとも住民負担が高いレベルにする。老人ケア施設は閉鎖、小中学校も今は11校あるのをそれぞれ1校ずつにして全部つぶす。公務員は今、1万人規模の都市としては全国でも多い300人もいるらしいが(それがそもそも馬鹿げている)これも事実上は半数を解雇し、給与も3割カットで全国最低レベルにする。特別職など6割をカットする。ま、このへんは当然である。
 しかも、それでなくとも全国でも最高レベルで少子高齢化が進んでいるこの町、ますます若い人が出て行ってしまうから、納税義務のある若い人はますます夕張を捨てて出て行ってしまう。
 これで思うのだが・・・コイズミ時代に膨れ上がった日本の赤字である。日本中いつかこうなるということなんだろうか? 今は景気がいい、なんて言ってもすでにかなりあやしい訳であるが。
 

2006年11月17日(金)
読売新聞の世論調査で、団塊の世代に関するものが載っているが、まあ基本的な内容はどうでもよいが、「戦後の日本社会の発展に貢献してきたとの自負があるか、という質問には、ある(49%)とない(50%)が半々だったが、ある、は男性で63%、会社員、公務員では62パーセントを占めた。がむしゃらに働き、経済発展に貢献してきたとの思い・・・」うんぬんというくだりがあって、驚いたというか、なんというか。「あなたは日本の経済発展に貢献してきましたか」なんて聞かれて「はい」と答える人のメンタリティーがどうしても私には分からない。自分個人としてはがむしゃらに、懸命に働いてきたつもりでも、大局的にはちっとも貢献していないとか、ことによったら足を引っ張っていたかもしれない、とは思わないのだろうか。私などは自分が会社や社会で、能力を十分に発揮できていないのではないか、十分に働いていないのではないか、と思うことこそあるけれど、自分は貢献してまいりました、などとはなんとしても思えない。
 それに、はっきりいってがむしゃらに働くと言っても、本当にそれで足手まといになったり、物事を駄目にしている人というのは多いものである。御輿を担いでいるつもりで、ぶら下がっているだけの邪魔者は無数にいるもので、組織が大きく人数が多いほどに、個人当たりの密度というか責任感というか、その辺が希薄になるのは間違いない。
 本人はいたって熱心で善意の人だからまるで客観的な評価が見えていない、というケース、少なからず無いだろうか、私はいつでも自分がそういう手合いじゃないかと恐れることはあるが、自分がみんなを引っ張っているとか貢献しているとか、とても思えない。団塊の世代の人は違うのだろうか一般に。自信満々のセルフイメージがある人が多いのだとしたら、奇っ怪である。
 団塊世代が社会のリーダーであったこの十数年は、日本の停滞期であったのは明らかでは無かろうか。自分らはやった、やったと、もしそう思うのだとしたら、そういう人の根拠がどうも分からない。
 ◇  ◇  ◇
 それにしても、あっちでもこっちでも今度は県庁の官製談合が大流行、というかまたこれも不思議と一つ出始めるとあっちでもこっちでも・・・なんでこうなるのだろうか。別に昨日今日、各県庁の腐敗が始まったとも思えないが。
 市町村なんかでもこれからぞろぞろ流行するかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 急にマグロが食えなくなる、とにわかに騒いでいる。これも今日あることはかなり前から予測されていたのだがなんでだろうか、と思う。日本人はでたらめにマグロや海老やその他の海産物を粗末に扱いすぎてきたのは間違いない。
 それにしても、日本食とか魚食を世界に広めたのは日本人である。それが広まりすぎて自分らの首を絞めることになっているのが面妖だ。いっそ「魚も知能が高いので食べるべきではない」という運動でも起こしてはどうか。
 それとも、このまま世界は魚を食うようになり、100年ぐらいしたら肉を食うのは日本人だけになっていたりして。それで世界一体格がいいのは日本人、なんてことに・・・。
 ちょうど、今やジャズやクラシックをやっているのは日本人ばかりになっているようなものである。

2006年11月14日(火)
その後、いろいろあってなんとなく影が薄くなってしまったけれど、実はまだ半年もたっていないのだ・・・。「東京都港区の区民向け住宅「シティハイツ竹芝」で今年6月に起きたエレベーター事故で、死亡した都立小山台高校2年、市川大輔さん(当時16歳)の両親が14日、初めて記者会見した。母親の正子さん(54)は「大輔は事故前、『ドアが開かないことがあって、エレベーターが怖い』と言っていた。私は子どもが殺されたと思っている」と声を震わせ、製本業を営む父親の和民さん(53)も「なぜ死ななくてはならなかったのか、全くわからない」と目を真っ赤にしながら、原因の早期究明と対策の徹底を訴えた。「家族の心は、6月3日から一歩も動くことができない。子どもを帰してほしい。ただ、それだけです」(読売)ということで、一時は連日のトップニュースだったのだけどなんとなく、その後は安倍政権だとか北朝鮮だとか、児童殺しに飲酒運転、必修逃れに相次ぐ自殺・・そろそろ2006年の10大ニュースなんて時期になってきて、なんだか忘れられかけているのが「シンドラー・エレベータ」の件。実は私はずっと「それでその後、どうなったんだよ。ちっとも片付いていないんじゃないの?」と思っていた。実際、公団住宅なんてどこもかしこもシンドラーだ、とその後、ある建築業界の人から聞いた。私が前に住んでいた公団の賃貸マンションなど、すでに妙な作動不良や事故が起きていた、と前に書いた。それで、その後はまったく問題がないのだろうか?
 ニュースというのは面白いもので、ニュースバリューというのは連鎖するものである。たとえば今だと、普通なら余り目立たない自殺事件がいちいちトップニュースのように扱われるが、もちろん日ごろから教育現場などで自殺は起きている。しかしニュースとしての価値が今は高いのだ。相場のようなものである。同じような事故や事件が続くような気がするのはそういうことだ。飲酒運転が急に増えたわけではないし、必修逃れが急に起こったわけでもなく、電車の事故があるときだけ激増して、今はなくなったわけでもない。今でもオーバーランする電車はしょっちゅうあるはずだが、報道されないだけである。
 エレベーターの話もそういう意味で、その後シンドラー社についてなんの沙汰があったとも聞かず、あれでおしまいなのかよ、と私は常々思っていたが、そろそろ動きがあるんだろうか。
 ◇  ◇  ◇
 「衆院は14日午後の本会議で、少年犯罪の凶悪化、低年齢化に対応するための少年法改正案の趣旨説明と質疑を行い、審議に入った。現行法では、14歳未満の触法少年については、刑事責任を問えず、警察官は任意の調査しかできない。改正案は、警察官による調査権限を明文化し、捜索や押収などの強制的な調査も可能とする。また、14歳以上となっている少年院送致の年齢下限を撤廃し、家庭裁判所が必要と認める場合は送致できるようにする。政府・与党は、少年法改正案の今国会成立を目指しているが、野党は「少年の更生には福祉的な支援が必要で、警察の介入は問題だ」などとして法案に反対しており、今国会での成立は微妙な情勢だ」(読売)なんて話を見て、へえ、まだこんな程度で話がとどまっているのか、と思った人も多かろう。私もそうである。
 年齢なんて本当に関係あるんだろうか。やったことがとてつもなく悪であるなら、それこそ英国みたいに5歳でも6歳でも処罰したほうがいいのじゃないかこの国は。もともとクールビズなどと上からの国民運動でも起こされないと服装一つ主体的に考えられない国民性である。
 

2006年11月13日(月)
あ、なんか暗いなあ・・・。今日なんて新聞紙面はいじめ自殺の話(おまけに校長の自殺とか、関係ないけど岐阜県の部長さんの自殺まで重なってたりして)ばっかり、そこまでは一応は想定内だったのだけど、そこへきて今度は秋田・大仙町の子供殺しだ。またしても母親が殺していたわけだが、そしてまたしても、しゃあしゃあと涼しい顔して捜索活動に加わっていたわけだが、今度の母親というのも、31歳にして、二回離婚していて、現在は内縁の夫がいて、しかし今回の共犯はまた別の男で・・・相当に男遍歴はあるヒトのように思われる。うちの職場の同じ年で独身の某女性など、犯罪は犯罪として、この年までにこれだけいろいろ経験しているなんて、すごいなあ、と妙な感心の仕方をしていた。
 ところで、いじめ自殺に関して、読売新聞のトップに作家Tが間抜けたコメントを、それもえらい長文で載せているけれど、なんかなあ、と思う。50代のこの作家にはどうもわからないんだろうなあ。私は39歳ですが、いわゆる学校が乱れ始めて、金八先生の放送が始まったころの小中学生ですので、つまり今の教育問題の萌芽が始まった時期の子供ですので、これほど感度の悪いことはいえない。学校、監獄、兵営、精神病院はすべて基本的には同じようなものだ、近代という制度が産んだ隔離施設である、と喝破したのはミシェル・フーコーで、そんなのもすでに20年も前の話と思う。T氏ははっきり言ってそのへんのレベルにも達していない。自殺したいほど辛いのなら、学校や先生に申し出なさいだなんて、それでなんとかなるならこんな問題など起きぬ。
 そして、問題発覚すると今度は校長まで自殺するのだから、だいたい学校組織というものがどれほど閉鎖的で圧迫的で、恐ろしいところか、である。
 あえていえば、石原都知事のように「あんなもの少し甘ったれてるんじゃないか。まず番長を倒すナリして自分で解決するしかない」という暴言めいたもののほうがよほど意味がある。私はこの都知事の言い方をある程度肯定する。経験があるからだ。私は何度も転校し、そのたびにいじめの標的になるかならないか、ぎりぎりのリスクをかいくぐってきた。失敗してやられてしまった学校もあったが、転校初日にそのクラスの番長というか、いちばん体格がでかくていばっていそうなヤツを撃滅して、事実上、その学年の番長格に収まることに成功した学校があった。次の学期には早くも学級委員に推されたのは言うまでもない。別の学校では、転校してきた次の年には児童会の役員にまでされた。閉鎖的な田舎の子供の世界じゃ、よそ者をそのように受け入れるなんて希有のことだろうが、たいていは、はじめのうちに舐められない、どころか「こいつは手強いヤツ」と思わせることに成功した場合には、あとは快適だった。
 ま、私のように何度も経験を積んでそのへんが上手になるなんてのは普通の子供には出来ないことだろうが、もし環境をリセットできる場合には、そんなことも考えてもらいたいと思う。思うに自殺に追い込まれるような子供は、おそらくは、その土地から動く見込みがなく、いつまでも同じ人間関係が継続すると思われる立場の人と思う。私みたいな転校の多い子供は、ほかのヒトに聞いても、少々のトラブルは気にならないものだそうだ。どうせ数年たてばそんな人間関係はなくなるのである。しかし、ほかのすべての子供についても、しょせん数年たてば、学年など解散である。大学まで行ってしまえば、元先輩だった者が後輩として入ってくるなんてざらである。会社に入ってしまえばますますで、自分より年上の後輩・部下など当たり前のことである。要するに、小中学校や高校と言った通過点をうまくやり過ごすには、相応の考え方があるだろう、と思う。
 ◇  ◇  ◇
 まるで無関係だが、あるヒトが・・・2008年の4月まで我慢すれば、その後は自動的に厚生年金が夫婦で2等分される、と思いこんでいた。これは間違いである。そう思っているヒトは多いんじゃないだろうか。2008年4月以降の分の年金は自動的に分割されるが、それ以前の分はすべて「夫婦話し合いのうえで」配分を決める。元ダンナが絶対にイヤだ、といえば裁判になるしかないが、必ずしも半分もらえる保証はない。今から結婚するような若い人なら、2008年以後の時間が長いから意味があるが、すでに熟年で、じっと離婚の機をうかがっているような夫婦の場合にはほとんど関係ない話となる。けっこう間違っているヒトが多いというが・・・。

2006年11月11日(土)
本当にやるんですかい。「手紙で自殺予告した11日を迎え、手紙が投函された可能性が高い東京都豊島区を管轄する警視庁池袋署など3警察署は、小中高校周辺をパトロールした。池袋署と巣鴨署、目白署の3署の地域課員らが、通常の巡回コースに学校施設を組み込んでパトロール。私服の生活安全課員らが覆面パトカーに乗り込み、学校だけを巡回する班も設けた。池袋署では午前8時半ごろ、署員が自転車や捜査車両で出発した」(共同)ということだが、学校でやる、という予告は実行しがたいのかもしれない。
 なんかで読んだが、自殺をした場合に、案外に復讐としてはぜんぜん成立しないという話がある。もともと良心のない者がいちばん苛烈ないじめをやるから、こういう者は対象が自殺しても、よけいにうらみがましく思うだけで全然反省しないのが普通だという。かえって周囲の人とか両親とか、関係者に心の傷を負わせるだけで終わる。ことにはっきり因果関係が出てこない場合、死んだものだけが損をして忘れ去られる、いじめた連中は何事も無かったように人生を楽しむ、というのがいちばん多いそうである。
 実際、せっかく遺書など残しても握りつぶされるぐらいだから。死に損、ということだ。
 あえていって、文部科学省に送りつけてマスコミの耳目を集めて、というやり方はその意味ではずっとよい方法かもしれないが、今度は注目されすぎて自殺の決行はできない。また、この手も何度も続くと飽きられて、いずれ効果が薄くなる。
 だれか評論家が、極論ではあるが「自殺するぐらいなら相手を殺せ」と唱えていた。極論ではあるが言いたいことは分かる気がする。
 ◇  ◇  ◇
 11月11日。プレイステーション3の発売日でもある。しかし慌てて買う必要もないだろう、自分ぐらいのぬるいユーザーは。PS2のときの、一日でも早く手に入れたいというような感覚が無い。最近のゲームはみんな難しすぎて、時間もかかりすぎ、はっきりいって引き篭もっていられる人でもない限り攻略は出来ない。同じような趣向のRPGばかりだし。なんかすっかり興味が失せてしまった。
 ◇  ◇  ◇
 11月11日について。第一次大戦の終戦記念日である。また、日本で初のサントリーのウイスキー工場が出来た日である。それにたしか、文豪ドストエフスキーの誕生日だったかと思う。
 ところで、さらに試しに調べてもらいたい。サンフランシスコの金門橋(ゴールデン・ゲート・ブリッジ)の開通した日、というのがサイトの検索で出てくると思う。かなりたくさん、いろいろなところで引用されている。
 しかしこれは、間違いである。金門橋の開通は1937年5月27日である。英語のサイトなど見てもらえば分かる。間違っているのは日本のサイトばかりである。
 おそらく情報の出所が一つで、その孫引きを繰り返して日本では広まってしまったのだと思われる。ネット情報の恐ろしいところであるし、日本語サイトだけ見ていると危ないということでもある。
 しかしなんで、こういう全然間違いの話が広まったのか。なにか理由があるんだろう、と思ってさらによく調べると、同じサンフランシスコに、サンフランシスコ・ベイブリッジというこちらも有名な橋があって、これの開通が1936年11月である。思うにこっちの話が誤伝したのじゃなかろうか。
 ところが、このベイブリッジも11月11日ではなく、14日開通らしいのである。これはなんだろうか、よく分からない。さらによく調べてみたところ、ニュージーランドはオークランドのベイブリッジというのが11月11日に完成したらしい。ひょっとして、ご丁寧に二重、三重の誤解をかさねて、間違った情報が独り歩きしたのかもしれない。
 情報なんてそんなものなのである。新聞社にいるとよくそういうことが分かる。専門の記者が取材して、名刺まで貰った相手の名前を間違って覚えている、なんてことはざらである。それを指摘されると筆者は必ず怒る。俺は専門家だぞ、と。しかし名刺を見直して、今度は穴があったら入りたいぐらいに恥じる。
 また、専門家や権威、大学の先生の談話を取ってきて、そのまま裏を取らずに書く、調べてみるとまるきり思い違い、ということがある。専門家だって誤解していることは少なくない。それも意外に初歩的なことを間違っていることもある。誰しも、いい年になってから、誰でも知っていそうなことをあらためて知り、ショックを受けることはあると思う。今まで間違ってずっとこの言葉を使ってきたし、あちこちに書いてしまった、ということだ。
 しかし、しょせん人間のやることだ。専門家でも権威でも間違えることはある。
 上の金門橋の件は、あるマスコミで、よくある今日は何の日といったコーナーで使おうと思って間違えかけた実例だ。11月11日なので、思い出したのである。

2006年11月09日(木)
ということで、2,3日ネット断ちしている間に映画「デスノート ザ・ラスト・ネーム」を見てきた。ラスト・ネームつまり最後にノートに名前を書き込まれるのは誰か? とうのがひとつの主題となる。いうまでもなく人気コミックを原作とした映画の第二弾で、一応の完結編である。漫画自体は15冊もあるわけで、それを5時間の映画に押し込むには総統のくろうがったと思われるのだが、それがよく出来ているのである。原作の熱いファンにはあるいは不満足という声もあるかもしれないが、原作をまったく読んでいない私にはきわめて面白かった。単純に映画のストーリーの面白さということでは、ここ数年の映画でも1、2を争うと言ってしまってもいいと思う。よくスリリングな物語を、二転三転する、などというがそれは前編に当てはまる。今度の後編になると五転六転、という世界である。
 漫画原作とはかなり相違する点もあるらしい。ことにエンディングは違うと聞いている。なんにせよここの見せ所は圧倒的によく出来ている。
 私は夜神月というにんげんにはまったく共感しないタイプの人物である。世の中を単純に正義と悪人に二分した見方をしすぎている。正義をふりかざすにんげんほど極悪人であるという歴史の知恵に思い至らない彼は間違いなく幼稚な人格だ。その小利口だが結局は策士策に溺れるの典型、自滅して行くアンチヒーローの人間像を藤原竜也はよく演じたと思う。一方、そういう幼稚な犯人を自分自身に似た自己顕示欲の強い未熟な人間、僕自身にそっくり、と喝破するLという人間は自分でいうほどものの分からない計算器ではない。彼の魅力が特に後編では強く迫ってきて、最後は完全に夜神月を圧倒してしまう。ああ、少なくともこの映画版の主人公はLのほうなのだな、と理解する。まったく血も涙も無いピカレスクもののような展開で話が進むのだけれど、最後はほとんど、松山ケンイチ演じる奇妙な少年が英雄的な相貌すら帯びてくるのである。よくこういう人物像を作り上げたものだ。松山は去年はあのYAMATOで熱演していたけれど、毎年のように話題作に出て、あれだけの演技を見せるのは素晴らしいことだ。彼に拍手を送りたいと思った。
 ミサミサについては、ちょっと短い時間であの複雑な人物を描ききるのは難しかったかもしれない。夜神月を崇拝しているのは分かるが、だからといっていきなり恋愛感情を抱くというあたりはなにか唐突に見えた。しかし、今回、ある意味で話しの中心となるテレビ局関係の描き方は非常に面白い。原作とはちょっと違う設定が入っているらしい。
 夜神総一郎。たぶん全登場人物の中で本当はもっとも不幸な父親の役である。鹿賀丈史の最後のほうの演技は大いに見せ所である。
 とにかく展開そのものに触れるとすべてネタバレになりかねないのでなにも書くまい。やはりこれは典型的なストーリー展開を楽しむべき映画であるが、そのジャンルとしては第一級品であって、そのへんのハリウッド大作よりずっとよく出来ている。おそらくハリウッドでリメイクされる日も近いだろう。
 じっさいのところ、夜神月のように大学3年で司法試験をパスすることも今はできなくなったし(法科大学院制度が始まったからである)、また司法の方もここ数年、けっこう厳しい判断をするようになってきた。たとえば少し前なら、大阪・池田小の無差別児童殺人犯の宅間死刑囚など、名前も出なかったかも知れず、精神鑑定の結果によっては事実上野放しになったかもしれない。そういう点ですでにこの話もいささかのアップデイトが必要な気もしないではないが、しかし普遍的なテーマである「正義とはつまりなんなのか」ということが非常に重くのしかかる作品で、通常の娯楽作品を見終わった後以上に考えさせられるものになった。上映後、なにか深刻な感じで黙り込んで劇場を去る観客が非常に多いのが印象的だった。
 誰もが思うはずである。もし、自分の手元にデスノートが舞い落ちたらどうするか。
 私なら、自分では使用しない。おそらく、軍や警察、テロリストに販売するのじゃないかと思う。そのほうが危険なことだろうけど。なんにしてもけちな私用に用いるべきではあるまい。なんの報い、副作用があるか分かったものではない。
 デスノートにはなにしろまだ明かされていない秘密がある。死神リュークははじめから「別にお前の味方というわけではない」と夜神月に言っていた。実際にもその通りに振る舞うのであるが、しょせん死神など真実を語っているという保証はなく、信用するべきではないのである。

2006年11月06日(月)
ああもう、公私ともに(つまり会社のもプライベートのも)原稿仕事が溜まっていてピンチ! というkとでこのところ日記ブログのたぐい停滞気味。いかんいかん。そもそも文章修業のつもりで始めたのであって、忙しかろうが何だろうが、ちょっとは書かねば。ダイエットと同じである。習い事と同じである。やればやるほどいいのである。
 が、思うに一日に普通のにんげんが書きこなせるボリュームってどのぐらいだろうか。流行作家ならひと晩で100枚とか荒業もあると思う。私は、だいたい50枚ぐらいかな。ひと晩で。そのぐらいは書いて書けなくはない。しかし・・・。
 ◇  ◇  ◇
 ポール・モーリアが亡くなった。ちょっとショックである。実は私はラジカセでエアチェックしたテープでなく、ちゃんとお店で買った最初のミュージックコンテンツ(当時はレコードのプレーヤーもなかったもので、ラジカセ用のカセットテープである)は、何を隠そうポール・モーリア・グランドオーケストラだった。「オリーブの首飾り」とか「涙のトッカータ」とか「恋はみずいろ」であった。それは小学3年生ぐらいだったか。当時の私のフェイバリットというのは、そのポール・モーリアと、エルヴィス・プレスリーと(映画ブルー・ハワイに惚れ込んでいた)それからなぜかスコーピオンズ(ちょうど初来日してウリ・ロートが荒城の月など披露したころである)、キッス(銀座NOW!なんかでよく取り上げていた)であった。時代的にはジミ・ヘンが亡くなった後で、ツェッペリンとかパープルが人気を欲しいままにしていたころなんだが、まだ当時の私には早かった。もっとも、小学6年ぐらいからはリッチー・ブラックモア一辺倒になってしまうんですが。
 ま、そういうことで、そういう時期に血肉となった芸術というのは決して忘れないもの。今でもなお楽団の演奏は頭の中で再現できる。ハープシコードの使い方がおしゃれで、弦楽器のアレンジもあくまでも美しかった。なんだかんだ言って、あの真似は誰もできていないのも事実である。
 後になって(高校生ぐらいになってから)ジェフ・ベックの「恋はみずいろ」を聴いて驚いた。にしても、あの天才ギタリストがコピーするというのは、やはり楽曲に惚れ込んでいたに相違ない。その後も「哀しみの恋人達」とか意外なポップナンバーをコピーする人だったから。天才は天才を知るか。
 実は父親の会社が、ポール・モーリアを日本に毎年のように招く勧進元をやっていた。だから父に頼めば生演奏などいくらでも拝めたと思うが、結局見ないで終わった。今思うと惜しいことをした。テレビで見たライブは、イージーリスニングといえども予定調和的な淡々としたものじゃなく、生のスリリングさに溢れていて非常に心を打った。
 81歳だったというが、有名になったのは自分の楽団を率いた40過ぎ。実は晩成型だった。
 ◇  ◇  ◇
 臓器移植のことで愛媛の徳洲会病院が再三もめている。それにしても病気内臓の移植というのはどこまで有効なんだろう。はじめ、ドミノ肝臓移植の話を聞いて非常に違和感を覚えたが、肝臓はある程度、そういうことが可能ならしいが、腎臓については専門家も「?」なのだという。
 おそらく問題は、移植に使いたいために、丁寧な治療をしないで「どんどん切りましょう」といって、患者をだまして腎臓を切り取っていたのじゃないか、という疑惑である。
 寝台に寝てしまうとまな板の鯉。患者はなにもわからず言いなりである。
 向こうの都合で、自分の臓器を部品として採集されるのはかなわない話である。


2006年11月04日(土)
クリント・イーストウッド監督の最新作「父親たちの星条旗」を見てきた。
 ところで、それと直接には関係ないが、共同通信の記事で「3日付の英紙ガーディアンは、世界の指導者で誰が平和への脅威かなどを英国民に尋ねた世論調査結果を掲載、ブッシュ氏はかつて自分が「悪の枢軸」と呼んだ国の指導者より、危険視されるようになったとした。調査結果によると、75%がブッシュ米大統領について危険と回答。北朝鮮の金総書記は69%、イランのアハマディネジャド大統領は62%だった」というのが目を引いた。それは見方によってはその通りで、ブッシュ政権になってから北朝鮮にしろイランにしろ先鋭化してきたのは事実。911テロ自体、あの政権の陰謀かどうかはともかく、あの政権が引き寄せたのは一つの真実じゃないかと思うのである。
 それで思い出すのだが、イラク戦争の正規戦闘が終結し、米海兵隊の工兵部隊がバグダッドのフセイン像を引き倒す際、最初は米国旗を像の頭に巻こうとし、その後、それを外したのだった。あのとき「馬鹿かこいつら、これはアメリカが勝利してバグダッドを占領した戦争じゃないはずだろう。なにが自由と解放のための戦争だ、硫黄島かなにかのつもりか」と私は不快に思った。そう思った人も多かったから、現地の工兵も幼稚な演出をやめたのだろう。今時はああいう場面もテレビカメラが入っているので、とりあえずその場の反応もダイレクトであるのは確かだ。
 が、60年以上前の第二次大戦というとどうか。硫黄島の戦いというと出てくる、あの星条旗を擂鉢山の上に押し立てる6人の海兵隊員の写真。報道班員ももちろん随行していた。あの写真を撮ったのはAP通信のローゼンタールというカメラマンで、今年の夏まで存命だった人物だ。当時からしかし、あまりにもデザインのように、戦意高揚ポスターのように出来すぎた構図、特に兵士の顔が映っていない無名性がかえって普遍性や象徴性を喚起するというあまりにプロパガンダ用の構図が「やらせ」なのではないか、と疑問をもたれていたという。
 結論を言えば「やらせ」ではなかった。しかしその真相は・・・。
 原作は2001年のベストセラーで、6人の「硫黄島の英雄」の1人の息子が、生前になにも語ってくれなかった父親に代わり、あの星条旗写真の真相を探っていくというドキュメンタリーである。これをスピルバーグが映像化権を取得し、監督をイーストウッドに譲ったのだという。監督としてのイーストウッドの手腕は随所に光っている。たとえば、米軍の輸送船がタラワを出撃すると、ぱっとそこでその上空を飛ぶコルセア戦闘機のコクピットから船団を見下ろす視点に切り替わる。あの劇画的な鮮やかさは見事である。そのほか、実はエンディングに実際のドキュメント写真が掲げられるのだが、映画の中のほとんどあらゆるシーンが、すべて実際の写真を元にして再現されている、という証拠写真を突きつけているのである。作り事は一切無い、というイーストウッドの姿勢は類稀なほど潔い。
 「英雄」たちを戦費調達キャンペーンのタレントとしてさんざん利用した挙句、戦後は何の面倒もみないでポイ捨て。アメリカという国家の酷薄さも生々しく描かれる。それはベトナムで、イラクで、今も繰り返されていることである。さらに、共に戦う戦友であるのにぬぐいがたい人種差別(英雄の中にインディアン出身の兵士がいる)、またおそらくアメリカ人観客にはショッキングな映像だろうが友軍の誤射で死ぬものが非常に多いという米軍の現実も直視している。イーストウッドがこの映画で投げかけているものはアメリカ人には非常に苦いはずである。
 しかし日本人としてみると、実は申し訳ないがかなり、率直な印象は変わってくるのも確かで、アメリカ兵がばたばた倒れるシーンを見ても、やはり私は日本人なのだろう、この映画では姿を見せない恐怖の敵として描かれる日本兵の奮戦を思って、彼らに応援する自分というものを禁じえないのであった。
 アメリカ兵は、それでもできれば帰国しようと思っている。日本兵は、絶対に生きて帰らない覚悟なのだ。
 しかしそれだからこそ、続編として日本側から見た第二部を制作したイーストウッド監督のすごさがまた非常に理解できる。日本の観客ならきっと第一部では納得しないだろう、だから、というこの視点は素晴らしい。同じ監督が同時に敵味方の視点を入れ替えた戦争映画を撮るというのはこれまで決してなかったことだが、今後はこういう試みも一つの手法となるかもしれないと予感する。絶対に渡辺健が栗林忠道中将を演じる第二部を見なければならない、と思った。
 なお、戦史マニアは万難を廃して見るべきなのは言うまでも無い。ペンシルベニア型やサウスカロライナ型と思しき米戦艦の艦砲射撃シーン、アリゲーターやダック、LVTが海岸に殺到する光景は圧巻である。しばしばノルマンディー作戦の映画ではこういう場面もあったが、太平洋戦線ではいまだここまで力の入った再現は無かったのではないか。
 常に観客に考えさせるイーストウッドの映画に対する哲学がまざまざと生きている非常に力のある一本だった。

2006年11月03日(金)
  昨日は公休でありました。で、松屋銀座でやっている「北海道展」に・・・また行ったのか。行ったのです。しかし北海道は食材の宝庫。なんでも美味いのは確かですな。
 「かやの茶屋」という札幌にあるフレンチレストランが出店していました。東京には初進出というのですが、実に上品で北海道の素材を生かしたフレンチ、いいです。http://www.kayanochaya.com/
 札幌に行くことがあったら行って見たい。こういう、必ずしも東京では有名じゃないというお店を発掘してきて紹介する、というのが物産展のひとつの使命でもあり楽しみでもあるわけですが、ここもいいですよ。
 「ういるびい工房」http://brownbox.lib.net/02pro_will.htmlというところの木彫りのクマがあまりにかわいいので衝動買い。なんかこういう展覧会に行っては、あれがかわいい、これがかわいいといってけっこう買ってしまうのですが、うちは。
 毎回行列という札幌のパン屋さん「さえら」の「たらばがにサンド」はわれわれが行ったときにはとっくに完売。ほかにも人気のありそうなところは軒並み完売。松尾ジンギスカンのジンギスカン弁当と札幌かに工房の海鮮弁当を購入。とにかく今回は節約して・・・ しかしそれでもけっこうな出費。ああ。
 さらに、たまたま妻がいる、自分は暇である、ということで、「日ごろ入りづらいブランドのお店に飛び込み偵察してみよう」という話に。
 男一人だとけっこう、かえってなにか目的ありげに見られてしまうので、女の人が一緒だと単なる偵察行動かな、と思ってくれるような気が。要は冷やかしやすい。
 で、まずは松屋内のエルメス。ふーん、こんなもんか。グローブがいい。しかしここのグローブを作っているというイタリアの工房の製品をすでにゲットしているのでまあいいか。ブルガリに行く。ブルガリブルガリの時計とかリングに引かれる。ああいうペアリングはいいだろうかしら。今、第二結婚指輪って流行っているんですかね。後で行ったプランタンでもそういうコンセプトの商売をかなり見たのですが。確かに新婚のときの指輪って実は安いものを勝っている場合が多いから、相応の年になったらもっといいものを、というのはありでしょう。それから大改装したルイ・ヴィトンへ。おや、ペアリングなんかなかなかいいじゃないか。思ったほど高いわけでもなし。それと、なんといってもなかなか心引かれたのは靴。ルイ・ヴィトンの靴、なんてあまり言わないし、実際に生産しているのはまああれとかこれなんじゃないか、と推測されるが、しかしなかなか、紐靴なのにモンクストラップ風でブローギングもある、という靴なんか面白いこと。値段も案外に安い。というか靴の世界じゃヴィトンは別にトップブランドじゃないから別に最高級というわけじゃないのであって、はっきり言って安いほう。いわゆる靴マニアはいいと言わないのかもしれないが、確かに真面目な靴メーカーとは違う雰囲気はあり、一足、持っていても悪くないかも、と思った。余裕があったら欲しいかも。
 その後、向かいのシャネルへ。入りづらいんですよね、けっこう。衛兵が突っ立っているティ○○ーほどじゃないが、なんかこう。しかし入ってみるとどうってことなく、おや。夫婦者でペアリングなんてなかなかしゃれているじゃない。それにまた、こっちも思ったような値段ではない。ここのリングはちょっと覚えておこう。ネクタイも面白いねさすがに。飛行機柄のなんかちょっと品は無いけど欲しい。
 さらにお向かいにあるのがカルティエ。ここのリングも良かったけどけっこう大人しめ。今やカルティエというのはどっちかというと時計ブランドのような印象だし、それに前の世紀のはじめごろからサントス・デュモンのために時計作っていたんだから、決して昨日今日あわてて時計はじめた新参ブランドじゃない。いいですよね、ここの四角い時計は。一つぐらいは持ってみたい、いつもいつもミリタリーウオッチじゃなくて自分。値段的にもミリタリーウオッチとそう変わらないじゃない、実際。ああいうのも本当は高いですから。カルチェと小さく入ったリングにも好感を持った。あれなら男がさりげなくしていてもよいかも。
 で、その後はポール・スチュアート。カシミヤのジャケット、緑色のチャッカー・ブーツが目を引く。それからシップス銀座。カフリンクスなど小物が面白い。隣のトレーディングポストはもう何回も行っているので、ロイドフットウエア銀座。靴もよろしいが、ダレスバッグが安い。こんなにお安いダレスはなかなかないのじゃないか。ぜひボルドー色のが欲しいと思った。それから間違ってハロッズ。銀座のハロッズは女性専用なのね。あわてて退散しビームス銀座へ。ここも小物が面白かった。というか、今までビームスではなぜかカフリンクスばかり買っているが、自分の好みに合うのか。
 で、そろそろ7時となり、グッチの店では追い出し態勢。で、あきらめて引き返し、なぜかバナナ・リパブリックへ。シマウマの毛皮が敷いてあるのに妻がショックを受ける。モード系のフロアで黒と金の派手派手しい展開を見せられるが、なんかこうドル○ェ&なんとかかんとかを大人しくした感じ。だったらあっちのほうがよろしいかも。
 で、間違って渡り廊下を歩いて・・・おや、ここはどこだ? よく表示を見たらプランタン銀座であった。ここの大家は実は私の会社である。つまり親会社である。確か社員割引もあるはず。とはいえ、ここは女性専用。男には禁制の百貨店のはず。しかし妻がいるので安心して闊歩する(前に単身で来たときは逃げるように偵察して、一度も立ち止まらずに撤退しました。私は独身でした)。
 地下でバーゲンセールをやっているので妻を連れて行く。はっきりいって男は販売員以外は私しかいない。二、三、目をつけたスカートを妻が試着するが気に入らず、販売員もバーゲンなのでだろう、わりとつっけんどんに感じたのでなにも買わず退散。
 で、そのまま帰るつもりで東京教会の前を通り、地下鉄入り口のところで、ふと目に入ったのがMELSという雑貨屋さん。私はよく知らないが、なんか感じがいいので入ってみたのだが・・・こう、ゴージャスな無印○品? とにかくよく見ると非常に質のいいものがあって気に入る。ふと奥を見ると、女性服のコーナーがあり、決してお安くない、さっきのプランタンの特売のものと比べれば3、4倍の値段のスカートを発見。私が薦めたのだが妻も痛く気に入り、結局、購入した。
 ああ、それでこれは私から妻へのクリスマスプレゼント、ということにした。
 ということで、あのへんに詳しい方なら中央通り、ガス灯通りからプランタンのあたりをぐるぐる回っているだけだったことにお気づきと思う。
 なんにしても妻がいてくれると偵察がしやすい。ブリオーニだろうがア・テストーニだろうがどんどん入れるだろう・・・けっこう男一人だと、本気で買いにきた人のように見えちゃうものですから。しかし、偵察行動の結果、今回も結局妻のスカートを思いつき買いしたのだから、やっぱ入りやすくないと。銀座の旗艦店ってちょっとなんかこう、入り口を一歩はいるのが気が引けるカンがあるのは事実。財布に5000円しかありません、というときにはなんか偵察もしにくい。
 今度、ぜひ並木通りのほうも妻を連れてこう・・・。あっちもなかなか入りにくい店があるんですよ、いくつか。一度入っちゃうとどうってことないんですが。
 ということで、なんかブランド探訪のように・・・。

2006年11月02日(木)
韓国で2005年に大ヒットした映画「トンマッコルへようこそ」を見てきました。いやあ、実にいい映画です。いわゆる泣ける映画を求めている方などは、迷わずご覧ください。朝鮮戦争のさなか、だというのに戦争のことなど何も知らず、自給自足の生活をする桃源郷「トンマッコル」。そこに現れた北朝鮮人民軍の敗残兵3人と、韓国軍の脱走兵2人、アメリカ軍のパイロット1人。当然ながら最初は敵対しあうわけですが、徐々にこの村の圧倒的な「善意」に打ちのめされて、彼らは戦争という狂気から癒されていくのであります。
 まさに、彼らにとって敵とは「戦争」という狂気そのもの、というメッセージが痛いほど伝わってきます。後半、米軍将校に指揮された落下傘部隊が現れますが、こいつらの描き方はさいごまで狂気から目が覚めない人間として描かれている。まあそのへん、かなり最近の韓国にあるアメリカ嫌いというファクターを感じないではないですが、ちゃんと狂気から目が覚めているアメリカ人も出てくるので、ヘンにバランスを崩した政治色はありません。
 なんかこう、北朝鮮問題が騒がしいこの時期、そういう「嫌な政治色があるなら見たくないな」という危惧がある方、心配ありません。これはひとつのファンタジーで、だからこそ非常に普遍的です。リアルな設定を施されていますが、ファンタジーと言っていいでしょう。もちろん韓国の観客が見るとまた全く違った色を帯びるのかもしれませんが、少なくとも日本人が見ても全く違和感が無い、きわめて普遍性があるお話です。久石譲の音楽が実際、「ラピュタ」や「ナウシカ」を彷彿させますし、それがまた狙いでもあると思いますがこれほど音楽が効果的な映画もなかなか最近、ないというほどうまい使い方です。「どこへ行っても戦に飢え、なぜこの村のように暮らせぬのか・・・」これはナウシカに出てくるユパ・ミラルダの台詞ですが、まさにあの風の谷のユートピアのイメージがそのままトンマッコルには重なります。
 後半は、相当にねじくれた人でも思わず感涙にむせぶと思います。連合軍の航空部隊がトンマッコルを地上から抹殺すべく、大編隊による空襲を企図します。それを知った6人は村を守るべく決死の戦いに臨むのですが・・これはやられます。決してハッピーエンドではありません。しかし嫌なお涙頂戴でもありません。ああ、トンマッコルはやはりこの世のものではない、どこか彼岸の世界なのかな、と思わせる不思議なエンディングを迎えます。
 ストーリーはよく練られていて全く素直。もともとは舞台劇だったというから、なるほど完成度が高いわけです(名作映画の場合、元は舞台、というのは案外に多いですね)。
 この時期の北朝鮮軍の服装や装備がまったくソ連軍式なのだな、とよく分かりました。それから、米軍のパイロットが乗ってくる飛行機、予告を見てP47かと思ったが、所属は海軍機らしく、コルセアでもヘルキャットでもなく・・・ああ、これはF8Fベアキャットなのかな、とようやく得心した次第。後半、この時期でも現役バリバリだったB29なども見事に特撮で再現されていますが、ここもかなりの見所です。
 劇中、かなり凄惨な戦闘シーンもありますが、すべてその出来栄えも、ファンタジーだからと言って甘いつくりではありません。そこが、かえって効果的なんですが。
 役者さんは皆、熱演で、決して超有名な韓国のアイドル俳優が出ているわけじゃないそうですが、ヒロイン役のカン・ヘジョンという人、光っています。この人がいないと、この映画は成り立たなかったんじゃないでしょうか。彼女は、ちょっと頭が弱いのか、あるいは天使のような少女なのか・・・つまりトンマッコルを象徴する存在です。
 今も木更津なんとかとか、いろいろ話題作があるようですが、ぜひこの一本もご覧ください、とお薦めします。

2006年11月01日(水)
近所の馬鹿なガキが毎日毎日、夜遅くまで路上で遊んでいる。路上であるからには合法的に文句は言えないのかもしれないが、しかし真っ暗になってもぎゃあぎゃあ騒いでいるガキというのはなんとかならないものか、と思う。実際のところ、きわめて不謹慎だが、ちょっとそのへんのガキが事件か事故にでも巻き込まれればいい、と思うほどである。
 それにしても、なんであんなに毎日が暇なんだろうか。というか、要するに親から見ても力をいれ甲斐のない落ちこぼれなのかもしれない。しかし、そんな無用なガキならなんで生んだのだろうか。ほとんど放棄されているとしか思われない。
 ◇  ◇  ◇
 私は転校の多い子供だったが、毎日新聞で「ものもらい」に関する記事を見かけた。つまり「共通語だと思っていたのに、よそで使って驚かれた言葉には、人体にまつわる言葉が多く挙がりました。・・・寄せられた情報の中で、最もバリエーションが豊かだったのは「ものもらい」。医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」といい、まぶたの縁や内側に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こる目の疾患だ。「学生時代、目にできものができた大阪出身の友人に『ものもらいだな』と声をかけたら『ちゃう、めばちこや』と言われた。そのとき隣にいた宮崎出身の友人は『それは、めいぼ!』と譲らなかった」(埼玉・40代)。「東京で『めばちこ』と言って『湖の名前ですか』と聞かれた」(大阪・30代)−−などの体験談も多かった。「ばか」(宮城)のように嫌悪感が伝わる言葉もあれば、「おひめさん」(熊本)「おきゃくさん」(佐賀)「おともだち」(沖縄)のように親しみのある呼称の地域もある。両極端の印象が、呼び名として存在しているのは興味深い」ということで、これはロート製薬の調査結果だそうだ。
 それでやはり、私も「ものもらい」なる言葉はかなり後で・・・おそらく社会人になってから知ったように思う。私は小学校の高学年から関東に住んでいるのだが、たまたま、自分自身があまり目のトラブルに見舞われなかったからだろう、「ものもらい」という言葉を全く聞かずに育ち、初めて誰かと話していて、やはり理解できなかったように思う。じゃあ自分ではあれは何だと思っていたかというと、「めばち」とか「めばちこ」だ。つまり、関西に住んでいた頃に覚えた言葉である。これ、「目がばっちい子供」という意味であろうか。
 それで、関東式の「ものもらい」というのはなんの語源なのだろうか。ものもらいって、いわゆる「乞食」(マスコミでは使用禁止語)のことですか。あるいは、そういう境遇の人がなりやすい、という意味なんだろうか。やっぱり「ばっちい」からなるという。
 それにしても、正式名称が難しすぎるのじゃないか。「あ、バクリュウシュができた」とはとても日常的には言えない・・・。

2006年10月31日(火)
なんでも例の高校の履修逃れの件で、文部科学省は一応、補習として「70時間の講義」を受ければ卒業単位を認める、という案に落ち着きそうだ。というか、なにしろ4万人とか480校だか、膨大な数に上るこの件で、ひどい生徒となると370時間とかの授業が必要になるそうで、それはおそらく理科も社会も保健体育も全部さぼって、受験科目だけやっていた学校だろう、それじゃいくらなんでも話にならないというので、70時間。まあ、これなら詰めてやれば一週間で出来ますかね。
 とまあ、今回の政府の対応はまあまあ早いのだけど、すでに対応に鬱状態になってしまった茨城県の校長先生が一人、自殺してしまったそうだ。かわいそうに。もちろん死んでもらってもどうにもならないのであるが、まず鬱になっちゃったんだろうなと。
 ◇  ◇  ◇
 ところでティモンの木、という話がある。古代ギリシャの話かなんかだが、ティモンという学者が自殺した後、その木が自殺の名所とかして後追い自殺が続出した、というような話である。まあ、自殺というのは連鎖を呼ぶもんである。
 教育現場で自殺が続いているが、この校長先生もいくらかその影響を受けているのは間違いない。それから、岐阜で新たに問題になっている女子生徒の自殺だが・・・これも連鎖自殺じゃないかなむしろ。部活動でいろいろあったと聞くが・・・しかしねえ。運動部なんかでいい思い出のある人なんているのかね。みんなろくな思い出ないでしょう? 陰湿なしごきに陰湿ないじめに理不尽な教師に空威張りの先輩に・・・まあそんなもんです。スポ根の世界なんて。どんなスポーツ漫画を読んでも、いじめ、いびり、しかと、迫害、そんなものばかりですな。
 だから、ことさらになにかあったのか、それともどこにでもあるようなレベルだったのかしらない。「最近の若いもんは弱いなあ」という一言で片づけるのも、実態を知らないので気が引ける。とはいうものの、今のところ出ている話というのは、自殺の原因としては普通に考えて弱い。
 なんか人間ってもの、どんどん脆弱になってるのは事実ですがねえ・・・。

2006年10月30日(月)
みっともないのはソフトバンクである。日曜のネタ涸れのときに一人で目立ってしまったわな・・・「携帯電話3位のソフトバンクモバイルは29日、利用者情報を管理するコンピューターシステムが前日に続いて障害を起こしたため、再び正午過ぎからNTTドコモやKDDI(au)との間の契約切り替えの受け付けを停止した。24日に番号持ち運び制が始まって最初の土日に契約変更の申し込みが膨らみ、連日のシステム障害となったという。矢継ぎ早に新料金プランを打ち出したものの、顧客の反応に対する見通しが甘く、準備不足を露呈した。・・・同社は持ち運び制開始前日の23日、自社の加入者間の通話料金などを無料にする、新たな定額料金制度の導入を突然発表。事前に情報が漏れるのを防ぐため、「社内でもほんの数人の幹部しか知らなかった。販売店や営業マンにも発表当日まで知らせなかった」(孫正義社長)という。その後も、定額で使えるメールの範囲を拡大したり、機種変更でも頭金なしで買えるようにしたりと、新サービスの発表を繰り返した。意外性で利用者の関心を引くことを優先させた結果、販売店への周知や教育にかける時間は極めて短くなった」(朝日新聞)ということで、とにかく持ち運び制度のスタート前日になって、急にものすごい割引プランを発表、それまでぜんぜん持ち運びなんかに興味のなかった人らの耳目を集めるのにまんまと成功・・・したのは良かったのだけど、なんでもこういう小細工、奇襲で成功するばかりじゃないのが電話ビジネス、実際に受け入れるだけの態勢が整っていないどころか、身内の社員までぜんぜん理解していなかったのだから、混乱が起きても、ある意味当然だろうと思われる。で、ついたイメージというのは「やっぱり安かろう悪かろうじゃ困るよな、電話の場合」というところですかね。
 私はオークションは興味なく、検索にもどうもYAHOO!ってのは使わないし、ケータイも言うまでもなくただのトランシーバーとしてしか使わないし、まったく持ち運びだの乗り換えには興味がない。だから悪いけどソフトバンク・グループって個人的にはあまりお世話になっていないし、関心もない。ああ、以前にSBIの株を持っていたことはありますけど。いちばん高い頃に売ってそれなりにお世話になりましたあの節は。確かあれでトリッカーズの最初の靴を買ったのだった。ま、とにかく伝わってくるのは商売っけとか強引な売り込みとかいうイメージばかりである。ただ、ライブドア華やかなりしころは、ああいうお子様な会社があったおかげで、少し大人の会社に見えたものだった。しかし今となると、危なっかしく見えてならないが。
 ◇  ◇  ◇
 カストロ議長の「健在映像」が配信された。へえ、ジェリー・ブラッカイマーのチームが作ったのかねCG、なんて思ってしまった。やろうと思えばなんでもできる時代だから、ああいうのを見せられてもピンとこない。本物なんでしょうね?
 あの国も、カストロ亡き後はどうなるかまったく見えない。偉大なカリスマを失った共産国家はどこでもさほどの時間をおかずに空中分解の憂き目を見ているが。それをいえばソ連だってたかが70年ちょっとしか存続しなかった。長生きの人なら人生の一部に過ぎない。最近の若い子などもうソ連といっても分からないと思う。それこそ高校で世界史をやらないといけない理由である。なんで北朝鮮という国が存続してるか、みたいなことも分からなくなってるだろうし、キューバ危機なんて知らなければカストロのことも、それから北朝鮮の核危機なんてのも正確に理解できまい。


2006年10月29日(日)
H議員とテレビアナウンサーY女史の不倫疑惑で、H氏が不倫旅行に議員特権の無料パスを使っていたのではないか、と問題になったけれど、それと関係はないのだろうが先ごろ、私鉄の24社が「議員無料パスをやめたい」と言いだした。と同時に、私鉄の業界団体も「無料パスなどやっていられるのんきな状況には無いので、今後はパスネットなりメトロカードなりを必要な分、議院で買い上げるようにして欲しい」と要望している、というのがあった。
 さらに今日は「JR無料パスについて、利用実績を把握しないまま衆参両院から費用として毎年約5億円がJR6社に支払われている。衆参両院は「過去の利用や議員数を念頭にして算出している」と説明するが、実際の利用状況の把握は難しいのが実情で、ずさんな公費支出との批判が上がりそうだ。無料パスは国鉄時代には、国鉄側の持ち出しだったが、87年にJRが発足して以降は、衆参両院から貨物を除くJR6社にパスの購入費が支払われている。05年度の支払額は衆院から3億2734万円、参院1億7377万円で、ここ数年は大きな変動はない。利用目的について、国鉄時代は旧国鉄法で「(国会の)会期中、及び公務のため」としていたが、公費負担となった現在は明確な規定はない」(読売)なんて記事も目にした。必要経費ならちゃんと使った額を明瞭に精算させればよく、不倫旅行やら観光旅行に議員特権など使っていただく必要はなく、というか、国会議員なんてはっきりいって必要悪というか仕方なくやっていただいているぐらいの感覚を持ってもらわないと、これからの時代には困る、と思う。
 特権、などそもそも無用である。貴族じゃあるまいし。
 ◇  ◇  ◇
 2冊ほど新しい本を読んで面白かった。
 ひとつは「兵士の給食・レーション 世界のミリメシを実食する」(菊月俊之・ワールドフォトプレス)だ。これは連載を一冊にまとめたものらしいが、前からこういうものが出るという話は聞いていたので、本屋で目にして即購入した。世界各国の軍用食が、米軍の流儀で言えば基地用Aレーションから、戦闘用kレーションまで、またナポレオン戦争や南北戦争の時代から最新のものまで、紹介されている。実にお国柄があって興味深い。栄養バランスはいいが味は最悪とされる米軍の最新式のレーションも出てくるし、わが自衛隊の「これが軍隊の食事?」と思うようなファミレス顔負けのおいしそうなカンメシ、第二次大戦当時のドイツ軍の「下宿人料理」、ソ連軍のボルシチ風のポトフ、ゴージャスなイタリアやフランス、紅茶をつけたがる英国、貧弱だったと思われがちだが、ちゃんと補給される限りはむしろ豪華だった旧日本軍・・・など、の食事が、実物の食器や写真を交えて延々と紹介されているが、戦争というと殺し合いの局面というのは実は一部であって、むしろ大人数の人間を移動させ、食事をさせることだというのがよく分かる。腹が減っては戦が出来ぬ(ナポレオン)は永遠の真実で、これは今日のその他のイベントとか、映画のロケとか、なんにでもあてはまる。これまでもこういったものの断片はあちこちの本に載っているが、食事に絞った一冊というのはありそうでなかったと思う。保存版である。
 もう一冊。中西立太氏の「日本の軍装―幕末から日露戦争」(大日本絵画)の改訂版が出たが、これは大人気につき最初の注文では入手できず、1か月かかった。
 数年前に出た初版に手を入れた決定版だそうである。
 中西氏は日本を代表する歴史イラストの第一人者で、縄文時代でも戦国時代でも第二次大戦でも、なんでもこなしてしまうすごい人だ。ほかにもイラストレーターはいるが、なにかと第二次大戦のドイツ軍しか描けない、とか、分野を限定してしまう人が多い。中西氏は戦国武将でも日本軍の兵士でも、歴史研究として丁寧に実物を見、資料を掘り起こし、丹念なイラストにすることでそれがどういうものだったかを残そうとする貴重な存在だ。まさに労作といえる。日露以後から昭和20年までの日本軍の服装を完全網羅した前作「日本の軍装」は名著中の名著。そして、今作は、これもありそうでほかにはない、幕末維新期の官軍や幕府軍の服装や装備品から、日露戦争までを一覧する壮観な図解である。
 こういうものは、それを記録として残そうとする努力がないと分からなくなってしまう。だから欧米では、たとえ悪の軍団であったナチス時代のドイツのシステムであっても、歴史は歴史として緻密に研究し、保存することが行われている。その他、ナポレオン時代でもローマ時代でも、その時代時代の風俗や服装が事細かに研究され出版されている。こういうものだった、ということが分からないで目を塞いでいるのでは、再現も出来ず、批判も出来ず、研究も出来ないのである。たとえば、どういう装備を着け、どんなものを食べていたかが分からないでは、当時において兵士たちが移動し、集結し、戦争し、帰ってくるまでにどれだけの手間と時間がかかったか分からず、それが分からなければその時代の政治家の決断や、国家戦略の立て方が分からないのである。槍の時代と鉄砲の時代と核兵器の時代では、ミリタリーのあり方は変わるし、政治も変わるのである。
 氏は既に、もっと遡って古代からの日本の鎧兜や刀剣などを網羅したイラストを手がけている。一人のイラストレーターが、日本という国の古代から昭和20年までのありとあらゆる「軍装」について調べ上げるというのは、大変なライフワークである。
 文化勲章やら文化功労者やら言って、なんだか分かりやすい人々が毎年もらっていて、それはそれでよろしいのだけど、こういう人の仕事を正当に評価するべきじゃないかと思う。
 

2006年10月28日(土)
「全国各地の高校で必修科目が教えられていない問題で、必修科目を履修させていなかった高校は、あの手この手で年度末までに補習を終わらせようとしている。スパルタ式の補習を予定しているのは、私立の大阪桐蔭高校。「日本史」か「地理」のどちらかの授業を70回分(1回50分)受ける必要がある3年生約70人に、60分授業を1日6回、10日連続で受けさせる。来年2月中旬以降、大学入試が一段落してから実施する方針だ。同校は「生徒はつらいと思うが、乗り切ってくれるはず」と話す。私立香川県大手前高校は、「保健」など計210回分の補習が必要な生徒に、卒業式の2日前まで補習を続ける。北条英明校長は「予定通り来年3月5日に卒業式はできる」と言う」(読売)ということだが、これを見て思うのだけど、かえって一日に6時間、10日間で詰め込み履修なんて、かえっていいんじゃないの、勉強の仕方として。いっそのこと、そんなに受験が気になるというなら、入試シーズンの後に合宿で履修するというのを常態にしてはどうか。
 が、案外に「なんだ、受験受験と騒いでのんべんダラダラとやっていた科目より、最後に集中合宿で取った世界史のほうが面白いし、点もとれるぞ。こんなことならハジメからやっておけばよかった」なんて生徒も出てくるのじゃないだろうかしら。実際、必死に短期決戦でやったほうが成績がいいということは大いにあり得る。
 というか・・・10日間で身に付く程度のもんなのか、と思うとやっぱり子供の勉強なんてさほどの物じゃないような気がしてならぬ。毎日毎日何時間もかかる仕事を何か月も続けて成果が出るか出ないか、というようなことを大人達は仕事としてしているわけで。
 ◇  ◇  ◇
 なんかしらないが、近頃、妙な夢を見た。非常に妙である。
 先日は、自分はどこかのパーティーに行って、受け付けでサインを求められるのだが、どうも自分は軍服のような衣装を身につけている。で、私が「ああ、自分のサインはこんな感じだったよな」と思ってくちゃくちゃした洋文字のサインをして見せると、受け付けの者がかしこまって「失礼いたしました」と深々とお辞儀する。周囲の者もにわかにざわざわして不動の姿勢を取る。・・・ああ、とサインを見直すと、あの「アドルフ・ヒトラー」のサインである。
 それからしばらくして、また変な夢を見た。新幹線を降りて、駅のホームに立つ。なんだか「予定より早く着いたな」と思い、周囲の者(それはどうも部下らしい)に「ちょっと早かったかな」と言っていると、向こうから意外な人物がやってくる。彼は袖の付いた鎧に烏帽子という姿であって、ふと気付くと自分も左の腰に太刀をはいている。
 「あ、ちょっと今会うのはまずいなあ。まさか同じ列車に乗っているとは」という思いがよぎり、あたふたするのだが、先方が気にせず近づいてくるので、こちらも避けるわけに行かず、しかも相手がにこやかに握手を求めてくるので、私も応じるのだった。「正々堂々とやりましょう」と相手が言い、「ええ、そうですねえ」と自分も明るく応じたりする。で、はっきり理解するのだが、相手は今川義元で、自分は織田信長、新幹線の駅は実際にはない「桶狭間駅」である・・・。義元氏は思ったよりもずっと細いスポーツマンタイプの男なのが意外であった。
 どういうものだろうか。ヒトラーとか信長というのは確かに興味深く、私の研究対象ではあるけれど自分がその人になってしまうというのは・・・かなり変ではなかろうか。そこまでのあこがれとか思い入れで四六時中考えている、という人物達でもないのですが・・・。
 と思えば、私の妻も先日、不思議な夢を見た。どうもそこはドイツであって、パーティーかなにかに行ったのだという。で、自分は日本人だが困ったことがあって(どういうトラブルなのか忘れた、夢を見た本人じゃないので)、有力者に相談しようと思ってそのパーティーに行ったのだとか。そしたら、その「有力者」というのが、あのナチスのゲシュタポや公安本部の長官ラインハルト・ハイドリヒで、黒服の正装だから時代は戦前なのかな、ということだった。それに、ハイドリヒの奥方というのがいて、旦那さんは「仕事があるから」といって中座、後は奥さんがとても親切に面倒を見てくれた・・・のだと。
 はて、前世においてもドイツに滞在して、お世話になったりしたのかしらね。とにかく、このところ特にラインハルト・ハイドリヒだの、その奥さんだのを思い浮かべるようなこともなく、自分でも不思議だとか。
 もちろん、どの夢も深い意味があるものじゃないと思うが・・・変な我が家である。

2006年10月26日(木)
 なんとも、面倒なことになってますね。例の高岡南高校の騒動から端を発した「世界史を実は履修してないので卒業できない」騒ぎですけど。
 「全国の高校で卒業に必要な必修科目が教えられていない問題で、新たに33校で履修漏れがあったことが26日分かった。履修漏れは18道県98校に拡大した。このうち、青森県立三本木高校では、学習指導要領とつじつまを合わせるため、履修漏れのあった生徒の成績表に、学んでいない科目の成績を記入するという虚偽の記載をしていたことも明らかになった。新たに判明した高校は、北海道の7校、青森の2校、岩手の5校、山形の1校、栃木の5校、静岡の7校、長野の2校、鳥取の1校、山口の1校、福岡の1校、佐賀の1校。私立も9校含まれている。ほとんどが、地理歴史教科の必修の2科目のうち、1科目しか履修させていなかった」(読売)という続報を見ました。ほらみたことか、と思ったデスね。
 一報から、絶対に、うっかりミスじゃないと思ったもの。まあそういう迂闊な話もあるかもしれないが、私は確信犯的に、文科省にばれなきゃいいや、ということでこそこそやっていたんだろうと当初から思いましたが。読売の夕刊の記事でも「履修漏れ」という表現から「履修逃れ」に変わってきています。的確でしょうね、「逃れ」のほうが。
 最初の高岡の件はどこからどういう経緯で明るみに出たのか知らないが、おそらく高校の現場じゃ前々からこういうことをしてたんじゃないですか。あるいは「○○高校だと受験に関係ない科目はやらなくてもいいんだってよ」「いいなあ」というような噂が流れたのかもしれない。
 どうしたもんか、こう地方の進学校みたいなところばかり引っかかっているというのも気になりますけど。地方なら目立たない、ばれないというのもあったか。
 ということで、お役所がなにをどう指導要領などいじくってみても、現場は無視してやっているというのが実体としてある。教育問題の議論というのがなにかなにかと空論に感じるのも、そういうことを我々が実は分かっているから、です。学校とか教室とか言うのは密室であります。国会だの、諮問機関だの、あるいは中国韓国あたりが日本の教科書になんか言ってくるときも、「あのさあ・・・だから、そんなもの、日本の学校じゃ指導要領も教科書も大して意味ないんだよホント。来て実態を見てみなよ」と感じることがしばしばですが、今回のこともそのひとつの「ほんの氷山の一角」でありましょう。
 実は気になっているんですが、私の高校時代、ということはもう20年以上も前ですが、やはり近所の高校と自分の学校で、微妙にカリキュラムが違う、という話が出たことがありました。それは、同じ中学を出た後、隣の高校に進んだ人と話していて気がついたことですが、ひょっとしてあれも・・・。まあ、もう卒業してしまった人のことは問わない、という話ですからまして20年も前の話なんて、殺人事件の時効よりも昔の話ですからよろしいのですけど。
 ◇  ◇  ◇
 なんとも関係ないですが、江原啓之氏の本をなんとなく買って読んでしまった。妻も熟読していた。実は丹波哲郎さんの本を探していたんだが、それはなくて江原さんのを買ってしまった。それを読んでなにをどう、ということではないが、スピリチュアル研究の先進地英国の話は非常に興味深かった。それで、よく「人間は死んだら無になる」と断言する人、あれだけは理解できない。「人間は死後、どうなるか分からない」というべきだと思うのであります。経験することも理解することも不可能なものをつかまえて「無い」と断言するのは傲慢でむしろ非科学的としか思えません。
 実のところ、死後、無になるほうが楽なのかもしれません。自分というものの、短い人生の中での地位とか名誉とかお金とか・・それで決算がついておしまいなら、ある意味で楽でしょう。さんざん悪いことをして「死刑にしてくれ」といって涼しい顔して去っていくような連中も、人殺しをしようが、なにをしようが、死んでしまえば精算出来ると思うから、そういう態度を取るのでしょう。が、それがそうでなくて、人生の中でのお金や名誉とも無関係に、もっぱら個人の魂のよしあしという次元だけで、ほぼ永遠に無限責任が続くのだとしたら、それはきわめてきついことです。
 先日、知人が亡くなって、私の妻が私に代わって参列してくれましたが、その直後、いつも決まった位置にあるカギが思わぬところに移動したり、さらに妻が寝ているときに空中で音がしたり・・・ということがありました。私はきわめてそういう霊験の体質がないのですが、妻は少なくとも私よりはいくらかカンがいい。それで、鈍感でまったく気がつかない私を無視して、その知人が妻に会葬御礼にきてくれたのだろう、と私はほぼ確信しております。そういう律儀な人でした。きっと会葬者全部のお宅を回ってあいさつして行ったのじゃないかと思っております。


 




2006年10月24日(火)
ちょっと前から問題になっていたあの奈良市の馬鹿役人のことだが、今日は思い切り表沙汰になってきた。5年間に出勤日数は8日間で、もらった給与は2700万円。その間もしばしば役所に来ては、親族の建築関係業者の代理人として、談合に参加していたというのだからあきれる。そんで、白いポルシェを乗り回していたというのだからますます笑える、いや笑い事じゃないんだが。
 おそらくだが、地元の有力者の子弟なんだろう、この人。というか、その建築関係業者というのが地元じゃ有名で、この人もそもそも生活に困る人じゃないのだろうし、またそういうような絡みでそもそも、市役所にもコネ採用された、というところだろう。
 要するに、明るみに出たから騒いでいるだけで、ずっと秘密でも何でもなかったに相違ないのである。
 今頃になって、問題だ、問題だと言ってみせている市長は間抜けである。しかし、こんなような人物は日本中の役所にいて、税金で遊びほうけている。あまり役人をいじめると日本は困ったことになる、なんて擁護したがる人がいるわけだが、実際にこういう手合いが存在する以上、ほうっておくわけにはいかないじゃないか。
 もちろん、不眠不休で仕事をしているお役人はまたたくさんいるだろう。中央官庁の国家公務員の皆さんなど多くは実際、大変ご多忙に違いない。だが、役所全体、お役人全体では、不眠不休で難しい仕事を全部押しつけられている人と、さぼって遊んでいる無能な8割ぐらいの人に分かれるのじゃあるまいか。だとするなら、有能で真面目な2割の方に残って頂いて、待遇をよくしてあげて、後の8割はクビにすればいいのじゃないか、と一般国民市民は思って当然である。
 民間企業は、この10年ぐらいでそういうことをしてきたのである。
 なんでそういうかといえば、私の会社だって実は10年とか15年ぐらい前には、それこそ本当なのかウソなのか分からない病欠を繰り返し、1年に何日も出社しない人がいる、という話だったし、もちろん本当に闘病中ならそれでよいのだが、そういう人物がなぜか、どこそこの政党の集いに出ていたとか、どっかの政治的な交わりにいたとか、そんな話がいろいろ出てくるわけである。
 そういう人って、昔はけっこうどこの会社にもいたじゃないですかね。なんか、組合専従じゃないはずなのに、組合と称していつも不在の人とか・・・。
 病欠というのも、医者の診断書を出せば通るんだよなあ。やはりあの人物は地元の顔が利く家の子弟なんだろう。
 うーん。とにかく「格差社会」なんてまあとりあえず実は、本質的な問題じゃないんだよな。いちばん駆逐して欲しいのは、こういうやたら甘い汁を吸って、なんにもしないで楽に世渡りできている人たち、ことにお役所のそういう手合い、なんだけど。
 安倍さんが、そういう本当の「改革の本丸」に手をつけられるのか、それとも表面的な景気回復にまぎれて誤魔化していくつもりなのか・・・。
 税制論議も、北朝鮮の問題が落ち着いてくればまた出てくるはず。今国会でまず信託改正法と教育改革法で、次の通常国会で共謀罪の話、その後だとして・・・来年の今頃かしらねえ。

2006年10月23日(月)
なんだなんだなんだ。大阪と神奈川の補選はわかっていたが、ほかにも選挙があることあること。昨日だけで新潟・見附市、埼玉の三郷市と鳩ヶ谷市、千葉の浦安市と君津市、岐阜の可児市、そして滋賀県栗東市で市長選挙。ちょっとしたミニ地方選日和ですな。
 ということで面倒くさいこと、仕事的にはもう最低ですな。
 それはそうと、補選の結果はもう北朝鮮サマサマでしょうね、安倍さんとしては。金正日さんにお礼を言うべきでしょう。
 私は浦安市民としまして・・・ええ、もう終わったから書きますが、現職じゃない人に入れました。現職が結局3選となりましたが。
 現職の人は、汚職で逮捕された別の千葉県の元市長とかかわりがあったりして、いろいろ疑惑もあるのだが、なんだか知らないが地位は安泰である。馬鹿な町ですな。しかしこれは反現職の人らもぜんぜん駄目。現職市長が1万7000票で、二位が1万6000票、3位が1万1000票、4位が8400票。これを見れば、批判票を合わせれば3万5000票を超える。市長の1万7000なんて問題じゃないはず。つまりまるで人気ないわけ。15万人の市で市長の支持者は1割なんだから。
 この結果を見れば誰しも思うが、まず4位の人間は邪魔。出るべきではなかった。2位と3位の人も政策をすりあわせて一本化すべきだった。どの候補もさほど圧倒的な力はなく、はじめからこのままじゃ批判票が割れて現職には敵うまい、と思っていたので、予想通りの展開にげんなりです。というか、それでも二位に肉薄されていかに現職は危なかったが分かりますな(もう次は駄目だろうなあ)。
 ところが、ほかの市長選を見ても、邪魔な人がいて現職を落とせなかった町あり、うまくいって追い落とせた町あり、さまざまです。
 今回、市長選でいちばん注目された栗東市の場合も、浦安と似ていて、批判票を合わせれば現職は落ちただろう。現職1万2000票、2位1万1000票、3位6000票であるのだから。この場合は、3位の共産系がいなければ落とせた。
 申し訳ないが、あちこちで見られる現象。共産候補がいなければ現職を落とせたのに、といういつもの繰り返しですな。
 ああ・・・よく見れば二つの補選だって、共産系の3位候補がいなければ、逆転があり得るような得票ですね。特に大阪は。
 疲れました。終わったらすぐに帰ろう・・・。
 

2006年10月22日(日)
今、仕事の合間に「お父さんのためのワイドショー講座」という、例の山瀬まみがやっている番組をぼーっと見ていましたら、「ムツゴロウ動物王国の運営会社破産」というのを大きく扱っていました。あ、そうなんだ。知らなかったな。同王国のサイト
http://www.tokyo-mutsugoro-oukoku.co.jp/ 
年間50万人入場の予定が10万人しか入らなかったとか。そもそもあの「王国」、東京のあきる野にあるんだ、それも知らなかった・・・運営会社はまもなく破産、あとはムツゴロウさんの個人事務所が引き継ぐと言うんだが。妻は確か、動物好きからあそこの会員になっていたことがあると思うんだが、今はもう入っていないんだよな、たしかなあ・・・。
 ◇  ◇  ◇
 今日は大事な衆院の補選があります。私はとてもブログなど見ておれませんので今の内に更新しちゃいますはい。ついでに浦安市長選挙もあります。出社前に投票しますはい。
 ◇  ◇  ◇
 ちょっと広告ですが、不肖・辻元よしふみ、一詩を賦しました。

ひそかに靴を愛する 辻元よしふみ

靴を磨くときは 幾分かの慰謝を得る なんともささやかだが いったい
どんな詩文も音楽もこれほどに私の心を寛げない

ブナから削り出しのシュー・ツリーを取り出し モゥブレーかサフィールのワックスを開け
竹へらで微量を掬って塗りつけ 馬毛のブラシでこねるようにたたくように磨きぬく
あるいはそれがドイツ製の靴であるなら無骨なコロニアル でもよいかもしれない
シリコンクロスで磨き はき古しの下着で磨き 若干の水を落としてさらに光沢が出るまで
よけいなワックスを落としていく 無念無想 それが 禅に通じることを 知らないものは知るまい

さらにまたいくらかの安いブランデーがあれば これを刷り込み 
もしこれが黒ではなくて茶色であるならなおさら ポリッシュを爪先に落として こすりつけ 一層力強く 皮革の表面をなでていく 靴は コードバンであってもカーフであっても
喜悦して ひひ と笑うのを 門外漢は知るまい

チズル・トゥよりもラウンド・トゥのほうが 私は好きで ストレートチップもよいがフルブローグも美しい
アメリカ人のようにウィングチップとあえて呼びたければ それでもよい
メダリオンの奥まで コバの継ぎ目まで 内羽根の場合は紐を解き
ブルーチャーの場合はまた格別に 丹念に磨きぬかねばならない
そうしてこそ 靴は エデュアルト・マイヤーであろうがエドワード・グリーンであろうが
歓喜の中で くく と身をもたげ 主人の足を守ってやろうとするのを
この趣味のない人は知るまい

それがジョン・ロブであってもジェイエム・ウエストンであっても
トリッカーズの頑丈極まりない城壁みたいなラインであっても
チャーチのラスト73であってもそのほかの木型であっても
流行のクロケット&ジョーンズ または 思い切ってオーベルシーの特上品
いやいっそ ビスポークの珍品ということでもよい
たまにはごついオールデンでもよかろうし たまにはトリッペンやビルケンシュトックでリラックス もよい

上野丸福で買おうが神田ミマツで格安で購おうが 日本橋高島屋の特選靴売り場で身銭を切ろうが
総本山の新宿伊勢丹メンズ館で大枚をはたこうがどのような出自でもまたよい

一日が終わりくたくたとなったときには 己が倒れこむ前の最後の気力を絞って
ステインリムーバーで汚れを落としクリームを剥いでから ミンク油脂をすりこんで愛撫してやる
かくすれば間違いなく 安心してそれは ほう と
小さな声を漏らすのを知らないのならあなたは靴好きではない

一夜を置き 陰干しの後に また堅いシューツリーを収めてやる
ぴんと背筋を伸ばしてそれは 次の出番はいつですか と向こうから聞いてくる
足を入れればしゅっと空気が抜けて吸い付いてくる さてこそ ほかの靴と寵を競って
どこへでも行きましょうよ 泥道だろうが汚水だろうが あえて厭わない 砂利でも石でも
踏破してやりましょう そういう靴の訴えを取り上げた上でないと
私は一足も歩み出せない近頃なのだが 私ではないあなたは
そんなことは知るまいし 知ってもらわないでもよい。

 というたわいもない詩です。題材が枯渇して苦し紛れに、ある詩誌の締め切りが迫ってきたので書いた代物なんですが・・・案外にこれがなかなか受けがイイ。けっこう靴好きの人っているんですかね。そこで、私はちょっと考えているのだが、こういったファッションとかブランドがらみの詩とエッセイを並べて、それからそれぞれのブランドの解説など付け、できればそれぞれのお店の人に取材したりして、次の本を一冊でっちあげてみたらどうか、と企画中・・・。
 で、ブランド関係の詩やエッセイだけに特化したサブブログを設けました。ここも少しずつ更新していく予定でございます。
 詩人・辻元よしふみの「ブランド日記」http://tujimoto.cocolog-nifty.com/tiger2/

2006年10月21日(土)
 ふとYAHOO!の心理テストをやってみた。「裏キャラテスト」というのだそうだ。いくつか設問に答えると、その人の表面とは違う潜在的人間性が分かるのだという。で、やってみたが・・・「あなたは誰とでも愛想よく接しています。でも、誰とも突っ込んだ話をあまりしないのでは? それは、あなたの裏の顔は大の人間嫌いで、人と一緒にいるより、自分一人の方が気楽だと思っているからです。だから、愛想はよくても浅い関係になりがち……。面倒かもしれませんが、ときには深みのある交流を心がけないと、本当の信頼関係は芽生えませんよ」だって。なんだ、当たっているじゃないか。
 小さい頃から転校の多い子供だった。あまり深いかかわりを持つと、半年とか1年とか後にはお別れが来るかもしれない、そのときに苦しむだけだと分かっているので、非常にドライな感覚になってしまったのは本当だと思う。いくらか、いじめの標的にされた学校もあったのだけれど、「どうせすぐに逃れられるのだ」という思いがあって乗り切れた。実際にその通りとなった。それどころか、おもしろいもので、私が転校すると聞いた途端に、今まで冷たかった連中が手のひらを返したように態度を変えた。私はそれで白けたのではなくて、むしろ嬉しく思いましたね。「ああ、こいつらは人間関係というのを固定的に考えているからこうなるんだな」と・・・まあ、当時、そんな難しく思ったワケじゃないが、今の知恵で翻訳するとそういうことです。ずっと同じ土地にいて、同じ友達関係に終始する、同じ方言に同じ風習、そこによそ者が来れば必ず不適応をおこす。来た側は、教科書も違えばカリキュラムも違うから、とにかくついていくために必死に勉強するしかない。転校経験のある方ならご存知でしょうが、教科書が違えば、たとえば習う漢字の順序が地方によって逆だったりするんです。地理の勉強もきつい。たとえば滋賀県にいたころに、「私たちの郷土」なんて勉強をやった。もちろん、私にとっては通りすがりの土地だが、すぐに滋賀県の市町村や郡名を全部、暗記しないといけない。転校した途端に、学期末試験だったりする場合もありますが、それでもこなしていかないといけない。厳しいもんです。だから遊んでいる暇はなかったな。そういうわけで、今でものんきに遊んでいる子供を見ると、あまり好感を持たない。子供らしくのびのびと、なんて感覚はないんですね。 
 うちの奥さんという人がまた、両親共に音楽の大学教授、親戚縁者も音楽の教授というきわめて特殊な家柄、当然ながら物心付く前からピアノの特訓に次ぐ特訓で、遊んでいる暇など全くなし。「のだめカンタービレ」なんてはやってますが、本当にクラシック学んだ人からすると、ちゃんちゃらおかしいそうですね。ほかの学科(たとえば指揮科の人とピアノ科の人)なんて交わる暇なし。同級生はみなライバル。一日十数時間の特訓、遠くまで移動して個人レッスンに次ぐ個人レッスン、アホな恋愛などしている暇いっさいなく、また、ああいうマンガにつきものの、天性の才能とか一聴でわかる豊かな才能、なんてありえない。なぜなら一流の音大に入学できるような人はみな、すでに天才レベル。差なんてもう微妙な物でしかない。そのなかで、たまたま有名コンクールを突破できた運と体力と精神力のあるタフな人が生き残ってプロになれるだけ・・・そういう世界だとか。
 のし上がるべくいろいろと手練手管、汚い手、場合によっては有力者に取り入るべく金、色仕掛け・・・あらゆることが実際にあるとも。つまりマンガのテーマになるような世界じゃない。あえて似ているとすればスポ根の世界だそうで。
 ・・・話が脱線しました。だから、妻ものんきな子供が遊んでいると、ものすごく嫌悪します。うちら夫婦はそのへん似ております。無邪気な子供、というのを見るとなんだか無性に腹立たしくなる。ねじり鉢巻きでなんの疑いも持たずに「東大合格」とかやってる子供もこれはこれで、なんかもうちょっと自分なりの考えないの、と反発を覚えるが、しかしのどかな地主の子供なんてのよりはよほど好ましい。
 なんか今日は妙なお話になりましたが。


2006年10月20日(金)
ロイターによりますと、にわかに「韓国の聯合ニュースが20日、中国にいる外交筋の情報として伝えたところによると、北朝鮮の金正日総書記は、訪朝した中国の唐家セン国務委員(外交担当、前外相)との会談で、これ以上核実験は行わないと言明した。この外交筋は「私は(総書記が)核実験の計画はないと明言したと理解している」と述べた」とのことでありまして、ヘエ、という感じですが本当だろうか。
 まあ、何を言っても信用できない国柄ですのでなんとも。とはいえ、思った以上に周辺の評判は悪く、なにがどうでもアメリカは言うことを聞かないようなので、考え方を変えた部分はあるかもしれない・・・というか、本当にああいうやり方で何かメリットがあると思っていたのなら、もう世界史の流れを理解できないのだろうな、と思う。
 ◇  ◇  ◇
 昨日だが、会社が早く終わったので、丸の内界隈を偵察した。言うまでもなく、今や銀座から有楽町を経て、丸の内のあたりまでブティック、セレクトショップが軒を連ねており、大変な「恐怖の散財ゾーン」と化しているのだが、それで丸ビルの「コンラン・ショップ」http://www.conran.ne.jp/を覗いたところ、いい感じの黒いアタッシェケース発見。なんだかと思えば英国を代表するトランクメーカーのグローブトロッター・オリジナルである。先ごろ、スピットファイアモデルとか言って、英空軍の趣味の悪い迷彩と蛇の目の英国空軍ラウンデル、コードレターを描いたトランクセットを売り出したあの会社だ。三越本店でそれは見たが、全然、感心しなかった。
 が、迷彩じゃないフツーのグローブトロッターは実に渋くてよいのである。コンラン・ショップというのはサー・テレンス・コンランという著名な家具デザイナーが開いた生活用品なんでもありの店である。卿のお眼鏡にかなったものしか置かない。
 さてそれから、丸の内のトゥモローランドで、またロイヤルソブリンで、グローブトロッターを目撃した。いい、実にかっこいい。フェリージあるいはオロビアンコのバッグなど物色していたのだが、まるきり興味なくなった。
 で、調べてみますと、グローブトロッターhttp://www.vividcar.com/cgi-bin/WebObjects/f1b8d82887.woa/wa/read/f1bb2a4a95/は、1897年創業というから、夏目漱石がロンドンにいた頃からカバン屋をやっている。で、当時としては最新の素材であったバルカン・フィーバーを使用した軽いトランクで有名になったとか。このバルカン・フィーバーというのは、つまり圧力をかけて固めた紙である。なんと紙製なのである。
 じゃあ弱いのかというとさにあらず。当時も「紙の鞄なんて」といわれて、同社はハンブルクの動物園で、象に鞄を踏んずけてもらった。グローブトロッターはびくともせず、以後同社の宣伝には象の絵がついている、というのだが、その後いろいろな広告で使われる「象が踏んでも壊れない」の元祖に近いものらしい。
 また、第二次大戦のドイツ軍の将校帽のあのピカピカしたヒサシ、あれもバルカン・フィーバーである。最近の模造品だとプラスチックでごまかしているのが多いが、本物は特殊加工した紙製なのである。
 今となっては、バルカン・フィーバーなどあまり用途もなく、ほとんどこのグローブトロッター社の製品でしかお目にかかれない。そういう代物である。
 私は実は、金属ケースとしてRIMOWA,ぬめ革のアタッシェとしてBREEとドイツ製のケースを二つ、交互に使っているが、できれば靴の色に合わせるなら黒も欲しいと思っていた。それで、これまでは万双かアクアスキュータムのダレスバッグの黒でも、と狙っていた・・・が、今となるとダレスよりもっと時代遅れなグローブトロッタのほうが好ましいのである。ダレスバッグなんてのも今や懐古趣味の鞄ですが・・・ご存知の通り、ダレスバッグというのは日本だけの通り名で、世界的には医者用鞄(ドクターバッグ)。戦後に日本にやって来たダレス米国務長官の愛用鞄がカッコよく、それをまねた鞄を売り出した銀座の老舗タニザワ(ここは「鞄」という和製漢字の発明でも有名)がダレスバッグの名をつけたという、あれです。が、実用から言ってもグローブトロッターのケースのほうが私には使いやすそう。私はよく、机の上にトランクを置いて、その上に読み終わったゲラを重ね、読んでいないものと区別する癖がある。だからトランク形の鞄のほうがいいんです。
 ということで・・・もちろんそれらの店頭で買うことなく、そもそも三越なりセレクトショップなりで買えば相応の値段だし、ここは一番、ネット検索。すると扱っているところはどこもかしこも完売状態。グローブトロッターって今でも人気あるんですねえ。
 で、ようやく探し当てた愛知県の商社から買うことにして発注。ここも、私が注文したら16インチサイズのケースは完売と表示されてしまった。
 ということで、数日以内に私は、黒い靴の日にはリモワかトロッターか、を選ぶ幅が増えたわけです。慶賀慶賀。しかしまた散財・・・・・・・。

2006年10月19日(木)
ええ、世間様はあまり大きなニュースもなく・・・(ですよね?)、というのも、本日は公休でして。こういう日はとにかく、ニュースを見ない、新聞を読まない(!!)、ネットも見ない日が多いのですが、今日はこのようにちょっと一応、見ております。
 それでところで、私も今日は平穏無事に過ごしておりますが・・・そうそう、先ほど、近所のお医者でインフルエンザの注射をしてきました。なんか今年の秋はいつまでもだらだらと暑さが日中残っていて、涼しい年だとそろそろかなりひんやりした空気になるのですが、今年はまだ昼間に限っては、もわっとした夏場の感じが残っている。で、なんとなくまだそんな気にならないのですが、こういうのは早いうちにやっておくほうが吉ですよ。結局、涼しくなってからだと、自分自身がすでに風邪気味だったりする。病院も風邪の患者さんがいたりする。それで、予防接種を打ちに行ってかえって体調崩す、よくあることです。
 私はここ数年は、「二度打ち」をしております。近頃は、ワンシーズンに1回だけ、というおが普通と思いますが、やはり本当は、一回目で十分に耐性を体につけて、二回目で仕上げるというのがいいとかで。
 今行くと、とにかく空いております。まあ接種をしていてもかかるときはかかるんですが、とにかく毎年、習慣としてやっていると、新しいタイプが出てきたときも、それはやはり日ごろから予行演習をしている身体としていない身体には差があると聞きます。
 ◇  ◇  ◇
 その後、柏市にある実家に寄ってから、久しぶりに船橋にでて、ここで妻と待ち合わせ。これまた随分と久しぶりに船橋西武百貨店を見て回りました。私は学生時代は千葉市民でしたので、都心に出る途中で船橋でよく買い物などしましたが、ここでは西武と東武が駅の表裏に店を構えるミニ池袋のような街です。けっこう、その二店が広すぎずちょうどいい感じで、あれもこれもいろいろなブランドが軒を構える都心の百貨店や、銀座、原宿なんかよりものんびりと冷やかしが出来るのがいい感じ。
 なんかこう、銀座や丸の内の「旗艦店でございます」というところは、冷やかしづらい雰囲気がありますよねえ・・・。いわゆるセレクトショップというのはそのへん、入りやすくて助かりますが。
 それはともかく、船橋西武の1階でふと、ハンティングワールドの店舗を発見。おおやこんなところにHWがあるのかと。今まで知りませんでした。
 まあ、HWといえばかつて一世を風靡した・・・まあボストンバッグのブランドという印象がありますね。元々はアフリカ旅行向けのサファリ用鞄なんかを作っていたブランド。とにかくあまり地方拠点としなんかじゃ見かけないので、入ってみた。
 すると、今やHWも鞄だけじゃなくて、時計もあればアクセサリーもある。ちょっとしゃれた小物もある。カフスとかリングまで・・・おお、リング。実は我が家はまもなく結婚10周年でして、しかし結婚指輪はその後、あまり使うことなく、今となってはちょっと真面目すぎで面白くない(ソニア・リキエルで悪くないのですが)。じゃあ「新結婚指輪」を、という話しが前からあった。
 そしたらお誂え向きというか、ハンティングワールドの小象の刻印とロゴがリング周りにあって、珍しくシルバーの上にレザーが張ってあるというちょっとかわった指輪発見! サイズもいろいろあって男女ペアもちろんOKと聞き、妻が「欲しい欲しい」という、私もこりゃなかなか掘り出し物と思い・・・お値段もお手ごろ。あまり石の入ったものは好きじゃないので、こういうのは最高によろしい。小粋で上品、それにここでブルガリなんかじゃなくて、ハンティングワールドの指輪です、というのはブランド好きな人から見ても、ちょっとかわってる感があるんじゃなかろうか。
 つうことで、二人でそれなりのお値段でしたが、まあそういう10周年の意味合いと、それからこれもたわいない私事ですが、ちょっと社内で自分が昇格したのでそのご祝儀ということで、ペアリング購入。
 ハンティングワールド、このところけっこう巻き返していると聞くがなるほど、展開が総合的になっている。そしてルーツからか、適度に上品、適度に知的、適度にロハスな感じがなかなかいい。バッグも非常にいいものが出ていました。「いかにも高いザマス、有名ブランドなんザマス」なものは、どうも私なんかの趣味に合わない。これ、金のあるなしじゃなくて好みの部分。
 今度、銀座のHWの旗艦店も覗いてみるか・・・。
 

2006年10月17日(火)
読売新聞のキャンペーンで、北海道の小学生女児が昨年、遺書を残しての死を、教育委員会がようやく自殺と認定した事件があった(それまで頑として自殺とは認めなかった)。そしたら今後は福岡県で、中学2年の男子が自殺したが、これを主導したのが1年のときの担任教師で、現在は学年主任だというから驚くのであった。なんでも「生徒の1年時の担任でいじめを誘発する言動をした男性教諭(47)は、経験豊富な人気者と評される一方、悪ふざけも多かったと生徒は話している。男性教諭は国語を担当。合谷智校長は「学校行事の経験も豊富で企画力がある」と話した。一方、女子生徒は「口が悪いところがあって、よくふざけていた」と語った」(共同)ということで、うーん、実はこういうタイプのセンセイいますよね。けっこう人気者で有能でもあり、本音もずばり言ってくれて面白いのだが、ちょっと柄が悪くて、というかそういう「オレは教師だけどちょっと、そのへん教頭や校長とは違うし」といったチョイ悪ノリを装っている感じ? で、けっこうよく聞いていると無神経でとんでもないことを言っている。リーダーシップとかカリスマ性はあるタイプなのでうまくいっているときはいいが、よくも悪くも生徒に感化力があり、たとえば今回みたいに率先していじめに火をつける恐れもある。なんか想像できるタイプですな。
 私もかつて塾で講師をしていたし、教育実習もやったし、教壇に立って、生徒を引きつけるにはどういう言動が必要か、というのは分かる。やはりある程度、「受ける」必要があるのは確かである。芸能人のようなノリだって必要な場合もある。
 また一方で、自殺した生徒のタイプもなんとなく想像できる。なんかからかいやすくて、いつもにこにこしていたりして、実は内心では傷ついているのだが、表には分からない。一見強そうで実は脆い。しかし周囲の人は気付いていない。
 なんてのはしかし、よくある話ではある。ついでにいって、たとえば物をなくされたとか壊されたとか、服を脱がされて辱めを受けたとか、そんなのは私の世代でも全部、加害も被害も経験がある。転校の多かった私は標的にされた経験もあれば、逆に加害側に立ったこともある。
 で、当時から教師なんてのはなんの抑止力もなく、まあ子どもから見て邪魔な看守のようなもんである。まして、看守が率先してやっているんじゃ話にならないが、ここの福岡の学校も北海道のほうも、かなりイヤな環境だったんだろうとは想像される。
 たとえば福岡の学校では、ここ数年「本校ではいじめは存在しません」と報告し続けていたのだという。その理由というのは「いじめは確認できていたが、教師の指導で解決していたので、上に報告しなかった」ということだ。要するに、悪いけど、校長の査定に響くような報告はしない体質なんだろう。北海道に至っては、教育委員会ぐるみで隠蔽体質なんだろうと思う。
 民間企業だってほんの10年ほど前までは、都合の悪いことをなんでも隠蔽する体質だった。都合の悪いことが発覚すると企業も個人も×印というのが日本人の発想で、旧日本軍の失敗の多くもそこらにある。
 が、雪印とか三菱自動車の問題以後、急激に雰囲気がグローバルスタンダードに合わせる形になった。リスク回避、ダメージコントロールといった、元々アメリカ軍などで広がった考え方が企業社会でも取り入れられたわけである。つまり、都合の悪いことを率直に公表できる会社ほど株価が上がり、経営者も個人もむしろ褒められる、という雰囲気である。都合の悪いこと、失敗は必ず一定の確率で起こる物であり、それを隠し立てするのは、すべてを個人におしつけるような体質があるからであって、私も以前に上司から「問題、トラブルがあったらすぐに上司に報告すること。一人で抱えていて悪化したら、それはその人の個人の責任となる。しかし上に勇気を持って報告したら、その時点で責任も上に移譲されるのだから、怒られるかも、などといって隠蔽していてはならない」と訓示されたことがある。
 うちの新聞社なども、むしろ最近になって、もし間違いを書いてしまったら、できるだけ訂正を積極的に出す、今までのように、しぶしぶ出すのでなく、むしろ情報の質向上という意味でも、どこからの指摘がなくとも可能な限り出す、という流れに変わっている。だから訂正が多いという場合、一概にダメだと思わないで頂きたい。正直であるという意味でもあるから。ミスは一定の確率で必ず出る、精神力でゼロに出来るわけではない、という前提を持つことこそいちばんのリスク管理となるのである。
 役所は遅れているのは無論だが、それでも以前よりは不祥事が表に出る、ということは前よりは風通しがいいのだと思う。
 教育現場はおそらくいちばん、遅れているのじゃないか。なんでもここ数年、文部科学省に上がっている報告では、自殺は激減し、しかも、いじめ理由のものはゼロ、という数字ばかりだという。教育委員会や学校の雰囲気が分かるじゃないか。
 ゼロなんてあるはずがないのだ。そんなのは不自然である。一定の確率であるはずだと考えるべきである。
 そこらへん学校というのはどうしてもいまだぬるま湯の理想主義的だが、もっと冷厳な数字を認める体質に変わってもらうべきだろうし、たとえば査定のしかたも変えるべきであると思う。けっきょく校長先生の出世を大事に考えていては、物事は変わらないわけだ。
 今の現場を知らない者の勝手な言い方ではあるが。

2006年10月15日(日)
 北朝鮮の制裁決議というのが、国連の安保理で日本時間の午前3時ちょっと前に採択され訳ですが、当然ながら中途半端な時間で、ずっと待機させられました。なんかこう、ニューヨークで議論するのはやめてくんないかなあ・・・時差12,3時間ぐらいですか。で、大抵は午後に結論ということが多いから、必ず日本時間では午前の2時ごろになってしまう。ということは日本の新聞の最終版の締切時間なんだよなあ・・・。
 自分の都合しか考えてないのかって? あったりまえじゃないですか。
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 「決議案では、北朝鮮に出入りする船舶などの貨物検査の方法が常任理事国5カ国と議長国日本による修正協議の焦点となった。米国などに比べ、日本が実施できる船舶の検査には制約が多い。国連海洋法条約は、公海上での海賊行為などを取り締まるため、軍艦が外国船を「臨検」することを認めている。しかし、日本には根拠となる国内法がないため、できない。周辺事態の際には海上自衛隊による「船舶検査」ができるが、武器使用などに制約はある。・・・停船の要請に応じなかった場合は、追尾や伴走をするなどして「説得」し続けるしかない。米国などのように相手船舶の前方の海面に警告射撃をすることは、憲法で禁じた武力による威嚇にあたるとして許されない。・・・米国は「意味ある貢献」(シーファー駐日大使)を求めてきているため、外務省では「周辺事態の認定は可能だ」という主張が強い」(朝日新聞)ということで、問題になるのは今度は「臨検」です。これも普通の人には聞きなれない、まあ軍事用語でしょうな。今の解釈では日本の自衛隊は「説得」しかできない。米軍の艦艇が北の船と海戦となった場合にも手出しは出来ない。そのへんの議論がこれから出てくるのだそうです。と、このように自動的に事態は進行して行くのです・・・。
 ◇  ◇  ◇
 韓国映画「トンマッコルへようこそ」が間もなく公開されますが、そのサントラ盤CDを買って聴いております。さすが久石譲さんの曲、夢の理想郷であるトンマッコルのイメージがあの「風の谷」に重なります。当然、そのような曲調で、と要請されたんでしょう。ナウシカでハミングをしていた久石さんのお嬢さんが、今回は大人になってやはり女声スキャットで参加しているそうです・・・あれから22、3年たちましたか。
 一種のファンタジー映画でもあるのでしょうが、こういう時期が時期だけに一層、見てみたい気がします。
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 このところ、古い映画のDVDを買い込んで立て続けに見ているが、なんとなく安売りしていた「将軍たちの夜」(1966年)のパッケージを見て気になった。ピーター・オトゥール演じるタンツ将軍のイメージイラストだが、なんで国防軍の帽子と親衛隊の襟章なんだろうか? 確かに劇中でも、最初は国防軍の制服を着ているのが、終戦まじかにはなぜか親衛隊の服に変わっている。それで混乱したのだろうが・・・しかしなんでかしら。国防軍の将官があの時期に親衛隊に移籍、というのはありえた話だろうか。戦前ならそういうことはいくらでもあったけれど。ちょっと不思議に思った。それから「眼下の敵」(1957年)も見直した。いちばん気になるのはシュトールベルク艦長の年齢と身分である。あの時期に、第一次大戦以来の古参艦長、という設定もまあ可能性としてはないではないけど、階級はなんなのか。当時、クルト・ユルゲンスは41歳という。予備役から復帰としても、まあ階級も少なくとも中佐以上だろう。通常のUボート艦長の相場(30歳前後で大尉から少佐)とはかけ離れている。しかも制帽のバイザーは尉官用に見える。もっとも尉官用を好んでかぶっていたのかもしれないが・・・。「荒鷲の要塞」(1968年)も見たのだが、よくこの映画では「第二次大戦でヘリコプターが出てくるのはおかしい」と突っ込みが入るが、それはしかし、当時のドイツにはヘリコプターの実験機はすでにあったから、登場自体はあながち変ではないと思う。・・・これらはすべて「プロデューサーズ」のDVDを買ったついでに出来心で買ったのだが、昔見た映画もDVDで見ると印象が全然違う。しかし、戦争映画ばっかりじゃないの・・・。
 

2006年10月14日(土)
 共同通信ですが「米ペンシルベニア州の地裁陪審団は米小売り最大手ウォルマート・ストアーズが従業員に休憩時間を与えなかったのは州労働法違反として、総額7850万ドル(約94億円)の損害賠償を命じる評決を13日下した。同社は上訴する方針。AP通信が報道した。同社は他州でも従業員から同様の集団訴訟を起こされており、昨年12月の約200億円損害賠償命令に続く敗訴」というんで、きゅ、94億円? そりゃどんな大企業でも厳しいのでは。でも・・・うちの会社なんか休憩時間なんてはじめからないよ、内勤の事務職でない限り。まあ、そのへんは、ほかにももろもろの条件で不満が募って訴訟、となるのでしょうが実際には。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、昨日は国連での北朝鮮の騒ぎにかかわらず私はお休みでした。で、オリバー・ストーンの新作映画「ワールド・トレード・センター」を見てきました。
 いうまでもなく、5年前の911テロで、炎上するビルに突入し、崩落した残骸に生き埋めとなった後、奇跡的に生還した二人の警察官の感動の実話を基にしております。というわけだから、最後はどうなるのか、ネタバレ・・・なんて心配はないし、話としてどうとかこうとか、批評的に語ることも意味がなく、最初から最後まで実話の重さで見せる一本。ですが、さすがにストーン監督、その見せ方というのは巧みで、たとえばニューヨーク行きの朝の列車のにぎわいと、事件後の夕方の列車との対比をさりげなく見せるなど、実にうまいなと思わせます。
 平和な普通の朝の勤務から、徐々に警察官たちのギアが非常時モードに入っていくわけですが、現場に近づくに連れて、倒れて身動きできない人、血まみれのけが人、遺体・・・そういうものを見るたびに彼らの表情がショックに打たれ、変化して行く、日常から非日常へといやおうなしに投げ込まれていく、その描き方がきわめて見事でした。当然ながら、911テロのその瞬間まで、ことが起きるのを予期して待ち構えていたのはアル・カーイダ関係者だけだったはずであり、本来は救命活動や災害支援のプロである警官たちも、戸惑い、なすすべもなくその場に呑み込まれていった、そしてあの崩落に巻き込まれた・・・そういう現実の積み重ねの丹念な配置の仕方が素晴らしい。
 前作の「アレキサンダー」がずっこけたオリバー・ストーン、毎度、くさみというかちょっと政治的な視点や、問題提起の主張が強く、アレキサンダーもその点が目に付きましたが今回は「政治的にはしない」というのが最初からの方針だったそうで、それは奏功しております。あえていって、後半になると、突然「神の啓示」に打たれた元海兵隊下士官という人が出てきて、この人はその後、軍に復帰してイラクで戦った、というエンディングクレジットで実在の人物と分かるのですが、この人の登場というのがなんか唐突といえば唐突です。もちろん実在の人物であり、二人の救出にかかわったのだから出てきて当然ですが、しかし若干、このテロら後のイラク戦争へと続く経緯を思わせる感じがあり、日本人から見ると多少「引く」感じがないではありません。
 基本的には全編ほぼ、二人の警官とその家族の物語であり、なんの先入観も持つ必要もなくまた見終わった後もそのままの感動が残ります。ストーン作品と思って身構える必要はない、という評が多いようですが、その通りでしょう。
 が、また「アメリカ本土が攻撃された」といって騒ぐマスコミ、それを見て衝撃を受ける市民・・・を見るにつけ、あのテロ当時に日本人の多くが思っただろう「だけど日本にしてもほかの国にしても、さんざんあんたらの国に本土を踏みにじられているんだけど?」という感覚を思い出す瞬間というのもありました。これはつまり、それだけ「あの日」を思い出させる迫真の映画だ、と言う証左でしょう。
 先日の「ユナイテッド93」と比較するとどうか、というと・・・こちらは感動作。あっちは本当に衝撃作。ユナイテッド93はとにかく見終わって疲れました。何もいえなくなってしまった。こちらは浄化される感じでしょうか。5年たって、一応の消化ができた部分を描いたのがこの映画、いまだ消化できない部分を描いたのがユナイテッド・・・という違いかもしれません。

2006年10月12日(木)
どういうことなんだろうか。読売によれば「米ニューヨークの中心部マンハッタンで11日午後(日本時間12日未明)、大リーグのヤンキースに所属するコリー・ライドル投手(34)の搭乗した小型飛行機が、50階建ての高層アパートの30〜31階部分に激突し、地上に落下した。この事故でライドル投手と同乗者の計2人が死亡した」というんだが、はて、確かヤンキースは地区リーグで敗退し暇になったように聞いている。そのためであろうか? にしても場所が悪い。誰もが「またしてもテロか」と思うのは当然で「飛行機が激突した付近の部屋は炎上したが、住民に死者はなかった。事故の原因やだれが操縦していたかは不明。ライドル投手は昨シーズンのオフに操縦免許を取ったばかりだった。現場はマンハッタン東部のイーストリバーに近い住宅街。高層ビルへの飛行機激突は5年前の同時テロの記憶を呼び起こし、空軍が主要都市に戦闘機を緊急発進させるなど、一時は全米に緊張が走った」とのこと。
 とはいえ、映画「ユナイテッド93」に続き「ワールド・トレード・センター」が公開中だけど、あのときの空軍の対応はあれでよかったのか、という反省があるわけだが、こういうことを見ると、やはり「航空テロ」については完全な防止は不可能ということなんですなきっと。大型旅客機については空港で防げるだろうが、個人所有の民間機を使ったカミカゼ攻撃など企まれたら対処できまい。
 それにしても。現役選手がこういう死に方とは。ロックスターだと飛行機事故で死ぬ人はすごく多いが、とにかく住宅街を低空飛行していたなんてのは完全に高度と位置を見失っていたのだろうと思う。飛行時間の少ない選手本人が操縦していたんだろう。
 こないだ、日本のお金持ちも自家用ヘリなど所有し、しかも自ら操縦する人が増えてきたという話題をテレビで見たが、あれほどリスクが高いものはない。回転翼機ほど危険性が高い飛行機はないのである。私に言わせれば気が知れない。ことにアメリカあたりで場所柄わきまえず飛んだりしたらそれだけで撃墜されますぜ。
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北朝鮮がらみのことに振り回され、すっかり神経が疲労してしまった。昨日はダイハツの工場に車の点検に行ったのだが、それだけでもちゃんと運転できないほど、判断力も落ちて自分で思っていたより疲労していた。で、夜になって、最近ディズニーランドそばに出来た新しい温泉施設「舞浜ユーラシア」http://www.my-spa.jp/に行ってみた。実はその前の日に、同じ浦安市内にある「浦安温泉・湯巡り万華郷」に行ったばかりなのだが。そちらのほうは、もう毎週1回は行くほどよく訪れている。が、ユーラシアは今月できたばかりで、昨日がはじめてだった。万華郷は、お台場のスパを経営している会社のもの、こちらのユーラシアはアンコーポレーションなる横浜・戸塚や所沢などでゴルフ練習場、スパや遊技場を経営している会社のものらしい。
 なにしろできたばかりで美しい施設。ほぼ一晩中営業しているのも嬉しい。午前9時から11時の間のみ、入館不能であり、ほかはずっと営業している。ただ、レストランなどの付帯施設は早く終わってしまう。午後11時ごろ行ったら、本当に風呂しかない状態。あれは早すぎるのじゃないか。基本的にはディズニーリゾート客向けのホテル+温泉、というコンセプトなんだろうが、浦安の地元市民というのも考えに入れたほうがいいと思うが。
 入浴料は2000円ほどで、風呂の中ではリストバンドのバーコードで会計管理するとかまあ標準的な温泉のやり方である。風呂自体は温度別に数種類区切られており、温度設定はぬるめである。平日深夜ならくつろげる。岩盤浴も面白い。マハラジャかローマ貴族気分に浸れる。・・・しかし、洗髪場のシャンプーの質が悪い。脱衣場に戻ると整髪所の数が少なすぎる。男性用など5、6人しか使えない。ロッカーも狭すぎる。かなり不満である。
 それと、男女混浴のゾーンが一切なく、また男湯と女湯の間で待ち合わせるべきスペースもない。カップルのことを考慮していないようであるが、あれは駄目じゃなかろうか。
 とはいえ、万華郷ばかり行くとさすがに飽きるので、こっちも時々行ってみるか。


2006年10月10日(火)
 どあああああああ。もう朝から山のようにゲラ、ゲラ、ゲラ・・・。北朝鮮の核実験で新聞社もひっくり返ってしまった。
 はっきりいって疲労した。イラク戦争以来だなあ、こういうの。
 ある人が吐き捨てるように「これで戦争まで行ったらどうなっちゃうんだ」と言った。冗談の口調ではなかった。
 ◇  ◇  ◇
 年内には、ミサイルの弾頭に格を搭載、と北朝鮮の関係者が言ったと伝えられる。今回の爆弾は今のところ、そんなにうまく爆発しなかったのじゃないか、と言われてるが、それにしたって通常火薬の数百トンにあたる威力はあるわけで、戦術核兵器としては十分な能力である。日本はそして、従来型のミサイルで完全に射程範囲に入っている。
 まことに冗談ではない。
 ◇  ◇  ◇
 今回、特に面目を丸つぶれにされた人が二人いる。中国の胡主席と韓国の盧大統領である。これまであの国を庇いだてしてきた人たちは、腸が煮えくり返っているだろう。中国としては、アメリカの「自分のところの属国一つコントロールできないで、それでも大国なのかよ」という冷めた視線を浴びて気も狂わんばかりじゃないだろうか。実際、中国はだらしないな、と思った人は多いはずである。韓国は太陽政策というのを見直すしかないだろうが、今はやりの「鏡の法則」よろしく、こちらが優しい態度を取れば相手も優しさで返してくれる・・・わけではないというのが世の中の現実である。なにしろ北朝鮮の眼中には、結局アメリカしかないようだから。
 ◇  ◇  ◇
 怒涛の夕刊時間帯を乗り越え、新聞社というのは幸いにもその後は、外に出ている人でない限り、朝刊の時間帯まではまあ平穏である。
 ということで、前に注文していた蔵前にある「アサカ・テーラー AT Mens」http://www.atmens.co.jp/  のスーツを取りに行った。イタリアの名門タリア・デルフィノのスーパー120の生地で、段返り三つボタン中がけ、チャコール・グレイにストライプのオーソドックスなスーツであるが・・・いい、実にいい。
 私は背が低くて下半身が太く胸板厚く、カニみたいな体型である。はっきりいって仕立て屋泣かせである。
 しかし見事な仕上がりである。生地のつやは言うまでもないが、私みたいな肩の形にはなかなか、パッドの入れ方による補正、そして背中ののぼりのラインが難しい。はっきりいってツキシワが出やすいのである。そこらへんが非常に満足だ。
 それにまあ、こんなことは言うも失礼なんだが、ストライプの合わせもぴったりである。安い縫製だと、襟のゴージの上と下、それから後ろ襟と背中、胸ポケットと胸の生地のストライプにずれがあるものである。さすがにまったくずれがない。
 今回は、裏地もデルフィノの生地にしてもらったが、ワインレッドの派手なものをつけてみた。これが非常におしゃれだ。おまけに、本切羽の第一ボタンもかがり穴をワインレッドにしてみた。ちょっとやりすぎかな、と思っていたが出来てみたらこれも粋である。
 それから、太っている人はぜひ注目していただきたいが、私のように足が太くてまたずれしがちな者は誰しも、スーツのまたずれに困っているが、ここのテーラーは、頼むと「外側に同じ生地でパッチをつけてくれる」のである。内側ではない。外側にはじめから、であるよ。なかなかこれをやってくれるところはないと思う。もちろん、このパッチと下の生地のストライプもぴたっと合っていて、全然、目立たない。
 そして、なんといっても、お値段が安い。ス・ミズーラで、二回の仮縫いで、スーパー120クラスの生地を使えば、普通のテーラーなら15〜20万円が相場と思う。ここは3〜5割安である。
 ここのテーラーは、政界財界やスポーツ選手に贔屓の多い老舗であるが、いろいろなコンテストで総理大臣賞とか、海外の大会でも受賞歴とか、相当な腕前なのだが、その割に知られていないと思う。
 「知る人ぞ知る」とか「お値打ち」とかいうのが好きな人には絶対的にお薦めである。

2006年10月09日(月)
こういってはなんだが、北朝鮮というのはおかしな国だ。あまり嘘ばかりつくので、せっかく打った大博打まで「本当かどうか」と疑われる始末だ。実際、諸外国としてはもうちょっと派手な爆発を予期していたので、「え? これがそうなの」というような間抜けた反応になってしまったようだ。
 ということで、週末ではなく、週明けにやった、ということのようで、今日の午前10時35分ごろに核実験実施、というような話だ。
 で、「政府は9日、北朝鮮が核実験を実施したと発表したことを「核兵器廃絶を目指す国際社会の努力への挑戦」と受け止め、核開発の即時停止を求めるとともに「地域の安全保障上の脅威」として直ちに国連憲章7章に基づく制裁決議案を安全保障理事会に提出する方針。同時に改正外為法に基づく北朝鮮に対する金融制裁を強化、特定船舶入港禁止特別措置法に基づく入港禁止対象船舶を拡大する構え」(共同通信)というんだけど、まあ日本としちゃたいしたことが出来るわけでもない。
 安倍首相はちょうど訪中・訪韓をしていて、懸案の靖国問題なんかは吹き飛んでしまうわけだから、その点、ラッキーだったのかもしれない。
 昨日の訪中では、例の通り「行ったか行かないか、行くか行かないか、一切言わない」と繰り返した。これについてはあいまいだ、と評判が悪いのかもしれないが、私は案外に悪い手ではないと思っている、外交のやり方としては。前任者のように、年に1回参拝します、とあらかじめ宣言して実際に行き、そのたびに怒られる、ということの繰り返しでは常に日本の立場は不利である。行くとも行かないともはっきりさせない、というのはこちらのカードが増えることである。中国に仮に何か失態があった場合に、日本の首相は今後、不快感を暗に示すために、年に何回でもわざと靖国に行くこと、などができる。そうなれば中国の政権は保守派が動き出して揺れることになる。最大の嫌がらせとなる。
 ま、それはともかく、また面倒くさい話になってきた。これからは国連の場が中心となりいろいろのことがあり、それからまた、憲章7章の経済制裁、さらに最終的には軍事制裁にまで行くのか、それともイラクのときのようにアメリカが単独で動くのか、といったことが今後の可能性として出てくるんだろうが・・・はっきりしているのは、今回は日本も立派な主役の一人ということだ。
 
 
 

2006年10月08日(日)
世間は3連休なのであろうか。私はもちろん本日も出勤であるが、「週末にも北朝鮮が核実験」という、あの週末というのは普通、土曜日までだろうから、すでに週末じゃないんだけど。まあ、日曜も週末のうちに含めるとして、今日までか。
 やるとして、明け方か。・・・もっとも、ミサイルとの時もそうだが、注目されてから実際にやるまでに1か月ぐらいはかけるのが多いから、本当にやるのは年末か。
 ということで、今日明日にもやる、ということでないなら、話題の中心は安倍さんの外遊ということになる。
 なんでもいい、とにかく面倒くさい。仕事なんぞ楽に限る。
 ◇  ◇  ◇
 読売の記事で、大学発のベンチャー企業について取り上げていた。ちょうど経産省が、大学ベンチャー1000社構想をぶち上げてから5年になるのだとか。で、1500社を超えて数としては計画達成したのだが、株式公開したのはたった16社(!)だという。要するに、後ははっきりいって新手の助成金であり、大学の先生方にとっては研究室の延長、教授のほかに取締役の名刺が増えて気分がいい、というだけの会社も多い、というような話だった。もちろん、奮闘して黒字を出している会社も多いのだし、研究開発と営業と経営を一手に引き受けて不眠不休の人もいるだろうし一概には言えないが、とにかく補助金を出している以上は、会社にすればそれでいい、というわけにはいくまい。
 それになんといっても、創業者=研究元の先生がプロジェクトを手放したがらず、けっこう評価が高くても株式公開したがらないというのが多いのだという。
 私など思ったが、ベンチャーをやりたがるのは工学系の大学ばかりで、それもバイオとITばかりだというのだが、もっと切り口の違う会社というのはありえないのかと思わないではない。農学系の大学から自然食レストランを作るとか、人文系の大学からマニアックな出版社やゲーム会社を興すとか、ファッション系の学校から新たなブランドとか、そういう制度があるのならもっと多彩な発想があってくれていいと思わないではない・・・もちろん実情を良く知らないうえでのたわ言だが。
 ◇  ◇  ◇
 運転手の後ろは車の中では上席、といわれるが、独りだけ後席に乗る場合、普通はどこに座るだろうか。運転手とは対角線の左の席に、スペースを広く取って座りたいものじゃなかろうか。運転席の後ろが上席、というのは安全性の問題なんだろうと思うが、なんとなく運転手の頭を眺めているのは窮屈である。関係ないがヒトラーは必ず助手席に座りたがった。後部座席に座っていたのは彼の車の場合、護衛である。
 昨日、帰りの車で運転手の方がしいて上席を勧めるので、一応は従ったが、そういうものかしら、と思ったのである。ちなみに、やたらにでかい車だと思って聞いたら、以前は副社長車として使っていた車だ、という。なんで格下げになったのかは知らない。
 夜の高速は見事に空いており、大手町から家まで20分とかからなかった。うちは電車を使っても家のドアから会社のドアまで30分かからないのだが、ゆうべはさすがに負けた。

2006年10月06日(金)
天気が悪いと物の考え方も悪くなる、というのは心理学的にも正しいそうだ。難しい交渉ごとなど、できる限り晴れた日に行うべきだと、パワープレイの本によく書いてある。実際のところ、今日のような悪天候の日、自分も、また他人も、寛容さがたりないような気がする・・・まあはっきりいって、何事も「面白くない」ということだ。気をつけよう。
 こういう日にはあまり大事な決断はしない方がいいとも言う。
 にしてもこの天気は何だろう・・・ああ、あくまで関東地方の話ですが。台風の名残なんですよねこの低気圧というのは。
 昨日は予定外に公休召し上げで会社に出た。しかも朝である。夜勤続きの後で朝出となるときわめて厳しい。普通の人で言えば、9時5時の普通の仕事をしていて、突然、明日の明けがた2時に会社に来て下さい、といわれるようなもの。当然、眠れるわけがなく、事実上は一睡もしないで仕事をするしかなくなる。
 で、今日も朝である。実に厳しい。いい仕事などできるわけがない。
 ◇  ◇  ◇
 北朝鮮はどうするんだろうか。いろいろトーンの違いがあるとはいえ、このまま核実験強行、核武装と事態が推移すれば、諸外国があの国の核武装を容認するとは思えず、半年以内に第二次朝鮮戦争というのもあり得る話になってくる。
 どこか砂漠の陣地に自衛隊を出して、参加したといってごまかすことなど今回は思いも寄らない。それにしても小泉さんという人は確かに生まれつきの運気が強い人だった。彼が在任中には結局、日本絡みでは大きな問題は何も起きなかったと言っていい。
 安部さんの運試し、というところかもしれないが、そんなのんきな話でもあるまい。日本の側も非核三原則撤廃、核武装といった話はおおいに出てくるかもしれない、あの首相ですから。前々からこういうところで書いてきたが、ポスト小泉政権で日本の方針変更がぐっと始まるだろう、という予感はそのまま的中しそうである・・・。
 ◇  ◇  ◇
 ところで予算委員会で安部さんがいろいろ答えていた。田中元外相とのやりとりは思ったほどなんでもなかったが、極東軍事裁判のA級戦犯について「あれは国内的には犯罪者ではない」と答弁したが、それ自体は当たり前のことを言っているので、なんにも言っていないのと同じである。というのも日本政府があの戦争の犯罪人を認定したこともないし、そもそも戦争犯罪人を措定する規定自体無いから、そういう意味では安部さんの認識は正しい。つまり戦犯は日本の法律上の前科者ではない。そりゃその通り。じゃあしからば、という話が出てくるだろう・・・つまり、では日本政府としてあの敗北に終わった戦争の責任者は措定しなくて良いのか、と。その作業をしていないから、連合国指定の戦犯しか存在しないのであって、憲法の議論と同じである。日本人的な発想だと「死ねばみんな神様で、みんなが責任者」といった言い方をしたがるのだが、それじゃかえって「誰も責任がない」と言っているのと同じで、これがグローバルスタンダードとしては全く認めてもらえないのである。
 安部さんがかようなことを明言するなら、そこらもやらざるを得ないだろう。そして、諸外国に対しても「こいつらが本当の責任者でございます」と宣言しないわけにはいかないだろう。

2006年10月04日(水)
 まったく自分の一方的な都合でランダエタとの再戦を延ばし、しかもその連絡をランダエタにしていなかった(実際には協会から本人への連絡が遅れただけのようだが)ということで亀田某がまた嫌われているようだ。
 不思議である。サッカー選手だとか野球選手の批判を書くと、すぐに感情的になって程度の低い反撃を繰り返す日本の「スポーツファン」とかいう連中も(私はそういう者たちが大嫌いだ)、なぜか亀田某については批判をしても構わないようである。
 まったく分からない。私ははっきり言ってあんなものは大嫌いであるが、しかし、なんで一応は結果を出している日本選手をあのように叩くのか。それで、結果をろくに出してもいないのにイメージだけ先行のサッカー選手や野球選手は擁護したがるのか。
 まったく理解しがたい。皆さんの判定基準が理解できないのである。人柄? 好き嫌い? それは判定基準とは言えないだろう。会社の査定を人柄や好き嫌いでしてもいいですか?
 ま、それはともかく、である。私もまた亀田某などまったく好きでないので、あれがバッシングされても痛くも痒くもないので全く構わない。で、彼の個人サイトには「今マスコミの前に出ていいこと喋ったりしても、その人の解釈のしかたで変な方向にいったりする。テレビでも編集のやりかたで俺らがわる者みたいな感じにされてまう。あることないこと俺らの話題で胡散臭いオッサンらが、何でも知ってるかのように喋ってるやん。お前らどこまで俺らのこと知ってんねん!って思うわ!(笑)」 などと書いているようだが、笑止千万である。お前のことなど誰も知らないし興味もないのだ。お前本人とは別の「カメダコウキ」なる商品が一人歩きしているのである。まだ気付かないのか。
 有名になる、というのはそういうことだ。それが嫌なら有名人になどならなければよかったじゃないか。馬鹿である。19歳と言っても幼稚すぎる。それとも今時の19歳ってこんなものなのか。いや、そうではなかろう。しっかりしている若者は多い。むしろ昔より多いとも思う。個人の問題だろう。
 ◇  ◇  ◇
 ソニーが心配の種にされている。私が6、7年前、某広告代理店大手が開いた企業イメージ研究の発表会に参加したが、とにかく圧倒的な企業イメージで有利に展開している企業はSONYである、世界でも最高レベルである、とべた褒めされていた。実際、プレイステーション2が出る直前ごろの話であるから、当然だった。学生の入りたい企業のトップは常にソニーだった。それがわずか数年で一体・・・。例の欠陥充電池の問題で300億円ともそれ以上ともいう損害を出すようだし、PS3はどんどん雲行きが怪しくなるようだし・・・。
 ただ、先日の東京ゲームショーでは、いつも新機種にあわせてゲームを出してくれるコーエーの「百年戦争」とか、スクエアエニックスの「FF13」などが発表されたようで、私もそのへんは食指が動く。なんかFF13は、FF12のアーシェそっくりのヒロインだけど・・・。
 そういや、車が売れないという、というか大型車が売れてないという。売れているのは小型車、軽自動車ばかりなり。うちだってダイハツの軽にしてしまったわけだが、とにかく1年に1000キロしか乗らない自分には、車を保有すること事態が贅沢なのである。とにかくゴミゴミした市街地をするするとすり抜けていく爽快さ、駐車場でどんな角度からも頭止めして平気な手軽さを一度覚えると、でかい車なんて二度と乗りたくない。会社から自宅送りで乗せてもらう黒塗りの車なんかはそりゃ、それ相応にでかいのを希望する。運転手つきのとき、後部座席にいる場合は、にんげん贅沢な車を欲する。しかし近所のスーパーに行くのに、しかも自分で運転するのになんで馬鹿でかいのが必要なものか。ライヒス・アウトバーンに行かない限り性能が出せない車などを、自家用車にしているのは、もちろん車そのものが趣味の方ならいいが(それならいくらかけようがそれはそれでいいだろう)、ただの見栄で持っているなら実に無駄だと思う。
 しばしば露天の月ぎめ駐車場に止まっている埃まみれのアルファロメオやベンツ、BMWなどを見ると失笑を禁じえない。
 ◇  ◇  ◇
 蔵前の安積テーラーから、新しいスーツが出来た、と連絡があった。タニア・デルフィノである。とにかくゼニアやロロ・ピアーナと比べても艶の素晴らしいチャコールグレイのS120だ。
 しばらくは新調の必要はないが・・・今度はどこにするか。評判のペコラ銀座か。サローネ・オンダータか。しかし、イタリア風よりも英国風でなにかと軍隊風が好きな私には、ギーブス&ホークスで仕込んだというア・ワークハウスのほうがいいか。ま、先の話だが・・・。

2006年10月02日(月)
凱旋門賞・・・ふーん。あ、今3着で終わった。そんなもんすね。
 ◇  ◇  ◇
 なんかまた驚きましたけど。日刊スポーツより「米沢嘉博氏(よねざわ・よしひろ=漫画評論家、前コミックマーケット準備会代表)が1日午前4時40分、肺がんのため東京都渋谷区の病院で死去、53歳。熊本市出身。葬儀・告別式は7日午後1時半から東京都港区元麻布1の6の21、麻布山善福寺で。喪主は妻英子(えいこ)さん。80年から亡くなる直前までコミックマーケット(コミケ)準備会代表を務め、同人誌の即売会であるコミケを大規模イベントに育てた。主な著書に「藤子不二雄論」「マンガで読む『涙』の構造」など」ということで、あの世界最大の漫画同人誌即売会コミケの米沢代表が亡くなってしまいました。53歳。若いです。肺がんですか・・・そういえば、8月に61歳で亡くなった服飾評論家の落合正勝さんの死因は咽喉がん。お二人とも愛煙家だったと思いますが・・・。
 とにかく40万人とも60万人ともいう客が集まるモンスターイベントは、この人の舵取りでここまでやってこれたのだと思う。それでなくとも色眼鏡で見られるオタクの世界であってトラブルも日常茶飯事、実際の所、毎回ストレスは相当にあったのじゃないか。
 だから煙草に命を取られたよりも、コミケに命を削られたかも知れない。
 にしても、スタッフが継承することはできるだろうが、コミケの精神性とか今後の方向性とか言う部分では支柱が抜けたも同然じゃなかろうか。落合氏を失った某誌のような感じもなくはない。
 私などは、数年前までは毎年、コミケに出店していた身として、そしてその後、足を洗った身として、ちょっと大きくなりすぎたあのイベントに危惧を持っていた。
 日本は今や国策として漫画やアニメを支援するのだと言うが、コミケというのは日本という国の一つの宝である、文化的に。
 その今後の行方次第では、日本のこういう文化形態の重要な部分が変質し、損なわれるかもしれないというのは杞憂か。
 それにしても・・・「コミケか。なにもかもみな懐かしい」という気分ではある。しかしさすがに40目前の今となってコスプレしてもう一回出てみたい、という気もあまりないけど(一体、うちの夫婦はコミケとコスプレのためにいくら使ったろうか。簡単に見ても軍服や勲章記章その他、それから出店料金に本の印刷代などで、まあ軽くペコラ銀座の高級スーツが4着ぐらい買えそうな値段だと思う)、OBとして気になるこの後の成り行きである・・・。日本の漫画文化に偉大な足跡を残された米沢さんのご冥福をお祈りします。
 ◇  ◇  ◇
 しかし、それで思う。私は文学のためにいくらぐらい費やしているだろうか。詩人は儲からない、つまり職業ではない。おそらく今で言えばブリオーニのスーツが30着以上買えるぐらいは赤字を出してきただろう。・・・むなしい。

 
 


2006年10月01日(日)
 ふと気付けば10月か。が、なんとなく天候ぐずつき、まだなんかもわっと蒸し暑い。夕方になるとすっかり秋めきますが・・・。
 不順の折がら、皆様ご自愛を。先日、地下鉄の車内でひどい風邪をひいているらしい若い男性を見かけた。もう見ていて気の毒な感じだった。葛西の駅でその人は降りたが、ホームに出た途端にふらついて、ばったり倒れた。気が遠くなったらしい。
 このところの暑くなったり寒くなったり、についていけなかったのかもしれない。
 そういえば、インフルエンザの接種はそろそろですか。うちはもう毎年恒例にしてます。
 ◇  ◇  ◇
 前に、妻がシャンプーが合わないで悩んでいる、という話を書いた。で、巷で評判のナバホ族のシャンプーこと「インディアン伝承シャンプー」
http://www.e-gakudai.com/emotent/IndianShampoo.html というのを使用してみた。ユッカ・サボテンの根、ホホバ油などを使用したインディアン直伝製法のシャンプーだというのが売り文句。確かにインディアンに禿頭の印象はない。つやつやした黒髪というイメージがある。あれは信仰上の理由で、ネイティブ・アメリカン諸族は伝統的に「髪がなくなると魂がなくなる、生命力が失われる」と考えていて(それはあたらずしも遠からず)世界で最も髪のケアについて研究を積んでいる民族なのだそうだ。で、私もついでに試してみたのだが・・・別にここの会社の宣伝をする必要もないのだが、しかし実際に使用してみて非常にいいようだ。ほんの数日で髪質が変化した気がする。また、懇切に髪の洗い方や頭皮マッサージ、ケアの仕方を説明するマニュアルが添付されていて、これがいい。というかひょっとするとこっちが重要なのかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 松屋銀座で今、「大イタリア展」というのをやっている。http://www.matsuya.com/ginza/index.html
 近頃はあまりこういう物産展は敬遠していたが・・・だって気がつくと軽く5万10万使っていたりするんだから。なんかけっこう雰囲気に呑まれやすい駄目なうちら・・・。
 が、今回はまあ、前回のイタリア展も来たので(確か前回はラ・ベットラの出店が出たのじゃなかったか)、それに宣伝チラシにちょっと気になる靴が載っていて(またか靴道楽)それはもう、ほんの5センチぐらいの小さな印刷になっているんだが、「ダリオ・ドドーニ」なるブランドのイタリアの靴である。余り日本では出回っていないようである。専門誌などでも覚えがない名前だが、どうも一部セレクトショップなどで扱っているが日本じゃさほど展開していない模様。そのマイナーなところがマズ自分には好ましい。で、一見すると単なる茶色のセミブローグか、と思うのだがよくよく見ると、メダリオンじゃなくて小さな唐草模様のような柄が入っている。キャップの部分もびっしり、柄入りだ。ちょっと珍しい。デザイン的にはいくぶんロングノーズ気味だがやりすぎではなく、いかにもイタリアなんだが抑制も利いているのに好感を持つ・・・ということで、実際に見に行った。私は本来は靴は英国派なんだが、面白ければどこの靴だって見る。
 で、さっそく靴売り場で見せてもらったが、噂にたがわぬびっしり柄模様入り。色合いも面白い。造りとして特級品の万全な感じはないのだが、お値段から見るとリーゾナブル、一足持っているととても楽しそうな靴だった。茶色の育て甲斐も楽しそうである。
 というわけで、まるで子犬でも買うようにダリオ・ドドーニを買ったのだった。実際、ちょっと安売り目の子犬ぐらいの値段がしたが・・・。ま、ジョン・ロブだのエドワード・グリーンだのいうプレタポルテで一足20万円級の靴とは違う。大丈夫、大丈夫、なんとか生きていかれるだろう我が家(?)。ツリーを安いのにすれば大丈夫(・・・)。
 今回は新宿「イル・ピッチョーネ」の出店が出ていたので入った。それから、イタリア風の石焼サンドウィッチの店があったので、そこでその「ピアディーナ」というのを買った。オーナーのジョルジョ・マテラ氏が達者な日本語で「今度、青山ニ店ヲ出シマシタ。ヨロシクオ願イシマス」と言う。ふーん、今度青山に行くことがあれば行って見るか。
 ということで今回は無駄遣いせず、お財布の損害が少なく・・・あれ、でも既に6万円ぐらい行ってるぞ。
 ああ・・・・。でも面白かった。今回はファッション系は置かないで食べ物重視の展開だが、このほうが客層を見ると正解かもしれないです。
 
 
 

2006年9月30日(土)
「中国産のマツタケから、残留基準値を超える除草剤が相次いで検出され、厚生労働省は29日、中国産のマツタケや加工品を輸入する業者に対し、食品衛生法に基づく検査命令を出した」(読売新聞)ということですが、まあ今さらなにを騒ぐ、と申しますか。はっきりいって何があるか分からないですよ、あの国については。そもそも、いい加減だとか言うのじゃなく、そういうことにまだあまり関心がない国柄なんだと思う。アメリカですら感覚があわないわけですから。私はほかの雑貨品なんかは今時、気にしないけど、口にするものについては可能な限り中国産は避けています。アメリカ産もですね。
 ◇  ◇  ◇
 丸善から新しい本を買い込んだ。ひとつは「第三帝国の要塞」(J・E・カウフマンなど著、大日本絵画)というもの。主に第二次大戦当時の、ドイツの防衛施設、ブンカーや要塞地帯、陣地や蛸壺銃座まで・・・こういうものは珍しいと思う。プラモデル趣味の人は必読だろうと思う。実際、陣地のどこにトイレがあって、どこに厨房、寝台があって、といった具体的なことを知っていると、その当時の兵士たちの生活ぶりもリアルに想像できる。ただ図解ではなくかなり学術書なので決して読みやすくない。お値段も4300円で決してお安いものじゃない。
 ともあれ類書は少ないと思うので、戦史のファンなら買っておくべし、です。こういうマニアックなものは品切れ必至じゃないですか。
 二冊目は「文化とは何か」(テリー・イーグルトン、松柏社)。この著者と題名でピンと来る人も多いだろう。今から20年ほど前のベストセラー(というか、トットちゃんとか、気配りのすすめみたいな本当のベストセラーじゃなくて、この手の学術的本として異例のベストセラー)「文学とは何か」(岩波書店)でテリー・イーグルトンを知った人には、おお懐かしいなあ、という一冊です。で、巻頭の献辞には「エドワード・サイードに捧ぐ」とあってまた懐かしさに浸ってしまいます。20年前、自分なんかが学生時分、イーグルトンの「文学とは・・・」とサイードの「オリエンタリズム」は必読書でした。ちょうど平凡社が破綻した頃でサイードのほうは手に入れるのが困難でした。私は運良く手に入れて、級友に貸し出した覚えがあります・・・。
 一方、イーグルトンの「文学・・・」は、当時、うちの大学に大江健三郎さんが講演に来て、あんまりその内容には記憶がない、たしか「M/Tの不思議の森」という、当時大江さんが執筆していた童話風の小説の構想にかかわるようなお話で、熱烈なファンじゃないといまいち興がわかない話でしたが、文学理論ということでは、しきりにイーグルトンを引用して、なんかこの本の宣伝をしていかれた。つまり当時の氏の参考書だったのでしょう。で、これもみんなあわてて買い求めた。私の本棚には今でも大事にとってあります。
 そんな懐かしいイーグルトンなんですが・・・とにかく最初のほうがとっつきにくい。カルチャーという言葉の定義から入られると日本人には急になじみがなくなる。が、後ろに行くほどあのイーグルトン節です。911テロの前にこの本が書かれた、というのはすごいことです。
 読書の秋の先取りで、いかが。
 


2006年9月29日(金)
昨日は映画「出口のない海」を見てきました。「半落ち」の横山秀夫原作、市川海老蔵主演の戦争映画・・・というわけですが、ちょっと公開情報から目を離しているすきに、ひっそりと始まってしまい、昨日、ふと近くの映画館の上映スケジュールを見ると、もう一日に3回しかやっていないし、レイトショーもなくなっている。ピンチ! こりゃもうあと1週間もすれば消えてなくなるのじゃないか。
 というわけで、慌てて見に行きました。ちなみに昨日はJR京葉線があのザマだったわけですが、個人的にはお休みでラッキーでした。で、舞浜の映画館に車で行ったわけですが・・・いやあ、舞浜イクスピアリの映画館って、割と空いていていいんですが(ってそれは映画館にとってはいいことじゃないんでしょうが)、それにしてもなあ。今までいろいろここの映画館で見て、客の入りが悪そうなマイナー映画もかなり見ましたけど、自分ら入れても客が3組ぐらいしかいない、というときもあったんですけど・・・いや、こりゃ初めてだ。本当に私ら夫婦だけ、完全貸し切り。上映係の人は私らだけに見せるために機械を回してくれた。だからもう、遠慮会釈なく、上映中も家でテレビを見ているみたいに「おや、こんなセリフは変じゃないの」とか「ここはちょっとだれてるなあ」などと、あれこれ言い放題。これはすごく貴重な体験。
 それはさておき映画ですが、基本的に、学徒動員で海軍を志願した、元明治大学野球部のエースピッチャーが、かの有名な特攻兵器・人間魚雷「回天」の乗員となって・・・というお話です。
 なかなかもって、回天を取り上げた作品は今までにもありますし、島尾敏雄さんのように元回天隊の士官であった、というのが経歴で重要な作家もいますけど、にしても、今回の映画ほど徹底的に、回天という兵器の具体的な操作法とか、乗り込み方とか、訓練法とか、そして実戦での使用法とかを詳細に描いたものは今までにないのではないか。その意味では資料価値はきわめて大きいです。戦史マニアの方はなにをおいても必見でしょう。そのへんの徹底的な再現は見事です。
 一方で、映画として、ドラマとしてどうかというと、ちょっと大味というか散漫というか盛り上がりに欠けます。メロドラマとしても、お涙ちょうだいの特攻ものとしても、なんかひと味足りません。また回天の再現は見事だけど、海軍という組織の再現度はわりとどうなんでしょう・・・たとえば昨年の「YAMATO」なんかは帝国海軍そのものを見事に再現してくれていたけど、今度の作品はなんか全体に緊迫感がない、緩いです。
 回天母艦である潜水艦の描写も、悪くないし、セットもよく再現されていて、そりゃ「ローレライ」みたいなSFに近いものと比べれば大まじめなはずなんだけど、なんか艦内描写も気が抜けている。たとえば「U・ボート」やら往年の「眼下の敵」やらのあの緊迫感がなんかない。なんだろう。やっぱり役者の格かしら。
 香川照彦のひょうひょうとした艦長は、悪くないんですが。潜水艦乗りというのは独特のキャラになるといいますが、あんな感じかな、と思わせました。
 海老蔵はよく演じています。野球のシーンなんて見事です。ほかの役者さんもいいです。だからこの人らはきちんとやっていると思う。じゃなにが足りないか。やっぱり演出側の気迫かしら、と思わないではありませんが。
 学徒士官を鍛える職業軍人役の号令がなっていません。ダメだと思った。せめて自衛隊で訓練してこりゃいいのに。
 さすがに軍人にしか見えないのが永島俊之。この人はなにしろこの映画と似た設定の「英霊たちの応援歌」に出ていた人。なんか、あの映画では元野球部の学徒兵というのは新鮮だったが、今回はまたなぜいまさら同じような設定で? といくらか思った。永島さんを見てなおさらその感強し。にしても、この人いままでに何回軍人の役をやったか、はまっています。この人だけは確かにホンモノの軍人に見えた。ただ、50近い年でもう大尉の役はキツイかも・・・。
 エンディング、後味ワルし。原作通りなんだろうけども。特攻ものとして、美化はしないぞという精神はよく分かるが、やはりあの幕切れだとなんかドラマとしては盛り上がらないですな。
 ということで、・・・私は戦史のマニアには大いに推奨しますが、一般的にはどうであろうか。・・・しかし私は一般の方にもあえてお勧めしたい。
 回天という兵器の非人道性、特に航空特攻よりも悲惨なのは、「回天戦発令!」ときて心を決め、魚雷に搭乗して待機していても、そのときの都合で1発しか打たないとか、2発しか使わないとかいうことがある、すると「残りの者は装具収め、ただちに艦内に戻れ」と言われて、たった今まで決死の覚悟だった者が戻ってこいといわれる。そして、積んでいる回天が全部発射されるか故障するまで、それが何度でも何度でも続くわけです。「なんだまたあいつは生き残ったのか」と他人に見られる恐怖。特攻隊員がなぜ当時、死に急いだのかといえば一つにはそういう動機です。しかしそんなことにお構いなく、必要ない場合は、戻ってきて次の機会を待て、と命じられてしまう。あくまで乗員は魚雷のパーツ扱いなんで。そのへんの恐ろしさ、苦しさ、むごさが、狭い回天内部での圧迫感とともによく描かれていて、ここを疑似体験できるだけでもこの映画は意味があると思います。
 

2006年9月27日(水)
安倍首相の最初の会見を見ていた。
 とにかく前任者は何か言っているようで何もなく、何かしているようで大したことをしていないイメージの人だった。私は、アドルフ・ヒトラーのようなカリスマの権化の演説など見飽きるほど見ている者なので、あんな軽薄な気合術にはなんの感銘も覚えず、もっぱら言っている言葉のウスさや不真面目さしか印象に残らなかったが、政治家の演説というようなものをあまり聞きなれていないウブな日本国民の多くにはあんなものでも相応に魅力的だったらしい。
 新首相はとりあえず弁舌さわやかといえばそのとおり、まあ少なくとも私はあれでいいんじゃないかと思って聞いていた。とにかく、今から好きだの嫌いだのいう必要もない。何もしてないんだから。
 で、「隗より始めよ、ということで私の報酬を30%、大臣の報酬を10%、削減させていただく」というところで、素直に好感を持ちました。
 実は、私が前任者首相に疑問を持ったそもそもの理由が、改革をするというのに自分や大臣の給料を削減しなかったこと。私は就任したらスグにそこから始めるものと思っていた。そしたら最後までしない。一応、退職金はいらない、と言っていたようだが、とにかく私個人としては、あの人が財政再建も行政改革も本気で着手しないで、民間のリストラに頼って黙ってみているだけなんだろう、と思って不審を抱き始めたのはそこからです。そしたら本当にその通りであった。
 なにしろ特別職公務員の筆頭は総理大臣でしょう。自分から減らさないでリストラできるわけがないです。国会議員も、閣僚がやらないで減収もリストラも出来るわけない。
 やはり小泉さんはそのへんのことは当初から、自分の任期では一切やらないつもりだった、ということだと思います。逆に言えば安倍さんは手をつけようという意志があるんかもしれませんね。
 組閣については、津島派から2人、特に久間さんを防衛庁長官に遇したのがちょっと目に付いたぐらいか。今回の総裁選というより、前政権での貢献に報いた面もあるんでしょう。防衛庁は今国会か次の国会か、近く防衛省に格上げが決定的なので、遠からず正式に「大臣」と呼ばれるはず(今までだって防衛庁担当の各社記者は、防衛長官を長官と呼んではいけなかった、大臣と呼ぶのが慣わし。実際、外局の長官と違って防衛庁の長官は閣僚でありもともと格は大臣なので)別に新鮮味など組閣には要らないと私は思うので、あんなもんでいいと思いました。
 ◇  ◇  ◇
 「ナチス・ドイツの指導者アドルフ・ヒトラーが、第1次世界大戦中に描いたと見られる水彩画21点が26日、英南西部コーンウォールで、競売商ジェフェリーズによって競売にかけられ、計11万8000ポンド(約2650万円)で落札された。水彩画は、80年代にベルギーの民家の屋根裏部屋で発見された。所有していた匿名の女性が最近、同社に売却の意向を伝えてきた。「A ヒトラー」「AH」の署名があり、1916〜18年に、フランス・ベルギー国境付近の風景を写生したものと推定される」ということで、まだヒトラーの絵というのはあったみたいだ。ま、1枚100万円ぐらいで、美術品としての価値はあまりなく、もっぱら有名人がらみの値段だからこんなもんだろう。
 ヒトラーの絵というのは、けっこう風景画や建物の絵は上手い。みんな色眼鏡で見ていろいろ言うようだが、あれはそれなりの絵だと評価していいと思う。ただ、なんだか寂しげである。人物画となるとなにか歪んでいて話にならない。彼のものの見方がそんな感じだったということだろう。
 第三帝国政府はせっせと、ヒトラーが若い頃の絵を超高額で買い集めた。総統の絵がいまいちだというのをゲッベルスあたりがよく理解していたからだ。総統お抱えの写真家で、エヴァ・ブラウンをヒトラーに紹介したことでも知られるホフマンが、総統の直筆画集を出そうとしたが、とりやめになった。やっぱりゲッベルスが止めたと聞いている。
 ヒトラーの意向で、前衛芸術やモダンアートはすべて第三帝国で発禁となり「退廃芸術」の烙印を押された。が、ゲッベルスだけはひそかにモジリアーニとかカンディンスキー、ピカソなんかを隠し持っていたという、資料用という名目で。

2006年9月26日(火)
突然だがWIKIPEDIAからの引用ですけど「007は2度死ぬ(だぶるおーせぶんはにどしぬ)シリーズ初の日本舞台作品:1964年に発刊されたイギリス人作家イアン・フレミングの小説「You Only Live Twice」をもとに、アルバート・ブロッコリとハリー・サルツマンの共同製作、ルイス・ギルバート監督の元 1967年に製作された。脚本はイギリス人作家のロアルド・ダール。007シリーズ映画の第5作で、当時の日本におけるシリーズの人気に応える形で、初めて日本が舞台となった作品である。その荒唐無稽なストーリーと(後年に振返って見れば)稚拙な特撮、日本文化の表現がめちゃくちゃなどの理由で、007マニアからは「シリーズ有数の駄作」と言われている。しかし、それゆえのファンも多く、イギリスの人気コメディ映画「オースティン・パワーズ」シリーズでは多くのシーンが引用された。ボンドカー(実際はボンドは助手席に座っていたが)として、コンバーチブルに改造された特注のトヨタ・2000GTが登場するのはあまりにも有名。高度経済成長期真っ只中の東京を中心にロケが行われたため、当時完成したばかりの東京メトロ丸ノ内線や千代田区紀尾井町のホテルニューオータニ、富士スピードウェイなどのおなじみの風景が随所に出てくる。また、映画の撮影中(1966年3月5日)に、イギリスに帰国する途中の関係者が英国海外航空機空中分解事故(英国海外航空のボーイング707型機が富士山山ろくに墜落した事故)で死亡したり、ヘリコプターの空中戦の撮影シーンでカメラマンが片足を切断する事故に遭うなど、歴代の007作品の中でも関係者の事故が多い作品として知られる。・・・多彩な登場人物:日本の情報機関の影のボスとして丹波哲郎が登場する他、初の日本人ボンドガールとして若かりし頃の浜美枝が登場し、日本人に化けたボンドと結婚したり、丹波哲郎演ずる日本の諜報機関(原作「007は二度死ぬ」ハヤカワ・ミステリ文庫では公安調査庁)のボスの移動手段がなぜか丸ノ内線の専用車両だったり、特殊部隊の訓練場が姫路城(※実際の撮影時に、内壁を損傷させ厳重注意を受けている)だったり、さらに特殊部隊が忍者だったりと、(特に日本人にとっては)ストーリーはともかくいろいろな意味で楽しめる作品である」。
 と長々と引用しましたが、こう読んでいても、非常に思い出深い作品で、私は個人的には007シリーズの中でいちばん名作とは思わないが、いちばん好きです。そして今になってみると、この作品は私が生まれた年に公開なんですけど、このころの日本ってまだこんなもんなのか、というのが非常に面白いんですね。荒唐無稽な描写満載ですけど、しかし町の雰囲気とか、人の着ているものとか、そういうのが「3丁目の夕日」のように懐かしい。同じような感慨は「宇宙人東京に現る」みたいな昔の映画には大いに感じますが、この作品もそう。で、なんといってもアクの強いタイガー田中の印象が強い。女の人を侍らせて、背中を流させながら「ほら、主人を待たせちゃダメだよ、主人を」とか変な日本語のセリフをつぶやいているシーンがあるんですが、きっとあれはアドリブでしょう。
 というわけで、丹波哲郎さんが大霊界に自ら旅立ちました。不思議に、ほんの数日前にあの映画とか丹波さんのことを我が家で話題にしたもんで(けっこうスピリチュアルブームの我が家?)なにか私らにも予感があったのか。まあ、007と「大霊界」以外にも「Gメン75」とか、あと「203高地」での児玉源太郎とか、「大日本帝国」での小沢治三郎とか、いろいろと大物役が多い人でしたが、なにをやっても丹波哲郎。あの圧倒的な個性でなにをやってもその人にしか見えないままで、誰の役でもこなす、というのは最近ではいませんね。もうスtナイスラフスキー・システムもくそもなく、三船はなんの役をやっても三船にしか見えず、勝新太郎はなにをやっても勝新、そういうことができた最後の大物であるかもしれません。
 なにをどう言っても憎めない人でした。私は大好きな俳優さんでした。
 ◇  ◇  ◇
 安倍さんの組閣が今日ですが、それ以前、昨日の自民党役員人事にて、私はもう燃え尽きました。しんどい・・・。政治部の人など気が狂いそうでしょうけど。一人の人が全部決める方式だから、事前に準備のしようがない。大変です。
 ということで今日はこの辺で。


2006年9月24日(日)
共同通信によると「自民党の中川秀直政調会長は24日のNHK番組で、11年度に基礎的財政収支を黒字化する政府目標に向けた消費税率引き上げ幅に関し「公務員の人件費を下げる努力をすれば、場合によってはゼロに限りなく近づくこともあり得る」と述べ、税率5%に据え置く可能性もあるとの見方を示した。公務員の人件費では政府の「骨太の方針」の歳出改革に加え、道州制の行政効率化で削減が可能と指摘した」んですって。いや本当ですかねそりゃあ。やれるの安倍政権? 道州制ってのも、ずっと以前、もう10年も前に読売新聞が試案を出した頃から政府の検討課題だったと思うが、これもやれるのか。
 ま、あまりあてにしないで見守ろう。
 ◇  ◇  ◇
 就職戦線に異常アリ、だそうである。今年あたりは大卒も高卒もまさに金の卵扱いで、バブルの頃のような売り手市場だとか。そして、今や若い人らも利口になっていて、なまじい4年間、大学なんかに行って、4年後に不景気になっていたらおしまいなので、高卒で一流企業に入る、という人がいまだかつてなく多いそうだ。本当に今年なら、誰でも知っているような大企業から求人票があまた届いているとかである。
 確かに、とりあえず景気の先行きは不透明で、今のところ確実なのは、団塊世代の退職に伴う穴埋めという要素だから、座して4年待つのは命取りかもしれない、という判断は正しい。それにしても・・・今の24,5歳から34,5歳の人らの恨みつらみが聞こえてきそうな話しでもある。たった数年、生まれてくる年が違えば・・・。いわゆる「失われた10年」の間に就職の時期を迎えた人らである。
 ◇  ◇  ◇
 いまだにクールビズ姿の人らを見ると馬鹿かと思う。ノーネクタイのことではない。センツァ・クラバッタのつもりでやっている人と、クールビズの人は明らかに違う。わざとノータイで演出している人、というのは相応に工夫したものである。ま、胸元の開け方を気をつけないとヤクザっぽくなってしまうのだが。特に駄目な人はそこで金の極太のネックレスなどしてしまう。自分で「自分はあまり世間的な信用とかイメージに関係ない仕事してます」と言っているのと同じである。センスが分からない人にはナンセンスが分からない。同じようにフォーマルがない人にはカジュアルも分からない。ただの道化となる。
 麻生大臣など狙いすぎて、センツァというよりヤクザ風着こなしになってしまうのは上半身が貧弱だからか。あの人はタイドアップのほうが似合う。小泉後は、政策に盲従するのでなく自分に似合う服装を貫いて欲しい。私は、そもそも目つきが悪い人間なのでスーツでセンツァはやらない。本当にただの危険人物になってしまう。
 にしても、「9月だからまだクールビズ」という人の考えのなさにはイライラする。ああいうのは公務員かねえ。しょせんクールビズも制服の一種なのであろう?
 そもそも、6月1日だから夏服、10月1日だから冬服、というこの「衣替え」という判断が非常に疎ましい。そんなもの自分で季節感を考えろ。うちの前の電線には赤とんぼがずらり並んで止まっているのだ。
 私はもう先週からハリス・ツイードのジャケットなどを着用している。夕方に出歩く分にはもう暑くない。

2006年9月23日(土)
なんか今日は世間はお休みなんですか・・・ああ、秋分の日ね。もちろん私は仕事であるけれど。
 ものすごい大事件もないみたいなので私事を書くが、ちょいと陰鬱である。
 まず、休日出勤を命じられた。公休日召し上げである。まあ、これは仕方ない。
 ◇  ◇  ◇
 ついで、これが変な話だが、妻が最近、シャンプーを替えた。今までは私と同じく、ブラックケアシャンプーという1本5000円だかするものを使っていた。というか、私が30代も後半に入ってからちょっと抜け毛を気にし始めて、調べてみたらこれがよい、という話で、実際に使ってみたら確かに毛の質が違ってくる。とくに最初に使ったときの気持ちよさは格別だった。そりゃ世の中にはおセレブ用の超高級シャンプーもあるのかしれないが、こちとらルックスが資本ではない。普通に手に入る範囲では、これが非常にいいだろう、ということでこの1年ほど愛用している。で、妻もこれを使っていたんですが、やはり家計を気にする妻である、健気にも、自分は使用量が多いのでもっと安いものを探してみる、ということで、そのへんでもっと普通に売っているシャンプーに替えたのだった。1か月ほど前のことである。
 で、妻が買ってきたのは、スーパーなんかで売っている中ではいちばん高いような商品で最近、大ヒットしている有名化粧品会社のブランドである。使用してすぐ、まあブラックシャンプーのようにはいかないが、まあまあ、という感じのことをいっていた。
 が、近頃は妙に髪がべとつくような感じになり、そして、どっと抜け毛が増えて、数日前にはもう被爆した人のように毛が抜けた、といって大騒ぎであった。
 どうも、体質に合わないものを無理に1か月使ったのがいけなかったようである。
 私など、最初に妻から、髪の毛がべとついて変だ、と聞いて「なに、それは脳軟化症になって脳みそがくさって溶けているに違いない、大変だ」とまじめに深刻になり(?)、以来完全に妻から妄想の人扱いされている(???)。
 有名化粧品会社に相談しても良いのだが、「体質に合わない場合は使用を中止して下さいね」とやんわり言われるだけだと思うので、まあ仕方がない。
 ◇  ◇  ◇
 三つ目のちょっと憂鬱。ピエール・ギオメというブランドをご存知だろうか。ご存じない? そりゃそうだろう、なんちゃってブライトリングとか、ちょっと見ロレックスとかを中国で製造しているらしい謎のブランドで、天才デザイナー・ピエール・ギオメ氏というのが監修している、ことになっているがおそらく人物の存在自体、ウソだろう。ほかにもシャルル・ホーゲルだの、ゾンネだの、ネット通販で「定価15万円のところ、特価3000円」とかいうめちゃくちゃな設定で乱売している時計の一つだ。
 前にも書いたが、近所の温泉で風呂の中でしているためだけに、防水時計を仕入れたのだが、そのなかの一つが、なんちゃって緑ベゼルのロレックスに10メートルぐらい離れると見える、ピエール・ギオメを買った。定価10万円を7000円で売っていた(笑)。
 が、しかし。なかなかそりゃ高級感はぜんぜんなくて、いかにもタミヤカラーで塗ったような緑色が下品だが、ちゃんと機械式自動巻きで、時計としても正確だし、そのへんに散歩に行くとか、スーパーに買い出しに行くとかにはめていくには悪くない。で、けっこう休みの日にはしていたんですが・・・ある日、車のハンドルを握っていると、キン、と鈍い金属音がする。で、手元を見るとギオメ君のベルトが切れているわけ。とつぜん切れるなんて考えられない。
 で、時計屋さんで見てもらったが、技術者の女性、なんか申し訳なさそうに「ええと、ここの部分は・・・場所によっては、駒を取り外せるようになっているのですが、この部分は本来、切れてはいけない部品が切れていますので、あいにく」ということで、治せないというのである。
 しょうがないので、3000円也のバンドを買ってつけてもらった。結局、この時計にはすでに1万円投資したのと同じじゃん。
 安物買いの銭失いって本当ですなあ。でも、ジャバラ式の、時計の質に通録するようなベルトをつけてみると、なかなかこれでまたできの悪いものというのには愛嬌を感じる。
 で、またそれ以後、ギオメ君をけっこうはめている・・・。
 ◇  ◇  ◇
 四つ目。近所のそば屋に入った。どこのなんという店かはあえて言うまい。簡単に言うと軽い食中毒になったようだ。妻も私もそれから体調が悪い。
 食器か、それとも薬味のネギが悪かったんじゃなかろうか。ちょっと新しい店を開拓してみよう、なんて言っていつも行かないところにいった。手打ちだとかいうから、それなりかと思うとちっともうまくない。それですごく安いのかというと、それぞれ1000円近くしっかり値段は取る。
 首だ。もう永遠に行かない。
 ◇  ◇  ◇
 最後に。実は妻がある日、妙に騒音がして寝られないという。うちは駅前に近くて深夜でも交通量があるのでけっこう、振動や騒音もあるから、そういうことかと思ったのだが、妻の言うには「人が天上を歩いているような音だったというのである。
 ひょっとして・・・。それっていわゆる「ラップ音」じゃないの? 妻は音大出で聴力が異常に発達していて、たとえばコウモリの発する超音波や、猫よけの音波発信器の音を聴いてしまうなど、その意味で超能力者である。人間では普通聞こえない帯域でも聞こえるのである。
 だから、今までもいわゆる超常的な現象は、目で見るのでなく、耳で聞き取っているそうである。学生時代には富士山近くで、巡礼の鈴の音を聞き(むろん深夜であるからいるわけがない)、ドイツ留学中には古いホテルで、無人のドアがものすごい音を立てる、というのを経験している。
 実は、妻は最近、知人の葬儀にいっていて、音を聞いたのはその直後である。あるいはひょっとして・・・。
 さらに、その後には、夢の中でなんと、いわゆる幽体離脱して、ルドルフ・シュタイナーのいうアカシック・レコードがあるところまで行ったのだ、という。宇宙空間の中で、図書館の書庫のような感じだが、そこから、いわゆる本とは違うのだけど、やはり読み取るような感じだった、という。が、「あなたの今の能力ではこの内容は読めません」と言われてがっくりして帰ってきたのだと。
 ・・・アカシック・レコードの話題など、特にしたこともなく、どっちかいうと妻より私のほうがそういう話には興味があり、夢で見るような理由はまるでない。
 なんかしかし、妻はそこまで行けて、私のほうはまったくそのような兆しすらない。なんかちょっとうらやましい。

2006年9月22日(金)
坂東某の猫殺し事件に続報である。毎日新聞に本人の釈明が載ったそうで、それを読んでみたがここにも省くことなく全部引用する。それから毎日の記者の解説もそのまま引用する。
「直木賞作家の坂東眞砂子さん(48)=フランス領タヒチ在住=が、日本経済新聞に寄稿したエッセーで告白した「子猫殺し」。その内容をめぐって余波が続いている。タヒチを管轄するポリネシア政府は、坂東さんの行為を動物虐待にあたると、裁判所に告発する構えを見せている。20日から26日は、動物愛護週間。坂東さんが、真意を語りたいと毎日新聞に寄稿した。 
 ◇坂東眞砂子さん寄稿…子猫を殺す時、自分も殺している
 私は人が苦手だ。人を前にすると緊張する。人を愛するのが難しい。だから猫を飼っている。そうして人に向かうべき愛情を猫に注ぎ、わずかばかりの愛情世界をなんとか保持している。飼い猫がいるからこそ、自分の中にある「愛情の泉」を枯渇させずに済んでいる。だから私が猫を飼うのは、まったく自分勝手な傲慢(ごうまん)さからだ。
 さらに、私は猫を通して自分を見ている。猫を愛撫(あいぶ)するのは、自分を愛撫すること。だから生まれたばかりの子猫を殺す時、私は自分も殺している。それはつらくてたまらない。
 しかし、子猫を殺さないとすぐに成長して、また子猫を産む。家は猫だらけとなり、えさに困り、近所の台所も荒らす。でも、私は子猫全部を育てることもできない。
 「だったらなぜ避妊手術を施さないのだ」と言うだろう。現代社会でトラブルなく生き物を飼うには、避妊手術が必要だという考え方は、もっともだと思う。
 しかし、私にはできない。陰のうと子宮は、新たな命を生みだす源だ。それを断つことは、その生き物の持つ生命力、生きる意欲を断つことにもつながる。もし私が、他人から不妊手術をされたらどうだろう。経済力や能力に欠如しているからと言われ、納得するかもしれない。それでも、魂の底で「私は絶対に嫌だ」と絶叫するだろう。
 もうひとつ、避妊手術には、高等な生物が、下等な生物の性を管理するという考え方がある。ナチスドイツは「同性愛者は劣っている」とみなして断種手術を行った。日本でもかつてハンセン病患者がその対象だった。
 他者による断種、不妊手術の強制を当然とみなす態度は、人による人への断種、不妊手術へと通じる。ペットに避妊手術を施して「これこそ正義」と、晴れ晴れした顔をしている人に私は疑問を呈する。
 エッセーは、タヒチでも誤解されて伝わっている。ポリネシア政府が告発する姿勢を見せているが、虐待にあたるか精査してほしい。事実関係を知らないままの告発なら、言論弾圧になる。
 ◇解説…動物の生と死、多角的議論を
 坂東さんは「子猫殺し」を発表することで、愛猫に抱く葛藤(かっとう)を伝えるとともに、過剰なペット依存社会に一石を投じ、動物の生と死について再考を促そうとした。しかし現状では、多角的で本質に迫る議論には発展していない。
 「雌猫3匹が産む猫を、がけから放り投げている」。この強い表現は、猫への愛情と罪悪感が希薄な印象で、読む側の不快感につながった。言葉を扱うプロだからこそ、意図を正確に届ける工夫がもっとほしかった。
 また、猫への避妊手術は、坂東さんの挙げる野良猫対策とは異なる側面もある。野良猫の7割以上がウイルスを持っているといわれる猫エイズの予防だ。治療法は確立されていないが、体液の接触感染が主な原因で、不妊・去勢手術を施してけんかや交尾の機会を減らせば防ぎやすくなる。
 現代社会の猫や犬は、単なるペットではなく、人生の伴りょとして扱われる。坂東さんに賛同する人は少ないだろう。ただ、私たちが「動物にとっての本当の幸せ」を知るすべはない。動物の飼育を「自分勝手な傲慢(ごうまん)」と考えている人はどれだけいるだろうか、人間に向かうべき愛情が動物に偏って注がれていないか……。坂東さん、そして社会が抱える病理を多数派の意見で押し込めてはならない。【鳴海崇】
 ◇子猫殺し 坂東さんが日経新聞8月18日夕刊でエッセー「子猫殺し」を掲載。飼っている雌猫に避妊手術をせず、子猫が生まれるとがけ下に投げていることを明らかにした。日経にはメールと電話で延べ1497件(今月19日現在)の意見が寄せられた。「残酷で不快」「動物愛護の精神に反する」「生命を軽視している」「避妊手術と、子猫を殺すことを同列に論じるのはおかしい」など、大多数が批判。少数だが「納得できた」「これからも生と死について書き続けて」との賛意もあった」
 ◇  ◇  ◇
 全く納得できない。実のところ、もう少し考えがあるのかと思ったが、これでは1%も共感も理解も出来ない。要するに、この人は作家になるぐらいしか行き方のない様な人間のくずで、だから人間嫌いなので猫を飼っている。それは本人も、傲慢なエゴと認めている。
 なのに、自分の傲慢なエゴで飼っている猫の避妊は出来ないという。それは高等動物の傲慢なのだ、という。
 最初の、自分の満足とエゴで猫を飼っているという前提があるのに、なんで避妊のことだけそれができないのか理解できない。
 まして、避妊をしている飼い主の人たちが「これこそ正義」などと言って喜んでいるとでも思っているようなのが気に入らない。ばかげている。みんな泣く泣く、かわいそうだがやっているのである。そうでなければ望まれないで生まれてしまった子猫を、この作家のように殺さねばならぬ。際限もなく子供を作ってしまう親猫の身体のためにもならない。で、自分の飼っている猫は溺愛し、その避妊はかわいそうだからできないのに、そこから生まれた子猫は殺してその苦痛は平気であるらしい。
 簡単な話であって、飲んだら乗るな、といった議論と同じである。飼うなら避妊しろ、イヤなら飼うな、である。最初の前提が間違っている。「私は人が苦手だ。人を前にすると緊張する。人を愛するのが難しい。だから猫を飼っている。そうして人に向かうべき愛情を猫に注ぎ、わずかばかりの愛情世界をなんとか保持している」という部分だ。おまえの愛情世界など涸渇してしまえばいいではないか。そのために猫を犠牲にすること自体が間違っている。
 坂東女史はくだらないことを書いていないで、すぐに猫の飼育を断念すればよい。それだけだ。
 また、毎日の記者の書いていることもひとつも共感できない。「動物にとっての本当の幸せ」という感覚自体がひどく傲慢である。
 そして、傲慢であることを恐れるような人間は要するにバカである。人間というのは生まれつきの罪人であり、傲慢にしか生きられないというのが前提だ。
 それに耐えられない者は死ねばいいのである。
 そのぐらい厳しく考えられない者が、こういった生き物の生き死にのことを語ると実に次元が低くていらいらする。
 この程度の死生観しかないなら、坂東は作家を引退すべきであろう。もっとすごい哲学でもあるかと思ったが実に残念だ。
 

2006年9月21日(木)
報知新聞が書いているが「バツ一独身だった小泉首相から安倍氏へのバトンタッチで、5年5か月ぶりの“ファーストレディー”の誕生だ。安倍氏の夫人・昭恵さん(44)はこの日夜、都内のホテルで行われた「総裁選慰労の集い」にこそ顔を見せなかったものの、87年6月の結婚以来、陰ながら夫を支えてきた」とういうことだが、あの一家って子供いないんじゃなかったっけ? じゃあ、少子高齢化問題なんて扱えないなあ・・・あ、だから拉致担当大臣を設けて少子高齢化大臣を廃止するのか。
 「総裁選が行われた20日午前、報道陣から「ゲン担ぎはしたのか」と聞かれた安倍氏は「朝食(青汁など)はいつもと変わらないが、ネクタイは9月1日の出馬表明と同じ。家内が『いいんじゃないか』と言うのをしてきました」と照れ笑いを浮かべた」というんで、ああやっぱりあの人の服装は奥さんの意見が大きいのか。ま、確かに政治家の中ではきちんとした着こなしはしている。が、あの場合にレジメンタルはちょっとどうかな、とは思ったけど。小沢さんなんか紺地の水玉だったし。
 もし首相指名のときにレジメンタルだったらちょっと違うかな、と思う。若いんだから若さを演出する必要はないだろう。むしろソリッドタイか水玉で渋く、がいいんじゃないか。それでなくともちょっと軽いんだから、はっきり言って。
 「昭恵さんは森永製菓の松崎昭雄元社長の長女。小、中、高と名門・聖心女子学院、その後、聖心女子専門学校卒業という筋金入りの“セレブお嬢様”。卒業後、大手広告代理店・電通に勤務。安倍氏と結婚後も山口県下関市の地元FMで「アッキー」の愛称でDJをしたこともある」のだって。そりゃ普通の人じゃない。もっとも専門学校ってなんですか自分は良く知らないが。セイシンの花嫁修業用の学校? デンツーさんは七光社員だらけだからどうでもいいとして。
 ま、とにかく今日で52歳の安倍さん、お手並拝見である。拉致問題をうまくこなせないとあの人、駄目かも。経済も先行き不安だし・・・。世界の雰囲気もアメリカがブッシュ後に間違いなく民主党に交代するから変わってきている。中国寄りになるのは間違いない。
 変化の時期であるよ。大丈夫かね、ネオコン的な発想はちょっと時代遅れかも。
 ◇  ◇  ◇
 キーツマンゴーというのをご存知だろうか。赤い実のアップルマンゴーと違い、表面は緑色で玉そのものは大きい。ちょっと見た感じでは、赤いマンゴーのほうがおいしそうに見えるが、実はこのキーツマンゴーのほうが希少で、ちょっとお高いが、うまい。収穫時期も短くて年間で2,3週間じゃなかろうか、その期を逸してしまうと食えない、幻のマンゴーというやつである。
 先日、アップルマンゴーを頼んだ沖縄の「沖縄りゅうか商事」さんhttp://www.ryuuka.com/・・・いつもヤドカリのための砂や沖縄直送の「海水」などをお願いしているお店であるが、ここからキーツマンゴーも頼んでみた。一個で3000円以上するんだが、世間相場じゃ軽くこの倍の値段がついていることもあるのでお安いといえる。
 が、マンゴーというのは、収穫してそのまま食ってもまったくうまくない。そのまま室温で(絶対に冷蔵庫じゃ駄目である9「追熟」というのをしなくてはいけない。まあちょっと熟れさせるのである。この按配が難しい。食べごろを見極めないと無駄になってしまう。特にキーツマンゴーは見た目は緑色のままでちっとも変わらない。においとか、表面の硬さの変化で見極める。
 実は、10日ごろにうちに届いて、15日ごろには食べられる、とあったのだが、その後かなり気温が下がった日が続き、ぜんぜん熟しないようなので今日まで待った。
 素晴らしい! こんなすごいマンゴーは食べたことがない。アップルマンゴーもうまかったが、こいつはすごい。売り文句はうそではない。これならもっと買って置けばよかった。ちょっと追熟の自信がなかったもので一個しか買わなかったのだが。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、このりゅうか商事さんの宣伝をするわけじゃないが、ここが自社開発したおそらく世界でも初の、「ヤドカリ用の防ダニ・スプレー」というものを売り出した。「ヤドカリ用環境改善液」というものだ。http://www.ryuuka.com/news/060905.html
 ヤドカリストの方ならご存知だろうが、サンゴ砂というのはどんなに消毒しても、時間がたつと小さなダニのような虫がわく。おそらく卵が完全に死滅しないのだろう。
 ダニ自体はそんなに害はないようだが、脱皮中のヤドカリなどは気持ち悪がって、それで脱皮をしくじるという危険性がある。不潔な砂を嫌うヤドカリなので、ダニなどもってのほかである。よく、ヤドカリは手がかからない、簡単に飼える、と安易な宣伝をしている会社があるが、湿度管理や砂の管理はかえってどんな生物より面倒であると思ったほうがいい。
 で、このりゅか商事が琉球大学の先生と共同開発したスプレーだが、化学物質を嫌うヤドカリに害がないように、善玉菌の働きを促進し悪玉菌を抑制して、砂の環境悪化を防止するというきわめてエコロジカルな商品である。これが、試験してみた妻の話じゃ非常によいようである。脱皮中のヤドカリがもぐっている水槽などに非常によいそうだ。
 興味のある方はぜひ。
 

2006年9月20日(水)
 今日はお休みでラッキー・・・安倍さんの総裁選出は分かっていたし、おまけにタイじゃ国軍がクーデターだって。新聞社のにんげんというのはいつでも、自分が幸運にも非番の日にいろいろ起きてしまってほしい、と願っているもの8いや、私みたいな怠惰な人は、ということ。いろいろ起きてほしいという自虐的な方もいるけど・・・)。
 なんというんですか、あの国ってのは、まあちょっと昔の日本の天皇と軍部みたいな関係があって、2・26事件の決起軍も、鎮圧に当たる戒厳軍も、天皇に対しては絶対忠誠。だから政権転覆ははかっても、国家転覆ははからない、そこらへんが欧州や中国なんかの王国の革命とは違う。
 タイでも、つい最近、式典をやったばかりのプミポン陛下の威信は絶大、国民もこの人の言うことだけはなにをおいても聞く。
 タクシン首相は自分の政権を安定させるべくニューヨークに行ったのだろうが、しかし留守中にひっくり返されるのはよくあること。ちょっと不用意だった。なにしろ一度はやめるといった人だから、居座りに無理があったということだろうが・・・。
 しかし、日本には今のところ軍はないので、こういうことは起きないけれど、軍部ってものがあれば話は違う。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、イラン系アメリカ人実業家のアンサリさんという人・・・イランの人ってきれいな人多いけど、超美人じゃない? 何者? イスラム教なのか気にしてないのか。宇宙旅行の料金は23億円だという。富豪である。まだ40歳である。私より一つ上なだけ。どはあああ。さすがにそりゃあ・・・。ライブドア元役員のなんとかさんは体調不良でとりやめたそうだが、ひょっとしてこんな人と一緒じゃ、影が薄いからかな。
 天が何物も与えた感じのアンサリさんだが、しかしイランからアメリカにやって来て、成功するまでにはいろいろあったに違いない。そんな簡単だったとは思えないよねえ。なんの実業で成功した方なんだろうか。
 ◇  ◇  ◇
 妻が5匹目のカメを買った。ニシクイガメ、というのである。名前の由来は、タニシを食うから、というのだが、とにかくちんまりしていて、顔が大きくてかわいい。にしても、うちも随分とカメ屋敷になってきたなあ・・・ヤドカリ20匹、魚が・・・最盛期では300匹ぐらいいたけれど。急激にカメ増強中である。
 犬はなかなかねえ。飼って見たい気もあるのだが、10年しか生きないものだし。ヤドカリは30年、カメは100年ですから。最期を看取るのはかわいそうですしね。
 実は、子供のころは犬嫌いでした、自分。福井で、町中を犬に追い掛け回されたことがある。もっとも、犬のほうは遊んでもらえて喜んでいたのだろうが。
 けっこう、大学生ぐらいになるまで犬嫌いでした。で、近頃は妻の感化で放棄犬や殺処分犬の話題など見ると本当にかわいそうになります。
 ◇  ◇  ◇
 ぜんぜん関係ないが、私は前にMIXI(ミクシィ)というのに入ってはいるけれど、まったく幽霊状態、と書きました。ソーシャルネットサービス(SNS)についても、あまり興味なし、と書いてきた。
 が、それでまた性懲りもなく新しいSNSに入ってみたのが、ナイルポートnileportとかいうものである。http://nileport.com/
どういうものか知らず、ただミクシィなんかと違って、もっと運営会社がはっきり商業的な運営をしているようなので、・・・ま、簡単に言えば、いろいろなブランドやレストランなどのカタログやモニターアンケートをやるんですな、ここが。で、運営会社はそれらの企業から広告費を貰うんだろうし、参加した人は気に入ればカタログを請求し、気に入ればなにか買ってくれるし、ということで、まあこれはSNSじゃなくて買い物サイトだと思う。
 ちょっと見てみたが、まあ個人のページのやり方はミクシィとも似ているのだが、あんまりSNSとして使うようなものじゃないかもしれない(今日入ったばかりなので分かりませんけど)。それよりやはり企業のページのほうが意味がある感じ。
 しかし思うんだが、私にはもっと特定分野に偏ったブランドのものが欲しいのだけど。たとえば「第二次大戦軍用時計」とか(もう半年ばかりの間にドイツ空軍の時計を三つも買ったですけん自分)、「マニアックな軍用車模型」とか。レストラン情報はまあよろしい。あと靴屋や背広のサルトも、自分が知らないようなものをどんどん出してきてくれれば見たいのだが、ちょっと見た感じではあんまりない。
ま、とにかくせっかくなのでしばらく拝見させていただこうという構え。
 

2006年9月18日(月)
このところ、ファッション界はちょっとした・・・いや、かなり大揉めのようだ。というのも、「痩せすぎのモデルは駄目」という声が急激に高まっているからである。
 時事通信によれば「スペインでこのほど、やせ過ぎのモデルがファッションショーへの出演を禁止されたが、英国でも同様の動きが出ている。報道によると、世界のファッションの発信地、イタリアのミラノでも規制の動きがみられるという。ロンドン・ファッションウィークが18日から始まるが、16日付の英各紙によると、食事障害防止団体や閣僚がやせ過ぎのモデルへの懸念を相次いで表明し、主催者は規制導入への大きな圧力を受けている。彼らは、スペインのマドリードのショーの場合と同様に、身長と体重の比率が一定の数値を満たさないやせ過ぎのモデルは、ショーに出さないよう求めている。同様の規制がミラノでも検討されているという。・・・テレサ・ジョウェル文化相がやせ過ぎモデル規制に賛成する議員の署名リストの先頭に立ち、もっと現実的な体型の健康な女性になるよう呼び掛けていると報じている。同相は「若い女性の行動や感情を形づくる上で、ファッションが果たす力を一瞬たりとも過小評価してはならない」と語っている。・・・もし体型の規制が導入されれば、リリー・コール、エリン・オコーナー、アレック・ウェック、エバ・ハーツィゴバらのスーパーモデルがショーから締め出されるだろうと指摘している」とのこと。
 実際ね、特に女性のファッションモデルの体型は「非現実的」といってよいような人も多いですよね。はっきりいって、モデルぐらいしか仕事がない感じの人、けっこう多い。
 男性のほうは、ひたすら痩せていればよい、とはまず言わない、どころか、貧弱すぎてスーツが似合わない、といって悩む人も多いぐらいである。胸板や肩がない人など筋肉トレーニングまでする。そこいくと、女性モデルについては、はっきりいってなんでこんなのがいいのかなあ・・・という人もいるが、要はあくまでも理想的なモデル、であって理想的な女というわけではない。
 そこらへんは見るほうも理解しなきゃいけないのだが、ああいうふうにならなきゃ、と思ってしまう人も多いわけで。
 ま、今日もダイエットに励む私としては、痩せすぎは駄目、という傾向はとても好ましいのですけど。もっとも、じゃあデブがいい、という話じゃないのですけど。
 ちなみに、ナショナルのジョーバを導入してから2か月、平均体重が確かに3キロほど低下しました。効果ありますね。下半身の贅肉が減って、脂肪が柔らかくなり、筋肉がついてきたと感じます。
 6か月で20キロ減った、という人もいるそうですが、さて。これと、ニチレイのダイエット食、それからアメリカ製のダイエットジュース・・・これで新入社員のころの体重、かれこれ16、7年前の体重に戻すのが当面の目標であります。
 ◇  ◇  ◇
 先日、うちの会社の新聞の記事に「ナチス・ドイツ総督アドルフ・ヒトラー」という誤植があって、これは私が気付いて、最初のほうの地方向けの版だけで直ったのですが、もちろん正しくは「ナチス・ドイツ総統」ですね。ところが、けっこうそのことを指摘しても会社の人らもピンとこず。「総督、じゃ植民地の代官じゃないですか」といわれるまで理解できない人が多かった。あるいは、台湾の指導者が「総督」だったらどうなんですか、と。
 まあ、その台湾ぐらいしか現在はこの称号は存在しないので、案外に近頃の人はもう意識から遠いのかもしれないが。
 で、たとえばグーグルで検索すると「ヒトラー総督」と書いている人が少なからずいることが分かります。おそらくこういう人らは、さっきの記事を書いた通信社の人も含めて、単純な入力ミスではなく、「そうとう」と「そうとく」の区別がついていないんでしょう。
 ついでにいえば、「総督=そうとく」というのもなんだか分かっていないんでしょうな。こっちも香港はじめあちこちの植民地がなくなってきて、ピンと来ない言葉になってきているのかもしれませんが。
 あらためて書いておけば、総統、というのはナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの称号でありまして(台湾の総統は言葉は同じでも大統領という意味ですね)、基本的に独裁的な国家元首の意味であります。ドイツ語ではフューラーですけど、これは本来は単なるリーダー、指導者という言葉に過ぎません。ヒトラーはナチス党の党首になったときにフューラーを名乗りましたので、もともとはナチス党党首の意味であります。自民党総裁とか、民主党代表と同じことです。それがまずヒンデンブルク大統領から首相に任命されて「首相兼総統」と名乗るようになった。これつまり、総理大臣兼自民党総裁・小泉純一郎というようなことです。さらにヒンデンブルクが死んだ後は大統領を事実上兼任(一応、名目としては空席でしたが)、もうこうなると一人の人物が国家元首にして、政治指導者にして、唯一の政党の党首なんでいちいち兼任を称する必要もなく、総統、といえば首相兼大統領も全部表すようになった、というわけですな。
 彼の死後、ナチス党首は党官房長ボルマンに、首相は宣伝大臣のゲッベルスに、国家元首はデーニッツ海軍元帥を指名したのですが、ゲッベルスはヒトラーの後を追ってすぐに自殺、ボルマンはヒトラーが首相と党首をデーニッツに譲った、と打電した後すぐに行方不明、よって、デーニッツは大統領と党首と首相も加えた二代目の「総統」になった、と今日では理解することが多いようです。
 一方の総督というのは、ヒットした映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」でもキーラ・ナイトレーのお父さんがスワン総督という人ですが、あのへんの島の総督、つまりお代官ということですね。本当の領主は英国国王で、その委任を受けた現地の行政官が総督。
 ということで、国家元首と、お代官とじゃずいぶんと格が違うのですけど。そのへんいい加減な人の書くことってなんか、信用できないけど・・・。

2006年9月17日(日)
台風13号が九州を直撃だそうである。九州・四国方面の皆様、ご注意を。
 で、このような日は、新聞の締め切り時間が1時間とか2時間とか繰り上がる。というかそんな暴風雨の中でも新聞を配ろうという計画をあらかじめ立てるのである。なにせ阪神大震災の被災地でもどこの新聞社も避難所に配ったし、戦時中に社屋が丸焼けになった時も他紙との合同紙面という形で発行したぐらいで、まあそのへんは意地になってもやるものである。そりゃいいのだが、だからいつもより2時間とか、3時間とか早く出社しなければならない。
 というような日に限って、今日、履いていくつもりのトリッカーズの黒のセミブローグから、なんとシューツリーが抜けない! なんか裏地が木に張り付いて乾いてしまったようで前に履いた後、ちゃんと乾く前にツリーを慌てて入れてしまったからと、このところ急に湿度が低下して靴が乾きすぎたのじゃないか、と思う。なんにしても面倒なことで、引き抜くのにまるまる30分もかかった。
 どうか皆様、よく言われているように、ツリーは一晩寝かせて乾かしてから入れてくださいませ。もともときついものが、本当に抜けなくなるとイヤになってしまう。
 といって、ツリーを入れないとたちまち、靴底が下品な曲がり方になって、つま先がピエロの靴みたいにソリ上がって滑稽になってしまう。 
 そのときに靴の入り口をこじ開けようと靴ひもを抜いたのだが、ツリーが外れた後は、今度はパラレルにひもを通すのはどういう順序だっけ、なんて考えているうちにまた妙に時間がかかった。
 というわけで、それでもなんとかツリーを引っこ抜き、靴ひもをパラレルで通し、それから秋めいてきたのでバーバリーのストライプのタイに、横浜市の県庁前にある嶋野洋服店http://www.tailor-s.co.jp/であつらえたオーダーメイドの六ボタン、ダブルブレストの海軍風ブレザーをはおって出勤に及んだのであった・・・。
 ちなみにこの嶋野テーラー、いいですよ。自分で自分の体の寸法を測ってネットでオーダーする方式でやってみたのだが、一度も来店しないでちゃんと、格安ですごくいいブレザーができました。そのへんで吊しを買うとどうしても体に合わないですからねえ・・・。英国から銀のボタンを取り寄せてもらったが、これもおしゃれである(金だと本当に海軍の将校服そのものになっちゃうし。海軍の士官用のブレザーなら実は持っているし。もっとも金ラインが袖に入った上着を着て通勤する度胸はありません。胸にドイツ海軍の金の鷲までついてますしね)。
 てことで、本日は時間ないのでこのあたりで・・・。
 

2006年9月16日(土)
ジャパン・レプタイトルズショーhttp://www.at-s.com/bin/even/EVEN0030.asp?event_no_i=L656429683というものがある(9月23、24日開催)。「日本爬虫類ショー」という意味である。ペットとして爬虫類を、という人も増えているし、爬虫類ファン、という人も今や多いだろうし、そういう人であるなら、このショーの存在もよくご存じだろう。
 まあ、なんというか、爬虫類界のコミケ、といったところだ。実際の所、爬虫類を扱うペットショップとしては、ここに出店するのはひとつのステイタスらしく、けっこう、お店を出すこと自体が大変だ、という意味でもコミケットによく似ている。
 うーん、いや私自身は別に爬虫類ファンじゃないのだが、うちの妻がもう25、6歳にもなるようなクサガメを飼っていて、それ以後も少しずつ、なんとかだか、かんとかだか、私には名前の覚わらないカメを4匹ほど増やしたため、なんとなく私も毎日、カメを眺めるようになって、そうしてみるとなかなか愛らしいもので、そこからペットショップでも爬虫類のコーナーなど眺めるようになり、そうして見慣れてみると、当初はけっこう世間的の偏見に自分も毒されていて決して好感は持っていなかったものが、なかなかかわいい、ということが見えてくるのであった。
 実際、何事も偏見は恐ろしい。宗教、人種、なんでもそうだ。
 まあ、爬虫類はヌメヌメしていて、冷血で、なに考えているかわからない感じがして嫌いという人でも、カメだけは例外という方が多いだろう。で、カメを飼ってみると、そこから敷衍的に他の爬虫類や両生類も好きになる、という事は大いにあると思う。結局、私も今ではそれらの小動物がかなり好きになった。
 ヤドカリだって、体長が20センチもあるようなヤシガニみたいに大きなものなど、けっこう近づくとグロテスクであったりしてぎょっとするのだが、これも見慣れてみると可愛くなっていて、かえってよく売っているミニサイズでは物足りないと感じるようになったりする。まあ、見慣れる、ということは大事である。
 で、まあ哺乳類についてはいろいろ、これの扱いについて保護しようという動きもあるが爬虫類も近頃はいい加減な飼い主が放棄するやら、日本に居着いてしまうやら、禁止動物を乱獲・密輸するやら、問題が色々あるのはけっこう知られているだろう。
 爬虫類は冷血で鈍くて馬鹿で・・・といったイメージが根強くあるのは、だれが生んだ偏見か知らず、実際、それでご先祖の恐竜まで冷血な馬鹿だった、という偏見を持たれたことがあるのだが、それはなぜかと思う。
 というのも、うちのカメなど、どれもこれも飼い主・・・まあ主に世話をしている妻の足音を聞きつけるだけで、じたばた四肢を動かして追ってきて、餌をねだる様は冷血だの愚鈍だのとはまったく思えない。というか、必死に人間によってきて、少しでも自分のほうを見てもらおうと寵を競って慌て騒ぐ様を見ていると、まあ犬を飼っているようなものである。実際、明らかにほかの同類と寵を競う、というように見える。必ずしも餌が欲しい、というだけのアピールじゃないようである。要するに、非常に人間になつくのである。
 ヘビとかワニとか、概して大型で長命な爬虫類は、一般のイメージよりずっと頭が良くて人間にも良くなれるようだ。ワニが人間を襲うということも、実は下手に慣れすぎて安易に手を出した人間の腕を餌だと思ったワニがかみついてしまう、ということが多いらしく、むしろ人に慣れすぎたワニにこそ悲劇が起こるそうだ。
 トカゲやイグアナとなると、ちょっとよく分からない。なんにしても、実際の爬虫類は温かくて食べ物がふんだんにあり、人間がしきりに相手をしてやると驚くほどアクティブであって、だから巨大で長命だった恐竜も、温暖な時代の生き物だから間違いなくアクティブだったろう・・・ここから今の鳥が出来るだから当然である。
 ことにカメというのは、実は同じ爬虫類といっても何億年も前に突然、あの形態で出現した生き物で、ほかの爬虫類との近縁もよく分からず、謎の生き物なのだそうである。ほかのトカゲやワニと、カメというのがどの程度かかわりがあるのかないのか、分かっていないようである。
 それを乱暴に、ワニもカメも恐竜も爬虫類の一言でくくって冷血愚鈍の一言で片づけていたわけで、それではなにも分かっていないも同然である。
 で、しかし先日もあるペットショップに行ったのだが、カメにしてもトカゲにしても狭い水槽に折り重なるように積み上げられて、水も汚れており、みんな疲れ切ってどんよりしているをの見た。なるほどと思った。つまり、こういう悪い条件で飼っているペットショップなどで爬虫類を見て、みんな仮死状態でどんよりしているのを見て、爬虫類は元気がなくて冷血で愚鈍、とひとは思うのではなかろうか、と。
 実のところ、気温を下げ、餌をぎりぎりまで抜いて、仮死状態にしたほうが管理が楽、と言い放つショップは多い。これは金魚を扱う店にも見られるが、要するにショップとしての都合だけを言っているに過ぎない。
 しかもこういうアホなショップの言いぐさを真に受けて、こういう動物を無理に冬眠させようとする飼い主もいるが・・・もともと冬眠なんて非常手段で、温かい時代の恐竜や、熱帯の爬虫類が冬眠するわけがなく、悪い状態ゆえの仮死状態である。
 元気のない爬虫類をショップで見かけたら、それは一種の虐待の故であるかもしれない。
 ・・・ということで、レプタイトルズショーもいってみてもいいのだが、なにしろ静岡で開催である。それに私は土日は休みではない。新幹線で無理に往復すれば行けなくはないが、タミヤの模型ショーすら行ったことがないので、なかなか・・・。
 静岡というとお茶にミカンに、楽器に模型、そしてなぜか爬虫類である。温暖なゆえのことか(模型だけは温暖とは関係ないか)。

2006年9月15日(金)
竹中大臣が議員辞職、という一報は昼ごろ入ってきて、秋篠宮家の新宮が退院、ということで待機していたところにこれがどーんときたから、けっこう慌てふためきました。
 ということで、「竹中平蔵総務相は15日午前の記者会見で、26日の小泉内閣総辞職に伴い、参院議員を辞職する意向を表明した。会見に先立ち小泉純一郎首相に報告、了承を得た。竹中氏は会見で「小泉内閣の終焉をもって政治の世界での役割は終わった」と述べた。竹中氏は郵政民営化をはじめ一貫して小泉構造改革の推進役を果たしてきた。後継首相が確実視される安倍晋三官房長官は改革継承を打ち出しているが、小泉改革の象徴ともいえた竹中氏の辞職は「安倍政権」の改革路線に微妙な影響を与えそうだ」(秋田魁)というしだいですが、どうも竹中氏の側近の話として伝わってきたのが、1月のホリエモン逮捕からなんか直接関係はないが、竹中路線というのは神通力がなくなってきた、のだとか。
 なるほど、である。あの逮捕というのが、確かにひとつの潮目であったといえる。日本全体がなんだかあそこでちょっと目を覚ました感じがあった。
 去年の9月の総選挙にかけて、かけられていた催眠術、である。
 小泉政権の「改革」というのは、ちょうどあの日本国憲法同様、原文は英語じゃなかろうかというものが多く、その「翻訳」を担当したのが竹中氏と、日経新聞であった、といっては言い過ぎだろうか。
 ところで、これもすでに伝わっているが、竹中氏の議員辞職に伴い、自民党の次点候補が繰り上げ当選するが、それはあの女子プロレスの神取忍だそうだ。
 はっきりいって、笑える。
 竹中さんの代わりがこの人、というのはまあ・・・なんかコメントはするまい。自民党というのは面白い政党だ、と思うだけだ。
 ◇  ◇  ◇
 MIXIの上場で初値が295万だか、終値はもっと行っただか、このところやや元気のない相場で久々のIT系の大物上場だったが・・・私も実はMIXIの幽霊会員である。それもかなり早い時期に入った。MIXIに入っている人は、「辻元よしふみ」の名前で検索すれば出てくるはずである。が、ご覧なるとがっかりするだろう、写真もプロフィルも日記も全部、撤収してしまった。私のサイトかブログに転送できるようになっているだけである。もう自分の情報を見るパスワードすら忘れてしまった。ちょっと前まではそれでもMIXI経由で連絡が来たようだったが、完全に無視し続けたので、もう誰からもなにもこなくなった。
 加入して2か月ぐらいはけっこう熱心にやってみたのだが、すぐに飽きてしまった。私は基本的にネットで友達が欲しいの人付き合いがしたいのという希望は全くない。そういいつつこんなサイトやブログをやっているのは矛盾かもしれないが、私はあくまで自分の創作活動および出版物の宣伝でやっているのであって、友達が欲しいわけではない。
 あの「あしあと」を見て回るのは偏執的に面白くない。自分を覗きにきた者の様子を窺うようで実に気持ちが悪い。それに確かに無責任な匿名の「あらし」だの「炎上」だのはないだろうが、けっこう馴れ馴れしく、というか無遠慮に書き込んでくる者がいるのが煩わしいものでもある。こういうブログなんかだと気に入らないコメントなど無視して読まなければよいし、もっと面倒ならコメント不可にしてしまえばよいが、あっちはなまじい、生ぬるい社会みたいな雰囲気があるからそうもいかない。
 実際、私の方から他人のブログを見ることは全くない。よって、どういう意見がネット社会で主流か、人気があるかも知らない。このところはアクセス数も知らない。ほぼ一定数の人が診ていることが分かったので、それ以上はまったく興味がないのである。
 で、まあそんなわけでMIXIとはどんなものか知っての上で、放棄しているんだが、しかしあれをやっていても一銭もMIXIにお金を払ったことはない。無料だから加入したんだし、無料なので今でも幽霊になってもやめないでいる。広告収入だけでどこまで行けるんだか、とは思うが、企業として。M&Aで、なんて社長は言っていたみたいだが、M&Aは甘くないのはホリエモンで実証済み。無計画に展開すると自滅の元である。むしろMIXIがどこか大手に乗っ取られる心配のほうをすべきじゃないかしら。
 ◇  ◇  ◇
 そうそう。「地下鉄サリンなど13事件で、殺人罪などに問われたオウム真理教(アーレフに改称)の松本智津夫(麻原彰晃)被告(51)について、最高裁第3小法廷=堀篭幸男裁判長=は15日、東京高裁の控訴棄却決定を支持し、被告側の特別抗告を棄却する決定を出した。戦後最多となる計26人の殺害と1人の監禁致死など、全事件を被告の指示と認定した1審の死刑が確定した。社会を震かんさせた事件の首謀者に対する裁判は、96年4月の初公判から10年余で、控訴審が一度も開かれることなく打ち切られた」(毎日)ということだが、弁護士って馬鹿なやつらだよなあ、とつくづく思う。
 あんなことなら弁護なんてしなきゃよかったじゃないの。実際、弁護する必要のある人間でもないし。
 日を同じくして上祐氏が久しぶりに「自分は広報担当として教団を庇うようなことを言っていたが、当初から教団の犯罪を認識していた、申し訳なかった」などと謝罪していた。
 松本死刑囚がどんな「解脱」を見せてくれるのか、くれないのか、興味深いといっては無責任すぎるか。

2006年9月14日(木)
 今日、目を引いたニュースといえば・・・「電車内で女子高生(17)に痴漢をしたとして、警視庁は14日までに、東京都迷惑防止条例違反の現行犯で、元早稲田大大学院教授で名古屋商科大大学院客員教授の植草一秀容疑者(45)を逮捕した」(日刊スポーツ)なんとまたまた、驚きである。
 優秀な人だと思うし、一応、自分の大学の先生だった人だし、それも40そこそこ、つまり今の自分の年齢ぐらいで早大の大学院の教授になっていたのだからそりゃエリートだったろうし、テレビに出ていた頃の発言も分かりやすく、すべてがすべて妥当かどうかはしらないが、テレビの経済解説者としては立派な人だったと思う。
 が、どうもこの人、やはりどこかに問題があるのじゃないかと思う。
「酒を飲んでいて覚えていない、と供述しているという。調べでは、植草容疑者は13日午後10時10分ごろ、京浜急行品川−蒲田間の電車内で、私立高校2年生の女子生徒のスカートの中に手を入れ、下半身を触った疑い。電車内で目撃していた乗客2人が取り押さえ、蒲田駅で駆け付けた蒲田署員に引き渡した。植草容疑者は04年4月、JR品川駅のエスカレーターで女子高生のスカート内をのぞこうとして逮捕された。昨年3月、東京地裁で罰金50万円、手鏡没収の判決を受け、確定した」というのだが、どうもやっぱり根本的にビョーキといっていいのかも。なんかやっと著作なども出て、地味に再始動という感じもあったのだが、残念ながらこれで完全に人生おしまいであろうと思われる。
 植草さんの変態衝動とは別に、どうもこの人も酒を理由にしているし、毎日毎日、飲酒の上の事故やら不祥事やらを伝え聞くが、私など本当に近頃は酒など飲んでいる暇もなく、実際、世間様が酒飲んでいる時間帯はほとんど血相変えて仕事しているのである、だからそういう言い訳をする人になんだかシンパシーはないのであるが、そんなに酒飲まなきゃいかんかね、しかし。
 ◇  ◇  ◇
 安倍さんがどこやらで、大学の入学時期を9月にする、ついては高校を出てから9月までの間はボランティアでもやってもらおう、と言ったとか報じられている。
 次の首相確実な人が言うのでそうなる可能性が高い。
 今時の子供でなくて本当に良かったと思うね。強制的に半年間も、なんかやらされるというのは。ま、ボランティアはよろしかろうけど、なんか「国策」というのが嫌な匂いがする。まさか半年間、自衛隊に体験入隊しろなんてことはなかろうね、いや、そういうことだってあるかもしれないぞ。
 その半年の間は要するに無所属。入試はいつやるのか。ボランティアなんてのんびりした話が出るのだから、大学入試そのものは今までどおり、冬の間にやるということか。で、半年の間に問題があれば入学取消し、ということか。企業の人事部もスケジュールを全面見直しする必要がある。9月入社を基本にするしかないか。
 ま、安倍さんもすっかり首相になった気分でいろいろ言うが、この人、前から言われているがけっこう、口が軽い。思ったことをぽろぽろ言い過ぎる。小泉さんは逆切れの上でいい加減な暴言が多い人だったが・・・「人生いろいろ」とか「このぐらいの公約、守らなくてもどうでもいい」とか、本人も後であれは失言だったと認めているようなのも多いのだが、本当に大事なことは口にしない人だったし、まずいと思うとなにも言わなくなるので5年半もった。安倍さんというのは案外に大事なことを口にする癖があるようだが。
 ネット上の調査じゃ、実は麻生さんや谷垣さんのほうが人気が高い、なんて話もあるようだが、安倍さんが自分が人気者で、すごい人なんだ、なんでもできるんだ、などと思い上がる節がちょっとでもあったら、案外にもろく短命に終わるかもしれない。
 それでなくとも、前の人がいちばん難しそうなことを何もしなかったもんだから、安倍さんはものすごく難しいことばかりやらなければならない可能性が高い。
 おまけに、小泉さんとクリントン前大統領は似たところがあって、ほっといても世界の景気が回復上昇局面に就任したので、なんにもしなくてもやがて景気が良くなる、という時期にあった。そんなものは実際、運であって、政権など関係ないのである。
 が、とにかくそういうことで小泉政権は景気を回復した、と自分の手柄のように言い立てて去っていくことが出来る。それにしてすら、デフレ脱却宣言はついに出せず、真の小泉政権のブレインだった竹中大臣すら「これじゃ駄目」と明言している始末である。
 まして、安倍さん就任後、今度はどうなるか全く分からない。
 なにしろアメリカ経済がもたついてきているから、である。
 



2006年9月12日(火)
読売新聞の独自調査の結果だが「自民党総裁選(20日投開票)で、安倍官房長官が、国会議員票403票のうち、70%を超す288票を固めていることが、11日までの読売新聞の調査でわかった。党員についても、読売新聞の電話調査で、6割超が安倍氏支持を表明した。これをもとに党員票300票の行方を試算すると、安倍氏は75%以上を獲得する計算となる。この結果、安倍氏が20日の第1回投開票で圧勝し、「安倍政権」が誕生することは確実な情勢となった。麻生外相と谷垣財務相は、議員票、党員票ともほぼ互角で、総裁選後の影響力維持に向けた2位争いが激しくなっている」ということで、まあ圧勝のよう。してみると谷垣さんと麻生さんの立場が問題なんだが、・・・けっこう、私の周辺じゃ、谷垣さんというのはいちばん、嘘偽りがなくてまともそう、という声もあるし、麻生さんは熱烈な政界一のマンガファンと聞いて、うちの奥さんなど急に評価が上がっているし(?)。
 ひとつ、次の政権では国策で「アニメ・ゲーム・漫画担当大臣」というのを作って、麻生さんに就任してもらえばいいのじゃないですか。「麻生アニメ相」とか略して、新聞見出しじゃ「義務教育にマンガ必修へ 麻生ア相(あそうあそう)が明言」とか使われて。
 しかし昨日の安倍さんたちの討論会を見ていて、谷垣さんの嘘偽りない消費税論議をほかの2人がクサしていましたが、しかしながら2009年度までに年金の国庫負担率を2分の1に引き上げる、というのが決まっていて、安倍さんは、その時点で消費税も含めて税制見直しの必要あり、と言っていたのだから、結局は2009年度あたりで消費税引き上げと言っているようなものでしょう。
 徐々にインフレ化も明らかに進行しております。実際、値のはる買い物はあと2年以内にしておいたほうが悔いが残らないかも・・・。
 ちなみに、同じ読売で、3氏のルックスについて「人は見た目が9割」の著者がコメントしていたが、横綱が正装していた、というのが安倍さんだった、と言っていた。その通りですね、それについては。
 私は安倍さんの支持者じゃ別にないのだが、服装という点ではこの人、国際的ドレスコードへの理解もあるようだし、いい線を行っているのは間違いない。お三方の中でもいちばんいいのはその通りです。今年の秋冬はグレーが流行といっても、小泉さんとか麻生さんのグレーはなんか違う、ダメだと思う。おそらく背広のデザインが古い、ネクタイが間違っている(グレーに合わせるなら無地のグレーや紺といった渋いネクタイか、ボルドー、ピンクといったもの。グレーの背広に緑色とか水色を締めるお二人はまるで理解していない感じがしますが)という気がしますが、安倍さんについては奥さんなのか、スタイリストなのか、本人もおしゃれなのか、とにかくそういう点だけは合格です。
 ところが、小泉さんも最近、ちょっと良くなっているんですよね実は。ちょっとましになってきている。ひょっとしてスタイリストがついたか、あるいは・・・女の陰か?
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 その小泉さんについて共同電から「小泉純一郎首相は、11日夜(日本時間12日未明)、ヘルシンキ市内のホテルで記者会見し、アジア欧州会議首脳会議で中韓首脳との会談が実現しなかったことについて「一つの意見が違うからと首脳会談を行わないと言ったのは私ではない。中韓の首脳だ。(中韓は)将来まずいことをしたと思うだろう」と述べ、靖国神社参拝問題を理由に首脳会談を拒否している両国の対応を批判」したとか。まあ、これはずっと繰り返している話だしいまさら変更するべきものでもないので、それはそれでよろしいけれど、しかし「一つの意見が違うからといって」という言い方、よく考えるとどこかで聞いたような。つまり小泉さんと敵対した人たちの言い方に似ていますけど。つまり郵政問題のときのこと。「一つの意見が違うからといって粛清するのか」という、あれです。
 どうも冷静になってこの人の言い分を聞いていると、そのときどきでまるで逆さまのようなことを言ったりやったり、ですが、こんな者を「分かりやすい」とか「ぶれない」といって賞賛してきたんですから、この国の人らは(まあそんなにちゃんと、カレの言動など分析している人なんて日本にはあまりいないんだろうが。外国じゃ通らないですがね、こういう論理性がなくてただ突っ張っているだけのリーダーなんて)。
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 また読売から。「飲酒運転の発覚を恐れて事故現場から逃走するなどひき逃げ事件が増加しているため、警察庁は、道交法違反(ひき逃げ)の懲役刑(現行5年以下)を引き上げる方向で検討を始めた。ひき逃げ事件は、2000年には1万4050件だったが、それ以降も年々増え、昨年は1万9660件に達した」とのこと。
 思うに、飲酒運転しているような者がひき逃げするんだろう。
 特に公務員ね。年間2500人もつかまっているとか。また公務員は起訴率が低いんだってね、まだ役人天下なんですな、とくに地方に行くと。
 もしシラフであれば、けっこう交通事故なんて相手も悪い場合が多く、とくに近頃は歩行者なんかもめちゃくちゃなのが多いから、ひき逃げさえしなければ、そんなに重い罪にはならないことも多いだろうに。もし相手が死亡している場合など、生き残った加害側が言ったままで通ってしまうのだろうし(そういう話も聞きますよね)。
 このところ毎年、交通死亡事故数は減っている、減っていると警察発表があるが、それは本当なんだろうか。いや、数字そのものは本当だろうが、しかし最近の道路事情を見ていてマナーがよくなっているとはとても思えないが。
 まあ、車の安全性能が高まったとか、世代がかわって高齢者でも自動車免許を持っている率が上がって、交通ルールを理解している人が増えたとか、そういうことがあるんだろうけど。




2006年9月11日(月)
驚いたね。「NHKの人気アニメ「おじゃる丸」の原案者で知られる女性イラストレーターの犬丸りんさん(48)が、東京都武蔵野市吉祥寺本町の自宅マンションの屋上から転落して死亡していたことが11日、わかった。仕事に悩んでいるという内容の遺書が残されていたことから、警視庁武蔵野署は飛び降り自殺と見ている。・・・室内にあった母親あての遺書には「仕事ができない」などと書かれていたという」(読売)というが・・・。なんか一発当たれば、後は仕事なんかしないで印税生活でセミリタイアでいいじゃん、と自分のような怠け者は思うが、こういう人らは違うんだなあ、真面目なんだよねえ。思い通りに出来ないとスランプをかんじてしまうんだと思う。
 「犬丸さんは東京都生まれ。筑波大学大学院修了後、1990年、漫画雑誌「モーニング」で「なんでもツルカメ」でデビュー以来、漫画やエッセー、小説などで活躍した。「おじゃる丸」はNHKで98年10月に始まり、現在も平日夕方に教育テレビで放送中。1000年前の「ヘイアンチョウ時代」からやってきた貴族の子供「おじゃる丸」が活躍する物語で、子供だけでなく、主婦やOLにも人気を博し、2000年にはNHKのオリジナルアニメとして初めて映画化された」ということだ。しかし確かに、その後、関連の話題というのもあまり聞かない。
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 映画「X-MEN 最終章」というのを昨日、見てきた。はっきり言って私はこの原作をぜんぜん知らない。なんか日本の「サイボーグ009」みたいな、超人の部隊が悪と戦うお話だろうと漠然と思っていた(まあそれで大筋は間違いなかろう)。スーパーマンみたいな他のコミック系の作品と比べても印象は薄い。まあ日本じゃそんなもんでしょう。
 で、今回急に見ることにしたのは、サー・イアン・マッケランが出ているから、である。いうまでもなく、「ロード・オブ・ザ・リング」三部作で、世界の危機を救った偉大な賢者ガンダルフを演じたあの人である。そしてまた、終わってみるとけっこう完全に忘れ去られてしまった「ダ・ヴィンチ・コード」に出ていたあやしげなジイサンの彼、である。
 が、彼が演じるところのマグニート、という磁力を操れる超人なんだが、これがものすごく情けない役なのである。予告編で、あのマッケラン氏が、妙なヘルメットをかぶり、マンがめいた(まあそもそもコミックだから当然だが)マントなど羽織って、両手をなんか子供が降参してるみたいに挙げて、のし歩いているんだか、よちよち歩いているんだか、そのシーンがあまりに滑稽で、こんな変な役に出てるのか、と・・・まあ見る動機というとそういうことだった。
 というわけで、ものすごく事前の期待は「マイナス方向に大」モードで見た。実はこのところ、「ゲド戦記」や「ダ・ヴィンチ・コード」でも同じようなことを書いたが、世間の評判が悪く、自分自身も期待していないと言うマイナス方向への期待をしている・・・つまり「もしとんでもない駄作だったら・・・いやあ、きっとすごい駄作なんだろう」という心構えで見ると、どんな映画も非常にいい映画に思えることに気付いた。
 逆に「この監督でこの俳優なら」とか「前作が面白かったしきっと」なんて思うと、スカに感じる。けっこう冷静に見てまあまあの作品も駄作に感じる。
 つまり、「期待しすぎないこと」こそ人生万事をハッピーにする妙薬なのであるな、消極的だけど。
 で、そういう絶好のコンディションでみた本作ですが・・・まさにその通り。この映画を予備知識なく純粋に見たものとして、これはなかなかに良く出来た面白い映画だと思う。社会性もあるしお涙の要素もあり、展開も巧み・・・これで文句を言う筋合いの映画とは思えないのである。
 が、ゲド戦記のときと同じような感想も残る。つまり、いろいろ調べてみた結果だが、このX−MENも原作コミックとは相当にかけ離れた設定となっている。つまり原作の設定や人物を適当にツマミ食いし、映画向けに再構成したいわば別物で、だから熱狂的な原作ファンからブーイングが出るのは当然、という点である。アメリカで本作の評価が悪いというのはつまりそういうことだろうと思った。
 原作は30年も続く大河コミックで、メンバーだって初期から現在まで何代も入れ替わっているらしい。が、映画化に当たっては適当に初期のメンバーやその後のメンバー、敵や味方もテキトーに入れ替えたりしており、やはり原作からすると似ても似つかないらしい。
 その点で苦情が出るのは仕方がないですな。
 マグニートという人物は、原作ではナチス時代に迫害されたユダヤ人で、しかもミュータントという設定。だから迫害に常に怯えている、それでミュータントによる人類への反乱を企てるという役回りであります・・・が、最後まで見れば分かるが、ものすごくかっこ悪い役です。だからかえって、マッケランのような名優じゃないと演じられなかったかもしれない。下手な人がやると本当に駄目な人のようになってしまう。
 プロフェッサーX役の人はどこかで見た顔、と思えばスター・トレックのピカード艦長役で有名な人。イメージはそのまま、であります。
 ヒュー・ジャックマンはけっこう今回は地味でしょうか。目立ったのはハル・ベリーのほうですね。初期のころと比較してもずっと綺麗になっている。シリーズも6年がかり、この間に彼女もアカデミー賞とラジー賞を取るという活躍ぶり・・・しかし、ストーム役の白いかつらが似合っている。日ごろからあれでもいいんじゃないか。
 相当に役者が跳んだり撥ねたり、回転したりしていますが、多くはCGじゃなくて役者本人が体当たり演技しているそうです。そのへんの迫力は見事。
 2時間と短めな映画ですが、もしアメリカでの不評を聞いて二の足踏んでいる方は、もし原作に思い入れがないなら気にしないほうがいいでしょう。本作は単体としてみると非常によく出来ています。前作までの設定も、ジーンという女性が前の作品で洪水にのまれて行方不明となっていること、その恋人だったサイクロプス、ひそかに彼女に惹かれていたウルヴァリン(ジャックマン)がちょっと三角関係状態だったことさえ分かっていれば、後は全く知らないで問題ないです。
 が、原作の熱烈なファンはやはり見方が違うでしょうから。
 なお、この作品もときどきあるエンドクレジット、スタッフロールの後に追加映像が入る作品です。そのシーンは大事ですので見逃さないように。必ず途中で退席してしまう人がいますが、けっこう10作品に1つぐらいの割で、最後に重要な映像がある映画があります。おそらくそういう人はいつもラストシーンだと自分で判断して退席してしまうので知らないのでしょうが・・・。
 本シリーズの最終章のラストシーンは、その追加映像ということになるので、見ない人はこのシリーズの真のラストシーンを知らない、ということになりますよ。
 
 

2006年9月10日(日)
エアギター、などというものが近頃はあるようだが、まあ味も素っ気もない言い方すればギターの弾きまね、である。で、日刊スポーツによると「お笑いコンビ、ダイノジのおおち(34)が、8日(日本時間9日)にフィンランドで行われた第11回エアギター世界選手権で優勝した。アジア勢初の快挙で、おおちは「とうとうやりました! ワールドチャンピオンになりました。みんなにありがとう。本当うれしいっス」。まさかの偉業に、関係者からどよめきと笑いが起こっている。世界大会には13カ国の代表が参加し、おおちは予選を1位で通過していた。体形をさらに暑苦しくするトラ柄セーターで1分間の演技をこなし、会場から「折れるギターが見えた」とまで言わしめる迫力のステージを展開した。審査員からも「シンプルで伝統的なギタリング」が絶賛された。賞品として「フライング・フィンランド」と呼ばれるカスタム仕様の透明ギターと、クイーンのギタリスト、ブライアン・メイから特製アンプが贈られた。エアギターは、音楽に合わせて架空のギターをいかに華麗に“演奏”するかを競うパフォーマンス。おおちは知人の勧めでわずか1カ月前からエアギターを始め、8月にシャレで出場した日本予選を勝ち抜き日本代表になった」というようなことだが、しっかし・・・どうもよく分からないが、もう11回もやっているということは結構、昔からあるものなんだ。
 しかし別の報道によるとこのおおち氏は、実は本物のギターは弾けないとか。ブライアン・メイのアンプもただの飾りとなるか・・・。
 なんかこう・・・一応、実際にギター弾けるものから見ると、なんの意味があるのか分からないのだが、まあ確かにエレキギターというのは他の楽器と違い、見せ方、ビジュアルとしての様式美があるのは事実で、どんなに上手に弾けても、カッコよくないとそりゃ駄目なのも確か。だって、本気でちゃんと弾くならきちんと座って譜面見ながらクラシックのように弾くのが一番だから。レコーディングならみんなそうするだろう。立ってストラップで吊るす時点で、実用より見てくれが問題となっているわけ。だから、その部分を強調するまあ、芸の一種、なんでしょうね。
 ところで、私などもうここ・・・おそらく5年ほどはカラオケなんて行っていないが(はっきり言って完全に飽きてしまった。20代はじめのころは朝まで10時間以上歌い続けるなんてこともあったが。バブルの頃ね)、どうしても元ロック小僧のにんげんはロック系の出来れば洋楽系の曲を入れてしまう。すると、どうしてもヴォーカルの部分が終わると、今度は長いギターソロが手もち無沙汰になる。で、本来弾ける人は、どうしてもその間は弾き真似をしたくなる。要するに自然に今で言うエアギターをしていたなあ。が、当時などは、無粋な人から「おい、股間が気になるのか」なんていわれて、つまり右手のピッキングしているはずの位置が低いと、○○○のあたりでヘンに右手を上下させているように見える。まあ、今ならこれはエアギターです、と言えるだろうが、当時なんてそんなもの。
 が、弾き真似じゃなく、あくまで本当に弾いているつもりになっているし、どこのフレットをどう押さえているか、というのも本人の頭のナカではちゃんとあるのだった。今の人らのエアギターというのはそのへん、どうなのだろうか。実際には弾けない人がいるのだからたぶんはいい加減なんだろうが・・・。
 やっぱり、ちょっとピンと来ないですね。ロックという文化が90年ごろに終わってしまった結果、そして、エレキギターというのが古臭い楽器に落ちぶれてしまった結果、ビジュアルだけが形骸として残った、としか思えないんですが。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、911テロからまもなく5年だが、あの世界貿易センタービル(WTC)・ツインタワーというのは日系人のミノル・ヤマサキという人が設計したものだった。もちろん同氏の代表作である。日系2世で、戦時中はやはり強制収容所に入れられて苦労したそうだが、その後は建築家として名を挙げた。
 彼は、あのビルの耐久性能は20年だと思って設計したという。そして、取り壊ししやすいような設計を選んだ。
 それで、ビルの真ん中にエレベーターやシャフトで芯を通し、外壁と芯の間を木の枝のようにハリを通し、各フロアーはその上に乗っかっているだけ、という特殊な構造を取り入れた。これは、こうするとフロアーに柱がいらなくなり、それだけたくさんのテナントが入居できる=経済効率が高くて、儲かる、という発想でもあった。
 ヤマサキはそれ以前もモダニズムを取り入れすぎて、極端に合理的なマンションを設計してしまい、あまりに無味乾燥すぎるために、すぐにゴーストタウンになってしまう、という失敗をしたそうだ。WTCのビルもまるで取り付くしまのないような四角いビルで、はっきり言って決して評判は良くなかった。
 にしても、彼は86年に亡くなっていて、あのビルがその特異な設計のために、突入した飛行機の航空燃料が高温の火災を発生させ、外壁が溶解して、110階あるフロアーの底が全部抜けて崩落するという、あの考えがたい惨劇を自分の目で見ないですんだ。
 とにかく本人は20年で取り壊せ、と言っていたわけだ。すでに27年たっていたあのビルの問題について、ヤマサキの責任はないと思うが、それにしても、どうしてあれで全部ばらばらに崩壊するのか、リアルタイムで見ていても本当に理解できなかったが、そういうわけだったようである。
 跡地のグラウンド・ゼロに、今度はフリーダム・タワー・・・どうしてまたなんでもフリーダムをつけるんだろう、アメリカ人は。とにかくそういうビルを建てるが、設計段階じゃまた世界一の高層、だった。しかし中東のどこやらのオイル金満国で計画中のビルが、フリーダム・タワーなど問題にならないぐらい背が高く、このまま作っても世界一になれないかもしれない、とかである。
 とにかく、なんでもかんでも世界一になりたがり、なんでもかんでもフリーダムと唱えていればアメリカは偉大だ、というあの単純馬鹿な単細胞生物みたいな発想をなんとかしてくれないだろうか、あの国は。
 被災者の遺族が最近のインタビューで、自分は911以後、世界の見方が複雑になったと思う、と言っていた。前はもっと単純に見ていた、今は、この世界のちょっとした自然とか人とか、なにを見てもありがたい、美しいと思える、と。
 こんなの日本人にとってはごく当たり前のわびさび、諸行無常の世界観である。連中はこういう目にでも合わないと、ぜんぜん理解できないらしい。なんでもポジティブシンキングで前向きに攻撃的に生きていけばハッピーなんだという確信。
 実に醜い。なんであの国が世界中で嫌われるかといって、当然であろう。そこには負けてふみにじられる者への視点が全くないからだ。
 近頃は日本の社会もすっかりそれに毒されているが、あんな単純馬鹿な国の真似をすることは、はっきりいって自分らの民度をますます低下させるだけのことだ。
 ドナルド・キーン氏が最近、語っていた。もし日本語と日本文学に出会っていなかったら自分はどうしようもないろくでなしで終わっていただろう。アメリカ人の情緒というのは恐ろしく単純なものなのだ、と。
 
 

2006年9月10日(土)
例の米同時多発テロから5年だが、毎日新聞から引用しますと「米上院情報委員会は8日、イラク戦争開戦前、旧フセイン政権が米同時多発テロを主導した国際テロ組織アルカイダを「政権への脅威」と位置付け、アルカイダからの支援要請を拒否していたとする報告書を公表した。ブッシュ政権は旧フセイン政権とアルカイダの協力関係を指摘してきたが、報告書は協力関係を示す証拠はなかったと結論付けた」そうでありまして、今日の目玉ニュースの一つですね。
 フセインはアル・カーイダなんてむしろ拒絶していた、ということだ。そりゃそうだ、宗教色はイラクという国にとって命取りだとフセインにはよく分かっていたはずである。世俗的な独裁者がなぜ長年、君臨できたか。国民も内心で、独裁者がいなくなれば民族戦争、宗教戦争になるということを気付いていたからだろう。
 「アルカイダ幹部のザルカウィ容疑者(6月に米軍の空爆で死亡)は03年3月のイラク開戦前の02年5月から11月までイラク国内に滞在。・・・しかし、イラク戦争後の情報をもとにした報告書では、フセイン前大統領は当時、アルカイダを「フセイン政権に脅威となるイスラム過激派」と位置付け、支援要請を拒否。同容疑者も「無法者」とみなし、イラク国内で捕捉を試みたが失敗。「旧政権はザルカウィ容疑者と関係を持たず、かくまうこともせず、見て見ぬふりもしなかった」と結論付けた。・・・情報委員会の民主党のジョン・ロックフェラー議員は「同時テロにイラクが関与したと国民に信じ込ませた」とブッシュ政権の姿勢を批判した」とのことであります。
 9/11とアフガン、タリバンやアル・カーイダのかかわりまでは分かった。だから、その時点では世界中でも、日本でも、米軍のアフガン討伐を支持もしくは少なくとも黙認したものだった。
 が、話がイラクになったところから、「どうして?」という印象になったのだった。アメリカ国民は素朴にブッシュの説明を信じたのだろうし、ブレアや小泉はそれを信じるか信じるふりをしたのだったが、結局その「どうして?」という直感的な疑問のほうが正しかったと言うことになる。
 後知恵でいっても始まらないが、あのときに「いけいけ、どんどん。これからはアメリカの天下なんだから」という論陣を張った人は少なからずいるだろうし、こういうブログなんかでもそういうことを書き散らした人は多かったろうと思う。
 そういう流れなんだから仕方がない、という言い方が、特にこのテロ以後の5年の間、日本でもなにかと多いのだが、本当にそういういい加減な判断ばかりでいいのだろうか。
 ブレアはまもなく引退するという。小泉さんはいまだに5割も支持を得て得意げに去っていく。が、じつはこれでは世界の中で日本はまたしても周回遅れになりはしないか。
 ブッシュ時代のパワープレイは、すでに時代遅れなんだが。次は民主党政権が出来るかもしれず、そうなったら小泉時代なんてなかったことにしないとまずいかもしれないのだが。
 ◇  ◇  ◇
 小泉さんというのは、本人が意図したのかしなかったのか、ブッシュ時代の特徴でもある「流れ」の政治にうってつけの扇動政治家だったのだが、深い企みはなかっただけに、たとえば昨年の911選挙の後に、数を頼みにどんどん無茶なことをするかと思えば、案外になにもしなかった。いいや、実際にはあの人はイメージばかりふりまくが、ここ5年半、実は大したことはしていない。そして、基本的には面倒くさがりな人なので、最後も「自分は準備を整えただけ」とうそぶいて、後は全部、次の人任せで逃げてしまう感じがする。とにかくいちばん痛いところは逃げ回って、5年の間、本当の「改革の本丸」は手を着けなかった。
 やはりいちばん大事なことは、簡単に言って公務員をどれだけ泣かせて、そのうえで増税するか、だったが何もしなかったと言っていい。公務員にスト権をあたえて、それと引き替えに大リストラ、というのはむしろ小渕さんや森さんの時のほうが議論があった。これを次の政権に丸投げするのはきわめて無責任だと思う。もう10年も前から出ていた話なのに。
 それと、やはり憲法改正とか集団自衛権・・・これもこういう用語を使うとすぐに、知的体力のない人は面倒くさくなって考えることをやめてしまうが、簡単に言えば「日本軍がアメリカと一緒になって、戦争に参加できるようにする」ということである。このへんも小泉さんはお茶を濁して、結局は靖国神社にこそこそ参拝するだけで愛国者の振りをして終わりであった。腰が引けている。これも本気なら、当然ながら国交断絶しても天皇親拝するまでもっていくべきであったろう、かれが本物の確信をもっているなら。
 で、次の安倍という人は、考え方だけで言えば小泉さんよりよほどタカ派だという。
 けっこう、この次期政権というのが、本当の意味での日本国の進路を決める分水嶺となるのじゃないかと思う。

2006年9月08日(金)
昨日は一日ネット断ちしていました。別に何と言うことでもなく、お休みだったのだけど、それでなんとなくPS2の電源を久しぶりに入れて・・・なんとなく、ずいぶんと昔の「提督の決断C」なんてものをやってみた。これも出た当時は、自分で設計した軍艦が艦隊を組み、洋上所狭しと展開して艦隊決戦をやってくれる、という革新的なものだったが、それから数年、今やどんな映像を見ても驚かない、不感症になってしまった時代にはかえってレトロですらある。のだが、それがしかし久しぶりにやると面白い。
 最近のゲーム界は不幸である。映画のような映像をゲームに求められるから、開発費も対策映画並みになってしまう。しかし、それでマシンスペックに合わせてすごいゲームを作っても、ユーザー感覚からすると「こういうよけいなものを入れないでストーリーに力を入れて欲しい」とか「もっとシンプルなゲームが欲しい」などとすげなく否定されてしまう。
 実際のところ、私の感じですが、32ビット機が出そろって、技術的に成熟してきた1996年ごろから、PS2が出る2000年ごろまでのゲーム、つまり32ビット機の終盤ごろのゲームが好きだった。94、5年となるとまだまだ「なんじゃこりゃ」というポリゴン画像も多かったが、このぐらいになると急激に磨きがかかってくる。かといって、技術に押しつぶされている感じもなく、アイデアや脚本がイキイキとしていた時代だ。つまり、10年ぐらい前の話だ。
 それが64ビット、128ビットとなるに従い、だんだん窮屈になってきた。PS2が出てきたときには、これこそ真打ち、と思われたし、それ以前には夢のような、リアルな集団による戦闘シーンとか、映画そこのけの映像なのにプレイヤーの指示通りに人物が動くとか、着替えをしたり武器を持ち替えるとちゃんと映像に反映されるとか、はては、入力した名前をちゃんと声優があらかじめ入れた声を合成して呼んでくれるとか、もはや出来ないことなどない。
 が、ここまでくると、それもそういうレベルが当たり前になってしまうと、シンプルで面白いゲームなんて作れなくなってしまう。ユーザーも贅沢になってしまって、どんな映像を見ても驚かなくなってくる。
 ある意味、これは不幸な時代なんじゃないかと思う。ここまで短時間で進化してしまうと。
 ゲームの世界じゃ、先細り感が強くて、例のPS3もブルーレイばかりが問題となっていて売れないかも知れない、ソニーの命取りとなるかも、などともっぱらの噂である。実際、PS3の先行「不人気」ぶりにソニーの社長などアメリカのネット業界紙の選んだ「世界の重要でない10人」の4位に選ばれるという不名誉ぶりだ。が、なんで携帯ゲーム機が最近売れているか、というと、携帯の手軽さがいいというだけでなく、昔の、黄金時代のシンプルで夢のあったゲームタイトルが、携帯機向けにリバイバルされるからじゃなかろうかと思う。
 ◇  ◇  ◇
 毎日新聞がこんなことを書いている。例の山口県周南市の同級生殺害事件と、容疑者少年の自殺問題だ。まさに自殺が発覚するその日に週刊新潮が、容疑者・藤村某の名前を顔を実名報道し「逃亡中の殺人犯の実名を公開しないなど、少年法がどうこう言う問題ではない」という趣旨の理屈を述べた。で、自殺がわかった後の報道では、マスコミ各社で実名報道と、名を伏せたままの報道が別れたわけであるが、毎日は匿名のままであった。これについて「一部の新聞やテレビ局が実名報道したことについて、杉浦正健法相は8日の閣議後会見で、「犯人の少年が死亡した後でも、少年には家族があり、表現の自由とプライバシーとの関係で問題がないとはいえないという感じもする。難しい問題だ、と指摘した。さらに「(法務省人権擁護局が)少年法の趣旨との関係で事実関係を精査しており、報告を受けたうえで対応を決めたい」と述べた。一方、国家公安委員会の沓掛哲男委員長は閣議後会見で、山口県警が男子同級生の手配を非公開にしたことについて「県警は少年自身の保護や社会的な利益の均衡、捜査での必要性を総合的に検討した。十分熟慮のうえでの判断だったと理解している」と述べ、同県警の判断に理解を示した。8日朝刊の新聞報道では、読売が容疑者の実名と顔写真を掲載。本紙と朝日、東京、日本経済の各紙は匿名で報じた。テレビでは、日本テレビとテレビ朝日が実名・顔写真入り。NHK、東京放送(TBS)、フジテレビは匿名と、それぞれ判断が分かれた」ということである。
 読売の実名への変更の理由は「少年法の趣旨からすると、本人の更正を考えて匿名とするのであって、もはや容疑者の死により更正の可能性はないのだから、公表した」とある。
 そもそも、逃亡中の殺人犯の実名をなぜ公開しないのか、少年と言っても19歳ではないか、という声はそもそもあった上に、被害者の女性は20歳だという理由で終始、実名。この犯人のほうが匿名というのは変じゃないか、と言う声もあった。
 「少年には家族もあり、問題だ」などという法務大臣のいうことは、ある意味ばかげていて、じゃあ19歳の者が20歳になったとたんに、家族のことはどうでもよくなるのだろうか。
 私はどっちかといって、この場合は実名でそもそも良かったのじゃないかと思う。18歳以後はそんなにかばい立てする必要はないとしか思えない。高専の高学年と言えば大学と同じ格である。
 別に英国のように5,6歳でも重大犯の名前は公開、というところまでやれとは言わないが、とにかく19歳まではにんげん更正が出来て、20歳以後は考えなくてよいという規定はそもそも意味がないとしか自分には思われないのである。

2006年9月06日(水)
産経新聞の「識者コメント」にはこんな意見が載っている。
 ◇  ◇  ◇
 秋篠宮妃の男子ご出産について、女系容認に反対してきた「皇室典範問題研究会」メンバーの八木秀次高崎経済大教授をはじめ、識者がコメントを寄せた。
 ■八木秀次高崎経済大教授の話 「皇位継承の危機の中、めでたく男子皇族が誕生されたことに目に見えない歴史的意思すら感じる。新宮様は当然、現皇室典範に従って皇位継承順3位になっていただくべきだ。さらに皇統を安定させるためには、神武以来の男系の血筋を受け継ぐ『もう1つの皇統』である旧宮家の男子に皇族にお戻りいただくしかない。安倍政権で新たな有識者会議を設けて、その結論を出すべきだ」
 ■女系賛成を主張してきた高橋紘静岡福祉大教授の話 「男の子がお生まれになったが、皇位継承が安定的でない実態は変わらない。有識者会議があれだけエネルギーをかけて結論を出した以上、皇室典範を改正して、皇位継承は男女を問わず第1子優先とし、女系も皇統と認めるべきだ。つまり愛子さまを皇位継承者にすべきだ。そうでないと、将来、今回のお子さまのお妃も雅子さまのように『男の子を産まなければいけない』というプレッシャーに悩まされることになる」
 ■女性天皇は皇統断絶につながると論じた著書3冊を相次いで出版した中川八洋筑波大教授の話 「愛子さまを優先せよとのキャンペーンが展開されるだろうが、“女性天皇は懐妊しない”という伝統にのっとれば、お婿さまがいる皇族が天皇に即位されることはない。そうなれば女性天皇を見ることなく皇室は自然消滅する。即位しても、そのお子さまは初の女系天皇となることを辞退されるのではないか。男系男子主義を堅持した上で男子の旧皇族15人程度の皇籍復帰が急がれる」
 ◇  ◇  ◇
 この話題には詳しくないのでなんだが、「男子の旧皇族15人程度」というのはすでにリストアップされていての話だろうか。「旧皇族」というが、なにしろ戦後すぐに皇族を外されている家の人たちだから、もう60年もたっていて、普通の人として生まれ育ったひとばかり。まあご本人たちはどう思うのかも定かじゃないが。
 「将来、今回のお子さまのお妃も雅子さまのように『男の子を産まなければいけない』というプレッシャーに悩まされることになる」などというのは、その通りだろうがあまりに先の話で、はっきり言って、もうすぐ40代に入る自分などから見てもどうでもいい話であるな。そんなことは30年も後の話であろう。その「お妃なる方」はまだ生まれていないだろうし。実際、今の皇太子の例を見ても、そうそう簡単にあの家に民間から嫁など来てくれないぞ、今時。そして、今日、生まれた方が即位するのは40年後なのか50年後なのか、そのまた後継者の問題というのは70、80、90年も後の話となるのか知らないが、それはその時代の日本人が考えてもらいたい。
 天皇制について、いろいろの意見があるだろうが、私は以前は、日本人も自分らで選んだ大統領を元首とした方がいいのじゃないか、とホリエモンのような意見を持った時期もあったが、去年の総選挙など見てすっかり考えが変わった。日本人はいまだ議論を尽くして多数決で物事を決める民主主義などやれるほど成熟していない。
 それに、50年後の日本はおそらくすっかり世界の中でも地味なつまらない国となっているかもしれず、いってみれば靖国神社に誰が行こうが近隣国が怒ってくれないほどどうでもいい国になっているかも知れず、だとしたら、天皇制など唯一の日本名物、観光の目玉となるだろうから、大事に残しておくしかない、と現在は思っている。
 ◇  ◇  ◇
 共同が伝えた英国のシンクタンクの研究結果というのが出ていた。「英国のシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は5日、国際情報に関する報告書「戦略概観2006」を発表。この中で2001年の米国中枢同時テロから5年、国際テロ組織アルカーイダは組織力が低下したものの、テロリストは世界に拡散したため、武力による壊滅はもはや難しいとの見方を示した。欧米で共同して広範な対策を講じなければ、国際テロに打ち勝つのは難しいと指摘している」とのことで、要するに欧州の場合、移民の二世三世のテロリスト化が進んでいるということで、これに加えてインターネットがイスラム過激思想の広がりをもたらしているのだ、ともいう。インターネットによるグローバリズムの広がりと世界のアメリカ化・・・などという印象が強かった911以前の世界観はすっかり消えてしまったようだ。
 さらに、戦略概観2006「展望」のポイントは次の通りである。
「一、国際システムの問題は、ブッシュ米政権が1期目の戦略で指導的役割を果たせなかった一方、国際社会も米国を中心としない秩序を構築できなかったことにある。
 一、国連、北大西洋条約機構(NATO)、核拡散防止条約(NPT)、世界貿易機関(WTO)などは、核不拡散、非民主的ながら裕福な中国の増大する役割、イスラム過激派などの問題に対応できていない。
 一、ブッシュ政権の単独行動主義はこの問題を加速させ表面化させた上、少なくとも(国際社会による)共通の効果的行動を妨げてきたと考えられる。
 一、国連安全保障理事会の構成は、もはや世界の力のバランスを反映していない。国連は汚職や関連機関の効率の悪さで弱体化した。
 一、NATOは冷戦後の役割を見いだしておらず、WTOは新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が行き詰まった」
 要するにブッシュのアメリカはアメリカの時代、わが世の春がやってきた、と思ってふるまってきたし、その政権を支持してきたアメリカ国民もまた、そう思っていたのだろうが、それは完全な見誤りだった、ということである。
 ネットと英語と市場原理主義による世界のアメリカ化。それは、いまだコンピューターやネットが一部の人にしか普及していなかったほんの一時期の幻想だった。
 世界中がその見誤りに気付きつつあり、アメリカ国民もそう思いつつあるこの時期に、その誤った世界観に5年以上も従ってきた時代遅れの総理大臣の支持率が、まだ50パーセントもあるのが、どこかの馬鹿な島国である。
 

2006年9月05日(火)
 明日は紀子妃の出産予定日である。幸いにして自分は休みである。結構である。これで皇室典範改正はチャラということになるかもしれないが、とにかく自分が休みだと急にテンションが下がるのである。
 しょせん、自分の仕事に関係なければどんな大事件でも気にならない。
 ◇  ◇  ◇
 福岡の追突事故の話で、事故を起こした動物管理センター職員の上司に当たる福岡市長が市のホームページにコメントを出しているが、「処分につきましては本人に接見でき次第」検討するというようなことが出ていて、まあいまだ接見出来ないのは事実だろうが、普通の会社ならどうだろう、即日に懲戒免職じゃないか、とも思う。ほかの事件事故と違い、冤罪であるとか事実誤認であるとかいう可能性はまったくないだろう、これ。
 というのも、日数がたつ間、この男には給与を支払うことになるんでしょう、福岡市は。こんな不名誉なヤツにも。
 ◇  ◇  ◇
 なんか昨日の東京地裁の判決のひとつを見ていて暗然とした。
 要するにオーバーワークで精神を病んで入院・退職。その後に自殺した人について労災認定するかいなか、というのが論点であった。そして、判決は「退職後の自殺者も労災認定すべき」ということだった。それはそれとして、その自殺した人の経緯というのがあまりにひどい。
 1993年の話だと言うからもう13年も前のことになる。その女性は当時短大を出たばかりの21歳で、保母の資格を得た後、その年の1月に保育所の保母に採用された・・・実のところ普通に4月に採用のはずが、人手不足のために1月に仕事に就くことになったのだとか。ところがわずか3か月後、それまでいた職員がみんな退職、わずか職歴3か月の彼女が、4月からは主任保母となって、4月に入ってくる新人5人の指揮を執るように求められたとか。異例の抜擢、などと喜んでいられる状況じゃない、子どもは何百人も預かっており、先輩たちはあまりの労働環境の悪さに逃げ出したわけで、そこに知らずに就職したのはこの人の運の尽きだった。で、1日に十数時間も働き、休みもなく、しょせんはたった3か月前になったばかりの21歳、普通なら見習いもいいところで、すっかり鬱病になってしまったとか。
 自殺したのは退職して、ちょっと病状が軽快してから、というが鬱の場合にはよくあることだ。
 よく、やりがいのある職場は抜擢人事があって若くして権限をもらえるところ、などというが、実体はこのように体のいい便利屋ということも多いわけだ。私など、ちっとも抜擢にも何にもあずからないのは幸せなんだろう。実際、妙に昇進すると責任ばかり押しつけられるといって敬遠する人が最近は多いというが、こういう例を見ればよく分かる。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、昨日はある紳士服店に行った。東京・蔵前にあるAT・Mensというお店である。http://www.atmens.co.jp/
 完全予約制で、私の直前もどこかの社長さんが背広を仕立てていた。私の背広を見て、店主は「これはどちらのお仕立てですか」と問う。「○○さんです」「おいくらぐらいだったでしょうか」「まあ、これで10万ぐらいですか」「ああ、それなら・・・私どものほうがずっといいですよ」と自信たっぷりに仰るがまったくいやみに聞こえない。それもそのはずで、こちらのお店はオーダースーツの全国大会で総理大臣賞とか、海外の業界のコンテストで優勝とか、大変な腕前をお持ちなのである。
 壁の写真を見ると仮縫い中の歴代の顧客がいろいろあるが、スポーツ選手が多い。巨人の藤田さんとか広岡さんとか。またダイエーの中内さんの写真もある。
 それでいて、確かにお安いと評判なのである。
 生地を選んだが、エルメネスト・ゼニアかダンヒルか、と思っていたが、現場で見て断然タリア・デルフィノの生地のつやが素晴らしく、それに決めた。
 ゲージ服を着せてもらって、これに修正を加えていくやり方なのでいわゆるス・ミズーラということだが、その見本服を着せてもらった際に「若干、肩が前肩ですね」という。つまり猫背気味、ということ。私は日常はかなり背筋を伸ばし肩を張っているが、普通にだらっとすると猫背気味のようだ。また若干ゆがみもあるという。そういうことを補正するのがオーダースーツの妙味である。なにしろスーツは肩である。
 とにかく太くて短い体型で、それで既製服などいつも困ってきた、と告げると「やりがいがありますね」と笑う。
 出来上がるのは1か月以上も先だし、仮縫いももう1回ある。が、楽しみである。
 
 


2006年9月04日(月)
妻が見つけてきたサイトでwan life(ワンライフ)というのがある。
 http://www.k4.dion.ne.jp/~wanlife/
 詳しいことは知らないが主に繁殖業者・・・一般にはこれをブリーダーと呼ぶのだろうがやはりブリーダーというのは、その動物を本質的に愛していて、それがたまたま商売になったような人を言うべきで、最近の猫も杓子も、はっきりいってどんな客にも犬猫を売りつけるような悪徳ペットショップと、これが仕入れる安売り用の動物を量産し、市場で売りさばく繁殖業者・・・この人らについてはブリーダーなどと呼ぶべきではなかろう、要するに繁殖業者である。その繁殖業者の中でも、特に状態悪く犬猫の「量産」をしているところから動物を引き取るような活動をしているのだそうである・・・が、いうまでもなく、それには危険が伴う。嫌がらせも多いそうである。攻撃的な書き込みをしつこく掲示板に続ける者もいるというが、だいたいはそれは脅威を感じている同業者であろう。
 たとえば、ある日の記述はこんな具合だ。「糞尿にまみれた「生き地獄」・・・今まで数々の悲惨な現場を目にしてきたが、こんなに酷く切なく悲しい現場は初めてだった。今回レスキューした子達は、こんな環境で生きながらえるなら、いっその事処分場で薬殺された方がよっぽどマシであっただろう。『事故と病のため飼いつづけることができなくなったたブリーダーの犬達を助けてやってほしい・・』というSOSが愛護団体VOVからwan lifeに。1人で100頭飼育していたらしいという情報が。(中略)「一人で100頭もの犬を抱えて繁殖していた」らしい・・・。それだけでも充分悲惨な状況は予測つく。ブリーダー?繁殖屋?・・・きっと、それ以下。100頭のうち、50匹は、ブリーダー仲間が引き取ったとか。じゃ、残されてるのはきっと、状態のいい子を抜き取ったその残りの子達・・この場所で”ブリーダー”をしていたという犬たちの飼い主は、脳腫瘍を患って体調が悪くなった上に交通事故にあい、復帰できる可能性は無いらしい。(中略)薄暗い部屋に足を踏み入れると、犬達が一斉に吠え始める。そして、蒸れてよどんだ空気の中、形容しがたい生臭い悪臭に包まれる・・・いる・・・いる!! 生きた犬達がいっぱいいる! 糞尿まみれ、毛は抜け落ち皮膚はズルズルでも、動いている・・・(中略)目がつぶれ膿が出ている。見えないのに、気配で人を追っている・・・何人の人間がこの子達の子をペットショップで『かわい〜』と喜んで購入したのだろうか・・」というようなことで続きはサイトを見て欲しい。犬猫のその後の状態についてはhttp://blog.livedoor.jp/wanlife3/?blog_id=1895107に詳しいが、要するに目がつぶれ、顎が腐ってなくなってしまっているのが多いようだ。
 そのへんのペットショップで売っている犬猫でも特に格安特価品など、おおむねこんなところでこんな奴隷犬から「量産」されたものである。
 種付け用、出産用の犬猫はじゅうぶん働いた後はもちろん、保健所・管理センターにて廃棄処分される。
 で、そういう犬猫からつくった量産品はそもそもお安いので、買われた後も捨てられやすい。こっちもやがて捕獲されて廃棄処分となりやすい。
 ま、こんなもんが日本の民度というわけだろう。いい勉強になる。
 また、この団体の代表者のブログの最新日付の記述も気になったので引用する。
 「先月末フレンチブルドッグが盗難に遭い、飼い主さんらが必死に探した結果、窃盗犯らしき人を発見。マンションの管理人と共に部屋へ行き、管理人さんらと押し問答している隙に6階のベランダよりワンコを投げ捨ててしまったそうです。勿論即死でした。この女は39歳2児の母親だそうです・・・」要するにこの39歳2児の母は何がしたかったのだろうか。とにかく証拠隠滅したかった、というだけなんだろうが。
 ブランド品が欲しくて万引きしたようなもんだろうが、39歳。私と同じ歳だ。幼稚さにとにかく不愉快になる。
 いまどきとにかくやることが幼稚なやつばかりだ。これだからなんにもしなかった小泉の支持率が50パーセントもあるのだ・・・まあそれは関係ないが(それにしても郵政民営化が実は10年も先の話だと本当にみんな今では理解しているのか)。
 岐阜県庁の裏金造りで、金を燃やしてしまった人というのがいる。証拠隠滅のために燃してしまった、というのだが、その後、どうもこれは嘘だったらしいと言われている。
 犬については・・・投げ捨てても証拠隠滅にはならないが。
 まあ、窃盗罪と器物損壊には問われるだろうしほかに条例違反にもあたるかもしれない。
 しかしそもそも、購入できないような者でマンション暮らしのこの女が、2人のガキをかかえてなお飼育できたものだろうか。もちろん出来はしないから遠からず廃棄しただろう。
 バカめ。身の程知らずめ。いまどきはなんでも身の程知らずばかりだ。


2006年9月03日(日)
 「1945年の終戦直後、日本に進駐した米軍関係者用に作成されたガイドブックが見つかり、2日までに米議会図書館に寄贈された。日本の地理や歴史を詳述。南京虐殺にも言及しているほか、「芸者は売春婦ではない」と説明を加えるなど、日本占領に神経を使っていた当時の雰囲気を伝えている。このガイドブックは連合国軍司令部が「日本案内」と題して作成した。全103ページで表紙に「限定配布」と書かれており、米軍将校が日本について理解を深めるための参考書だったとみられる。占領軍でエコノミストとして働いていた米国人が保有していたが、フロリダ州に住む遺族が見つけ、このほど同図書館に寄贈した」(時事)というのを見かけた。とにかく日本が敗北後の米進駐軍は、相当に事前に準備してきていたのだが、それはひとつには数年の準備期間があったからだろう。イラクに関していえば、アメリカは事前に何の見通しもなかったとしか思えない。それで、「モデルケースはニッポン占領。圧制を受けていた人々は自由を与えられれば必ずよくなる=アメリカの都合のいい国になる」という図式であった。
 毎日、何十人、何百人とテロで死傷している国だが、日本の人口が減っていくなんて心配とは次元が違う、あのままいくと本当にイラクってのは国民がいなくなってしまうかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 ふとテレビで、名古屋の放送局のリポートだが、「名古屋駅前が全国一番となったものがあるんですが、なんだと思いますか」とリポーターが聞いている場面があった。女の子二人連れは「ええ? ビル?」と答え、あるオジサンは「地価ですか」と応えていた。
 正解は放置自転車数の日本一、という不名誉なものなのだが、それはまあよい。私は東海地方出身者として、あの地域の強みといえばリアリズムとけちくささだと思っていた。他の地域がバブリーな幻想に酔いしれている80年代後半もあの地域はクールだった。
 それが、マイクを向けられて、たかが高層ビルが何棟か立っただけで日本一かと仮染めにも思ってみたり、はては地価なんて、しょせん名古屋などどう逆立ちしたって銀座のようになるわけもないのに、当てずっぽうでも口にするのはおこがましいと思う。
 確かに、かつての名古屋駅前を知るものには隔世の感である。目覚しく変化している。
 だが、両親が岐阜・名古屋のにんげんだからこそあえて厳しく言わせて貰うが、井の中の蛙のおごりが出てきたら危険である。しょせん名古屋は名古屋なんだから、というぐらいの超然とした気風を保ってもらいたい。名古屋は日本一だ、などと思っていると転落してしまうと思うぞ。トヨタ自動車にはそのようなおごりはないと信じるが、それだって分からない。
 ◇  ◇  ◇
 最近は冠婚葬祭とくに自分の周辺になく、とつい先日、書いたばかりだが、かつての上司で飲み友達でもあった人が62歳で亡くなった。酒もタバコもやる人だったが、それにしても早い。
 私が夜勤泊まりばかりの不規則な職場に移り、その人も関連会社に出向してそこの社長に就任したりで、以後はあまりお会いすることもなかった。が、癌でしばらく入院し、退院してこられた直後に一度、お会いしたときはすっかり痩せておられて、正直に言って、暗い予感がぬぐえないものがあった。
 どうも不思議と、私の飲み友達だったような人が早く逝くことが多い。その私自身は近頃はほとんど飲まない。寝酒もやらないし、夜勤ばかりだからかえってお付き合いもない。
 最近の若い世代はあまり飲まないと聞くが、しかし飲酒運転など起こすのは若い人が多いのだから、一概には言えない。
 今日も大分県で県職員の43歳の女性が飲酒運転で損壊事故を起こして逃走しているが、どうも世の中、酒などなきゃないでいいいのではないか、と思えてならない。イスラム圏では実際、飲まないわけだが。
 

2006年9月02日(土)
すごい台風が接近しているらしい。「ハリケーンから“変身”した台風12号が太平洋を西北西へ進み、小笠原諸島に接近している。勢力は一時、2005年8月に米国南部に壊滅的な被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」に「匹敵するレベル」(気象庁)にも達した。12号は3日には日本の東端・南鳥島を直撃する可能性が高く、駐在する気象庁職員や自衛隊員ら39人全員が島から脱出する事態になっている。近年、ハリケーンが日付変更線を越えて台風に変わるケースが増加しているが、原因については専門家も首をひねっている。気象庁によると、12号はもともと8月21日、北太平洋の西経側で「ハリケーン」として発生。その後、西へ進み、同27日には日付変更線を越えて東経側に入ってきたため、「台風」となった」(読売)というわけで、なんと元ハリケーンなんだという。
 どこまで来るんだろうか。それに、そんなにすごいもんならもっと騒いでもらわないと困るんだが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 映画「ユナイテッド93」を見てきた。いうまでもなく、2001年9月11日になにが起こったか、を克明に描いたドキュメンタリータッチの映画である。
 あの日、4機の民間航空機がアル・カーイダのメンバーにハイジャックされ、2機が貿易センタービルに、1機がペンタゴン(国防総省)に「命中」したわけだが、ユナイテッド93便だけは目標に到達することなくペンシルバニア州に墜落した。
 後で、この機の犯人の目標はホワイトハウスだったと知れて震撼が走った。
 この映画は、そのユナイテッド93でなにが起こったか、を残された音声記録を中心に再現したものである。もちろん生存者はいないのだが、通信記録はすべて再現されており、大筋でほとんどあの通りのことが起こったのは間違いない。93便だけは離陸が遅くなり、ハイジャック犯の行動も遅れたため、他の3機がどのようになったか、その情報が機内の乗客にも伝わったため、乗客たちが犯人たちに立ち向かう時間の余裕ができた、それが、アル・カーイダからすれば1機だけ不発に終わったといえる、この93便の特徴だった。
 とにかく、事態がどうなるかは分かっている話であり、ストーリーがどうこういっても意味がない。そういう意味でネタバレはない。
 刻々と推移する状況の中で平和ボケしている管制官や軍のオペレーターたちが徐々に混乱に陥っていく。管制官役などには多く本物の本人が出演しているという。また軍も防空司令官だったアーノルド中将以下が協力しているようだ。
 犯人4人の動きも丁寧に追われている。こちらもものすごい緊張感である。
 とにかくドキュメンタリーなので、無駄な演出はまったくない。事実が淡々と描かれていく。
 見終わってとほうもなく疲労した。それしかいいようがない。
 犯人、乗員、乗客一人一人に正確に、その役を演じる役者が当てられている。それぞれの人生があり、ちゃんとそれを踏まえて演出されている。パンフレットを見ると、それぞれがどういう人だったのか、全員のプロフィルが掲載されている。
 右往左往する軍や、決定を下せない大統領以下の無能な政治家について、シニカルな視点があるがそれ以外はまったくよけいな色をつけない描写は見事である。
 グリーングラス監督は「ブラディ・サンディ」(血の日曜日)の映画化で有名になった人であり、ドキュメンタリーの名人である。まさにうってつけの人材だったようだ。
 5年後に、この映画が作れるというのは、アメリカが冷静になったことを意味する。大したものだと素直に思う。
 やはり10年たってしまうと、再現するにしてもリアルタイムの感覚が薄れる。飛行機会社もどんどん倒産したり合併したり、街の雰囲気も変わるし、人々の服装も変わる。
 しかし5年なら。まだ完全に今現在の話としてこの映画を見ることができる。そして、私はまったく2001年の9月に戻って追体験することが出来た。あの日に受けた衝撃をまさに取り戻すことが出来た。
 ちょっとこれを見るのは気が重かったのだが(アメリカではもっとそうだろう)やはり必見だと思う。
 それにしても、テロリスト役を演じた4人はよく引き受けたと思う。勇気が必要だったと思うのだが・・・。彼らの迫真の演技もすごいものだ。
 
 



2006年9月01日(金)
昨日、家人と雑談で「さあて、今日で夏休みは終わりで、明日から子どもたちは学校だなあ。きっと宿題が終わらないで自殺するのとか出てくるだろうなあ」「まさか」「いや、毎年、何人かそういう話が出てくるから。大抵それは宿題そのものが問題と言うより、休み明けそのものが鬱状態を呼んでいるんだと思うけど」などと話した。
 案の定というか、中国新聞によると「一日午前四時五十分ごろ、神戸市須磨区清水台のマンション中庭で、このマンションに住む中学一年の男子生徒(13)が頭から血を流して倒れているのを住人が発見、一一○番した。・・・一日午前一時ごろ、男子生徒が勉強を続けているのを母親が見ていた。両親は「夏休みの宿題が終わらず焦っている様子だった」と話しているという。遺書は見つかっていない。・・・八月二十五日の登校日に夏休みの宿題を提出させたが、できていない生徒は一日に提出するよう指示していたという。神戸市教育委員会の話では、男子生徒は中学でバスケットボール部に所属。夏休み中の部活動には通常通りに参加していたが、八月三十一日の練習は欠席していた」とのことである。
 まず鬱だったのだろう。お気の毒だが・・・。
 私はかつて、学校の夏休みの宿題というのは、おおむね7月中に仕上げてしまうのを通例としていた。私も親もせっかちそのもので、後に仕事を回すのがいやで仕方がなかったのだが、それで、ずっと先の日記まで予定稿で、天気を合わせたり後で小細工が必要となった。
 まあ、とにかくあんなもの早く終わらせるに限ると思う。
 あと、最近は「夏休みの宿題やります」なんて商売はないのかねえ。ネットなんかで出てきそうな気がするが。ずるではあるが、死ぬよりはいいかも・・・。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば、私自身は軽自動車派(ダイハツ・ジーノ)であるが、メルセデス・ベンツの新型ディーゼル車が売り出されたと聞く。なぜか日本じゃ普通車のディーゼルははやっていないが、これは国策なんだろうか。軽油そのものは安いのだが。欧州じゃディーゼルのほうが高級イメージだそうだが。とにかく今時のディーゼルは高性能で、トラックのあの轟音ばかりのエンジンとはぜんぜん違うとか、である。
 なんだかんだと日本じゃメルセデスが相変わらずの人気だが、それで思い出すのがトヨタのレクサス。小笠原流のおもてなし、なんて大いに話題になったけど、あれから1年、とうとうフラグシップ車LSというのが売り出されるに当たって、新聞によってぜんぜん違う報道をしていたのに気付いた。
 毎日新聞は「レクサス不振、1年で予定の半分の1万台しか売れず」であった。一方、読売新聞は「新型レクサスは予定が既に1万台の人気」というものである。
 要は、新型が出るまで待っていた人が1万人ほどいた、だから今までの1年は不振で、それ以後は予約が入っている、という事実があるだけだと思うのだが、それで、レクサスは不人気、と書くか、大人気、と評価するかはそれぞれの見識だろうし、あるいはそれぞれの経済部記者とトヨタ広報の関係なのかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 銀座にて、新しいお店を見つけた。ノブノザというのである。
 いい感じだ。なにがどうというのでない。とにかく高級な鞄やネクタイがけっこうなにげなく置かれていて、どんどん手に触ってください、と書いてあるのがいい。
 店主の人の気さくな感じもいい。実は高級ネクタイに下はジーンズを合わせていたりしてなかなかうまい。
 で、一応、お目当てはメローラ(メロラ)の手袋、であった。これは有名なもので、裏地がなくて手にぴったりフィットする革の手袋であるが、前にどこかの百貨店で「革手袋ってこう、もっとぴったりしないものかしら」と苦情を言っている紳士を見たことがある、それに対して販売員が「こういうものは、こんな感じなんです」と弁解していたが、なにしろきついぐらいのものを選ばないとダメである。それで使っているうちに伸びてくる。はじめからゆるめのものは、いつまでたってもぴったりしない。
 が、今時はまだ新しいものは届いていなくて、昨年の売れ残りの在庫品しかないということだった。で、私の手のサイズに合うというと黒や茶はない、緑しかない、という。げんありしつつも、緑を一応見せてもらった・・・が、これがいいのだ。非常にいい。緑といっても実に微妙な色で、光の当たりによっては黒に見える。かえってフツーの黒よりしゃれているかもしれない。
 というわけで、ほとんど即決で買った。去年の在庫につき1万1000円、これはお安いのである。今年のシーズンは値上がりして2万円近くになりそうだとか。ちょっと前にはこれが8000円とか9000円だったそうだから、年々、高騰している。
 とにかく、ヨーロッパの映画などで手にぴたっとした手袋をはめているが、ああいううやつである。防寒用というより、まあカッコつけ用である。

2006年8月31日(木)
 昨日、楽天証券のことを書いたが、今日はまた楽天のポータルサイトにこんなものが出ている。「8月31日発売(9月7日号)の週刊新潮の記事について 平素は格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。8月31日発行(9月7日号)の週刊新潮に当社に関する記事が掲載されております。しかしながら、同記事は事実に反する一方的なものであり、当社の信用を著しく傷つける内容となっております。従って当社は、新潮社に対して厳重に抗議し記事の撤回と謝罪を求めるとともに、法的措置を講ずる予定でございます。今後とも楽天をご愛顧賜りたく、何卒お願い申し上げます。 2006年8月31日 楽天株式会社」・・・なんだといえば、週刊新潮にTBSの株取得にかかわる三木谷社長らのインサイダー疑惑が取りざたされている、ということのようだ。今日の楽天の株価は急落しているということだ。
 とにかく、急にあれこれ言われるというのは、かなり魚雷、爆弾降り注いでいるということじゃなかろうか。操舵を誤るとあえなく沈没、ですな。
 ◇  ◇  ◇
昨日、読売新聞で、違法金融業者が「読売」という名前で貸金をしていたので訴えた、というような記事を見かけた。実際のところ、新聞社が金融業が出来るようなカネも能力もあるわけがない。
 が、金融庁のサイトなど見ると、オリコフィナンシャルサービス、セゾンクレジット、三菱信販、東京りそなファンド、ニッセイローン・・・などという会社があり、当然みんなよく似た名前の有名会社とは無関係な業者だそうだ。そればかりか金融庁の名をかたった助成金管理組合とか、関東財務局とかいう会社もあるらしい。
 こういう業者に名前をかたられるというのは、有名企業であるという証拠ではあるが。
 ◇  ◇  ◇
 最近は、冠婚葬祭何事も自分の周辺にないのだが、あの黒いフォーマルスーツの上下というのは、葬式用としてはあれでいいけど、結婚式に黒の上下で白いネクタイして行く、というのは実は日本だけの風習なんだという。外国の人は、日本のホテルに来て、黒服の集団を見かけるとマフィアの周回かと思ってぎょっとするそうだ。
 じゃあ、あの黒いダブルのスーツってなんにもならないのか、というとそうでもない。葬式は世界中どこでも基本的にはあれで黒ネクタイでいいんですってね。結婚式でも、午前の式ならあの上着とモーニング用の縞の入ったズボンで礼装扱いになる。これをディレクターズスーツというそうですな。かつて欧米の重役さん用の黒スーツをそう呼んだから、だという。基本的にはだからビジネスウエアなんだけど、ズボンや銀ベスト、ドレッシーな立て襟のシャツなど合わせればモーニングに次ぐ準礼装で通用する。
 ネクタイは白じゃなくて、銀色というのが正しいそうだ。
 この服装は、結婚式でも主賓なんかで呼ばれたときにはちょうどよいそうである。モーニング姿の新郎や仲人よりは略装でないとおかしいから、である。
 ま、そのへんはグローバルスタンダードに合わせる方向に進んでいくんじゃなかろうか。私も次にそういうものに出るときにはちょっと考えるか、などと思っても、もはやほとんど機会がない。
 そうそう。ご存知のことと思うけど、この秋冬は久しぶりに「グレー」が流行るらしい。それにまた、バブル期以来15年ぶりにダブルの背広も復活しそうだとか。
 じゃあ、15年前の背広が残っている人は着られるじゃない。ただ、いわゆるクラシックなものを作っていた人に限るけど。
 

2006年8月30日(水)
 楽天証券がWIKIPEDIA(ネット上の辞書)の、自社に都合の悪い内容を勝手に書き換えたとして、話題になっている。「楽天証券」の項目を見ると「楽天証券 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』移動: ナビゲーション, 検索 楽天証券氏へ、不正な改変はやめてください」などと書いてあって笑える。
 はっきりいってwikiというのは不特定の人の手が入るもので、だからこそ正確だが、だからこそ歪みもする、というまさにネットの世界の特性を最大限生かした辞書です。これのお世話になっていない人なんていないと思う。新聞社の人なんかも、これが出典ですとはいわなくとも、補強材料として大いに使っている人が多いと思う。足で稼げ、なんてオジサンがいくら言ったって、おおむね40以下の人の感覚はすっかり違うから、そのへん。少なくともネタ元として使う分にはこの上なく便利だから。ただ、裏を取るのは常識。それは一般の方だってそのように使っているでしょう。
 で、当然いろいろな人が書いているので、利害関係のかかわる人、インサイダー情報に近いような話題まであったりして、それをまた書き換えようとする人が出てきたりして。今までだっていろいろあると思うのだが、楽天証券さんはなんでまたこうバレバレになって、それがまた大々的に報道されるような下手な真似をしたのか、Wikiなんて知らない人は知らないし、興味のない項目など見ないし、これではよけいな改変をするよりも何万倍も悪い逆宣伝というか、自分の首を絞めたというか。
 昨年の暮れごろまで、ちょっと背伸びして大した人でもないのに六本木ヒルズの住人になり、冷静に見れば手狭で変哲も面白みもないちんけな賃貸マンションに高い金払って、それで「日本で一番かっこいい場所」とかいってご満悦、みたいなエセレブを取り上げる番組があったわけだが、今年の1月以後、急激に詐欺と虚栄のバブリータウンと見なされるようになった。IT企業も正念場で、ヒルズ撤退も相次ぐわけだが、楽天という会社、一応は世間様に通用するような業容を固めた成功例の一つ、のはずである、今までのところは。が、たたけば埃が、という噂は多く、そこへきてこんなダーティーな話題というのはいただけないのである。
 私は、楽天モールでの買い物なんて散々しているし、おそらく楽天ポイントなんて全部溜めていたらものすごい数になっていると思う・・・このところ、数十万円単位のものもかなりネット通販で買いましたから。が、いまだに楽天会員にはなっていない。
 何か今ひとつ信用できないのである。
 ◇  ◇  ◇
 なんか殺伐とした事件がこのところ多い。ことに、親の離婚がらみ、というのが目立つ。こういう風潮では、安易に子供を作るのは危険だ、と思う人が増えるのは致し方あるまい。それにしても、自分の親を殺してやろうと思うなんてのは昔から、誰だって一度や二度は思ってきたわけだが、最近のガキはあっさりやってしまう。馬鹿馬鹿しい。ほんの数年の我慢じゃないか。そのくせ、今度はいい年齢になっても今度は親元から巣立ち出来ないガキばかりなんであって・・・いくらか景気改善を受けて、出生率に横ばいから上昇の動きなんていうけれど、とにかく今時、親になるってことはあまりにリスクが高い。
 実際、わが子に殺されるほどつまらない人生はない。
 ◇  ◇  ◇
 「日本オリンピック委員会(JOC)は30日、2016年夏季五輪の国内候補都市を、東京都とすることを決めた。投票結果は東京都33票、福岡市22票だった。同五輪の招致では、米国、ブラジル、スペイン、インド、イタリアなどの都市がライバルになると見られ、5都市程度に絞られた後、2009年7月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、開催都市を決定する」(読売)のだそうだが、なんだ、決まるのが3年も先の話か。石原知事が、中国との関係を言われたときに「そのころは石原は知事をやっていないから心配要らないと中国に言ってやってくださいよ」と笑わせていたが、実際、あんまり先のことでどうも・・・。ブラジルやインドなんてブリックス系の国に行く可能性は高いように思うが政情の安定とか、他国との関係は確かに重要である。
 そんな先のことより、中国の五輪だよねえ。大変失礼だが、あそこの国民が本当に冷静になって運営できるのかどうか・・・。つまり彼らの「愛国心」とやらでぶち壊しにしないかどうか、気になるところである。あの国が日本の次の首相を気にするのも当然である。とにかくこの時期、何事もこじれないようにしてくれ、というのがあちらの側の祈りに近いのじゃないかと思う。
 五輪と、上海の万博の後、実は中国の時代は急激に去るのじゃないか、という見方はむしろ最近、多い。中国の人件費が急激に上がっているからだ。
 案外に、短い天下で終わるかもしれないとは、私も思う。まだまだ世界中には後発開発国はいくらでもあり、それらの国はつまり潜在的な可能性を持っている、ということだ。

2006年8月29日(火)
某新聞の人生相談コーナーで、千葉県の20代の男性からの投書というのを見かけた。なんでも、彼は彼なりの人生設計があって、働いてこつこつ金を貯め、それを元手に剥製を作る仕事で生計を立てたいのだという・・・そのへん、もちろんソレ相応のプランニングがあるんだろうから文句はないが、剥製で生計が簡単に立つもんかしら、私はそういう業界に詳しくないのでよくわからない。
 まあ、それにしても彼は一応、ニートじゃなくて、今も正業があり、今後もちゃんと自営業者として生きていきたいというまっとうな青年である。
 もんだいは、彼の悩みというのが、友人に親が資産家という者が多く、ニートやフリーターばかりで、見ていてイヤになる、世の中は不公平でまじめに働くのが馬鹿らしくなったというのである。そして、「ある友人などは、親の資産でマンションを買って悠々自適、高価な熱帯魚など買い集めて遊び暮らしている」のだという。
 これ、ひょっとしてなんですけど・・・千葉県の青年、わが浦安市の、それもマンション立ち並ぶ新市街じゃなくて、古くからの地主が多い旧市街の人じゃなかろうか、と思ったんですけど違いますかね。
 もともとはたいした町じゃなかったものが、急速に発展しディズニーランド開園でいつしかブランド都市となり、今も毎年毎年、人口が増加し続けてて、世間がデフレ不況の間もずっとミニバブル、というのがこの町である。そして、私みたいに新住民は家を建てたくともまさに犬小屋並みの面積がやっとであるが、昔から、まあ山本周五郎の小説の頃から栃を持っているような地主は本当に信じられないほどでかい地所を持っている。で、自宅の横にマンションを2,3軒建て、あるいは子供や孫にもマンションを一軒ずつプレゼントし、といったことがもうざらにある。
 はっきりいって、このへんに住んでいると完全に感覚が狂いまっせ、確かに。
 田園調布なんて行っても、まあホント、ぜんぜん豪邸だと思えないのですよ、実際。自分の家の近所に、まあどうみても10億とか20億とかしそうな、豪邸と言うよりももう個人の家じゃなくて公共施設かしら、というようなのがごろごろ立っているもんだから。駐車場にはベンツなんてちゃちなもんじゃなくて、ジャガーなんかが割と当たり前に、無造作に駐車している。それもこの人たち、別に成功者とかセレブとかじゃない、そういう人が自分の甲斐性で豪邸建てるのなんて別に当たり前であって、どうということない。そうじゃなくて生まれつき金持ち。要は一種、ゲンダイの貴族と言って良いでしょう。
 上記の青年も、たまたまこういう町に住んでいて、しかし残念ながら大地主というほどでもない家の子弟だったための悩みだろうと思うのである。
 むろん、日本には古来から続く本当の貴族階層、準貴族階層というのもあるのだが、こういう人らって自分らの社会を持っていて、下々とおつきあいがなく目立たない。
 なんていうんですか、日本ってとっくに階層社会だと私など日々実感している。そしてますます、日本中がこう、生まれつき資産家とそうでない人の差を広げていくのだろうけどすでに、浦安市というのはそういう町であります。
 最近の住民が多い「新浦安」の人たちは知らないんですけどね。彼ら、自分らはけっこういい生活してる、と思っているわけ、かっこいいマンションに住んで。
 が、古い「青べかの街」にこそ、ほんまもんの貴族、有力者がいるんだよね。で、市会議員なんてみんなこのへんから出る。新住民なんて決して当選できない。
 私はたまたま、新住民の街からその旧市街に引っ越したもんで、この街の構図が非常によく見えるわけです。
 これがまた、今後の日本の構図でもあるのか。一等地をおさえている都会の資産家と、持っていない人、それから実情を知らないででかいローンを抱えていて、自分らはけっこうそれなりのつもりになっているけど、実はぜんぜんたいしたことない中間層。
 アメリカのように金持ち町と貧民街、と分かれないのが日本らしいんですが。いやあ、本当に不思議な街です。
 ぜひ、ディズニーランドばかりじゃなく、旧市街をご覧になって下さい。ちょっと一本道を入ると、本当にとんでもない御殿が建っていますよ。そして、その横に今時こんなひどい貸家はないだろう、というほどの安いアパートがあったりする。その店子の家賃で大家は暮らしているわけですが・・・。
 

2006年8月28日(月)
 24時間テレビが今年も放映されたとか・・・しかしそういえばぜんぜん、今年は1秒も見なかったな。もちろんずっと出勤してたし。でも、例年だとちょっとはテレビでやってるのに気づくんだが。で、例のアンガールズのマラソンはどうなったの? まあ、どうでもいいや。
 ◇  ◇  ◇
 読売の記事から「レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師は27日、地元テレビとのインタビューで、イスラエル軍との戦闘の発端となった同軍兵士拉致について、「これほどの規模の戦争になるとは1%も思わなかった。知っていれば、拉致を指示しなかっただろう」と述べ、イスラエルの攻撃が予想を大幅に上回る規模だったことを認めた・・・拉致したイスラエル兵2人の解放に向け「最近、接触が始まった」と述べ、イタリアと国連が仲介を表明したことを明らかにした。レバノン側は、ヒズボラではなく、ベリ国民議会議長が交渉を担当するという」ということで、なんだあ、まだ兵隊さんは拘束されているのか。で、帰国したら英雄扱いにされる? とはいえ、自分らのことで1000人以上も死者が出たのだから、本当は面目ない感じもするのだが、ああいうのは万事が国策なんで。にしても、やはり「あれほど本格的な攻撃をしてくるとは」というのがホンネだとしたら、やっぱりイスラエルの「舐めんじゃねえぞ、ごるぁ」という方針は一定程度、意味があったということになる。ということで、国際政治というのはどこまでも秩序もなければ正義などない力ずくの無法状態なんだ、ということである。イランのような国の論拠もここにあって、それに対して明解で論理的な反論が出来る「大国」はないのが現実である。
 ◇  ◇  ◇
 「徳島県阿南市の那賀川で27日夜、死んでいるのが見つかったアゴヒゲアザラシの「ナカちゃん」は、28日朝、徳島市のとくしま動物園に運ばれた。・・・死がいの状態を確認した同動物園の獣医師によると、ナカちゃんは口から出血し、頭の左半分に大きな傷があり、死後数時間が経過していた。死亡の原因が外傷によるものか、病死した後に傷を受けたのかは特定できていないという」(毎日)・・・テレビでも見たが、左半分の顔がなかったというから、船のスクリューにでも巻き込まれたのだろうか。かなり凄惨な最後となってしまった。
 しかしナカちゃんなどと名前をつけて住民登録までしてみても、野生生物はあくまで野生生物なんだ、という事実を突きつけての最後であったかもしれない。そもそも徳島あたりにはぐれているアザラシというのは不自然であり、なにか問題があったのかも知れず、能天気にアイドル扱いして名物饅頭作って、幼稚な騒ぎ方をしていてよかったのかどうか、疑問が残る。
 だからといって、このように生物というのは死ぬのが宿命なんだから、などともっともらしいことを言い、自分の管理下にあるペットを崖から投げ落として殺して、しかもそれで売文あそばしてお金儲けまでされている自称お偉い作家様のお悟りあそばした例とはまったく違う話だ。彼女には日本中の動物管理センターをまわって殺処分を手伝ってもらいたいと思う。さぞかし歓喜されることだろう。
 ◇  ◇  ◇
 「小泉純一郎首相は28日午前、首相の靖国神社参拝を批判してきた加藤紘一元自民党幹事長の実家や事務所が放火とみられる火災で全焼したことに関連し「暴力で言論を封じることは、決して許されることではない。厳に注意しなければならない」と述べた。15日に事件が発生して以来、この問題に関連して小泉首相が発言したのは初めて」(共同)とまあ、自分の行動が元になっているのでここまで口を閉ざしていたんだろうが、こういうことは早くはっきり態度を示してもらいたいものだ。
 いくらなんでも首相は、この右翼の男にシンパシーはないだろう。だが黙っているとそのように誤解する人も出てくる。
 毎度毎度、国民の側のお人よしとか勝手な誤解を利用してきた首相であるが、最後ぐらいは本音を言って去って言ってもらいたいものだ、絶対に言わないと思うけど。
 つまり「国民って、思ったより馬鹿だし、世論をリードするのって案外、カンタン」ってことだ。

2006年8月27日(日)
 なにしろ交通事故で新聞のトップニュースというのも珍しいことだ。例の福岡市の職員の22歳のヤツが飲酒運転してRV車を橋の上から突き落とし、子供3人が水死、自分は逃走しようとして300メートルほど走り去ろうとした・・・というあのバカの話である。
 そりゃどんなに注意を払っても安全運転しても事故は起こる。人間だもの、である。しかし飲酒運転の結果だとしたら、そんなものは殺人と同じだと前から言われているし、私もそう思う。
 時速80キロで突っ込んだというのだからまったく正体を失っていたのだろう。つまり泥酔していたのだろうな。
 こんなヤツ、これで人生おしまいだろうけれど、死刑でいいのではないか。かけらも酌量してやる必要はない。
 ちなみに犯人は福岡市動物管理センターhttp://wannyan.city.fukuoka.jp/の職員だそうだ。まあ、月曜日には懲戒免職だろうけど。動物管理センターというのは、前にも書いたけど激増している迷い犬や迷い猫を扱う部署である。当然ながら「殺処分」をしているのもこういうところである。http://homepage3.nifty.com/vampire~dreams/animal.htmに詳しいことが書いてある。
 ま、そのことと今回の事故はあまり関係ないとは思うが。
 道交法の改正で罰則が厳しくなってから、去年あたりは悪質犯の数は減っていたのだが、どうしたわけかこのところ、また増加傾向で明らかにたるんできているそうである。
 ちょっと気を抜くと、すぐに楽なほうへ、安易なほうへと流れる人間が必ず社会には一定数いる。邪魔な連中だ。私は左様なひとたちがものすごく嫌いである。
 私が実はちっとも民主主義的な人間でないというのはつまりそういうことだ。この手のたるんだ人間などみんな強制収容所にでもほうりこんでやれたらさぞ愉快だろう。
 せめて中国みたいに公開銃殺刑でもしてはどうか。
 ◇  ◇  ◇
 例のアメリカのハリケーン「カトリーナ」上陸からちょうど1年だそうだ。ネーギンという市長が、復興の遅れを指摘されて「ニューヨークだってテロから5年たっても立ち直っていない。同じことですよ」とコメントしてニューヨーク市民を激怒させているそうだ。
 次元が違う、というか、やってくるのがわかっているハリケーンの被害を減らすこともできず、またその後の復興もぜんぜんできないニューオーリンズと一緒にされるのは心外だというのだが、最初はNYの連中は高飛車だな、といくぶん思ったのだが状況を聞くとやはりネーギンのでたらめぶりはひどいものらしく、引き合いに出されるのは不快なのも分かる。
 なにせ50万人の人口のうち、1年たつのにいまだあの街の人口は半分にもなっていないのである。学校なんかいまだに17%しか再開していない。1年たって、ですよ。
 日本の防災コンサルタントが視察して「本当に1年たってるんですか。ぜんぜん何もできていない。これは途上国よりひどい」と絶句したそうだ。いろいろな発展途上国の悲惨な現場を見た目にも、とてもそれが世界一の先進国を自称する国の状況とは見えなかったそうでして、壊れた家なんかほとんどぜんぜん手付かずのままゴーストタウンとなっている。
 中央政府は12兆円も復興予算を出しているが、いったいそのカネはどこに行ってしまったのやら・・・だそうだ。よく途上国や独裁国家に支援してもなんにもならない、困っている人のところにはいかないから、などというがとんでもない、あの世界に冠たる大アメリカ合衆国、の話である。
 アメリカってこんな国なんだ、と誰よりもアメリカ人を思わせたそうだが、いまだにそのまま、ということだから、結局はいまだに「その程度の国」なんだろう。他国のことを民主的でないの自由がないの、遅れてるのとさんざん非難して来た国だが、日本だってそれでさんざんにイジめられてきましたが、いったい全体・・・。
 ◇  ◇  ◇
 本サイト「スーパーロック詩人・辻元佳史のハードロック・ポエムランド」http://www.tujimoto.jp/1を久しぶりに更新した。今年の春以後の新作詩とエッセイがあわせて12本ほど、新たに収録されている。是非ご覧くださいませ(なにしろ本来は、私の創作活動やライブ、あるいは妻の漫画などを宣伝するためにサイトやブログをやっているのであって、それ以外の要素はたまたまのことなのだ)。
 というわけで、せっかくだし(?)更新した中から一作だけ掲げておくのであります。ヘンな作品ですな我ながら。


「鉄道会社は何故に」

私らの頭の中のセーフティーレバーはセキュリティーは
不審者を締め出して 私らの
私らの安心
は 最後の破裂は 明日の 天気予報 お買い得情報は
ふふ
安心なんてあるのか
ぶうぶう警報が鳴っている
鉄道会社は何故
一分一秒の安心を量り売りしてくれないのか
次世代自動列車制御装置を導入するのに
私は何万回この線を行ったりきたりして
定期券を更新すればいいのか

靴を踏まないでくれ
隣の男の爪が長く伸びて私のわき腹を刺す
みんなの吐き出す昏いオーラが大気に満ち満ちて
居場所がない どこにも
どこもかしこも敵だらけ
鉄道会社は何故
空気も量り売りしてくれないのか

格差はあってもいいんです
金持ちがいて貧乏人がいて
それでいんです
と言ってのける
恵まれたお家柄の政治家の皆さんが出てくるたびに
テレビの電源を消すのが面倒くさい
が 見たくもないのに
ワンセグだかなんだか
そこいら中で見せられて
鉄道会社は何故
逃げ場所を量り売りしてくれない

敵に囲まれて 敵しかいないのが世界
と知って
たちすくむ者をまた人は馬鹿と呼び非難する

つまらない話を大変だ大変だと
騒ぎ立てるヤツが私の気分を台無しにする
邪魔をする
この一仕事が終わればまた次の仕事が山となっている
私はできることならもうほっといて欲しい
鉄道会社は何故
静けさを安らかな無為を量り売りしてくれない

みんながいい と思うものを喜ぶ人と
みんながいい と思うからそれを喜ばない人と
これは事実上 別の惑星の住人である
鉄道会社は何故
人種別にコンパートメントを編成してくれない

大金持ちたちは頑丈な棺桶のようなものに居住して
一歩も外に出なくなればいい 移動もなにも棺桶ごとする
貧民は砂利を運ぶダンプの荷台に積み込まれけっこうな
未来に向かう 決算報告はネットでのみ開示される

媚びて揉み手をして愛想笑いして
付け届けに宴席接待 それでなんとかなった時代の
なんともかんとも楽で楽で楽だったこと
思わせぶりな言葉をひけらかせば学者だとか詩人だとか
それで喜ばれた時代の
なんともかんとも楽で楽で楽で楽であったこと

まだだろうか
何故に鉄道会社は他人の人生の時間を奪って
しかも金まで取ろうとする

正確に 正確でなければならない
高速に 高速でなければならない
何故に なければならない
何故か なければならない
ならない くれない 
何故か ならない
私らは 私の人生は
どうにも なんとも
ならない

何故か。


2006年8月26日(土)
どうしたものか、ゆうべ映画「スーパーマン・リターンズ」を見てきてしまった。あんまりこういった「またまた昔のアメコミ・ヒーローがリターンかよ」的な映画には、ま、わざわざ見なくてもいいな、と思いがちな自分なんですが、予告編がなかなか美しかったし、新スーパーマン役者(ブランドン・ラウス)がなかなかに決まっているし、それに「ゲド戦記」を見たときに妻が、なんとなくスーパーマンのパンフレットもついで買いしていたため、それを眺めていて「見てみるか」という話になった。
 で、感想をいえば、実に美しい映画である。名作といっていいのじゃないか。CGが素晴らしいのは当たりまえ。にしても、21世紀の最新技術のスーパーマンはやはり作る価値があったと思う。
 ただ、必ずこういう旧シリーズから引き継いでいる作品については、旧作への思い入れとか過剰な期待から、辛い感想を抱くオールドファンがおいでになることは承知している。ことにクリストファー・リーブ夫妻のその後の悲劇的な人生を知る人には、新シリーズの再開は心なしか寂しいものだろう。あるいはまた、それは「デスノート」でも「ゲド戦記」でも、著名な原作がある映画のある場合も同様。そういうものをはねのけた稀有な例は「ロード・オブ・ザ・リング」ぐらいか。あれは原作のファンこそが欣喜雀躍できたすごい映画化であった。
 それはともかく、今回のリターンズである。クリストファー・リーブの出た4部作のうち評判の悪かった後ろの2作をなかったことにして(!)、第2作でクリプトン星の流刑囚の生き残りと戦った後、クリプトン星の跡地(というのか)まで見に行って、そして5年ぶりに地球に帰ってきたスーパーマン、なのである。
 で、旧作では一時的に超人を「引退」し、ロイス・レインとの短い蜜月を楽しんだ時期があったわけだが・・・コミックでも、「ヤング・スーパーマン」でもこの二人はちゃんと結ばれているし、やっぱり他人のままじゃなくてその・・・まあそのへんはネタバレの恐れアリなので控える。
 とにかく深い仲にまでなったのだが、チャラにして5年の月日が流れ・・・戻ってきてみるとなんと、ロイスには子どもがおり、セレブの婚約者までいるわけだ。地球時間の5年は相当に長いのである。とはいっても旧作との間の18年よりは短いが。
 しかもロイスは今やピュリツァー賞を受ける花形記者となっており、その受賞記事の題名は「なぜスーパーマンは必要ないか?」である。スーパーマン不在の5年は彼女も、世相もすっかり変えていたのであった・・・。
 という逆風の中で、けなげにもボランティア活動・・・彼の活躍というのは要するにボランティアですからね、を再開する姿は実に感動的で、墜落寸前のジェット機を支えて満場の野球場に着地し、観衆から大喝采を浴びるリターンぶりはまことに感動的である。
 また後半の人間ドラマの部分・・・まあ三角関係めいた要素も出てくるわけだし、人によってはそういうメロドラマが邪魔だという人もいるのかもしれないが、私は絶対に不可欠だと思う。能力もルックスも完璧な超人でありながらクリプトナイトとロイス・レインには致命的に弱い。それでこそ彼は魅力的なわけだから。
 ケイト・ボスワース演じるロイス・レインが知的で強い女だけど、また苦悩するという役柄を魅力的に演じています。この人、あのオーランド・ブルームの私生活での恋人なんですって。さすがにどんな映画キャスティングよりも美男美女カップル。
 そして、オスカー俳優のケビン・スペイシー演じるレックス・ルーサー。とことん悪知恵の天才ながらどこかしらコミカル、ちょっとカリスマは感じないがスーパーマンの好敵手はなんといってもレックス・ルーサーじゃないと。アメリカの科学者の中には「スーパーマンなんて興味ない。強いのが当たり前。レックス・ルーサーこそすごいよ。平凡なただの地球人が知力だけで超人と立ち向かうんだから」という人が多いと聞く。確かに今回も非凡な作戦であるし、終盤は徹底的にスーパーマンを追いつめていく。
 が、やはりジーン・ハックマンは駄目だったのかしら、という声もあるようだ。まあそのへんはいろいろあるのだろう。というのも今作の目玉の一つが、スーパーマンのクリプトン星の実父の役として、旧作のマーロン・ブランドが復活しているのである。もちろんブランドは故人なのでCG再現なのだが、あれは見所である。
 そういえば、三角関係のラブロマンスとして見れば、恋敵となるロイス・レインの婚約者。この人はけっこう、最後まで見ているととても気の毒。とつぜん、スーパーマンがリターンしていちばん苦悩させられているのはロイスよりこの人だよなあ。一方のロイスはちょっと、強い女というより、冷静に見るとかなり悪い女、なのかも・・・。まあ、5年も留守にしたヤツがいちばん悪いんだが。
 ところで、誰しも思うことだがなんでクラーク・ケントのあの変装がスーパーマンだとばれないのだろうか。これはしかし、ロード・オブ・ザ・リングの第一作を見て「なんで指輪をあんなに抜きにくそうにしているのだろう、太ったのかしら」なんて書いていた無知な解説者と同様に、原作ファンからすれば万死に値するような(!)妄言であるそうだ。
 あの日ごろかけているメガネには催眠光線を出す仕掛けもあり、見る人を混乱させているのだそうだ。だからどう見ても本人にしか見えないケントが見破られないのだそうだ。
 スーパーマンの衣装、あれもなんで超高速で宇宙まで飛んで大丈夫なのか。だってあれはケントのママが作ってくれたごくフツーの衣装のはず・・・が、あれもスーパーマンが身につけることで保護されているようである。また一説では、クリプトン星から赤子とともに到来した産着の生地を使用しているのだともいう。当然、ママは地球の縫い針では穴があけられないので、息子に光線であなをあけてもらったのだとか。まあ、とにかく、長い歴史を誇るシリーズにつき、そんな馬鹿な、と思いがちなこともけっこう、理屈(あるいは屁理屈)は完備しているそうなので、詳しくない人はいちいち野暮なつっこみは入れない方がいいらしい・・・。
 それにしてもスーパーマンの誕生は1938年。ドイツ軍がポーランド侵攻して第二次大戦が始まる前年である。彼と、それから友人(なんですってね)のバットマンも必死に色々と人類を導こうと努力奮闘しているが、レックス・ルーサーみたいな悪人は止められても、戦争や紛争、テロは抑止できないみたいであるな。
 今回のレックス・ルーサーのせりふで傑作だったのが、今回の作戦というのはアメリカ大陸を沈めて代わりにクリプトナイトと水晶を使った新大陸を作ろうという企てなんですが、それでロイス・レインが「そんなことして、ほかの国が黙ってないでしょう」と言う、すると「そうかね? すぐに海辺の素敵な土地が欲しいと言ってくるさ。高い値段でね」とせせら笑うのである。やはり911以後のアメリカ人は少し大人になったか、スーパーマンを描いても能天気なスーパーヒーロー=正義の味方=アメリカの理想という図にはできなかったみたいである。そういう意味で、そういう図式なら見たくない、という人はむしろ安心してご覧いただきたい。本当に、苦悩多くどこか哀愁漂う今回のスーパーマンなのである。
 らしくない、という人もいるのだと思うが、私はこのいくらか湿っぽいスーパーマンはすごく好きだ。けっこう本当に感動しました。じっと苦悩し、耐える、超人らしからぬ彼の姿は美しいです。

2006年8月25日(金)
うちの妻から聞いた話だが、作家の坂東真砂子というのがにわかに注目されているそうだ。といっても作品が素晴らしい、というようなことで注目されてる訳じゃない。実際、以前は「死国」とかホラー系でかなり名を上げて、その後は推理小説家なんか書いてるんだっけか、とにかく私とし
ては最近、あまり話題も聞かないので引退して印税生活してるんだろう、と思っていた。 
 で、なんだと思えばこういうこと。中日新聞によると「「子猫殺し」で日経に抗議殺到 坂東真砂子さんエッセー」という見出しで「仏領タヒチ島在住の直木賞作家の坂東真砂子さん(48)が、自分の飼い猫には避妊手術をせず、生まれた子猫を「殺している」と日本経済新聞に書いたエッセーに対し、「不快だ」などの抗議が相次いでいることが分かった。エッセーは18日付夕刊に「子猫殺し」と題して掲載。雌猫3匹を飼っており、子猫が生まれるたびに家の隣のがけに放り投げていると告白。「人は他の生き物に対して、避妊手術を行う権利などない」「自分の育ててきた猫の『生』の充実を選び、社会に対する責任として子殺しを選択した」などと記した。日本経済新聞社には、24日正午までに500通を超える電子メールと約90件の電話があり、多くは「理解に苦しむ」などの批判や抗議だったという。坂東さんは同社を通じ「タヒチ島に住み始めて8年。人も動物も含めた意味で『生』、ひいては『死』を深く考えるようになった。動物にとって生きるとはなにかという姿勢から、私の考えを表明した」とコメント・・・」というようなことだそうだ。まあ、動物好きな人から抗議殺到は当然だが、私みたいなひねくれ者でも思うことがあるよなあ。つまり「け、ちょっと売れたからって流行作家風情がくだらないこと書いてるんじゃないよ」である。少々、常軌を逸した人がなるのが作家という仕事であり、そういう意味では私だっていくらかずれたところが私を文筆活動させて居るんだが、それにしてもしょせん流行小説などは世間の大衆に支持されて成り立つのであり、その印税でタヒチなどで遊んで暮らせるセンセイなのであるから、ばかげたことや常軌を逸したことはすべからく作品として流通し、人々を喜ばせるべきである。よしんば、猫殺しをしたとしても、それをエッセイで無防備に発表するなんて気が緩んだか、傲慢になっているとしか思えない。
 しょせん、作家など世の中に必要な仕事ではないのである。どっちかというと本来、人目を忍んでやることである。
 恵まれたヒットをえて恵まれた生活を送っているのなら、黙っておとなしくしていればよい。そもそもあんたなどに革命的な芸術家としてぼろぼろになって破滅する覚悟はあるまい? 
 猫に避妊する権利など人間にはない、というのは正論には違いない。しかし結果として子供を産んだ物を人間が始末する権利も人間などにはあるまい。
 要するに、そんなに達観しているなら当然ながら、動物など飼うべきではないのである。じつに次元が低くてばかげている。はじめから飼わなければすむことである。
 やれ生だの死だのと特権的なすごい悟りでも開いたつもりで言っているようだが、そりゃ日本でいえば三島由紀夫さんだとかがこんなことをいっても様になるかも知れない。坂東真砂子風情じゃなんの説得力がある? どうもほかにも「人間だって中絶なんて権利はない」と書いているようである。つまり子殺しをしろということだろう。ま、奇をてらってるんだろうが、その割には独がないというか・・・スウィフトのように、貧民は堕胎しないで子どもを喰いましょう、なんて書いた方がなんぼか文学として気が利いている。要は、こんな陳腐で馬鹿な告白は気が利いていないのだよ、坂東センセイ。
 人の死を扱うような、そんなおどろおどろしさを売り物にしたような小説でさんざん商売したので感覚がおかしくなっているんだろう。しかしエッセイとして、肉声で書いてしまった以上、責任は取るべきである。
 

2006年8月24日(木)
 いやあ、なんだか今頃になってとってもなんかみっともないんだけど(?)、そろそろ見ておかねば、本当に見逃すなあ・・・と思って見てまいりました「ゲド戦記」。なんだかものすごい悪評の嵐で、まあその中には多く宮崎駿の子息に対するやっかみ嫉妬のたぐいもあるとは思いつつ、「わかりにくい」「おどろおどろしい」「原作無視にもほどがある」といった評価はそれ相応の根拠があるだろうし、と思い、「とても楽しみに」見に行きました。それにしてもなんてへそ曲がりなんだろう自分。大好評だったら絶対に見なかった・・・。
 で、感想なんですが「おお、素直な作りで面白いじゃないか」(笑)です。名作とか完成度が高いとは言わないが、決して悪い映画じゃない。というかなかなかいいじゃないか。
 まあこれだけ期待してないと、すごく面白いと感じるもので(!)やっぱり映画など、あんまり期待しないことが大事なんですね。
 やはり宮崎ブランドが重すぎたんでしょう、あと原作も。
 アーシュラ・ル・グィンが異例のコメントを出しております。興味がある方は既にごらんになっているでしょう。
 http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorResponse
 ま、これまで言われてきたアニメ化までの経緯とか、率直な感想「これはいい映画です、私の作品とは別物ですけど」がすべてを語っているような気が致します。
 なんというか、原作の人物とか設定を使ったコミケの同人本とか外伝みたいな映画、ということでしょうかね、これは。そういえば英語タイトルはテールズ・フロム・ジ・アースシーつまり外伝のようなニュアンスだったですが。
 もうなんか、ゲド戦記のあちこちの話を強引に2時間の映画にまとめた感じですが、私の感じではまとめ方は悪くはないのじゃないか、と。なかなかいろんなエッセンスをたくみに短い話に入れてますよね。原作を知る人はそう思うのでは。
 基本的には原作第3巻「さいはての島」でゲドと王子アレンが、へブナーのクモと対決するという筋です。本来は、そのアレンことレバンネンこそがヘブナーの王座につくべき人と見出される、まあ「王の帰還」がテーマなんですけど。が、今回はなにしろアレンは父王殺しの謀反人というオリジナル設定ですから。
 悪役の「へブナーのクモ」については、田中裕子が声やってるし、なんか「クモ様」なんて言われてオリジナルキャラの魔女かと思い、誰のことかわからなかった。あれは若きころのハイタカ=ゲドが、自分の恩師を呼び出して召し使っているけしからん死霊召還師のへブナーのクモをば、黄泉の国に連れて行って懲らしめる、という話ですよね。それで、その後、研鑽を重ねて、さいはての島で生死両界の扉を開けてしまって・・・原作じゃあけてしまっていて閉められないはす。それをゲドが閉めることで力を使い果たしてしまう。別にクモとの対決が問題じゃないんだけど・・・あのへんはなんか原作者は不満みたい。それにずっと後の巻のテルー実は竜王の娘、という設定もネタばらししてる内容だし(?)。
 でまあ、性別的にはクモは男なんだよね、だから。ぜんぜんそう見えなかったが。
 しかし、今回の映画じゃなんだか、その戦いですっかり老いぼれてしまったゲドがリタイアし、第2巻のときに「真の名」を取り戻して助けてやった地下墓所の巫女テナーと結婚して、顔に火傷のある娘テルーを養女にしているという4巻目以後の話がごっちゃに。だからゲド戦記と言いつつ案外にゲドが活躍しません。すでにリタイアした感じ。
 王子アレン・・・後のレバンネン王とテルーの恋愛話みたいな展開は原作となんら関係なくて、まあむしろいつもの宮崎アニメの王道、コナンとかラピュタ、もののけ、ですよね、男の子が女の子を守って成長していくという。あのパターンにあてはめたらとても作りやすくなったな、ということでしょう。
 だから活劇としてはむしろ宮崎ファンは安心して見られるかもしれない。が、原作ファンは納得しないというのも仕方ないですな。
 そういえば、原作のあちこちつぎはぎの最たるところは、王子アレンが自分の「影」と戦うテーマ。あれは第1巻でゲドが遭遇する問題ですね。原作者ル・グィンが「あの王子が父親殺しをするシーンは理解できない」とコメントしていますが、それはその通り。話として面白くしたかったんだろうが、もともと無理に入れた話なんで収まらないのは当然か。
 私は原作じゃ、本当は師匠のオジオン、親友カラスノエンドウが好きなんですが。かけらも出てきません。残念です。
 結局は原作の設定を借りた冒険活劇なんで、だとしたらあまり原作の世界観を無理になんとか説明しようとしないで、もっとテンポよく描いてしまったほうがかえってよかったかもしれません。
 にしましても、なかなか面白いじゃありませんか、別物としてみれば。それが率直な感想です。が、原作にほぼ忠実に映画化されたほかのファンタジー「ロード・オブ・ザ・リング」や「ナルニア年代記」それに「ハリー・ポッター」と比較すると、原作は不幸ということは言えるかもしれませんが。なんで第3巻を基本テーマにしたか、第1巻から3、4作と原作どおり映画化というのは出来ないのか、というのはそのとおり、と思います。
 これについては、第1巻からやると、才能に恵まれた少年が魔法学校に入って・・・という設定では、心無い馬鹿な人から「ハリー・ポッターみたい」と言われかねないので避けたのだ、という話がありますが、それはさもありなん。実際、「ロード・オブ・ザ・リング」の第1作を見て「ジャクソン監督はRPGが好きなんだろう、ドラクエのぱくりかと思った」などと書いている人を実際に見たので(苦笑)・・・無知な人も映画は見ますからねえ、どっちが先でどっちがパクリをしたかも知らない無防備な人はいますから。でも馬鹿や無知な人も見るのが映画という大衆芸術の怖さ。ミュージカルとして絶賛の嵐を浴びた「オペラ座の怪人」だって、映画にしたとたんに「なんであの映画は歌ばかりなんだ」(・・・コメント不可)と文句言う人が現れるわけで。ま、濃いファンの中だけで大切にしたいものはむやみに映画にしないほうがいい、ということですけどね。
 うん、ということで、酷評を気にして二の足踏んでいる方は見て損はないです。ただ設定はあの映画だけ見てもぜんぜん判らないと思います。原作なり、その解説本あるいはサイトをあわせてご覧になることをお薦めします。原作の熱いファンの方は、距離を置けないほど熱い方は見ないほうが無難、かもしれません。
 私も原作のファンとして「ロード・オブ・ザ・リング」の第1巻を見るにはほぼ1年半待ちました。がっかりするのが怖かったからです。あちらは期待以上に立派な映画化でしたけれど、こちらは「映画化」と思うと駄目だと思いますので。が、よってたかって酷評するような映画でもないように思いました。十分に面白いですよ。

2006年8月23日(水)
 何があったのか知らないが・・・。「東京都新宿区西新宿の京王百貨店新宿店で、健康器具を売っていた女性販売員(55)が、商品にクレームをつけた客の女に傘でいきなり右目を突かれ、大けがを負っていたことが23日、分かった。・・・13日午後3時ごろ、同店7階催事場で健康器具販売会社の小型酸素濃縮器を体験した女が、「具合が悪くなった」と言って再び売り場を訪れ、応対した同社の女性販売員の右目を、持っていた傘の先端でいきなり突いたという。女は20−30歳くらいで、身長150−155センチ。細身で長髪・・・」(時事通信)とのことですが、13日の話で10日たって出てきたというのは、犯人が特定できないからでしょうかね。その前にどんなやりとりがあったかわからないのだが、とにかく販売員の方はお気の毒である。
 報道によると、静岡県磐田市にある会社の製造した「酸素濃縮器」とのことだが、それはこれのことだろうか。「平成14年10月07日ニチメン株式会社 小型酸素濃縮器「オキシークール32」発売の件」という過去のプレスリリーズがネット上で見つかった。
 「ニチメン株式会社・・・は、ヤマハ発動機株式会社の子会社であるワイムアップ株式会社(本社:静岡県磐田市)とともに、小型酸素濃縮器「オキシークール32“OXYCOOL32”」を開発、本年11月下旬より発売を開始いたします。ユーザーは、ホテルの客室、スポーツジム、エステサロン、一般家庭、企業の福利厚生施設などを対象とし、全国の家電量販店、デパートなどを中心に販売、TVショッピング、カタログ通販なども検討中です。製造はワイムアップ株式会社の提携工場(国内)にて行ないます。価格はオープン価格ながら13万円を切る価格を予定しており、11月下旬からの発売開始予定。年間10万台を目標とします」ということで、一台13万円ほどするらしいから、出来心で買うにはちょっとお高い。こないだの早実・斎藤投手が愛用している酸素タンクはでかいものだが、ベンチで使っていた酸素吸入器なんてのはこの手のものだろう。
 が、事件については本当のところあまりこの製品とかかわりがある話でもなく、ただ誰でもいいからひどいことをしてみたかった、というだけなのかもしれない。はっきりいって、気が確かな犯人じゃない可能性が高い。
 とにかく他人が信じられない。恐ろしい世の中である。私など、バミューダパンツにTシャツでサンダル履いた親子などがのろのろ赤信号になっているのに横断歩道を歩いているような様を見るたび、どうしてあんなに無邪気で無防備でいられるのか不思議に思われる。実際、いらいらしたらひき殺してやろうか、という気が自分などでもする。
 私などは街を歩いていても、いつでも危険人物が周囲にいないか気になって仕方がない。金属製のアタッシェなど持ち歩くようになったのも、半分は護身のためである。とにかく手ぶらでは身を守る選択肢が一つ減る。それなりの大きさのアタッシェやトランクなら一撃はかわせる。ことにリモワやハリバートンなら、相手をぶちのめせば強力な武器になる。ナイロン製のビジネスバッグでは用を足さない(防刃繊維なら別だが)。
 それにしても、接客係であれば、ことにクレームを装って近づいてきた相手に強面で警戒する訳にはいくまい。売り場にはカメラはあるだろうが、万引きは考えていても、こういう暴行を想定してはいないだろう。
 ◇  ◇  ◇
 惑星騒ぎは困った話になっているみたいだ。「国際天文学連合(IAU)は22日、先に公表した太陽系惑星を12個にする原案を修正し、今度は従来の9個から冥王星を除いた8個に削減して採決する方向で最終調整に入った」(時事)というので、ええええ、惑星12個もヘンな話だったが、今度は冥王星がなくなっちゃうの? そんなあ、という感じ。学者が勝手にいろいろ決めてしまうわけだが、なんだか。ガミラス軍はわざわざ冥王星は有名だからという理由で前線基地を作ってくれたんだよ(?)。宇宙戦艦ヤマトとしても、そんな有象無象の天体なら寄っていかなくてもよかったわけだし・・・。ごめんねシュルツ司令。なぜあなたやガンツ副官だけはガミラス人なのに顔色が青くなかったんですか(異民族?)。
 ◇  ◇  ◇
 学者が勝手にいろいろ決めて・・・というのでは、昨日の読売の夕刊で、邪馬台国はやっぱりヤマト、じゃなくて大和地方にあったのでは、という話が載っていた。箸墓古墳だかマキムク遺跡だかどんどん出てきて、まあここ10年ぐらいは大方の意見は邪馬台国=大和説に傾いているみたいで、九州の学者なんかが必死に防戦に努めているようですが。とにかく、大和朝廷の時代以前に、奈良県にすでに強大な国家があったことは確かであって、問題はそれがあの擬似倭人伝の邪馬台国なのかどうか、そしてそれが、後の大和朝廷つまり今の日本国家につながるかどうか、ということになりつつあるらしい(まあこれはデリケートは話なんで詳しい人にはいろいろ異論あるのだろうが)。
 私は、子供のころから個人的には大和説だったらいいな、と思っていた。アマテラスというのはつまり卑弥呼なんじゃないか、と。今の日本国の起源は邪馬台国なんではないか、と。ヤマタイがヤマト国家になるほうが自然だし。しかしこれも、九州にあった邪馬台国が後にヤマト地方に東遷したのだ、という説もあったはずだし。これもまたありそうな話。
 まあとにかく、要するに日本国家というのはおおむね邪馬台国の時代に成立していたのじゃなかろうか、ということである。国際的に見て、起源は少しでも古いほうが有利である。アメリカ人がたった一つ、どうしても他国にコンプレックスを持つのは自国の歴史のなさである。こればかりはどうにもならない。中国人がなんとしても鼻っ柱が高い理由の一つはやはり起源の古さである。実際、三国志の時代が卑弥呼の時代なんだと思うとどうも愕然とする。私も小学生のころにそれにはじめて気付いたときにはショックだった。
 が、少なくとも邪馬台国のころには今の日本国の原型があったとなると少しは気分が違うので、ここの数世紀の差は大きい。三内丸山文明だとか、いろいろもっと縄文の昔から日本には立派な国家らしきものがあったのだ、という研究の根底にもそのへんの他国と張り合う気分がないといったら嘘になるだろうと思う。
 かつてゴッドハンド氏のまやかしにも学界がだまされ、マスコミも飛びついたのはなぜかといえば、これもどこかに「日本だって昔から進んでいたんだ」という部分があったのは間違いない。まあそこにもいくらかのナショナリズムがあるんだろうと思う。
 学校や会社でも、創立100周年とか120周年とかいうとき、ちょっとでも業界他社や周辺の他の学校より古いことを望むものである。創立何百年にもなるヨーロッパの大学にコンプレックスを抱いたりする。
 日本も、たとえば足利学校がそのまま残っていて足利大学とか、あちこちのお寺の学坊が大学となって名門になっていてくれれば良かったのだが、明治時代にいったん全部断ち切ってしまって、そこで新しく出来た学校が一番古い、という話に自分でしてしまったのが悪いのでどうにもならない。企業も、三越みたいに創業は江戸時代です、というのが近代企業になっていてくれれば日本全体ももっと威張れたんだが、結局は歴史がある国のわりに、なんでもせいぜい150年ぐらいしか歴史がない、アメリカ並みの軽薄な国のような感じになってしまっている。日本がどうしても軽薄なのも、要は明治維新と敗戦で二度も歴史が切れてしまっているからだが、今更どうにもならないことか・・・。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば同じ新聞で、名古屋城の本丸御殿を再建するという話を聞いた。それは素晴らしいことだ。熊本城の再建は進んでいるが、名古屋城も、なにしろ名古屋の景気がいい今こそやって欲しいと思っていた。ちゃんとそういう話になっていたんですね。
 安土城、大坂城、江戸城を再建してくれないものだろうか、と私はそれは切に思う。日本に来る外国人だってそれは本当に喜んでくれるだろう。江戸城については、皇居のある部分は幕府時代の江戸城の中枢部とは重ならないので、無理な話ではあるまい。
 いや、こういうものというのは無駄な話なのかというとさにあらず、なのである。歴史的建造物が少ないから、日本というのは観光地として人気が出ないのである。それは国の格付けにもかかわってくるんですよ。せっかく長いこと、ニホンというのをやっているのに、ぜんぜん自分らでそれを生かそうという発想がないから、国際舞台でもなめられるのは事実じゃないですか。これは右翼的な国粋的な発想じゃなくて、もっと前向きな話で言うのです。
 
 

2006年8月22日(火)
ま、フツーなら「なにを子どもの部活なんかに・・・」と言いそうな私であるが、早実に活躍にはひとかたならず喜んでいる。自分は早実のOBではなくて早大の出であるから、本当は関係ないのだが、やはり「紺碧の空」など歌われると、自分が学生時分に心が一瞬、引き戻される。愛校精神が強いとかOB活動や稲門会にかかわっているとかいうことは全くないのだが、不思議なものだ。
 というか、早実の応援委員会は早大の応援部の指導を受けている、というのは昔から有名な話。ああやって見ていても校歌以外はまったく早大式である。変な流行歌だの延々とやるしかない高校も多いし、中にはかつての軍歌や寮歌をそのまま応援歌にしている学校すらあるが・・・ああいう学校の教師は、それの本歌が軍歌だってことを知らないんだろう。そのくせ、卒業式では君が代反対なんて言ってるんだろ、ものを知らないというのは哀しいことである。
 そういうのに比べると、組織的かつ整然とシステム完備された早実のスタンドは応援ぶりも際だっていた。やはり親会社、というか親大学があるところは違う。
 ところで、その早実だが、毎日新聞によると「荒木大輔投手(現・西武コーチ)を擁して3年連続出場を果たした80〜82年の後は、甲子園に出ることさえ難しい時代が続いた。・・・「(荒木投手のいた)あのころ早大に進学できたのが30%ぐらい。その後、入学試験も難しくなり、野球で優秀な選手が早大入学するハードルが高くなった」と佐々木慎一野球部長は振り返る。しかし、02年から男女共学となり、その後早大に100%の生徒が進学できるようになると、全国から勉強も野球もできる中学生が早稲田実を受験するようになってきた」とのことで、へええ、今じゃ早実って100%早大に行けるようになったのか。知らなかった。私が大学にいた85〜89年ごろもまだ、早実についてはその3割ほどの枠のままだった。それに「推薦入試の狭き門から入ってきた選手が、優勝の原動力となったことは間違いない。スポーツ、文化分野を合わせて推薦枠は50人。このうち、野球部の枠は明確には規定されていないが、毎年9人が通例だ」ということで、ああ、今では一芸入試で入ってくる人もいるのね。そりゃ本体のほうが広末○○とか入れてるんだから・・・。しかし、ほかの私立高校みたいに、やたらにスポーツエリートしかし名前しか書けないぐらい脳みそ筋肉でも可、という話じゃないらしい。「優勝の立役者となった斎藤佑樹投手は群馬県の出身。中学時代は軟式の経験しかないが、和泉実監督は初めて見たとき、「この選手を必ず甲子園のマウンドに立たさなければと思った」というほどの逸材だった」というのだから、人物本位で監督の目利きで入れているのは立派である。さらに、「推薦組だけではない。3番を打つ檜垣皓次朗一塁手や7番の内藤浩嵩二塁手は難しい一般入試のハードルを越えてきた選手。佐々木部長は「一を聞いて十を知る選手が多い」と話し、和泉監督も「野球の本質を突き詰めて考えるように指導している」と強調する」ということで、要するに学力の高い選手が多いので結果として野球も強い、ということ。
 実際の所、あるレベル以上となると、技術や体力だけじゃなく知能も高くないと通用しないというのは容易に理解できる。基礎訓練の錬度では世界最強だった旧日本陸軍が、参謀将校の知力が著しく低いために惨敗した、というようなことである。
 アメリカなんかの一流アスリートはみんな、選手である上に実業家とか弁護士とか医者だったりする。スポーツ馬鹿、なんてものは日本の体育会の問題である。なにか旧陸軍みたいな体質がどうしても抜けない。そこから抜け出そうとしてみれば、今度は妙にストリート系ちんぴらノリだったり、軽薄なタレントノリになってしまう。
 優れた人材がたまたまスポーツもやっている、というのが一番望ましいこと。これを機に日本の学生野球界も大いに方向転換してもらいたいと思う。私のスポーツ嫌い、というのもひとつにはあの体育会ノリ、声がでかくて思いやりがなく、体力がない者や運動神経のない者を馬鹿にし、仲間で徒党を組む・・・あのイメージのせいである。
 このへんをなくしてくれれば、私ももう少しスポーツ全般に寛容になるであろう。
 とにかく、そんな能書きはともかく、すごい試合だった。苫小牧についても、いろいろ逆風が吹く中でここまできて、あの試合をやったのは驚くべき事で、見事である。
 ああいうレベルの甲子園なら、まあ月に1回ぐらいやってくれてもいいな(それじゃ職業野球か)。本当に、これほど甲子園が話題になるなんて桑田清原以来か。
 私みたいな者がこれだけ書くんだから稀有なことである・・・。

2006年8月21日(月)
今日からお仕事、という方も多いでしょうか・・・どうかご自愛を。けっこうストレスになりますよね、久しぶりの仕事って。
 それにしても・・・早実も苫小牧も、応援団は急にもう一泊することになって焦ったそうですね。いやあ、これほどすごい試合を体験できるなら万難を排する気にもなるだろう。どんなひねくれ者でも、これはすごいことになった、と思わずにはいられない。
 それにしても、両校とも優勝、というわけにはいかないんですかね。
今回の大会、なんだかばんばん打っておもしろいと言えばおもしろいけど、大味といえば大味、という声もあったが、最後は投手戦。はて? 風向きが変わったのか、それとも噂にきく年内で使用禁止となる在庫整理の「高反発球」の在庫がついに切れたか?
 これで案外に今日の再試合は・・・いや、予想はやめましょう。どんな結末となってもどちらもすごかった、それでいいのでしょう。
 ◇  ◇  ◇
 共同電でみょうな話が出てきていますが、なんでも1950年ごろ、河辺虎四郎中将とか宇垣一成大将が中心となり「新日本軍」再編という動きがあったとか。一応、GHQもその研究は了承していて、決して絵空事ではなかった、GHQさえOKすればあり得た話だと言います。西ドイツ軍の再軍備などは、旧ドイツ軍の幹部も加わっているので、確かに手っ取り早いしあり得た話でしょう。その新日本軍の総司令官に宇垣、参謀総長に河辺、という案で、新日本軍は@毒ガス隊A機関銃隊B戦車隊・・・という編成を構想していた、というのだがなんですかねその「毒ガス隊」いうのは? やっぱり旧日本軍関係者は毒ガス戦に自信があったのか。731部隊の資料も米軍に非常に重宝されたそうだし。この構想がうまくいっていたら、ずいぶんと自衛隊というのも雰囲気が違っていて、いまだに日本刀でもぶら下げていたかもしれない。服部卓四郎大佐などの再軍備構想は前から知られていたが、宇垣新日本軍というのは実際のところ初耳。
 宇垣さんは旧陸軍のなかではまあ、非常にまともな人だったのは間違いない。彼が西園寺侯の希望通りに首相になれればその後の歴史も変わっていた、と言われるほど。しかしマッカーサーかそれとも吉田茂か、どっちかが旧軍将官の復権を好まなかったので頓挫したということだそうです。
 ま、ドイツ国防軍の場合は、最後にはヒトラーに刃向かったわけですが、日本軍はいってみれば、全部がSSみたいなもんだったから、一緒にはできないというのは当然か。
 米公文書館の機密指定が解除されて出てきた新事実、と共同は言っております。
 とにかく、日本の「再軍備」については、アメリカが日本の武装解除をしておきながら、ある時期からはアメリカのほうがやいのやいの圧力かけて求めてきております。勝手なもんです。池田ロバートソン会談なんてのを見れば、とにかく「もっと増やせ、もっと大きな兵力にしろ」と向こうが言うのを必死で日本がかわす、ということを繰り返していた。
 少なくともあのころの日本政府は、宗主国のアメリカ相手でもそれなりに筋を通しているように見受けます。最近の日本政府のほうがよほど腰抜けです。
 
 

2006年8月20日(日)
 早稲田実業って、今は国分寺にあるんだっけ・・・。なんかピンとこないですが。それに今や男女共学ですっけ。これもピンとこないですが。どうも私は、早稲田大学のすぐ隣にあった男子校の早実しかイメージにないもので。というか、校内に入ったのは一回だけ。早大の入試会場が自分の場合、早実の校舎だったんですが。何十万人も受験するので大学の校舎じゃ足りなかったわけですね。
 で、とにかく印象的には、大学の同級生なんかに早実から上がってきた人が何人かおりましたが、なにしろみんなより3年も早く早稲田の街を熟知しているので、はっきりいって田舎から出てきたものは彼らにコンプレックスを感じたデスね。が、これも系列高校がある大学ではよくあることですが、勉強そのものはエスカレーター組はあんまり熱心じゃない人が多かった。まあ高校入試で燃え尽きちゃっている人も多いわけで。
 あと、そういえば大学時代にバイトで教えていた学習塾で、早実進学を熱望している子供がいたので、大学の生協でWASEDAネーム入りのシャープペンシルを買ってプレゼントしてやったらいたく感激していた。以後、受験勉強はそのシャープで通していたみたい。でもって、その人、ちゃんと合格したものだった。
 ということで、とにかく決勝まで来るとはまったく思わなかった。もちろん今日はテレビでは一切見ません。怖いので。前にも書いたが、けっこうテレビでスポーツ中継を見ていると応援しているほうが負けることが多いんですよ。
 無論、苫小牧と早実とどっちが贔屓ですか、なんてのは自分の場合は言うまでもないのですが、まあいつもいつも同じ学校じゃなくても・・・。
 ◇  ◇  ◇
 夏のネタ涸れはむしろ、お盆を過ぎた今週のほうが当たっているようである。首相も夏休みは今週とっている。
 ロシアの警備艇に銃撃された漁船の話だが、今までこのことは別に触れなかったけど、まあはっきり言ってあんまりこう・・・悪いんだけど、こっちの漁船がどういう行動してたのか分からないので、なんか抗議したとか、けしからんとか言ってもぴんとこないのは事実であります。国境線でトラブルが起きるのは当たり前で、撃沈されたり撃墜されたりするのも当たり前のこと、というのが国際的には常識だろうから。あのへんは日本のものだ、というのはこっちだけの理屈だし。
 靖国問題でもふれてきましたが、しょせんこちらは敗戦国、60年以上たっても敗戦国、というのもひとつの事実であって、こっちは忘れていても勝った側は決して忘れてくれない、というのもまた大きな事実であります。これまた、次の戦争でも起こって国境線が変わらない限り北方領土が帰ってくるなんてことはありえないでしょう。外交努力でなんとかなるなんてまあ、考えがたい。
 ◇  ◇  ◇
 UOMOという雑誌があります。これとGOODS PRESSというのと、年に2回しか出ないLASTというのが私の「物関係」の愛読雑誌なんですが(ゲームとか軍事に関する愛読書はまたもちろん別にある)、とくのそのUOMOっていうのは、こないだ編集長の問題でちょっと話題になったLEONの対抗誌ということで、LEON好きの人には評判が悪いようだが、私は好きです。はっきりいってあまり主張のある雑誌は好きじゃない。カタログでいいんです。ちょい不良、なんていうのも興味なし。私はちょい不良じゃない、たんなる悪人です。
 それで、今挙げた3誌はかなりカタログ風の雑誌ですので、よけいなことを考える必要がなくて好きです。「高いものばかりでけしからん」なんて声もあるようだが別に世の中こんなものもあるのか、という話であってなんでそこで劣等感にさいなまれなきゃならないのか理解に苦しむ。実際、よほどの金持ちだって1000万円も2000万円もする腕時計なんて日常的に使っているわけがなく、そんな道楽的なものを気にする必要もない。
 それで、思い出しましたが服飾評論家の落合正勝氏が今月7日に肺がんで亡くなっていたんですってね。私は気がつかなかった。後で調べると各新聞の亡者記事に載っていた。まだ61歳。クールビズなんてものが流行って気落ちしたのかしら・・・。もっともクールビズで間違いなくドレスシャツの種類は増えたしニットタイも復活した。ただのノーネクタイという流れは1年で終わって、ポケットチーフも流行っているから悪いことばかりじゃない。
 どうも昨年あたりから、落合氏が自分の持ち物をチャリティー・オークションにかけたりしているのでなんだか形見分けみたいだな、と思っていた。予感があったのかもしれないが。
 「クラシコ・イタリア礼賛」なんて代表作があるが読んだことはない。こrっを機械に読んでみようかな。とにかく今のところは「男の服装術」というのを一冊だけ持っている。どうもイタリア、とつくものはあまり興味がない。はっきり言ってあまり信頼がないのである。一読非常に面白かった。味のある文章だし、断定調も別に評論なんてそんなものである。はっきりいってちょっと「?」なところもあるがそんなのは人それぞれで判断すべきこと、服飾なんてそもそもそんなものである。
 が、とにかくけっこうこの人については賛否両論・毀誉褒貶があったようだが、その中の代表的な批判に「高いものばかり勧める」「イタリアの服飾業界の手先」なんてのがあったわけだ。一人こういうことを言い出すとまたよってたかってみんなで批判する。
 「落合氏の勧めるものをそろえると上から下まで100万円もかかる」なんて書いている人を見たことがあるが、「つまらない安物を毎年買っているより、100万円かけていいものを一式そろえれば一生もちますよ」というのがむしろ落合さんなんかの言いたいことと思うから、意味のない批判であろう。
 それに、スーツ一着で100万とか、時計一個で300万とかいうのが高級品の相場であるから、そんなレベルのものをむやみに勧めていないだけ良心的だとむしろ思う。
 逆に言うと、身につけるものなんてせいぜい、そのぐらいの値段なのである。イメルダ・マルコスみたいに靴だけで300足も買えば億単位になるが、普通の人ならせいぜい10足ぐらいだろう。それで単価10万なら投資額は100万円。そのぐらいの投資はしてはどうか、というのが落合さんや、それより前の石津謙介さんのような人のいいたいことだったと思う。
 これらの人のいいたいことの基本に、日本の男性は実はカジュアルは似合わない、というのがあると思う。まことに同感である。カジュアルにくだけるほど、体型が重要になる。びしっとしたスーツほどどんな体型の人でもそれなりに見える。
 厚いとか寒いとか、そんなことで騒いでいる者はその時点でそのレベルの人だ、ということだろうと理解する。
 ドイツ将校は最前線でもやせ我慢して、ヘルメットを極力かぶらないでカッコイイ将校帽とぴかぴかした将校服で押し通した。
 ダンディズムというのは実用にあらず、そして男のおしゃれというのは基本的に将校のおしゃれである、という点で落合さんの前掲書などは非常に納得できた。まことに同感だ。
 

2006年8月19日(土)
そういえば、影が薄いですかね、最近。「タレントのCM出演に関する面白いデータが発表された。圧倒的な人気を誇っていた松浦亜弥(20)の露出が激減しているのだ。先週、ビデオリサーチが関東、名古屋、関西の3地区で定期的に調査している「タレント別テレビCM量(出稿秒数)」(06年1〜6月)の結果を発表した。それによると、関東地区では1位が仲間由紀恵、2位、地井武男、3位、星野仙一の順。昨年の同時期は1位、坂口憲二、2位、上戸彩、3位、松浦亜弥だから、メンバーがガラッと入れ替わったことになる。
とくに凋落が激しいのは、上戸彩とともに“ダブルアヤ”と呼ばれ、“CM女王”の名をほしいままにした松浦だ。・・・現在、あややは6社のCMに出演中。ピーク時は8社だったからCM本数が大幅に減少したわけではない。・・・「あややは以前はセイコーエプソンのCMに出演していたけど、今は長澤まさみにチェンジしている。長澤や沢尻エリカといったフレッシュなタレントと比べてインパクトが弱くなっているからでしょう。CM以外でも他のタレントに比べてドラマの出演が少ないので視聴者の印象が薄くなっているようです」(事情通)あややはいま右肩下がり時代を迎えている」(ゲンダイネット)というのだけどなんですか、「事情通」というのは? 普通のテレビや新聞じゃ「事情通」って情報提供者はないけど。広告代理店関係者、かねえ要するに。
 結局、ダブルアヤも共に成人を迎えたわりにイメージは10代のころのまま。大人の魅力で売るほどの成熟はなく、本当の子供には初々しさでかなわず、食傷された部分もあって今中途半端な時期、なんでしょう。
 松浦亜弥というのは、なんかそれなりの歌唱力、それなりの演技力、なにをやってもそれなりに器用で同じ時代の若手タレントの中じゃ光っていたわけだが、実はルックスというのは冷静に見れば地味、顔立ちだけで言えばメリハリのないのっぺり顔、なにかこれは特に、というほどの強い個性はなく、久米宏の番組がこけたのがひとつの分岐点であったか。あれが成功していれば知的文化人風のポジションに推しあがることも出来たかもしれない。紅茶のCMなんか見てるとジャニス・ジョプリンのムーブ・オーバーをカバーした本人の歌声なんだが、妙に正確に音程とっているだけのお嬢様芸だし、力むと演歌みたいなこぶしが入って聞き苦しい。なにか解釈が違うというか、ああいう曲は適度な誇りっぽさ、お下品さ、不良くささが必要なのであるが。その他、なんか年の割には幼い役というか、かわいいというより幼稚、という感じが出始めているのは、やはり本人が中途半端なところにあるからだろう。特にかつては歌がうまい、歌唱力が抜群と言われてその気にもなったろうしそういう位置にあったのだが、専門に歌一筋の人とは比べようもない。アイドルの中じゃうまい、というだけのことだった。もし歌で行くなら相当に鍛える必要があるのじゃなかろうか。実は上戸彩のほうも似たような感じかもしれない。
 男性だと30代で仕事がなくなる人が多いというが、若いうちにデビューした女性タレントは20代前半が苦しいのでしょうかね。歌手とか女優とかいう専門職の人ならむしろ20代が勝負どころだろうけど。
 ◇  ◇  ◇
 日経ネットから「15日の小泉純一郎首相の靖国神社参拝から最初の週末を迎えた中国では、19日午前10時(日本時間同11時)現在、反日デモが発生したとの情報はない。・・・深セン市福田区の繁華街で19、20の両日、デモ情報があるとして日本人に注意を呼び掛けたが、同地でもデモは起きていない。・・・日本大使館によると北京や上海、重慶市など他地域でもデモ発生の情報は入っていない」ということだ。当然だろうね。ああいうデモも国家管理に入っちゃったから。
 昨年の4月はなんであんなに大騒ぎになっていたかというと、とにかく日本の国連安保理入りというのが現実味を帯びた話になっていたから、です。
 中国の戦略から言えば、とにかく騒ぎを起こして日本の徳のなさをアピールすることは意味があった。そして、日本の国力なんてこれから徐々に低下するだろうし、米政権だってそのうち交代してアジア外交も変わってくるだろうから(・・・)今の時期に安保理入りさせなければ大丈夫、10年、20年たてば日本なんてぜんぜん目立たない片田舎のつまらない国に成り下がるであろう、そしてそのあたりで圧力を加えて、米中のいずれにくみするか旗幟を鮮明にさせればよい・・・そんなようなことか。とにかくあちらの国の戦略眼が長期的で、目先のこともよく見えていない日本とは大違いなのは確かである。
 とにかく国際的に見ればあちらは戦勝国で安保理常任理事国しかも国力急上昇中、こちらは敗戦国で格下しかも国力低下中、というのは小揺るぎもしていない。中国が「だってお前らと対等なわけないだろ、認めろよ少しは」と言いたがるのは、客観的にいえば言い返しようがない現実である。総理大臣が神社にこそこそ参拝するぐらいなことでウサ晴らししているような幼稚な発想では、とてもまともにやっていけない。
 前から言っているが、先になにかやらかした者は結局、頭を下げるしかない。真珠湾で手を出した日本をアメリカは傘にかかっていじめることができた。相手に失策をさせてそれを非難する、という順序に常に持っていかないと外交は100戦100敗である。
 中国がなにかしでかすのをじっと待ち、あるいはしでかすように仕向け、チャンスと見たらここぞとばかりに靖国神社にでもどこにでも参拝して嫌がらせをしてやればいいのである。年に1回だの8月15日だのとこだわることは結局はこちらの損である。
 こちらの都合で自由にカードを切れるようにしておくことが外交のコツ、と愚考する。

2006年8月18日(金)
どっちかというとあまり物事に感心せず斜に構えたようなことばかり言う自分であるが、先日、うちの奥さんがふとネットで遊んでいて探してきた「やわらか戦車」http://anime.livedoor.com/theater/2.html
にはいたく感心した。要するに「兵器のくせに妙に柔らかい臆病者で役立たずの戦車」というのが登場していろいろナンセンスな展開になる、というもの。それがなんとなく、軍隊まがいだが役に立つのかおぼつかない某国の○衛隊のようにも思えて・・・と思ったら、本当にやわらか戦車隊が間違ってサモワに行くつもりでサマワに行ってしまう、という回まであって、まあブラックである。音楽も自作自演だそうだが非常に耳に付く。なにしろ作者は大変な才人と思われた・・・。
 と、すでにこれは大変に人気になっているそうですね。ITメディアニュースでこんな記事を見かけたわけですが「ライブドアネットアニメで生まれた初めてのメジャーコンテンツが「やわらか戦車」です。・・・公開以来、口コミで人気が上昇し、関連グッズを作りたいとの依頼が30社程度から寄せられました。10月には相当な数のキャラクターグッズが市場に出回る予定です。やわらか戦車がヒットした理由は、作品の質の高さももちろんですが、作品の展開と同時にブログやSNSで口コミが発生し、それが作品にフィードバックされたことも、大きな要因です。やわらか戦車は、第2話を公開したあたりで、作者による公式ブログをスタートさせました。アニメの作者が自らブログを書き、ユーザーから寄せられるコメントに対して、ブログ上で回答し、あるいはそれを作品に反映させるという、従来のアニメでは考えられない流れで、ブログへのコメントは多いときで400件を超えました。これは、ユーザーと“マッシュアップ”したアニメーションだった、と言えるでしょう。ブログは今でもたくさんのユーザーからコメントが付きますし、「mixi」のやわらか戦車コミュニティーには約5000人が参加しています。新作が配信されるたびに、これらのロイヤリティーの高い人達から口コミ的にやわらか戦車の存在が伝達されて続けています」のだそうである。
 で、私はそんなロイヤリティーの高い人たち、じゃないわけですが、これは面白いですのでご紹介する次第である。作者は、どうも軍事・兵器にかなり詳しい上にジミ・ヘンドリクスのような70年代のロックにも詳しいようである、内容から見て。つまり、けっこう世代的には近い方なのかもしれない。
 なにしろ10月には関連グッズが出るそうである。どこまで評判になるか・・・ただ、けっこう社会風刺的にも読めてしまう内容につき、どーんと社会現象、とまでは行かないかもしれないが、今後も大人のマニア受けは大いにしそうな気がします。
 ◇  ◇  ◇
 「ゲド戦記」が早くもバテ気味で、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」が映画興収首位を奪還したという話を聞いた。なるほどなるほど。こりゃあ、ゲドも見ておいた方がよいかもしれない。あれだけ口コミ情報が辛いとねえ・・・。口コミでヒットするものもあれば口コミでダメになるものもあり。最初にどっと宣伝で打ち出すことは出来ますが、映画なんてまあ誰でも面白いか面白くないか判断できますから。
 問題は政治や経済の議論でもさいきんは、面白いとか面白くないとかいう口コミの次元で動いていく感じにあるんですが、まあそれはさておきです。


2006年8月17日(木)
えええええええ。驚いた。犯人は「別にいたんんだねえ」(?)。
 「米コロラド州ボールダーで1996年12月、ジョンベネ・ラムジーちゃん(当時6歳)が自宅地下から遺体で見つかった事件で、米当局は16日、容疑者の男がタイのバンコクで逮捕されたことを明らかにした。CNNテレビなどが報じた。男は別の性的暴行事件で同日逮捕されたが、ジョンベネちゃん殺害についても、当事者しか知り得ない情報を証言したという。コロラド州の連邦地検は捜査官をタイに派遣し、男を米国に移送する」(時事)ですって。
 もう10年前の事件になるのか。10代の方などもう記憶にないかもしれない。しかしこの件は全米騒然、日本でも大きな話題となった。当時はやっていたミステリードラマ「ツインピークス」より面白いなどといわれましたね。
 そして当時は、はっきり言って両親があやしい、とさんざん言われたものだった。というのもジョンベネットちゃんというのは、まだ6歳なのにすっかり出来上がった子供タレントというやつで、いろいろなオーディションで授賞している有名な子供だったし、そのうえ性的虐待の痕跡まであった、などと報道されたからである。
 が、この一報を見る限り性的犯罪の常習者みたいなやつがほかにいた、ということのようでありますね。じゃあ、やっぱりラムジー家の人らはまったくお気の毒だったというわけですな。 
 ◇  ◇  ◇
 しかしうるせえなあ。この国にはとやかく言われたくないんだよ。「北朝鮮は16日、小泉首相の靖国神社参拝を「大いなる侮辱」と強く非難した。国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は「(今回の)現実によって、日本が地域の平和維持にとってがんのような存在であることが明白に証明される」と指摘。さらに、小泉首相の靖国参拝は「日本の侵略の犠牲となったアジアの人々に対する大いなる侮辱かつ挑戦である」と述べた」(ロイター)って、ガンみたいな国だなどとガンそのものの国に言われたくはないもんである。
 報道各社のアンケートで、日本の一般の人の意見として、「今回の小泉さんの参拝はあれでよかったが、次の首相は参拝しないほうが良い」という意見が多いようだ。私もその点では全く同感だ。このところ、彼の参拝について、軽薄な心情とか精神性、信念のなさに対して疑義をはさむことを縷々のべてきたけれども、それはそれとして、小泉さんはもう5回も参拝しており、今年だけ行かないとなればまさに外圧に屈した形となるのも事実で、まあはっきりいって行かない訳にはいかなかった、というのはその通りだろう。
 そもそも日本国首相が自国の領土で、しかも他国と係争中ではない、というか首都の中のなにしろ自分の住んでいる公邸からほんの10分のところにある施設に立ち入れないというのはなんとしても問題である。
 安倍さんは、こういう馬鹿正直に「毎年必ず1回参拝します」などという安易で自分の行動を狭めるような公約をせず、慎重にやってもらいたいし、「個人の心の問題」などとごまかすことなく、筋の通った結論を出して欲しいと思う。早い話が天皇の親拝ができるような決着をしない限り、何度も書いたけれど首相ごとき平民・臣民が参拝したってあの神社の本質から言ったら意味がないのである。はっきり言ってあそこは「平和を祈願する」場所では絶対にない。そう思って参拝を支持している国民はアホである。
 二等兵でも天皇陛下に頭を下げてもらえる、というのがあの施設の本来の意味合いであるのであって、それ以外には平和を祈るとか、不戦を誓うなどという戦後の発想はもともとあの神社にはない。だからそういうことをしたければ別に施設を作るべき、というのも理屈として正しいと思う。
 天皇は人間宣言して、戦前と立場が変わったが、靖国神社は国家管理から一宗教法人になっただけで靖国神社のままである。戦後、急に不戦の祈りの場になったわけではない。そこを最近の日本人はまったく混同していると思う。
 次期首相はたとえば、とりあえず参拝でなくて、毎日のように「散歩」「見学」に行ってはどうか。そういわれて文句を言える国はないはずである。「参拝をしたとかしないとか、いちいち申し上げるつもりはない」と言い張るのもまた一方である。
 




2006年8月16日(水)
 私は、はっきり申し上げて、今現在の自分の政治的立場はきわめてニュートラルなものだと思っている。本当にニュートラルだ。どういう立場の人の意見を見聞きしても、そんなに青筋立てて論難しようなどとは思わない。
 靖国問題、なんてのもそうである。戦友や夫、父親などを前提に語る人たちの意見は無視しがたいと思うし、若い人らの無邪気な、それこそワールドカップの応援でもしているかのような単純な反中国感情とかその裏返しのナショナリズム、その結果としての小泉さんへの拍手なんてのも、まあそのぐらいの世代の人なんてそんなものだろう、と思う。
 一方でなにがなんでも許しがたい、という立場の人もまた理解できる。というのも今の日本というのは全面降伏と軍事裁判による裁きをへることによって国際社会に復帰した前科者国家なのであり、それは60年やそこらの時間の経過では決して色褪せていない、というのも事実だからである。「いつまでそんなことにこだわらねばならないのか」という人の気持ちはよく分かるが、はっきりいって一度、汚名を着たら何百年でもたたるのがグローバルスタンダードである。根本的には第三次大戦でも起き、その結果として日本が戦勝国側の重要な一国である、ということでもない限り、完全な精算は実は出来なかろうと私などは思う。
 今の政府が、意図的にアメリカに擦り寄るのも、もしその国家戦略が、近い将来の戦争でアメリカの同盟国として勝ち馬にのり、まさに新しい世界の国家体制での安保理常任理事国となるための布石だということなら、そのようにもし明言するなら、私は理屈として大いに理解できる。
 実際、前の大戦でも常任理事国となれたのは5か国だけ、である。戦勝国側、連合国側に参加した国は最終的には、日本とドイツを除く当時の世界中のほとんどの国だったというのに、である。重要な同盟国、でないとその席は獲得できないのである。W杯のシード国のようなものだ。それも一度確定すると次のW杯・・・世界戦争まで動かない。
 イラク討伐や、あるいは今後にあるかもしれないブッシュ言うところの「悪の枢軸」国はいずれも大関・横綱ではないため、それらを攻めても世界大戦とは言わない。どんなに参加国が多くても、である。相手が、アメリカと、それに対抗可能な横綱級の大国である場合においてはじめて、戦争の世界のW杯開催となるのである・・・。
 話が脱線したが、そういうわけで、靖国問題というのも単に懐古趣味で言うような話では恐らくなく、国家戦略として語られるべきものなのだが、また一方できわめて精神的なものでもあるのは自明で、昨日も書いたが小泉さんというのは明らかにそのへん、ただの無教養な若者のような感度しか持たない、とても60過ぎた初老の人間とは思えない。まあプレスリーの屋敷やサミットでのはしゃぎぶりで、さすがのブッシュも皮肉を言ってからかっていたが、なにしろあまりの馬鹿なので気付かない。
 小泉という人の最大の強みは、年齢相応の教養がなくことを難しく考えることができないために、かえってどんなことも平気で出来ることにある。
 実際のところ、あの人のやることは靖国参拝でも郵政などの改革でも、世間の人は随分と甘い親御さんのようなもので、いつもオール1だった子供がせいぜい2か3の通信簿をもってきたので「純一郎ちゃんはよくやったわね」と言って褒めているようなものである。
 私など理想が高いので、靖国にしても、改革にしても、とてもではないがそのオール2とかせいぜい3とかの通信簿で納得できない。それでいい、といってしまったら、純一郎ちゃんはそれ以上、努力しなくなってしまう(そして実際、純一郎ちゃんは何事も、6年も時間があったのに根本的なことはしないで、ちょっとずつ手をつけただけで、後は安倍次期首相に投げ出してしまっている)。
 森前首相が「神の国」発言をしたときに大いに国民は怒ったが、今になってみるとなんで怒ったのだろうか? だって森さんは「日本は天皇中心の神の国です」と言ったのだが、それは神皇正統記を引用しているのは明白である。つまり彼などは本心の本気なのである。こういう人が、なにがどうあっても、暗殺されたって靖国に行きたいといえば、私は理解できる。しかし小泉という人は、毎年毎年、ヘンな日に行ったり元旦に行ったり、小銭を投げ込んでみたり・・・あんなことだからかえって周辺国からなめられるのだ。石原慎太郎なら毎年平気で15日に参拝したし、そのうえに国際的に筋の通る話さえ、アメリカあたりと語らってちゃんとつけたかもしれない。
 あんな通信簿2の心のこもらない参拝を評価したり擁護したりしているから、日本の右翼は駄目なんじゃないかと心底思う。もっと理想を高く持ってはどうか。そもそも総理大臣なんて臣民の代表など行っても行かなくてもいいことぐらい自明ではないか。
 昭和天皇の大御心というのが、戦犯一般というよりは、ことに松岡、白鳥のような三国同盟を推進した外交官を嫌ってのことだというのはほとんど確実である。
 そこらを解決しない限り、親拝問題についてはまったく意味がない、ということなのだからそういう参拝推進の議論をする人はすればよろしいのである。ことに右翼的心情を持つという人は昨日も書いたが承詔必勤ということをもっとまじめに考えるべきだ。なんでもいいから総理大臣が参拝していれば英霊が喜ぶなんて、そんな単純な話とはどうしても思われない。
 そう思っていたら、また加藤紘一さんの実家を焼いた自称・右翼という人が出てきたが、たいへんに申し訳ないけど、なんでやるなら加藤さんを狙わないのかね? 老親がいる実家など焼き討ちして、卑怯とは思わないのか。卑怯者は憂国の志士を気取ることは許されない。そんなのはテロリストのやり方でしょう。また、テロだというなら、ちっとはアル・カーイダでも見習って世間にインパクトあるやり方を研究してはどうかね、皮肉で言わせて貰うけど。
 それに割腹したのなら、ちゃんと死になさい。それに主張があるならちゃんと筋の通ったメッセージを残しなさい。
 そんなことだから、右翼的な心情の人間は誤解されるんだよ。やるならちゃんとやれよ。
 アメリカが一応、日本を同盟国と見なしているのは、一応は議会制民主主義国だからである。古臭い右翼的なテロリズムやクーデターなど今時の国家観とは合致しない。そういう意味でも話にならない。
 私は、はっきりいって昭和時代まではほとんど右翼的な人間だったと言っていい。中学時代、軍歴のある校長がいて、自分は教育勅語をいまだ覚えている、などと自慢げにいうので(しかし今思うととんでもない学校だった)私が彼の前で勅語を途中まで暗誦してやったらいたく驚き、ご満悦だった。「・・・教育の淵源実にまたここに存す」あたりまで、やってやったのである。
 が、ご大葬があり、平成となって私は社会に出た。そしてバブルに踊らされ、それから腐っていく日本社会を眺めていて、はっきりいってそれまで日本という国はユニークで、うちに強さを秘めた、美しい精神性のある国だと思っていたものが、醜くて主体性がなく、守銭奴で臆病で、強いものに弱く、軽薄で教養のない、ぺらぺらした国になっていくのを見るにつけ、どんどん日本人であることへの自信がなくなってきた。
 そのとどめが小泉純一郎という史上最も教養のない軽薄な首相の登場であり、それを支持する国民というやからの姿である。
 小泉というのは言って見れば頭の悪いヒトラーである。詐欺師としての才能はほとんど互角に近いが、頭が悪いために(幸いにして)たとえば6年で憲法改正して再軍備、隣国に攻め込むなんてことはしなかったし、出来なかった。そのときどきで空騒ぎを起こして楽しんでいただけである。
 そして今の日本は、もはや実力のないアメリカ下層社会のようなものである。本当にまもなく世界中からぜんぜん相手にされなくなりそうである。つまり重要じゃないのだ。アメリカから見ても、重要なのは占領地である基地である。日本そのものではない。
 政権が変わったら、中国との直談判が激しくなる可能性も高い。そうなったら日本なんて本当になんの意味合いもない国になる。すでにアル・カーイダが爆弾を仕掛けてもくれない国であり、また2年も自衛隊が駐屯してもまともな襲撃らしい襲撃もしてもらえない国である。あれで何事もなくてよかった、無事で運が良かった、と思うのは考え違いだ。要するにテロリストからもまったく無視された、というのが実態なのではないか。
 実力のない国が、靖国神社に行こうが、なにをしようが、文句を言ってもらえるうちが実は花かもしれない。文句も言われなくなったら本当におしまいである。
 今時の、おそらくせいぜい対中国への反感だけで勇ましいことを言い立てたがる若い人らはそのへんの危機感を持っていっているのか、しばしば大いに疑問に感じる。
 

2006年8月15日(火)
さあて、今日は午前10時から閣議で、正午からは武道館で戦没者追悼式ですので、小泉さんの総理としての最後の靖国参拝は、その前か、合間か。15日には、日本軍コスプレした人たちもどっと繰り出して大にぎわいですから、まあそんなに手間は取らないでさっさとやることだろう。
 「そもそも首相が靖国参拝を公約したのは、信念からじゃない。01年の総裁選で、遺族会副会長の尾辻秀久参院議員から「終戦記念日に靖国参拝をしていただけるなら、遺族会はあなたを応援します」と持ちかけられたからだ。選挙のために靖国を利用しただけの話。こんな男の身勝手な行動が国をおかしくしているのだから、最悪である」(ゲンダイネット)というのが、自分などが彼の参拝を気に入らない最大の理由である。簡単に言って、ぜんぜん真心がこもっていないのだよ。本気の本気で、彼が筋金入りの愛国者でもって、思想的確信をもってやっているなら私はある意味、応援はしないが理解はしたと思うが、ご存じのように、最初の頃は「みんな死んだら靖国神社に行って仏様になるんだよ」なんてことを平気で言ってしまうほど、宗教にも哲学にも民族精神にも疎い知能指数の低い男のことである。あんな者に形ばかりの参拝してもらって戦死者はうれしいんだか、というのが率直な感じである。
 実際、筋金入りの人なら、たとえば先日の昭和天皇の「大御心メモ」なんてものが出てきたら、もっと動揺するべきなんですよ、なにしろ「承詔必謹」じゃなきゃいけない。それをこともあろうに「誰がああいったとかこういったとか、そんなことは私には関係ない」なんてほざいて、「思い上がっているのじゃないか。頭がおかしい」とまで批判されたんだが、とにかくあの人を自分らの理解者だと思ってしまった遺族会とか、右翼の人らはまあ利用されたというか、バカにされたんだと思うね、私は。
 中国に強く出るのがかっこいい、なんて思っている人もいまだにいるだろうが、はっきり言って中国とこれで事切れになって、一方的に影響力が低下しているのは日本のほうだからね、実際には。こないだの国連安保理での議論でも、いつしかアメリカは日本を無視して中国と直談判してたでしょ。
 次の首相は、なんでも中韓などが、任期中に一回だけの参拝を容認するのじゃないか、という観測がちょっと前に流れた。本当かどうか知らないが。中韓もそうだがアメリカだって本当のところどう考えているか分からない、いつでも平気で梯子をはずす国だよ、あちらだって政権が変われば日米同盟とヤラもどう揺らいでくるやら・・・。
 とにかく、なんだかなにも議論する前にさっさともう次の勝ち馬にみんながよってたかって乗る、という去年の総選挙と同じような話が自民党に吹き荒れていて、もうあの政党もまったくの烏合の衆でみっともないが、結局、あれが今の日本人そのもの。
 つまり、自信がなくて、強い者に助けて欲しい、将来を保証して欲しい、そればかりなんだよね今の日本人の頭の中は。政治家も庶民もしかり。それで国内でも勝ち馬に乗りたがるし国際的にはなんでもアメリカに従っていれば安全だ、と。
 まあ今まではそうだったからそれもよかろうが、国際政治は複雑怪奇、いつどう変化するかもしれない。が、日本人はいつでも先を読み間違えて失敗します。
 だから心配ですね。
◇  ◇  ◇
 そしたら、7時40分すぎには参拝しちゃったんですね。ものの10分もいなかったようだが、一応モーニング着て昇殿した。さすがにクールビズじゃなかった。去年みたいにいい加減なことをするよりはましであろう。ま、これでおしまいだね、この人も。ご苦労様でした。どうぞ退場してください。

2006年8月14日(月)
 浦安発の大ニュース、だったみたいですね。浦安市が発注した工事を請け負ったクレーン船が、東京都・葛西と浦安市の境を流れる旧江戸川で送電線を損傷させ、朝の7時半から10時半ごろまで3時間近く、80万世帯が停電、首都圏の電車も運休、ことごとく電気が止まってしまったそうで。
 こういう時期なので通勤する人は少ないでしょうが、遊びに来ている人は多いだろうし。ゆりかもめも止まったんですって? 歩いて戻ったんですってね、おそろしや。コミックマーケットはもう終わってるでしょうけど、よかったですねえ、こんなことがあるとコミケだってパーでしょう。
 うちは、夜更かししてましたので、起きたときに「あれ、なんか停電してたみたい、ペットの部屋の冷房が入っていない」ぐらいな話でようやく気がついたのですが、そんなどころじゃなかったようで。しかもすぐご近所。
 これから出勤ですけど、ああよかった、夜勤で。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば、うちの近くでもちょっとしたニュース。そんな停電騒ぎで市内の警察だって朝から大変だったと思いますが、にもかかわらずうちの近所の駐車車両を妙に調べている警察官がいるんですよ、昼過ぎから。
 そしたら応援車両まで3台も来ちゃって。なにごとかと思ったら、その車のドライバーらしき人が呼び出されて、まもなくするとパトカーに乗せられて行ってしまった。さらにしばらくして、レッカー車が車も持って行ってしまった。
 ははあ、こりゃ事故でもあったな、と。
 実はだが、そのドライバーさんどこのどなたかは知らないが、日ごろからちょっとスピード出しすぎというか、実は危なっかしかった。うちの車を出そうとしたときに、銀色の大型車が後ろから、車道から歩道の上に乗って、もう高速でも走ってるような猛スピードで通過したことがあった。あぶねえ、ちょっとタイミング悪いと思い切り大事故になりかねない。たぶんあれと同じ人だと思うが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 今日は小泉さんは参拝しないんですね。じゃあやっぱり明日ですね。
 行くならちゃんとお昼に堂々と行ってね。早朝とか迷惑だからやめてね、こんなつまらないネタで号外なんて出したくないから。
 レバノンの停戦はもう発効したはず、ですがちゃんとできるんですかね。ま、それはおいおい情報が入ってくるだろうし・・・。
 ◇  ◇  ◇
 電車の中で、幻冬舎の車内ステッカー広告を見かけた。吊り広告よりは安いし、案外に目に留まるものだ。なんかビジネス啓発書の「9つのステップ」だかなんだか、よくある、こういう心がけをすると成功者になれます、という本の広告だったが、その下の帯の部分には堂々と「この習慣であたなの毎日が変わる」などと書いてありました。「あたな」です。誤植です。素人でも気付くレベルです。
 広告担当の人、校正しなかったのだろうか。ゲラ拝した代理店の人も。私は、ああいう本だけになんか絶対に買いたくないような気がしたね。信用第一じゃない、ビジネスって?

2006年8月13日(日)
 イスラエルのレバノン侵攻・・・今回はまあ、シャロンによる1982年のレバノン侵攻と区別するためかレバノン「危機」という言い方があるみたいだが、そこらへんのセンスはよく分からない。クウェート侵攻までは湾岸危機、その後のものは湾岸戦争、という言い分けからみると、最近は国連決議を経た後の錦の御旗を掲げた討伐をば、「戦争」と呼ぶようであり、その手前のは「危機」ということらしい。
 で、その危機をば、一応停戦しなさいという安保理決議が出たわけですが、まあどんなもんですか。とにかく停戦監視をするUNIFILというのが増強されるまでは、イスラエル軍は「攻撃的な行動はいけないが、自衛的な攻撃は許される」そうだから、向こう少なくとも10日以上はイスラエル側は攻め手をゆるめないはずである。なんでも、ヒズボラを徹底的にたたいておいてあげた方が、UNIFILも仕事が楽だろう、なんてうそぶいてるとか。ま、そのへんはライス米国務長官と打ち合わせ済み、なんでしょう。アメリカとしちゃ、本音の本音ってのは、とにかくレバノン・アレルギーがあるので、なにしろベイルートの兵舎の自爆テロで、アメリカ軍は追い出されて以後、基本的に高みの見物に撤している。ずっと無責任にイスラエルの後ろで煽っているのもそんなわけだろう。だからUNIFILにも当然ながら米軍は参加しないし、米軍が参加しないものにはわが自衛隊は当然ながら支援とか派遣とか言う話はない。
 で、UNIFILというのも、今までたった2000人で細々とやっていたわけだが、こないだのイスラエル軍の「誤爆」(ウソだろ?)で死者が出て中国なんかは手を引きたいようであり、急にそれを1万5000人規模にしろと言われてもそう簡単にはいかないそうである。一方でレバノン軍も、ちゃんと自分の国のことは自分でやるように、と申し渡されて1万5000人を出すことになってるが、そもそもレバノン正規軍てのはたった3万8000人しかいない。しかも長年、事実上シリア軍に支配されてたので実質は警察に過ぎないそうだ。
 イスラエル軍が2000年に撤退し、昨年、シリア軍が撤退して、アメリカなんぞ外交的な勝利だのナンだのと浮かれていたがとんでもない、ヒズボラなんていうのは少なくともレバノン正規軍よりはずっと有力な軍隊であって、「武装解除」なんて夢のまた夢だそうだ。おまけに、今回の決議についてヒズボラは、イスラエルを追い出し「レバノン軍」が中間に入るということは「我々の勝利だ」と認識しているそうである。
 一方のイスラエルはというと、結局、あれだけ圧倒的な武力で攻勢仕掛けて、結局はヒズボラを壊滅させるなんてことはまったく不可能、結局なんの意味があったのか、と国内でもそろそろ言い始めているようだが、当然だろう。オルメルトの首が飛ぶかもしれない。
 正規軍の兵力をどれだけ投じても、テロを根絶することは絶対に不可能だ、というのをアメリカ軍はそろそろ学びつつあるようだが、イスラエルはまだ理解していないようだ。
 思い返してみるがイイのだが、ナチス・ドイツがどれだけ頑張っても、ユダヤ人は根絶できなかったでしょうに。そして敵性民族を根絶やしに出来ない以上は、テロなんて未来永劫なくなりゃしない。あんなの、極端な話、たった一人でもできるんだから。
 そういや、拉致されたイスラエル兵士ってどうなったの? それが発端だったんじゃないのかしら。まったく大義名分だけだったという・・・かわいそうな兵隊さん。拷問されて死んじゃったかな。
 ◇  ◇  ◇
 ドイツの文豪でノーベル賞作家のギュンター・グラスが今ごろになって「自分は親衛隊員だった」と告白したことが話題になっているそうだ。
 とはいっても、当時は17歳かそこらで、そもそも空軍補助兵をやった後、終戦間際に海軍の潜水艦部隊配属を志願したが却下(というか末期じゃ海軍なんてもう仕事がない)、武装親衛隊の戦車部隊に入れられた、ということだ。
 親衛隊というのは志願制が原則だが、あの黒服の親衛隊と、戦闘部隊である武装親衛隊というのはかなり異なるわけだし、ことに末期になると武装親衛隊と国防軍の差というのもあまりなくて、欠員補充にどんどん招集されただろうから、別にそこに下っ端の兵士として配属されたことはそんなに気に病むような話ではないはずだ。
 が、問題は、今までは国防軍の兵士として捕虜になった、と言っていた点であり、経歴詐称なわけである。
 グラスといえば一般的に「ブリキの太鼓」だが、私にとっては映画にもなった「グストロフ号の悲劇」である。戦後いち早く、常に侵略者・加害者として取り上げられてきたドイツ人が戦争で受けた悲劇を取り上げてベストセラーになった。それまで自分らが受けた被害を強調するのはドイツじゃ「右翼」だったので、左翼のグラスがこういうものを書いたのはドイツ人にとってひとつの大きな節目となった。
 普通の国では、被害を強調するのは右翼の仕事なのであって、それがなぜか左翼運動と結びついているのは日本だけの不思議な事情である(要するに国体を護持して下さったアメリカ様から加えられた被害は水に流すべし、というのがあるんですね我が国は)。
 ま、そのへんの事情から言っても、自分自身が右翼の中の右翼と誤解されやすい「元武装SS」というのを伏せておきたかったんだろう。
 が、国防軍兵士ならまあ罪が軽くて、SS兵士だと駄目だ、という非常に大衆的な認識をグラスも持っていた時期がある、ということですね、これは。そうすると、ちょっと幻滅という声も出てくるのは否めないかも。


2006年8月12日(土)
雷が首都圏にはやってきまして、うざったいこと・・・。ひょっとして今日はビッグサイトでコミックマーケットやっているんじゃ・・・お気の毒。あの通り雨の中で撤収作業はつらいだろうなあ。大事な本も濡れてしまうし・・・。
 ◇  ◇  ◇
 大した話題もないが、日刊スポーツの記事で、先の亀田興毅についてこんな記事を見かけた。アメリカ人記者のアームストロング氏のコメントである。「「亀田はマスコミがつくり出したヒーロー。米国やカナダでは『メディア・ダーリン』と呼ぶ。日本はこれが非常に多い。世界で通用する実力が備わる前から、大スターとして扱われてしまう。ゴルフの宮里藍も同じパターン。いずれは世界に通用する実力を身につけるだろうが、有望な若者を大々的に取り上げる傾向がある。その中で、つぶれていく選手を大勢、見てきた」。人気先行という現象は欧米にはない、と指摘する。人気に真の実力が追いつかないうちに、過度な期待をかけられ、いつしか「偶像化」されてしまうのが日本のスポーツ文化…。サッカーのW杯ドイツ大会で日本代表を取材した際、強く感じたという。「欧米のスポーツ界では、実力がなければスターにはなれない。・・・海外版“亀田家”として例に挙げたのは、テニスのウィリアムス姉妹と厳格な教育方針の父リチャードさん。親が自分の果たせなかった夢を子供に託し、熱血指導する少数例だ。「欧米では、親が名選手で子供も一流に成長する姿が好まれる。メジャーリーグのリプケン一家のようなパターン。逆にウィリアムス姉妹の父親のようなタイプは、親の期待が精神的な重圧になると思われて、あまり好まれない。また欧米では子供への虐待は社会問題なので、どんな理由があっても親が子供に手をあげることは(気合ビンタでも)好まれない」なんか読んでいて非常に納得した。
 私がそもそもスポーツ嫌い、ことに日本のプロスポーツが大嫌いである大きな理由の一つが「メディア・ダーリン」なんだということに気付かされたからである。
 スポーツマスコミの態度もよくないし、スポーツに本来関係ないワイドショーや雑誌までなんでも便乗して儲けてやろう、というのも気にくわない。
 また、選手達の方でも、きちんと自制している人もいるが、都合のいいときにはマスコミを大いに利用し、また広告代理店とかビジネスライクな話になると熱心で、ブログなど利用しつつ自ら情報統制して大物ぶるようなやからもいる。
 実際、サッカーのような人気種目だから勘違いしやすいのであろうが、世界的に見てそこそこの下、ぐらいの選手を大物と錯覚したがる大衆心理が我慢できない。まったく人気のないスポーツでも、オリンピックでメダルを取るような真に世界レベルの日本人はほかにもいるのに、そういう人たちのことはさして賞賛しない。
 とにかくスポーツなんて結果がすべてであろう。そうでないお話が面倒くさくてならぬ。
 そしてそれは、実はスポーツとは限らないというのが私の見方である。
 よってたかって無理やり担ぎ上げられる子どもみたいな小説家、タレント、そして政治家までいる。担ぎ上げたあげく、商品価値が下がるとポイ捨てである。
 メディア・ダーリンか。なるほど、である。覚えておこう。
 なんだかしらないが、どうしてこの国の人らは他人がどう評価するか、ばかり気にするのだろうか。他人がどう思おうが構わないではないか。これは素晴らしい、と思えば他人がどうけなそうが評価すればいいし、これは駄目だ、と思うのならほかの1億2000万人がこぞって賞賛するものでも、背を向ければいいではないか。
 判断が間違っていたのなら、後で率直に認めて訂正すればよい。それだけのことではないか。
 おそらく、私のような人間は日本の社会では出世しないのだろうなあ・・・。
 


2006年8月11日(金)
 つい先日、夏休みシーズンで話題も夏涸れですねえ、などと長閑なことを書いた。今日の夕刻から夏休みに突入する人も多かろうし、すでに昨日当たりから、という人も多かろう・・・そのさなかに大騒ぎだ。例のイギリスで発覚したパキスタン系イスラム教徒による大規模テロ未遂のあおりである。
 「成田空港では11日、米国へ出発する旅客機の機内持ち込み手荷物制限が強化され、出発ロビーは夏休みの出国ラッシュも重なって混雑した。今回、液状の爆発物が使われる計画だったことから、飲み物やシャンプー類、化粧品、歯磨きなど液体状の物は、すべて機内への持ち込み禁止に。日本航空や全日空では、預け入れ荷物に入れるようチラシを配るなどして乗客に呼び掛けた。 友人に会いに行くためニューヨーク行き便に搭乗するという奈良県生駒市の会社員佐々木理乃さん(23)は、持参していた目薬も預け入れ荷物の中へ。「目が乾くので目薬が使えないのは不便。でも、厳しい検査でも安全な方がいい」と、仕方ないといった様子で話していた」(時事)てなことで、もう相当に空港は大変らしい。履物も脱がされて徹底的に探知機にかけられるそうだ。
 ブッシュ大統領は「イスラムのファシストたちとの戦いだ」とかなんとか言って、「だから私は捜査権限を当局に与えたのだ」とご満悦だそうである。とにかくカレは喜んでいるだろう。しかし、イスラムのファシストってなんだ? イスラム教徒にも、また確信的なファシストにも失礼ではないか?
 今のところはっきりしないのだが、液体爆弾をアイポッドか使い捨てカメラのフラッシュで起爆しようとしたのじゃないか、と言われている。だから、飲み物はすべて飛行機搭乗前に没収である。どころか、上の時事電によれば目薬もダメだとか。一応、いまのところ持ち込めるのは赤ん坊用のミルクのみ、それも係官の前で飲んで見せないといけないそうだ。
 つい先日、アメリカの空港ではスーツケースの鍵を開けるように求められるが、それで貴重品がどんどん盗まれる、という話題があったばかりだ。誰に文句を言っても始まらず、貴重品を持たないしか自衛策はないという話だったが、こうなってくると、できるだけ旅行しない、それも特にアメリカに行かない、というしか手はないだろう。
 アル・カーイダ(どうも今回は連中の手引きらしい)の思惑通り行けば、全米各地で十機以上の飛行機が爆発して、都市にも被害を及ぼす予定であったという。
 こういう大事なときにわが国のリーダーはなにしてるかというと、モンゴルでまた芝居だかオペラをみているらしい。
 ま、もう次期首相に全部任せているつもりなんだろう・・・しかし、そんな気分ならただちに辞任してくれないかなあ。とにかく昨年の選挙から後、あの首相、遊んでばかりじゃないの、実際の所。1年分の給料を返納してもらいたい。特に通常国会後のここ2、3か月なんてまるきりお遊びモードだし。
 カレがモンゴルから帰ってくる飛行機で「総理、お履きものを脱いでください。爆発物がないか改めます」「音楽は起爆装置になりますので禁止です、オペラは聴かないように」「飲み物は爆発のおそれがあるのでありません」と専用機の中で言ってやりたいけどね。
 ◇  ◇  ◇
 靖国がらみで「自民党の中堅・若手議員約130人がつくる「平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会」(会長・今津寛衆院議員)は11日、国会内で総会を開き、歴代首相が継続して靖国神社を参拝するよう求める提言をまとめた。首相の参拝については、「国民を代表する立場で継続して参拝するよう求める」とし、「ポスト小泉」にも参拝を求める姿勢を打ち出した。ただ、時期、形式は、「首相自身の判断に委ねるべきだ」として、終戦記念日の参拝にはこだわらない考えを示した。また、靖国神社の非宗教法人化に対し、「靖国の形骸化につながりかねない。神社側も望んでいない現状では、困難と言わざるを得ない」と反対した。A級戦犯分祀についても、「『戦犯』と一般の戦没者を差別し、『A級』と『B、C級』を差別する合理的な理由を見いだすことは困難だ」とした」(読売)なんて話を見かけたが、親の心子知らずというか・・・自民党幹部の人たちの苦労を若い衆は理解してないみたいだなあ。
 A級戦犯分祀問題を理由として、「靖国神社が分祀しないというのなら、仕方がない。宗教法人じゃなくして国家管理の特殊法人にし、国の規定で合祀者を決めることにしましょう」という流れが自民党の幹部たちの考え。これで、しめしめ、おおっぴらに靖国の国家管理と、今後の殉職・戦死者が出た場合の準備が完了するはずなのであった・・・自民党は1974年に靖国国家管理法案を出して、結局、失敗している。その雪辱を狙っているのである。いわば、中国の圧力を利用して国家の神社を復活できれば上出来、という狙いだ。そんんなところに江沢民の「永遠に日本を歴史認識問題でいじめてやれ」発言が伝わったりして国民の対中国感情もいまだかつてないほど悪化しているから、環境的には言うことなしなのである。彼らにしてみれば一部の戦犯など切り捨ててもどうでもよく、それより彼らの新国家体制=まあ簡単に言えば「正義の戦争」をしたければいつでもアメリカと一緒にできる国、の基礎作りこそが重要なのである。靖国というのも別に復古趣味で言っているのじゃあるまい。
 そのへんを理解してるのかいないのか・・・はて?

 

2006年8月10日(木)
時事通信によれば「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典終了後、小泉首相は記者の質問に答え、終戦記念日の8月15日に靖国神社を参拝するとした自らの公約を果たす意向を明らかにした」とのこと。飯島秘書官も今度は堂々と下見に行ってるみたいで、まんじゅう買いに来ましたとか姑息なことは言っていないみたいですが。
 私はずっと以前、小泉さんの参拝問題など起こる前から、8月15日に政治家が参拝することの意味合いを疑問に思ってきましたが・・・というのも、8月15日というのは戦死者からすると意味がない日付なんですね。まず太平洋戦争以前の戦死者にとってはぜんぜん関係なく、太平洋戦争に参戦して死んだ人らは、8月15日に日本が降伏したなんてご存じない。要するにあの日付は生き残った人にしか意味がないんですな。違いますかね。そういう意味では、8月15日じゃなく例大祭のほうが意味がある、と言っている安倍「次期首相」の主張のほうが私は筋が通っていると思っています。
 ま、最後だし勝手にすればいいんじゃないかな。中国、韓国も抗議はするだろうが、おしまいの人のやることなどかえってまともに相手にしないんじゃないかと思う。
 ◇  ◇  ◇
 この人の話題は聞いていたのだが、まさかこうなるとは・・・。時事通信の記事から「陸上女子砲丸投げの日本記録保持者でアテネ五輪代表の森千夏選手=東京高校クラブ=が9日午前10時36分、虫垂がんのため東京都内の病院で死去した。26歳だった。東京都出身。告別式は12日午前10時から東京都港区南青山2の33の20の青山葬儀所で。喪主は父健次氏。自宅住所は公表していない」。いろいろ支援活動なども始まっていたが、若い人のがんはやっぱり進行が早かったのか。すでにアテネのときは体調が悪化していて予選落ちしたそうであるが、なんとも気の毒だ。若すぎる死とか、早すぎる死と芸能マスコミなどは安易に誰に対しても使いたがるが、26歳はなんといっても早かろう。
 プロスポーツの選手じゃないから、大したこともないのにちやほやされているなにかの競技の連中などとは違い、最初から最後まで大変だったろう。私はスポーツ嫌いというよりはむしろプロスポーツ嫌いであることに気付く。金儲けでやっている人はなにをどういわれてもいいのである、それが商売なのだから。批判されれるのも嫌われるのも、知名度や金と引き換えの有名税である。競技と関係のないCMなどにちゃらちゃらと出ているのだから、はっきり言ってなにを言われても構わないはずである。
 無念を察するに余りある。これでもう仕事はし終えたと言って命を召し上げたのなら、神様というものは残酷である。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、先日レトルトカレーに小さな穴が開いていたのじゃないか、それで中身がいたんでいたのじゃないか、という話を書いたが、それで思い出したことがある。あるメーカーが都内の有名な洋食店と組んで作ったカレーのレトルトを食べたときに、とにかく味がないし香りもない、なんてまずいのだろうと思ったことがある。で、それ以来、そこの洋食屋さんというのは名前ばかりで不味いのじゃないか、と思っていたのだが、ひょっとして? 妻などはそれを食べた後、かなり体調不良を訴えていた。私は、まずいなと思っただけで特に問題はなかったが、あれはひょっとしたら、やはりパッケージに穴が開いていたのじゃなかろうか。というのも、今時、そんなにまずいものをつくるとは思えないのである。味も香りもないなんてのは明らかに変だ。
 はじめて食べるものなど、それが元々まずいのか、それともなんらかの理由で劣化しているのか判断できない。少々のことなら「これ、まずいなあ」で終わってしまう。が、実はこういうことで腐敗している可能性というのは常にあるのかもしれない。
 どうもレトルト食品は安全だという思い込みがあると思う。しかし、確かにほんの小さな目に見えない、中身が漏れないようなミクロン単位の傷でも袋にあれば、すべて台無しになるわけだ。そういうことはいつでも考えていたほうがいいのかもしれない。


2006年8月09日(水)
 「敗北から教訓を学んでいる、そのお手本が日本だと世界は考えている。歴史、戦争、原爆…それらの上に立って経済先進国の仲間入りをした。サッカーもその上に立って学ばなければ」。オシム監督は、第2次世界大戦で敗戦国となりながらも、その後、経済成長を続けた日本になぞらえて、サッカーも敗戦から学ぶことで強国と肩を並べるレベルまで成長できることを訴えた」(スポニチ)というのはイビチャ・オシム監督のコメントだが、本当にいいことを仰る。
 今、トリニダード・トバゴとの戦いを見ているが、勝敗はともかく、前半はよろしいけど、後半になるとなんだかもたついてくる・・・なんかそのへんは相変わらずのように見えるのだが。特に最後の最後の5分ぐらいになると目に見えて木偶の坊のようになるのだが、あれは根本的になにか駄目なのではないか。40キロで失速する駄目なマラソン選手のようだが。
 私のような門外漢の言うことなので妥当じゃないかもしれないが、応援の人たちのあの単調な「ニッポン、ニッポン、ニイッポン」という歌声はなんかかえって催眠効果があるんじゃないか。野球の日本式応援だってもう少し曲調を変えている。関係なさそうで、そういうことからして微妙に心理に影響するのじゃないかと思った。気分一新するならそのへんから変えればいいのに。実を言うと心理学的に言って、青いユニフォームというのも必ずしも士気高揚には向かないんじゃないかと思う。青は冷静にはなるけれど、積極的ではなくなる色だ。どっちかいうとオフィスワークの色である。やはり赤い方が本当はいいのじゃないか。
 ◇  ◇  ◇
 高校野球というものにはあまり興味がない私だが、先日の文星・関西戦はたまたま泊まり明けの寝ぼけなまこで見ていて、目が覚めた。さすがに7回から後は目が離せなくなったですな。あれは、負けた側には悪いけれど、面白い試合でしたねえ。野球の面白さっていうのがよく出ている試合だった。サッカーではああはいかない。ちょっとした潮目で一気に逆転できる。
 ◇  ◇  ◇
 レバノンというのは、実態としては国ではないのかもしれない。というか、まあアフガニスタンなどもそうだが、戦国時代の日本のようなもので、中央政府というのはあるにはあるけど、武装勢力とか軍閥とかがあっちこっちにあるわけだ。主権国家にどんどん隣国が攻め込みながら、その国と戦っているのじゃなくてあくまでテロリストと戦っているのだと主張するというわけのわからない話は、そのへんが原因ではあるのだろうが、それにしてもいい加減にうんざりである。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、イクスピアリに行った。なんでも会員様だけの優待セールであった。で、BREEという(日本ではブリーと呼ぶけど、ドイツじゃブレイに近いようだ)ドイツでも有名なカバン屋が店を出していて・・・絶句。10万円のスーツケースがほぼ半値に、妻もいいカバンを欲しがっていたが、3万円ほどの定価のものが半値に。
 はっきりいって、ルイ・ヴィトンやエルメスのカバンなどぜんぜん欲しくもないが(ただでくれればもちろん貰いますよ、換金できるし)このBREEには前から興味があった。日に焼けると色が変わってあめ色になるヌメ革・・・これはこたえられない。
 というわけで、買いました。二人とも。
 私は前からドイツ製RIMOWAの愛用者ですが、これでBREEもあわせてドイツもので固めてみた。ものすごく満足である(アホ?)。

2006年8月08日(火)
なんか堀江さんやら村上さんがいなくなった、と思ったら急激にどこもかしこも大企業がTOBをやるようになってしまいましたですね。つまり、傭兵やゲリラの戦術かと思っていたら、いつしか正規軍がやる戦法に格上げしてしまいました・・・これ、戦争の世界じゃよくある話ね。
 「紳士服チェーンのAOKIホールディングスは7日、紳士服販売のフタタ(福岡市)に経営統合を提案した。フタタが同意すれば今月下旬から1カ月かけて株式公開買い付け(TOB)を実施、完全子会社にする方針で、フタタからの回答期限は14日に設定した。フタタは7日夜、「当社の対応については提案内容を分析・検討した上で別途公表する」とのコメントを発表した」(時事)というんだが、このフタタというのは2003年からコナカと提携している。よって、これで円満にアオキの100%子会社になれるという見込みは薄く、北越製紙みたいに戦争状態になる可能性は高いとかであります。
 にしましても。フタタという会社、ご存じでした? 九州以外の人はあまり知らないですよね、しかし紳士服量販業界では8位だとか。アオキが2位、コナカが4位・・・するとあとはなんだ。1位がアオヤマで、3位は春山かなにかですか。
 フタタのサイトhttp://www.futata.co.jp/を見ますと、けっこう単価5万円ぐらいのスーツのように紹介されております・・・が、例によって「2着目は・・・」というクーポン付き。他社では「2着目は半額」とか「2着目は1000円」とかありますが、ここは「2着目はただ」だそうで。つまり初めから単価5万円というのはウソでありますね、1着2万5000円が正解。
 サイトを見ますと、戦中戦後をたくましく生きてきた創業者のストーリーなどあってなかなか読ませます。これで一挙に全国に知名度が上がりましたが、上がった途端に子会社化するかもしれないんですな。
 ところで、アオキのサイトhttp://www.aoki-style.com/home.htmlを見て店舗情報を眺めると、アオキは九州四国には一店もないんですね。そりゃ狙った意味は分かる。
 しかし、敵対的な、相談なしのTOBは事実上、御法度に近いのが実情。世間の目もけっこう冷たい。成功するんですかねえ。
 ◇  ◇  ◇
 うちの妻はかなり神経質な人です。食品を買うのでもパッケージを熱心に調べて、ちょっとでも気に入らないと決して買わない。しかし、実際にパンなんかに針を刺しておく嫌がらせも多いので、決して根拠のない話じゃないから、私も神経質だなと思いつつも、けっこう納得して見ております。
 が、どんなに注意を払っても、こうなるとお手上げ・・・。
 というのは、ある西日本のメーカーが作った珍しいカレーのレトルトパックを買ったのであります。けっこうなお値段でした。で、二つ温めて、一皿はいい香りのうまそうなカレーが出来上がり、ところがもう一皿は・・・もう妙なにおいなわけ。ぜんぜん香ばしくない。というか・・・まあとにかく気持ち悪いにおいですよ。妻は味見をちょっとして、げ、といってうがいしましたけど、なんとレトルトなのに問題あり、なんだな。
 で、早速そちらのメーカーさんに相談しましたが、まあ真面目に対応してくれたようなので特に名は出しません。とにかく、生産ラインには問題がなかったようで、製造工程で駄目だったというのじゃなく、パッケージのほうの問題じゃないか、ということに。
 要するに、まれにレトルトパックにも目に見えない穴が空いている場合がある、というんですよ。すると、一見ちゃんとしていても、中が徐々に腐敗する・・・恐ろしや。知らずに食べたらとんでもないことに。
 うちは決してクレーマーじゃなく、どっちかというといちいち難癖はつけない主義ですがこういう食品に関してはちゃんと申告した方がその会社のためだと思うし。もちろん、けしからん対応したりしたら、もう怒ってどんどん騒ぎます、うちの社会部にも言いつけます。
 以前は、某大手冷凍食品メーカーの商品が変な味だった。これはどうも、販売店で一度、どこか暖かい場所で解凍してしまったのじゃないか、とのことでした。よく、馬鹿な客が冷凍食品でも何でも、急に面倒になって、元の場所に返すのがおっくうなので、訳の分からないクマの縫いぐるみの間に捨てていったりします。ああいうのを冷凍庫に戻したらもう台無しなんだなあ・・・一度常温で溶けちゃったものなんて、ぐちゃぐちゃ。それを再冷凍したらとんでもない代物に・・・。
 まあ、そんなこともありました。が、レトルトでこういうの初めてでしたね、うちの場合には。
 やはり、あまりにも頭から信用していないで、疑ってかかる要素は必要だと思いますねえ・・・神経質すぎるのもあれですがね。


2006年8月07日(月)
 長野県知事選は拍子抜けなぐらい割とさっさと当確が出てしまいました。開票始まったのが8時で、もう10時前には地元新聞なんかが村井当確、と言いはじめました。
 さて、「長野県知事選から一夜明けた7日、初当選を果たした元防災相の村井仁さん(69)は記者会見し、県庁にあるガラス張りの知事室は使わないとの考えを明らかにし、早くも、田中知事との違いを鮮明に打ち出した。・・・長野市内の事務所で記者会見し、パフォーマンスを多用した田中さんの政治手法を厳しく批判。県庁1階の入り口近くに設けたガラス張りの知事室に話が及ぶと、「ガラス張りの知事室には入らない。ビジュアルな透明性であって、田中県政は決して透明性があったとは言えない」などと指摘した」(読売)とのことであります。
 田中康夫さん。もちろん功績もあったと思います。が、単なる好き嫌いで言えば私は嫌いでしたけどね。劇場型、無党派層への人気取り、単純に敵と味方に分ける・・・まあそのへんの手法は、かえって政治的立場は逆にあるといえる小泉首相に影響を与えたのかもしれない。面白かったし、いい提言、いいアイデアもたくさんあったし評価はけっこうしてますけど、決して好きじゃなかったですね。
 今回の相手候補の村井さんは、自民党系ではあるけれど郵政国会で反乱を起こした人であってその意味では反骨を感じさせること、防災担当大臣経験者というのが、長野県で水害があったばかりのこの時期にダムの問題などで発言すると説得力があること、などいろいろありますが、なんといっても田中県政もまあこのへんまで、これ以上はもう大したことは出来まい、と県民に思われてしまった、飽きられたし見限られた、というのがいちばんの原因でしょう。まあ、これまで幸運な人だったわけで、そろそろいいんじゃないですか。
 しかし作家としては別にすごい仕事をしている人でもないし、また50すぎてもエッチ臭いこと書くんですかね、この人。
 ◇  ◇  ◇
 社会経済生産性本部が「メンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査結果を発表した。そこのHPから引用すると「企業のメンタルヘルスに関する取り組みの実態を分析・解明するために、全国の上場企業2,150社を対象に2006年4月に実施したものである。(有効回答数218社、回収率10.1%)」とのことで、回収率10%というのがちょっと気になりますが・・・。
 で、「6割の企業でこの3年間に「心の病」が増加・最近3年間における「心の病」は、6割以上(61.5%)の企業が「増加傾向」と回答・年齢別にみると、「心の病」は30代に集中する傾向がより鮮明になっている」というのが結果の概要。これで気になるのは、30代の精神疾患の発症が多い、という部分ですね。
 新聞なんかでは、これは30代というのは責任が重くなる割に権限がなく、ストレスがたまるから、とありました。その通りでしょう。というか、30代は平社員から下級管理職への過渡期であることが多い。で、管理職に上がると一応、それなりに満足感が出てくる。上がるまでは非常にストレスになる、そういうことでしょう。誰しも、少なくとも課長ぐらいにはなりたい、などと思うわけで、他人に先を越されるといらいらするし、まあ不満もたまりやすい。これは会社だけじゃない。なんの活動するにも30ぐらいっていちばん中途半端ですよね。10代20代は若さが売り物に出来る。40以上の人は今度は力押しできる。30代って確かに適当にこなれているけどまだ押しは利かない。
 そして、いま30代を通過しつつある世代はバブル入社期で入社は楽だったが、その後の競争は厳しい。会社中どこに行っても同期だらけだったりして・・・。
 私もそろそろその地獄の30代を通過します。なるほど、思った調査結果ではありましたな。・・・というのも、30代で発症して結局会社辞めちゃった、なんて知人もおりましたけど、やはり悩みの種は処遇、人事のことでした。成果主義だのなんだの、ストレスはたまる一方であります・・・。



2006年8月06日(日)
 61回目の原爆忌ですね。今年はハーグの国際司法裁判所で「原爆使用は違法」という判断が出てからちょうど10年でもあるんですってね。
 しかし安倍「次期首相」って人は、ぽろりと核武装がどうの、基地攻撃がどうのと言っちゃう御仁。ひたすらブッシュに媚びていたプレスリー首相よりある意味、危ないかもしれませんな。もっとも米政権だって次はどうなるんだか。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば今日は、長野知事選挙ですね。この時期に選挙とはご苦労なことですが、政治意識の高い土地柄だけに投票率は高いでしょう。田中康夫さんがどうなるか、ということで見物です。もっとも出来るだけ早く大勢判明してください、明日は関係あるんで。
 今のところ、各紙の票読みじゃかなりいい勝負、という話。さすがに田中知事も飽きられている部分もあり、どうなるか分からないとか。ふーん。
 ◇  ◇  ◇
 オシムジャパンの選手招集が話題になっておりますが、あのオシムって人、実は浦安市民なんですってね。なんでも奥さんが浦安にほれ込んでいるらしい。まあ、外国人には居心地がいい町だと思います、外国人がいたって誰も振り向かないから、ここじゃ。もうありふれてます。そのへんの市立中学で古風なセーラー服着た金髪の女の子なんてのをごく普通に見かけます。
 今日は、出勤前に妻の部屋の模様替えを手伝う予定につき、このへんで。なんか私も夏涸れ気味・・・。

2006年8月05日(土)
いよいよ夏本番ですね。世間様もそろそろ盆休みに入る人も出てくるのじゃないでしょうか。やはり12日から20日まで休む、という人が多いのだろうか。あるいは18日だけ様子見でちょっと出社したり、ですかね。が、来週あたりから早めに取る方も多いでしょう。いやあ、私はすでに梅雨が明けない間に休んでしまいましたのでこの間もずっと出社ですが、案外に空いている電車で行き、いつもよりあきらかに暢気な仕事をするのも悪くないんですよね。さすがに気温は上がってきたけど、今年はまあ平凡な夏、じゃないですか。そんなに暑い暑いと騒ぐような必要もないようだし。
 お盆にはまたコミックマーケットというのがあると思いますが、参加される方はどうかご自愛を。冷やかしで見に行かれる方、あれは午前中は入場制限があって、炎天下で待たされます。誰か出店参加者から通行証を貰って行くのでない限り、午後に行かれた方がよろしいかと(人気のあるものはあらかた完売しておりますが)。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、PS2用ゲーム「グローランサーV」を手に入れました。このシリーズは、イラストレーターのうるし原智志氏の出世作である「ラングリッサー」シリーズの直系の跡継ぎでやはりうるし原氏がキャラを描いており、かなりマニアックでドラマのある、しかも大風呂敷な脚本と豪華な声優人もあいまって、常に確実なファン層を押さえている作品です。私も、ラングリッサー1から始まって5まで、そして、グローランサーもついに5、ということで10作品も付き合ってきました。が、あれだなあ、今回、ちょっと出だしだけやってみたけど、ファイナルファンタジー12でも採用された、移動モードと戦闘モードがスムーズにつながる、つまり道を歩いていてモンスターや敵と接触すると、そこで戦闘用の絵に切り替わらずそのまま戦うとか、戦闘は敵と味方が野球の試合みたいにターン制で戦うのじゃなくて、リアルタイムで攻撃しあうとか、最近の技術を駆使した流れに沿ってシステムが変革しているけど、なんかやりづらいなあ・・・。こういうシステム的には、やはりFF12のようにはいかないと思いますが。それにせっかくそういうシステムにしたのに相変わらず、キャラが小さい(さすがに二頭身キャラではなくなったが)。しかし、どっちかいうとあの二頭身キャラのちまちました動きが好きだったんですが。そのくせ、相変わらず「攻撃後の硬直」というのはあるし(なにか動作やるとなぜか身体が麻痺するようになっているんですこのゲーム。自然な動作で待機は出来ないみたい)。
 実のところ、そのFF12も、後は最終決戦をやればクリアなんだけど、やりのこした要素が気になって(モブというサブイベントで、まあ本筋と関係ない魔物退治があるんですがこれが完成していない。また召還獣を倒してポケモンみたいにゲットするシステムなんですがこれもコンプリートで来ていない)終わらせる気にならず頓挫中。さらに「ヴァルキリー・プロファイル2 シルメリア」も3章に入ったあたりで面倒になって頓挫中。ああ、そればかりじゃない、FFを買った途端に投げ出してしまった「魔界戦記ディスガイア2」も途中放棄中・・・ああそうだそうだ、出来心で買った歴史ものおふざけシムシティ「江戸もの」も8代目ぐらいの将軍で挫折・・・えらい高い金出してゲームそろえているのに、ちっともちゃんと出来ていなかったりする。おおおお、そういえば。ロボットアクションの「アナザー・センチュリー・エピソード2」はなんとオープニング映像すら見ていない。
 昨年末の「フロントミッション5」以後、ちゃんと終わりまで言ったゲームは一つもないではないか。しかしその一つの原因は、最近のゲームが懲りすぎていて時間もかかりすぎ、面倒くさすぎで嫌になってしまうんだよね。とてもゲームばかり一日中こもってやっていられる環境じゃないし。操作性もFF12以外はあまりいいとはいえない。そのへんストレスでやる気がしない、というのは事実だなあ・・・。
 ◇  ◇  ◇
 が、それとは別に個人的には気分が良い。実は前から欲しかった「チュチマ フリーガーウオッチ41」つまりドイツ空軍の1941年型パイロットウオッチをついに手に入れたのであります。これはなんと、8月1日から価格改定があって、それまで23万円だったものが26万5000円に。バルデュー・ムーブメント搭載モデルで4万円近く上がってしまった。ショック、だったら早く買って置けば良かった・・・ところが、神奈川県内の某店でなんと19万円台で売っているのを発見。これは日本中で一番安いのではないか。しかも定価が上がった以上、今後はこれ以上に安くなると思えず、思い切って購入。
 これで、うちにはチュチマ、ハンハルト、ラコーとドイツ空軍時計がそろった。慶賀、慶賀。ドイツ空軍モデルとして現在でも作っているのはやはりこの三つでしょう。そりゃレマニアとか、大御所のIWCとか(しかしIWCは敵の英空軍にも時計納入していて、今じゃ代表作はスピットファイアだし。やはりどっちかいうと英国側の時計ですよね)ほかにも当時の納入メーカーはあるんだが、とりあえずこれだけあれば安心(なにが?)。
 しかしチュチマとは技術上、親戚関係にあるグラスヒュッテとかランゲ&ゾーネなんて一個300万円とか400万円だから、お安い買い物でしょう(そうか?)。ま、とにかく日ごろ身につける時計としてはこのへんが限度だなあ。いくら金があっても、300万もする時計なんて絶対にしたくないもんなあ・・・。

2006年8月04日(金)
安倍「次期首相」の靖国参拝・・・それ自体がどこうより、密かにやるというのは実は悪くないんじゃない? いちいち馬鹿正直に公表する必要などない、本当に私的な行動なら発表の必要などない。それは確かにひとつの考え方だろう。ただ首相になっても秘密が守れるか、だけど・・・。
 ◇  ◇  ◇
 どこの新聞もネタ涸れ、テレビ局もネタ涸れである。お盆休みとなるとやっぱり大事件というのはなくなってくる。役所も警察も企業も、さらに犯罪者までもお休みをとるからである。そしてこの時期は世界的にもバケーションにつき、戦争継続中のレバノン・イスラエルなどを除けばやはり動きは鈍い。
 そんなわけで、大したことはないようなニュースでもけっこう大きく扱われる。もし目立ちたいという人は、こういう時期に何かすると(よいことでも悪いことでも)報道されやすいのは間違いない。8月15日前後になんで終戦特集が多いのか、というのも別にそういう番組をぜひ作りたいのじゃなく、穴埋めにちょうどいいから、という事情は間違いなくあると思われる。
 たとえば、先日の亀田の謎の判定勝ちについて。スポーツ報知の記事など案外に目をひく。日ごろならちっとも目立たないだろうが。「判定で敗れたランダエタの母国ベネズエラの首都カラカスにある日本大使館には3日朝(日本時間同日夜)までに、日本人から1000通もの“おわび”電子メールが送られたことが分かった。・・・ひとつの出来事に関するものでは最多の大反響。すべてが「試合はあなたの方が勝っていた」とするもので、「ランダエタ選手の紳士的な態度、ファイティングスピリットは素晴らしかったという中身ばかり」(担当者)だった。2日の同国国営通信が「日本の観客はランダエタの勝ちだと思った」と報じるなど、ベネズエラ国内でも判定に疑問を投げかける報道は多い。ただ、大使館への抗議などはなく落ち着いているといい、「日本を嫌ってほしくない」と、国民感情を考慮した日本が敏感に反応した形となった・・・ベルトは奪えなかったランダエタだが、日本で得たものは大きかったようだ」というような話だが、抗議したり悪態をついたりをすることなく紳士的だったんですかね、相手の選手。まあなんだなあ・・・まだ19歳といえどこっちの悪ガキについては、選手の寿命から考える(40、50歳までできる競技じゃないでしょう)とそろそろ幼稚なビッグマウスもみっともないと、まあ私のような者は思うけど。みっともない挑発はアメリカ人などが好んでするんだが、そしてそういうのをマネする人が日本の若い格闘技の選手なんかにも増えてきたが、日本人の良さがないよね、そんなのは。下品で幼稚な国のマネなんかしなくてもいいのに・・・。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、こちらのブログの愛読者の方から、今回のイスラエル軍のレバノン・ヒズボラとの交戦は「レバノン侵攻」とは呼ばないのか、というようなメールをいただいた。で、テレビなんかはどうか知らない、うちの新聞などでは少なくとも、記事の文章ではイスラエル軍の侵攻、と書いていますね、今回は。ただ、レバノン侵攻というのを見出しには確かに余り使っていないけど、これは昔の有名な「レバノン侵攻」と混同するので使っていないということ。特にイスラエルに気を遣って「侵攻じゃなく進攻に統一する」みたいな話はないですね。
 ちなみに、米軍のイラクへの攻撃はもちろん「進攻」に統一でした。わが日本国も米軍の仲間であったからです。正義の軍は(!)侵攻ではなく、進攻を使うことになっております。
 よって悪の帝国であったソ連軍はもちろん「アフガン侵攻」です。米軍のパナマやグレナダへの軍事行動はその時点じゃ進攻が多かったのではないか、しかし最近の記事をデータベースで検索すると「パナマ侵攻」とか「グレナダ侵攻」もけっこう平気で出てくるので、時間がたつとどうでもよくなるみたい。
 ま、どういう理屈であっても、どんどん他国の領内に進軍して物を壊してまわっている状態は侵攻でしょうよ、なんであろうと。別に使い分ける必要もないとは思うんだが・・・しかしアメリカの新聞なんかでは、インバージョンとマヌーバースとは使い分けているのじゃないかと思いますけどね。
 そういえばライス長官がイスラエルを口説くときに使った「停戦ではないけど、継続的な暴力の停止状態を作ること」という謎の表現は微妙でしたね。まるで日本人みたいです、敗戦を終戦と言い換えるとか、撤退を転進と呼び替えるとか・・・。まあ継続的な停止状態は明らかに停戦だけど、イスラエルのメンツを考えて「停戦とは呼ばない」というだけのこと。本来は明解なことが好きなアメリカ人でもこういう訳の分からない理屈のない屁理屈みたいなことはやるんですな。
 ◇  ◇  ◇
昨日の産経新聞で。「暑すぎて仕事になりません−。地球温暖化防止対策の一環として、冷房設定を28度にしている環境省で、OA機器の出す熱などで室温36度を記録した部署もあり、職員から「オフィスの室温を28度以下としている労働安全衛生法に違反している。熱中症になりそうだ」と悲鳴が上がっている。・・・職員とパソコンやコピー機などがひしめくオフィスは室温30度を超える日が少なくない。・・・アンケートでは「対策の名の下に行われる何の効果もない精神主義的取り組みにNOを主張すべきだ」「冷房を制限しても扇風機をいっぱい置くなど、意味がない」「幹部の自己満足」などトップダウンで決まった方針に厳しい意見が並んだ・・・霞が関の合同庁舎では、トイレの温熱便座のスイッチが今も入っており、職員の1人は「首尾一貫しない取り組みより、合理的対策を」と話している」ほーら、匿名でアンケートとるとみんな全然クールビズなんてむかついてるんじゃない。実際のところ「精神主義的」そしてトップの「自己満足」・・・よく分かってるじゃないか。
 本当にどうにかしたければ、実は冷房温度なんて意味ない。根本的に、もっと日本中の職場で在宅勤務を推進することだ。それからコアタイムだけ決めて、少なくとも出勤退社時間を24時間フレックスにすること。逆に電車の運行時間をもっと長くすること。これに尽きる。それで環境対策にもエネルギー対策、交通対策、災害対策、さらにストレスの問題、みな解決だ。サマータイムなどくだらないのだ。完全にばらばらにして集中を避けるのが一番だ。なにより毎日毎日出社する、という制度をなくすべきだ。
 ネクタイ一本外して何の意味があるか。とにかくああいう軽薄な話が我慢ならない。出社しなくて良ければ、はじめから服装など問題にならない。営業かけるにも自宅近くでかければいいのだからかえって相手は喜ぶだろう。



2006年8月03日(木)
 ほほう。亀田の試合があったんですか。でも、見ないほうが良かったみたいですね。私はもちろん見ませんでした。「世界ボクシング協会(WBA)ライトフライ級王座に2日、亀田興毅選手(19)=協栄=が就いた。1回にダウンを喫しながら、判定勝ちで世界ベルトを奪取。舞台の横浜アリーナは亀田人気で沸騰したが、後味の悪さが残った勝利でもあった。・・・勝者が告げられると、会場は歓声と同時に、釈然としない空気が流れた。1ラウンド、フアン・ランダエタ選手(ベネズエラ)の強打が顔面に当たり、ダウンを食らう。その後も右目の上まぶたを切る大苦戦。地元ひいきは否めない。・・・亀田は低迷するボクシング界の救世主だ。テレビの高視聴率が物語るように人気は全国区。若い女性を中心にファン層を掘り起こし、観客の閉鎖的なイメージを一新させた貢献は大きい。この日も入場券1万5000枚は完売。中継したテレビ局関係者は「今、顔が覚えられるボクサーは他にはいない。インパクトがあるし、最高の素材」とドル箱スターを持ち上げる。しかし、こんな試合を繰り返しては、亀田人気はバブルではじけるかもしれない」というこの記事、えらく辛口だがどこのスポーツ紙か、と思えばなんと時事通信の記事だ。新聞社などより比較的、当たり障りない内容にまとめる必要のある通信社にしてこの書きっぷりなのだから、まああまり褒められた内容じゃなかったのでしょう。
 私はスポーツ嫌いで、しかも前にも書いたようにその業界やスポーツマスコミなどが煽り立てて、あるいは本人も計算高くてうまくふるまうことで作った実力のない者のバブル人気のようなものが大嫌いな人間です。当然ながら、ビッグマウスの亀田選手なんてものをそんなに好感を持って見てはおりません。が、あの選手は口先と内面はけっこう違う人のような気がしますが。とにかく、スポーツ選手は面白いだけでも商売上手なだけでも結局、駄目で、強くなければ大言壮語も空しいだけです。どこか自分に不利な外地で防衛でもしない限り、人は本心からは納得しないでしょうね。
 ◇  ◇  ◇
 昨日はIKEAという船橋の家具店に行きました。夏休みに二度ほど遊びに行って、なかなか観光スポットとしては面白いと思った、とけっこう持ち上げ気味な記事をここのサイトでも書きました。
 が、昨日は、妻の部屋の模様替えに家具を買いに行ったわけです。お遊びじゃなくて、家具屋には当然、家具を買いに行くのが本番であります。で、その感想を率直に申し上げますが・・・はっきりいって、私は二度とあの店には行きたくない。
 私はあまり、芸能人や上のようなスポーツ選手、政治家のような公人については好き嫌いをはっきり書きますが、個々の店舗などについてはあまり否定的には書かないようにしています。映画評などもどっちかというと甘口です。やはり営業妨害になるようなことをむやみに書き散らすものではないし、それに単なる好き嫌いなど、個々人で違うレベルのことは行っても詮無いし、と思うからです。
 が、IKEAは駄目ですね。好き嫌いで言えば、むしろどっちかというと好きだったんですよ。飾らなくて合理的で、素朴で、わりと温かみがある感じで。でもそれはお遊びでテーマパークのように歩いて、飯食って、ちょっと雑貨買う分だけですね。本式にでかい家具買うとなるとぜんぜんなっちゃいません。
 家具そのものは、まああんなもんなんです。そんなにいい物があるわけじゃないのは初めから分かっている。しかし、それを実際に買うとなると、とんでもないことになる。自分ででかい家具運搬用のカートを押して、ショールームにあった陳列品の番号を自分で鉛筆で控えておいて、それを棚から下ろして・・・これがそんな簡単なことじゃない。体育館みたいなところに家具が山積みになっており、でかいカートを押して行ったり来たりも大変だが、それで、いかに組み立て前といえども2メートルもある家具のパーツを自分で積まねばならないのだが、そんなもんそんなに簡単じゃないのですよ。重いのなんのって。老人や女性だけでは無理でしょうね。男性でも独りでは、かなりきついでしょう。
 それをひいひい言いながらレジまで運ぶんですが、まあセルフサービスがコンセプトなんだからそれもいいでしょう。が、精算する段になってとんでもないこと!
「お客様、この商品は@の商品とAの商品と、両方を持ってきていただかないと・・・」
「え?」
「@のほうにバーコードがついておりまして、Aだけではお売りできないんですが、どうなさいますか」
 どうなさいますか、といって振り返ると・・・後ろは精算待ちの客が長蛇の列だ。今更、あの倉庫まで戻って@の部品とやらを取りに戻るなど不可能である。
「もういい。キャンセルします」と、私が言う前に妻がいらいらして言い放った。そんなもん当然である。一体、ショールームにも、倉庫にも「この商品は@とAの両方が必要です」などという説明はあったと思えない。もし仮にどこかにあったにしても、少なくとも私は気づかなかった。しかも、その@とかAというのは、私たちはチェストを買い求めたのだが、その外の枠が@で、中に入れる引き出しがAなんだと。あのなあ、どこの世界に引き出しだけ別売りする馬鹿がいるんだよ。スウェーデンじゃそうやってるのか。
 この店は合理性が売り物、だというがそうじゃあるまい。合理的なんじゃなくて単なる手抜きじゃないのか。
 そう思ったが、まあ私もここは「こういうことは困るんだよなあ」とは言ったが、まあなんとか怒りを抑えた。しかし費やした無駄な労力、無駄な時間を考えるとむらむらと怒りがこみ上げるのだったが。
 その後、車で来ていなかったし、また、そもそも車に乗るようなものでもなかったので(なにしろ2メートルもある棚の部品があったので、普通車じゃどっちみち積めない)配送を頼んだのだが、こっちがまたいけなかった。床に1番とか2番とか番号があって矢印がついている。看板を見ると、船橋市や浦安市など近隣地区は1番、都内までが2番、などと地域によって区分けがされているようだった。なるほどと思い、空いている1番に行くと「ここはいちばん後ろに並んでください」と店員がかなり横柄な態度でぬかす。「どうして、1番とか2番とあるじゃないですか」と妻が聞いたが「それは関係ないんです」なんてしゃあしゃあと言いやがる。「馬鹿野郎! だったらはじめからそう言って誘導しろ、馬鹿が」とついに私は切れたね。その馬鹿女を怒鳴ってやったけどね。
 事実、後から来る客も分からなくて右往左往してるんですよ。家具屋なんてそんなにしょっちゅう来るもんじゃないだろう。こんな店の常連なんているわけがない。だから一見さんでもはじめてさんでも、ちゃんと分かるように説明を尽くすのが義務だろうが。しかもなんでもセルフサービスの合理性を売り物にする割に、だったらどんな馬鹿でもアホでも田舎物でも、どのような客でも間違わず、確実に利用できるようなシステムにしておけ。それが合理的ということの本当の意味だ。繰り返しになるが、あそこは合理的じゃない、ただの手抜きだ。そもそもちびちびと客が鉛筆でメモ取ったり、自分でピックアップする間、誰一人相談できるスタッフもいない。ことに倉庫に一人もいないというのはどういうことか。けっこう暇そうにだらだらしてるスタッフもいるじゃないか。なにをぼけっとしてるんだ。
 それに、物を尋ねても実際、あれが外資系の教育なのかしらないが、なにか店員の態度が横柄だ。それは確かにそう。いかにも売ってやっているという感じだ。そりゃ欧州などいくとそんな感じの店も多いが、そういうところは品質とか内容に万全の自信があるから威張っていてもつりあうのだ、中国製の安物家具など売っていてなにをそんなに威張っているか。
 スウェーデンの家具、なんていっても実質はみんな中国製である。そんなに素晴らしいものなどあるはずがないのである。
 そのわりにまた、安いのかというとそんなに安いわけでもないんですよね、実は。ちょっといいな、というもんはやっぱり4万5万、あるいは10万超えるものもあるわけ。
 まあね、客層見ても外国人か若い新婚カップルみたいなのが多いから、そろそろ40に近い私などが合っていないのかもしれない。しかし別に、ここで三越みたいなサービスは期待していないのだ。最低限の努力はしたらどうか。
 道を尋ねても「あそこのショートカットを右に行って」とか抜かした店員がいた。なにがショートカットだ、近道といえばいいだろう、ここはストックホルムでもニューヨークでもないんだよ。なんか、最初のものめずらしさで客がどっと来たから、舞い上がって調子に乗っていやしないか。もうまもなく200万人来店だって聞くが。2ヶ月ちょっとの成績だからすごいけどね。でも、いつまでも日本の客はものめずらしさだけじゃ来ないぞ。
 もっと合理的にするなら完璧にしてもらいたいし、あるいはもっと安くしてもらいたいと思うね。そうじゃなきゃ、わざわざ行って面倒な家具運びなどするほどの店じゃないと断言する。レストランの肉団子も3回も食えばいい加減、飽きた。
 帰りに頭が来たので、近所のダイエーの家具売り場で、腹いせにチェストを探した。たまたま家具のセール中で、ちょうどおあつらえ向きのを見つけてしまった。IKEAのよりずっときれいで、お安い。しかも配送は早いし(IKEAなど10日もかかるのだ、たった車で30分の距離で)、配送料まで1000円も安い。しかもダイエーのほうが3階の室内まで運ぶ追加料金込み、である。
 二度とIKEAに行く必要がないのは、だから言うまでもない。一生行かないだろう。二号店がまもなく神奈川県にできるというが、神奈川の皆さん、ものめずらしさで最初は見に行かれるだろうが、過剰な期待はしないことです。イメージばかり北欧でカッコイイがしょせん割高な中国製品を手抜きサービスで売りつけるだけの三流家具屋だ。実力以上のバブル人気という意味では私が嫌いなあれとかこれとかと一緒である。
 ◇  ◇  ◇
 帰ってきて、まだむかついているうちにまた腹立たしいことがあった。ネット通販で注文しておいたブレザーの業者から、連絡メールを出したが返事がないので、1週間たったのでキャンセルになせていただきます、というメールがきていた。私は注文後、確認メールしか受け取っていない。おそらくは迷惑メールとしてどっかに行ってしまったんだろう。今時はもう、迷惑メールフィルターにどんどん引っかかるからそんな事故は珍しくない。しかし、なんの確認もせず、一方的に有無をいわさず「もうキャンセルした」という内容には無性に腹が立った。文面も一応丁寧だがつっけんどんで、よくあることだがメールというのは馬鹿丁寧ぐらいでいいのである、それがけっこう生意気な感じで「連絡がありませんので、キャンセルします。ご了承ください」と実に冷たい。まったく思いやりのかけらもない。というか一応、客になろうという相手に実に不遜だと感じた。「実に不遜な文面で、生意気だ。そんなところから買いたくないのでもう結構です。お元気で」というようなことを書いて返信してやった。
 その日のうちに、もう次の店を見つけて新たな注文をした。馬鹿馬鹿しい、世の中、代わりなんていくらでも見つかるのである。
  


2006年8月01日(火)
 大衆の世論なんて、フランスの小都市でも、アメリカ合衆国でも、どこでも愚劣なものである。(スタンダール「赤と黒」)
 神話化、というものが嫌いである。そして、神話化を招きやすいが為に私は民主主義を信用していない。
 たとえばである。みんなが学級会のようなものをしているとする。で、先生が1+1=2です、皆さんはどう思いますか、と聞く。おそらくほとんど圧倒的大多数、というか全員が賛成のほうに挙手するが、それは客観的に間違いないものに対してみんなが支持するのだから問題はない。別にみんなは、多数の意見に迎合して1+1=2を正しいとしたわけではない。
では、先生が「1+1=本当は3じゃないでしょうか。いつでも答えは2でしょうか。精神力があれば3にも4にもなるんじゃないですか」と言ったとする。すると、権威ある人の発言に、クラスのみんなは恐る恐るお互いの目を見合わせ、1+1=3の説に宗旨替えしていく。おそらく、ほんの1人か2人、納得しないで「それでも1+1=2でしょう」と言い張るが、多数決としては先生の唱えた1+1=3が圧倒的多数で可決される。それ以後、そのクラスでは算数の時間、1+1=3を前提とした授業が行われる。当然ながらすべての計算の結果が狂ってくるけれど、みんな従うしかない。それが多数決の結果なのだから・・・。
 あまりに単純なたとえ話だが、たとえばナチスドイツ、たとえば戦前の日本で、あるいは9・11以後のアメリカや昨年9月の日本で繰り返された大衆ヒステリーというのはこういうことだったのじゃないか。私は自身がマスコミに一応属しており、また第二次大戦前のそういう時代のことをいくらか研究しているにんげんなので、神話化とか大衆迎合、情報操作、そういうものにごく通常の人より敏感である。
 だから、宣伝・広告や情報操作、大衆扇動の力で生み出される大衆的人気のあるものは基本的に嫌いである。かつて会社で宣伝部に所属していて広告代理店のあり方にも直に接したのでなおさらそのように思う。
 具体的に言えば、私は現役時代のONなら、具体的な数字を残した王貞治を評価して、目に見えない大衆人気の先行した長嶋茂雄を好きでなかった(ただ、その後の文化人や監督としてのONについてはどちらも非常に尊敬している、あくまで現役時代の選手としてどう思っていたか、である)。今で言うなら、目に見える数字を残しているイチローは好きで、松井はそれほどの選手と思っていない。精神的な、象徴的な、あるいはあの人はナイスガイですといったイメージは一切、評価の要素に入れない。大衆人気は高いが、本当にそれだけの価値があるか、と思うものは嫌いであるから、客観的に見て最高でも世界の標準の中の下、といった日本のサッカー選手などは誰一人、評価しない・・・あえていえば死ぬまでサッカーをしていたいと表明している一ベテラン選手は、継続という実績があるから、その点で尊いし自分は評価する。
 堀江も、村上も、彼らが人気が高いときから嫌いであった。そして小泉純一郎は一貫して嫌いである。彼らに見るべき点があったことは十分に分かっているが、私は彼らの実態が世評ほどにすごいとか優秀であるとかは、やっかみや嫉妬抜きで、どうしても思えなかった。水増し人気、バブルである。実体なき株価の暴騰、である。
扇動が成功すると、そのことを崇拝する者たちから、批判を許さないような空気が生まれる。そのとき、実態以上に水増しした神話化が起こり、止めることができなくなる。違う意見を持つことが出来なくなる。
 同様の理由で、ビートルズや美空ひばり、モーツァルトが好きではない。それぞれ偉大な音楽家なのは分かっているし個々の曲には好きなものもあるが、それらを嫌いだとか否定的に語るとか言うことを世間が許さない空気が憎い。だからあえて嫌い、と公言する。
 大衆的人気があるブランド品・・・それは矛盾であるが、いまや日本では少なくともルイ・ヴィトンやグッチ、プラダなどはまさにその大衆的ブランド品である。本当に通人好みの鞄や靴、時計のブランドはそれぞれの専門分野で別にあることは、少し詳しい人なら知っているが、大方の人は他人と同じものを持つことで安心を得たがる。私には理解できない。たとえばロレックスやオメガは有名ではあるが最高級品ではない。フェラガモの靴など少なくとも紳士ものにかんしては、通人が好むようなものではない。
 左様な天邪鬼な態度を取っていると、世間の評判が高くしかも、実力もあるもの、実際に素晴らしいものを見落としたり見損なう危険性は確かにある。掛け値なしでいいものに背を向けてしまう恐れである。
 が、駄目なものを世評にそそのかされて崇拝する危険よりははるかに好ましいので、私はあえて出来るだけ大衆人気の匂いから遠ざかるようにしている。
 なんでこのような駄弁を今日は費やしているかというと、宮崎アニメ、である。「ゲド戦記」が公開されたが、そして当然ながら動員はすさまじいが、見た人の感想はきわめて辛いというか、酷評も少なくない。
 実のところ私は、かつては宮崎アニメの非常なファンだった。初期の「太陽の王子ホルス」とか「未来少年コナン」などに小学生時代に感動し、「ナウシカ」「ラピュタ」そして「魔女の宅急便」までは飽くことなく何度となく見返した。ナウシカなど、当時
は家にビデオがなかったので(世間でどんなにみんなが持っていようと流行しようと、なかなか取り入れないというのは実家の流儀の影響かもしれない)音声だけ入ったテープを買い、これを・・・多分は100回も聞いたと思う。それで、「また一つ街が死んだ・・・。行こう、ここもじき腐海に沈む」というユパ・ミラルダの冒頭の独白から最後まで、あの映画の台詞・音楽はことごとく再現できる。
 それほどのファンだったが、「トトロ」は世評は高かったが私の中ではさほどの印象はなく、なんだか大衆路線というか教育路線、お子様路線を狙ったな、という感じであった。「紅の豚」ははっきりいってさほどに面白いと思わなかった。だがどうしたものか私がちょっと見限り始めたころから、なぜか世間様は宮崎アニメを神話化し始めて、「もののけ姫」あたりからはとにかく大御所・大家の扱いとなったが、私は逆にあのもののけで、決定的に見限ってしまった。以後、「千尋」も「ハウル」も全く見ていない。アカデミー賞を取ろうがなにをとろうが、私には中期までの作品のほうが魅力的である。大家になってからの作品は切れ味悪く、ストレスがたまる。なお、ジブリ作品では
、申し訳ないが高畑作品はなんかスケールが小さく波長が合わない。
 で、「ゲド」である。宮崎監督の子息のデビューというが、なんで親の七光り、宮崎も駄目になったな、とひそかに思ったし、予告を見てもナウシカに似ている、なんじゃこりゃ、と思っただけ。もちろん見る気はなかった。
 が、事情を聞くと、ゲド戦記はそもそも宮崎がかつてアニメ化したがったがル=グィンに断られたそうである。それが権利がクリアになって、今頃になってル=グィンのほうから「ぜひ有名なミヤザキにアニメにして欲しい」と今度は言ってきたのだとか。しかし、宮崎駿はすでにピークを過ぎたという自覚がありこんな大作を今からやるのはきついと感じ、断った。するとプロデューサーが、それじゃ息子にやらせよう、ということに決め、当初は父親は不快に思ったというのである。そして、試写を見た宮崎駿は、三日間なにもいわずに「とにかく素直な出来だった」とだけコメントしたとかいう。つまり、ちょっと最初のイメージとは違う話だったようだ・・・が、ジブリの名義で、自分のスタッフを使わせてデビューさせてしまった以上、父親の責任は免れない。
 あまりにも、巨大な原作を、あまりにも経験のない素人が指揮する。無謀だった、演出が全くなっていない、なんの話かちっとも分からない、という批評が専らのようだ。
実際のところ、親の七光りでたとえば、有名な指揮者の倅だが音楽教育など受けていない素人が突然、NHK交響楽団で第九の指揮をしたようなものじゃなかろうか。普通なら考えられないことだ。絶対にデビューできないはずである。
 それに、たとえばロード・オブ・ザ・リングは前後10時間3本の映画であった。ナルニアは全部やればもっと長いものになるだろう。とにかく原作一巻につき一作である。ハリー・ポッターもしかりである。原作3巻を2時間10分にしたブレイブ・ストリーでも不満は残った。なぜ、ゲド戦記のような巨編の映画化なのに、途中つまんだ2時間ほどの映画になったのか。うけそうなところだけ手っ取り早く、という制作サイドの意思が見えて、原作ファンは怒るのは無理もない。
 あまりにも無残な批評が続くので、私の天邪鬼の虫がちょっとうずいてきた。ひょっとすると、そんなに評判が悪いのなら見るかもしれない。ダ・ヴィンチ・コードもカンヌでの酷評を聞いて見る気になったのである。
 さらに注意してみると、マスコミの公式の記事などはたとえば宮崎駿のアカデミー選考委員辞退の報を受けて「デビューいきなり大ヒットした息子の活躍に、自分も創作に燃えたくなったらしい」などと解説するものがあったが、そんなものは、逆にあまりに息子の作品がひどく、ジブリや宮崎の名が傷つくのではないか、と恐れたための辞退かもしれない。そもそもミヤザキとジブリの名なくして新人の作品があんなに動員できるはずがない。その他、なんとかして「勝ち馬に乗って一緒に儲けよう」と談合したかのような記事が多いが、実際に見た人の批評とはかけ離れている。
 ジブリを批判して、内容はどうであろうと必ず興行的にはヒット確実な勝ち馬に乗れないことを恐れるのであろう。それはジャニーズ事務所を批判できない芸能マスコミ、オリンピック委員会やサッカー協会に出入り停止になることを恐れて日本選手を否定的に書かないスポーツマスコミ、そして軍部とのトラブルを恐れて大本営発表を垂れ流した戦前の日本のマスコミと大同小異であろう。
 そういう観点からして、褒め称える報道と、実際に見た人の酷評が乖離するほどに、私のいやらしい斜に構えた探求心は刺激されるのである・・・。

2006年7月31日(月)
今日31日から、JTBが新手の夏休みパックを発売するのだ、という読売新聞の記事を見かけた。「・・・インド洋に浮かぶ有名リゾート地・モルディブの小島一つを1組の旅行客で貸し切る豪華ツアーを、31日に発売する。6泊8日(機中1泊)の料金は2人1組で796万円。1組は15人までで、1人分の追加料金は大人が98万円、子供が83万円。大人15人なら、旅行代金は合計2070万円になる。初年度は10組の販売を目指す。 島は歩いて1周15分程度の大きさ。スイートルーム付き1棟を含む4棟のコテージがあり、現地の約30人のスタッフがもてなす。・・・現地の美容施設やジャグジー付きの豪華クルーザーなどもすべて無料・・・食事は「星空の下のビーチ」など好きな場所を選べ、シェフが希望に合わせた料理を作ってくれる」のだとか。
 さらに詳しいところをJTBのサイトのリリースで探す。http://www.jtbcorp.jp/scripts_hd/image_view.asp?menu=news&id=00001&news_no=550これであろう。なんでも「ラニア&ウォーター・ガーデン・アイランド・スパ」というのが正式な施設名らしい。レストランという物はなくて、ビーチでもどこでも(といっても、どこまで行っても砂浜ばかりじゃないのか)シェフのジェームス・ノーブル氏が、フレンチからエスニックまでゲストの注文通りの創作料理を作ってくれるんだと。で、ダイビングやフィッシングのインストラクターやセラピスト(どうして?)まで随行するんだと。また、普通の料金だと成田からシンガポールまでビジネスクラス、そこからマーレというところまで乗り継いで、マーレから水上飛行機で島まで行くのだとか。さらに3000万円出すと(!)専用ジェット機で成田からマーレまで送迎してくれるとさ。
 どうです、こんなの? 二人一組796万円が最低料金らしいので、夫婦共稼ぎでそれぞれ398万円出せる、という家庭なら無理すればセレブ、というほどの人でなくとも行けなくはない。あるいは上のヨミウリの記事の試算のプランだと、15人で一人138万円となるから、こうなるとそれほどの人じゃなくとも、まあ不可能ではない・・・そういう設定である。なんか中途半端な気もしますが・・・これだけぽんと即金で出せる人なら、島だってジェット機だって自分で買ってしまった方が良くない?
 私なら、島に行ってから一週間、ぜんぜんアウトドアなことしないでダイビングの先生やクルーザーのスタッフを怒らせ、シェフには「サンマの塩焼きと肉じゃが作れ」とか無理を言ってやりたい。
 にしても、海賊が来たり、暴風雨がおそったり、津波に流されたり、という危険はないのかねえ。いざとなったら誰も助けには来れないと思うが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 テレビ朝日の番組で日本戦没者遺族会会長の古賀誠さんが、例の昭和天皇のメモについて「大御心に胸を打たれました。メモは偽物という話もあるようだが、とんでもない議論であり許せない」と発言したとか。実際、あの初報が日経新聞に載り、その後各紙追い掛けたわけだが、2ちゃんねるの右翼系の人々などはあれは日経のねつ造、と必死に言い立てているようである。
 私は、あのメモの真偽、というようなことにはコメントしない。はっきり言ってわからないことだ。なぜ今、出てきたか、ということも分からない。なにか思惑がある人がいるのかいないのか、それも分からない。ただ、こういうネタで全くのねつ造というのは考えにくい、ということは思う。もっともあくまでメモ書きなので、その内容をどう解釈するか、確かに問題は残るだろう。
 そのへんはまあ、置いておくとして、古賀さんの「大御心」という言葉に大時代なものを感じる一方で、昭和天皇の「意思」というのをひと言で表すならやはり「大御心」はぴんとくるな、と感じた。古賀さんには、おそらくあのメモで初めて知った、という次元じゃなくてほかにもいろいろ確証があるのじゃないかと推量する。少なくとも2ちゃんねらーの人たちとは立場が違う。要するにその大御心の具体的な内容について、もっと知っていることがあるかもしれないと思う。
 要するに私は、こういうねつ造だ、というような声が右翼的な人らから出るのを見聞きするに、2・26事件や終戦のころの「憂国の士」の人らの「片思い」を想起するのである。つまり、「陛下はこうお考えに違いない」「陛下はきっとこう思っておいでのはずだ」「それをねじ曲げているのは君側の奸だ」という思いこみで、大御心を勝手に忖度し奉ってしまう、ということが繰り返されるのである。そしてそのたびに、大御心、つまり崇拝の対象である神としての天皇とは違う、生身の意見を持った個人としての天皇というものが現れるわけです。そのご本人の大御心は、憂国の士という人々とはまったく食い違っている、ということがたびたびあるわけ。そうすると、2・26の青年将校など「一に大御心に待つ」といいながら、実際にその大御心で勅命が下ると「奉勅命令は偽物だ」とか「怪文書だ」と言いだし、さらに「本当に陛下が間違っておられるとするなら諫言申し上げるべし」という発想にさえなる。
 ここらへんが諸外国の君主制になれた人には、そしてそういう前提でしか理解しない左翼系の人らは理解できない話になる。普通の国じゃ王様は絶対となれば、王様個人の意思が絶対であり、本人がどう考えているかは本人が口にすることで分かる。それに対してイエスマンが忠臣で、逆らう人は逆臣となる。わかりやすい。しかし日本の天皇というのははっきり意思表示しないわけ、昔から。それが前提になっている。だから、自分は忠臣の中の忠臣だと信じているような人ほど、いつのまにか逆臣の中の逆臣になってしまったりする。
 「大御心はこうなんだから、聞きなさい」ということを中枢にいる人が言う時、それは実際に生身の本人の意を体していたりするわけだが、中枢から疎外されているような人ほど勝手な忖度を続け片思いを続ける・・・こういう構図がある。で、天皇なる中心部と直結できれば、途中にいる高位高官も全部、下剋上していいんだ、という意識。これが日本の理解しにくい軍国主義の基本形になっていたわけでありましょう。
 ま、今回の「ねつ造騒動」は直接、関係ないんだけど、古賀さんが大御心と言い、それを疑う者は許せない、と言ったという話を聞くにつけ、いまもって「つまり本当はどう考えていたんだよ」というのがはっきりしない国柄が、ああいう反応を生むんだろうな、ぜんぜんそのへんの雰囲気は変わっていないじゃんか、と思った次第である。
 
 

2006年7月30日(日)
国を揺るがす大ニュースじゃないのかもしれないが、聞いて腹が立った。「30日午前2時5分ごろ、静岡県浜松市・・・の市道交差点で、パトカーに追跡され赤信号を無視して進入した乗用車が・・・乗用車に衝突。・・・助手席にいた妻・・・(25)が死亡、・・・後部座席の同僚男性(39)も骨折などの重傷を負った。浜松中央署は道交法違反(酒気帯び運転)の現行犯でパトカーが追っていた乗用車の・・・コンビニ店員清水雅敏容疑者(35)を逮捕。業務上過失致死傷容疑でも追及する。同容疑者は打撲の軽傷。・・・清水容疑者は現場の西約700メートルの市道で行われていた飲酒運転の検問を突破して逃走。・・・「酒を飲んでいたので逃げた」と供述しているという」(共同通信)というんですが、けっ、てめえは軽傷なのかよ。意気地なしが、自分が死んで詫びろ。
 交通事故の審理に裁判員はつくんでしたっけ? とにかくこんなヤツ死刑にしろ。こういう手合いというのが虫唾が走るほど嫌いだ。悪質な運転で多数の人をひきとばしたヤツがこのところ多かったが、逃走して致死事故をやらかしたのは悪質だ。こんなのは逮捕する前に半殺しにしてやればいい。
 にしても飲酒運転は高くつくですよ。なんとかシドウさんと浮気相手の件もそうですけど。
 そういや話の性質は違うが、ちょっと前に、男が自殺して下にいた人が巻き添えになった、というような話を聞いたときもものすごい嫌悪感を覚えた。
 甘ったれめが、死にたきゃ独りで死ね。死ぬなとはいわないし、いろいろ事情もあるのだろう、しかし他人を巻き添えにする権利など古代の王様じゃあるまいし、そんへんの有象無象の弱虫野郎にあるものか。
 よく、人身事故で鉄道が止まるたびに、激しい嫌悪感と憎悪を覚える。もちろん事故の場合はお気の毒だが、自殺の場合は、そんなやつの魂は地獄に落ちて永遠に浮かばれないといいな、と心底から思う。
 ◇  ◇  ◇
 ところで。今の日本じゃ年間で44万匹の犬と猫が保健所で殺処分になってるというのを前にどこかの記事で読んだ。あれ、ガスで窒息死させるそうで、はっきり言ってナチスの収容所のやり方だそうである。
 それについて、処分寸前の犬や捨て犬をなんとか救おうという活動をしている人たちがいる。で、そういう人たちの掲示板の一つ「いつでも里親募集中!」http://satoya-boshu.net/というのがあって、もともと動物好きの妻がこれを見るのにはまってしまって・・・いや、はまる、というのも語弊があるんだけど、しかし我が家もすでに、瀕死の状態で量販店やペットショップに放置されていたヤドカリなんかを大量に飼っていて、家中にでかい水槽が20個以上もある状態である、ちょっとこの上に気の毒な犬や猫を引き取る余裕はないもんだから、どうしても眺めるだけになってしまうのであります。
 が、妻も言うのだけど、動物愛護的な観点だけじゃなくて、今の世の中、人間様のほうの問題を勉強するにもうってつけのサイトなんですよ、実は。というのは、それぞれの犬・猫が処分に回されるまでの経緯というのが書いてあるんです。たろえば「経緯・元飼い主は母犬を置き去りにし、引っ越して行ってしまいました。近所の方が困りセンターに送り、ついに処分の運命になっていました。当会で引き取った時にはすでに出産間近でした。2006年5月15日 無事出産し、生まれてきたこの子達の飼い主を求めていますという具合。で、 犬猫がそんなにたくさん放置される理由というのが、まず近頃やたら多いのが、老人の問題。年取った飼い主が先に死んでしまい、後に残された犬とか、飼い主の痴呆が進んでしまって飼えなくなり、家族もそっちの介護で手一杯、あるいは息子や娘がマンションやアパート暮らしで犬猫が飼えない・・・こういう事情の例が凄く多いですな。「伯母の飼っていた犬なのですが、高齢のため飼うことができなくなったため私はアパート住まい、実家には既に犬と猫を飼っているため、これ以上飼うことが難しく、急遽、里親さんを探すこととなりました」といったケースですね。
 また、これも今時を感じるのが、経営者の裕福な家で幸せに暮らしていた高級犬なんだがある日突然、会社倒産して一家夜逃げ、犬だけ放置されてたとか、リストラで失職、飼えなくなりましたとかもまた目立ちます。「会社倒産の一家がこの子だけ庭の木につないだまま居なくなってしまった。屋根もないところに何日もいたらしく、保護されたときは痩せこけて毛玉だらけで悪臭を放っていた。健康管理はされていなかったようで、フィラリアに感染している。現在、シャンプー・カットを終え、体重増加すべく栄養補給中(21s→22s)」みたいな例ですね。
 さらに目に付くのが、このような一応の理由がある例じゃなくて、ただの身勝手。特に10年以上もかわいがってきたけど、犬が年を取ってきたので介護が面倒なので捨てた、とかとにかくブランド品と同じようにその時々の流行の犬猫を買ってはポイ、を繰り返す少々、常軌を逸した人とかいうのが結構おります。こういう人ははじめから犬猫がかわいいわけでも好きなわけでもないのだが、「自分は動物好き」と思い込んでいたりします。アホですけどね。自分は子供をかわいがっていた、と言い張っているなんとか容疑者と同じですな。また、飼い方が悪くてなつかず、手に負えなくなったので保健所に回した、なんてケースも多いが、犬が駄目になったのはもちろん飼い主のせい。そういうヤツにかぎって、懲りずに「今度の犬はもっとなつくだろう」なんていって、無駄な犬の購入を繰り返すらしいですな。おおむね、こういう人は犬だけじゃなく、子供の教育にも失敗してるもんです。そういう実例も知ってますが。
 単なる引越しに伴って、犬猫を面倒なので捨てていった、というのも多いですね。私が前に住んでいた公団住宅など、数年で捨て犬・捨て猫がそのへんにあふれるようになってしまった。密かに既定違反で飼っていた犬猫を、家を退去する際に捨てていったんですな。
 あと、近頃らしいというのが動物虐待。それも虐待を目的として飼っているような人もいますので・・・。ぞっとしますが、こういうヤツは犬の手足折ったり猫の喉笛切ったりすることでじっと我慢してるんでしょ? 本当は人を殺したいのを・・・。
 いちばんしかし始末に悪いのは、種付け用にさんざん酷使した後、ポイ捨てするブリーダーというのですね。こいつらは商売でやってる確信犯だからいちばん悪質。まあ、そんなブリーダーは一部なんでしょうが・・・逆に捨て犬猫を引き取りすぎて困っているブリーダーとか動物病院というのもありますし。
 でまあ、いちばん問題なのはそのブリーダーから卸してきた犬猫を売りさばくペットショップの存在で、これも玉石混交いろんなお店があるんだから一概には言えないですが、それにしても「犬猫の生産しすぎ」と思うのは私だけか。こういう里親募集サイトを見れば、無料で高級な犬や猫が溢れかえっているのに、何十万円もする犬猫が今日も明日も、売られていくわけで、そのまた一定数が捨てられていくわけであります・・・。今はチワワが流行です、とかなんとかが流行です、といって売りさばき、人気が落ちると在庫生理、つまり処刑です。生き物でも何でも考え方はフツーの商品流通。しかし流通されるほうはたまりませんな。処分させられる保健所も迷惑だしなにしろ税金の無駄でもあります。
 私はことさら動物愛護的な人間じゃなく、むしろつめた〜い人間だという自覚がありますけれど、こういうサイトを見て、一匹一匹がその状態になったまでの経緯が詳しく書いてありますので、それを読んでいると下手な小説などよりずっと面白い、いや面白いというとまたなんですが、昔風に言って、一読三嘆、であります。なるほど、とも思います。
 これつまり、日本人の問題なのだな、と感じます。44万の犬猫が殺されるなら、少なくとも44万人以上の人間に経済的か精神的な疾患があった、問題があったということです。このほかにもポイ捨てされるカメや魚、爬虫類がもっといるわけでしょう。
 近頃、異常に多い子供への虐待や、逆に子供の親殺しを合わせて、日本民族の劣化をなんとなく思うのであります・・・。
 


2006年7月29日(土)
こういっちゃ悪いが、舞浜イクスピアリの映画館というのは、割といつ行っても空いている、というか私が翌日が夜勤の日を狙ってレイトショーばかり見るので当然なのだが、本当に9時すぎの上映となると、かなりの話題作でも場内がら空きは珍しくない。
 のだが、「パイレーツ・オブ・カリビアン〜デッドマンズ・チェスト」は状況が違いました。その時間帯でもほぼ満員。まあ金曜日だから世間様的にも夜遅くても構わない人が多いのだろうが・・・。さすがにアメリカではスター・ウォーズの記録を塗り替え、日本でもぶっちぎりヒットとなっているだけのことはあります。
 ということで、ジェリーブラッカイマーの最新作で、ジョニー・デップにとっても大ヒット作というよりアカデミー賞候補となって飛躍の一歩となった作品だし、キーラ・ナイトレイとオーランド・ブルームにとってはまさに出世作といえるパイレーツ・シリーズの2作目、であります。痛快そのものの娯楽度満点映画でございます。
 もはやどんな話か知れ渡っているでしょうから、簡単に申せば、時代はそろそろフリーな海賊の時代から、国家の私掠船免許発行による海賊の正規軍化が進む時代のカリブ海。本作の主人公ジャック・スパロウがブラック・パール号の船長になるために、深海の悪霊デイヴィ・ジョーンズと魂を売り渡す契約をしていた、というのが発端。約束の13年が過ぎ、いよいよデイヴィの手がジャックに及びます。さてどうなるか・・・。
 元々ミュージシャン志望だったジョニー・デップが憧れのキース・リチャーズに影響を受けて(しかも直にご本人にも会って)作り出したというキャプテン・ジャック・スパロウは本作でもコミカルかつ憎めないけったいな人物ぶりを見せ付けております。その他、海賊の話だから、裏切りなんて平気の平左みたいなヤツも多く、あくの強いけったいな人物に囲まれて、正統派二枚目のオーランドもここではかっこよく決めようにも決められない何となくずっこけ役に追い込まれてしまうわけであります。
 デップのコメディー路線は徹底的で、特に前半部の悪ふざけ振りは抱腹絶倒であります。謎の原住民部族に一行が捕らえられ、そこから逃げ出すまでのくだりはなんといっても作品中の白眉でしょう。ここまでお見事な構成はなかなかありません。
 また、今回の敵役であるデイヴィ・ジョーンズの奇怪な風貌の下に隠されたロマンチストぶりにはむしろ同情すら覚え、哀愁漂う魅力的なキャラクターと思いました。オルガンを弾き鳴らす姿はどこかオペラ座の怪人のようでもあります。
 キーラ・ナイトレイの男装は魅力的ですが、実際にカリブ海の海賊について書かれたものの本など見ると、男装の女性海賊がカリブ海に実在したそうですね。今で言う同一性症候群の人だったのかもしれませんが、死ぬまで女性であることがばれなかった、とか。
 けっこう展開は強引な感じで、そういう意味じゃ緻密とはいいきれないものを感じるのですが、どこかで見たようなテイスト。脚本を見てなるほど、マスク・オブ・ゾロ・シリーズと同じ人たち。しかしそれがかえって持ち味としていいのかもしれません。
 エンディングにかけては「次に続く」という感じが濃厚。これは三部作なんだから当然でありますが、本作だけ独立した話としてみると案外に最後のほうはあっけない気もします。とにかくいろいろな伏線が張られたくさんの人物が出てきていますので、そのへんの決着はすべて第三部に持ち越しなのでしょう。しかしこうなると、どうしてもその第三部を見たくなります。
 どうも第三部は東洋を舞台にするようでありまして、チョウ・ヨンファが出演するのだとかパンフレットにあります。日本人の海賊は出てこないのでしょうか。
 時代考証を云々するような作品じゃないとは思いますが、海洋冒険映画としてもかなりこだわった出来で、イギリス正規軍の兵士や、貴族の服装など非常に美しく、帆船も実物大を作ったようですがお見事です。
 スパロウたちが港の盛り場で水夫の募集をするところなどは、なるほどこうやって募集するのか、しかし実話じゃそのへん歩いている人をいきなりぶちのめして誘拐・拉致して船の欠員補充するなんて(海軍の正規の軍艦ですら)当たり前だったはず、それに比べれば案外、ジャック・スパロウはまともな海賊、という気もしましたけれど。
 第三部も並行して撮影したとかで、ぜひ見て見たいと思いました。



2006年7月28日(金)
夏休み明けで出社するや否やどーん、と資料の山を手渡されました。私が出てくるのを待っていたようになんかプロジェクト開始・・・。だからいいって、私抜きで勧めて置いてくれて・・・。出社するや否や、「こないだ載った君の記事ね、面白かったよ」と某えらいさんからお褒め。それはいいけど、休み中に載った記事なので私は忘れていたりして。
 特になんと言うこともなく、今日はそんなに大ニュースもないためにさっさとそれ相応に仕事を片付けまして、神田の私書箱に預けている手紙の類を引き取りに行く・・・するとこっちもすごい山になっている。
 それに、某商業詩誌から、来年1年の間、書評をやってくれ、との依頼あり。どーん。そりゃ大変だなあ。でもまあ、せっかくなんで引き受けることにする。どうせ先の話しだし。
 ほかにもいくつか執筆依頼があって、不思議なもので、ぜんぜんなんにもどこからも相手にされない時期があると思えば、急に立て込んでくることもある。どうしてこう、何事も平均的に仕事って来ないんだろう。そういうもんですか、何事も。
 神田に行ったのは別に、そんな手紙や本の山を引き取るためだけじゃなくて、先にも書いた神田の頼りになる靴店ミマツさんへ行くため。ここは、ブランド物といわれる靴が半値当たり前、である。年中クリアランスセール状態である。ただ、そういう業態ゆえなんでもかんでもある、というわけじゃない。自分のようにクロケット&ジョーンズが好きな人は是非行って見るべし。それにオールデンやアレン・エドモンズ、ジョンストン&マーフィなどアメリカ系の靴やスペイン系、ビルケンシュトックなどドイツ系といったちょっと毛色違いの靴も安い。
 で、前から書いているように、ハリスツイードのジャケットや6ボタンのブレザーを新調したので、それに合わせて秋冬向けの茶色のスエード靴が欲しかったわけ。先日、神宮前から表参道をあっちこっち行ったりして、まあ5万10万出せばなかなかのスエード靴があると思ったけど、ちょっと自分の感じじゃもう一声安いのが・・・。10万出すならもうちょっと気取ったドレス系が欲しいと思った次第。スエードにジャケットというのは、ビジネスでもちろんOKだけどちょっとリラックス系、であろう。
 そしたらミマツさんにあったあった。スペインの老舗バーウィック(創業なんと1707年!)のスエードのストレートチップ。それも内羽根。グッドイヤーウエルトでレザーソウルと言うことなし。こういうのが欲しかった。もっとカジュアル系やスポーティーなものだとスエードも多いのだけど、ドレスシューズのデザインでスエード、というのが案外にどこにでもありそうでないのです。そういう靴は高級ブランドにはあるんだが、さっき書いた理由でそれでは不満。しかしこっちのは、お安い・・・スペインの靴は大体イギリス製やイタリア製より3、4割そもそも安いのだが、それがまたここでは半値、さらに値引きとなっていて、・・・まあびっくらするようなお安さになっている。
 というわけで、これで満足、私は一人、大汗を垂らしながら、早く秋がこないかと今から楽しみにしています。
 ツイードのジャケットは袖口を10センチも縮めることになって、それで「本切羽に」とか言ったら「これだけ切っちゃうと無理です」とあえなく言われました・・・ああ、英国人向けの仕立ての哀しさ。
 しかしとにかくそんなわけで、なんかいい買い物できてひとり喜んでおります。

2006年7月27日(木)
イスラエルのレバノン侵攻がとにかく国際的には大ニュースで、イランも、それからその前の極東のどっかの国もすっかり吹き飛んでしまった。「レバノン南部ヒアムの国連レバノン暫定軍(UNIFIL)施設がイスラエル軍の空爆を受け、停戦監視要員4人が死亡した事件で、国連高官は26日、同軍の攻撃が再三の中止要請にもかかわらず、惨事を招くまで6時間、計16回続いていたことを明らかにした。・・・攻撃は計16回にわたり行われ、施設から半径100メートル内に砲弾や爆弾計12発が着弾、・・・ヒズボラは、国連施設から5キロ離れたところで活動が確認されていたが、施設の近隣から攻撃を行っている気配はなかったという」(読売)というような惨劇も起きているが、イスラエル軍の意志は固いというか、とにかくやるといったらとことんやる。
 ある人は「本当にイスラエルってけしからない国ですよね」と吐き捨てるように言った。まあはっきり言ってその通りだし、さすがに過剰防衛、過剰攻撃という声も高いが、しかし極東のどっかの島国からすると、けっこう、見習うとはいかないが参考になる話しでもあるかもしれない。
 発端はイスラエル兵士の拉致であり(もっともそれ自体が開戦口実を探していたイスラエル側のおとりだったという話まで説としてあるようだが、そのぐらいの謀略は大いにありうることだ)、そのためにこれほどの一般人の死傷を招き自軍の被害を出し、徹底攻撃を厭わない・・・これは本来、無理をして居座っている国だからとにかく「なめられない」「なめられたらおしまいだ」という論理に尽きる。そんな兵隊なんか犠牲にしても、融和・和平に努めたほうが得じゃないか、という損得勘定はないのである。そこらへん、なんでも後者のほうに流れるのがわが島国である。横田めぐみさんたちというのは、その「このぐらい犠牲になっても、面倒くさいからほっとけばいいじゃないか」ということで見殺しになってきたわけで、イスラエルと日本というのは本当に対極にあるわけです。
 どっちがいい、という単純な話じゃないが、こっちの国も「けしからない国」なんだろうとは思う。はっきり言って、私は社民党など、また辻元清美さんなど、「拉致被害なんか面倒くさいしありもしない」論をとってきた人らが、そんへんの総括がきちんとできない限りとても応援する気にならない。こういうのが野党だったからこそ、それでも自民党しか仕方ないじゃないか、という思考停止でここまできている・・・日本は不幸である。
 そういえば、「自民党の山崎拓前副総裁は26日午後、ワシントンで会見し、・・・敵基地攻撃論について「自民党全体が、戦後の軍事大国にならない、専守防衛、非核3原則という基本的な安全保障政策の原理、原則を忘れたような感じがある」と重ねて苦言を呈した・・・「たがが緩んだようだと痛感している」と強調」(時事)したというが、安倍首相の時代になると、どうなるであろうか。基地攻撃論、なんてそのへんの茶飲み話で素人が言う分には分かるが、議員ともあろう者がどの程度の覚悟で言っているのか。攻撃したら後は戦争状態であり、今のイスラエルみたいにどんどん戦線拡大する覚悟が当然あるのだろうな、ということである。そこまで考えてのことなら、それを言うのもよろしかろう。
 たとえば日本は本当に核武装する日があるのだろうか(アメリカ人などはなぜ日本のような地域対立の最前線にある国が核を持たないのか不思議だと思っている)。あるいはもう米州の一部に組み込んでいただくか(呑み込まれる、みたいな議論があるがとんでもない。お願いして拝み倒して併合していただく、という筋の話だ)。とにかく、どうしたってイスラエルのような覚悟を持った国にはなれまい。そういう選択した場合は国民皆兵である。少子化が進めばますます若い者は全員、兵役の必要がある。
 なんとなく、その「たがが緩んだ」話が進んでいるのだが、別に机上の空論でもなんでもない、2、30年のうちにそういう安全保障上のとんでもない変化があって、今からは想像もつかない方向に進むような気がしてならない。
 そのころは私なんかはもう楽隠居の年だ。とりあえずもう徴兵年限も自分はまもなく逃げ切りできるだろう。
 若い人たちには真面目に考えてもらいたい。平和ボケの時代のうちに逃げ切れそうな我々世代はラッキーだったかもしれない。

2006年7月26日(水)
 おひょひょ。思っていたような展開だが・・・。「自民党金融政策小委員会の山本幸三委員長は、日銀が7月14日に全員一致で決めたゼロ金利政策の解除は失敗する可能性が高く、その場合には、結果責任を取ってもらうと述べた。26日正午から開いた小委員会終了後、記者団に対して語った。・・・CI(コンポジット・インデックス)から見れば、昨年12月をピークに下がってきているのではないか。そこを見極めないと、日本経済の実態は分からない、としたほか、米経済減速や原油価格高騰、地政学的リスクなどを挙げ「将来的にはリスクのほうが高い。株価はそれを織り込んで、数カ月前から下がってきている」と懸念を示した。こうしたなかでゼロ金利解除が行われたことについては「失敗する可能性が高い。その時は、結果責任をきちんと取ってもらう」とした」(ロイター)なんて声が出ているのだが、早い。やけに早い。まだ2週間たっていない(笑)。
 今日はたまたまアメリカの株価が上昇しているけれど、全体の流れとしては沈滞から下降気味である。昨年に大儲けしたデイ・トレーダーもさすがに最近は儲けづらいはずだ。一瞬の値上がりのチャンスを見逃すと全体としては下がっているんだから、去年のような素人でも上がる、という話はもうないと思われる。ここだけの話、私も今年のはじめごろまではちょっとだけお遊びで株を買ってちょっとだけ儲けた。しかし堀江さんが捕まってからはぜんぜんやっていません。もう面倒くさくて。
 実際のところ、私も大丈夫かしら、と思っている。金利の話。先が読める人なんていないんだけど。専門家といってもこの世界ほど専門家と素人の差がないものもない(どんなに専門用語ひけらかして説明しても、結局、予想が当たらなきゃはじまらず、占い師とほとんど同じような仕事である)。
 ◇  ◇  ◇
 先日、恐竜博に行ったときに、一枚のビラを見つけました。千葉県立中央博物館「驚異の深海生物」http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/という展覧会の広告でしたが、妻がそれを見て行きたがりますので、昨日、行ってきました。
 千葉県民にとって、不思議と県都・千葉市は意外に影が薄い街だったりします。特に千葉市よりも都心に近い街の住民にとって、たとえばパスポート申請するといった用がない限り、まず行くことはない街でもあります。もっとも私は5年ほどの間、千葉市検見川町(現・花見川区内)に住んでいたのですが、幕張や稲毛といったこれまた千葉市の西部しか知らない。肝心の千葉市の中心部はほとんど何も知らないのであります。
 中央博物館は千葉駅からさらにバスで15分ほど、千葉大医学部の先にあるのですが、無論これがはじめての訪問でした。
 しかし、行って見てまあ、なんとも広いこと。こんなでかい施設だったんだ。で、企画展の深海生物展を見ましたが、グロテスクな目のない妙な魚のオンパレードです。特にうちなど目を引かれたのが、深海ヤドカリ。そんなものがいるんですね。深海じゃヤドカリはイソギンチャクをパンツのように穿いている、のだとか。しかしまぎれもなくヤドカリなんですよ、それが。その他、とんでもない姿かたちの怪魚が延々と並んでおります。
 そこを出たあと、常設展もついでに見ておこうか・・・と思ったのだがそんな簡単なものじゃなかった。とにかく広い広い。3時間ほども見たけど、回りきれずリタイア。ほかに外にもなにかあるようだったし、古墳もあるようだったけど、その馬鹿でかい公園を全部見て回るには2、3日かかりそうな按配ですな。
 売店で深海展のTシャツを探したところ大人気につき売り切れ中。後で配送してもらうことにしました。夏休みだからか、自由研究や日記のネタなのか熱心にメモをとるお子さんも多し。接写できる高そうなカメラで写して回っている女の子なんか真剣そのもので、お気楽に「これ、かわいい!」とかいってるだけの自分らが恥ずかしくなるほど。一方、馬鹿みたいにはしゃぐ駄目なお子さんも多し。最近はもうあのぐらいの年で差が・・・。
 その後、モノレールで千葉みなと駅に出て、船橋のIKEA再訪。また行ったんですよそれが。やっぱ面白いわここ。行くだけなら駅からはすぐで、電車で行ったほうが楽ですね。ちょっと室内のレイアウトに飽きているので(前の家からずっと使っているのでもう10年近く変化なし)なんかゴージャスなソファーでも・・・などと考えました。でかい食卓をどーんとリビングの真ん中に置くのは流行らないみたいですな、最近。テレビと向き合うようにソファーを置いて、コーヒーテーブルを置いて、並んで座るのが主流のようでした。あのほうが室内は広く使えるな確かに・・・。
 という具合で、私の夏休みは終わってしまいました。なんかそのへん行ったりきたりしただけですが・・・。

2006年7月25日(火)
岩手・洋野町で行方不明になっていた52歳の母親と25歳の娘さんの件で、青森県八戸出身の29歳だかの塗装工の男が死体遺棄容疑で捕まった、という会見が今あったようだ。今のところ理由は不明だが、単純な物盗りなのか、ストーキングなどほかの理由なのか、はこれからのようである。
 ◇  ◇  ◇
 昨日は「私立大学の危機」という話があちこちであったようだが、まあ読売の記事で引用すると「今春の入試で、入学者が定員に満たなかった4年制私立大学の割合が前年度の29・5%から40・4%に急増し、過去最高となったことが24日、日本私立学校振興・共済事業団の調べで分かった」ということである。具体的には「定員割れの大学は前年度より62校多い222校。定員の5割に満たない大学も20校あった。実際の入学者数を定員で割った「入学定員充足率」は、過去最低の約107%。1校あたりの定員が100人未満の小規模校と、3000人以上の大規模校以外は、すべて前年度より充足率を下げ、中規模校の経営環境の悪化が目立った」ということだ。他紙や通信社の報道なども参照すると、要するに東京、大阪などにある大規模大学だけで全志願者の半数を占めて、地方にある中規模の学校などは軒並み苦戦、というのが実情らしい。まあはっきりいうと、私学については都会にある昔から有名で大きな学校が圧倒的に強い、ということだ。
 なんだか、子供が減っているの、えり好みしなければ誰でも入学できるのとあおりに煽ってきたけれど、前から先の見通しある人には分かっていたことだが、こういう時代こそ有名人気校はますます人気が上がって入るのが難しくなる、上下の差が激しくなるということであって、今のご時世では、遊んでいた子供と上昇志向の教育受けた子供の差が激しくつくということだろうと思う。簡単に言えば、ますます一回の入試の結果を後の人生でリカバーするのが難しい時代になってしまうということだ。
 アメリカなんかは基本的に有名校とそれ以外の差が激しいし、そういう意味では日本なんかよりよほど学歴社会だといわれる。実際には人生のリカバーも本人の努力しだいと言う社会であるとはいえ、そんな容易なことじゃないそうである。日本ほど二度とチャンスなし、ではないというだけのことらしい。
 私は近所のお子さんを見ていると、本当になんであんなに親御さんが安心していられるのか不思議に思うのである・・・。
 それと、個人的には・・・私の妻の父つまり義父が、首都圏にある某大学の経営にかかわっているので、どうなんだろうか、とちょっと気がかりではある・・・。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、またしても横浜に行ってみた、いやあ・・・萬珍楼の点心がどうしても食べてみたくなったからである。私はなんだかんだいってこの有名店には行ったことがなかったし。
 その前に、なんとなくみなとみらい地区に行ってランドマークタワーなど登ってみる。なんともおのぼりさん気分だが、なぜか69階の展望台で池袋サンシャイン水族館から借りてきたという魚の展示をしていた。どうしたわけか、ムラサキオカヤドカリも水辺の生き物コーナーで展示されていたが、あんなに海水がひたっている状態で大丈夫なんだろうか。ちょっと分かっていない感じがしたが・・・オカヤドカリというのは全く陸生の生き物なんだけどねえ。
 そして、中華街で萬珍楼http://www.manchinro.com/の「点心館」にまっしぐら。本店は5時以後は点心は扱わず、点心館という専門の支店に任せるみたいである。で、その点心館のほうで3000円の点心コースをとったのだが、なんじゃあこりゃああ。ここのグレードじゃもちろんいちばんお手軽なコースなのに、ものすごいボリュームと、味である。いやあ、次元が違うなあ、これは。最初のトマトのスープで衝撃を受ける。餃子などもうよそのは食えない。春巻きのぱりぱり感もすごい。伊達に有名店じゃない。それに調度の立派さ、スタッフの接客も見事。本当に繊細である。1時間ほどの間に3回も、ポッドのお茶の温度を気にして取り替えてくれた。名店の沽券にかけてお客様にぬるいお茶など出せませんという意地を感じる。禁煙席(中華街じゃ禁煙席をきちんと分けていること自体、まだ珍しいだろう)には最後はうちの夫婦だけだったのだが、最後まで一瞬も隙がないサービスで感銘を覚えました、はい。
 いちばんここじゃ軽いコースなのに、妻などは最後の炒飯がほとんど食べられないほど分量もあった。ものすごくお得かも。オプションでとったゴマ団子も、餡が和菓子のような上品さで中華の枠を超えている気がする。
 浦安からだと1時間半ほどかかるわけだが、なんかまた行こう。千葉県寄りのスポットはけっこう開拓済みなので、今度は神奈川県寄り・・・というつもり。



2006年7月24日(月)
  昨日は、なんとなく原宿・明治神宮前周辺を歩いてみた。何がなに、ということではなくて、あるグルメ番組でたまたま見たメキシコ料理の店「フォンダ・デラ・マドゥルガーダ」http://www.fonda-m.com/に行ってみようか、という話になったのである。とにかく本格的なメキシコの味、ということだった。小生、メキシコの料理はタコスにしても串焼きにしてもコロナビールにしてもドンタコスにしてもカラムーチョにしても・・・いや、後半のコイケヤ関係はどうでもよいが好きである。それに引き換えブラジル料理は・・・いやいや、本当はおいしいのかもしれないが、自分が一回だけ行ったブラジル料理店はどうも大味なマメ尽くしで納得できなかったのだが。
 が、同店はトルコ大使館のあたりにつき、せっかくだから周辺のお店を見ていこうと、何軒か気になっていた店を訪ねてみた。
 まずはラフォーレ原宿とGAPの間を抜けて明治通り沿いへ。東郷神社の元帥閣下に軽く一礼し(!)ビルケンシュトックの店なんかを冷やかしながら、セレクトショップで有名なビームスhttp://www.beams.co.jp/へ。ここは対象年齢・性別で細かく客層別にブランドを分けており、同じ「ビームス」の看板を掲げていても間違ってはいると(?)まるで場違いになる。実際、最初に入ったのは若向けのカジュアル店舗で、何一つみないままに退散。チョークシトライプのスーツにトリッカーズのウイングチップ、アクアスキュータムのニットタイなどしめた自分は明らかに浮いていた・・・。三軒ほど向こうのビームスFというのがどうも30代後半から上向けの紳士服のようなので覗いてみる。実はそろそろ秋冬以後向けのスエードの靴など探していたのだが、ここにもアルティオリとか有名ブランドの靴があるのでひととおり見せてもらう。なかなかいい時計だな、と思ったのはエヴェラールの50何万だかのもの。もちろんそんなものを出来心では買わない。その他、ひととおりなんでもあるし、いいものもいろいろあるが、ちょっと心動かずとりあえず出る。
 それから、三叉路を右にとって、久しぶりにアンバー・コートhttp://www.netlaputa.ne.jp/~urvanmar/へ。ここは1年弱ほどまえに看板横にでかいモントゴメリー元帥の写真が飾ってあって、ミリタリー系の店と勘違いして入ったのだった。そのときは、タテオシャンのカフスを買って逃げたのだった。しかし今回は以前よりこういうものも見る目が出来ている。そもそもトリッカーズなんてブランドはここのお店で拝見して、惚れこんだのである。グローヴァオールのコート(モントゴメリーが愛用していたのはこれ)、エドニー・スウェイン&ブリッグの傘にトランク、ツィメリの下着、クラバッツ・オブ・ロンドンのネクタイ、オーベルシーの靴・・・ここの店で覚えたブランドばかりなので当然ながら、どれを見てもすぐにどこのものか分かる。店長さんが「これはこれはブランドにお詳しいですね」と言うが、なにしろ当然である。ここのお店のホームページなど暗誦するほど眺めたものだ。しかし最初に来たときには高いと思ったオーベルシーが、実はどこのお店より安いことに気付く。10万ちょっと、というのはこのパリのブランドとしてはお安い。クラバッツ・オブ・ロンドンの深い紺色の無地のタイがひどく気になる。いい色だ。案外に日本のお店では無地のタイを売っていない。しかし実は無地タイほどスーツやシャツととあわせやすいものはない。だから紺やエンジの無地は絶対に必要だし、アメリカ大統領などは勝負タイに必ず無地の赤を締める。大事なときに元気のないグレーのよれよれしたペイズリーや学生じみた幅広のストライプなど締めるどこかの国の首相は論外である。
 無地というと、ごまかしがきかない。生地そのもののよしあししか見るところがないからである。だから、無地タイほどお値段の高い、生地そのものが高級なものを買うのが無難である。
 そんなわけで、非常に出来のいいその紺色が1万円もしないのはお買い得と思い、購入。とにかくお値打ち感がないと買わない。別にセッテ・ピエゲじゃないと、などとは思わないので。
 その後、トリッペンの店の前など通過しながら、ワールド・フットウエア・ギャラリーhttp://www.wfg-net.com/menu.htmlに行ってみる。先日、柳町弘之さんのことを書いた店だが、ちょっとこの日は姿があるのかないのか分からなかった。というのもえらく混んでいたからである。玄関口で大きな髭を蓄えたカッコイイ外国人の男性が靴の手入れをしている。で、人が集まっている。ああ、さてはどこかのブランドの受注会か、と思えば店員さんが「今、シルヴァノ・サセッティ氏の受注会をやっておりまして、あれはご本人です」と教えてくれる。もちろんサセッティは知っている。イタリアで著名な靴職人さんである。なんかまるで知らずに飛び込みで来たので、その世界の有名人を間近に見てミーハー根性で感動する・・・が、そこで出来心で発注するわけにはいかず(そりゃどうしたって20〜30万円ぐらいは最低、見ておかないと)サセッティ氏のお顔を拝見するだけで出る。前にも書いたように自分はイタリア物はコレクションしておらず、ものめずらしさもあっていろいろ目に付く。どこで見てもアルティオリはいいですな。いい靴がいっぱいであるが、それなりのお値段につき今日はなにも買わない。
 そのまま直進してYANKOhttp://www.yanko.co.jp/のショップへ。さっきのWFGに置いてある有名靴に比べれば随分と安いなあ、と思うが中途半端にまだ高かったりするので、いくつか心引かれながらもやめておく。
 そして、とりあえずは神田のミマツ靴店http://www.chiyodaku-town.com/mypage/cy045678などを見てから、秋までにそれなりのスエード靴をひとつ買おう、などと思う。途中で、非常に入りにくい、とっつきづらい感じの店構えのいかにも高そうな店を遠くから見る。怖そうな長髪のお兄さんが腕組みして待っている。とても入りにくいオーラが漂っている。あとで調べたらシップスの新店舗ル グローブじゃなかろうか、と思う。ある雑誌で紹介されている店も敷居の高い感じで、まさにあの怖そうな兄ちゃん(すみません)が腕組みしてポーズしている。うーん・・・。
 そのままトルコ大使館方面に引き返しつつ、ふとあたりにそういえばユナイテッド・アローズhttp://www.united-arrows.co.jp/があるはずだが、と思い、ふと見ると目の前にある。道の左側ばかり見ていてあの大きな店を見落としてしまった。
 なんだか浴衣を大々的に売っているのが面白い。そういえば今日もやたら浴衣姿の人がいたが、別に花火大会があるわけではなく、けっこう流行しているようである。ふと、ガラスケースの中で輝いている時計を見て、おお、と思う。いい。かなり高そうに見える。はっきりいって相当に高額な時計に見える。が、お値段を見ると・・・安い。それがまた相当に安い。ついつい妻が「これ、安いねえ」と口に出した。瞬間、遠くから我々の様子を窺っていた店員さんがささ、と寄ってきて「お見せしましょう」という。もちろん、あっという間に買わされた・・・いやあ、ユナイテッド・アローズのオリジナルブランドなんだが、ケースも革ベルトもすごくいい感じで、本当にかなり高いもののように見える。実際のところ、会社にしていくのに何十万、何百万もする時計をするのは馬鹿馬鹿しいことだ。慌しいときなどガンとかゴンとか、そのへんにぶつかることも茶飯である。このぐらいの時計がいちばん嬉しいのであった。
 さて、そろそろフォンダ・デラ・マドゥルガータへ・・・行ってみたところ、なんと貸切パーティーである。外に小さく英語で書いてあるきりで、あれじゃ分からんではないか。ここは日本であるぞ。しかし不覚だった、電話一本聞いておけばよかった。
 やむなく引き返し、アローズの裏手に回る。ここにうまい店があることは知っているのであった。小樽料理「花火」原宿店http://tokyo.gourmet.livedoor.com/restaurant/info/22167.htmlである。どうも自由が丘にも店があるようだがそちらは知らない。
 ここは、しばしばテレビでも取り上げられている有名店なようだが、私はそういうメディアで見てここを知ったのではない。偶然に、トリッペンの店を訪れた後に、ここを見つけたのだが、有名店とか高級店という気取りは全くない。とにかくここよりも美味いジンギスカンを食べたことはない。イクラ丼もトマトサラダもサーモンのカルパッチョも、なにを食べても絶品である。いや、これは大げさではない。妙に気取った高級店でも高いばかりでなんとも感じないことは多いが、ここは私は自分の知っている狭い範囲でのことだけど、自分流美味い店のベスト3を上げれば間違いなく入れる。満足した。フォンダ・デラ・・・には行かなかったがよかったよかった。あちらもいずれ、会社帰りにでも行ってみるか。
 ◇  ◇  ◇
 なんでスエードの靴を探しているかというと、ハリスツイードの英国製のジャケットを買ったからである。ちょうど今日、うちに納品された。すごくいいですわ、さすがに。これとほかに、冬用に六ボタンのブレザーを注文した。これで秋冬も万全である。梅雨も明けないうちから秋冬の心配をしているのである・・・。
 ◇  ◇  ◇
 帰宅して、頼まれている書評の原稿を仕上げる。文芸家協会などで役員を務める大御所の先生の本の書評をなぜか頼まれている。ものすごく疲れる。いい加減なことを書くわけには行きませんから・・・。



2006年7月23日(日)
 読売新聞の記事で「北海道浦河町の第3セクターが運営する温泉で、泉源に近くの小川から水を引き込んでいた疑いが持ち上がり、道や町の水質検査で、泉源が温泉の要件となる水温を満たしていないことが判明した。町は21日に記者会見し、再検査でも要件を満たさなければ「銭湯」にする方針を表明した」というのを読んでいやな気分になった。前から書いているようにうちの近所にも温泉が出来て、けっこうよく行っているのだが、川の水を温めてたなんてことが万一あったら実に嫌である。まだしも普通の水道水にしてく・・・。
そりゃお湯なんてあっためればなんだって同じじゃないか、とはいうものの気分の問題ですね。
 しかしあれですか、要件を満たさないとただの銭湯なのね、ああいうの。
 ◇  ◇  ◇
 先日、沖縄の物産店でよくヤドカリ用の砂や海水を送って貰っている「りゅうか商事」http://www.ryuuka.com/から、アップルマンゴーを買った。とりあえず一個、切って食べてみたがどうも今ひとつ香りが高くない。はて、と思いいろいろ調べると、常温にして2,3日寝かせることが絶対に必要で、冷蔵庫などに置いておいたらぜんぜん熟れていきません、とあった。そうか、少し常温で置いておくのか。2日たってやっとぷんぷん香るようになってきた。こうじゃないとね。
 ◇  ◇  ◇
 ニッケコルトンプラザのサマークリアランスセールを見てきた。妻は気に入ったスカートを見つけてご満悦、どうも自分のほうは今ひとつしっくりこない・・・で、なんでもない量販店の紳士服売り場で「2本で1500円」というネクタイを購入。いや、そう書くといかにも駄目なもののようだが、実際、相当にものはいいように見える。布地も厚いししっかりしている。もちろん中国製ではあるが、一見して少なくとも750円の代物には見えない。秋口用のピンドットのワインカラーのなんか、それ相応のものに見える。自分はゼニスやシャルベの2、3万するネクタイも、100円ショップのネクタイも平気で一緒くたにして締めている無雑作な人間だが、なぜかこの安売りネクタイはすごく得した気がした。なんか連日観光地情報を書いているが・・・お気づきの通り、ここ数日は私の夏休みである。公休と連結してまあ、世間並みにはなったかな。まだ梅雨は明けないが、かえってどこに行くにも空いているし涼しいし、よかったようだ。



2006年7月22日(土)
 各地で、特に日本の西のほうでは大雨が続き被害も多いようだ。幸いにして関東地方はさほどに降ってはいない。というか、首都圏に関してはむしろ空梅雨気味とも聞くがどうであろうか・・・。
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「元極楽とんぼの山本某の問題はかなりの波紋を呼んでいるようだが、リリー・フランキー氏のヒット小説をドラマ化したテレビ東京の「東京タワー」・・・久世光彦さんの遺作となるはずだったドラマまでお蔵入りになるというのはお気の毒である。山本某の出演シーンだけ卑猥物のように網掛け処理するわけにも行かないだろう。また、萩本欽一さんの球団解散というのも思い切った話だが、しかしその遠征中に起きた不祥事ということで、責任を痛感した欽ちゃんとしては、どうしてもけじめをつけないではいられないのだろう。とにかく清廉潔白でここまできた大御所である、こういう裏切りをされると我慢ならないだろう。本当にお気の毒としかいいようがない。
 天下国家に影響のある大事件ではないが、ワイドショーネタとしては久々に大きい話だろう。中村獅童氏が岡本綾さんと帰宅しようが、離婚に発展しようが野次馬は面白がっていればいいだけでどうでもよいが、ほかの方面に波及するような犯罪行為はかくも他人に迷惑をかけますな。
 一つ思うのは、第二次お笑いブームといわれて久しいのだろうが、ちょっとこのところはそのバブルも弾け気味で、世の中の雰囲気も変わりつつあるところであり、そろそろなんでもいいからお笑い、という流れも終わりじゃなかろうか、その象徴となる出来事じゃないかと直感的に思う。
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 「30代前半の女性で、自分の親と同居している人の割合(同居率)が33・1%に上ることが21日、厚生労働省付属の国立社会保障・人口問題研究所の2004年世帯動態調査で分かった。前回調査(1999年)から10ポイント以上も急増。30代前半の男性も45・4%と、約6ポイント増えた・・・94年の30代前半女性は21・5%、99年は22・9%だった」(共同通信)という報道を読んだ。女性で3人に1人、男性となるとほぼ半数が親と同居・・・なんですか最近の30代って? そういう傾向だということには驚かないが、数値がそこまで高いというのは驚きであります。
 要は、そのぐらいの割合の人が、親の資産を当てにしながらじゃないと生きていけない状態ということですよね。既婚で同居もあるだろうが、多くの場合は独身でしょう。
 前から言っている、産婦人科が日本から消えてなくなろうとしている話ともあわせて日本国は本当に少子高齢化をなんとかしようと思っているのそれともポーズだけなのか、本心は厚生労働省を縮小して年金制度をやめちまおうという魂胆じゃないのかと思わないではないこのごろであります。
 年金をやめますので、お金を徴収しないし増税もしない代わりに自分の親の面倒は自分で見てください、自分の老後も自分で何とかしてください、ということならそれならそれで私などあえて構いませんが。そういう話ならできるだけ一日でも早くやめてもらわないと。
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 小泉さんの次の・・・おそらく安倍首相だろうが、こんな時期にやろうというのは奇特なことだ。福田康夫さんがどうも出馬しなさそうなので(あの人は完全に男を下げたので、今後はもう死んだも同然だな)「こりゃ、総裁選を盛り下げないために有力な人に立候補してもらわないと」なんて馬鹿げた声も自民党にあるように聞く。ふざけた話だ、小泉時代にすっかりあの政党は、なんでも安手の興行、見世物感覚になっちまって、出来の悪い広告代理店みたいな政党になってしまった。もう低俗な見世物はたくさんだ。
 テレビ局ばかり喜ぶのか知れないが。
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 原宿にワールドフットウエアギャラリー(WFG)という靴専門店がある。イタリア系を中心に世界の高級靴ブランドが取り揃えてある・・・のだが、どうも自分はサントーニが一足あるきりで、ほとんど全部イギリス製か国産、イタリア靴とはご縁がないためWFGにも行ったことがなかった。
 ところで、ここで注文靴の工房を開いているヒロ・ヤナギマチこと柳町弘之氏という有名な靴職人さんがいる。もちろん名前は前から知っていたが、一足15万〜30万もするようなビスポーク専門の職人さんである。
 ところで、先日なにげなくWFGのサイトを見ていて、その柳町氏の経歴と顔写真を見て思ったのだが・・・この人は私の知人じゃなかろうか。どうも見覚えのある顔なのであるしまた、千葉大学修士課程を修了、1990年に大手メーカーで工業デザイナーとして就職しその後渡英、ジョン・ロブなどで修行し靴職人として名を上げる・・・その「千葉大出身」「理科系」「90年に就職」というのが私の知っている「柳町氏」と一致する、ような気がするのだが・・・。http://www.wfg-net.com//menu.html
 今から20年ほどまえに、千葉市内にあった「千葉進学塾」という学習塾でアルバイト講師をしていたのだが、そのときの「同僚」に千葉大の「柳町先生」という人が確かにいたと思うのである。しかも、確か双子の兄弟がいて「柳町兄弟」として有名だったような。科目も理科や数学など理科系だったようだが。そしてお一人は確かにヒロというあだ名だったような気がするんだが。
 もしご本人なら、自分の知っている人がこういう世界で有名なっているのは驚きである。実際、当時を知る人なら、工業デザイナーになったまでは分かるが、皮革工芸の世界に行くとは想像できまい・・・ただ、「柳町先生」はお二人ともかなりお洒落な人だったから、さもありなんという気もする。
 こりゃあ、一度WFGに行ってヒロ・ヤナギマチ氏に会ってみないとな、といってその場合は少なくとも20万円ぐらいの予算を持っていかないと・・・。もし本当に知り合いなら1割引とか2割引とか・・・ないかあ。
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 ところで今、千葉市内にあった、と過去形で書いたが、ネットで調べたらその千葉進学塾というのも今でも健在らしい。http://mk55csj-jp.com/勝田台に現在はあるようだが、代表者の顔は間違いなく見覚えがある。当時の経営者のご子息だ。
 ネットってこういうときに便利である・・・。

2006年7月21日(金)
昨日の読売の夕刊一面のトップ記事で「昭和天皇は靖国神社のA級戦犯合祀に大反対だった」というのを読んで、へえ、と思いました。前から、その合祀以後は天皇の参拝がないという事実から事情は分かっていたとはいえ、明瞭に「松岡(洋右)が祭られているなどとんでもない」「松平(宮司)はなにを考えているのか」などと昭和天皇の意志が書かれている資料というのは確かに靖国論議に一石、という話だろうと思います。
 要するにあの神社は、大元帥たる昭和天皇が来てくれないと機能としてぜんぜん意味がない場所ではあります。そのへんで、当時の天皇本人の意思を参照すると問題の所在も明らかなのではなかろうか、と思われます。ことに、戦前の外交をミスリードした外務官僚に対してきわめて厳しい見かたをしていたというのは注目されます。外務省という役所はこのへんの総括反省をちゃんとしているのであろうか。そんな気もします。
 ちょっと前の同じく読売で、徳富蘇峰の戦後日記が初公開されて、あのばりばりの国粋論者が「天皇ご自身でちゃんと軍部を統帥されようという意志を示されなかったのは遺憾で、その意味で戦争責任があるのは当然」などと厳しく明言していた、というのも興味深かったですが、このへんの話ではっきりするのは、戦争責任問題にしても靖国問題にしても、いかに戦後の左翼右翼の論議が、当事者たちの考えていることと乖離した空論だったか、ということじゃないでしょうか。
 実際、戦勝国への手前、庇う意味からいろいろ言うこととは別にして、大元帥たる天皇にまったく責任能力がない、あれはただの飾りであった、などというのはかえって不敬のきわみじゃないかと私などは以前から思っております。日本人というのはどうしても冷徹な論理から目をそらしたがる民族です。パロマ湯沸かし器でも、秋田県警でも、W杯や五輪での敗北でも、失敗・不祥事の元というといつでも希望的観測や空想、話の美化などです。
 日本人はどうも少女的文学趣味が強すぎるのではないか、と思うのであります。道理で日本の文学賞の受賞者は若い女性ばかりな訳です。
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 と、おおげさな話から一転ですが、昨日は急遽、休みを利用して横浜の港北区・綱島というところに行きました。妻が生まれてから10歳ごろまで住んでいたところを、24年ぶりに見に行こう、という話でした。
 駅前こそはさすがにすっかり変わっていたようですが、ちょっと片田舎のバス停まで来るとほとんど雰囲気が変わっていない、ということでした。ことに、24年ぶりに妻の生家に行ってみると、なんと当時の建物がほぼそのまま使われているのに驚いたそうであります。日本では稀有な話じゃないでしょうか、築40年近い民家がそのまま使われているというのは。外国じゃ何百年前の有名人の生家が残っているなんて珍しくもないですが。
 その後、横浜まで出て・・・あまり横浜には縁がない自分であります。80年代に横浜そごうが出来たときにわざわざ千葉県の野田市から2時間以上かけて遊びに行って、ドイツ軍将校バージョンのGIジョーを買ったこと(当時からアホです)、89年の横浜YES博を見に行ったこと(今のみなとみらいってその跡地ですね)、その後も仕事がらみで二、三回行った気がしますが、あまりご縁はありません。
 私は知らなかったのですが、最近はみなとみらい線というのが出来て、中華街まで直通電車があるんですね。どうも私は昔のイメージしかなくて。私がまえに中華街に行ったのはかれこれ15年ぐらいまえでしょうか。仕事がらみで聘珍楼に行ったきりです。http://www.chinatown.or.jp/
 すっかり町は変わっていました。ごちゃごちゃあったあやしい食材店なんかも整理されてしまった感じで、きれいなたたずまいの大店が中央の通りをずらりと埋めています。なんといっても聘珍、萬珍の二店が格式・知名度で群を抜いていますが、今回はわざと外して四五六菜館というのに行きました。こちらも有名店ですが、早めに行って正解、6時すぎには瞬く間に満席に。あぶないところでした。それから萬珍楼の点心専門店に行きましたが、マンゴー・スムージーと月餅のあまりのうまさに驚嘆。さすがに名店。
 その後、横浜大世界という近年出来たアミューズメントパークにふと足が向き、なんとなく上海美術館グッズのカフス・単価2500円というのを見つけたので購入。
 にしても、なんかすごく遠い印象だったのが、千葉の浦安からわりとあっさり乗り換え二回で行けることがわかって驚きました。こんなに便利になっていたのか。
 今度はぜひ、中華街名物の占いでもやってもらおうかな、と思っております・・・。
 

2006年7月20日(木)
 昨日は幕張メッセで開催されている「世界の巨大恐竜博2006」http://www.kyoryu.jp/index.htmlを見てまいりました。毎年のように、NHKなどがメッセで開催している恐竜博ですが、いつも夏休みに入ってお盆あたりからは押すな押すなの盛況、最後になると駆け込みで殺到して相当に大変なことになる、ということで、近頃はだいたい開催して間もないうちに行くことにしています。
 いろいろ恐竜の展示は夏になるとあるんですが、やはりこのメッセの恐竜博は会場がでかいだけに、全身の骨格標本が所狭しと立ち並んで、それは壮観です。ちびっ子向けの企画というわけでしょうが、昨日なども、大人のほうが「おー、すげえ」とお子さんより夢中になっている姿を散見しました。
 もちろん今回も超巨大な復元展示が数十体も置かれており、あれほどの規模の復元が一堂にというのはたぶんこの恐竜博ならではのものでしょう。一見の価値は十分。
 しかし、毎回のように、微妙にトピックが違ってきます。以前は「セイズモサウルス」というのがいちばん巨大な恐竜という触れ込みで展示されました。去年などは、ティラノサウルスが最強の肉食竜、という扱いでどーんと置かれていました。
 今年の目玉はスーパーサウルスという巨大な草食恐竜で、全長33bという化け物ですがなんといいますか、このような展示を毎年見慣れた目には、正直のところ、おお、でかいなあとは思うものの、ややショックは物足りなめ、やはり最初に巨大復元を見た年の衝撃ほどではなかったわけですが、かえってもっと地味めな展示のほうに目が行きました。
 ことに今回は非常に展示に工夫がされていて、順路も整然と準備され、アニメやCGを見せるコーナーも随所に、コンパクトに置かれていて、非常に見やすいものでした。今までのほうが、もっと密度が濃く、ある意味でごちゃごちゃに展示されていた感じがありますが今回は大変、きちんとしていました。
 そのCG映像の中で、ひとつ奇怪な感じがしたのが、ティラノサウルスの解説。とにかく恐竜業界でもっとも有名なスターであり、こういう場合にも触れないわけには行かないのですが、毎回、微妙に扱いが変わって行きます。
 10年以上前に都内で見た恐竜展では、実はティラノサウルスはスカベンジャー(お掃除屋)で、現代で言えばハイエナみたいな地味な恐竜だったじゃないか、と言っていました。それがこのところは、群れをつくり、どちらかというと現代のライオンの群れに近い社会を作っていたのじゃないか。
 そして今年は、若いうちは俊足なので、子供が獲物を追いたて、鈍重な大人は物陰に潜んで止めを刺す、という狩りをしたに違いない、などと見てきたような説明を、やたらリアルなCGでしているので、信じるしかなくなるのであります。
 しかも驚いたことに、今回のCGじゃ、ティラノの子供は鳥みたいに羽毛が生えた羽毛恐竜だった、という描き方に。大人になるとそれが抜けて(?)つるつるに・・・というんですがホンマなのかしら。
 ということで、毎年のように説明が変わり扱いが変わり、本当のところは一体どこまで真実なのか素人目にもなんか胡散臭い感じが・・・。
 もっと近い人類の歴史でも、一人のゴッドハンド氏のまやかしであれだけころころと学説がひっくり返り、教科書の内容が変わってしまいます。まして6500万年前だの1億年前だのいう話が、どこらへんまで確定しているのやら・・・なんか聞けば聞くほどあやしげにも感じるのです。ああいう恐竜の骨格復元も、昔は滅茶苦茶なつなぎあわせででっち上げていたとか。しかし最近の研究だってなにしろ、厳密にはいろいろあるんじゃないかしら。
 同じようなことは、毎度のようにあやふやになってくる鳥と恐竜の分岐点の話です。どこまで行っても、最初の鳥と、羽毛恐竜の分岐がはっきりしないまま、中国あたりから最古の鳥の化石が発見されるたびに学説がおかしなことになり、近頃の展示じゃあの有名な始祖鳥なんてのもまったく登場しない有様です。あれも明解な単線型の進化などしたとは思えず混沌そのものというのが真相らしく、なにがどうなってるのかしら。今回の展示もそんな印象を覚えました。
 しかし、そんないっぱしな感想を抱くというのは、毎年のようにこの展覧会を見ているからで、自分のようなど素人にも恐竜というものに対して一定のイメージがわく、という意味で非常に知的満足を満たしてくれる催しです。
 帰りがけに売店で面白いものを見つけました。この博覧会オリジナルの純銀製の指輪とカフスボタン。どっちもそれなりのお値段ですがあまりの珍しさに購入。じつにしぶい輝き方で、スーパーサウルスの彫刻が掘り込まれております。食堂は去年の中国から呼んだ料理人の素晴らしいメニューを取りやめて、パン屋になってしまったのは残念でしたが、パンやホットドッグはなかなかおいしいものでした。
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 ついでに、6月に行けないで断念した船橋の家具店IKEAにとうとう行きました。http://www.ikea.com/ms/ja_JP/local_home/funabashi.htmlこっちも面白いところでしたね、とにかく広い。だだっ広い。置いてある家具や商品も確かに面白いというか、日本人にはものめずらしい。
 けっこう木製ハンガーとか、マガジンラックとか、ふにゃふにゃしたいかにも北欧趣味のドラゴンのぬいぐるみとか、いろいろ買い込みました。
 ちょっと困ったのは、店内の案内図に「現在位置」表示がないこと。あれは困ったもんですIKEAさん。現在地が分からないと地図があっても役に立たない。
 それから、合理的ではあるけど、駐車場から店舗への出入りは一箇所しか出来ない、というのはとにかく面倒くさい。上の階に駐車した人がいちいち一階の入り口まで降りないと店に入れないというのはいかにも面倒・・・。
 ついでに、エスカレーターがシンドラー製というのも今や減点だな。エレベーターは日立のようでしたが。
 あと、あまりにも高いところまで家具が積み上げてあるさまは日本では恐怖を感じます。日本は地震国です。私以外にも「いま、ここで地震があったらおしまいだな」と口にしている人は何人かいました。北欧じゃ常識なんだろうけど。
 しかし、とにかくそういうことは気になったけれど、とても感じがよくて、確かに楽しい店舗。特に家具を買うつもりがなくても、立ち寄ってみたくなる要素は十分。
 特にいいのが2階の食堂。家具屋に食堂なんてちょっとしたカフェだろうと思ったらとんでもないこと。ワンフロアーの半分ぐらいが全部食堂で、そのへんのファミレスをニ、三軒あわせたぐらいの巨大なスペースです。売り物のスウェーデン名物「ミートボール」は確かに美味。日本人が普通に肉団子と思っているものとは次元が違います。あれは本当に味わう価値があります。
 ということで、日本にも巨大な家具の展示場はほかにもありますが、まったく持ち味と発想が違うのは確かです。
 二号店もまもなくできるようですが、このまま日本市場に定着できるかどうか、見物というところ。私は思っていたよりずっと面白いと思いました。

2006年7月19日(水)
当サイトでは珍しく芸能ネタですが、「所属事務所からの契約解除で、極楽とんぼのコンビ解散は必至の情勢だ。加藤がメーン司会を務める日本テレビの情報番組「スッキリ!!」(月〜金曜前8・00)では、山本の不祥事を受け、19日以降の放送でどう対応するかを協議。パートナーを失った加藤のコメントにも注目が集まる。・・・最近はソロ活動も目立つ。加藤は「スッキリ!!」のほか「スーパーサッカープラス」「がっちりマンデー!!」(ともにTBS系)の3本にレギュラー出演し、ドラマでも常連になる売れっ子。これに対して、山本の単独レギュラーはTBSラジオ「キャッチ・ザ・エキサイト」の1本だけだ」(スポニチ)ということですが、はっきりいいまして芸能音痴の私のこと、極楽とんぼとか加藤さんとかを認識したのはせいぜい去年ぐらいのことです。なんか最近よく出てくるな、という印象でした。で、今年あたりはなんか準大物扱いになり、こないだのW杯で民放系でちょっとでしゃばりと感じるほど加藤氏が出てくるのに閉口しつつ、ああ、一昔前のとんねるずとか、二昔前の明石家さんまのようなポジションにいるのだな、と認識したのであります、その、加藤さんのほうが。まあ、この人も高校生ぐらいで元サッカー選手なんでしょ、確か。年齢的には私と同世代だし、ある意味でこのぐらいの年でぐっと出てきた、という意味ではけっこう下積みの長かった人なんだろうか。
 で、よくあるのがコンビなんだけど一人だけ人気が出てしまう、というパターン。昔もツービートが典型だったけど、最近はさらにその傾向が多いようであります。
 山本氏というのは、そもそもはリーダー格はこっちだったと思われますが、いつのまにか加藤氏人気が上がって穏やかじゃなかったのは間違いなく、不祥事の原因のひとつなんでしょうなあ・・・。とにかく、いきなり契約解除なんだから相当なことをしでかしたんでしょう。加藤氏としては、ここが大事なところだろうなあ。
 あの人、ちょっと声がよくないよな、私見ですが。ここでうまくやればソロでますます羽ばたけるかもしれないが・・・。それなりに相方への思いやりみたいなものも漂わせないと非難されるし、難しいですよこういう局面は。西川きよしさんなんて、相方の不祥事にかえって人気を上げたものでした。
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 夕張市の給与削減案が示されたとか。市長で4割減収して月額42万円に、一般職員は15%削減とか、だそうです。だけどあれですよ、民間じゃ15%減収なんてそんなに珍しくもないし。私なんかも、社内の異動で内勤職場に移ったときに月収が20%近く下がったことがありますが、やっぱりそりゃ会社辞めてやろうかな、というぐらい腐りましたけど、まあそんなのに比べると、職場の全員が減収するのなら納得できなくもないですし。
 とにかく普通の会社なら倒産・失業ですのでやはり公務員は有利ですね、この点。気休めめいて恐縮ですが、そう思って頑張っていただきたいと・・・。

2006年7月18日(火)
畠山容疑者というのが自分の娘をあやめたらしい、ということになって困っているのが警察だろう。なぜか容疑者は「なんで事故と決めつけるんだ、これは事件なのに怠慢だ」と批判してきたわけだが、少なくともその意味では批判は正しかったということである。
 それにしても、我々は夜の刑事ドラマなんかで、犯罪者ってのはそれなりに筋の通った動機があって、しかも、できるだけ見つからないように、捕まらないようにふるまう、という前提でモノを見ている。ああいう推理ドラマも推理小説も、そういう前提がないと成り立たないことに気付く。
 現実の犯罪者というのは、たいていの場合、普通に考えれば異常心理に陥っているモノである。だから理路整然とアリバイ工作するような人間というのは実際には少なかったりすると、そういうことを突きつけられた感じがする一件だ。
 人間の心理など混沌としているのであり、不合理なものである。そのへんはもう推理小説の分野ではなく純文学の世界であろう。
 「捜査本部は、豪憲君殺害の動機に彩香ちゃんの水死が深くかかわっているとみているが、自分で殺害しながら再捜査を狙ってさらに殺害を重ねたという説明は不自然とみて、彩香ちゃん事件の捜査を通じて豪憲君事件の真の動機についても追及する」(毎日)ということだ。また、「野田正彰・関西学院大学教授(精神病理学専攻)は・・・「畠山被告は虚偽性の人格障害ではないかと考えられる」と分析する。・・・つじつまを合わせる努力をせず、通常なら矛盾していると思われる感覚が併存していたりするという。そのうえで「言動に一貫性がなく信頼できないので、このような母親がいる子供は振り回されて苦しむことになる。若いころに、虚偽で上辺を装いながら他人に取り入ったり、その場をやり過ごすといった生き方を身に着けたのだろう」と指摘・・・」とのことだ。
 思うに、子供を虐待し最後にはあやめたのは、おそらくかつて自分を攻撃した者達への復讐心が転嫁したのだろう。そして、子供を殺すことですっきりすることを覚えた彼女は、もっと幸せそうな近所の米山君をみていよいよいらつき、あるいは幸せそうであること自体を嫉妬し、殺したのではなかろうか。殺すことで、カタルシスのようなものを覚えたのじゃなかろうか。さらに、それで若干、世間の注目を浴びることを楽しんだのではないか。
 なんにしても、名探偵コナンみたいな理路整然とした推理じゃ決して動機なんて出てこないだろうと思われる。
 こういう事件の裁判員になった人はいい迷惑だろう・・・。
 ◇  ◇  ◇
 またジャワ島沖で地震と津波があったようだ。一夜明ければ行方不明者が増えていることだろう。
 インドネシアあたりを思うと、日本列島なんて「日本沈没」なんて騒いでいるけどたいしたことない部類に入ってしまうのかもしれない。

2006年7月17日(月)
 ロシアではサミットやっている・・・が、小泉さんのお別れ会である。北朝鮮の問題なんてほかのG8の国は本気で興味がある訳じゃなく、議長のプーチンさんなどふれたくないだろうが、ま、引退する小泉さんの顔でどの程度の結論が出るのか見物ではある。ちょっと前にロシアの退役将校のインタビューでこんなのを読んで笑った。「北朝鮮制裁決議だって? 意味ないよ。シベリアにいる人間にシベリア流刑を命じても効果ないだろ?」
 ◇  ◇  ◇
 思い違いってことがある。国連憲章の7章40条とか41条とかいうのが、今回にわかに話題になったけど、ついつい7章のなかに40も50も条文があるような気がしてしまう。この何条というのは通し番号で、たとえば25条・安保理の規定は章で言うと第5章の中にある。私はぼんやりとしていて、国連憲章ってそんなに条文あるんだ、などと漠然と思っていた。
 そういえばまだ、思い違いってことがあった。今日は世間は「海の日」でお休みのことと思う。96年にできた新しい祝日で、なんか私などピンと来ないのだが、しかし考えてみるとなにが「海の日」なんだろうか。ほかの祝日って、それなりに戦前の天長節とか紀元節とかの名残である。みどりの日、なんていうと意味不明だが、元々が昭和天皇の天長節・天皇誕生日と分かれば問題はない。12月25日はクリスマスだから休みなのではないのは言うまでもないけど若い人など誤解していまいか。おそらく今後ずっと先の時代にもこの日はなんか名目つけて休みとなるだろう。ちなみに大正天皇の亡くなった日と今の天皇誕生日がたまたま同じ12月25日だがかかわりはないだろう、そういえば12月25日はベルばらのオスカルの誕生日だ、ついでにいえばうちの母親の誕生日とか(!)まあそんなことはよろしいが、とにかくそっちはけっこうフィーチャーされている。しかし大正天皇の天長節(8月31日)はそういえばなんにも残っていない。学校が夏休み期間だからだろうな。
 それじゃ7月の第3日曜というこの海の日はなんなのよ。一応、理由としては1876年に東北巡幸から戻ってきた明治天皇が横浜港に着いた日、なんだと。もちろん東北地方にはあちこちに明治天皇がおいでになった地、という碑文もあり、かつて幕府よりだった土地にとって天皇がきたのは大トピックだったと思うけれど、しかしそれが帰ってきた日だから「海の日」というのはなんか分からない。
 ま、あんまり意味もなく、7月に休みがないなあ、ということで、要するに日本人はもっと休め、というアメリカの圧力と当時の日教組の思惑が一緒になっただけだろうよ。とにかく意味合いのよく分からない休日である。とにかく今日まで知りませんでした、私。なんか戦前の祝祭日の名残かと思っていたが、こんな新しい日だからなんもないのである。
 ◇  ◇  ◇
 思い違いついでにさらに。先日、ちょっとした新聞の記事で私はアジサイの花について書いたのだが、アジサイの花というのは真ん中の部分だけで、周りの花びらみたいなのはガク、それでガクアジサイと言うのだ、などと書いた。読者から指摘があってあれは、ガクが額縁みたいに見えるので「額アジサイ」なのである、ガクだからガクアジサイ、というわけではない、と言われた。そうであった。どうも私はうろ覚えで書いていたようだ。
 今日も思い違いがあった。ある記事で「点滴石をもうがつ」の英語表現は「小さな打撃でもオークの巨木を倒す」だと書き、これの出所はシェークスピアだ、と書いた。ところが英語のサイトを調べてみると、どうもベンジャミン・フランクリンの言葉のようだ、と思い始めて、面倒なので出所を削除してしまった。ところが、さらに一層よく調べれば、やはりシェークスピアのヘンリー四世かなにかのセリフに「たとえ小さな斧であっても、打撃を繰り返せばオークの巨木も倒せよう」というのがあるのを確認。フランクリンの格言というのがこれを短くしただけのようだ。つまりどっちの言葉と書いても正解だったようだ。あやふやな知識だといろいろ迷うものである。
 オーク、という言葉でいろいろ調べていてまたしょうもないトリビアネタを見つけた。
 クロムウェルに国を追われたチャールズ2世が大敗し、オークの大木の洞の中に潜んだことがあるという。ちょうど頼朝が初戦で一敗地にまみれて洞窟にひそんだような話である。これで助かったチャールズは盛り返して王政復古を果たした。以来、オークの木は英王室守護のシンボルだという。ここまでは前から知っていた。
 で、これにちなんで英海軍の軍艦に「ロイヤル・オーク」(王家のオーク)という名前がつくようになったとか。この名前で思い出すのは、第二次大戦でドイツ潜水艦U47に撃沈されたちょっと情けない英戦艦だが、これの先代の装甲艦にロイヤル・オークというのがあり、この船の窓が八角形だったんですってね。この窓の形に似た時計を、高級時計ブランドのオーゲマ・ピゲ社が作って「ロイヤル・オーク」と名付けた。
 へええ、と思った。私はロイヤル・オークという軍艦も時計も知っていたが、関係があるとは今日まで知りませんでした。
 なんというか、ファッション関係にはまことにミリタリーがらみの起源が多い。
 ついでに英国がらみのものを挙げれば、ブレザーというのは英海軍の戦列艦ブレザーの乗員が、女王の観艦式のためにそろいの紺色の上着を作ったのが初めなのでブレザーというのだし、ラグラン袖はラグラン将軍の考案、カーディガンはカーディガン伯の考案、ともともと軍用とか狩猟用のものばかり。
 背広ってのも乗馬用のラウンジコートだし、その裾にベントが入っているのも元々はサーベルを吊り下げるためだし。
 男性ファッションってつくづく軍服の延長なんですね。カーゴパンツや迷彩柄ばかりがミリタリーだと最近の人は思っているんでしょうが・・・。
 なんか今日は雑学ネタばかりですが。


2006年7月16日(日)
 クレイジー・フロッグ(狂ったカエル」とはなんじゃい? ふとヘンな記事を見かけましたのです。「この夏「下半身露出カエル」が上陸!(スポニチ)」という見出しからしてなんじゃらほい。「下半身露出カエル」? だってカエルなんてそもそも裸でしょう?
 そしたら、こういうことだって。「世界で大人気のカエル「クレイジー・フロッグ」が日本に上陸する。ギョロリとした目、1本欠けた前歯、下半身が裸という奇抜な風ぼう。製作したのは映画「トイストーリー」「モンスターズ・インク」などでおなじみの米・ピクサーだ。・・・ドイツの音楽・映像配信会社「Jamster」のマスコットとして英国のテレビCMに登場したのが人気拡大の発端。昨年5月に英国で、映画「ビバリーヒルズ・コップ」のテーマ曲「アクセルF」に欧州風のカエルの鳴き声「ディン、ディン」を乗せた“歌”で“CDデビュー”。英国のチャートで4週連続1位を獲得し、年間チャートで3位に輝いた」んだとか。その後、世界中の国で人気爆発。そろそろ日本にも上陸しそうなんだそうだけど、それでどんなもんなのか。したらあったあった。http://azoz.org/archives/200501291128.php
 ちょうど1年ぐらい前の記事に飛ぶ上のリンクを見れば分かるが、人気爆発というより、英国じゃ賛否両論の問題児だった模様である。しかしドイツの会社がこんなアホなものを・・・。下半身露出の意味も分かりました。「イチモツ」がこのカエルにはついておる。アンチ・フロッグ派の母親が「だって、カエルにはあんなもの、ないでしょ? 教育上よろしくないわ」とコメントしているのがおかしい。
 はっきりいって全然かわいいものじゃない。うちには何匹かカエルがいるけど、ホンモノを見てもあんなイチモツはないが。
 ◇  ◇  ◇
 ゆうべ夜更かしした人は、深夜の1時すぎになって畠山鈴香被告が自分の娘も(案の定)殺害した容疑で再逮捕となった次第を知っておいでだろうが、なんだか毎度、このぐらいの時間になると「白状」する容疑者である。が、なんかこの人、子供のころから迫害された人なので多重人格気味なんじゃないか、という説もある。すると、深夜になって素直に話す交代人格が出てくるのかもしれない。言動性格に首尾一貫しないものを感じるのもそのせいかもしれない。そもそも今もって、普通の刑事ドラマなら考えられない、疑いがかかっていないのに再捜査を求めたり、二件目の殺人をやる動機も、そのへんを考え合わせないと理解しがたいというが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 4時すぎになって、国連安保理で北朝鮮「非難」決議が満場一致で採択された。いわゆる7章採決ができなかったので妥協といえば妥協だが、日本にしては割によくやった、と素直に評価してもいいのかも。ではあるが、これであの国が大人しくなるという保証は全然ないのでどんだけ実効があるかは不明。というか、まるでないかもなあ。
と思っていた矢先「北朝鮮の朴吉淵国連大使は15日、国連安全保障理事会が・・・採択した決議を「全面拒否する」と表明・・・今後も発射を続ける姿勢を示した。・・・米国のボルトン国連大使は「きょうは歴史的な一日だ。安保理が全会一致で今回の決議を採択したと同時に、それに対して北朝鮮がわずか45分後に拒否するという最速の世界記録を作ったからだ」と、皮肉をこめて北朝鮮の対応を批判。ロシアのチュルキン国連大使は、北朝鮮の反応は予想どおりとし、「国連決議の内容を変えるものではなく、安保理の結束に変化をもたらすものでもない」と語った」(ロイター)そうだからこれまた案の定である。
 ところで、こういう場合には英国が仲裁に出てくるのは何故か、ということを詳しい人が教えてくれたが、やはり英語国だと微妙な表現を考えるのが上手いのだと。やっぱり英語なんですね。それもネイティブの人じゃないと駄目。日本で言えば、2・26事件のときに陸軍の偉い人たちが反乱将校らに「決起の趣意は天聴に達せられあり」と説明して、青年将校らは「ああ、天皇陛下にも理解していただけたのかよかったよかった」と安心させた。後になって「あれは達せられあり、で達しつつある、のであって達せられたとは言っていない、残念でした」と偉い人らは責任逃れしたのだが、もちろんはじめからそういう言い訳するために、微妙な日本語にしたのである。まさにあんな感じなんでしょう。
 いかにグローバル・スタンダードが英語になっていると英米の人には有利か、よく分かる話である。
 

2006年7月15日(土)
いろいろあるんだけど・・・明日の未明までは国連の採決もあるまいし、サミットもスタートしまい。
 ということで今ちょっと気になると言えば日産・ルノーとGMの提携という話だろうけどカルロス・ゴーンさんの神話というのも、ちょっと最近は怪しいですよね。というのも日産の車が売れてない。要するに車が売れなきゃねえ・・・。社内の構造改革は徹底的にやったわけだから、これ以上はいかなコストカッターでもどうにもなるまい。
 そんなところで、100億ドル(ってそれ、国家予算で使うような金額)も赤字があるGMとくっつくことって、いいのかしら・・・と日産の社員の皆さんじゃなくても疑問に思うところ。たとえば、そのへんは車好きの人らでいろいろ一家言ある人には意見があるでしょうがクライスラーとくっついて、メルセデス・ベンツは明らかに値打ちが落ちたように感じる。そりゃマイバッハとか最高級の車種はいいんだろけど、まあちょっと余裕のある大衆向けの車なんかは明らかに悪くなったという声もなくはない。本当にそうなのかイメージ的に悪いのか、どっちにしてもブランドって繊細なものです。
 GMのほうはとにかく今の経営陣(ワゴナーさんって人ね)じゃあれ以上コストカットは出来ないそうだけど、なにしろ景気が良かった頃の社員の福利厚生レベルを落とせないのが最大の問題とか。
 なんだなんだ、さんざん日本的経営は駄目だのナンだのと馬鹿にしておいて、なんで今頃アメリカを代表する会社がそんなことを言っているのか・・・。
 それにしても、35歳にしてすでに大経営者だったゴーン氏。こういうリスクのある状況でこそなんとか考えるか・・・。
 ちなみに、この人の奥さんのリタ・ゴーン夫人というのがTBS系の番組でインタビューを受けていた。今、もめているレバノンの出身だとか。戦火を逃れてフランスに行ったところ、たまたま「トランプゲームのブリッジの大会に出るために」姉の家にやってきたゴーン氏と出会ったのだとか。当時、ミシュランの部長さんで31歳。その後、瞬く間に出世して奥さんもあっという間にセレブの一員。とはいえ、ブラジル、アメリカ、日本と渡り歩く旦那に振り回されてきたのは大変だったようで、特に日本に来て24時間働くゴーン氏とは離婚の危機すらあったとか。へえ、普通のにんげんなんだねえ、ああいう人も。その奥方も今じゃ日本でレバノン料理中心のレストランを経営しているのだとか。
 いやあ、レバノン出身とは知らなかった。ゴーン氏自身もスペイン出身でフランスで開花した人。グローバルを絵に描いたようなご夫婦だが。
 ◇  ◇  ◇
 ところで。どこかである程度の防水機能のあるあまり高くない腕時計はないか。そりゃ5万10万出せばいいダイバーウオッチがあるのは言うまでもない。しかし、私のようなインドア人間がダイビングなどやるわけもなく、実は市内の温泉「湯巡り万華郷」で、風呂に入っていると時間が分からない。こないだも、妻といったのだが待ち合わせ時間を決めようとしてあたりに時計がなく、ふと通りすがりの親切な方が時間を教えて下さった・・・のだがあの方はおそらく、防水時計をはめたまま風呂に入っていたのだろう。
 で、にわかに欲しくなったのであります、防水時計。
 そこそこの値段で十分な防水、というのが肝である。ないかなあ・・・。
 

2006年7月14日(金)
国連安保理での協議というのが明日未明にも採決に入るらしい、とのことでありますけど、今回の日本の「外交」というのがどうであったか・・・。まあものの見方によるとは思います、フェアに言えば。日本の割には、いつも大人しくて何も意思表示しない駄目駄目な日本としては、安保理決議まで持ち込み、中国やロシアまでとりあえず採決せざるを得ないところまで追い込んだのは上出来、という言い方は確かにできるかも。まあ政府与党やそのシンパの人はそう言うでしょうね。
 が、一方で、アメリカだけが頼みの外交の弱点をさらけ出して、結局は肝心のアメリカから梯子を途中ではずされ、余り中身のない妥協案に陥ってしまって気がついたら盧泰愚さんの言い草じゃないが、なにを大騒ぎしているんだか、という感じの尻すぼみになっちゃったというのもまた一方の事実。
 その間、なぜか中東に行ってなにをしているのか分からない小泉「お別れ」外交も意味不明だし(イスラエルのオルメルト首相は目の前の小泉なんぞぜんぜん心ここにあらずで、数分おきにメモが手渡されて、今現在レバノン侵攻中の軍部隊の動きに夢中だったとか)。中東和平もクソもあるまい、当のイスラエルはいつのまにやらまたまた中東戦争寸前です。
 でまあ、結局、どのあたりまで妥協するのか・・・結果が見ものではありますね。
 安倍「次期首相」っていうのが、どの程度の手腕なのかのテストにもなった今回の一件はなかなか後で味わうべきものなのかもしれませんねえ。評論家的に言えば。
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 と思えば、福井総裁は当然ながら居座ったままで、今日の午後1時すぎにはあっさり政策委員満場一致でゼロ金利解除、となりました。西日本新聞の記事で「約5年半続いた日銀のゼロ金利政策が解除されたが、将来の金利上昇に伴う負担増を懸念する消費者の間では早くも、住宅ローンの需要が借り換えを含め「変動」「短期固定」から「長期固定」に流れ始めている。・・・住宅ローンの金利は昨年末以降、3月の量的金融緩和解除を経て徐々に上昇。昨年12月と今年7月を比べると、福岡銀行の短期固定(3年)が2・5%から3・1%に、長期固定(20年)も2・8%が3・15%に上がった。・・・「低金利時に長期固定で借りれば、将来金利が上がっても返済金額は上がらず生活設計が立てやすい」。住宅金融公庫福岡支店がこう解説するように、金利上昇に消費者も敏感に反応。「今は長期固定に人気が集まっている」(福岡銀行)。・・・ファイナンシャルプランナーの小串恵子さん(57)=福岡県春日市=は「超低金利時代に、目先の負担が軽い変動や短期固定で家計の体力以上に借り入れた20―30代も多い。金利上昇で利子の返済に追われ、家計が破たんする危険性が高い」と長期固定への借り換えを勧めている」なんてのを見かけた。
 ははははは。うちは当初から目先を追わず長期固定である。ローンは最初から最後まで同じ金利だ。今までは損だったかもしれないが、今まででも払えたわけだから、今後はますます平気の平左である。が、無理をしてだんだん利率が上がるような設定の借金した人は早く動かないと命取りですぜ。
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 ところで、「COCO壱番屋」http://www.ichibanya.co.jp/というカレーショップをご存知だろうか。今や全国700店を誇るという巨大カレーチェーンに成長したが、最初は愛知県枇杷島町にあった一軒の喫茶店がサイドビジネス的に始めたカレーが元だと聞く。とにかく創業者のサービス精神第一主義が人気を呼んでここまできた、ということだが、その話は本当だな、ということがあったのでご紹介する。
 実は実家の両親がここの店を贔屓にしていて、先日、実家近くの壱番屋の店に連れて行ってもらった。それではじめて、ここの系列の店に入ったのだが、気がついてみると、浦安にも一軒、最近だが店が出来ていた。ちなみに母親はなぜかこのチェーンを「銀座のカレー」つまり都会のお店だと思っていたのだが、愛知県がルーツと知って仰天していた。知らず知らずのうちになぜか東海地方の味にひかれるものらしい(両親共に愛知、岐阜の出)。
 ところで、うちの妻はチョコやココアのアレルギー体質である。そばとか小麦のアレルギーほど知られていないが、チョコのアレルギーもあるのである。もちろんだから、レストランなどでもデザートなどで苦労するのである。一見、使っていないようで隠し味などで使ってあってももちろんいけない。食べると呼吸困難になる。多量に食べればおそらく命にかかわる。
 一流のレストランだと、ごく普通に「苦手なものはありませんか」とはじめから聞いてくれる。私はその店がどういうレベルか、という判断基準のひとつにそういう配慮を常に意識している。
 それで先日、「なんだ浦安にも店があるんじゃないか」と新浦安の壱番屋に行ったとき、この壱番屋の場合は、5大アレルギーに関する詳細な一覧表が各テーブルのメニューの中に掲示されており、なみなみならぬアレルギーへの配慮をしていることがよく分かる。だが、チョコやココアに関しては、国が指定する5大アレルギーに入っていないので、リストでは分からなかった。
 そこで、店長さんに質問したところ「チョコに関してはすぐには分かりかねますので、本部に照会します・・・」そしてしばらくたってから、「詳細はちょっとお時間がかかりますので、よろしければご自宅のご連絡先をお教えください」とのこと。
 翌日、本当に店長氏はわざわざ電話をくださって、懇切丁寧に教えてくださったのだが、やはり同店の「甘口」のカレーには隠し味としてココアパウダーが入っている、ということが判明したそうだ。なんだかんだといって、なんでもない通りすがりの一顧客にここまで対応してくれたことに驚き(というのも、別になにかトラブルがあったわけでもないのであるし)恐縮すると「いいえ、こちらもいい勉強になりました」と仰る。
 うれしかったので、後日あらためて同店に行ったところ、店長氏はこちらの顔を覚えていてすかさず飛び出してきて、「ありがとうございます、来て頂けて光栄です」などと仰るので、こりゃあ、通りがかったらぜひここのお店は素通りできない気分になった。
 で、感謝の気持ちを、壱番屋本社のサイトからメールでお伝えしたのだが、さすがに本社もしっかりしている。即日、「ご激励ありがとうございます。辻元様のお言葉はただちに該当店の担当者に伝えました」と返事が来て心憎い。
 なにも高額な、百万も二百万もする商品を買ったでもなく、夫婦でカレーを二回だけ食べただけの取るに足らないお客である。
 なるほど、この感覚は見事なものだ、成功する店は違う、と心から思った次第。
 

2006年7月12日(水)
なんだかんだ世間じゃあるみたいですが、私はのんびりとまた映画鑑賞など・・・。宮部みゆき原作のアニメ「ブレイブ・ストーリー」を見てきました。
 今だとMI3だし、もう少しするとゲド戦記とかパイレーツなんとかとか、結構スケジュールがあるので早いうちに見ておかないと、と思いまして。
 普通、ファンタジー小説があって、それから映画になり、ゲームになり、というのが一般的なわけですが、「ブレイブ・ストーリー」というのは言ってみればその順序が逆になっています。つまり、世の中にあるロールプレイングゲーム(RPG)の影響を受けて原作が書かれ、それが映画となり、さらにまたゲームになる・・・ちょっとそのへんが不思議な作品であります。
 10年に1度、90日だけ現れるという異界への門。そこをくぐると「ビジョン」と呼ばれる異世界に行くことが出来る・・・あまたあるファンタジーの典型的なパターンですけどそこから先がおかしい。この世界に入った「旅人」はまず、「おためし洞窟」というところに連れて行かれて、4人の神様に面接される。「汝、知恵を求むか?」「汝、力を求むか?」「汝、勇気を求むか?」などと聞かれる。その後、実戦訓練としてちょっとした戦闘と謎解きが用意されている。ここを経て、はじめて旅人はラウ導師という人物の前で「パラメータ」を決定されるのです。「勇気ほとんどゼロ、体力平均的・・・総合評価35点。お前は・・・見習い勇者とする」という具合に。
 これ、いうまでもなくRPGにはつきものの「キャラクター・メイキング」です。ここで力に偏重したキャラにすると「勇者」とか「戦士」になり、知恵に偏ると「魔法使い」になったりするわけですね。で、勇者は戦闘力はあるが魔法は駄目、魔法使いは白兵戦には弱くて・・・という具合。
 そういうわけで、明らかにテレビゲームのパロディーである小説、が下敷きにあるわけ。それをまたアニメ化し、さらにまたゲームになるという・・・しかしこれ、ゲームにしてしまうとあまりにも当たり前でかえってなんでもないのかもしれない。
 宮部みゆきさんは、元々は推理作家ですが、純愛もの、ファンタジーと幅広く健筆を振るう今の日本じゃ屈指の女流作家。そして、おそらく若手は別にして、すでに大家という作家の中じゃもっともテレビゲームに詳しい人です。ゲームのノベライズも手がけています。この「ブレイブ・ストーリー」も宮部さんならではのゲームをパロった小説、という手法だったと思います。
 小学5年である主人公はある事情から、・・・まあ具体的に言うと両親の間のトラブルを解決するべくこの世界に挑むのであります。というのは、この世界で活躍し五つの宝玉を手にすると、願い事を一つだけかなえてくれる女神に謁見がかなう、というのであります。このなんだかしらないが、宝の玉を集めて回る、というのもRPGによくある設定。
 主人公は、謎めいた転校生からその異世界に渡る術を知るわけですが、その転校生のほうは自分の願いをかなえるためには手段を選ばず、異世界の住人を犠牲にしてでも宝玉集めに邁進するエゴイストのように描かれます。主人公はそれに反発しつつ、しかし自分自身の中にも同じような考えがあることを十分に自覚しつつ、徐々に成長していく・・・このへんはファンタジー物の王道でしょう。
 そして、その転校生がなぜそこまで冷徹なのか、そのへんの事情も最後に明かされていくわけですが・・・。現代社会の現実から汲み取ったエッセンスも十分にあって、非常に巧みな設定のお話でした。詳しいことはあまり明かさないほうがいいですね、こういうものは。
 結構、私の世代になると主人公の少年だけでなく、離婚して家を出て行ってしまう主人公の父親、というのも注目されるわけです。「毎日毎日、感謝されることもなく面白くもない仕事仕事、一体おれの人生はなんなんだ! おれはもう大人も夫も父親も全部捨てて、自分のために好きに生きてやるんだ」と叫ぶシーンがあるんですが、このとき、この父親というものこそ本当は、異世界に渡って旅人となるべき人間なんだ、と思わされます。実際には渡りませんけど、作品では。
 アニメは幻想水滸伝シリーズの人が担当したそうで、落ち着いた色彩と適度にかわいく適度にリアルなキャラ造形がよいですね。また、声優陣があまりにも豪華。松たか子、常盤貴子、今井美樹、田中好子、伊東四朗・・・このまますごい映画やドラマが作れそうな顔ぶれはさすがにフジテレビの制作。
 見ていてちょっと思ったのが、原作は本当に長大な作品だそうで、2時間10分の尺でもかなり駆け足だし、エピソードもばっさり省略されているらしいこと。五つの玉の探索も途中の二つほどはダイジェスト。このへんは残念です。設定も原作を読めばいろいろあるんだろうけど、この映画じゃいまひとつ呑み込めないことも。たとえばライバルの少年は何度も異界から現代に出たり入ったりしているみたいだが、主人公は最後まで出られないみたいな描き方になっていますが(原作じゃ違うんでしょうか)あれはなぜか。ひょっとしてライバルのほうは最初のパラメータ設定でかなり優秀な魔術師、とされたので「途中セーブ」が出来るとか? 主人公はセーブなしでやらされているのかも。ひょっとして、ライバルのほうは既に「二周目」とか「三周目」(ゲームの世界ではよく使う用語。最初の一回目の攻略を終えると、二回目以後はいろいろボーナスがついたり特典映像が出たりすることが多い。一回目に手に入れた能力やアイテム、武器を二周目に持ち越せることも多い)をやっているヒトで、滅茶苦茶に有利だったり、ひょっとして「BGM聞き放題」とか(笑)。よくありますよね、二周目になる前に「好きなBGMを聴けるようになりました」と表示が出るゲームね。あんな感じなのかも、と思って見たり。
 とこう、なんか最後までテレビゲームとの類推、という頭があってその視線で見てしまうところがあるのが吉なのか凶なのかはっきりしませんでしたが、興味深い感覚の作品でしたし、またエンディングのほうは感動的です。いわゆる、泣けます。
 ただ幕切れについては・・・なりほどと思う反面、なんでこんあったのか、主人公の旅はこれでよかったのかしら、ともちょっと思ったりして・・・。
 ファンタジーというのは、非現実的な不思議な世界を描くわけですが、その世界なりの法則、ルールはしっかり守らないと成り立たない、とよく言われます。たとえばハリー・ポッターだと普通の社会にいる間は魔法の使用は厳禁、というルールがあったりする。あるいはある神様やオバケが出てくるとして、自分には見えるけどほかの人には見えない、といったルールがあったりする。そのへんきちんと適用してたのがたとえばデスノートですね。
 本作の場合、「女神が一つだけ願いをかなえる」という意味の厳密さがいまひとつ、少なくとも映画版についてはよく分からない感じも・・・。というのも、ここはちょっとネタバレゴメンですが、実は五つの宝玉、特に五つ目の「闇の宝玉」を手に入れるには、事実上、その異世界全部を滅ぼさないと駄目になっているんですよ。とすると、大願成就した旅人は結局、自分の願い事というものについてある決断を迫られてしまうのですが、常に。それを10年に1度、90日の間にやってくるすべての旅人に課したとすると一体どういうことになるのか・・・。何度も何度もこの世界は同じことを繰り返しているんだろうか。だったらだったで、そういう描き方になりそうなもんですが、なんかどうも登場人物たちの様子から見ると「滅び慣れ」(?)してないみたいだし・・・。理屈で考えるな? 違いますよ。いいファンタジーほど、その世界なりの理屈が完結していないといけないんですよ。
 それに、あんな世界に行ったらもうつまらない現実世界に帰って来ない人も多いのでは(原作では、帰らなかった旅人の運命も書かれているようですが、映画ではそのへん、分からないままでした)。うん、不思議な作品でしたね・・・。

2006年7月11日(火)
・・・と思って(昨日の続きですが)待ちかまえていたところ、国連安保理の北朝鮮制裁決議は延期となった模様であります。今、武大偉という中国外務省の次官が北朝鮮入りしてなだめているので、これが15日ぐらいまで金正日を説得するので、それまで採決は待ってくれ、中国の顔を立ててくれ、という話になり、日米その他もこれを受け入れたとのこと。
 してみるとあれですね、中国としてはここで説得できないととんだ大恥、面目丸つぶれとなる。かなり本気で口説くしかないだろう。
 この安保理決議というのも、いったん決まってしまうとプログラムが進行してしまうのでイラクの時だってそんなにどんどん話が進んだワケじゃなかった。今回も、これが本決まりすると本当に半年後ぐらいにトンパチになりかねず、まことに冗談事じゃないのである。
 というので、2、3日は延びる、で、15日まで次官が現地にいるみたいで、ちょうどこの日はペテルブルクでサミットが始まる。このへんまでに採決するかしないか、でありますけど・・・。
 いやあ、きな臭いぞ、非常に。どうなるんだろうか。さすがに先がわからん・・・。
 そこへもってきて、昨日の青瓦台・韓国大統領府だかの「日本のように朝早くから騒がなくてもイイ話じゃないか」というのが波紋を呼んでいる。なんでそこで日本を持ち出すのか知らないが、要するに国内の「たるんでいる」という批判にこたえたつもりなんだろう。
 よその国の元首をとやかくいうのは非礼かもしれないが・・・といいつつ、当サイトじゃ米国大統領をさんざんにけなしたこと多々あるので今更だが、盧武鉉大統領というお人、ちょっとなんだかこう、分からない人である。
 太陽政策もよろしいが、北朝鮮とくっついたら・・・そしたらどうなると考えているのか。どうも幻想的な夢見たいなことを考えているとしか思えない。
 これだけ長い間、外国であり敵国であったものが、手を握りあって韓半島の大国になってなんてことを簡単に考えているんならずいぶん夢想的なことだ、悪いけれど。いっとき、日本人に向かって「南北統一したら大国ができて、日本は恐ろしいだろう」なんていう韓国人がいたと聞く。そして「北が核開発してくれれば、自動的に核保有国になれる。これぞ大国じゃないか」とか。
 そういう話で周辺の国がみんな納得するかどうかを考えてないみたいだが。だいたい日本人がどう思うとか思わないとか、くだらない話だ。こっちゃどうとも思っていない。
 安倍「次期首相」が、次の政権での外交について米誌に寄稿するという。要するに民主的な国家とは連携するけど、そうじゃない国は民主的になってもらう、とまあ、ミニ・アメリカみたいな国策で行くのだそうである。
 ということは、中国は駄目なわけだ、やはり。
 次の政権でも日本海波高し、は決定的ということだ。

2006年7月10日(月)
一日ネット断ちして、ひたすら・・・実は例のダイエット・ジュースで痩身を図っていた自分であります。ボクサーや柔道の選手なんかが実際に使用しているという、ジュースだけ飲んで我慢するというやつですが・・・最後は禁断症状が出てきます。そのへんのしけたポテトチップスの残骸までが美味そうに見えてくる・・・。
 で、そのおかげでこのところの平均体重から2キロほど減らして、診療所へ。それで採血に心電図に・・・ここでまた2時間ぐらいかかってしまった。
 採血するために朝から今日も欠食。断食ほぼ三日につき、さすがにへろへろになりつつ、飯でも食おうかと地下鉄駅に向かう途中、「フランス準優勝 フレンチメニュー1割引き」という看板を掲げている店の前を通る。ああ、そんなことをヒルのニュースでいっていた。ジダンが退場食ったんだっけ。このお店はイタリアンのメニューはないようだった。お気の毒である。「準」という字が後で貼り付けたものなのは明白だった。
 日本橋三越で、このところ買った靴の中に入れるシューツリーを買い込む。ここの靴売り場のシューツリーは中国製でお値段はお安いが、一応、木製だし、実用的には十分な出来だし、愛用しているのである。立派なブランドのツリーだとそれだけで1万円以上する。靴がそれ以上の値段・・・であっても2、3万の靴だと、1万円のツリーはやっぱりきつい。5万、10万となれば釣り合うし、20万、30万円の特注品となればこっちから何も言わないでもツリーぐらいはじめからついてくる。
 私の「艦隊」は、定価でいうとみんな5〜15万円のものなので、そういういいツリーを入れてもいいのだけど、しかし数が増えてきたので、それだけで10万も20万もしてしまうと考えると・・・やっぱりまだまだエセダンディーということであります。
 いやでも、この3000円のツリー、なかなかいいですよ。きついトリッカーズの靴から抜けなくて針金がぬけたことが一回あるだけで、非常にいい。
 今日はこれから仕事だが・・・例のテポドンがらみの国連安保理の結論は現地時間でもかなり遅い時間になりそう。となると、朝刊じゃなくて明日の夕刊扱い・・・げげ、あすの夕刊も自分の担当ではないか。
 いっぺんに暗くなる私であったりします・・・。
 ◇  ◇  ◇
 「山口県下関市東大和町の安倍官房長官の事務所に8日午前、カッターの刃入りの脅迫文が届いた。同事務所は同日、県警下関署に被害届を提出、同署が脅迫容疑で捜査している。安倍長官あての同様の脅迫文は6日、首相官邸にも届いた。同署や事務所によると、脅迫文には、日本語で「靖国参拝するな」「天罰下る」などと手書きで書かれていた。6日の脅迫文同様、文書にカッターの刃が張り付けられ、香港の住所が記されていた」(読売)というこれだけど、こりゃはじめ中国人が送っているというように言われたが、その後もそのままなんですかね。「天誅」なんて古めかしい言葉を書いてきたのなら、かなり日本語と日本に理解のある人ということかもしれない。幕末の志士用語だし、戦前の右翼用語だし。
 とにかく、今回のミサイルの件も北朝鮮にそんな意図はなかっただろうが、小泉さんがすでに釜の火を落としており、事実上の日本の司令塔がすでに安倍長官に移っていることをはっきりさせてしまった。
 次の首相も、まあ普通に行けばこれで決まりだろうが、なかなか大変だろうなあ、今やらされるのは・・・。
 

 
 

2006年7月08日(土)
 美空ひばり、というのは私はそんなに好きでもなんでもないのだが、読売新聞でこんな記事を見た。「美空ひばりさんの遺品など約千点を集めた「京都嵐山美空ひばり館」(京都市右京区)が、入館者の減少などを理由に、11月末で閉館することがわかった。・・・同館は、ひばりさんの死去から5年後の1994年3月、ファンだった京都市内の貸しビル業者が遺族らの協力で開館した」ということで、閉館だそうだ。
 たまたま昨日、森光子さんの一代記みたいな再現ドラマを見たんだが、それで驚いた。いやファンの人には常識だろうけど、森さんが戦後、結核で療養中に「すごい歌手が出てきたもんだなあ」と思ったのが、当時9歳の美空ひばりだった、という話があった。で、療養中の森さんは当時、なんと31歳。
 森光子さんから見ると美空ひばりというのは、最近出てきた新人歌手、だったわけであるが、かたやは今も現役ばりばり、かたやは既に伝説の人、どころか記念館が閉館になるぐらい時間が立ってしまった。
 「放浪記」で41歳で主演デビューするまでずっと地味な脇役だったという。菊田一夫に見出されるまではほとんど鳴かず飛ばずだったという話は前から聞いていたが、それにしても本当に、新陳代謝の激しい芸能界では異例の遅咲きだったわけだ。
 なにしろ20歳ぐらいまでに燃え尽きて引退する人も多い世界ですからね。こういう人もいるんだよなあ。
 人生、性急に結果を求めてもいけない、という実例なんでしょうね。てっとり早く結果が出ることを求める世の中ですが。
 ◇  ◇  ◇
 とろこで、機能のトンネルじん肺訴訟、というのを目に留めた人も多いだろう。このところ、健康被害について国の責任を問う判決を裁判所が出すようになってきた。筑豊じん肺、水俣病、肝炎などでそういう判決が続いている。
 ちょっと前までは、裁判なんて訴えても、どうせ裁判所は国の味方だから、というような印象があった。どうもそのへんが変わってきているようである。
 先日のドミニカ海外移民の問題でも、国の責任、ということは認めていた。
 こういうことが出てくるようになった、というのはここ最近の話だから、「急にルールが変わっても困るんだよな」というお役人の皆さんの困惑が目に見えるようであるが、まあこういう流れは止まりそうもなく、これからは相当に覚悟が必要ということらしい。
 簡単に言って「わかっていても面倒くさいので手を拱いていた」というのは為政者の重大な責任だ、ということになってきている。
 当たり前のことなんだが、ここまで日本では当たり前ではなかった。すこーし、ましな流れになってきているようではある。
 

2006年7月07日(金)
ところで、小泉さんがこんなことを言ったという。「6日夜、首相公邸で自民党の武部勤幹事長ら幹部と会食した。出席者によると、首相は北朝鮮のミサイル発射に関し、「プレスリーの所にいる時に撃たれていたら格好が悪かった。帰ってきてから撃ってくれて、運が良かった」と語った。首相は先の訪米の際、ブッシュ大統領とともにテネシー州メンフィスのエルビス・プレスリーの邸宅を訪れ、プレスリーの物まねなどに興じた」(時事通信) さらに毎日新聞などには、ぶら下がりの記者にも同じようなことを言った様だ。
 いや、私は今回はこれについてどうのこうのいうわけじゃなくて、ご本人が仰るとおりだと思うのだが、逆に言えば、金正日総書記はどうして、ブッシュ大統領と小泉首相が遊んでいるところで発射しなかったのだろう、にっくき米日をコケにするにはいい機会なのに、とそれを不思議に思った。
 あれだけミサイルの数を準備したのだし、私が前に書いたように、たとえば日本やアメリカのサッカーW杯の試合のたびに嫌がらせで発射するとか、つまりもっと嫌らしいことも出来たろうにと思う。
 スペースシャトルと同時に発射することで「うちも宇宙開発の一環なんだから文句ないだろう」と本気で言うつもりだったのかもしれないが、あれだけ中射程ミサイルも撃つのだからどうもはなからそんな意図があったとは思えない。
 してみると、本気で今回のスペースシャトルが失敗すると踏んでいたのかもしれない。
 それとも案外あれで、向こう様としては気を使ったのかもしれない。どっちだろうか。
 次の発射は4、5日後だ、という。すると水曜日ぐらいですかねえ・・・。
 また、軍機だろうが、今回の発射を日米韓の軍関係者がどの程度、航跡をトレースできたのか、迎撃準備が取れたのか知りたいところですね。42秒後にテポドンが故障した、なんて情報を流すのは、それだけよく把握しているよ、という威嚇なんだろうが。
 ◇  ◇  ◇
 いつも私の本サイトとリンクしていて、いろいろ情報を教えてくださる歴史サイト「MGライフ」http://www.h3.dion.ne.jp/~mglife/の古川さんから、タミヤのミリタリーミニチュア(MM)シリーズの最新作35分の1「B1」重戦車http://tamiya.com/japan/products/35282b1bis/index.htmはもう買われましたか、というメールを頂いて私は慌てふためいた。
 ちょっと前までは、プラモデルなどの新製品情報もかなり把握していたのだが、ちょっとこのところ目を放している隙に、そんな大物が出ているのに気がつかなかった、そのことを忸怩として慌てたのである。
 というのも、フランス軍の「シャールB1」というのは、久しく模型愛好家の間では「いつか製品化されないか」と言われていたアイテムの一つだから、である。簡単に説明すればフランスは第二次大戦のはじめの半年ほどで、ナチスドイツ軍に降参したわけだが、しかし降参するまでには、それなりに敢闘した部隊もあり活躍した兵器もある。どうしてもさっさと負けたようなイメージで影が薄いが、しかし実は戦車など、同時期のドイツ戦車より優秀だったというのが定説である。やる気のある指揮官(たとえばそのフランス軍のやる気のある指揮官の一人に、後に大統領になるドゴール少将がいたわけ)が率いる場合には、局地的部分的にドイツ軍を圧倒したという記録も多い。
 特に、後のアメリカ軍のM4戦車に影響を与えたといわれるのがソミュアS35戦車、そしてM3戦車に影響したというのがこのB1戦車、である。
 古めかしいようで、でかい75ミリ砲を前面に積んでおり、装甲も厚いのでかなり同時代としては強力。だがそれよりも、マルまっちい車体が愛嬌がある。
 はっきりいって、宮崎駿監督がナウシカやラピュタなどで登場させる戦車に非常によく似ている。宮崎監督は知る人ぞ知る兵器マニアであり、おそらくもろにドイツ戦車というよりこのへんのスタイルをアニメ化したんじゃなかろうか、と思う。
 さっそく買ってみたのだが、近頃はなかなかゆっくり作る暇がない・・・完成するのはいつになるのか。接続式のキャタピラの部品を見ると気が遠くなるが・・・。
 だが、ついでに模型ショップで、もっととんでもないものを買ってしまった。中国の新興メーカー・トランペッターの最新作「ドイツ蒸気機関車BR52」http://ms-plus.com/search.asp?id=14554である。なーんだ蒸気機関車か、と思うだろうが、当時の軍用車や列車砲を牽引した機関車なので、鉄道模型じゃなくてミリタリー模型のジャンルに入る。だから35分の1である。通常、鉄道模型というのはもっとッ小さいスケールなので、35分の1の汽車は、全長90センチ(!)になる。とても完成品を置いておくところがない。とんでもないものを買ってしまった・・・。
 部品点数もなんと710点もある。これは・・・広い豪邸でも買わない限り完成させるわけには・・・。
 ◇  ◇  ◇
 おまけに散財してしまった。銀座ヨシノヤ靴店とトレーディングポスト銀座店から、夏のクリアランスセールという案内状が来てしまった。そのたった2枚のはがきのせいでまたまた・・・。
 ヨシノヤでは、定価9万円のストレートチップが半額に。それからすごくいい赤茶色のフルブローグも定価5万円が半値に・・・買ってしまいました。http://www.ginza-yoshinoya.co.jp/newcolle/mens/index.htmlさらに、こっちは見るだけにしようと思って寄ったトレーディングポストでは、トリッカーズのフルブローグがなんと2万円ちょっと! 定価ならこいつも8万円ぐらいするものである。http://www.lifegear-tradingpost.com/index.htm
 ということで、確かにかなりお安く買えたのだが・・・すっかり小遣いがなくなってしまいました。
 というわけで、ほとんど中村うさぎさんの浪費エッセイのようになってしまった。まあここで我慢してもかえって後で激しく後悔するので、思いきって買っちまったほうが大体いいんですけどね。あんまり、つまんないものを買った、ということはないほうだが・・・。

 

2006年7月06日(木)
 日刊スポーツによれば「北朝鮮が5日発射したミサイルのうち、失敗したとみられ、日本海に落下した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」は航跡から、米西海岸沖からハワイ沖に着弾するコースだった可能性のあることが分かった。・・・防衛庁によると、テポドン2号は北朝鮮北東部から5日午前5時ごろ発射された3発目。南東部から発射されたほかの短距離、中距離が落下した地点からやや東に離れたロシア沿海州南方の日本海に約10分後に落ちた。・・・米アラスカ州をかすめサンフランシスコに至るコースと、ホノルルを狙うコースの間にあり、北海道の上空を通過するコースだった可能性が高いことが分かった。・・・テポドン2号は大型ブースターを持つ2段式で、アラスカ州の一部は射程内。3段式にするなど改良が進めば射程1万キロ以上も可能とされ、その場合にはワシントンに到達する恐れもある。・・・ワシントンを狙うコースは中国・東北地方やロシア上空を通過するという。・・・ノンフィクション作家松浦晋也さんは・・・98年のテポドン1号では、北朝鮮は「衛星打ち上げ」と説明したが、松浦さんは「今回のコースは明らかに違う。『衛星』の言い訳をしても通らないだろう」としている」ということで、これはやはり直接、アメリカを狙った攻撃、ということのようである。
 おそらくは、ハワイかアラスカ・・・まあどちらにしてもコース的にはそんなに違いはないからどっちかだろう、実際。この沖合いあたりに撃ち込んで、アメリカをびびらせて、それで交渉に持ち込む、というつもりだったのだろうが、あまり飛ばなくて、今頃責任者は銃殺刑じゃないかしらね。
 それになあ・・・これは日本人としての忠告めいたもんだが、アメリカって脅されても決してびびるような国じゃないんだよな、そういう意味では。というか脅迫されることが大嫌いな国でしょう。
 日本人としては、かつて、真珠湾を奇襲して徹底的にやっつければ、平和ボケしたアメリカ人などすぐに和平に応じてくる、と思った時期があるわけ。しかし効果は逆だったんだよね、言うまでもないけど。
 ことに、自分らは割りと平気で「先制攻撃」するくせに、相手の国が「奇襲」してくると卑怯だ、といって怒る非常に身勝手な国でもある。軍事だけじゃなくて、経済戦争でもなにかとそういう国だった。
 わが国は100年以上かけてさんざん、あの国に泣かされてようやくそのへん、呼吸が分かってきた。今じゃ特に軍事的には保護領のような扱いだが、とにかくそういう相手だから付き合い方を間違えてはいけない。
 が、どうも北朝鮮さんとしては・・・まあ、クリントンって人がちょっと、第二次大戦前のチェンバレンみたいな立場になっちゃっていけないんだろうが。あんとき優しいチャンバレンさんの態度に誤解したヒトラーが調子に乗って、ポーランドに攻め込んでしまった。
 ブッシュ家の私怨の様に見えるイラク戦争だって、要するに前の湾岸戦争であそこまで勝っていながらとどめをささなかったことをフセインが誤解して、その後かなり調子の乗ったことが原因といえば原因だ。
 ということで、あの国も今の考え方としては、いったん始めたら徹底的にやっつける、というものである。まあ、その先のことを考えるとまた気が重いが。
 北朝鮮を軍事的に押さえたとして、後をどうする。難しい話だ。韓国に任せるのが順当だがアメリカは今、あの国をどこまで信頼しているか。中国はとんでもない話。さて・・・。
 ともあれ、北が先制攻撃してくれれば、アメリカ国民も決して止めない。イラク戦争のときとは全然違う。
 やってくれないかな、どこかに命中しないかな、と物騒なことを議論している米政府の高官の姿が想像できるようである・・・。


2006年7月05日(水)
 私が寝ている間に北朝鮮がミサイルを、これまた大量に発射したようだ。今日は休みなんですよ自分。ああよかった。自分が関係ない日で。
 これで、「落ちるんじゃないか」とひそかに楽しみにされていた(?)スペースシャトルもアメリカはこっそり打ち上げてしまったようだ。別にこっそりじゃないか。
 ではあるけど、発射自体は・・・なんでかねえ。それにしても、という感じでねえ。
「北朝鮮が5日、テポドン2号を含む弾道ミサイルの連続発射実験を行った主な狙いは、核問題を扱う6カ国協議や日本人拉致問題をめぐり、こう着状態に陥っている米国、日本との関係に揺さぶりをかけ、突破口を開くことだとみられる。脅威を誇示して交渉相手の譲歩を求めるのは北朝鮮の常とう手段であり、関係国政府には冷徹な判断が求められる。北朝鮮がテポドン2号を発射台に据えたまま特段の動きがなく、周辺国で「実験しないかも」という観測が流れていた6月中旬、韓国の元政府高官は毎日新聞に「必ず発射する」と断言した。
今も北朝鮮の内情を知りうると言う元高官は、ミサイル発射実験の狙いを「いろいろやってみたが米、日の強硬姿勢を変えられない。この際、状況をひっくり返してみようということだ」と要約した」てなことを毎日新聞の記事で見かけた。
 しかし、突破口を開くなんてことはないよなあ、こんなもんじゃ。はじめてのことじゃないしねえ。あんまり、報道もしてないじゃないの、案外。
 でまあ、今後、なにがどうなるか、だが・・・。
 私は一つにはちょっとおそれていることがある。正規戦争になって全面的な闘いになれば問題外なんだが、それより前に、あの国がテロなんかに走りはしないか、という危惧だ。
 ミサイルでも駄目なら、もっとこっそり悪さをして揺すぶってやろうか、という方向に走りはしないかというのを恐れる。
 日本からすると、イスラム系のテロリストより、一見すると区別のつかないこの国のテロリストのほうが脅威である。
 しかし、ゆすぶろうがなにしようが、絶対にどこも助けてくれないとは思うんだが。少なくとも周辺にイランみたいな、はね上がりの国はない。韓国も潜在的には危険な要素があるが、こういう動きを擁護するほどにはまだおかしくなっていない。
 こりゃアメリカの空母や潜水艦がうようよ集まってくるかもしれず、ブッシュ大統領もひさびさに血が騒いでしまうかも知れず、中国はますます嫌な顔するだろうし。
 ・・・かなり危ないかも知れんなあ。


2006年7月04日(火)
中田英寿の引退で・・・驚いた人というのはあまりいないんじゃないのか、実際には。まあそんなもんかしら、と。こないだのブラジル戦後の雰囲気から見て、そういう予想していた人は少なくないはず。
 にしても・・・夜の9時ごろに騒ぎはじめて、また振り回されましたよ私は。なんでこうも、サッカーに興味のない人間に限って、こういう話題につきあわなきゃならないのか。
 にしましても、一時代作った人なのは確か。私の世代だと懐かしいのはカズで、中田は今もって生意気な若造的な印象がぬぐえない。その若い人がさっさと辞めてしまうんだからまあ、早いと言えば早いんだろう。
 「3日夜、中田英寿の引退表明は、外国通信社も大きな関心を持って伝えた。至急電で報じたAFP通信は、中田英を「世界のサッカーにおける日本最大の輸出品」とした上で、「視野の広さと切り裂くようなパスで知られ、日本の中盤に上品さを加えた」と評した。ロイター通信は「日本の最も有名なサッカー選手が引退を表明した」として、「1つの時代の終わり」と話すサッカーファンの声を伝える日本のテレビ局の報道を引用した」(時事)ということで、結局、いまになってもこのナカタ以上に有名な日本のサッカー選手はいない。そして、彼とても、決して世界的に見て一流の選手、ではない。
 野球のほうでイチローがオールスターに選ばれたというが、こっちは文句なしにこの世界で超一流である。この域に日本のサッカーが達するには、あと50年かかるかもしれないし100年かかるかもしれない、というわけだ。
 とりあえず、お疲れ様でした。ご本人は・・・まあものすごく満足ではないと思うけどさあ、お金はずいぶんと儲かったのとちゃいますか。
 そのへんは、なんだか値段だけ実力以上につりあがったライブドアとか村上ファンドみたいな印象も覚える・・・。ああ、日本人って結局・・・。
 ◇  ◇  ◇
 それで、福井さんがどたばたしているスキに(?)ゼロ金利も解除となりそうな塩梅である。とにかく、景気は回復していてデフレは終わったんだ、ということ、なのだそうだ。
 本当なんだろうな?
 なんかしらないが、もののお値段だけは上がっている気が確かにする。
 なにか買いたい人は本当に今のうちかもしれないなあ。


2006年7月03日(月)
滋賀県の知事選があったそうですね。で、自民、公明、民主相乗り候補・・・いいのかよそんなことで小沢さん・・・の現職が破れ、社民党の新人女性が知事に当選したとか。
 さらに、東大阪市では一期ぶりに共産党の市長が返り咲いたとか。自民系の候補二人が仲間割れした結果とはいえ、今現在では共産党籍のある市長は4人しかいないそうだから、かなり珍しいこと。
 ほほう。どうもなんだか、である。微妙にこういう選挙の風の吹き方が・・・。
 昨年の9月の後遺症、ですかね。やはり。
 意地悪い言い方ですが、昨年の選挙と、それから今年のサッカーW杯というの、日本人にはけっこういい薬だったんじゃないかしら。軽薄なお祭り騒ぎみたいなのは駄目なんですよ絶対に。熱狂じゃなにも解決しないんですよ。
 今回は感心なことに、「カイザースラウテルンの悲劇」とかアホなネーミングでお話にしてしまうようなこともない。あまりのくだらなさに、名前もつかないのだろう。いいことである。あえていって、かつての旧帝国海軍に「マリアナの七面鳥撃ち」と呼ばれる屈辱的な敗北があった。米軍の高性能な高射砲にばんばんと、七面鳥でも落とすみたいに日本の飛行機が撃ち落されたという、マリアナ沖の惨敗をこう呼ぶのだが、あんな感じだ。
 しかも、ブラジルが負けてしまったのだから、あの組なんて全部、出た意味もない感じである・・・。かつて、私の高校が茨城県の高校野球の予選で取手二高という学校に敗れたことがある。もちろんそのときは悔しかったが、その後、取手はどんどん勝ち進んで甲子園に行き、さらにそこでも快進撃して、とうとう全国制覇してしまった。で、思ったね。つまり今年のうちの学校は予選落ちだが、しかしひょっとしたら甲子園の準優勝校と同格なのかもしれない。なぜなら、取手二高に負けることで終わったという意味では、たとえ甲子園の決勝まで残っても同じだったはずである・・・。この感覚で言うと、ブラジルが生き残っている限り、まだなんとなく日本も関係がある大会のように思えなくはなかった。しかし、こうなってしまえば、本当にただの欧州選手権である。独仏伊とご近所の国ばかり。
 そういえばだ。ドーハの悲劇、なんて私もリアルタイムで見た世代だけど、あの時はアメリカ大会の予選である。時代は湾岸戦争の直後である。もちろん、イラクなんて絶対に本大会に出てもらっては困るわけだった。だから審判なんて露骨に日本に有利だったのにそれでも引き分けに持ち込まれた。だからぜんぜん、あんなのは悲劇でもなんでもない、という言い方が最近あるようだが、同感である。
 あの当時のイラクの体育大臣は残酷さで父親のサダム・フセインすら恐れていたという有名なウダイである。負ければ処刑である、収容所である、拷問である。引き分けても、あの後、イラクの選手は鞭打ち形に処されたと聞く。監督の家が対戦車ミサイルで吹き飛ばされたとかいう話もどっかで読んだ。
 精神力がどうの、メンタルな部分がどうの、なんて話じゃない。まさに命がけだったのである。日本が彼らに勝てなかったなんて無理もないのである。
 ◇  ◇  ◇
 先週の今日、大騒ぎになっていた池田優子クリニックの話だが、夕刊ゲンダイにこんな続報(?)があった。「キャッシュで購入した都内一等地の3億円豪邸。ロールスロイスを乗り回し、ワンシーズンの洋服代は400万円。「テレビを見て計画した」犯人グループが狙ったカリスマ整形外科医・池田優子さん(47)母娘は盛んにメディアに登場し、「同じ服は2度着ない」と豪語。高級ブランド品を現金でポンポン買う姿も放送された。優子さんは00年に写真誌でヘアヌードまで披露。「上から下まで、全部ナチュラル」というB92・W60・H92のナイスバディを惜しげもなくさらけ出していた。叶姉妹も真っ青のゴージャスライフ――。しかし、「時給100万円」「月1億円以上稼いだ」と胸を張るが、なぜか昨年まで長者番付へのランクインはゼロ。キャッシュで購入したはずの豪邸には、昨年4月まで2億円の抵当が優子さん名義で付いていた」・・・ええ、キャッシュじゃなかったの豪邸? それに娘じゃなくてあのセンセイがヘアヌード? なんかもう想像を絶する。だって口歪んだあんまりなんかこう・・・見たいようなルックスじゃ決してなかったし、あのセンセイ。娘のほうならまあ・・・あんまり知的な感じはしなかったけど。
 「優子さんが20代後半で一念発起、医学を志した経緯も「資産300億円の御曹司と離婚し、“宝物”の娘に不自由な生活をさせたくなかった」と美談風に紹介されてきたが、生家の茨城・古河市の住民は「御曹司と結婚? 相手は実家近くの床屋のセガレじゃなかったかなァ。資産300億?小林(池田さんの旧姓)家の方が、よっぽど裕福でしたよ」という話しもあって笑える。
 要するに、またまた上げ底のえせセレブだったみたいだ。しかもその上げ底報道を真に受けた連中に襲撃されると来た日には・・・気の毒で涙を禁じえない。
 むろん、それなりには稼いでいたんだろう。でも、本当は別にそんなにものすごいカネなんてなかったみたいだ。
 まことに申し訳ないが、やはり見栄を張りすぎた報い、天罰だったみたいではある。

2006年7月02日(土)
おとといあたりから橋本龍太郎さんの危篤という話が出ていたが、そういうわけで「ハシリューの愛称で呼ばれた橋本龍太郎元首相が1日、68歳で死去した。慶応ボーイ、ヘアクリームで固めた髪、剣道、登山、カメラと多彩な趣味――。女性を中心に人気を誇った政治家だったが、晩年には日本歯科医師連盟(日歯連)からの1億円裏献金事件で東京地検特捜部の聴取を受けるなど、疑惑の影にも包まれた」(毎日)というわけだ。
 この人、いろいろな意味で今の小泉政権に大きな影響を与えている人だと思う。個人的人気の高さ、態度がでかくて言い出したらきかない頑固さ、といった姿勢は今の首相に似ている。また、6大改革をどーんと打ち出して、増税とか年金保険料引き上げをいっぺんにやったことで命取りになったので、これは反面教師として小泉政権に影響を与えているですね。改革を小出しにして、ちょっとずつしかやらない、小さな改革をさも「改革の本丸」と位置づけることでいかにも話が進んでいる振りをする、増税とか国民の負担増も小出し、先送りにする・・・このあたりは慎重に橋本さんの失敗に学んだ結果といえる。
 それから閣僚人事が致命傷になったハシリューを参考に、人事は一人でやる、派閥は無視するという小泉スタイルも出てきたに相違ない。
 改革路線+べったり親米路線、というのも基本的に橋本さんのときに敷いたもんだから、小泉さんというのはそういう意味では橋本さんの後継者だったといえる。ただし、ハシリューさんは中国との関係も重視していたので、誰かさんみたいな単細胞外交ではなかった。
 そういうわけだから、要するにできてない改革を出来ているといってみたり、国民を情報操作でたぶらかしてみたり、ということはない人だった。正直だったと言える。嘘つきだったという印象はない人だ。また、今の首相と違ってユーモアというか愛嬌があったのも確か。省庁再編の話で「大蔵省のような由緒ある名前がなくなるのは残念」という声に対して「それをいうなら検非違使なども由緒ある名前でしょ」と答えた。だったら検察を廃止して検非違使にしたり、いっそ総理大臣を太政大臣すればいいのか、というわけだが、こんなせりふがすっと出るのは教養がある人だった、ということだ。
 今の総理がもし省庁再編を担当していたらなんというか。「そういう抵抗勢力がいるから困るんですよ」とか「適切に判断します」とか、「それは些末なことでしょ」とか、とにかくつまらない返事しかしないことは確かである。
 というわけで、ただ単に死んだ人は悼まなきゃ、という義務的な感想以上に、案外に本当にハシリューを惜しんでいる人は多いようである。それもおそらくは、半ば今の誰かさんとの比較のなかで言われているんじゃないか。
 というのも、この人の正直・真正面からやった改革が成功していれば、ペテン臭い小泉改革なんて必要なかったのであるし、2001年4月の自民党総裁選も、橋本と小泉の一騎打ちのようになったわけで、あれも結果次第では、かなり今の日本の雰囲気は変わっていたはずである。
 それに引き比べて、アメリカからプレスリー邸見物して帰ってきた誰かさんは、死んだときに惜しまれるか、それとも「あのアホ、くたばってせいせいした」と言われるか、見物ではある。
 その誰かさんのほうは、相変わらず信長とか秀吉とか、せいぜい中学生の歴史同好会レベルというか、大河ドラマレベルというか、そんな程度の次元の低い話を披歴して回っているらしい。決してこの人、同じ戦国時代でもたとえば「朝倉宗滴は・・・」とか「北条氏康は・・・」などとは言わない。あるいは「源三位頼政はねえ」とか「藤原定家の日記にこんなことがあるけど」とかも言わない。つまり教養レベルの知識はなくて、頭の中はせいぜいドラマで有名な人だけなんである。ドラマに出てくるような話を史実だと信じている。それで現実の政治に応用したわけだ。つまりまあ、とにかく頭の悪い人間なのである。
 アメリカに行っても話題は西部劇とプレスリーの歌真似だけだし。中学生レベルの英語ひけらかしてくるし。本当にここまでくだらないヤツをリーダーにしていて恥ずかしい限りだ。
 その頭の悪さがしかし、見事にある種の需要にあっていた。まあはっきりいって同じ時期にアメリカに同じような頭の悪い政権が存在したことがそれを助長したんだろう。最新の航空母艦に父親の名前つける馬鹿大統領のことだが(民主党政権になったら改名すればいい。なんで空母ジョージ・ブッシュだなんて・・・)。
 まあそれはさておき、ハシリューは間違いなく失政はあったし、最後は日歯事件で晩節を汚したけれど、中曽根内閣の運輸大臣で国鉄改革をやり、その後の改革のたぐいもそれなりの成果を示した人だとも思う。
 今の誰かさんの死んだとき、一体全体、なんの功績があったと書けるんだか。せいぜい自民党という一政党の体質を変化させた、ということだろう。それ以外には、結局なんにも残らないように思う。むしろ日本人の知性と精神を完全に荒廃させとどめを刺したA級戦犯と呼ばれるんじゃないか。北朝鮮の問題を一歩進めたという評価をする人もいるが、今となっては前進だったのかかえって袋小路に追い込んだのだか、冷静にみれば分からないように思う。
 ◇  ◇  ◇
 袋小路といえば、WTOも暗礁に乗り上げたようですな。新多角的貿易交渉というの。農業分野を死守した日本もまあ戦犯の一国だろう。
 それはそれとして、今後はブロック経済の時代に戻っていくんじゃあるまいか。二国間交渉からブロックになっていく・・・となると戦前に逆戻りじゃないか。
 してみると、あれですね。いよいよアメリカのブロックに入って中国と対決する路線しかなくなってくるんだろうか。おそらくそうなんだろう。
 こりゃあ、厳しくなってくるんじゃないですか、ますます。



2006年7月01日(土)
ついこないだ、自治体として「倒産」した北海道の夕張市だが、毎日新聞にはこんな記事があります。「632億円の巨額負債を抱え、財政再建団体指定の申請を決めた北海道夕張市が、前年同期を上回る平均75万5000円の夏季期末勤勉手当(ボーナス)を職員に支給していたことが30日分かった。・・・りそなグループや三菱自動車など経営危機にひんした民間企業では、ボーナス支給をやめる例は珍しくないが、同市の判断は果たして妥当なのか・・・支給額は▽後藤健二市長163万3900円▽助役143万7000円▽市議70万4000円で、それぞれ前年同期を若干上回った。一般職員は平均で前年同期と比べ7000円増えた。・・・支給額の引き下げには市条例の改正が必要だが、支給基準日の6月1日以前に改正しなければならないという。同市の給与担当者は「問題の表面化が急すぎた。市長や市議が返上を申し出た場合には公選法に抵触する」と話している。しかし、今年春には同市では事態の重大性を認識しており、事実上破たんしている財政状況について、国や道などに報告していた。・・・同市清水沢清陵町の強力道信さん(71)は「一般市民だけではなく、年金生活の我々にも市の無駄遣いのツケが回されようとしている時期に、市職員のボーナスが増えたことは納得出来ない」と、怒りをぶちまける。道の荒川裕生地域振興・計画局長は「抜本的な財政再建を行わなければならない状況について、もっと危機感を持ち考えていただく必要がある・・・」と語っている」というわけで、まあ年間にすると若干の減額になるらしいのだが、とにかく今季については「増額」されているというんだからあきれる。というか、なんで倒産した自治体のトップが160万ももらってしゃあしゃあとしてるのか。せめても幹部は返上して当然なところだろう。
 なんというのかなあ・・・とにかくお役人の皆さんには、「自分らの責任」て感覚がとにかくないよね。世の中は結果責任だ、とここ5年間わあわあ言って来た総理大臣がいるのになぜか、官の世界はちっともそうならなかった。小泉さんが楽なところにばかり手をつけて改革ゴッコ、えせ改革の振りばかり繰り返してきたからですがね。
 こういう一事を見ても、お役人の世界は何にも変わっていないのに気付くわけです。
 今、日本国が倒産するかも、といっているわけです。
 日本のお役人なぞ全員、職を辞して腹切って詫びるべきである。
 それで思い出したが、ゆうべたまたま日本テレビで爆笑問題が出演している「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中。」・・・なんというんですか、太田「総理」が「法案」を提出して、それでみんなが討論するというバラエティーをやっていたけど、その「法案」というのは「天下りした人は時給500円にしろ」というもんだった。要するにこれは、天下りするな、どうしてもしたい人はボランティアでやれ、という意味である。
 が、まるきり出演者の言ってることはちぐはぐで見ていて見苦しいこと甚だしかった。天下りそのものがけしからんから、時給500円とかいう以前に禁止だ、とわめく人ら。まあそれはそれでわかるんだが、本当の意味は上に書いたとおり、原則としてするな、するならボランティア、というのが本質なんだから少しは製作者の意図を察してものを言えばいい。あれじゃ馬鹿な野党の議論のようである。
 それより噴飯だったのは、一人はなんというヤツか知らないが、聞いたこともない国際アナリストだっけ、なんか紫色のスーツ着た馬鹿。「官僚はエリートなんだ、優秀な人材を国にプールすべきなんだ」「世の中は勝ち組を大事にすべきなんだ、官僚は勝ち組だろ」とか一人で騒ぎまくって話をぶち壊していた。こんなのはせいぜい去年の今頃までに言えばいいことで、時代の流れは微妙に変わってきてる。遅れている。そもそも自分は何様なんだか。出演者の中でいちばん無名な負け組がなにを一丁前にほざいているんか。
 たかが22歳ぐらいで受けた試験の成績がよかったというだけで、一生死ぬまで、別に遊んでいてもさぼっていても、同期のトップが次官になるまでにはどこかに天下って安泰ですというようなもののどこがエリートかね? 普通の会社で、同期で社長が現れたからって、課長や部長が会社辞めるか? 
 それにだ、エリートエリートって、単に勝ち組はエリートじゃないんだよ。いざとなったら腹切って責任取るのがエリートなんだよ。人よりいい暮らししていざとなったら逃げる、といった福井総裁みたいのはエリートじゃないんだよ、ただの金力権力亡者だろ。
 「日本沈没」のときには最後まで残って見届けるのがエリート。しかし今の日本の官僚はどうかね。おそらく真っ先にほかの国民を押しのけて特権使って逃げようとするだろ。絶対にそうするだろ。
 それに日本の官僚がなにをしてきたんか。年金破綻に財政破綻に薬害エイズに狂牛病に耐震偽装にゆとり教育に・・・まあ思いつくものを並べても、お役所なんて書類の整理ばかりしてきていてなんにもしてないことが分かる。そんなせっかく優秀な人材をぬくぬくした温室に「プール」してくだらない作文作りや、まずいときの言い逃れ探しばかりさせてるから日本は駄目なんだろ? なにが優秀だ、なにがエリートだ。けっきょく不能率な「日本的人間集団」の最後の生き残りに過ぎない。
 はっきりいってもっとも優秀な人間が官僚など目指すのは後進国である。せんじつめれば役人などおおむね事務方である。いちばん切り札みたいな人種をそんなところに置いて腐らせてしまうから日本は駄目なんでしょうが。
 それに官僚目指しているという東大生というヤツのいうことも聞いてて呆れた。「東大に入るのだって塾とかいって大変だったし、官僚になるのも大変じゃないですか」だからなんなんだよ。それで22歳まで頑張ったから後は楽させてくれ、というのかよ。馬鹿なんじゃないの、こういうヤツは絶対に官僚になって欲しくないね。それまでのお勉強の苦労に対して、見返りを求めるようなヤツはさ。いい思いをしたいんなら堀江みたいに、威張りたいなら政治家になりなさい。

2006年6月30日(金)
 先日、実家の母親と電話していて、なぜか福井日銀総裁の話題になった。村上ファンドでの儲けもこすからないが、それよりも「年金がなんで780万円もあるのよ、年収が3000万円以上ある人が、しかも資産が3億円近くある人が。どういうことなのあれは」というのである。もちろん私もあの資産公開を見てから、完全に福井さんという人が信用できなくなった。プライバシーもあるので公開しないほうが・・・などとご本人が隠したがったよく分かる。不正かどうか、という以前に金持ち過ぎるのだこのジイサンは。
 28日の読売には「総裁が2005年に得た収入のうち年金の受給額が778万円にのぼり、与党内からも「有名企業の役員と比べても非常に高い」との声が出ている。・・・年金受給額の内訳は、元日銀職員として受け取る企業年金が333万円で最も多い。これに、サラリーマンなどが加入する公的年金である厚生年金の309万円が加算され、個人年金保険121万円なども含まれている。日銀は、接待汚職が発覚した1998年に、役職員の厚遇に対する批判の高まりを受け、給与水準の引き下げと合わせ、企業年金の受給額も「大手金融機関並み」(日銀)に見直した。現行制度では、福井総裁のように局長級の役職を歴任したケースでの受給額平均が235万円。しかし、福井総裁の場合、制度変更前のものが適用されるため、現行より約100万円多いという」とのこと。つまり、最近の人はこれほど貰っていない、ということらしい。
 それにしてもなあ・・・年金だけで、悠々とやっていける金額。そりゃ金が余るわけですよねえ。
 それでところで、日本の日銀総裁は給料もいいんだってね。小泉首相よりいいぐらい、だそうである。アメリカのFRBのバーナンキさんなんて2000万円台。なんで日本の総裁がこれより1000万円以上も高給なのか理解に苦しむが。
 そんで、スポーツ紙とか週刊誌見ると、次はオリックスの宮内さんの番だ、自民党は宮内隠しをしないで堂々と対処しろ、とあっちにもこっちにも書いてある。
 要するに、構造改革論者の人脈というのがあって、村上も堀江もバックには宮内さんとか大物政治家なんかがいたからあんなに安心して経済犯罪がやっておられた。
 で、そのサークルの元締めってのは要するに竹中さんに近い人たちということで、福井さんなんてのもそもそもそういう甘い汁サークルの一人である、ということを書いているところが多い。
 旧来型の利権はいかん、派閥はいかん、といってきたコイズミ改革の実態というのは、デフレを長引かして市場や金融商品を介した新たな形式の利権を生んだのではないか、それで金持ちがますます資産太りしやすくする政策だったのではないか。
 なんていうのだが、そんなことはずっと前から気付いている人は気付いていること、今頃何を言っているか、と自分などは思う。
 9月にコイズミ退場してから、いろいろ本当の所が出てくるのは・・・すぐなのか、2年後か、10年後か。
 ま、そのころには甘い汁を吸った連中はみんな逃げ切りセーフだろうが。場合によってはあの世に逃げ切り・・・ですかね。


2006年6月29日(木)
 うちの妻はきりっとした女優さんが好き、なんですね。で、かっこいい女ヒーローが出てくるような映画には目がない。がまあ、私も割とそうなんです。
 ということで、昨日はミラ・ジョボヴィッチの新作「ウルトラヴァイオレット」という映画を見てまいりました。
 近未来の世界。アメリカの軍事技術が生んだ細菌「ファージ」は、もともと兵士の肉体改造用に開発されたが、超人的な能力を与えてくれる代わりに、感染者はわずか12年で寿命が尽きてしまうというものでした。細菌は瞬く間に世界中を席巻し、人々はパニックに。これを利用して政府は強権を発動し、独裁的な政府が生まれてファージを隔離し、絶滅させていきます。
 そして、ほぼファージ感染者が絶滅したという最後の時期が舞台。最後にして最強のファージ女戦士であるヴァイオレットが、政府が開発したファージを抹殺する最終兵器の奪取に挑むところから物語は始まります。それは彼女にとっても最後の任務になるかもしれないものでした。12年前にファージ感染した夫が殺され、おなかにいた子供は中絶させられ、彼女自身は実験材料となった後、地下に潜伏。ファージ最強の殺し屋として活動してきたけれども、まさに12年がたって、その命は尽きようとしていたのでありました・・・。
 ミラというと、「フィフス・エレメント」に「バイオ・ハザード」です。抜群のスタイルを生かしたアクションもの、という印象が強いですが、今まででもこのウルトラヴァイオレットはいちばん撮影がきつかったとか。映画としては1時間30分ほどで、かなり短い作品ですが、この中に9回も戦闘シーンがあり、そのためにミラはなんと1年間もトレーニングしたというから驚き。これほど準備に時間がかかった映画もないとか。
 ご本人のインタビューを何かで見たことがあるんですが、ミラ本人は実はどっちかというと決して運動神経抜群という人じゃなく、むしろのろまで臆病で、と自分を思っているんだとか。さればこそ、今回のような曲芸みたいなアクションを自分でこなせたことになにしろ満足しているとか、いやそれはもう、本人が思わず自分で自分を褒めたくなるのがよく分かるような見事なアクション満載ですね。ガンアクションと、刀を使った殺陣のすさまじさ。ユマ・サーマンの「キル・ビル」とか、ケイト・ベッキンンセールの「アンダーワールド」とか、似たような女殺し屋という設定のアクション映画はありますが、おそらくこの激しさは超ド級じゃないですか。マトリックス以後の新感覚アクションみたいなものの集大成の感が強い、そりゃもうそれだけで一見の価値がありますです。
 スチール写真で見るより、動いている、躍動しているヴァイオレットの姿を見ればどなたも納得するでしょう。とにかく魅力的です。
 そしてまあ・・・あきれるほどに人が死にます。彼女の役は超人ですので、敵が700人いるような場所でも死体の山が築かれていきます。
 ところが、この映画のいちばんの見せ場はそういうアクションばかりじゃないんですね。
 ヴァイオレットは12年前に失った女としての幸せから逃れられず苦悩しているんですよね。で、話の中盤からは、政府に追われている少年と一緒に逃避することになるんですが、そのなかで非常な殺し屋から母性に目覚めて行ってしまう・・・そのへんの描き方もまたいいんです。
 先行するお話は多いと思うし、いろいろ下敷きになっているイメージはあると思うのですが、なんといってもかくもカッコイイ女性主人公を描ききったのは見事の一言。それにまたストーリー的にも、たんなるアクションばかりの映画じゃなく、独裁国家の恐怖、政府による情報操作に国民騙し、マイノリティー差別と迫害・・・といったテーマが非常に効果的です。
 ミラ以外の共演にすごい有名人というのはいないのですが、独裁政府の黒幕やっているのが「リディック」や「リジェンド・オブ・ゾロ」の悪役スター、ニック・チンランド。ヴァイオレットの母性をくすぐってしまう少年役にキャメロン・ブライト・・・この人はXメンにも出演するみたいですね。
 実のところカッコイイ女主人公さえ見られればまあいいか、と思ってみたのですが、期待を大きく上回る脚本で、いい映画でした。ちょっと最初のほうはテンポが速くてなんだか分からない感じがありますが、最後まで見ると構図が分かってきます。ちょっと映画の公開が多くて埋もれがちかもしれませんが・・・こいつもお薦めの一本です。

2006年6月28日(水)
ブッシュとのお別れ旅行中の小泉首相。「27日夜(日本時間28日朝)、オタワ市内のホテルで同行記者団と懇談し、自らの靖国神社参拝について「何回行こうが問題にはならない。個人の自由ではないか」・・・自民党総裁選に関しては、9月8日に告示されるとの見通しを示したうえで、「(靖国問題が)争点になるとは思わない。争点にしたい人もいるが、突き詰めれば、『中国の言い分に従いなさい』というのが靖国参拝はいけないと言う人たちだ」と強調した」(読売)というんだが、うるせええんだよ馬鹿。自分が辞めた後のことまで口を挟むんじゃねえ。
 お言葉を返させてもらえばだ、「靖国を争点にしようがしまいが、候補者の自由」だろうがそんなものは。
 従来の派閥を解体する、というようなことを今回も強調しているようだが、それはそれでよい。しかし辞めた後は、きっぱり口出しやめて消えてもらいたい、あんたには。
 5年も6年も時間を与えたのだ、もう十分だろう。
 靖国について言えば、かつての天皇制と、かつての帝国陸海軍が存在しない状況じゃ、あの神社は本来の機能を果たしえない、ということがもっとも重要だ。要するに小泉純一郎ごとき下郎が何回、参拝しても英霊からすれば迷惑なだけである、というのがひとつの前提であることを忘れてやがる。はっきりいって天皇にきてもらわないと意味がないわけだ、あそこにいる英霊にしてみれば。それから、国民みんなが帝国陸海軍にかかわりがあって、その尊敬と崇拝がなければあの施設は意味がないわけだ。
 そういう意味では、ぜんぜんもぬけの殻なのは確かなわけだ。
 そこらへん考えずに、もっぱら中国との駆け引きばかりで今回もものをいう。要するに小泉にとって靖国というのはまったく、対中国駆け引きの道具なのである。
 中国なんぞ関係ない。日本人にして靖国が嫌いな人も沢山いるはずだし、今の靖国に不満を持つものも多いであろう。なんでもかんでもいいから、靖国に参拝するのは愛国者で、しないにんげんは中国の手先だというお前の言い方は気に入らない。なんでもかんでも「郵政に反対か、賛成か」のときのような単純な分け方で敵と味方に分ける。
 世の中はなんでも善玉と悪玉の二種類しかいないのか。お前は5歳の子供か。まあいい。要するに日本国民は馬鹿なのでそれに合わせているのだ、と言いたいのだろう。それはそのとおりではある。今の日本人などなんの考える力もない烏合の衆であることは認める。
 だが、それを助長したのは間違いなくお前の存在である。お前みたいな単細胞はさっさと消えてなくなればいい。改革だとかなんとかいっても、みるがいい、昨日あたり、すでに歳入・歳出の一体改革案が予定よりすっかり後退してしまったという。来年の参院選をにらんで、もう自民党は改革路線をやめたいのだそうだ。自民党の参院幹部ははっきりそういい始めている。景気回復? 笑わせるな。もうしぼんできてるじゃないか。
 戦没者遺族の皆さんは本当は、感謝していないでもっと怒るべきである。あんな俗物にあの神社の本質などわかるわけがない。靖国神社はあいつの粗雑な外交に利用されたのであるから、怒るべきところである。
 そもそも何回行こうが・・・だと聞いて呆れる。なんで年に1回と決めてしまったのだ馬鹿者が。だから中国につけいられるんじゃないか、自分が悪いんだ。もっと毎日のように行けばよかったんだよはじめから。
 お前が神社に思い出したように行く、それを見て中国が圧力を加える、その繰り返しだろうが馬鹿。その順序じゃいつでも日本が非難を受けて怒られるだけだろうが馬鹿。
 それで、アメリカとさえうまくやっていればいいんだ、などと・・・。アメリカってのはそんなに単純な国か、馬鹿?
 もういい加減に貴様の顔も声も見飽きた。デスノートにお前の名前を書き込みたいよ。
 
 



2006年6月27日(火)
もう皆さんご存じでしょうけど、ゆうべの・・・午前1時すぎににわかに、「渋谷の女子大生誘拐に動き」と騒ぎ出して、それでうちの会社の編集局は大騒動に。「1時25分に被害者を保護」「容疑者確保」てなことで、普通ならそのぐらいの時間には作業を終わって、どこの新聞社も輪転機を回しはじめないと間に合わない。のだけど、しょうがない。報道協定・・・誘拐事件の場合は解決するまで報道しない、というあれです、あれが解けたのがなんともはや、午前1時57分でして、普通ならもうそろそろ夜勤の人も帰宅しようかな、という時間だったりする。
 ということで、ひっでえ目に逢いましたぜ。
 要するに、昨日の午後、渋谷の町の真ん中で女子大生が拉致されて、母親に3億円要求してきたけど、未明までにみんなつかまって彼女も無事でした、というだけのこと。なんでそんな話が大ニュース扱いなのか。
 終わってみると実際、たいしたニュースとも思えない。
 ただ、被害者というのがちょっと普通じゃなかった。3億円も要求されてもおかしくない家の娘だったのね。
「誘拐された池田果菜子さん(21)の母、優子さん(47)は、美容外科医としての成功やその暮らしぶりが雑誌で注目されるほどの著名人だった。優子さんは東京都渋谷区内で、脂肪注入の豊胸手術や脂肪吸引による痩身を手がける美容外科・美容皮膚科「池田ゆう子クリニック」を経営している。同クリニックのホームページによると、優子さんは大学卒業後に結婚、果菜子さんを産んだ後に離婚した。その後、医師を志して杏林大医学部に入学。卒業後、都内の美容クリニックに勤務して頭角を現し、2002年3月に独立して同クリニックを開業した。成功物語が雑誌やテレビで取り上げられ、自立を目指す女性たちの共感を得て、“カリスマ女医”と脚光を浴びていた。今年2月に発売された週刊誌では、高級外車4台を所有する「美人女医」として紹介された」ということで、娘さんのほうもメディア出演もあって、クリニックのHPにもばっちり登場だし、まあ、目立っても仕方ないし狙われても仕方ない親子、ということだ。
 なんでも池田優子さんは「時給100万円の女医」とか「バストアップのゴッドハンド」とかいわれて、まあかなりのおセレブなようである。
 が、犯人に金を要求されて「今すぐに出せるのは4〜500万円」と答えたとか。案外に現金はないものらしい。で、犯人に「おや、娘さんの値段はそんなもんですか? おやすいですねえ」とか皮肉られて、「じゃいくらなんです」と聞いたら「3億円ですよ」と。
 まあ、その週刊誌なんかでも、3億5000万のマンションをキャッシュで買ったとかいろいろあったので、そのぐらいの金アルだろ、とやられてしまったらしい。
 まあ、こういうのもイメージを売る部分は必要だと思うけど、あんまり目立ってしまうと危険だということです。
 それでなくとも、今の時代、急激に日本の「上流層」に対する風当たりが厳しい。村上や堀江があげられたのも、広い意味では大衆的な怨嗟のガス抜きなのは間違いない。
 ビル・ゲイツみたいに、しっかりとボランティアをやるのが欧米じゃ金持ちの常識であって、それはリスク対策でもあるし、義務でもある。
 日本の成り金とか小金持ちの人ら、いい加減にそのへん大人にならないとますます危険なご時世ですぜ、と被害者には悪いけど、思ったね。
 ◇  ◇  ◇
 全国の1級建築士30万人。全員に再試験をするという。駄目な人は新しくできる「準1級建築士」に降格されるんだって。それから全国190万人の教諭。こっちは10年ごとの免許更新が本決まりだってね。ペーパー免許の人は、就職する時に講習受ければいいんだって。ということでこっちも、はっきり言って厳しくなるだろうね。
 こうなったら医者だよなあ。なんといっても医者も更新制度にして、テストやって、駄目な人は「準医師」に降格してもらいたいんだけどねえ。

2006年6月26日(月)
にわかに米議会などで「テポドンX」という新型ミサイルの噂がわき起こっているらしいんですね。一部報道によれば。今、発射するかもしないかも、と騒いでいるテポドン2号、これだって未知の新兵器ですが、こいつも二段式なのか三段式なのか、本当の射程が5000`・bなのか1万`・bなのかいまだ分かっていない。
 だけど、アメリカの議員さんたちはそれよりもすごい「テポドンX」の可能性を論じているとか。テポドン・エックスですよね、これ。テポドン・テンってことはないよね、ゲームみたいに。まあテポドン10じゃあ、途中の3〜9はどこに行ったのかとなるし。それともなんだかマルコムXみたいなノリ? というか、もちろんこれはアメリカがつけたコードネームというか愛称です。そもそも、この国の人らは字幕入りの映画すら見ないもので、外国の兵器のたぐいもすべて自分ら式のあだ名を付けてしまう。大戦中の日本の飛行機もニックとかベティとか、すごいのになるとトージョーなんてのもあった。まあそんなわけで、このテポドンXというのも、言ってみれば米議会が流行させたいネーミング、ということみたいである。
 なんでも、旧ソ連の潜水艦発射型の弾道ミサイルSSN6が北朝鮮に流れていて、この技術を応用して北朝鮮は大陸間弾道弾、いわゆるICBMというやつです。あれを造ろうとしているんじゃないか。で、このICBM版をテポドンXと・・・。
 こいつが完成すると射程は軽く1万`・bをこえて全米を攻撃可能。核搭載もできるようになるのは必定。よってこれは脅威だ、大変だ。
 というんだけど、SSN6の流出なんて、別に昨日や今日わかったことじゃないようなんだけど? やはりあれだよなあ・・・正直の所、ブッシュ政権もあと2年、求心力が必要な今日この頃だけど支持率はどうにもならない始末。
 アル・カーイダもなんだかんだいって、あれ以上、なにも派手なことはしてこない(というか、この場合は何もしないほうがブッシュ政権にはこたえることをよく知っているんだろうなあ)というので、とにかく外敵、脅威が必要なんですよ。
 そういう意味ではあのイランのアフマディネジャド大統領とも似ているのかも知れない。というか、ブッシュとアフマディネジャドの両大統領にとって、お互いはじつは誰よりも重要かつ必要な政権維持装置なのかも知れない。
 が、イランというのは・・・結局、欧州ともそもそも近いし結構、実はパイプもある。だからそんなに孤立に陥らない。やはり、いちばん悪党に仕立てて意味があるのは北朝鮮だしこれがいてくれる間は、米海軍はこれにかこつけて、大手を振ってあちこちに出没できる。もちろん本当に牽制したい相手は中国海軍でしょう。
 そんなわけで、もちろんあんまり侮っていると危険ですが、今の北朝鮮の能力でただちにテポドンXが出てくる感じはなく、それよりも今になってそのへんを議論しているのはなんなのか・・・まあ、テポドンXなる新たな脅威をぜひ、覚えてください、というキャンペーンであろうとは思われるのであります。
 立場が反対に立ってみれば・・・米海軍の戦略ミサイル原潜は常時3隻は日本近海に潜っていて、トライデントミサイルが12発だか搭載されており、そのそれぞれに弾頭が10個ずつ積んであって、いわゆる拡散弾頭ですな、だからもうそれだけで広島原爆の何百個分であるという。
 そんなものがうようよ遊弋しているのだから、恐ろしいことこの上ない。米空母二隻で日本の海上自衛隊の全艦艇を足したよりも排水量がでかい。そしてたった一隻の搭載機はそのへんの国の空軍三つ四つより強い。
 オハイオ級原潜に特殊部隊シールズを一個小隊乗せて、さらに巡航ミサイルを何百発も積んだ緊急展開用の潜水艦もまもなく配備するという。こんなの一隻で小国など手もなく占領されてしまう。
 世界の軍事予算の半分はアメリカなんだから。
 といいつつ、毎年10%ずつ軍事費を増やしている中国というのもあるわけです。
 日本の今の状況というのは・・・ものすごい火薬庫の上に住んでいる状況なんですけどねえ・・・。いつの日か、台湾有事なんてことがあったら・・・。
 テポドンXなんて話じゃすまないですな、そんときは。

2006年6月25日(日)
へえ、驚いたなあそれは。「鋭い舌鋒で知られるイビチャ・オシム氏(65)=Jリーグ1部(J1)・ジェフ千葉監督=がサッカー日本代表の新監督に就任することが確実となった。24日に行われたワールドカップ(W杯)の帰国会見。・・・日本サッカー協会の川淵三郎会長自身による「世紀の失言」(川淵会長)という形で発表された。・・・「(フル代表監督は)五輪では総監督、スーパーバイザーの形でオシムが……。あっ、言っちゃった」。どよめく報道陣。「今の発言、なかったことにならないかな。弱ったね」。新監督人事は正式決定まで極秘事項。川淵会長が中座し、協会幹部と協議を始めるなどドタバタの対応となった」(毎日新聞)ということで、川淵さんがなんと間違って言ってしまった、ということらしい。
 何で驚いたかって、人選としてはそんなに意外じゃないんでしょ、この人? ただ、私のようなスポーツ音痴が珍しく、この日記の6月6日のところを見ていただきたいが、ひとつはオーストラリアは強いから日本は苦戦必至と「予言」し、それからもう一つ、ちょうちん記事とか、ご祝儀報道みたいな馬鹿みたいな話が続くあの戦前の雰囲気の中で、唯一、この千葉のオシムという人がまともなことを言っている、と紹介していることだ。
 私のこういう日記で、滅多にサッカーの監督など登場することはなく、珍しくこのオシムって人のいうことを冷静沈着で正しい、と感じたわけ。要するにクロアチアよりオーストラリアのほうが手強い、と最初から言っていたんですよね、この人は。それから、知名度の高い選手を並べても駄目ですよ、とも言っていた。いつも同じような顔ぶれのジーコの布陣はきっと失敗するよ、ということですね。だから、この監督はなかなかのもの、と思って紹介した。まさかその人がここにきて、ジーコの後任とは知らなかった。
 ま、要するに私みたいな思い入れのない人間のほうが、こういう場合は案外によくものが見えている、ということかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、例の奈良の放火少年だが、相当に厳しくしごかれていたようである。そして、前にもどこかで似たような事件があったけど、今回も少年だけ母親が違う。つまり父親は再婚だったんだね。で、死んだのは継母と腹違いの弟、妹だった。
 ところで、この継母という人は医師と言ってもなんか介護施設にいたみたいで、そんなにすごい「医師」じゃなかったようだが・・・あれだろうか。名前から言っても、中国系の人だったのかしら? 詳しいことを知らないんですけどね。週刊誌なんかには載っていそうですが、今日日はあまり読まないんで。
 なんにしてもその辺が複雑な家庭だったみたいな話ですね。そうすると、そこらは同情できなくはない。
 そして、おそらくは、今供述しているのとは違って、もっと計画的に皆殺しを図ったのが真相じゃないかな、なんか思いつきでやったみたいなことを言っているけど。
 
 

2006年6月24日(土)
 夏休みに向けて、なんだか映画の公開が続いております。興味がある作品があっても、ちょっと成績が悪いと2週間もすると縮小して、たちまち終わってしまいます。来月あたりになるとパイレーツ・オブ・カリビアンの続編に、ゲド戦記に、宮部みゆきのブレイブ・ハートなんてのもあります。もう、追いつかないですよね・・・。
 ◇  ◇  ◇
 というわけで、先日公開されて快走中の「デスノート」を、ゆうべ見てまいりました。邦画の話題作というのは大抵、見ないのですが(ひねくれ者の自分)、こいつはコミック原作で、予告を見たときから設定の面白さを感じて、機会があったら見てやろうかな、と思っていましたのです。
 人気コミックが下敷きですし、基本の設定を明かすのはネタバレになるとは思いませんので簡単に紹介しますと、法学部の優秀な学生で警察庁の現職幹部の長男でもある主人公が、死神の落としたデスノートを手にしたところから、話は始まります。父親譲りの正義感の強さと高い知力で、将来は父と同じく警察幹部を目指している彼ですが、警察のデータベースに潜り込むことに成功し、日本の警察・司法の限界、つまり明らかに悪人なのに逮捕されなかったり、不起訴となったり、裁判で無罪となったりして大手を振って歩いている人間が多い事実を知り、義憤に燃えています。そこで、彼はデスノートを使って一人、また一人と犯罪者や容疑者を個人的に「処刑」していくわけです。
 そのデスノートとはなにか、といえば、ノートに名前を書き込むとその人間が死ぬ、という禁断のノートです。またちゃんとこういうファンタジー系の設定のお話にはリールを作るのが原則ですが、この作品でもきちんと設けられています。
 まず、殺したい相手の本名と顔を知っていないと、相手は死なない。ゆえに同姓同名の別人を誤って殺すことはありません。
 また、既定の時間内に死因の指定をしない場合は心臓麻痺で死にますが、死因設定、さらに死に方まで細かく既定することで、死ぬまでの相手の時間を完全にコントロールすることが可能です。たとえば、何時何分にどこそこに行って、5分間、誰かと話した後で突然、走ってきた車に突っ込んで自殺する、などと相当に細かく既定できます。話の後半はむしろ主人公がこの「相手の死に方をコントロールできる機能」をいかに活用するか、が話の山場になってきます。
 短期間に100人を超える「悪人」が世界中のあちこちで突然死し、犯罪が減って喜ぶ人も多い反面、疑問を呈する声も当然ながらあり、日本の警察は大量殺人事件としてこの件の捜査を始めます。ICPO(国際警察機構)の頭脳とも言うべき謎の探偵「L」が登場して主人公と対決する構図となって、話は二人の頭脳戦の様相を帯びてきます・・・。
 ということなので、ホラー的な設定なのですが、実は刑事サスペンスもの、犯罪捜査ものの色が濃く、漫画だから、などという先入観を持たないでじっくり大人が観賞してよい内容になっています。もうね、はっきりいいまして極上のエンターテイメント。いやあ、実によくできています。原作もよく練れていると思うし、それを映画化する手法も実に無駄なくテンポよく、見事じゃないでしょうか。
 もっとはっきりいいます、同じ犯罪捜査もの、謎解きもの、ということであえて比較すれば「ダ・ヴィンチ・コード」の百倍おもしろいと断言します。私は大満足でした。
 なんといっても藤原竜也が熱演しています。正義派でしかし、若さゆえにあやういところのある、暴走してしまう主人公をよく表現しています。また、死神役・・・というか声の出演ということになりますが中村獅童なんですね。これもいい味です。設定として陰惨になりがちな話のコミカルな部分を引き受けています。また、これも明かしてもいいことでしょうが謎の探偵Lは、後半になって正体が明かされますが若い日本人の青年、いや主人公と同じような知能の高い独善的なところのある少年であることがわかってきますが、この人物造形も面白いです。
 絶対的な力を得た人間がどこまで暴走するか、と言う意味ではロード・オブ・ザ・リングのような味がありますし、また正義の名の下でならなにをやってもいいのだ、という独善を描く点では、たとえばダーティー・ハリーのシリーズで、悪人を裁判抜きで処刑して回る白バイ警官という設定がありましたが、ああいうものとも似たテーマがあります。
 つい先日、元少年に妻子を殺された夫が訴え続けた裁判で、1審、2審の無期懲役から差し戻し、死刑の可能性が濃厚になったという話がありました。元少年は最初、「無期懲役となればせいぜい数年服役すれば、自由になれる」とうそぶいていたことが知られており、夫は死刑を求め続けてきました。最高裁は「年少だから被告人が更正できる可能性がある、というだけで無期懲役に減刑するのは、減刑の理由としては薄弱だ」としました。一部、夫の主張が通った判決だったといえます。
 ほかにも、なぜこれだけのことを犯しながらこの程度の量刑なのか、あるいは場合によっては不起訴なのか、耳を疑うことがしばしば日本の裁判ではありました。まあ、最近はかなり厳刑化の流れですし、少年犯罪にも厳しくなってきていますし、精神状態の認定も厳しくなってきています・・・たとえば大阪池田小事件のT死刑囚など、90年代はじめぐらいまでなら、通院歴があるというだけで不起訴、入院措置だったでしょう。
 しかしながら、ずっとその「日本の裁判の甘さ」には不満があるわけで、こういう漫画が生まれた下敷きにはそういう欲求不満があるのは明らかです。
 一方で、しかし映画の中でも台詞としてちょっと出てきますが、万が一にも冤罪だった場合や被疑者誤認の場合にはどうするのか、という問題は残ります。たとえば、松本サリン事件ではじめに疑われた人の名前を知った段階で、デスノートで処刑してしまったらどうであろうか。後になってあれはオウム真理教という真犯人がいて、などといっても取り返しがつきません。
 ま、後半になるとそんな理想論じゃなくて、身の上に切迫してくる捜査から逃れるために主人公はどんどん暴走していくんですが。そこが恐ろしいですね。死神が「お互いに正義の名の下に平気で殺しあう、人間っておもしろ」「お前って・・・悪魔以上に悪魔だな」と呆れるシーンがしばしばあります。
 ところでこの映画は正確には「デスノート 前編」です。お話も途中まで。11月公開の後編まで結末はお預け。コミック版と同じなのか違いがあるのか。
 さてどうなんでしょう。とにかく2時間30分ぐいぐいと引っ張ります。
 邦画が熱いですね、今。先日の「バルトの楽園」で感動の涙にむせんで、この「デスノート」で心の底から楽しんで・・・という二本立てをお薦めします。
 

2006年6月23日(金)
今日ははじめから分かっていたので・・・つまり、今日は出社したらサッカーネタがおおいのは分かっていたので、かえって楽勝。それについては後でちょっとだけ述べましょう。
 で、村上容疑者も晴れて(?)被告の仲間入り。こっちも共当たりというのが分かっていたからまあ・・・。姉歯の話も尻すぼみ。要するに強度偽装はあいつの勝手な犯行ということらしいが、それはそうなんだとしたらバカも休み休み、である。連座したほかの連中も若干、気の毒なような気がしないでもない(とはいえ、偽装を知っての上で物件を引き渡して、話をもみ消そうとした小嶋さんはあきまへんな。この人は罪が重い)。
 むしろ、奈良の親殺し放火の高校生のほうが問題、というか大変というか。なんでも、相当に父親から「医者になれ」とプレッシャーが掛けられていたのが動機みたいだが、あほくさいというかなんというか。ここの両親は医者だったというが、なんでもかんでも「エリート医師」にしてしまうワイドショーにはうんざりですな。本当にこの人はエリートだったのか、医者として? どこやら病院の部長さんといってもまあ・・・そこそこ、じゃないですか正直。燃えた家はなかなkの豪邸といっても、あのあたりじゃそんなに豪邸じゃないと思うし・・・。田原本町、ですか。都心に立ってるわけじゃないしねえ。
 だからこそ、子どもに過剰期待したかな。まあ、人それぞれ、家によってさまざまでなんだか分かりませんが。
 これからの時代、医者ってのがそんなに割のいい仕事なのか、それも勤務医の身じゃ、なんて外野としては思わないでもないですが、こういう純粋培養みたいな家ってありますよね。一家みんなが東大出ていたり、みんなが教師やってたり、みんなが学者とか、音楽家とか。窮屈というか一人ぐらい反発する奴がいないほうがおかしいというか。
 それにしても、全国的に子どもの親殺しが大流行中です。すごいね。ま、逆に親の子殺しもあるのでなんですが、このところは圧倒的に子どもの親殺し。高校生ぐらいのはむしろまだ子どもの未熟さも分かるけど、30代、40代の引きこもりの犯行も急増中。
 そりゃ、おっかなくて子どもなんか作りたくなくなるよ。少子化のひとつの原因ですよ明らかに。子どもにコロされるリスクを減らすなら子ども作らないこと、ですよねそりゃ。
 ニュースで解説者が、たとえば10年ぐらい前の重大少年犯罪急増のころは、サカキバラにしろバスジャック犯にしろ、それでも外部の社会に大して攻撃していた、と。しかし近頃は一層、子どもが未熟化して、社会以前に家庭の中で破壊行動するしかないのだという。
 実際、今回の少年も、家を吹き飛ばしてからは京都まで行って野宿して、民家に侵入して・・・まあなんの考えもないことが分かる。
 小学校ぐらいまではこの少年も神童だったんだと。なまじい進学校に行って落ちこぼれたんだとさ。なんか・・・私はこういうパターンはあんまり同情しないね。
 こんな手のヤツはテストで何点とろうがどこの大学に行こうがどうせバカですからね。
 ◇  ◇  ◇
 さてそれで・・・サッカーですが、サポーターの皆さんはもっと怒るべきです。あんなへぼ選手に拍手して「感動をありがとう」みたいなあなた方の態度が選手を成長させないのですから、コロンビアのサポーターみたいに「射殺してやる」というぐらい叱咤すべきです。ブラジルに一応、一点先行していれたのだけは天晴れです。しかしそれだけです。トータルとして相手になっておりません。
 Jリーグのあり方もあれでいいんですかね、ぬるま湯じゃないですか。かえって野球みたいな企業の論理のほうが日本じゃうまく機能すると私は今でも思っている。企業論理ぐらいしか今の日本じゃ冷徹さが発揮されないんですよ。儲かるか、儲からないかしか。それだって最近、ようやくそうなってきたぐらいで。リストラだって合併だってあって当然。
 国際試合はなんの種目にしろ戦争の一種です。もし戦争なら、実力がないので負けました、と軍人がいったらそれで国民は納得しますか。
 中田英はさすがにまともな人です。私は見直しました。試合後10分も空をあおいで男泣きしたというが、あれで正解です。今の日本のサッカーなんてのはぜんぜん、W杯に出るなんて早すぎるんですな、あんなことなら国益上、本大会には出られない方がましだったかもしれない。
 あえて厳しく言ってみました。情緒的なことを言って傷をなめあっているような風土じゃもうあれ止まりです。おそらくトルシエのような冷徹に主力選手を外すような監督のほうがまだしも日本では意味があったようにも思います。
 また、野球は正岡子規の時代から100年がかりでここまできました。今や日本のヤキュウは独自の境地に達しているのは間違いない。一方のサッカーは、日本なんてJリーグが始まって10年そこそこです。そういう意味では、今からすぐにどうこうできると思ったり過剰期待するのはきわめてよろしくないでしょう。
 テレビ局なんかは本当に、もっとスポーツの取り上げ方を冷静にしてもらいたいと思います。
 
 
 
 

2006年6月22日(木)
 まあいろいろトラブルはあると思いますが、手を出しちゃいかんでしょう。「埼玉県警川口署は22日、・・・NHKさいたま放送局地域スタッフ森田真史容疑者(30)を傷害容疑で逮捕した。・・・森田容疑者は21日午後7時40分ごろ、受信料徴収のため訪れた同市上青木西の男性会社員(34)方で、受信料の支払いを巡って男性と口論となり、男性の胸を殴って、胸部打撲の軽傷を負わせた疑い。・・・「相手のひどい言葉遣いに腹が立って胸倉をつかんだが、殴ったりはしていない」と話しているという」(読売新聞)のだそうだ。どうせ被害者はとんでもないことを言ったのだろうし、NHKに対してどれほど気に入らないことがあったとしても、集金人を侮辱したところでなんにもならないのだが、まあおそらく侮辱したんでしょうね、この人は。しかし、立場上、反撃するのは問題外でしょうなやはり。前から竹中大臣のところでNHK改革というのを議論していますが、まだ形にならんのですかね。こんなトラブルはいくらでも出てきますぜ、今後も。私だって自動引き落としにしているからまあ、なんとなく済んでいるが、もし集金スタッフが来る形なら嫌みの一つ二つはいいたくなるかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、あるところでちょっと飲み会があって、時間稼ぎで駅近くの本屋に入り、ふと出来心で目に留まった新書を買ったのだが、これが面白かった。出石尚三「男はなぜネクタイを結ぶのか」(新潮新書)だ。
 いわゆるクールビズが始まって以後、こういうファッション関係の専門家から正面切った反論や批判というのはあまり見かけない。大義名分としてもっともなのと、いまだに人気の高い現政権に対してたてつくのは得策ではない、というのがあると思われる。
 が、基本的にそういう服飾の研究をしている人がノータイを好むということはまずなかろうから、誰かなにか言ってくれないか、とは思っていた。
 では、この本がその答えなのか、というとどこも見ても特にクールビズに対するコメントはなく、ではあるが、タイトルと言い内容と言い、まあ遠まわしにアンサーになっているものと思う。
 要するに、男にとって首回り、襟元というのは服飾史上ほとんど常に、なにかの飾りがついていたのであって、もしネクタイがなくなっても遠からず代わりのものが考案されるだろう、というのである。というのも、男性にとってはネクタイというのは女性の化粧の代わりである、というのである。
 暑くて汗が出るからと言って化粧を省略する女性はいない。だから暑くて面倒という理由でタイを省略しても、結局のところ人は「ノータイ」つまりタイがないようにしか見てくれない、ということである。ノータイというのはつまり、元々はタイがあるべきものをしていない、という一種の表現としてその人は見られるということです。なるほど。
 元々タイのいらない古風な詰襟の軍服でも、軍人は競って襟元に勲章を飾りたがった。やはりその人のなんらかの自己主張をするには、なにかしらの装飾が必要なんだろう。
 とにかくひとつの見かたとして面白いと思った。
 ところで、いちばん興味深かった話題は、「ウインザーノット」である。あの大きな結び目を作る締めかたである。政治家なんかはよくこれをしている。落合正勝とか、ほかにも何人かの評論家の言で「昔はともかく、今時はシンプルな結び方がよい、ウインザー公には申し訳ないが、あんな大きな結び目はダサくて気が知れない」といったものを何度か見かけたことがある。
 ところが、この本によると、なんとウインザー公はウインザーノットなんて採用していなかったし、考案もしていないのだとか。これは驚きである。彼は単純なプレーンノットだったのだという。ただ彼は特注の厚くてしっかりしたネクタイを使用していた。だからどっしりした大きな結び目が自然に出来た。それを見た下々のものが、勝手にあの結び方はこうやっているのだろう、と推察して作ったのがウインザーノット。本人は関係ないのだそうである。同じような話は、あの海運王オナシスの結び方「オナシス」にもあるという。一般に言われている結び方は、本人のオリジナルとは全然違うらしい。
 たかだか100年ほどの今のようなねくたいの歴史でも、すでに多くの伝説や嘘が紛れ込んでいるようである・・・。

2006年6月21日(水)
ベートーベンといえばいわずとしれた楽聖です。「運命」と「第九」のインパクトの強さは時代を超え人種を超えて伝わります。ことに第九は今やEU(欧州連合)の「国歌」のようなものに指定されていて、日本でも大晦日ともなると第九演奏会花盛り・・・ですが、このようになったのは実は最近のこと。しかも、日本で初演されたのはわずか90年前のことでして、その演奏をしたのは日本人ではなく、当時、日本にいたドイツ兵捕虜たちだった・・・その顛末を描いたのが映画「バルトの楽園」(がくえん)です。
 ゆうべ、見てまいりました。単刀直入に申します。必見です。これはいい映画です。ことに最近の「泣きたい映画」を見たいという欲求の強い方。まあ私はそういう判定法はあまり好きじゃないけど、しかしこれは文句なく「泣ける映画」です。見ないともったいない。なにかと恋人が難病で死ぬ、といった「泣ける」映画がありますが、そういう作り物とは違う実話の力強さが胸に迫ります。また、戦争映画とか歴史物はちょっと、という向きにも、これはあくまで日本に来た捕虜たちのお話なので、ドンパチのシーンはそんなに多くありません。デスノートとか、話題作の公開が多い時期でしょうが、これもぜひご覧いただきたい一作であります。
 第一次大戦、というのは日本ではどうしても影が薄い戦争です。基本的にヨーロッパの戦争ですので、日本は参戦していたものの、まあ一般イメージでは形式的な参戦だったような印象があります。ここでおさらいしておけば、この当時の日本は、その後の時代とは違って連合国側、日英同盟というのがあってイギリスと同盟しております。敵はドイツです。アジア地域のドイツの領地というと中国の青島(チンタオ)でした。ここにいたシュペー提督のドイツ東洋艦隊は開戦後にドイツ本国に向かってはるばる脱出を試み、幾多の戦史に残る逸話を残します・・・が、問題は残った青島の要塞のほう。ここにはドイツ海軍の守備隊5000人ほどが立てこもり、これを攻めることになったのが、日本軍でした。
 このときの攻撃で、日本側にも3か月で1200名からの死者が出ているんですね。だから今われわれが思うほど、ちょっとしたかかわり方ではなかったわけです。
 当然ながら、死傷者の多く出た地域では反ドイツ感情が沸き起こり、また家族に戦死者が出たような人はドイツ人を嫌います(映画でもそういう設定の人物が出てきます)。さらにまた、「生きて辱めを受けず」というその後の昭和の日本軍ほどじゃないけれど、大正時代の日本軍も「死ぬまで戦わないで捕虜になるなんて腰抜けだ」という蛮勇主義に凝り固まっている時代。で、さんざんドイツ兵捕虜たちは日本の収容所でひどい目に遭うわけですが、そこらもきちんと描いております。
 が、一転して、坂東捕虜収容所に集められたドイツ兵たちは、ここが「楽園」であることを知るわけです。一人の収容所長・松江中佐の人柄が生んだ、それは奇蹟でありました。彼は自身も、明治維新の折の戊辰戦争で賊軍とされ、辛酸を嘗め尽くした会津・斗南藩の出身で、まだまだこの時期には、維新からすでに50年近くたっている時期なのに差別的な目で見られている時期。それだけに、戦に破れた捕虜の気持ちが誰よりもよく分かる、というわけで・・・軍の方針に断固、たてついて、捕虜たちも守り続けるわけです。これが実話なんだから凄いですね。あの当時の日本軍で、これを貫いたというのは本当に大変なこと。こういう日本人がいたのだ、と思うと本当に心が打たれます。
 前半はけっこうコミカルなシーンも多く、とくに大男の松平健が、サーベルを腰に下げていかめしい軍服姿で自転車をよちよちとこぐシーンは爆笑もの。
 ところが、中ほどから、日独のハーフの薄幸な少女が登場してくるあたりから、お話はぐんぐんと盛り上がって・・・いや、別にわざとらしいお涙頂戴のストーリーがあるのじゃなく、実際にあったことを中心にして、エピソードを積み重ねているのですけど、後半は涙腺が緩みっぱなし。
 昨日は平日の深夜だったのでほかのお客さんはほとんどいないほど空いていたんですが、しかし居合わせた人はみな感涙にむせんでおりました。
 映画に出てくる人物は、松江中佐をはじめ多くは実在の人物で、たとえばそのまま日本に残ってパン屋を始めるドイツ兵は、後のユーハイムの創業者で、今回の撮影現場にもユーハイムから差し入れがあったそうです。
 松平健は、台詞の半分がドイツ語という難しいものでしたが、決して上手じゃないけど懸命に話している感じにするのが難しかったとか。特にドイツでも公開するので、ドイツ人にわかるようなドイツ語じゃないといけない、でも堪能というほどじゃない、という感じを出すのに苦労したとか。また、特筆物なのが副官役の國村準。モデルの人物がドイツ語がネーティブのように堪能、という役柄なので特訓したそうですが、わずか10日間の訓練であれだけ上手くしゃべれるのか、と思うほど素晴らしいドイツ語を操り、共演のドイツ人の役者さんが感嘆したとか。妻も、はじめは帰国者じゃないかと思ったほど上手いと思ったそうであります。まさかたった10日間で・・・役者さんというのは凄いね。
 阿部寛が会津出身で松枝と対立的な将校の役で出てきますが、とても「トリック」(ちょうどこっちも公開中ですね)なんかでおふざけやっているのと同一人物と思えない。この人もいい役者になったなあ・・・ものすごく軍服姿が決まっております。しかしドイツ人より長身の日本将校なんて当時ありえたのか。この人と松平健がいると、本当に日本人のほうが大きく見えてしまう。
 松江の奥さん役の高島礼子もよいし、出番は少ないけど重要な役どころの市原悦子は光っていました。13歳の大後寿々花は、「SAYURI」に続くハーフ役なんですが、見事な熱演です。全体に皆さん、素晴らしいですね。
 そしてなんといっても、ハインリヒ総督役のブルーノ・ガンツはさすがの名演。映画の格をぐっと引き上げています。また、先に紹介したユーハイムを起こすことになる水兵役のオリバー・ブーツは、なんと元東ドイツのサッカー国家代表という凄い人だそうです。
 このとき、松江所長の努力で日本に紹介された技術は、第九交響曲だけでなく、パン作りや印刷技術、その他いろいろあるのですが、そのへんは映画でご覧を。世界中で人種や宗教を巡る対立が深くなる一方の今日、人種も、宗教も違う敵国の人間同士がどうやって普遍的な信頼関係を築けるか、というひとつの見本で、しかも実話でありますから、松江所長がいかに傑出した、日本人の誇りといってもよい人物であるかが分かります。
 もっとも、日本人、また日本軍は元々はドイツという国によい感情を持っていて、なにしろ日本帝国憲法はドイツを参考にし、日本軍の参謀本部はドイツの真似でしたから、どっちかといえば、この時期だけ一時的に関係が悪くなっていただけなので、それで起き得た奇蹟であるとは言えるかもしれません。アメリカ人とイラク人ではこうはいかないかも・・・。ましてユダヤ人とパレスチナ人ではちょっと。それが証拠に、この映画の時代からわずか20年後には、今度はドイツと同盟を結んだ日本が、前には味方だったイギリスやアメリカと戦うのですから、歴史というのは分かりません・・・。
 あまりないとはいえ、冒頭の青島攻防戦は迫力たっぷり。日独両軍の装備品や服装もばっちりでマニアも安心です。鷲のマークじゃなくて皇帝の王冠をつけたこの時期のドイツ軍の服装を見たい人はたっぷり観賞できます。ほんのワンシーンですが、ドイツでざわざわ撮影したドイツ兵の出征シーンなんかもいい感じです。
 たった一箇所だけ、私のような考証好きがみて疑問符がついたとするなら、松江の上司の陸軍省の将官(少将だと思われる)の役で泉谷しげるが出てきます。なかなかのはまり役でいいんですが、彼の軍服の襟に赤い歩兵の兵科色がついていたのはあれでいいのかしら。この時期にはあれでよかったのかしら、ちょっと古い時代の日本軍に疎いもので。
 少なくとも、もうちょっと後の時代の日本軍の詰襟服では、少将以上は襟章はつけないと思うんですが、どうでしょう。映画「2・26」なんかではちゃんと、将官はノー襟章になっていました。あれは、基本的に将官になると歩兵科とか騎兵科とか言う兵科というのが一応、はずれるシステムだったからですね。
 ま、そんなことは些細なことで、とにかくほかの映画を見る予定の方は、ついでにぜひこの「バルトの楽園」見てみてください。私は、ここしばらくの映画の中でもっとも感動したと断言できます。

2006年6月20日(火)
あまりにも笑える・・・といったらいけないのか、しかしおかしいので引用しますが、共同通信の記事で「19日付の中国紙、揚子晩報によると、サッカーのワールドカップ(W杯)のテレビ中継を徹夜で観戦して過度に疲労したり、興奮したことが原因で、中国国内でこれまでに6人が死亡した。・・・・連日の観戦で睡眠不足となっていた高血圧の女性ファン(43)が、13日夜に韓国がトーゴに勝利したことに興奮。目まいを感じながらシャワーを浴びた後、意識を失い死亡した。このほか、湖南省長沙や広東省珠海などで20代から60代までの男女5人が同様に徹夜で観戦後に突然死した」というんですけど、そこまで入れ込んでるんですか。なにせ中国は出てないのにそんな有り様だから。もし出たらどうなるんだろう、あの国。
 ただまあ・・・それだけ熱心だと、強くなってきそうだよなあ。にしましても、日本が苦戦している試合をさぞや喜んで見てたんだろうなあ、あの国の人々。なんて思うとイヤなもんですけど。近頃の中国の人が唯一、日本という国に対して羨ましいのはサッカーのw杯出場だそうだから。
 ◇  ◇  ◇
 なんかこう動きが多い昨今です。今日はいよいよイラクの自衛隊のサマワ撤収が正式発令される見通しであります。
 それから福井日銀総裁の村上ファンドでの儲けが国会の委員会に提出されるはず。おそらく1000万円の出資で一線数百万円もうけただろうという。99年秋に出資だから、7年弱で倍以上か。
 村上容疑者(そういえばまだ被告じゃないなこの人)は通常は機関投資家で百億大意の金持っている相手しか顧客にしなかったと思うが、こういう有力な個人は話が別。いろいろ有名人が投資していたようなんだけど、最近の自民党はとにかく小ずるいので、福井さんは絶対に辞めさせないらしい。その後の連座が怖いからですね、リクルートのときみたいな。
 そのうえに、北朝鮮のテポドンです。
 それから、小泉後継の問題です。
 そういうわけで、いつまでもサッカーなんかで騒いでいられる時期じゃないんですな。
 ◇  ◇  ◇
 最近、ニットタイに凝っています。つまり、生地じゃなくて編み物でできたネクタイですね。クールビズの流れに沿って、やはりタイがないのは格好悪いけど、暑苦しいタイも流れに乗っていないかな、という向きにひそかに人気。
 もともと70年代ごろにアイビールックの流れで流行したわけで、それこそ団塊の世代ぐらいの人には懐かしいアイテムかしら。
 実は私も前からステージ衣装用(!)に緑のニットを持っていました。ちょっと初期のビートルズ風ですよね。これがけっこう、仕事で締めていくとなかなか適度にカジュアルでよろしいし、遊びの時にも、ラフに締めているとかっこいいのを発見。ブレザーにニットタイで、ローファーなんかを履いてるとなかなかそれなりにくだけたモードの紳士に見える。
 で、もう少し増やそうと思ってあちこち物色。近所のヨーカドーの「父の日コーナー」で黒いニットタイを購入。黒いニットは007ジェームズ・ボンドご愛用でショーン・コネリーのボンドはちゃんと締めていたはず。なんでもこれはオール・オケージョン・タイといって、どんな場所でも礼装として通用するとか。
 それから、都心の百貨店で今度は紺地に派手な赤や黄色の水玉の入ったニットタイを発見しました。こいつはアクアスキュータムで1万円以上もした。もう普通のそこそこのネクタイと同じ値段になっちゃう。しかし高いだけありものすごくいいのは一目瞭然。なんだけど・・・こういう値段じゃなかなか数を揃えるわけにもいきません。夏のローテーションを中心に考えてるので、もうちょっとお手頃な値段で数と色違いが欲しい。
 で、もうちょっと安いのはないか、と思っていたら・・・たまたま立ち寄ったコルトンプラザのダイエーで、20種類ものニットタイを発見しました。お値段も3000円ほど。これならいろいろ買えるジャン、ということで一挙に8本も購入。
 見直しましたダイエーさん。いいものあるじゃないですか。

2006年6月19日(月)
あ、さて・・・「ロイター通信とニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が報じたところによると、複数の米政府当局者は18日、北朝鮮が発射準備を進めている「テポドン2号」とみられる長距離弾道ミサイルへの燃料注入を完了したとみられると述べた。当局者は、いったん燃料を注入すると、元に戻すのは困難なため、北朝鮮が発射を断念する可能性はますます低くなったとの見方を示した」というこの話に振り回されている。
 今日あたりはもう、ドテポンの話でいっぱいになるだろう。なんでも、以前は燃料を入れると2日以内に発射しないといけなかったのが、少し改良されて、1週間やそこらはもつようになった、という。
 ということなので、しばらく、あの国がいつ花火を打ち上げるのか、じっと見守るしかないのである。
 とにかく発射したら、どこに飛ぶのか、どこに落ちるのか、が問題で、狙いをつけてもそもそもそんなに高い制度の兵器と思えず、変な話だが、海に落とそうと思って発射したのに間違って日本のどこかの街に落ちたり・・・もしそんなことがあったら。
 はっきりいって、今月中に開戦である。そりゃもう、戦争状態に入るであろう。
 だから相当に危険な状況と思ってよい。いよいよ本当に有事もあり得るような事態であるから。
 たまたま今、グアム島沖に米空母が3隻も集まっている。リンカーン、レーガン、キティホークである。また、既報のように米軍の機密兵器コブラボールまで飛来している。
 ミサイルの弾道を計算し、日米でこれを撃墜するシミュレーションをするのだと思う。しかし落ちどころが悪かったらシミュレーションじゃすまない。
 戦前の日本をちょっと思い出すが、諸外国は昭和天皇が絶対的君主で、戦争も天皇が主導していると思っていた。実のところ、軍部というブラックボックスがあれよという間に戦争に引っ張り込んでくれたわけだが、北朝鮮は現在、金正日が完全に軍部をコントロールできているのかそれとも、戦前の日本のように元首崇拝しながらこれを自分らのシンボルとして利用しつつ、暴走しているのか、そこがよく分からないところである。
 日米とも、もし発射したらそれだけで相応の制裁をやる、必ずやる、と強調している。中国やロシアだって、さすがに自分から挑発した国を擁護はしないだろう。反米的な国は確かに世界に増えているが、それらも北朝鮮とは手切れであろう。
 なにしろ、ありもしない大量破壊兵器の疑惑だけで先制攻撃したどこかの国の政権はまだ2年も任期があるのである。北朝鮮はどうしてもクリントン政権とブッシュ政権の違いを理解できないものらしい。しょせん、民主国家の政権交代という意味合いをあの国は理解できないのだろう。政権が変われば別の国、選挙は穏やかな革命、なのである。
 2006年の6月がターニングポイントだった、なんて後でしみじみ振り返るような事態にならなければよいが。
 ◇  ◇  ◇
 昨日の話はもういいよね。ブラジルはさすがの王道プレー。そして、クロアチアは今、失望のどん底であろう。あの国は明らかに格下国ニッポンをなめてかかりすぎた。
 そして、我がほうといえば・・・残念ながら負けないのが精一杯だった。確かに前の試合のような恥ずかしい戦いぶりではなかったし、それなりによくやった、と思う。が、運がよければ勝てる試合だった、などという人もいるが、実力的にはあれがすべてだろう。最後のあたり、防戦一方のわがチームを見て、負けなかったのは奇蹟である。はっきりいってクロアチアも大したことがなかったので負けなかった、というだけの話だ。
 次のブラジル戦が23日の朝4時から、と気付いて今、暗い気持ちである。当然、新聞での初報は23日の夕刊から掲載である。またしても私は関係があるじゃないか、自分の仕事に。無関心、無関係と言っておれないのである。
 
 

2006年6月18日(日)
さて、本日はいよいよクロアチア戦・・・なんだが、ここにきてなんとなくのトーンダウンは否めない。というか、参加国の中では率直に言って実力的には最弱候補だったとしか思えないわが国をば、無敵皇軍だの亜細亜の盟主だのと戦前の馬鹿な愛国報道のように垂れ流したマスコミ、解説者、そして一般の人・・・こういうものに対する反省というのがいくらかみられるのはよいことである。
 ネガティブなことをいうのはいけないとか、なんかいかにもアメリカ式ポジティブ・シンキングのような雰囲気で言い立てるものの、実際は日本古来の「水を差すようなことは言ってはいけない」に過ぎない。何事によらず、いったん進行してしまったものについては、途中で水を差すのはよろしくない、というこの国民性である。厚生省が注射針の使い回しを何十年も放置してきて原因のひとつとなったB型肝炎訴訟しかり、血液製剤をほったらかしにしてきたエイズの問題しかり、エレベーターの事故が起きていたのにほったらかしにしていた国の対応しかり、国家財政が破たんするのにほっといた責任、年金が破たんするのがわかっていたのに手を打たなかった責任・・・なんでもかんでも、そういう国だ。
 強いのだ、無敵だ、やれば勝てる、という甘い見通しで大戦争をやって、原爆を落とされるまで自分らが負けていることを認めなかった、そういう国である。
 悪いことは口に出してはいけないし、議論してはいけない国、なのである。井沢元彦さんの言うとおり言霊信仰の国柄故か。
 なにかと大和魂などと、また戦前の国家主義者のように言う者が居るが、どこの国にもそれぞれなんとか魂がある。どこの国でも自分らの精神力は不屈だと思いたいものである。
 ◇  ◇  ◇
 アンゴラという今回W杯初出場の国があるが、中心選手は引く手あまただとか。とにかくつい最近まで激しい内戦をしていた国で、ここから立ち直って出てきた根性は、どこやらのエセ魂の比ではない。
 しかもこの国は実はアフリカ第2の産油国である。近頃、アフリカの諸国を手なずけて石油利権をあさっている中国はこの国にも20億ドルも融資している。
 今にアフリカは中国の衛星国みたいなものばかりになるかもしれない。サッカー選手なんかもこういう強いアフリカの国の人が指導すると、次回あたりは中国は強くなるかもしれないですな。
 小泉さんが今頃になってアフリカなどいったが遅すぎるというもんだ。というか、本当に重要な法案はみんな最後の国会に回して、大して成立も出来ないで尻切れで終わってしまったあの小泉政治のパフォーマンスの無意味さ、それを支持してきた能天気さに、これから徐々に日本人は責任を取る羽目になるんじゃなかろうか。
 世界には反米国が増えている。中国と急接近のベネズエラのチャベス大統領とか、イランのアフマディネジャド大統領とかはみんなノーネクタイのクールビズである。金正日だってネクタイ姿などは見せない。
 反欧米、という連合が徐々にできてくるのは、つまり中国をひとつのテコの中心のようにして、途上国が徐々に経済発展してくる・・・欧米というもの一辺倒じゃなくなってくるのは理の当然である。
 日本てのは明らかに欧米の一国である。それは間違いない。というのは、反欧米連合には入れないからだ。それをはっきりさせた小泉がなぜかクールビズなのが、本当に私には理解できないことだった。
 後の首相となる人は大変である。
 ◇  ◇  ◇
 日本がゴールを入れるたびに、ミサイルを放つのじゃないか、と実は思っていた。テポドンのことだ。嫌がらせとしてはそれは一番である。
 クロアチア戦のさなかにもテポドンを発射するかもしれない。18日にも、というのである。先々のことはどんどん不透明になってくる・・・。
 ◇  ◇  ◇
 「イタリア各紙によると、南部ポテンツァの検察当局は16日、同国最後の国王、故ウンベルト2世の息子で旧サボイア王家の当主、ビットリオ・エマヌエレ・ディ・サボイア容疑者(69)を賭博ゲーム機や売春がらみの犯罪組織に関係した疑いで逮捕した。王制は1946年、国民投票によって廃止され、憲法により王家の男性子孫の入国も禁止されていたが、同容疑者は憲法改正を受けて2003年に亡命先のスイスから帰国していた」(読売)とのことだが、へえ、まだ子孫がイタリアにいるんだ。
 日本の皇室はこないだもタイのプミポン国王の式典でなかなか評判が良かったようだ。70年後、今の経済成長率だと中国は100倍、アメリカは10倍豊かになっているが、日本は今の2倍にすぎない、という説がある。
 皇室ぐらい温存しておくしかないかもしれない。しかしあっちもいろいろ揉めているようなていたらくだしなあ・・・。
 日本という国の先行きを、精神力やら希望的観測を排除して、まじめに考えるとぞっとすることおおいこのごろである。サッカーの惨敗ぐらいで騒いでおられるうちが花だろう。


 
 

2006年6月17日(土)
シンドラーエレベータの創業は19世紀の末で、創業者のロベルト・シンドラーとかいう人は、あのスピルバーグの映画で有名なユダヤ人をナチスから救った義人、とされるオスカー・シンドラーの遠縁、つまり一応は関係があるらしい。
 ところで、そのシンドラー社だが、「エレベーターの製造元「シンドラーエレベータ」は16日、1991〜93年に設置したエレベーター計52基で、プログラムのミスにより、扉が開いたまま昇降するという重大な欠陥があったと発表した。同社は93年にプログラムを修正したが、修正漏れや、後の改修時に誤って欠陥プログラムを制御盤に搭載するというミスを犯したため、1都4県の9基は欠陥を抱えたままになっていた」(読売)というのである。
 14日に報道された、シンドラーエレベータの不具合が千葉県浦安市、つまり私の地元でもあった、というのは驚きだった。この浦安の事例も、上のプログラムミスのものである。
 そればかりか、その第一報をみたときはあまりはっきり示されていなかったのだが毎日新聞によれば「都市再生機構(UR、本社・横浜市)が管理する千葉県浦安市高洲の賃貸マンションで今月1日と10日、シンドラーエレベータ(東京都江東区)社製のエレベーターが、扉を開けた状態で最上階まで暴走する事故が連続して起きていたことが13日分かった。東京都港区で高校生が死亡した事故と同様、挟まれたら命にかかわる重大事故だったが、同機構は最初の事故後も「異常なし」と判断し、通常の点検で運転を再開していた。暴走したのは「浦安マリナイースト21潮音の街」7号棟(14階建て、63戸)の1台」とのことで、つまり浦安市の潮音の街にある公団住宅、ということだ。
 私は2年ほど前まで、同市の公団住宅団地であるマリナイースト望海の街(のぞみのまち)の高層マンションに住んでいた。潮音の街(しおねのまち)はそのお隣にある団地の名前で、やはりマリナイースト地区に属する。
 それで思い出すのだが、私の日記、ブログを個人サイトの時代から読んでくださっている常連さんはご記憶かもしれないが、3年ほど前に、宮城県の気仙沼で震度5か6のかなり大きな地震があった際に、いかに大きな地震といっても、気仙沼の地震が千葉県の浦安、あのディズニーランドのある街である、あそこまで影響があるというのは異常じゃないか、と書いた。というのも、その地震の長波長の波が押し寄せたらしく、はるばる宮城からきた揺れで私の住んでいた高層は大きく揺れて、壁面の目地が浮き出て小さなヒビが出るほどたわんだのである。まったく、考えられないこことで非常な恐怖を味わった。そんなわけで、公団住宅なんて丈夫が取り柄みたいなことをいっていたが、あんなのは迷信で実はものすごく脆いのじゃないか、と思い、それで引っ越しを急いだという経緯があった。
 そうしてみたところ、最近はあちこちの公団住宅で姉歯もびっくりの手抜きぶり、なんて話もあり、さもありなん、なのである。
 が、実をいえばエレベーターでもかなり問題があったのを思い出した。
 特にいちばんひどかったのは5年ほど前の夏祭りである。浦安市の花火大会が臨海地区で毎年あるのだが、マリナイーストは絶好の観賞ポイントで、団地外からもたくさんお客さんが来るのである。
 が、妙な音がするので見に行ったところ、満員のエレベーターが地階を通り過ぎて地下にめり込み、たくさんの人が閉じこめられていた。
 結局、1時間ぐらいで救出されたようで新聞沙汰とかにならなかったが、今だったら全国ニュースだろう。
 ほかにも、なんだかエレベーターが毎日毎日、妙にきしんだような変な音を立てていたのを思い出す。ゴーン、ゴーンというような、つらくて呻いているような音だったが今から思えばあれもかなり駄目だったんじゃないか。
 あれがシンドラー製だったのかどうか今となるとはっきりしない。そうだったかもしれないしそうじゃないかもしれない。しかし近所の公団住宅で使っているなら、そうだった可能性もある。
 顧みるにぞっとするのであります。
 私は、そのめりこみ事故以後は、転居するまでエレベーターを使わずに階段を使っていました。
 今になってエレベーターの問題がこんな大事になるとは・・・。おそらく、もっと前からいろいろな予兆があったのじゃないか。
 業界内での秘密主義とか、情報を公開しない、ブラックボックスのプログラムミスなどと・・・このへんは、なんでも規制改革で自由競争、という小泉流なんだが、それと伴って自由化のルール、たとえばこの場合は、情報を引き継ぐとか公開するとか言う原則が必要だったはず。
 あの建築業界の審査の問題とも一脈通じる。なんでも安い民間で、というのはけっこうだが、ただ単に自由放任の市場主義では結局、手抜きしか出てこないわけ。
 ということで、またしても、またまた、国交省の監督ミスではないか。
 どうもあの省も、守備範囲が広いせいでもあろうけれど・・・わざと公明党の大臣を据えているのもなんだか。




2006年6月16日(金)
 「日銀の福井俊彦総裁は16日午前、衆院財務金融委員会に出席し、村上ファンドへの投資から得られた年間の利益が、多いときで数百万円に達したことを明らかにした」(共同)ということで、今日あたりはそろそろ福井ヤメロコールも聞こえてくる。
 まあ実際のところ、日銀総裁があの村上ファンドに加担していたとなると、そりゃ信任は失うですな。もちろん、総裁就任前ならそれはそれでいけない、ということもないのだろうが、それにしたって、あのファンドの問題性が言われ始めたここ数年については、そのまま出資していたのは感心しないし、そういう人を日銀総裁に任命した誰かさんもよろしくないだろうし、また、日銀総裁となって、それ以後も違法性があるファンドから配当を受け取っていたのは、これは決定的によろしくないし。
 はっきりいって日銀総裁が自分で投資などしてもらいたくないものである。竹中大臣なども同じようなことで非難を受けたが、実際、そのへんのけじめはないとねえ。うちの会社などでも経済部の記者は株投資は禁止である。インサイダーになっちゃうこともありますからねえ。民間企業でも気を使っているのに。昨年末あたりに話題になった、証券会社の社員が勤務時間中に社内で投資しているというのも引っかかるのはそういうことです。
 ファミレスの従業員が、勤務時間中に自分で金を払って売り切れ必至の人気メニューを食い、文句を言われたら「自分でカネを出したから文句ないでしょ」というようなことだろうか。そういうようなことはなんとも納得はいかないが、それとはまあ次元が違うが、福井総裁もこんなことで歯切れの悪い答弁をしていたら、とてもじゃないが市場にメッセージを出すなんてできはしないだろう。
 第二のリクルート事件、という噂も出てきている。実際、村上容疑者は顔が広かっただろうから、各界の有名人がずいぶん出資しているんじゃないか、政治家や官僚、大企業幹部などにもいるんじゃないかとういうことで、見物といえば見物。
 実はうちの会社もリクルート事件で当時の重役の一人が株を買っていて、職を失った。将来は社長、という呼び声もあった人物だった。これも民間企業なんだから厳しいような気もしたが、ほかの業界の人を指弾するのが仕事のマスコミとしてけじめをつけざる得なかったわけだ。公職にある人などそれはもってのほかである。
 アメリカのバーナンキFRB議長も評判が悪い。こういう中央銀行の総裁がしっかりしてくれないと、実際、この経済万能のご時世に、大統領や首相なんかよりある意味ずっと影響が大きい。
 ◇  ◇  ◇
 昨日は松戸市のあじさいの名所、本土寺に行ってきました。私の両親と妻と一緒に、ちょっと前から話には聞いていたがどんなもんだろうか、と。http://www.h5.dion.ne.jp/~tadataka/hondoji/index.html
思ったよりずっと広大なところで、今の時期だとまだアジサイはみごろじゃなくて、花菖蒲のほうだったが、それにしてもなかなか壮観でした。しかしあれだなあ、駅から寺の境内までの参道がけっこう長いです。ことに梅雨時というとなんだか知らないけど体力が消耗します。お年寄りを中心に相当にお客さんが来てましたが、おいでになる方はそれなりに疲れるお覚悟を(?)。
 ◇  ◇  ◇
 その後、浦安に戻って、イクスピアリに行った。ミニカー専門店のPITから「おもしろい商品が出たのでぜひ辻元さんに見ていただきたい」とわざわざ電話が来ていたわけ。それにしても、ここ1年ぐらいはあまり・・・それ以前はもう湯水のように投資して、高額なミニカーを買いあさっていたんですが(戦前のドイツ者、と聞くと値段も顧みずどんどん買いました。ホルヒ、マイバッハ、メルセデス770K、BMWR32、メルセデスの消防車などなど)。が、その後は、めぼしいものもなく最近のスポーツカーには興味がないため足が遠のいていた。だというのに、店長さんはわざわざ電話してくれたんですけど、これ、商売人の鑑じゃない? 私はこの店長さんは表彰されてもいいと思う。どうですPITの社長さん。
 で、取り置いてくれていたのは、ドイツの名門ミニチャンプス社の製品で、なんでも「世界の政治指導者シリーズNO8」Der Kaiserwagen HIROHITOという代物で、箱にもでっかくHIROHITOのロゴ。これは日本人の感覚じゃあり得ない。外国人のやることだわ。http://www.rakuten.co.jp/hobby-toraya/529208/582652/582656/780506/
 43分の1のスケールだがずっしりとした高級感が恐れ入った出来。小豆色の車体に16弁の菊花紋章、金色の華麗な縁取り、まさに昭和天皇御料車である。基本的にはヒトラーなどナチス高官が愛用したグローサーメルセデス770Kと同じ車体なんだけど、天皇はヒトラーみたいに国民に敬礼して回ったりしないので、屋根がついている。作りも一段と豪華。一見すると同じ車とは思えない。が、確かヒトラーが日本の皇室に贈呈してくれたんじゃなかったかしら。詳しいことは知らないが、この車は今でもどこかに保存してるんじゃなかったかと思う。とにかく見事な出来栄えのミニカーです。RIO社からも770Kナチスバージョンが出ておりますが、出来のよさは問題にならず、ミニチャンプスの圧勝。 
 当然ながら、買わして頂きました。そればかりか、前に買ったホルヒの大型車の色違いも注文しました。
 それもこれも店長さんの罪な電話一本から。ああ、見事な商売人魂。私は感動した。こういうまるで恋愛している人のようなまめまめしさが、商売成功のカギだとよくいいますが本当ですね。
 で、この裕仁天皇バージョンのミニカー、すでにあちこちのミニカーサイトじゃ売り切れているようです。PITさんに感謝します。
 

2006年6月15日(木)
 いやあ、ほんの一日ネット断ちしただけで、こんなにアホな迷惑メールが来るかなあ。アホくさ・・・。
 ということで、テレビなんかも昨日はぜんぜん見なかったのですが、例の畠山容疑者の供述が転転としているという話題でモーニングショーはいっぱいだ。
 とにかく昔の知人によると、容疑者は子供が嫌いで嫌いでしょうがない、ということだ。そんな人間がよく子供など生んだものだ、とかつての同僚は思ったそうである。
 少子高齢化議論をする人たちには、こういう実例もよく考えてもらいたいものだ。子供が死ぬほど嫌いだという人も、世の中には少なからずいるものである。そういう者が親になっても不幸なことである。なんでもいいから子供を生め、というようなことを強いても意味がないというのはそういうことである。
 あくまで憶測だが、要するに自分の娘を河に突き落として殺し、ついでそれを目撃された近所の子供を殺したのではないか、という説に自分はいちばん真実らしさを感じる。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、先日のW杯の試合直前、「Deutchland Erster! Japan Erster!」という看板を掲げているサムライブルーとかいう青い服を着込んだ日本の若者の写真を新聞で扱った。もちろん最初の版だけで、その後は試合の写真に差し替えて言ったからあまり人目には触れていないと思う。
 が、とにかく「ドイツ。一番! ニッポン。一番!」というような意味なんだろうが、とてもこれでは意味が通じないだろう。ドイツ語のわかる妻は意味不明だと言っている。それにDeutschlandの「s」が抜けている。せめてそのぐらいはちゃんと書けないもんか。
 なーにがサムライブルーだか知らないが、私はあれを見て・・・ああいうお祭り気分というか軽薄さを見て、日本の敗北を予感した。本当にそう思った。
 新聞の投書欄で、戦前の中田の発言(普段通りの力が出せれば勝てるでしょう)を引き合いに出し、普段通りに力が出せないのがW杯じゃないのか、普段の百倍の死に物狂いでやります、ということでなければいけなかったのじゃないか、と書いている人がいた。同感である。やはりこちらのほうが格上だ、という意識がどこかにあったのだろう。百年早かったのじゃなかろうか。例のFIFAランキングというのも改定されるという。日本のランクは実力よりたかすぎるのじゃないですかね。
 ◇  ◇  ◇
 それはそうと、昨日はついに頼んでおいたナショナルのジョーバがやって来た。ちょいとやってみましたが・・・かなり効果があるんじゃないかしら。ものすごく腹筋や脚にきますねえ。なんでも15分やっただけでウオーキングを30分やった効果が出るとか。しかも家の中で。それはすごい。なかなかの即効性があるようだ。
 ◇  ◇  ◇
 それから、浦安の新温泉「湯巡り漫華郷」に行った。なんでも10回行くと会員という名誉党員みたいなものになるらしく、名誉党員用の浴衣とか、ドリンクサービスとか、なかなかいい気分であったりする。で、うちも会員にしてもらった。
 あれもなかなかいいですよ、温泉というのも。
 ということで、すっかりそういった健康系への投資が多くなった我が家である。

2006年6月13日(火)
・・・というわけで、ぬか喜びの26分、その後の駄目だめな3発。空しく日本の初戦は終わっていきました。
 なにがなし、奇襲で成功した真珠湾、でもミッドウエーでひっくり返され後はだめ押しの原爆2発、という日本民族の負け遺伝子さえ感じたのでありました。
 時間がたつほどへろへろとしていく我が方、後半になるほど馬力がかかっていく感じの豪州勢、最初にちょいと小手先細工で運を使い果たして、後は壊滅、というのは本当にニホンジンらしい散り方。
 散り方といえば、桜花とかサムライとか、なんかさばさば潔いのがよいという国民性は私は前から、少なくともそれは愛すべきかもしれないが、戦をするには向いていない、最後の最後まで敢闘するようなしぶとさ、いやらしさ、しぶとさ、そういうものがまたないということがばれましたですな。
 やられるとくしょーんとしてしまって、1億総悲観の1億玉砕、となりやすいところもあります。
 次のクロアチア戦でこれを跳ね返せるか、本当にしょんぼりしたまま玉砕するか。けっこう日本国ってものそのものの未来をなんとなく感じるけど。
 次のw杯は厳しいと言うし。アジアはレベルが低いので減らす、という話がありますよね確か。
 いやあしかし・・・まさに「あ、こういうごちゃごちゃしたコーナーキックは危ないんですよね、日本は」なんてちょうど言っていたときもときでした、同点になったのは。素人でもなんとなく先が見えた感じの試合だった。
 惨敗ですな。きれい事は無用である。
 ◇  ◇  ◇
 「スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が12日発表した2006年版の年鑑によると、」05年の世界の軍事費は、米国の対テロ戦争に絡む軍事支出の伸びが影響し、推計で、前年比実質3.4%増の1兆1180億ドル(約128兆円)に達した。米国だけで全体の半分弱を占め、5%前後で続く英国、フランスを大きく引き離し突出」(共同)というのを見かけました。
 アメリカが世界の半分、というのがすさまじいですな。一方、アジア地域では毎年10%も軍事費を伸ばしている国もあります。
 年間130兆円。人類はむなしいことしてますなあ・・・。


2006年6月12日(月)
今日はサッカーW杯の日本の初戦である。私は憂鬱である。楽しんでテレビを見ていられるのなら別に構わない。仕事にかかわってくるので面白くも何ともない、のである。しかも夜の10時にキックオフなんて日本の新聞社に対する嫌がらせのために設定されたような時間帯である。
 いやもう、頭の中はそれで一杯である。とにかく「勝敗にかかわらず、一分でも一秒でも早く終わってほしい」というのに尽きる。たとえ我が方が負けていてもか? もちろん。たとえ我が方が負けていても、早く終わってほしいのである。
 新聞屋にとっては結果の確定がすべてなのである・・・。
 ◇  ◇  ◇
 たまたまある詩人から、韓国の反戦詩人の作品を見せてもらって「辻元さんは軍事系にお強いようなのでその観点から校閲してもらえませんか」という依頼があった。
 一応、詩人の端くれである私だが、もっぱら「軍事アドバイザー」としてこういう依頼を受けるのは自分としても珍しいことである。テーマは広島の原爆を扱うものだ。
 あくまで軍事的なことのみ、というので、実際、作品がどうとかこうとか考えるよりずっと気楽である。
 で、じつはまあいろいろと、間違いがあると思ったので指摘したのだが、いちばん気になったのが、その韓国の詩人の作品に「広島に落ちた原爆リトルボーイは米大統領ルーズベルトのニックネーム、長崎に落ちたファットマンは英首相チャーチルのニックネームから命名された」というような一節があったのだ。
 本当だろうか、と思う。たしかにそのような俗説はあるようだが、しかしかなり信憑性というか、出所がはっきりした話としては聞いたことがないのである。
 むしろ、リトルボーイの原型のシンマンというのがルーズベルトで、リトルボーイはルーズベルトの後任のトルーマン大統領のあだ名、という説もあった。
 なんにしても俗説の域を出ない。それとも韓国あたりではこの説が定説と言われているのだろうか。
 また、日本人について「一重のズボンをはいて下駄を鳴らす連中」というような記述もあって、どうも下駄は日本人に対する軽蔑イメージとしてよく知られているけど、一重のズボンというのはなんなのだろうか、と思いましたが。これなんだろう? 原語はどういう表記なんだろうか。股引のことか、袴か、それともモンペか?
 なんのことだか分からないんじゃ、軽蔑されているところも肝心の日本人が分からないんだけど、と思った。
 ま、お互いに他国のことなんてちっとも理解していないわけですから・・・。

2006年6月11日(日)
サッカーW杯でわくベルリンから共同電でこんな話題。「ベルリン市中心部に、ヒトラーが自殺した地下壕があったことを示す案内板がこのほど設置され、市民のほかサッカーのワールドカップ(W杯)観戦に訪れた外国人らの関心も集めている。市はネオナチが集まる「巡礼地」になることを恐れ、明確な場所を公表していなかったが、「歴史を隠すな」と主張する市民活動家らの声を受けて設置に踏み切った」というんだが、その通り、歴史を隠すな、というのは正しい姿勢と思う。ヒトラーという人物がいて、めちゃくちゃやった後でそこで自決したこと自体は否定できない。それに、一昨年から去年にかけて久々にドイツ映画としては世界的ヒットとなった「ヒトラー最期の十二日間」もまだ記憶に新しいのだから、それははっきりさせておくべきだろう。
 ネオナチ、というんだがあの人々はどう考えても、戦前のナチス党とは無関係の単なる偏狭な右傾集団としか見えず、そして排他的で人種差別的で右傾しており、実質は暴力団や暴走族と余り変わらない集団、なんて実のところどこの国にも少なからずいる。
 戦後すぐには旧武装親衛隊のパウル・ハウザーが代表を務めた親睦団体とか、例の7月20日事件で鎮圧側に寝返ってシュタウフェンベルクの計画を潰したことで有名なレーマー(このことがあって、終戦までの10か月で彼は少佐から少将まで成り上がっている。企業で言えば課長からいきなり取締役になった感じだ)の政党とか、いろいろ残滓があったのはたしかだが、今じゃほとんど直系の影響力はなく、またネオナチの連中自身、本心はともかく「ヒトラーとか戦前のナチスとは俺たちは関係ないんだよ」と公言している始末である(そんな情けないことならやめちまえ、という気もするが)。
 そもそも戦前のナチス党にスキンヘッドなんて趣味はない。スキンヘッドにされたのはユダヤ人のほうだろう。
 それに、ネオナチの人数というのも、ドイツ全土でせいぜい5000人だとか聞く。それを多いと思うか少ないと思うか、だが、なにかものすごい勢力のように思うのは間違いだろうと思う。
 実際、移民の問題や宗教的、人種的な問題はよほどにフランスやアメリカのほうが大問題となっている。
 日本の「新右翼化」というのもよく議論されるが、今の比較的若い世代、それこそサッカー大会などで「ニッポン」と連呼する愛国的なノリの人々・・・この人らはどちらかといって確かに保守的でどっちといえば右寄りだろうが、戦前の右翼運動とか、戦前のたとえば北一輝の流れやら、皇道派青年将校の流れやら、あるいはもっと後のいわゆる軍国日本のカーキ色が支配した体制とは無縁だろう。実際、あまり興味があるとは思えないし、皇室などに格別関心があるようにも思えない。それこそ「ああいうのとは関係ないんですよ自分ら」というところだろう。
 愛国心を教育現場で数値化する、という例の議論。できるもんなら面白い話である。
 グローバル化が逆に保守化・右傾化をもたらすという予測はたしかに当たっているようで国際紛争は右肩上がりで増えていく気配である。
 

2006年6月10日(土)
今日は疲れました・・・たまたま、ここ2,3日、妻のお気に入りの本が見当たらず、家中を「家捜し」していまして、そのさなかにふと「そういえば、俺の部屋は物が多すぎる。地震に対しては危険だし、それに3階に重い物が多いとトップヘビー(船なんかであまりに重くて大きいブリッジや武器などを甲板上に置くと、安定性が低下して転覆しやすくなること。旧日本海軍の軍艦はほとんどこれ)だし・・・」と思い立ってしまって、部屋の本棚からまずもって数百冊の詩に関する本を・・・はっきりいって、そういう本を最近、あまり自分は読んでいないのに気付いたので、自分自身の著作物はそのまま、自分の文章や作品、または他人による書評や対談などが載っているものはとっておき、それ以外はすべて1階の物置に「左遷」する気になった。にしても、そんな数百冊の本を抱えて3階と1階を行き来すること20往復ほど。引っ越し以来である。腰が抜けそうである。その後、案の定というかほかの大きな判形の本の中に挟まっていた、というありがちな落ちで妻の本は見つかりました、はい。
 こんなときこそ、家庭用エレベーターがあったら・・・。しかしシンドラーのは困る。
「製造元のシンドラー・グループ本部(スイス)は9日、「(エレベーターの事故は)不適切な保守点検か、閉じ込められた乗客による危険な行為が主因」とする声明を発表した。「利用者の乗り方が悪い」とでも言いたげな、“逆ギレ”ともいえる内容で、同社に対する不信感はさらに高まりそうだ。・・・事故後、記者会見はおろか同マンション住民への説明も拒否している。同社は9日、国内にある同社製エレベーター8834基の全リストを国土交通省に提出したが、これも当初は「個人情報保護」を理由に提出を拒否していた。この不誠実な対応には、同省も怒り心頭で、早速この“シンドラーのリスト”を各都道府県に伝え、過去のトラブル情報などの集約作業を始めた」(夕刊フジ)というんだが、シンドラー社は甘かったね。アメリカや中国で起きた事故じゃない、パニック大国ニッポンである。消費者天国ニッポンである。態度がでかい、というそれだけでもう、この会社は首である。日本人は欧米流の突っ張っていれば毅然としているみたいな感覚を持たない。論理じゃない。情である。頭を下げない者を卑怯者と感じる国柄である。逆に言うと、割にさっさと「切腹する」者の責任は追及しない。村上容疑者など会見を開いて見せたのはそのへんであろう。あの人、週刊誌報道によるとインド系と中国系の血が入って居るんですって? そういや、かなり濃い顔立ちですよね確かに。でも日本でのやり方、最後は日本流というか「潔い」もの好きの国民性をよく知っていたようには見えた(実態は嘘ばかりだけど)。
 とにかく、どこのビルでも最近はついエレベーターのロゴマークを捜してしまう。シンドラーは安いらしくて、公共の建物に案外に多いようだ(その自治体はまじめな落札をしているという証拠にはなるかもしれない)。
 ◇  ◇  ◇
 昨日は一応、ドイツとコスタリカの試合を見ていました。なかなか面白かったですね。敵味方あわせて6点もゴールシーンがある試合って。ただみている分には面白いけど当事国の人らはそうはいかないですか・・・。
 しかしドイツってそんなに強いワケじゃないみたいですな。してみると、そこと引き分けたと言って喜んでいた先日の日本というのは・・・?

2006年6月09日(金)
アブムサブ・ザルカウィが戦死した模様ですが・・・つまりイラクのアル・カーイダの司令官ですが、これが二年前なら大戦果で、ブッシュ政権にとってもイラクにとっても大きな影響を及ぼしたろうけど、2006年も半ばの今となっては時既に遅し。ザルカウィはすでにイラク国内でも過去の人となっており、頻発するテロも暴力も、もはや国外からやってきたザルカウィグループなどではなく、彼らが一生懸命、たきつけてきたシーア派、スンニ派、クルド人の内戦となっておりますので、とっくにザルカウィは彼らなりの使命を果たし終えていた。
 つまり、今頃彼が死んでも手遅れなのであります。
 それにしても、28億円とかいう彼の懸賞金はいまだ引き取る人がいないとか。誰かが潜伏先を密告したはずなので、受け取る権利は誰かにあるんだろうが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 畠山容疑者の弁護士というのが会見を開いて、要するに被害者児童と自分の死んだ長女が重なって見えて、無我夢中で首を絞めた、気が付いたら被害者はぐったりしていた、などとわけがわからないことを述べているようであります。こんなたわけらしい言い訳をそのまま発表する弁護士も弁護士という気がどうしてもしてしまうが、思うに、裁判員制度などあればこんな容疑者はあっという間に死刑でしょう。というか裁判員制度というのは、ある種、弁護士というものの存在をかなり厳しくするかも知れないという予感があります、自分には。訓練を受けてない素人的には、悪人の肩を持つ嫌な連中、という見方がどうしても出てくるんじゃ無かろうか。
 弁護士という者も、これから相当に、弁護するなりの筋を通さないと通らない時代になりそうな気がするのであります。なにかと精神鑑定、なにかと審理引き延ばし・・・そういうのは通用しなくなると思いますけど。
 ちなみに、今回畠山容疑者の弁護人として出てきた人が二人いらっしゃいますが、このお二人が最近、開業するまで能代地区には弁護士はなんと一人もいなかったのだとか。
 地方の問題、というのが医療とか、格差社会の問題でよく出てきますが、こういう面でも遍在が甚だしいようであります・・・。
 ◇  ◇  ◇
 シンドラーのリスト、というのが悪い冗談になりつつあるそうで。世界中のシンドラーエレベータの故障・事故リストの意味だとか。
 うちの会社のは国産みたいですが・・・しかしエレベータ業界というのもかなり閉鎖的で問題が多いみたいですな。シンドラー以外にもいろいろ出てきそうな気配ですね。
 ◇  ◇  ◇
 W杯の応援犬「ロンメル」というのをテレビで見ました。この犬が見に来るとW杯で日本はまだ負け無し、というんだが、それにしてもこの犬、ロンメルという命名はどこから? やはりあの第二次大戦のドイツ軍の名将ロンメル元帥? ドイツ大会だけにぴったしですけど、さてどうなるんですか・・・。
 とにかく早く終わって欲しい。マスコミにいますと、W杯ってとにかく迷惑なだけです。これだけに振り回されてどれだけの人数が減るか・・・。

2006年6月08日(木)
さて、ゆうべは結局、映画「オーメン」を見てきた。で、いちばん思ったのは、1970年代のオリジナルをほとんど忠実にリメイクしている、ということでした。もう本当に驚くほど今風に「していない」。携帯電話とかパソコンといった小道具、それからダミアンが愛用するのが三輪車じゃなくてスケボーである、といったことを除けば、全体としては60年代、70年代を舞台にしたオリジナルの時代とほとんど変わっていません。
 話の大筋、というか大筋だけじゃなく細部もほぼオリジナルに忠実、と思いました。まあこれもちょっとずつ違っておりますが、大きな変更はない。
 それだけに、ちょっとした変更点は何故あるのか、というのがかえって際立っているのかもしれない。つまり、70年代よりも、911テロを経て中東で揉め事が続く今のほうが、世界の終わりのアルマゲドン、そして666の悪魔が出現する背景としてふさわしいのではないか、というメッセージを感じます。今回はダミアンの出生の秘密を知るための謎解きに主人公たちがイスラエルまでわざわざ飛ぶあたりなども、そのへんを感じさせます。
 けっこう、オカルト映画としてみると、きゃあきゃあ怖いとか恐ろしい、というショッキングな内容・・・まあ、70年代には十分に残酷なショックシーンだったものも、最近の目で見るとさほどじゃなかったりしますが、基本的にそういう怖さだけなら最近の和製ホラーのほうがずっと怖いわけですが、そういうのが主眼の映画ではなく、基本的に純粋にストーリーはこびの面白さが際立ちました。そういうオリジナルの持ち味を損ないたくなかったという監督の意図を感じます。
 いちばん、今の時代に思われるのは、この映画ではわが子だと思って育てていたものが得体の知れない化け物だった、というわけですが、しかし、しばしば血の通った親子であっても、自分の子供が得体の知れない化け物に見えてくるのが現代じゃなかろうか。そして、毎日のように子供に殺された親、逆に親に殺される子供の話がニュースになりますが、そういう状況下で、愛すべきわが子が悪魔かもしれないという疑惑がじわじわと募っていく、最後までその点で葛藤する主人公が普遍的なテーマとなっていると思われます。
 で、それで思ったんですが、主人公がそういう苦悩をすることがいちばん、この作品では重要と思いますが、すると・・・まあはっきりいって、私はオリジナルのグレゴリーペックの重厚かつ苦渋に溢れた演技のほうが、今回のなんとかいう若い人よりずっと上回っていたように思いますがねえ・・・個人的には。ま、けっこう、今回の主人公の役者さんも、かなり太い眉毛に厳しい表情がペックに似ているんですけど。
 しかし、「頭上の敵機」とか、「ナヴァロンの要塞」とか、苦悩する主人公という役どころで数々の名演をこなしてきたグレゴリー・ペックの眉間の縦じわの深さ、というんですかしら。これがさすがに厳しかったよね。
 そして、全体にはオリジナル版のくすんだゴジック感がちょっと薄まったような。
 が、「ローズマリーの赤ちゃん」のミア・ファローが乳母役で出てきますが、この人が非常に全体を締めていた。魅力的だが底が知れない感じ。ベテランがいると映画はしまりますですねえ。
 ダミアンの子役はまあ、あんなものかな。
 なんかしかし、オリジナル版では気にならなかったのだが、今回は「悪魔の子にしてはスケールが小さい」とか「仮の親たちなんか殺さないで生かしておいて、さんざん利用すればいいのに」とか思ってしまいました。悪魔の子が政治家になって混乱をたくらむというのはよく分かりますが(ヘンな魔物退治系の映画のように、そのへんでつまらない人間に取り付いてる悪魔って無意味な感じがしますもの)自分自身がアメリカ大統領になって第三次世界大戦を起こそうというんでしょうが(オリジナルの続編のオーメン3だと、成長したダミアンは大統領補佐官になり、さらに大統領を狙うような野心的な政治家となります)それじゃどうしたって2、30年たってしまう。
 それと・・・たとえばダミアンが間違って日本の政治家に生まれちゃったらどうだろうかとも。キリスト教の神などはなから信じていない日本人の中でさぞかし悪魔の子は苦戦しそうです。政治家になってもどぶ板選挙とかやらされたりして。それで首相になっても、ぜんぜん言うこと聞かない官僚たちに阻まれて、自分が何もしなくても勝手に日本人の組織は堕落するから(笑)やることがなく、せいぜいクールビズとかやっておしまいとか。
 なんか、そんなあほなことを考えさせるというのは・・・オリジナル版のような重厚さがなかったかもね、今回のリメイクは。
 ◇  ◇  ◇
 サッカーが危ないんですって?「俊輔に異変が起きた!日本代表MF中村俊輔(27)が7日午後の練習でシュート練習を回避し、左太腿裏に違和感を訴えて、そのまま離脱した。また、右太腿裏負傷のFW柳沢敦(29)もリハビリを途中で切り上げた。司令塔と2トップの一角を負傷で欠くようなら、12日の初戦オーストラリア戦(カイザースラウテルン)に向けて日本は大きな不安材料を抱えることになる」(スポニチ)だっていうんですが、危ない危ない。ところで、あの地名ですが「カイザース・ラウテルン」ですよね。ブンデスリーガにもそういうチーム名がありますよね。いや、一部で「カイザー・スラウテルン」とかいっている人もいて(!)。
 とにかく12日ですが・・・困りますよ日本の新聞としては。いちばん困る時間にやってくれるんだよなあ、夜の10時とか11時って・・・。

2006年6月7日(水)
 今日、車で市内を走っていたらなんかそれなりに、違法駐車が減ったような気がした。駐車取締をそれなりにやっているんだろうな、と。確かに助かるが、あおれについてあほな話が一つ。「駐車違反取り締まりの民間委託が始まった1日、神戸地裁の執行官(58)が食事中に「駐車許可者標章」を不正に使って路上駐車し、取り締まり中の民間駐車監視員や警察官に「業務中だった」とうその申告をしていたことが7日、分かった。・・・同地裁に対し11台分の標章を返納させた。公的機関に標章を返納させるのは極めて異例という」なんてことで、昼飯食うのに裁判所特権を使っていたなんていうんだから。それで、全部返納だっていうんだからみっともないこと。
 あほな話をもう一つ。「山口県下関市の江島潔市長(49)が、市主催の米づくり体験学習である児童らとの田植え行事をキャンセルし、知人らとの親睦(しんぼく)ゴルフに参加していたことが7日、分かった。田植え不参加の理由を「急な公務のため」と担当課に伝えていた」てんですが、こういう話はどこから漏れるんですかね。
 ま、大した話じゃないから、ゴルフの予定を入れてすっぽかしたんでしょう。そのへんの人ならよくある話だが、仮にも市長だし。韓国じゃゴルフで公式日程を何回もさぼって首になった首相がいましたが。日本でも大事なときにゴルフやってて首になた首相がいるし。けっこう偉い人=ゴルフ=むかつく、というのが世間一般の怨念を呼ぶんですよね。
 できるだけ高位高官はやらないほうが無難だとは思う・・・。
 ◇  ◇  ◇
 ニューヨーク市の警備費を連邦政府が減額したというので、ニューヨーク市民が怒っているという話を聞いた。おそらく中間選挙を前にして、民主党が強そうなNYを干して、共和党が強そうな町に厚く配分したんだろう、少なくともヒラリー・クリントン上院議員はそういって怒っているようであります。
 ますます器量の小ささを見せ付けるブッシュ政権の断末魔でありますが・・・。
 

2006年6月06日(火)
6月6日である。Dデイである。ノルマンディー上陸作戦の日である・・・となんか毎年、この欄に書いているかもしれない、自分。しかし今年は「オーメンの日」だったりする。2006年の6月6日をねらって、オーメンのリメイクを出してきたわけだが・・・オリジナルの大ヒットは私の小学生時代。当時の設定では、悪魔の子ダミアンは1966年の6月6日生まれだったのじゃなかろうか。当時、少年ジャンプか何かでオーメンとエクソシストの特集をやっていて、だいたいその二作が相前後して流行したと思うが、とにかく少年誌にごくおおざっぱに載っている解説とか写真を見ただけでびびってしまった。
 ということで、実際にオーメンを見たのはずっと後。もう大学生ぐらいになってから、テレビの映画劇場で見た。さすがにそのぐらいの年齢になってからは、純粋に映画の話の運びの巧みさを鑑賞できた。そしてなんといってもグレゴリー・ペックである。なんといってもローマの休日が代表作だろうが、ナバロンの要塞や頭上の敵機など、戦争映画に多数出ている。そしてキャリアの後半の最大ヒットはオーメンでのダミアンの父親役、である。
 というか、逆救世主ダミアンの父はサタンであって、そういう意味では仮の父親、という役所であるかもしれない。
 で、寡聞にして、今回のリメイクではペックの演じた役は誰がやるんですか。知らないのであります。知らないけど、そのうち見に行こうかと思っている。バルトの楽園よりは前に見ておこうかな、と。
 それにしても、「666」の悪魔の数字、ということで、666年の6月6日とか、1666年の6月6日にも、キリスト教圏ではいろいろ騒いだそうですが、そのへんのきりのいいところで現れないで、2006年に登場するとも思えないんだが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 昨日はもう、村上ファンドと畠山鈴香容疑者にふりまわされたが、どっちも予定内、というか想定内、というわけでかえって楽勝。村上容疑者が夕方に捕まってくれて本当に良かった、ありがとう東京地検。マスコミの対応を考えてくれたのね(本当にそのへん、考えることはあるみたいですよ)。ゆっくり朝刊に間に合いましたよ。
 畠山容疑者は、ぼつぼつ殺人についても容疑を認めているらしい。それから村上ファンドについては、もともとは村上が堀江に「ニッポン放送はねらい目」と耳打ちしたのに、実際にライブドアが仕掛けると、もめている最中に、ライブドアのほうが村上にどうか株を渡して下さいと懇願しているのに、村上がひとりでウリ抜けて儲けたのを堀江や宮内が相当に恨んでいて、今回のことになったらしい。
 人の心は金で買える、と豪語した堀江だが、自分よりももっと金持っているヒトの心は買えないわけだった。
 とにかく、村上ファンド、たるみきっている会社の経営陣に活を入れた部分は確かにあるけれど、結局は売り抜けだけのせこい会社だった。批判されても仕方あるまい。
 ◇  ◇  ◇
 サッカーがらみの話で、納得いかない報道が多いのだが、なにしろオーストラリアを甘く見たり、やたら楽観的な見方を垂れ流したり・・・日本人の悪い癖だ。いつもそうやって戦争に負けるんだ。「無敵帝国海軍」とかいっていい加減にやってね。そして妙に楽観的にやって、まずくなると今度はまた急激に1億総悲観になって、最後はやぶれかぶれで特攻隊、である。そういう冷静さのないメンタリティーは確かに日本人の国民性だと思いません?
 で、ここは外国人の目のほうが納得がいったりする。たとえばこれ。「1990年のワールドカップ(W杯)イタリア大会で旧ユーゴスラビアをベスト8に導いたJリーグ1部(J1)千葉のオシム監督が5日、記者会見で・・・2戦目となるクロアチアについて質問が出ると「初戦はオーストラリア。あんなにいいチームのことをとばして聞かないで。走れる選手、高い選手、素晴らしい監督がいる」と初戦の相手を評価した。・・・「誰でも技術的な選手が好きだが、サッカーには水を運ぶような役割が必要。福西(磐田)1人で水を運べるのか」との例えを使い、小野(浦和)中村(セルティック)中田英(ボルトン)ら攻撃的な選手をもてはやす報道にくぎを刺した。自身は90年W杯で西ドイツとの第1戦にあえて攻撃的な選手を並べ敗れた。「名前がある選手を並べても、それが最もいいチームかは分からない。それをメディアに納得してもうためにやった」と振り返り「どこの国にもそういう(メディアとの)問題はある」と述べた」(共同)というんだが、実に納得できる話じゃないだろうか。オーストラリアは強い。間違いないと思う。甘くみるのはもってのほかだ。そしてここの初戦で負けたりするとくしゅんとなって、しょげてしまうのが日本人である。
 また、後段など、ホームランバッターばかり並べたチームを作っても勝てない野球のオーダーとも似通っていて、面白い。そういうスターチームじゃないとマスコミやユーゴの国民が納得しなかったんだろうね、きっと。
 とにかく私は、なんでも妙に楽観的な「なんとかなるさ」が嫌いなんですよ。根拠のない楽観論ほどくだらないものはない。たしかに、WBCのような奇跡的なこともあるが、ああいうカミカゼみたいなものを初めから当てにしてはいけないのである。

2006年6月05日(月)
もうやめんかい、ちゅうの。面倒くさくてもう。ゆうべの編集局はひっくり返っていた。
 「秋田県藤里町・・・町立藤里小1年、米山豪憲君(7)が殺害され、草むらに遺棄された事件で、県警能代署捜査本部は4日、豪憲君の2軒隣に住む元遊技店店員、畠山鈴香容疑者(33)を死体遺棄容疑で逮捕した。・・・畠山容疑者の長女で同小4年の彩香ちゃん(9)は4月、自宅近くで行方不明になり水死体で見つかっており、捜査本部は今回の事件との関連を調べている」(毎日新聞)ということで、やっと「近所の女性」というのが、週刊誌なんかが書き立てていたように、綾香さんの母親である、という事実が公然となったわけだ。
 これで、逮捕が遅くなったのは、能代から秋田の裁判所まで逮捕状を取りに行くのに2時間かかる、というような事情があって遅くなった、なんて話まであって、報道各社はゆうべはずっと前日から待機していて、あの時間になってしまったわけ。
 何があったのか知りませんがね。前に、報道各社や警察に対して批判的な意見を表明していた容疑者なので、あるいは自分の娘の事故死(なんだろうかね、こっちは)にかんしてなにか引っかかりがあって、それが殺人につながった・・・のだろうか。
 今回は、警察は容疑者のことを一応、子供が水死した被害者、という形で「保護」する建前をうまく使いながら、マスコミから遮断、被害者の人権を守る、というのを理由にして実際には容疑者を監視していたようである。
 そのへん、人権、という言葉をあまりふりまわすとかえって、警察権力からすると便利な口実になるかもしれない、というひとつの例だったようである。
 ◇  ◇  ◇
 しかも同じ日に港区のマンションのエレベーター事故で重体だった高校生は亡くなるし、イタリアの画家の作品を盗作していたとされる和田なんとか氏は、芸術選奨を返上するとか言い出すし。ついでに日本代表のサッカーはマルタと壮行試合をやったけど、上のようなもろもろの騒ぎの合間に試合をちらちら見たけど、あんなもんでいいんですかい。あれだけ格下の相手に。
 ということで、面倒な一日でしたが・・・今日だって、村上氏への強制捜査、逮捕は必定でしょうが。
 いやんなっちゃうねえ・・・。


2006年6月04日(日)
いい加減にしてくれえ・・・土日の新聞なんて普通は暇な内容で、というか、まあ言ってみれば、忙しい日には書けないようなほのぼの系とか、解説ものとか、そういうたぐいのもので埋めるべきもんだが、今日はだだーっと、一つには村上ファンドの件、つまり村上氏が聴取されて立件確実、その連動で阪神株を手放して阪急のTOBに応じる、という話になって大騒ぎなのと、もう一つは、秋田の少年殺しについて「団地の女性住人」を警察が捜査方針、という話でごちゃごちゃになってしまいました。
 村上氏については、地検に強制捜査されて逮捕とかいう話になれば、その後の裁判の結果にかかわらず商売上は致命的であり、ファンドそのものを手じまいしなけりゃならなくなるかも、という見方がある。しかも阪神株も落っこちていて、こうなったら阪急に買ってもらうしかないということだ。
 つまり阪神騒ぎの終結、が問題なのじゃなく(まあ、この騒ぎが一応の終結なのは間違いないでしょう)村上ファンドが終結する、ということですね。
 なんか慌ててシンガポールに移ったりして、いつになく険しい感じで報道関係者を怒鳴ったりしていた村上氏は、予感があったんですかね。
 これで、村上「容疑者」から村上「被告」になる可能性も出てきたわけで、結果も、この人とか堀江被告については、300万円ぐらいの科料じゃ意味がないので・・・だってこの連中じゃ、こんな値段なんてワインとドン・ペリを何本か空けて一晩遊べば、こんな値段は日常的に払ってるでしょう。やっぱり懲役実刑、となれば痛いやね。アメリカなんかじゃこういう経済事犯はみんな見せしめ的に塀の中に入れちゃうですね。
 今後はこういう証券取引法違反の過料は100億円以上とかにしたらどうですかね。これで国家も潤って万々歳である。
 で、もうひとつの、秋田の少年殺人のほうの疑いがかかっている女、というのは、前から周辺で問題になっているというお騒がせ女、のことでしょうか。週刊誌なんかで書いていたのはその人物ですよね。
 ま、どうなるんですか。確証があるんでしょうな。
 ◇  ◇  ◇
 シャープのアクオスが馬鹿売れして、早くも5000万台を売り切ったというような話が伝わったが、うちもつい先月にアクオスをジャパネットたかたのお兄さんの熱弁によって交わされたばかりである。その後、ソニーのブラビアなんかがもっと安い値段で出てきて、ちょっとがっくりきたものの、実際にやってきたアクオスには満足してるので問題はありません。どっちみち、こういう家電製品なんかには滅法、弱いというか、遅いというか、世間の需要が二巡も三巡もするまで買わない主義なので。
 たとえば、いまだにアイポッドみたいなものを買わない、デジタルカメラも買わない、ハンディカムもない、洗濯機もずっと壊れたまま10年近く使っていたが、結局はドラム式なんて買わない。
 それに比べりゃ、かなりアクオスなんて早く買った方だ。
 そりゃいいとして、今、シャープ製品で興味があるのは「へルシオ」というオーブンである。もう皆さんご存じなんだろうが、要するに蒸気で過熱するウオーターオーブンというものだそうである。新型機はレンジ機能も搭載したという。http://healsio.jp/
 なんでもできる、という。そうなるともうフライパンや鍋釜の手番もなくなる、という。本当かいな、と思う。油や塩分が落ちてヘルシーな仕上がりになる、ともいう。それなら欲しいな、と思う。
 今時は、なんといってもデブをターゲットにするのがいちばん儲かる時代である。



2006年6月03日(土)
このところ、サッカーW杯でん日本と対戦する国とか、チームの監督のコメントがよく出てきます。なんというか、いちばん居丈高に「日本なんて格下で相手にならないね」とやたら言いたがるのはクロアチアという国の人々。ブラジルのような横綱国はかえって余裕があるのか「いや、日本は急成長しているから、油断はできないよ」と応えてくれる。実際、ああいうふうに答える方が正解である。日本のサポーターといわれる人も外国のメディアに突然、質問されるかもしれないが、気をつけたがいい。
 実際、戦は水物であって、しかも短期決戦なのだから、本来の地力があるほうが必ず勝てるというものではない。本心で言えば、日本という国は、基本的には新興勢力でまだまだ弱い、と見なされているとは思うので、相手が油断してくれればチャンスではある。
 ところで、クロアチアの「ズラトコ・クラニチャル監督はドイツ−日本戦について、「2−0で日本がリードした後に見るのをやめたよ。全部見切ったからね。彼らの弱点はセットプレーだ」と豪語。「本当の状態は12日の日本−オーストラリア戦で見られるはず。とはいえ、すでに彼らの“エックス線写真”は持っているけどね」と、独特の表現で日本の分析が完了していることを示唆した」(報知新聞)そうであります。
 で、スポーツ音痴の自分はこのセットプレーという言葉自体、ぴんとこないのだが要するにフリーキックとかコーナーキックとか、ゲームを中断して静止状態からキックする場面のことですね。あれで日本は弱いんですか。そうですか。
 一方で、オーストラリアの主将が日本の選手のことも陣形もまるで知らない、というような話題も伝わってきた。
 ま、とにかく基本的にはなめられているように思うのだが、それは明らかにチャンスなのであって、今川義元は油断で負け、米海軍は油断で日本海軍の奇襲を受けた。いわゆる格下の相手をなめるのは戦争では危険である。
 本来はちっとも興味がない私なのだが、12日のオーストラリアとの初戦は、どうも自分の仕事上、関係があるみたいなので、まったく無関心とは言っていられない事情があるのである。マスコミなんて面倒な仕事である。SPA!の特集記事で「本音を言うとw杯の報道が鬱陶しい、というアナタのために」という見出しを見かけて笑った。最盛期にもw杯関係の話題を見ない、聞かないですむ方法を特集していたんだが・・・教育テレビを見るとか、フーディーズチャンネルだけ見るとか、いくらでも方法はあるだろう。
 それですむ人らが羨ましい・・・。
 が、にわかにあちこちでドイツ特集をやっていることはうれしい。もっとドイツそのもののことをやってほしいけど、私としては。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、首都圏のNHKでは医療問題を扱う特番をやっていた。要するに、大学病院の医局の権限を弱めるべく、医師の卵の人らの研修制度を改め、自分で好きな病院で、いろいろな科目を経験してみるようにしてみた・・・それは自由化の流れであるし、従来の医大の医局にも多々、問題があったのは間違いないのだが、しかし結果として、若い医者の卵は、当然ながら都会の報酬の高い病院を目指し、しかも出来るだけ楽で、安全で、仕事がきつくなくて、しかも訴訟が起こされにくい科目を選ぶ。
 それで、地方どころか、首都圏でもちょっとはずれた地域では、特に仕事がきつくて訴訟されやすい産婦人科とか小児科の医師が激減しており事実上、ここ2年ほどで地域医療は壊滅しつつある、という話だった。
 ま、小泉政権だけの問題じゃあるまいが、医療もある意味、自由化してみたのである。しかしそれは、ほかの分野と同じであって、お金になるところに人が集まり、簡単に言えば、小泉内閣の間に急激に(暗黙裏に)進んだ「田舎に住むんじゃない、コストがかかるから都会に引っ越せ」という政府のメッセージがここにも結果として現れている、ということになるんだろう。
 医者だって職業である。一日に休憩が15分で、三日に一回は当直勤務、というんではそりゃなり手はいなくなる。実際、あまり激務じゃ自分が死んでしまう(そういう実例もやっていました)。しかも都会の病院に移籍すれば、収入は4割増し。開業できればまあ、近頃はしかしいろいろ風向き変わってきてるとしても、それにしてもお金の面ではやはりいちばん有利であろう。
 じゃあどうすりゃいいのか、ということだが、そもそも日本は医者が少ないというのも本当のところだし、理数科離れのうえに少子化なんていうんだから、志願者自体が先細りであろう。
 政府なんかも、産婦人科がここまで減っていて(埼玉県なんてあのでかい県でまともな産婦人科のある病院は事実上、ひとつだけというから驚く。東京で産め、ということだろうが急場には間に合わないかもしれない)それで、少子高齢化をどうするか、どころじゃあるまいよ。こうなると金の問題じゃないやね。制度上、産むな、といってるのと同じ。
 で、産んだ後も、託児所も相変わらずないし、企業のリストラはますます激越につき、建前上はともかく、のんびり産休なんて何年もとっていたら「ノーワーク・ノーペイ」と言われるし。
 それで、増えないとか、産まないのかはけしからんとかいう議論もなかろうと思うが。国として、産めよ増えよと言うのが本当に国策なのか、それともそうでないのかはっきりして欲しいと思う。
 日本国の適正規模は本当は何人ぐらいなのだろうか。今までの議論はあくまでもGDPの維持とか年金制度の維持とか、はっきりいってお役人と経団連の人々の都合から出てきた話ばかりナンだが・・・。
 
 


2006年6月2日(金)
今日はまた、ゆうべからの続きで今度は村上世彰氏、である。しかし去年のライブドアとニッポン放送の一件で、なんか関係ないけどたくさん株を持っていて、騒動のさなかに売り抜けた、というあのときに、「村上ファンドとライブドアって連動してるんだ」と思った人は多いはず。しかし連動しているというか、すっかり打ち合わせ済みでやったんならインサイダー取引そのもの、ということになるそうである。そうなると、この人も逮捕もあり得る。
 このところの「エセ勝ち組」を狙い撃ちする検察の方針も佳境にきたか。
 にしても、堀江さんにしても村上さんにしても、成り上がりモノの悲しさというか、自分らが目立ちすぎるんだよなあ。もっとひっそりと大もうけしている人はたくさんいると思いますが。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、ダイエットということで皆さん、ご苦労が・・・ある人もあるだろう。私もその一人でございます。
 健康診断の直前には、ここ数年はなんといっても「ハリウッド48時間ダイエット」http://www.48md.com/というのにお世話になっています。とにかく具体的かつ即効性があるのはこれだけ、である、私としては。
 2日間というもの、ジュースだけでほかは水だけを摂取、じっと我慢する・・・というもの。これはとりあえず、間違いなく2〜3キロは体重を落とせます。ただし、ボクサーの減量と同じでこれはかなり無理して落とすので、まあ普通はすぐに戻ってしまう。とはいえ、とにかく即効性のあるもの、というのは必要ですので、これは愛用しております。
 以前は一本で1万円ほどしたのだが、最近は並行輸入で2000円とか3000円で扱っている業者もあります。これはまあ、一応のお薦め。
 しかし、これは即効的かつ、かなりつらいです。相当に禁欲を強いられます。
 で、ひところなかなか効果を実感していたのが、「ドクター・シアーズのオメガゾーン・チョコバーダイエット」というもの。http://auction.woman.excite.co.jp/item/44762444 こいつはジュースよりはずっと我慢しやすいチョコ風味のバー。で、よく市販している健康食品とかダイエット菓子のたぐいより格段に「腹持ちがいい」。本当に長時間、我慢できますので、実際に効果がありました。かなりねちっこいもので、歯というか、顎が疲れますが、味もなかなかよくて、すぐれていた。でかなりこれにもお世話になりました。しかし、これはずっと高いまま。一箱2万円とかいう値段でこれも近頃は1万円ほどで扱っているようですが、しかしかなり高いのは変わらないのと、それから日本向けに作っていた専用のラインを停止してしまったらしいので、日本向け公式の、日本人にあった内容のチョコはもう作っていないらしい。
 で、もうちょっとなにかないか、と思っていたところ・・・。
 これはどうでしょう。ニチレイの「気配り御膳」と「シェフズバランス」。http://wellness.nichirei.co.jp/ これは、糖尿病の治療用に低カロリー冷凍食品を開発してきたニチレイが、今度は一般のダイエット志望者向けに開発した冷食シリーズで、一流レストランのシェフが味を担当し、なんとデミグラス・ハンバーグや付け合わせのセットが300キロ・カロリーというもの。ほかにもいろいろありまして、実際に食べてみたのですが・・・うまい。こりゃあうまいの一言。酢豚とか、中華もありますし、和食もあります。
 こいつはウマイし、我慢も出来ますし、いうことありません。どうせ冷食で手軽に済ませたいときなんかこれに替えると吉。
 これも一食当たりにすると1000円ぐらいの単価ですが、外食することを思えばさほどじゃないのではないか。
 というわけでしばらくは、このニチレイ+48時間ダイエットの組み合わせで行こうか、と。
 もうひとつ、狙っているのがナショナルの「ジョーバ」です。http://national.jp/kenko/exercise/joba/ こいつは乗馬運動が出来る椅子みたいな機械。これをやりながら、武将気分で戦国モノのゲームをやったら面白いかも。こいつもかなり高いですがねえ・・・。
 ということで、相応に投資しないとなかなか痩せませんね。しかしこれでも私、最盛期からすると10`痩せに成功してます。



2006年6月01日(木)
 さて、6月です。とりあえずよいお天気で夏日。ということで絶好のクールビズ日和、というもんですか。「・・・2年目に入り、中央省庁では多くの職員が「ノーネクタイ、ノー上着」で出勤した。旗振り役の環境省では、ほぼ全員の職員がノーネクタイ。「どうぞクールビズでお越しください」と書かれたカードを胸ポケットにさし、PRにも余念がない」(読売新聞)だそうだ。
 まあ、今年は私もあんまりなんとも思わない。昨年は、なんとなく小泉支持派=ノーネクタイ、という雰囲気になっていたから、私など普通の夏は少なくとも通勤時はネクタイを外しているのに、去年は意地になって締めていた、という訳だった。
 今年は、ファッションの選択の一つといえるんだろう。実際のところ、ただ単にタイを外しただけ、なんてだらしないんははやらないようだ。以前には気障なイメージがあったクレリックシャツがこの1年で大普及したのは確かにこの運動のおかげだろう。
 しかし「幹部の一人は「クールビズが待ち遠しかった。温暖化対策だけでなく、リラックスして仕事ができる」と話した」というんだが、こういう発言はどういう意味か。いま、お役人にはリラックスして仕事をしてもらう必要などない。昨年度もまた自殺者が3万人を超えたんだというこのとき、なにも気軽に仕事などしてもらいたくない。
 服飾評論家の落合正勝さんの本に、ネクタイというのはなんの実用性もない、しかしファッションというのは実用性ではない。そしてネクタイというのは要するに、しゃんとして背筋を伸ばして緊張しなさい、という意味である、というようなことがあった。その通りであろう。かつての江戸時代の日本でも、ネクタイはなかったが、フォーマルな場、たとえば江戸城に登るときにはカミシモをつけていった。あれは強制的に背筋を伸ばすための上着であって、鯨のひげなどで肩を整形し、だらしない姿勢が取れないようになっている。あれと同じだというのである。
 アングロサクソンの生んだ服装だからけしからん、なんていう人は、じゃあカミシモで出勤するべきである。今の日本国はまったくアングロサクソン的な国づくりにならっている国家であって、ある意味で欧米のスタンダードを外す理由は何一つない。アジア諸国で民族服を取り入れている国は、それなりの主張を持っている国である。日本にはそんな資格はないと私は思う。だって今の日本人は、じゃあ日本の民族服たる着物を着て、本当に心地よいのだろうか。たぶん、そうではないと思う。
 「昨年に続いてネクタイをつけて出勤するという40歳代の職員は、「職場では外します。電車で自分だけノーネクタイだと周りの目が気になりますから」なんてのもどうかと思うが。あえていえば、満員の通勤電車の中でこそ外せよ。周りの目で考えることじゃあるまい。通勤では周りの目を気にしてネクタイし、職場ではまた周りの目を気にして外すなんて、この人には主体性というものがなにひとつないんだろう。こんなヤツは最低である。
 実際に、服装なんて強制されたくないものである。軍隊や警察じゃあるまいし、どんなカッコウをしようが勝手であろう。
 堅苦しい格好をしたい自由、というのも当然に認められるべきである。
 私は、学生時代にみんなが学生服の襟元を外すので、一人だけいつでもきちんと締めていた。真面目だから、ではない。制度上は締めるべきだが、実態は外すほうが「非公式の公式」となっているので、それに逆らったのである。学校の制服にはそういう面がある。学校が決めた公式と別に、仲間内の公式があって、だからおもしろいことにどこの高校を見ても確かに「制服」はきちんと「制服」として機能している。学校の正式の既定どおりにはなっていないが、生徒がみんなネクタイをだらしなく緩め、シャツの裾を出して、ズボンを尻まで下げて、あるいは時代遅れなのにまだぐしゃぐしゃのルーズソックスを穿いていたりしてローファーのかかとをつぶして歩いているところでは、その着崩しそのものが仲間内での制服で、学校の規定を守ることのほうが勇気が要る。
 私は学校の強制よりも、仲間内の強制のほうをより一層、憎むにんげんである。そしてルーズであるよりはどちらかというと、何事もクラシックなほうを好む。これは好みの問題である。服装というのも、軍服から派生した堅苦しいもののほうが、好みである。
 もし、夏場はTシャツとジーンズを制服にしよう、と政府が決めたら私は本気でジーンズショップに焼き討ちするね。だって分厚くて重くて窮屈なジーンズとか、見かけだけで実際には着心地が悪く暑苦しいTシャツより、上等で身体にあったスーツのほうが涼しかったり動きやすかったり、軽かったりするわけですよ、実際に。そのへんは本当のことですよ。私はもうここ何年かジーンズというものを穿きません。
 それにです、重要なことは冷房設定を28度にすることであって、服装を改めることじゃないんですが。みんな単にさっきのお役人のように「だらしない格好でリラックスしたい」だけなら、仕事なんてやめちまったらよろしい。小泉さんも去年も今年も「ああ、ネクタイがないと楽ですね」という声を発しているが、あれはいけない。楽だから外すのではいけません。節約のために外してもよくするのでしょう。まあ、あの人は、はっきりいって細身だから格好がついているが、実際はかなり服装センスの悪い人である。冬場の襟元もいつもだらしない。自分の内心のだらしなさをみんなに押し付けないで貰いたいものである。
 おまけに、クールビズ用のシャツの増産のために使われる資源の量は、クールビス効果によるエネルギー節約量よりずっと多い、という話も一方であるのである。
 ・・・それにしても、うちの職場は昼と夜の人数がまるで違う部屋である。朝の夕刊の時間帯には10人もいないが、昼になると40人以上がいる。そして夜勤の時間になると最後までいる20人ぐらいに減る。
 だから、特に夕刊時間帯はうすら寒いぐらいである。夜も肌寒いときがある。結局なにがいちばん暑いかといって人間が多いほど暑苦しいことはない。
 

2006年5月30日(火)
社会保険庁、とかいうお役所がある。年金を集めるためのお役所、だそうである。だけど毎日毎日、例の不正な年金免除手続きの話が広がる一方で、昨日なんかは、もう過半数の都道府県の社会保険事務所が不正をやっていた、とか、全部合わせると11万件、とかいう騒ぎで、もうジャワの地震の被災者数と、こっちの不正件数とが時間をおうごとに増えていって、新聞社なんか大変なんですよ、もう。
 で、です。毎日新聞の解説記事で「改革政権の終わり近くに、同庁の「懲りない体質」が小泉改革の底抜けぶりをあらわにしたため、小泉純一郎首相や川崎二郎厚生労働相も怒りを隠さない」というのがあって、笑えたね。「小泉改革の底抜けぶり」というのがいいやね。ほらみたことか、ですね。だってもう小泉さん、おしまいじゃん。ということで、やっぱりイメージとかかけ声とかパフォーマンスだけで、なんにも変えてないんですよ、ということなんですよ「小泉改革」なんてのはさあ。
 「小泉首相は・・・「社保庁の職員の中に政府の改革に反対している勢力がある」と厳しく批判。自民党役員会でも「政府の改革に反対して既得権益を維持しようという勢力に乗らないよう、党も考えなければいけない」と指示した。だが、同庁も政府の一部。首相の怒りは自己矛盾でしかない」と記事は続く。まったくその通りである。で「保険料を独自財源に抱える厚労省にとっては「社会保険方式の維持」が至上命題。未納が増えて「皆年金」が揺らぎ、「財源は保険料でなく全額税方式にすべきだ」との声が強まることを最も警戒している。今さら皆年金の旗は下ろせないため、無年金者が減り、見かけの納付率が上がる不正免除に手を染めた側面がある」というのもその通りでしょう。なかなか辛口でよろしいですねえこのあたり。
 なにしろ、皆年金、というのが原則なら税務署が税金のように取り立てりゃいいんであって、社保庁なんて役所もいらないし、そんなことならいっそ厚生労働省なんて省も半分ぐらい要らないぜ、という話になりかねない。しかし、十数年さかのぼれば、馬鹿な収賄やり放題で自宅の風呂を業者に命じて大理石にさせた某次官とか、その後もどんどん発覚したアホな勤労者のためのなんとか施設とかかんとか施設とか・・・みんなここの省の独自財源であってここの庁の存続のため、である。
 というか、今や日本国が傾きかけている最大の理由は年金制度の破たんであって、これゆえに未来は暗く、ますます少子高齢化に拍車を駆けているという意味では、この厚生省関係というのはまさに国賊の最たる者、超A級戦犯、である。
 そして、5年も時間をもらっておいて、ついにここの問題を着手するかしないかで退場してしまう某首相・・・彼のやったこと、というかなにもやらなかったこと、の結果はこれからじんわりと出てくるわけでしょう。
 
 

2006年5月29日(月)
今の段階でのいちばん大きな数字というと・・・「AP通信によると、インドネシアのジャワ島中部で、27日午前5時54分(日本時間同日午前7時54分)ごろに発生したマグニチュード(M)6.3の強い地震による死者数は、被災地の現場司令室の調べで、4332人に達した。他方、同国社会省は、死者数は約4600人と発表したが、被災地のうち、1カ所の数字が未確認となっている」(ライブドア)というようなわけで、ほぼ5000人ということでしょう。昨日の項で、ジョグジャカルタの遺跡にも被害があった模様、と書きましたけど、どうもボロブドゥールの損害は軽微、しかしバントゥル寺院というのはかなり崩落があるとかいう話です。が、こっちも全壊するようなことはなく、もっぱら全崩壊してめちゃくちゃになっているのは一般の住宅。とにかく当地では耐震基準なんてなく、一見、鉄骨造りのような家屋でもすごくいい加減なんだと。姉歯の設計のビルでもここでは優秀の部類にはいるかもしれない。というか・・・姉歯の物件というのも、こんな感じで壊れるのかもしれない、有事となると。ヒューザーの小嶋被告が「地震になってから公表すればいいじゃないか」と言ったというが、なるほど、これだけ倒壊してしまえば何がどうだって目立ちはしない。
 日本に置いても、実際の所、最近の建物だからこそ姉歯物件は問題になっているのでありまして、それより古い家や建物はみんな、あれらのマンションより弱い、ということを忘れちゃいけません。有事となればそれはもう、たくさんひっくり返るだろう。
 よって、こういう他国の震災を見て、「あの国はなっちゃいないから、日本は技術の国で地震にもなれているから大丈夫」なんていつもの気休めを言わないことです。
 ◇  ◇  ◇
 朝のNHKやら民放やらのテレビ番組にずいぶんと大物の政治家が出演したらしく、特に森前首相が「森派じゃ安倍さん支持が優勢だね。福田さんと(出馬について)話し合っている人はあまりいない」なんて発言したのは注目されていた。
 で、福田・安倍という図式になっているのは、いくら政治家連中が認めたくなくとも、間違いなく靖国神社、が争点である。国民の声、というのも実のところそこであろう。
 若くて威勢のいい人は、中国とどんどん喧嘩しろ、なんていいがちなんだろうが、冷静になってみて、日本が中国と本当にことぎれとなれば、困るのは要するに日本だけである。アメリカから見ても、そういうことだろう。首相が大統領と個人的に親しくすればOKなんて話はすでに昔話である。アメリカは中国をステークホルダーだと言っている。とにかく基本的には仮想敵国じゃなくて経済共同体だ、ということだ。おまけに、東京裁判史観そのものについては、アメリカとしては中国と同じく戦勝国側であり、A級戦犯なんて認めないのは間違いなく、実際にそう言明している政治家も多い。
 私は前から、小泉さんが中国と喧嘩をしようと思って戦略的にやっているのではないだろうことが、気に入らない。喧嘩するのは別に構わないが、「年に1回、参拝します」というのをこっちで決めてしまって、それをやると非難される、という順序のままではいつまでたっても、日本が非難されるばかりで反撃不能である。
 前にも書いたが、中国が気に入らないことをしでかした時にこそ、日本の首相はこれみよがしに、年に何回でも靖国に参ってやればいいのである。あっちが失敗した時にやるのである。逆に向こうが下出にでてきたときは「行こうと思ったけど、中国の顔を立てていかないことにします」と恩着せがましく発表すればよい。
 マキャベリズムに徹するなら、靖国をさんざん利用すればいい、だが小泉さんは実際にはそこまで考えていなかったとしか思えない。だからこじれるばかりである。
 安倍さんでも福田さんでも、この点はなんか考えなければなるまい。
 ◇  ◇  ◇
 今日は・・・山形屋のスーツが出来ましたぜ。いやあ、いいもんですね。採寸からまるまる1か月かかりましたね。やはりオーダースーツとなるとこのぐらいはかかる。
 しかし、ヨシノヤに発注した妻の注文靴と来たら6月にならないと出来ません。やはりあつらえ物はそれなりに大変なものですね。
 が、まあその、私にしても、妻にしても、体形なり足の形なりが「個性的」な人には確かにいいですな。
 

2006年5月29日(月)
今の段階でのいちばん大きな数字というと・・・「AP通信によると、インドネシアのジャワ島中部で、27日午前5時54分(日本時間同日午前7時54分)ごろに発生したマグニチュード(M)6.3の強い地震による死者数は、被災地の現場司令室の調べで、4332人に達した。他方、同国社会省は、死者数は約4600人と発表したが、被災地のうち、1カ所の数字が未確認となっている」(ライブドア)というようなわけで、ほぼ5000人ということでしょう。昨日の項で、ジョグジャカルタの遺跡にも被害があった模様、と書きましたけど、どうもボロブドゥールの損害は軽微、しかしバントゥル寺院というのはかなり崩落があるとかいう話です。が、こっちも全壊するようなことはなく、もっぱら全崩壊してめちゃくちゃになっているのは一般の住宅。とにかく当地では耐震基準なんてなく、一見、鉄骨造りのような家屋でもすごくいい加減なんだと。姉歯の設計のビルでもここでは優秀の部類にはいるかもしれない。というか・・・姉歯の物件というのも、こんな感じで壊れるのかもしれない、有事となると。ヒューザーの小嶋被告が「地震になってから公表すればいいじゃないか」と言ったというが、なるほど、これだけ倒壊してしまえば何がどうだって目立ちはしない。
 日本に置いても、実際の所、最近の建物だからこそ姉歯物件は問題になっているのでありまして、それより古い家や建物はみんな、あれらのマンションより弱い、ということを忘れちゃいけません。有事となればそれはもう、たくさんひっくり返るだろう。
 よって、こういう他国の震災を見て、「あの国はなっちゃいないから、日本は技術の国で地震にもなれているから大丈夫」なんていつもの気休めを言わないことです。
 ◇  ◇  ◇
 朝のNHKやら民放やらのテレビ番組にずいぶんと大物の政治家が出演したらしく、特に森前首相が「森派じゃ安倍さん支持が優勢だね。福田さんと(出馬について)話し合っている人はあまりいない」なんて発言したのは注目されていた。
 で、福田・安倍という図式になっているのは、いくら政治家連中が認めたくなくとも、間違いなく靖国神社、が争点である。国民の声、というのも実のところそこであろう。
 若くて威勢のいい人は、中国とどんどん喧嘩しろ、なんていいがちなんだろうが、冷静になってみて、日本が中国と本当にことぎれとなれば、困るのは要するに日本だけである。アメリカから見ても、そういうことだろう。首相が大統領と個人的に親しくすればOKなんて話はすでに昔話である。アメリカは中国をステークホルダーだと言っている。とにかく基本的には仮想敵国じゃなくて経済共同体だ、ということだ。おまけに、東京裁判史観そのものについては、アメリカとしては中国と同じく戦勝国側であり、A級戦犯なんて認めないのは間違いなく、実際にそう言明している政治家も多い。
 私は前から、小泉さんが中国と喧嘩をしようと思って戦略的にやっているのではないだろうことが、気に入らない。喧嘩するのは別に構わないが、「年に1回、参拝します」というのをこっちで決めてしまって、それをやると非難される、という順序のままではいつまでたっても、日本が非難されるばかりで反撃不能である。
 前にも書いたが、中国が気に入らないことをしでかした時にこそ、日本の首相はこれみよがしに、年に何回でも靖国に参ってやればいいのである。あっちが失敗した時にやるのである。逆に向こうが下出にでてきたときは「行こうと思ったけど、中国の顔を立てていかないことにします」と恩着せがましく発表すればよい。
 マキャベリズムに徹するなら、靖国をさんざん利用すればいい、だが小泉さんは実際にはそこまで考えていなかったとは思えない。だからこじれるばかりである。
 安倍さんでも福田さんでも、この点はなんか考えなければなるまい。
 ◇  ◇  ◇
 今日は・・・山形屋のスーツが出来ましたぜ。いやあ、いいもんですね。採寸からまるまる1か月かかりましたね。やはりオーダースーツとなるとこのぐらいはかかる。
 しかし、ヨシノヤに発注した妻の注文靴と来たら6月にならないと出来ません。やはりあつらえ物はそれなりに大変なものですね。
 が、まあその、私にしても、妻にしても、体形なり足の形なりが「個性的」な人には確かにいいですな。
 

2006年5月28日(日)
 なんか大騒ぎになって、会社でも大騒動ですわ、もう。「インドネシア・ジャワ島中部で27日朝(日本時間同)発生したマグニチュード(M)6・2の大地震で、同国政府の災害対策本部は同夜、ジョクジャカルタ特別州を中心に少なくとも2914人の死亡が確認されたことを明らかにした。・・・昨年3月28日に1700人以上が死亡したスマトラ島沖地震を上回る大惨事となった」(読売新聞)ということで、うっかり者は「え、あのスマトラ沖地震よりすごい被害なの?」と思うかもしれないが、ここで言っているのは昨年3月のM8・7の余震のほう。本震は一昨年、つまり2004年12月のM9・0で、死者行方不明合わせて23万人、というんでケタが違う。
 しかし、これまでも2000年6月にM7・3、1995年10月にM7・0、前の年にもM6・0と6・4、92年にM7・5、その前にも・・・と挙げていったらきりがない地震大国、それがインドネシアであります。日本も地震大国ですが、この国に比べれば足元にも及びません。
 ついでにいえば、昨年の10月のパキスタン地震、というのももちろん関連があるそうで要するに、インド・オーストラリアプレートというのがユーラシアプレートとぶつかっているところが今、活動期に入っているそうであります。
 つまり、この国の南海岸はまさに地震が起こるべき場所なのであり、ここに住んでいるということは、数年おきにマグニチュード7以上の巨大地震に襲われる、ということ。
 で、今回の6・2はそういう国としてはむしろ、中程度の大したことない地震、ということになるそうです。しかし被害が大きくなった。どうも大地震はスマトラ島に集中していてジャワ島のほうは今まで、あんまり起きてないから油断していたらしい。
 まあ、日本だって、さいきんまで関西には地震がないとか言っていたわけであるから、なんともいえないが。阪神震災の時に中国の人が、東京の友人に被害はなかったか、と心配して連絡してきたという話も無理はない、日本の東京と大阪なんてのは世界規模で見ればまるきり隣町である。
 ジョクジャカルタというのは古都であって、日本で言う京都みたいなところで、周辺には遺跡が多い。ボロブドゥールとか、プランバナンとか。しかし、かなりダメージがあったようである。実際、相当に壊れてしまったものもあるらしい。
 ◇  ◇  ◇
 「秋田県能代市の藤琴川で4月、遺体で見つかった藤里町立藤里小学校4年畠山彩香ちゃんの49日法要が27日、同市内にある母親鈴香さん(33)の実家で営まれた。・・・鈴香さんは、彩香ちゃんについて、警察の担当者から「事件よりも事故の方が救われるでしょう」「ずっとついていたわけじゃないから、(行動が)分からないでしょう」などと言われたと説明。「人の気持ちが分からないのかと思った。私たちは彩香に何があったか知りたいだけ」と、警察への不信感を口にした」(時事通信)なんて話が伝わってきたが、救われるもなにもないように思うんだが・・・要するに秋田の警察、面倒くさかったのね、自分らが。
 おそらく犯人というのは、このときの事件が事故で済まされたモンだから、おもしろくなくて、今度ははっきり他殺と分かるような事件を起こしたんだろう。
 警察といっても、要するにたんなるお役人なんだよね今時の雰囲気は。
 

2006年5月27日(土)
前から書いてますが、私も宿直や夜勤の多い仕事ですので、仮眠して翌日明けで勤務、というような職業の人には同情的なところがあるんですが(結局、仕事場で仮眠しても決して熟睡できませんよ、あれは。翌日にはどっと疲労が蓄積してます)しかし、したのような場合はどうなんだか。
「神戸市の駐車場で大工の男が元交際相手の少女(16)を刺殺した事件で、男が刺した直後、自首しようと神戸西署の交番へ行ったのに、3人いた当直警官が見逃し、現場に戻って再び少女を刺したことが26日、兵庫県公安委員会に対する県警の説明で分かった。・・・「来訪者を確認しようと事務室に出た時は誰もいなかった。仮眠時間中で、事務室にいなくてもやむを得なかった。問題はない」としているが、対応を疑問視する声も出そうだ。・・・被告は、自首しようと・・・交番へ行き「すみません」と声を掛けた。警官は3人いたが、2人は2階の仮眠室におり、1人は奥の部屋で残務整理中で職務質問できず、河本被告の身柄を確保できなかった」(共同通信)というんですが、納得いきますかね。
 これ、被告人にとっても、もしここで逮捕されれば犯罪行為をここまで犯さないですんだ可能性が高い。殺人まで行かないですんだかもしれないし、もし仮に被害者が命が助かって、本人が自主となればこの時点で相当に軽くすんだ可能性もある。誰もいなかったんで頭にきて、ますますやらかしたんじゃなかろうか。
 まあ、お巡りさんにもいろいろ事情があるんだろうけど、なんていうのかしら、3人もいたのに実際にはなんにも出来ませんという態勢じゃ、宿直なんかしてもらっても意味ないんですけど。しかも、そこの交番の周辺で、そんな殺人事件なんて、ここ何十年で最大の事件なんじゃないの恐らく? そのときに機能しなかったんなら、意味ないってことですよ。お巡りさんに宿直手当は出るんでしょう? お金もったいないし、本人たちもつらいだろうからやめてしまえば、という話になりますね。
 はっきりいって、フツーの職業と同じような甘い感覚で宿直しているんじゃ意味ないわけですよこういう場合。じゃあ、警察じゃなくて軍隊だったらどうか。最前線の監視所で、敵の攻撃に気がつかないで寝ていました、一人はいましたけど書類整理が忙しくて気がつきませんでした、なんていい訳が通用するだろうか。
 同じ交番でも、たとえば新宿みたいな不夜城の交番だったら、睡眠時間なんで対応できませんでした、とは言わないだろうし、通らないだろう。ほかの事件で出払っていて対応できませんでした、というのはあるかもしれないですが。
 緊張感が維持できないのなら、フツーの家庭の主婦やサラリーマンを宿直させておいても同じじゃないですかね。
 ◇  ◇  ◇ 
 昨日、東京駅丸の内北口のOazoに行ってきました。というか、もうここで出来て随分たつんだけど、なんとなく今まではご縁がなかった。丸善に行きたくなって、行く気になったんですが・・・さすがに充実の洋書で、驚いたデスね。「ヒトラー最期の十二日間」のドイツ語版フィルムブックというのがすごかった。映画の台詞のドイツ語が全部、書かれている。未公開写真に、役者さんのインタビューもあってもちろんオール・ドイツ語。迷わず買いました。それから、「V フォー・ヴェンデッタ」の原作コミックもあった。そのほかに「イタリア軍入門」とか「ドイツ海軍の重巡洋艦」「ドイツの蒸気機関車」とかおかしな本ばかり買いあさって・・・にしてもマニアックな本がありますね、それから5,6階のレストラン街に行ったが・・・なんだよ、これだけ時間が立っているのにまだこんなに人がいるのかというぐらい混んでいる。
 しょうがないので八重洲の地下街に出て、ありふれた五右衛門のパスタを食らって帰りました。疲労しました。本屋って疲れますよね。

2006年5月26日(金)
なんでも、教員免許の更新制度というのが本決まりになりそうだ。いろいろ報道によれば、要するに免許を10年更新にして、大学で30時間ほど講習を受けて、更新することになるんだというのですが、それで、現役の教員は免除すべきだ、という案が強かったのだけど、文科省の諮問機関の作業部会で、現役教員も対象にする、という話になって、この線で話が進みそうだという。
 というか、はっきりいって現役教師に適用しないんならなんのための更新制度なのか、訳が分からないですね。
 で、たとえば私みたいな「ペーパードライバー」の教員免許は、当然ながら更新しなきゃいけないんでしょうね、維持したければ。しかし30時間って結構な負担ですよね。
 今は使っていないけど、将来、転職したいとか、そういう人もいると思いますが。私なんかも二度とはとれないんだから、維持したほうがいいかな、とは思います。その点については、また報道によっては一度、失効しても更新講習を受ければまた新たに更新できるようにするとか、そういう柔軟な制度も検討しているとか。
 ま、なんにしても「問題教師を失格させるための制度ではない」と一応、説明しているらしいのが嘘くさいというか、はっきりいって問題教師を失格させるために活用してくれないと、ぜんぜんこんな制度はみんなが面倒くさくなるだけで、意味がないと思う。
 そんな座学を30時間ほどやろうがやるまいが、本質的に無能な人の指導力が上がるわけがないでしょう。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば、行政改革推進法、というのが決まりました。公務員の純減とか、特別会計の整理とか、一応の内容ですけど、野党がいっていた天下りの規制なんかは結局入っていないようです。それに、例によって、この法律の結果が現れるのは2015年のこと、であります。小泉純一郎なんてすでに影も形もなく、ひょっとして生きているかどうかも分かりません。
 10年もあれば、どんな制度も形骸化して自分らの利得につなげることにたけたお役人達がよってたかって、有名無実化することはほぼ間違いないでしょう。
 昨年の9月に自民党に投票した人ほど、この成り行きをちゃんと監視する義務があると思いますけどね。
 それに、こういう道筋が出来た、ということは、今後、政府の歳出削減はこの線でやりますよ、ということですから、これ以上は努力しません、という意味でもあります。
 つまり、これ以上の赤字は増税で埋めますよ、国民のみなさん、そのへんよろしくね、という意味合いでもあります。
 そのへん、わからない感度の人は今後は選挙なんか行かないでいいです。
 

2006年5月25日(木)
ということで、ゆうべは話題作の映画「ダ・ヴィンチ・コード」を見てきました。原作のダン・ブラウンの小説がなんと5000万部も売れたとか、鳴り物入りで映画化したけどカンヌ映画祭の試写会ではものすごく不評だったとか・・・とにかく、話題作、という意味では近頃でも最大級の一作でしょう。その、カンヌの専門家筋にはものすごく不評だった、というのがかえって興味をそそって、普通なら「話題作」というものはそれだけで敬遠する私も、「そんなに言われるのなら、どのぐらいつまらないんだろう」という妙な期待感を持って見に行ったわけです。
 で、一言で総括するなら、「なんだ、エンターテイメントとしてはすごく面白い映画じゃないか」ということになります。面白いです、モンクなし。2時間40分の長さですが、最初から最後までぐいぐい引っ張ってくれますので、だれる、とか退屈するとか言う心配は一切なし。それは娯楽映画としてはきわめて重要なことなので、その点では見事に合格点の映画と思いました。特にめくるめくようなどんでん返し、こういう作品ではお約束の裏切りに次ぐ裏切りと言った要素では、それは原作がよく出来ているということでしょうが、見事なものです。プロットの面白さを堪能できます。
 が、歴史ミステリーというイメージで、なにかびっくりするような要素とか、深みとか、考えさせられるような部分、重くて心を揺さぶるようなもの、を期待する人。そういう方からするとかなり軽量というか、まったくそういう点では薄味の作品です。要するに肩の凝らない娯楽作品であって、それ以上の要素は全くないです。
 つまり、「ダ・ヴィンチ・コード」なんて謎めいた題名とか、歴史物といったイメージや、おどろおどろしい予告編から、たとえば言語学者のウンベルト・エーコが原作を書いた「薔薇の名前」みたいなものを予想してしまいがちじゃないでしょうか。私も、今回は原作を読まないでいきなり映画を見たので、そういう重厚な作品なのかと思った。
 しかし、見た後の印象で言うと、シドニー・シェルダンの小説とか、あるいは映画で言えば、肩の凝らない娯楽作品だけど歴史まがいの謎解きの要素がふんだんにあった「ナショナル・トレジャー」のテイストにそっくりです。まあ、ちょっと重々しい味付けのナショナル・トレジャーと思って正解です。あの映画が面白かった人は迷わず見るべし。
 出演陣は好演していて、キャスティングもいろいろ批判もあるみたいだけど、見てみると悪くないと思う。トム・ハンクスは案外に行動派の学者、という感じに見えるし、オドレイ・トゥトゥはフランス警察の捜査官、という風には見えないけどハリウッド色がない本当にフランス人の女優さんなので新鮮、そして快演というか怪演、といえるのがガンダルフことイアン・マッケラン。刑事役のジャン・レノはまあ、あんなものかな。で、レノの部下の妙になまったフランス語の刑事が、なんとユルゲン・プロホノフ。あのウォルフガング・ペーターゼンの出世作「U・ボート」で艦長やってた彼です。なんでドイツ人? 原作ではそういう設定なんでしょうか。
 すでに、さんざん言われていることなので、ネタバレと言われる恐れはないだろうから書きますが、要するにイエス・キリストは生前にマグダラのマリア(聖母マリアじゃなくて、イエスに最後まで従った女性の一番弟子みたいな人ですね)と結婚していて、子供もいたのだ、というのが基本の筋です。で、その子孫は今でも続いており、そのことは教会関係者には公然の秘密だったのだが、特に教会の権威を守りたい坊主たちと、それから救世主の子孫の存在を公表して教会の権威を失墜させたい勢力があって、その暗闘に主人公たちが巻き込まれていく、というのが基本の話です。
 で、映画の予告にもさんざん出てきてますが、冒頭というのはルーブル美術館の館長のジイサンが、妙な暗殺者に狙撃されて、血まみれになりながら、ダ・ヴィンチの有名な人体図の形になぞらえて、わざわざ素っ裸になって、胸に血で星を描いたり、自分の体のサイズの円を描いたりして、そこで事切れているというシーンで始まるのですが・・・まあ、この点だけで言わせて貰うと、どんどん失血している状態で、そんなアホなことをしている余裕がよくあったな、と。なにしろ館内のあちこちにあるダ・ヴィンチの作品の周辺にまで暗号を残しているのです。あれだけ余裕があったのなら、救急車呼んで、助かればよかったのに、としか思えません。ジイサンが助かっていれば後の面倒な話もありません。おそらく原作で文章で読む分にはそんなにヘンじゃないのでしょうが、ああやって映像化して再現するとものすごく不自然です。
 暗殺者、というのも、まあ狙撃のプロじゃないのかもしれないが、わりと至近から拳銃を撃って、ジイサンの止めをさせないなんてどうも理解に苦しみます。
 その他、真面目に考えると突っ込みどころ満載で、アホな、と思われることが非常に多いですが、監督も製作者も、原作者も「これは娯楽作品で宗教論争なんてまったく狙ってないです」というとおりで、ぜんぜん、そんな次元の話じゃないことが分かってまいります。実際、熱心な信者の方など、このぐらいのものであまり本気になって怒らないほうがいいんじゃないか、と思う。ま、実のところ、キリストに子孫がいたからって、実際のカトリック教会からすると痛くも痒くもないし、マグダラのマリアを崇拝するような意識も、ヨーロッパじゃ、ことにダ・ヴィンチのルネサンス期には珍しくもなんともない発想。いってみればカトリックの教養がないアメリカ人が考えた与太話、というのが実相で、そのあたりを特に舞台にされたフランス人が不快に思っているのは間違いない。よく日本を舞台にした映画で芸者や相撲取りがやたら出てくる馬鹿げたシーンを見ると、不快になりますけど、ああいうのと同じような次元でしょう。
 なんでも教会関係者なんかが本気でボイコット運動を起こしたりしてるそうですが,本気でネガティブキャンペーンを張るほどの作品じゃないような。まあ、ちょっと日本人には分からないのかもしれませんが。確かにね、映画って、常識や教養のある人ばかりが見るわけじゃなくて、かなりのお馬鹿さんも見るわけで、そして、映画に出てくる与太話を全部、無批判に真に受けたりしがちなので、確かにそのへん危惧があるんでしょうが。それでなくともなんでもヴァチカンの陰謀にしたがるオカルトマニアはいますから。
 ことに、オプス・デイという教団というか結社が出てきて、作品ではここが暗殺者を使っていることになっているんですが、オプス・デイという団体は実在するんですってね。ニュースで、そこの広報関係者が激怒してましたが、そりゃ怒るよな。ああいう具合にどこまでが実在してどこからが嘘か、というのがはっきりしない内容なのは確かで、そのへんが単純な娯楽作品なのに、まともに批判を受けている部分なんでしょう。はっきりいって話題作りのためにわざと、あることとないことをあいまいにしている感じは確かにある。
 ついでにいえば、モナリザもダ・ヴィンチも、小説の表紙とかキャンペーンでは大々的に取り上げられてこの作品のイメージ作りに強い影響を与えており、確かにそのおかげでこれだけヒットしたようなものですが、実は本筋の謎解きにはあまり関係ないです。「最後の晩餐」の謎解き、ぐらいしか出てきません。そのへんちょっとずるいかも。
 でまあ、最後のほうはかなりしりずぼみな印象・・・え、こんだけの話なの、という。これも小説なら盛り上がるのかもしれない。少なくとも絵として見せると、かなりしょぼい感じがあります。
 とまあ、どっちかいうと、問題点のほうを書いてしまいましたが、実際、娯楽作品として見ると、最近のなかでも上々の一作でして、見て損はなし。よく映画系のサイトやブログじゃ星で採点をしてますが、私としては娯楽度☆4・5、ミステリー度☆4、知的満足度が☆1・5ぐらいですかね。おっとこれじゃ、総合点では☆5点満点で3・3点か。
 なんか話題になった者勝ち、という意味ではワールドワイド版「セカチュー」という感じも・・・。

2006年5月24日(水)
 ほお。「耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部が総合経営研究所(総研、東京都千代田区)の内河健所長(72)を任意で事情聴取したことが24日、分かった。総研は奈良市のビジネスホテル「サンホテル奈良」を開業指導。・・・木村建設・・・が偽装を知りながら代金を受け取ったとして詐欺容疑で逮捕されており、捜査本部は総研の関与があったかどうか、経緯などを聴いたとみられる」(時事通信)そうですけど、どうなんですか。
 結局、ドイツから安上がりの工法を導入して東南アジアで部品を調達して、安上がりの物件をぶったてる、という建築界のマクドナルド、ユニクロをやったのが内河氏なんだろう。木村とか姉歯とかいうのはその付随品だし、ある意味で建築確認の世界で手抜き、デフレのファストフード確認をやっていたイー・ホームズなんかも同じアナの狢であるのだろう。ほかの食品とか消耗品とかは、景気回復でそういう安かろう悪かろうのデフレ戦略は時代遅れになって、今ではちょい高い手作り物とか一品物がうける時代となったが、家や、ましてホテルとなると元々のお値段が違うから、安いものへの需要はなくならない、それでこういう人がつい最近まで大儲けできたんだが・・・とにかく、家というのは安けりゃいいもんじゃないからなあ、それこそ。
 ◇  ◇  ◇
 子供をウサ晴らしに殺すとか、ろくでもない事件が続いている。とんでもない時代になったモンです。佐賀の轢き逃げ野郎もいまだつかまらない。さっき、容疑者を取り逃した地元警察署の前から中継していたが、記者の後ろをピンク色の割烹着のおばさんが、大きなスチロールの箱を抱えて全速力で走って行ったのが印象的だった。おそらく、署が出前で取ったなにかの食器を回収に来て、はからずも全国中継に映ってしまったおばさんであろう。緊張して話す記者とおよぼ場違いのコントラストで、しかしおそらく場違いなのは記者の方なんだろう。
 また、仙台でもなにかあったそうで。「仙台市宮城野区苦竹1丁目のマンションで23日に起きた小学4年女児(9つ)の転落死で、女児の通う宮城野区の学校の関係者は、突然の悲報に驚きを隠せないでいた。・・・24日から予定していた修学旅行も延期を決めた」(河北新報)というが、実際のところ、普通ならただの事故死で終わったろうが、こういう時期ではそれは通らないわけですね。
 普通、よほど事件や事故がない限り、自分の学校で死者が出るなんてかなりの非常時であって、私の経験でも幼稚園から大学までの20年近くで、同級生で水死者が一人出た記憶があるだけだ。
 本当に近所の子供が外で遊ばなくなった。まったくよいことですが(ったく、うるせええんだよ、いつもいつもくっだらない遊びしやがって)しかし不健全な理由では決して喜べない話ではある。回覧が回ってきて、近所の小学校が「こういう状況にかんがみ、学校の周囲をフェンスで覆い門扉を設置しますので、今後は周辺住民は通り抜け出来なくなります」というのが書いてあった。なんと、いまだにそこの学校は出入り自由だったらしい。平和ボケもきわまれりである。大阪の事件からこれだけ時間が立っているのに、近所の小学校がいまだにフェンスも門もなかったというのに驚いた。
 ◇  ◇  ◇
 損保ジャパンの偽造契約、つまりお客さんに無断で委託扱いの生保の契約して偽造の印鑑を押して、お金も職員が自腹で払って偽契約で成績を伸ばしていた、なんて話があった。業務改善命令を受けたようであります。しかし、保険業界じゃ、引き出しからいろいろな名前の三文判がごろごろ出てくるなんて、当然の話だったように思うが・・・まあ二十年ぐらい前には。バブルぐらいまでのいけいけどんどんの時代には、そんなことは問題にもならなかった。しかしノルマのなる営業の世界じゃ、自分で商品を購入してノルマを水増し達成するなんて、そんなに珍しくもないのじゃないか。損保会社の場合、生命保険を扱いなれていないので今頃そんな下手糞な手口がばれたんだろう。最近の生保がどうなっているのかは知らない。
 そんなよりも、社会保険事務所が毎回、調査の直前に保険支払い免除者を増やして、回収率を水増ししていた、なんて話のほうが悪質である。
 しかもどこの事務所でも毎回、やっていたという。そもそも、支払いの問題があるときにベースになる数字に嘘があってはどうにもなるまい。

2006年5月22日(月)
ひどい奴もいるもんだなあ、と思っていたが「佐賀県唐津市立厳木(きゅうらぎ)小広川分校5年の家原毅君(11)がひき逃げ、放置された事件で、同県警は、・・・ひき逃げ現場に散乱していた車のウインカーの破片などから浮かんだ男が事件にかかわった疑いが強いとし、22日深夜にもこの男を指名手配する。県警は男が乗っていた大型トラックを押収した。県警によると、男は唐津市内の建設会社に勤めており、50歳代」だそうだ。
 交通事故を起こした後、面倒くさいので被害者を乗せてとどめを刺し、どこかに埋めてしまった、みたいな筋のミステリーはあるが、本当にやる奴がいるようである。
 こういう手合いは、普通のひき逃げですかね、児童略取とかほかの罪名も入ってきますかね。
 ◇  ◇  ◇
 秋田の連続?児童殺人事件のほうも、かなり凄惨なみたいですね。毎日新聞によれば、首を絞められた被害者は激しく出血しているそうである。それを毛布に包んで運んだようだけど・・・身近な人間の犯行、とずっと言われているが本当にそうか。
 というのも、暇をもてあましているような人間はたくさんおり、そういう人間が犯罪をやるとなれば、地元の人間もそこのけの「土地鑑」はできるんじゃないか。
 子どもを扱いなれている奴かもしれないしね。栃木の女の子の場合も「目がきれいなお兄ちゃん」なる人物がいたとかいないとか、つまり前から接触してたら容易に連れ出せますねおそらく。
 妙なたとえだが、空き巣のプロにかかると、番犬だって何日かかければ手なずけるのは容易だから、犬がいるからと言って防犯を手抜きしているといけない、という話がありますね。数日前から餌など与えてすっかり犬と仲良くなってから、犯行に及べばいい、という。
 ◇  ◇  ◇
 なんかここ数日、近所の騒がしいガキどもが遊んでいない。ひょっとして学校から外で遊ぶなという通達でも出ているのか。本当に子ども狙いの犯罪が多いですね。しかし、あいつらは永遠に外で遊ばなくてよろしい。
 ◇  ◇  ◇
 と思えば、学校で教師の給食に睡眠薬をいれようとした生徒とか、学校が面白くないといってガラスを割って歩いた女の子3人組とか・・・いろいろあります。給食になんか入れるなんてそもそも、今までもあったろうけど薬を持ち出すあたりはなかなか今時か。昔の軍隊の「ふけ飯」を思い出しましたが。嫌な上官のご飯にふけを落として、食中毒を狙うという手口ですね。恐ろしや。嫌な上司のお茶にぞうきんを絞るOL」なんて話もあるとかないとかね。
 


2006年5月22日(月)
相撲なんて最近はまるで分からなくなっているんだが・・・はっきりいって若貴がいなくなってからは、もう誰がいるのかろくに分からなかったりするが、21歳の新大関・白鵬が優勝した、という話はさすがに伝わってきた(って、どこに住んでいるんだ自分)。
 まーたモンゴル人か、とか、またこの人の父親はモンゴル相撲の大横綱だそうだから、まーたそういう人か、とかいろいろ先入観を持ってしまうが、実はそんなに順調単純な図式じゃなかったらしい。6年前に旭鷲山がモンゴルから少年6人を招いたが、この白鵬だけはぜんぜん引き受けてくれる部屋がなかったという。というのも、そのころの彼は15歳だったが、身長175センチで68キロ。相当に虚弱だったのだという。
 で、もう帰国するという寸前になって、旭鷲山が師匠に懇願し、その友人の宮城野親方に話をつけてくれた、というのが入門までの経緯らしい。
 が、宮城野親方も、こんなやせっぽちじゃ役に立たないかな、と思ったのが本音だそうでしかし、親方自身も小兵で29歳でやっと入幕(元前頭・竹葉山)ということで、こんな奴でも新弟子検査さえ受ければなんとかなるかも、と思って引き受けた・・・それがここまで成長したのだから、親方はお喜びだろう・・・と思ったところ、なんと宮城野親方というのが実は2年前に代わっているらしいからややこしい。
 白鵬を育ててくれた元竹葉山の宮城野親方は、89年に先代が亡くなったために部屋の師匠となったが、2年前になって、その先代の娘というのが、なぜか北の湖部屋の元十両・金親と結婚して婿取り、ということでこのよそからやってきた若い者が突如、宮城野親方に収まってしまって、竹葉山のほうは師匠を降りて、部屋付き親方に・・・まあ、左遷である。ちょっと気の毒な話である。
 で、そんな状況でも元宮城野親方(今は熊ヶ谷親方という)は後進の指導にあたっているのだという。たいした人だ。
 なにしろ、白鵬が大関を受ける晴れの席でも、師匠として出てきたのは新親方のほうであるから、先代は忘れられてしまっていたわけだ。
 が、さすがに今回の優勝で、先代の功績がクローズアップされているようだ。今日の読売新聞の二面の「顔」というところで取り上げている。
 ◇  ◇  ◇
 共同の記事で「昭島署は21日、ワゴン車を運転中に歩行者をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして・・・石田直人容疑者(30)を逮捕した。石田容疑者は「仕事を終え帰る途中、約80キロで走行していた。カーナビでテレビを見ていたら音がして気付いた。怖くなって逃げた」と供述しているという」というのを見かけた。前から言っているが、カーナビでDVDが見られるというの、あれなんとか規制できないのか。ケータイのながら通話より100倍危険だと思う。
 というか、DVDが見られるカーナビを作るメーカーはいけないのじゃないだろうか。技術的に出来るのはわかるんだが、あれで事故が起きない方がおかしい。さいきん、電話しているやつはさすがに減ったが、おかしなふらふら運転、しかし酔っぱらい程じゃなさそう、と思うとたいてい、そいつの運転席ではカーナビで映画か何かが上映されているのである・・・。
 ◇  ◇  ◇
 「移民対策法案の審議が続く米議会で、これまで法的な位置付けがなかった英語を「国語」にしようとする動きが広がり、スペイン語を話す中南米系市民(ヒスパニック)から反発の声が上がるなど、賛否両論が巻き起こっている。・・・米国では州によって英語を公用語に指定しているが、連邦レベルで法的な規定はなく「事実上の公用語」となっている」
(共同通信)なんて話もあるが、そうか、アメリカには国としての公用語はないのだな。移民がいなくなると成り立たない国だから、そのへん緩かったわけだ。ただし州ごとに27州が州の公用語として英語を認定しているとか。ただ、英語以外の言語も認めている州もあるようである。また、アリゾナ州が英語のみを公用語としようとしたとき、最高裁が違憲判決を出しているという。
 日本じゃどうか。もちろん公用語というのを決めてはいない。基本的に日本語でぜんぶ通る国だからである。ただ、裁判所法というのでは、裁判では日本語を使うように決めている。英語公用語化論を言う人がいるが、たとえば裁判員制度なんかで裁判に巻き込まれた場合でも、自分も英語で議論できないといけないし、誰かが私は英語で通したいといえば拒否できません。あまり軽々しくこういうことを言い出してほしくないもんです。
 おかしな話であるが、グローバルスタンダードの決め手は英語とITのはずだった。こんなに短い間にそれが揺らぐとは。アメリカ(ことに白人)の勝利、なんてなんと浅はかな夢だったことか。イラクも「本格政府」とやらが成立した・・・というのだが、選挙から半年もたっている。あれでうまくいったら拍手喝采、である。おそらく、シーア派、スンニ派、クルド国家が分裂してやがて三国になっちまうだろう。シーア派はイランとくっついてしまうであろう。
 これがイラク戦争の結末なら、完全にアメリカの敗北、である。
 

2006年5月21日(日)
 スポーツニッポンによると「テレビ朝日系の子供向け番組「轟轟戦隊ボウケンジャー」に出演中の俳優、多田久聖介(ただひさ・きよすけ)さん(23)が20日午前4時20分ごろ、東京都日野市の国道20号交差点でオートバイ(250CC)を運転中、右折してきた乗用車と衝突。多田久さんは全身を強く打って間もなく死亡した。・・・番組を制作している東映によると、多田久さんは午前6時からの撮影に向かう途中だったという」ということで、おや、それでは重要な役どころの人か、と思いちょっと調べてみたが、ボウケンジャーの主なキャストは次のようなものらしい。「出演者 明石暁:高橋光臣 伊能墨:齋藤ヤスカ 最上蒼太:三上真史 間宮菜月:中村知世 西堀さくら:末永遥 牧野森男:斉木しげる ミスター・ボイス(声):田中信夫 ナレーション&アクセルラーの音声:太田真一郎 大神官ガジャ:大高洋夫 リュウオーン(声):森田順平 竜人兵ジャリュウ(声):西脇保 風のシズカ:山崎真実 闇のヤイバ(声):黒田崇矢 幻のゲッコウ(声):銀河万丈 」わかりづらいが、明石なんとかとか、伊能なんとかいうのが役名で、その後のが役者さんの名前である。
 こうして見ると、とりあえず亡くなった方はメインキャストの人ではないらしい。さらに調べたところ、多田久さんはジャパンアクションエンタープライス所属で、1980年1月山口県生まれのアクション俳優さんだったらしい。
 私は東映戦隊ものにそれほど熱い思い入れはないのだが、なんでもボウケンジャーで30周年なんだというから驚きである・・・世代的には私も適合するのだけど、というのは初代の秘密戦隊ゴレンジャー当時、私は8、9歳である。ただ、そろそろこの年齢だと私はもうちょっと大人向けのものになんでも興味を持ち始めたので、・・・そう、このぐらいの年齢から三国志とか平家物語、太閤記、なんて史実の軍記に興味を抱き始めたのであります。そして、小学3,4年ごろにいたく憧れたのが三国志で言うと曹操でしたから。で、権謀術数という言葉を覚えた(!)。で、教師の横暴を説く同級生に「教師などという者は権力だから。対抗するのでなくもっと利用するべきだ」などと諭し始めた時期ですから(これ本当)そろそろこの手の番組は卒業だった。印象深いのも子供向け番組より「風と雲と虹と」みたいなNHKの大河ドラマになってきたりします。自分的には5、6歳当時に流行したウルトラマンとか仮面ライダー、ライオン丸、キカイダー、それにアニメで言うとマジンガーシリーズやガッチャマン、もうちょっと後でライディーン、そしてヤマト、なんてものは非常に懐かしいけど、ゴレンジャーはなぜかさほど惹かれなかった。とはいうものの、それでもアオレンジャーやキレンジャーのプラモデル(おそらくバンダイ製)は作った覚えがありますなあ・・・。
 それはそうと、かつて時空戦隊タイムレンジャーというのが・・・かれこれあれも10年ぐらいたちますかね。あれが内容的にも、それからテーマ音楽なんかも大人向けで、大人の週刊誌にもしばしば取り上げられたりして、かなり評判をとりました。
 で、その当時、うちの会社のキャンペーンで後楽園ゆうえんちと提携して、そのタイムレンジャーショーにわが社のキャラクターが出演する、というのをやったことがあります。そんなわけで、お子さん方に交じって、冬のさなか、トレンチコートをまとったオジサン一人タイムレンジャーショーを一日三回、三日にわたって見物した。これ、ちゃんとやってるかどうか見聞する立派な仕事ですから。
 しかし、あんだけ見てるとすっかり覚えてしまって、しまいにはタイムレンジャーそのものにかなりはまってしまいました、当時。カラオケでテーマ曲歌ったりしてね。相当なヘヴィメタ調のとても子供が一緒になって歌えるような代物じゃない曲でした。
 毎回毎回、難しい演技をこなす役者さんたちにもいたく感動しました。ちょっとでも気を抜けば大怪我でしょう。特に舞台そばを走るジェットコースターの先頭車両に仁王立ちになって決めポーズするレッド、という場面は何度見ても驚かされました。
 あれから10年ですから、お子さん方も今や高校生とか大学生だろうし、出演者の皆さんも代わっているでしょう。なくなった多田久さんもああいうショーに出ておられたかもしれません。そもそも危険なアクションが仕事ですが、こういう最期は無念でしょう。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、調べていたら、今回のボウケンジャーというのはトレジャーハンターがテーマなのだそうで、役名のつけ方も冒険家とか、秘密諜報員を連想させる名前、なんだとか。さっきの出演リストを見直せば、明石、というのは旧日本軍の日露戦争当時の工作員・明石元二郎大佐から、伊能は日本地図の伊能忠敬、最上は探検家の最上徳内、間宮は探検家の間宮林蔵・・・などと随分と古めかしいところからネーミングしているのだとか。子供には分からないかしら・・・いや、マニアックに調べる子供にはいい勉強になるかもしれません。じゃあその伊能忠敬ってどんな人、と調べる子供が出てきますからね。
 しかし、戦隊物って今でも日曜の朝ですか、放映? それじゃあ今の勤務では私には見られませんけどねえ・・・。

2006年5月20日(土)
ちょっとした台風一過、ですね。今現在、やたら晴れています。
 ところで、おしゃれは靴から金をかける、とよくいう。まず靴に投資、それから生地のいい紺地のネクタイ、スーツは最後でいい、と。スーツというのは消耗品で、さほどのものじゃなくとも着まわす数を持っているほうが正解で、やたら高いものを一張羅で着ているのはかえってセンスが悪いそうだ。
 今年はクールビズが定着するだろうから、してみると前にも書いたがネクタイじゃ誤魔化せないので、高くなくともそれなりのデザインのワイシャツと、ある程度の値段のそれなりの靴、というのがますます重要なんじゃないかしら。
 それで、靴を何足か揃えてみると、黒と茶色でそれぞれに応じた小物、ベルトとか、あと革バンドの時計、というのも欲しくなってくるものだ。そろっているとやっぱりそれなりにきまる。
 私は軍用の時計以外にはさほど高級時計が欲しいという欲求は強くなく、ただ今のような流れで、茶色だとそもそもカジュアルにくだけた方向性なので、茶色の革の軍用時計ハンハルトでばっちりなのだが、黒の場合、軍用のラコだけではちょっと不足、もうちょっと小さくて薄いドレス系の時計もあるといいな、と思っていた。
 ま、スカーゲンの時計みたいな感じ、だ。
 が、先日、舞浜のイクスピアリの時計店アルキメデス・スパイラルで、ずいぶんと風変わりな時計を見つけた。黒革バンドだし、小さい。そして「手作り、世界で一点のみのハンドメイド時計」なんだという。「渡辺工房」というブランドだ。
http://www.cast-planning.com/hyousi.htm
 驚くほど軽い。こんなに軽い時計はこれまで知らない。針はちょっとハンハルトの時計のデザインに似ている。ケースは純銀製だそうで、鈍い輝きがステンレスの時計とは違う。精巧さを売り物にしているのではなく、なんとも味わいがある。しかも、単価は2万円しないというのも嬉しい。ということで、これを一つ買った。ケース裏には手書きのシリアルナンバーや、どこで販売したものかが刻印されている。この商品には「在庫」というものがないのだそうだ。なにしろ全部一点限りだから。だから、どこの店で売ったどの時計、という記録が全部、工房にも残っているのだそうだ。
 面白いものを買った、と喜んでいる。
 ◇  ◇  ◇
 北朝鮮がドテポン、じゃなくてテポドン2号の発射準備中、なんて話が伝わった。ところでこのドテポン、じゃないテポドンというのは、前の型のノドンの上に、スカッドミサイルを継ぎ足したという、まさに即製兵器の見本のようなものらしい。だから、燃料も60年も前の大戦中のドイツ軍のV2ミサイルからぜんぜん進化してない液体燃料(訂正・昨日うろおぼえでスカッドは固形燃料のように書きましたが読者のご指摘により調べたところ、スカッドも液体燃料。先に「人工衛星?」として騒がれた三段目が固形燃料だったらしい。というかそもそもノドンからしてスカッドの派生型。さらに、本当のところスカッドの技術はもろにV2ならしい。まさに60年前の技術のままなのである)・・・というか、悪いけれど、かなりいい加減なものといえばいえる。ではあるけど、6000キロ以上、飛ぶことは飛べるらしいので、・・・まあ少なくとも旧日本軍の風船爆弾よりはずっと脅威であろう。
 これに搭載できる核兵器、なんてのもまだまだ夢のまた夢レベルらしい。大陸間弾道弾てのはそんなに簡単な兵器じゃないそうである。
 要は、何で今頃、こんなものを持ち出すのかである。あの国も相当にガッタガタなのは間違いなく、朝鮮総連が民団と慌てて「手打ち」なんてのも、焦りがあるのは間違いなく、とにもかくにも「金王朝」が維持できるのかできないのか、あっちの国の幹部の頭の中はそればかりであろう。
 さすがにドテポン砲ぐらいで日本人も騒がなくなったし、本当に実害があったらそりゃもうあの国は命取りだし。どうもなにを考えているのか。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば、横田早紀江さんから、「小泉さんもブッシュ大統領の半分でも本気になって北朝鮮に意思表示してくれればいいのに」と怒られて、「横田ご夫妻には頭が下がります」とそんなことを小泉さんが言ったようである。だから、そういうことじゃなくて、意思表示しろと怒られてるんだけど。ま、そのへんは次の人がやるから、もういいのか。そうなんだろうな。
 ◇  ◇  ◇
 決算発表が相次いでいるが、「下着訪問販売のシャルレが、6月28日の株主総会で退任する創業者、林宏子会長に退職慰労金8億9500万円を支払うことが20日、分かった。支払いで2007年3月期決算に7億7700万円の特別損失を計上するため連結純損失は4億4000万円と3年連続の赤字に陥る見通しだ」(共同通信)という。手切れ金としては安いものなのかもしれないけど、個人への支払いで赤字、それも3年連続というんじゃ、ここの株主はどんな人たちか知らないが、通るんでしょうか。ま、創業者がいちばん偉いのは確かでしょうが。

2006年5月19日(金)
こんな記事を見かけました。「野岩鉄道(栃木県日光市)の車掌(30)が酒気帯び状態で乗車勤務していたことがわかった。同社は16日付で車掌を最低職位への降格としたほか、駅長ら3人を減給1か月などとする懲戒処分を行った。・・・前夜に日本酒2合を飲み、寝て起きた後、午前9時24分発会津田島駅発浅草行き電車に乗車した。・・・乗客から「車掌が酒のにおいがする」と新藤原駅(栃木県日光市藤原)に通報があり、判明した。車掌は「夜眠れず、ついつい飲んでしまった。大変申し訳ない」と話しているという」(読売新聞)ということです。
 酒臭い車掌はけしからん。その通りです。その通りですけど、なんだか気の毒な気もしてしまった。というのも、私の職場も宿直して泊まり明け、という仕事があるので、この「普通の時間に眠れない」というのがなあ・・・まあこの記事じゃ宿直したのか単に家や居酒屋で深酒したのか分かりませんが、もし前の夜に終電まで働いて宿直し、次の日に明けで乗務した、というようなことならなんか、無理に酒の力で寝ないと眠れない、という気持ちも・・・いえねえ、私の所でも、酒盛りやって無理にアルコールの力で寝る人がほとんどです。ただ、私は、若いころはもうへろへろになるまで飲んで寝ましたけど、最近は宿直明けの仕事というのもなかなか厳しくて・・・酔いざめでできるような簡単な仕事じゃなくなってきたので、近頃は飲まない。飲まない代わりに今度は睡眠薬を使ってますが・・・これもなかなか、効かなかったり、効き過ぎたり。加減が難しい。
 この車掌の場合は、本当はどうだったのか分かりませんけどね。
 ◇  ◇  ◇
 ぜんぜんどうでもいいことですが、昨日に続いて最近のアメリカのヒットチャートのことなんですけど、というか、イギリスのアーティスト、ジェイムズ・ブラントも大ヒットしてます。これもちょっと前にはなかったこと。久しくアメリカはアメリカで独自路線、ぜんぜん英国勢なんて食い込めなかったんですよね(それで私は全米チャートに興味がなくなったんですけど)。
 パーティーロックに、グランジに、ラップというラインナップじゃ欧州勢には食い込めないわけですよ。
 しかし、昨日も書きましたが最近はかなりしんみりした、なんか日本人好みのような傷心系の曲がけっこうあって、NE-YOのSo sickなんてそのままだし、パウターのBad Dayも昨日も書いたようにちょっと相田みつを的な癒やし系の曲だし、しかもこの人もカナダですよね、そんで、ジェイムズ・ブラントですけど、この人は元英国軍人でコソボに駐留してひどい経験を積んで、除隊後に歌手になったという異色の人。
 で、この人の哀愁を帯びたハスキーボイスに、歌うときに悲しげになる表情、なんとなく誰かに似ている・・・森進一に似てるんですよね、案外。まあ、わが森進一は雪の吹雪く中で海に飛び込むとか、無茶なプロモートビデオは作りそうにないけど。
 ま、こういうものに共感できるというのは、あの国も頭が冷えてきたのかな、と。いけいけどんどん、じゃ絶対にあのもの悲しい、ライブ映像見ても本当に静かな・・・うん、パーティー的な要素が全くないんですよ、BBCでのライブDVD見ましたけど。もう観客は立っちゃ駄目、踊っちゃ駄目、というものを感じる。
 私は、なにかと踊って欲求不満を発散したがる最近のオーディエンスが大嫌いなので、ああいうしんみりじっくりみんなが聞き惚れているライブ、いいですねえ。演奏してる側も、これは私の経験だけど、まあ自分の少ない経験から言ってもです、盛り上がるのはいいけど、こっちに関係なくただバカ騒ぎして踊っている客って、もちろんプロの人は「盛り上がってるねえ、サイコー」と言ってくれるだろうが、本心では実は邪魔なんだよね。ぜんぜんつまらない。あんなの、生演奏じゃなくてもなんでもいいんだろ、音が出かけリャ、と思う。じっと熱心に見つめていてくれる客がいちばん嬉しい。別にのってくれなくてもいいんだよね。
 私なんか、敬愛するリッチー・ブラックモアのステージなど「拝見」するときは、もうじっと凝視して一瞬でも見逃すまい、としてしまう。一緒に盛り上がろう、なんて気はしない。崇拝の対象ですから。一緒に楽しむなんて恐れ多いことは考え違いである、と思いますね。
 ま、バンドによりアーチストにより、でしょうけど。
 ◇  ◇  ◇
 秋田の小学校の、連続して二人の子供が死んだという・・・それで間違いなく、小一の男の子の方は殺人事件、もうひとりの小四の女の子の方もこうなるとあやしい、という話。
 小学校の児童が何人いるか知りませんが、やはり偶然、別々の事件事故で二人も亡くなるというのはかなりあり得ない確率のように思えますよね。
 同じ犯人、ですかね。地方の方が目撃者がいないので、難しいんですよね、最近は。


2006年5月18日(木)
昨日は舞浜・イクスピアリの新星堂で、なんとなくジェイムズ・ブラント、ダニエル・パウター、NEーYOのアルバムを買った。わざわざCDを買うなんてことは何年ぶりかと言う感じである。このところのアメリカのヒットチャートが随分と内省的な感じになってきている、というか物悲しい曲がうけるようになってきている・・・おそらく、グローバルスタンダードの夢に浮かれていた頃とは違ってきているんだろう。
 ことにダニエル・パウターのBAD DAYなんて、聞きようによっては相田みつをになりかねない、失敗しちゃってもいいんだよ、人間だもの、という感じであって、オーディション番組のエンディングテーマに使われた、というのはよく分かるが、そんなにアメリカで受けたというのは、あの社会にも今は挫折感が漂っている、ということだろう。
 その一つの大きな要因というのは、イラクだろう。
 ここ数日、たまたまテレビでイラクネタを見たが、悲惨な帰還兵・・・反戦的になる人とそれから、石にしがみつくように「あれは正しい戦争だった」と言い張る人に分かれる。それから米兵による市民の無差別虐殺なんて話題もあったし、アメリカ企業による不正、つまり公金の不正流用なんて話しもあった。
 アメリカ企業によるイラクでの使途不明金は少なくとも1兆円を超える、という。戦時だから、といえば監査はされなかったそうである。
 戦時だから、戦争だから、といえばなんでもOKになる、という風潮は終わってしまったようであって、ブッシュという人もそれでもう戦時大統領という鍍金がはげてしまった。
 アメリカ軍なんて、あの程度のものだ、というイメージなったのは事実ですね。

2006年5月17日(水)
ダ・ヴィンチ・コードについて、カンヌ映画祭で非常に不評だった、とか。「今年最も話題となっている映画「ダ・ヴィンチ・コード」が16日、カンヌ映画祭の初日(17日)の特別上映に先立って、ジャーナリストや批評家たち向けに上映されたが、評判は芳しくなかった。上映が終わると、拍手の代わりに口笛が聞かれ、重要な場面では失笑も漏れた。米紙ボストン・グローブの記者は、「良くなかった。原作本と同じくらい悪い出来だった」と酷評した。ダン・ブラウンの原作は世界中で約5000万部が売れ、超ベストセラーとなっている。しかし、イエス・キリストは結婚して子供をつくり、その子孫が現在も生きているとの原作の中心テーマが、大論争を巻き起こしている」(時事)というんだが、まあキリスト教原理主義国であるアメリカ人のいうことはさておいて、あまり受けなかったというのは本当らしい。つまり、原作を知ってる人には物足りなく、特に誰がキリストの子孫か判明するシーンじゃ緊迫感がなくて駄目。一方で原作を知らない人からすると、分かりづらい、ということでした。
 ・・・まあ、こんだけ話題作なんで、カンヌあたりの玄人はどっちかいうと商業臭い作品にケチをつけるだろうと思いますので、かえって、そんなにつまらないかどうか見てみたくなりましたです。
 にしても、どうしてもよく分からないのだなあ。マグダラのマリアとイエスが恋愛関係にあって子孫が生き残っている、という設定・・・なんでしょ、要するに。いまさらネタバレもくそもないですよね。それ、そんなに凄い話なのか・・・まあ、キリスト教の国としては大変なんでしょうけど。こないだの、ユダが裏切り者じゃなかった、という新説のほうがよっぽど影響が大きいように思うんですが。
 もし子孫が実在した場合、法王というものを世襲で子孫にしないといけなくなるのかな。ま、関係ないものにはよく分からないです。イエス本人はキリスト教徒じゃないですしねなにしろ。キリスト教というのは後で弟子が作った宗教だから。
 ◇  ◇  ◇
 ヒューザーの小嶋社長や木村建設の木村元社長らが逮捕されたそうですね。それも詐欺容疑ですか。
 ・・・まあようやく、ですか。半年たってますモンね。で、経営総合研究所、というのはどうなったの。


2006年5月16日(火)
ときに、昨日のW杯の落選組の久保という人はもう29歳で、前の日韓大会でも候補に挙がっていたけど落ちたとかで、事実上、今回選ばれないと次は厳しい、ということで同情されているとか。確かに、30代も半ばとなるとGK以外は難しいようですな。
 絶頂期にあって、誰しも実力十分と思っているのに活躍の場が与えられず、今一歩で夢がつかめない。そういう運の人ってどんな仕事、世界でもありますね。決してサッカーだけの話じゃないと思います。
 が、今回というのはある意味、1993年のJリーグ開設以来の集大成という布陣なんだという話も聞くのであります。ここで、まああの業界的な老壮青が勢揃いしてしまうので、かえって次の大会では品不足となる可能性が高いとか。中田英だって次はないでしょう。そういう意味では、ここまで選に漏れている人が次に、ということはかえってあるのかもしれない。まあ、私のような者のいうことに意味はないですが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 なんでも猪口少子対策大臣なんかのまとめた報告書で、子どもの出生率を上げるために、産婦人科でかかる費用を後で助成するのじゃなくて、入院と同時に国が負担し、当面の現金も不要とする、という案が出てきて、例の6月の「骨太の方針」にも盛り込まれそうな話となっているらしいです。うちは子どもがいないからあれなんですが、今まではある程度、当座の金がないと子供が産めなかったんですね。国の一時金というのは後払いだった。
 まあそのぐらいはさっさと手を打ってしかるべきだったんじゃないですか。遅いですよねそのへん。
 ナチスドイツなんか、私生児とか不義密通の子とかなんでもかんでも奨励して、子どもたくさん作った女性は国家英雄にして勲章を与えた。そのやり方は、旧軍国日本も真似したし、共産国家も真似した。
 兵隊と労働生産力が欲しかったからであって、別に年金の維持のために必要だった訳じゃないですが。
 その「年金の維持のためにこのぐらいの出生率が必要」と、昨日あたり川崎厚労大臣がおっしゃっていたようですが、・・・まあ語るに落ちたというか。
 しかし、近所のお子さんがたを見ていますと・・・失礼だけど、毎日、毎日、よくもまあくだらない遊びばかりしているなあ、と。本当に勉強してないし、暇だらけのようだし、かといってまともにスポーツをやっているようでもなし・・・無為そのまま。
 ああいう子どもたちが何人いたからって、どうだというんですかね。
 ◇  ◇  ◇
 フタバスズキリュウ、という首長竜の話を昔から聞くが、もうあれ、40年も前に発見されたと思うが、今頃になって新種の首長竜と認定されて正式に学名がついた、と聞きましたけれど、今までなにやってたんでしょうか。私なんかも子どもの頃に聞きましたけどね、フタバスズキリュウって。
 40年も議論していたんだろうか、学会って。つきあいきれないですねえ。
 

2006年5月15日(月)
昨日は、銀座山形屋から連絡があったので、出社前に銀座に出かけた。私は百貨店やスーパーのイージーオーダーはさんざんお世話になっているが、というのも太く短い体型で、最近は既製服でも相当にいろいろ種類があるからなんとかなるが、社会人になったころの80年代のしまいごろには、なかなか合うものがなかったのですよ。
 しかし、仮縫いがあるようなオーダーは初めてなんで、興味津々でした。採寸から二週間かかりましたが、そのぐらいはかかるんですねえ。
 生地を仮止めしたものを着てみて、細かく袖を上げたり下げたり、わきや襟まわりの調整をしたり・・・。しかしその仮縫い状態でも、おお、なかなかの感じ、と思った。なにしろ既製服だとどうしても、だぶだぶした服になる。
 結局ワードローブを見ても、ずっと長持ちしていて10年以上も現役なスーツは、つるしではなくてオーダーしたものです。身体にあっているものは型が崩れないんですね。
 「あ、お客様、素晴らしい靴を履いてらっしゃいますねえ。ではスーツのほうも負けないようにいいものを作りますので、はい」なんて如才ない。一応、こういう場合にはそれなりの靴を履いていくのが当然なのでチャーチの73を履いていたのだが、まあジョン・ロブだのなんだのいうほど高い、というものじゃないけれど、実用靴としては立派なモンです。実際のところ、靴については日常履くものはまあ、単価10万円以内、だなあ。満員電車にだって乗るんだし、ハイヤーで帰ることが多いけれど、あれもかえって先日、ハイヤーの足元に置いてあったなにかの機械に爪先をぶつけて、そのチャーチのフルブローグにちょっとした傷がついてしまった。乗り降りのときに、慌てるとかえって傷つきますよね。
 しかし10万も20万も30万もする靴はいて、座敷の宴席に行って、ごっそり高そうな靴だけ盗まれてギョーザ靴だけ残っている、なんてことはないんだろうか。なにしろそのときの成り行きで、急きょ、そのへんのガード下の焼き鳥屋に行くことになる、なんてのはサラリーマンにありがちなシチュエーションではないか。で、オークションかなんかで売られてしまってはどうもならない・・・どこかの特注靴みたいにトゥにイニシャルでも入れてりゃ別ですが。
 そんなことはともかく、しかしさすがにギョーザ靴を履いている者に「立派な靴でございますねえ」と言わないと思うし、金持ちでもセンスの悪い人はいくらでもいるし、要は、それなりの靴を日常的に履いている人は、それなりにおしゃれな人、と見なしてくれるのだと思うのです。
 その後、丸の内のアクアスキュータムとか、トゥモローランドをちらちらと見て回ったがやはり如才なく「いい靴を履いてらっしゃいますね」と声をかけてきたアクアで理由もなく1000円なりのハンカチを一枚買って、会員登録までしてしまった。やはり客商売は如才なさがカギですね。この店のミック・ジャガーがサインしたトレンチコートが見物でした。
 さすがにジョン・ロブ丸の内店では何にも言われなかったけど。当然ですか。しかしほかにも何店か回ってみて、俄然オーベルシーが欲しくなりましたね。ジョン・ロブより。英国ものならクロケット&ジョーンズでもう言うことないんですよ、本当は。みんなもそれはわかっているはず。ブランドはなんであっても、実際にはあちこちのOEM生産はみんなこの会社が請け負っているということは、クロケット社のものを買ってれば要するにいいわけですよ。それより、ちょっと変わったものがいいんですよね。
 丸の内というのも、今やすっかり再開発の結果、おしゃれな街となりました。今度、もっと予算があるときにまた来よう(わざわざよそで背広作ってから来てもなあ・・・)。
 ◇  ◇  ◇
 サッカーW杯の発表がさっきありました。ぜんぜん詰まらないものだったみたいです。まあ私にはよくわからないが、久保というのが落ちて巻というのが選ばれたのぐらいがちょっとした驚き、らしい。ぜんぜんぎゃあぎゃあ騒ぐような話じゃなくてよかったよかった。
 これから出社ですからね。ま、あのぐらいなら大して問題なく処理できるだろう・・・。
 なんの話題であれ、仕事は楽に限ります。マスコミの人間はニュースが好き? 嘘です。まったく実態が分かっていない。もし同業他社がなかったら、どこの新聞もテレビも報道なんて全部一日遅れにしてしまうでしょう・・・。

2006年5月14日(日)
昨日のサッカー・キリンカップのスコットランド戦は、会社で仕事の合間にちらちら見ていたんですが・・・どうですか。おそらくファンの皆さんだって、私のようなスポーツ音痴がこう言ってもお怒りにはならないでしょう。「面白くもなんともない試合だった」
 さて、それで、時事通信によりますと「ジーコ監督は13日、キリンカップのスコットランド戦後の記者会見で、15日に発表するワールドカップ(W杯)ドイツ大会代表選手について「23人以外選ぶつもりはない」と話し、補欠選手などは設定しない考えを示した。また、選考に際しての基本的な考え方として「1ポジションに2人を選ぶ」と語った」そうであります。岡田監督のときのような、補欠をたくさん決めておいて最後の最後に引導を渡すみたいなことはしない、ということですね。
 どうでもこうでもよろしいですが、あんなつまらない試合だったら願い下げだなあ。まあその前のブルガリアとの試合よりはずっとましだったとも聞きますが、私はブルガリア戦なんて見てもいないので。
 ま、無責任にいいますと、かえってあんまりみんなが期待していないほうが、思ったよりも本番で健闘するかもしれませんので、そう思っていましょう。そういや、あの中田も向こうのチームをクビになったんですって? だから今回のW杯ではなんとしても頑張らないと彼個人の就職活動にかかわるとか。じゃあ、頑張ってもらいましょうよ。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば、土日というとスポーツネタが世間では多いですが、宮里藍が昨日はものすごくよかったのに、今日は話にならない大叩きで予選落ちしたとか。去年までのなんでもかんでも宮里という話も急激に変わってきましたかね。
 そういえば、松井秀も左手を骨折して、3か月は治らない、というかそりゃほとんど今季は絶望に近いのでしょうが、・・・そんなことならやっぱりWBCに出ておきゃよかったかもね。
 いやあ。スポーツ音痴なのに、けっこうよく知っているじゃない、自分。こんだけ知ってりゃ立派立派。でも相撲はもうあれだ・・・誰かが7連勝してるのは聞いたけど、ゴメン。名前忘れました。もうそんなもんだね、相撲なんて(ファンの方にはすみません)。
 ◇  ◇  ◇
 ところで。6月から「駐車監視員」とかいう制度が始まるのは皆さんご存知でしょうか。6月から道交法が変わるんですが、その目玉がこれ。全国で1600人だか、この監視員というのに任用されて、警察官に協力して駐車違反を取り締まる。
 なんでもそれにあたって、今後は違法車両発見から5分以内にドライバーが現れないと即アウト、になるんだって。今までみたいにチョークで印し付けて30分待ってくれるなんてことはしないそうだ。
 で、6月から重点的に違法駐車を取り締まる区間というのを各警察署がサイトなんかに公表していて、私の地元の浦安市でもメインの大通りを中心にかなり取り締まるはずです。があれは、運転手がいない車が対象なんですよね。すると、浦安の場合、駅の構内に入れないで大通りにあふれているタクシーの「停車」は取り締まれないのでしょう? あれじゃあ、ふさがっている車線はよみがえらないだろうなあ、と。
 ◇  ◇  ◇
 まるで関係ない話だが、ブラックケア・シャンプーというものがある。http://www.w-direct.jp/welldirect/7.1/2447-161詳しいことは知らないが美容液みたいな感じの濃厚なシャンプーだ。これにしてから、髪質が非常によくなった。くしの通りもすこぶるよい。人によって個人差があるからなんだが、私は別にここの会社の回し者でもなんでもなく、ただ、髪質にお悩みの方、このままいくと抜け毛からハゲまでいくんじゃないか、と思っている方は試して見られたらいかが、と思います。

2006年5月13日(土)
嫌な仕事をやっていると、はっきりいって私なども、軽い鬱ではないか、と自分でも分かるような精神状態になることがある。ところが、その欝にきくという薬に問題があるというのだから困ったことだ。「日本でも販売されている抗うつ剤「パキシル」を服用した20代を中心とする若いうつ病患者に、自殺を試みる行動が増える傾向があることが分かり、米食品医薬品局(FDA)が12日、医師に服用者の慎重な観察を求める警告を発表した。FDAは子供の自殺傾向を強める恐れがあるとして、パキシルなど抗うつ剤全般に強い警告表示を義務付け、その後成人患者への影響を調べていた」(共同)というんだが、ひょっとするとあれじゃなかろうか。鬱に陥ると気力がなくなってしまうが、この薬のせいでいくらか回復する、ところがそれで軽快したせいで、「自殺するだけの気力」が生まれてしまうのかもしれない。というのも、自殺というのもネガティブな気力がかなり必要であり、計画性や実行力が必要となる。本当にどん底にあると自殺さえ出来ない、というものだそうである。
 そういうわけなら、問題はパキシルだけの問題ではないのか。あるいはこの薬特有の何かなのか。
 そういえば、先日から、ちょっと睡眠薬を飲んだ後から、なんだか胃の調子が悪い。あまりに空腹すぎたのかもしれない。マイスリーの10ミリグラム区を飲むときがあるのだが、というのはほとんど毎日、夜勤なのに、週に1回とか2回、普通の仕事のように朝9時台に出社しなければならない日もあるので・・・。
 しかし、こういう状態だと、さすがの睡眠薬もきかないですね。結局、全然効かないことも多いです。
 ◇  ◇  ◇
 関係ない話ですが、昨日はその割と普通の時間に出社する日で、昼休みに、というか夕刊とその後の仕事の合間に、ということですが、神田駅から東京駅に向かって山手線に乗ったのだけど、きちんとしたスーツ姿なんだけどものすごい異臭を放つ男性・・・それはまあ、長年ホームレスを続けている人のような汗臭いようなオシッコくさいような異臭であった。
 たまに「たけしの本当は怖い家庭の医学」なんて番組を見ていると、再現ドラマで「あなた、なんだか臭いわよ」と他人に言われて、その数日後に発病、死に至るといったパターンがよく描かれる。内臓機能が低下していて、まさにオシッコのような老廃物臭さが全身にたまっているのである。普通に汗をかいた汗臭いなんてのとは違う、強烈な匂いだった。それに昨日はスーツ姿でちょうどよい、という感じで決して暑くなかったし。
 だからぞっとしました。あの男性、近いうちに重い病気になるのかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 健康に気をつけませんとね。お互い様に。ことに、精神的なものも最近は重要です。私も他人事じゃありません。
 思い切って何日かばーんと休むのが一番いいんですが、なにしろサッカーW杯を前にしてうちの会社も完全に人手不足で。7月まではスポーツ担当は週休1日、それ以外の人も公休以外は原則有給休暇禁止、というお触れが来ました。
 あんなのも、普通の人は楽しく観戦していればいいんですが、うちらの場合はいちいち自分の仕事にかかわってくるので・・・ファンには申し訳ないけど、半分ぐらいは早く負けてしまってくれ、という気分もあります。もう自分の仕事が少しでも楽になったらいい、という発想ですね。15日に選手の発表なんですか。こんなのも、いちいち大騒ぎになるのは必定だし、号外ぐらい出るかもしれないし・・・。
 つまらない仕事ですね・・・。

2006年5月12日(金)
 読売新聞によると「米国の情報機関、国家安全保障局(NSA)が、一般市民の米国内での電話通信記録を秘密裏に収集し、データベース化していた疑惑が11日発覚し、波紋を広げている。・・・米紙USAトゥデーによると、通話情報の収集は2001年の同時テロ直後に始まった。テロや犯罪容疑の有無にかかわらず膨大な市民の通信記録をAT&Tなど大手通信3社から提供させ、数十億件に及ぶ通話記録を集めた世界最大規模のデータベースを築いた。通話内容は傍受しておらず、相手先の電話番号や通話時間を収集・分析していた模様という」わけだ。
 警察国家の誕生であるが、アメリカ国民はあの時点で熱狂的にそういった政府当局を支持したのだから致し方あるまい。
 というか、あのころのアメリカ人の台詞「なんでこんな偉大な素晴らしい国家が憎まれたり攻撃されたりするのか理解できない」というたぐいのにあきれた人は多かろう。日本あたりじゃ「それみたことか天罰だ」といった反応も多かったのだが、あの連中は実際、ぜんぜんわかっていなかったようだった。さすがにそんな寝言を真顔で言う人はもう少なかろう。欠点だらけ、弱点だらけの国だと彼ら自身、その後おおいに理解できたことと思う。
 この警察国家ぶりもまた、要するにアメリカの現実であろう。自由なんてものは。しょせん口で唱えるだけのものだ。
 ◇  ◇  ◇
 自由といえば、村上ファンドの拠点がシンガポールに移った、と聞いた。税制が有利で投資家にとって自由にあふれているのだという。
 六本木ヒルズは見捨てられたのだが、実際、急激になんだか輝きというか求心力を失っていると思う。ほんの少し前まで「日本で一番すてきなところ」なんていって、もてはやす番組だらけだったのがウソのようだ。
 ◇  ◇  ◇
 とはいえ、今日はえらく株価が下がったのだろう。新聞の商況面を見ると下向きの▼だらけで真っ黒けである。
 景気回復、というがなにしろそろそろいざなぎ景気に並ぶ、ということは、こんなへなちょこな程度の「好景気」(こんなもので? マジですか)がピークなんだろうかしら、と思う。
 アメリカが明らかにゆらゆらしている。ということは日本も他の国も危ない兆候だということだ。
 妙に楽観している人はいないと思うが、実際、そんなにいい状況ではないように思う。




2006年5月11日(木)
昨日は公休だったので、なんとなく舞浜のイクスピアリに行き、新星堂で注文していた映画「アンダーワールド・エヴォリューション」のサントラCD(日本盤がなく輸入)を引き取り、ついでに見かけたアメリカの新進バンド・フーバスタンクの新作アルバムを買い、それから、3階のTAYAという美容室http://www.taya.co.jp/tww/index.html・・・なんでもなんとかクリスタルとかいう、ずいぶんと綺麗なお店だが、そこの予約をとって、それから二、三のお店を冷やかした後、映画館・・・ここも以前はイクスピアリMC16というのだったが、経営が変わって微妙に雰囲気が変わったが、最近のほうがきめが細かい感じがする、販売窓口の対応なんかも・・・ここの前を通りがかった。
 はっきりいって、特に映画を見るつもりはなく、それにこのところ「アンダーワールド」のほかに「Vフォー・ヴェンデッタ」「戦場のアリア」「プロデューサーズ」と1か月ぐらいの間に立て続けに映画を見たので、まあしばらくはいいや、次は「ダヴィンチ・コード」でその後は「バルトの楽園」とか、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の続編、あるいは太平洋戦争の特攻もの「出口のない海」あたりまでは見なくていいかな、てな感じで構えていたのだが、ふと時計を見ると8時半、上映予告時間を見ると8時50分から、ちょっと気になっていた映画「ニュー・ワールド」の最終回がある、とあって、「この際、見てしまおうか。いちおう、歴史ものだし」と妻と協議して、そのまま見ることにしてしまった。
 というわけで、まったく期せずして「ニュー・ワールド」を見たのであります。
 なにしろ、今回を入れてたった4作しか作っていないのに、大監督と呼ばれるテレンス・マリックの新作であり、この次はまた何年後に作るのかわからない、という具合で、それにこの、英国の入植者ジョン・スミスと新大陸の大酋長ポウハタンの娘ポカホンタスの恋愛というのは、ディズニーアニメにもなった有名な題材でありまして、ついでにいえばラジー賞の「アレキサンダー」でアレキサンダーを演じたコリン・ファレルの新作ということでもあり、とにかく余裕があったら見てみよう、という気がしていました。にしてもテレンス・マリック氏、ハーバード大哲学科卒、英オックスフォード大を経てマサチューセッツ工科大で哲学を教えた後、UCLAの映画科に入りなおして脚本の勉強をした・・・という、日本じゃ想像できないほどの超インテリらしい。
 で・・・大画面で見てよかったですよ、これは。とにかく、映像詩のような作り方で、新大陸の自然と、人間たちの争い、純粋な恋愛と、裏切り、高揚と絶望・・・が映像の切り替えで対比されるように描かれていきます。マリック独特の演出ですが、これをじっくりと味わうには大画面ですね。
 その自然というのが素晴らしいのですが、なんと、実際にスミスたちが最初に入植したヴァージニア州には、まだまだ400年前の開拓前の自然が残っていて、映画は全編、現地で撮影されたとか。だから、実際にスミスやポカホンタスが生きた土地とその自然が映像に写し取られているのですね。そこが素晴らしい。
 そして、英国からやって来た艦隊の再現シーンから始まるわけですが、ガレオン船は見事に復元されていてホンモノのように見えました。それに入植地のとりで、英国兵の鎧やサーベル、マスケット銃にライン戦術・・・そのへんの考証もばっりちのようです。
 しかし、おそらくずっと難しかったのは、すでに失われてしまったネイティブ・アメリカン(最近はインディアンという言い方はすっかりなくなりました。本来、アメリカ人というのは彼らである、という考え方もさすがにアメリカでも定着してきているようですので。実際のところ、この点については何事にも傲慢不遜なアメリカ白人も後ろめたいようで)の400年前の服装や、生活習慣、それにアルゴンキン語(すでに1700年代には死語となってしまったとか)の再現だったと思います。
 後に日本にやってくるペリー艦隊の中の一隻にポウハタン号という黒船がありましたが、その命名の由来はここで出てくる大酋長ポウハタンでありましょう。それほど名高い酋長であり、その娘のポカホンタスも今となっては伝説の人ですが、しかし実のところ、ジョン・スミスと恋愛関係があったかどうか、というのはよく分からないのだとか。それはあくまでスミスの自叙伝にしか出てこない話なんですってね。彼女が実際に結婚するのは別の英国人ですし。
 アニメでは、スミスとポカホンタスの別れまでで綺麗に終わってしまいますけど、今回の映画では彼女が結婚し、英国にわたって英国王に謁見し、さらにその後の悲劇まで、きちんと描かれております。ちなみに、彼女の一人息子はその後、実業家として大成功し、その末裔でポカホンタスの子孫、と名乗ることはずっとアメリカでは名門とされたそうですが、それは後の話。
 なんといっても、今回の映画のためにマリックがさんざん苦労して、世界中を探し回って見つけたという新人クオリアンカ・キルヒャーの演技が光っております。撮影時15だか16歳だかいうんですが、これは恐るべき新人じゃないですかね。歌や踊りの才能もあるそうで歌手デビューも狙っているとか。この人は伸びてきそうな予感。キルヒャーというドイツ系の苗字はあれですかね、スイス系の血も入っているとかで、そっちの名前なんでしょう。
 それにしても、この時代(1607〜1614年ごろがこの映画の舞台)というと、日本じゃ関が原の合戦から大坂の陣。徳川家康が覇権を握ろうとしていた時代です。
 このころの英国だの、まして「アメリカ」だのを見るに、ぜんぜんこの時期には日本のほうが先進国ジャン、と思われます。同じ時期に江戸城や大坂城の金ぴかの天守閣がそびえていたわけだし、日本の軍団は世界一たくさん火縄銃を装備していたわけだし。
 それから300年の後、このときの酋長の名を取った軍艦が日本にやって来て、家康の子孫の幕府をつぶしにくるなんて、想像もつかない話です。
 なんでも、アメリカ合衆国というのは、制度としては、ネイティブ諸族の間で出来上がっていた「イロコイ同盟」という、部族間では内政不干渉で、全体のリーダーとして大酋長を置く、という制度を参考にして、各州が独立しておりその上に合衆国大統領を置くやり方を作ったのだそうですね。
 つまり、ポウハタンというのはワシントンなんかよりずっと前の、白人がやってくるより前の真のアメリカ大統領である、というわけです。ネイティブの人らは本当にそう主張しているそうですが、それはまさしくその通りですね。
 見終わった後、なんだか物悲しく、考えさせられる、美しい映画でした。どっちかというとドキュメンタリータッチで、わざとらしい脚色で盛り上げるようなくささはありません。これは娯楽作品とはいえませんが、素晴らしい映画だと思いましたね。
 
 

2006年5月10日(水)
ブッシュ大統領の支持率が31%でいよいよ3割を切るかもという非常事態に。まだ中間選挙前ですからね。史上最低の大統領ですね。
 2期目はやらないほうがよかったんじゃないですか、この人。あくまで「戦時大統領」の1期でしりぞいたほうが歴史に残れたかもしれない。
 なにしろ、自分でしかけた戦が事実上の負け戦だし、死傷者は増える一方だし、そのせいで同盟国のイギリスもまもなく離れていきそうだし、その間にイランにはそむかれるし、国内は貧富の格差が広がる一方で、不法移民に経済が支えられている矛盾やら、外国からの投資で借金漬けで生きているくせに保護主義的な考えが台頭するやら、その借金漬けなのに個人も見栄で豪邸をぶっ建てるのがブームになってるとか、あの国の今まで裏に隠れていた欠点がどんどん出てきてます。
 副大統領も国防長官もぼろぼろ、FEMA長官がくびになったのは去年ですが今度はCIA長官が辞任。補佐官も報道官も次々に更迭。国民の間も「そろそろ共和党は飽きた」という雰囲気になっているとか。ここが日本と違ってうらやましいところでどんなに増長した政権でも、8年もたてば「飽きた」という理由で交代させられるし、それができる。
 ブッシュと比べれば好戦的じゃないと思われたクリントンも、レイムダックと化してからはイラクにミサイル打ち込んだり、空爆したりを繰り返しました。
 じゃあ次はイランですかね、北朝鮮ですかね。中国だって立派な仮想敵国です。アメリカから見て中国は特別扱いという見方が多いけれど、しかし気に入らなければ、相手がどこであっても例外なく先制攻撃する、というのがブッシュ・ドクトリンですから。
 ブッシュとしては、内心で「そろそろテロでも起きないかな」なんて思っているんじゃないでしょうか。馬鹿な国民を煽るにはそれがいちばんで、Vフォー・ヴェンデッタの世界であります。冗談抜きで、必要とあれば自作自演でも辞さない国柄です。ベトナム戦争はどうやって始めたか。あれはアメリカの軍艦が攻撃された、と発表して始めたけれど、後になって、あれは自作自演の狂言でしたとアメリカが認めております。ほかの太平等戦争でも米西戦争、米墨戦争でも、歴史を辿ればアメリカがらみの戦争は常に外的の侵略に対する「正義の戦争」としてはじめており、そのためには謀略でも何でも兵器でやってきた国。
 ナチスドイツはポーランド侵攻の口実として、ポーランド側が先にドイツ国境に侵入してきた、という謀略をでっち上げました。が、これは実はそんなにあくどくもなんともなくてアメリカのCIAなんかのいつもの手ですよね。宣戦布告をしたとかしないとか言っていつまでも文句言われているのはなぜか日本だけですよ、考えてみると。ほかにそんな理由で文句を言われている国はないですよね。戦争なんて奇襲から始まるに決まってますから。イラク戦争のときも、事実上の予告というのはテレビ演説でしたけど、大使を呼んで宣戦布告なんてしてなかったでしょ、あの開戦の日には。
 なんでも陰謀史観でみるのはよくないなんていう人もいるけれど、アメリカというのは自由と民主主義の仮面をかぶった陰謀と暗殺と人種差別と戦争の国であるのは紛れもない事実です。およそ日本人のようなお人よしには理解できませんが、欧米人の発想はとかく結果さえよければどうでもよし、です。
 そういう人徳がない国だから、いまだ911テロすら自作自演じゃないの、と陰口をいわれる始末ですし、こうも支持率が低下すると、本当にテロ未遂ぐらいは自作自演しかねないと思われます。
 それで、ブッシュ政権末期のあと2年と数ヶ月、どんな国内向けの人気取りの動機で、どんな戦争や紛争を始めるか、日本に対してもそんなときにどんな無理難題を言ってくるか分かりませんよ。
 ◇  ◇  ◇
 ソニーの決算が予想以上によく、特に液晶テレビはプライドをかなぐり捨てて韓国メーカーと提携したブラビアが奏功、しかしこの手のテレビはどこの会社も極端な安値でシェア争いをしており、同社の今後の本格回復は、11月のプレイステーション3次第である、という話が経済関係の記事で多いですが、そのPS3のことがぼちぼち取り上げられています。なんでも「・・・PS3のコントローラーの画像を公開した。5月10日(水)からアメリカで開催されるゲームショー「エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ(E3)」で、一般公開される予定となっている。・・・画像からは、PS3のコントローラーが形状的にPS2のものを踏襲していることが見て取れる。しかし、その中身は大きく変化しており「6軸検出機能」を搭載している。コントローラー自体の「傾き」に加え、コントローラー自体を動かした際の「加速度」を検出することが可能。つまり、コントローラーそのものを傾けたり、振ったりした動きがゲームに反映できる。・・・これに伴い、振動機能がオミットされることとなった。振動がコントローラーを動かした際の検出に影響するため。「メタルギア」シリーズなど、さまざまな使われ方をした振動機能だが、これがオミットされることは、コントローラーの世代交代を象徴するといえそうだ。・・・本体の純正コントローラーもワイヤレス対応するということで、これはもう一つの世代交代といえるだろう」(RBB TODAY)とのことで、要するに、コントローラー自体の傾きをゲームに反映させるのだそうだが、自動車ゲームやアクションゲームなんかには有効でしょうね、それは。しかし、はっきりいってあんまり繊細な機能を搭載して欲しくないなあ。というのは、私の個人的なコントローラーの使用法として、うまく行かない場合に叩きつけて八つ当たりする、というものがあり(!)、それでもう何台もオシャカにしています。
 振動機能は、まあもともとあまり必要ないと思っていたので(手だけびりびりしていてもちっともリアリティーがないから。チェーンソーを握りすぎた人の手の神経が侵される病気がありますが、これもそんな感じがしてあまり気持ちよくなかった)なくてもいいです。
 別のアメリカの報道では、結局のところ、PS3はゲーム機としては割高だが、ブルーレイディスクのレコーダーとしてはかなり割安である。BRD機として買う人がどれだけいるか、というのが勝負だろう・・・これはしかし、PS2もそうでしたよね。
 私は案外に、ブルーレイ機として買う人はいるのじゃないかと思います。というのも、前にも書いたけど、私のうちではいまだにDVDはPS2で見ており、DVD用のプレーヤーもレコーダーも持っておりません。今度、ようやく買う気になったぐらい遅れてます。まあ実際に使っていると、ゲームと映画の再生というのは案外に両立しないというか、面倒くさいというか・・・PS2の場合、映画を見ていてゲームに切り替えると読み込まなかったりその逆に、ゲームをやめて映画を見ようとすると「読み込めませんでした」と出たりしませんかしら。特に長年使って、おそらく機能が疲労しているんだろうと思いますが、ソフトを変えると最近は機械がついてこれないきがします。
 

2006年5月09日(火)
例の平塚の事件、数日前に「なんなのかしら」と書いたですが、どうもこの「家族」というのは、腹違いの兄妹や、血のつながらない母子の間で、肉体関係、男女関係もしくはそれに近いものがあった、というのが真相らしい・・・おぞましいですなあ。
 もう、そのへんの小説はみんな顔負けですね。でも、韓流ドラマみたいなのにはならないで、一昔前の横溝正史とか松本清張、いまとなるとちょっと時代がかった設定というやつかしら、しかしこれはお話じゃなくて、実話ですから。気持ち悪いです。
 ◇  ◇  ◇
 なんでも「TBSは8日、6日夜の健康情報番組「ぴーかんバディ!」で紹介した白インゲン豆ダイエット法を試みた視聴者約30人から、激しい下痢や嘔吐などを訴える苦情が寄せられたと発表した。・・・豆アレルギーの方やおなかをこわす状態が続いた方はおやめ下さいと、注意を呼びかけていたという。TBS広報部では、原因は調査中だが、白インゲン豆を使用したダイエット法は控えるか、医師などの意見を求めた上で慎重に対応してほしい、としている」(読売新聞)のだって、間抜けですね。
 でまあ、苦情を訴えた人の中には深刻なアレルギーの人もいるかもしれず、軽々にいうのはいけないが、しかし、いってみれば、嘔吐感があったり、下痢が出たりするから、痩せるんじゃないですかしら、これ。
 だとしたら、それで苦情を言うのは変なのかも。ま、当事者じゃないので無責任な言い方ですけど。でも、ほかのダイエット法でも下痢とか嘔吐というのはありますよね、実際。急激な効果をねらったものだと。
 ◇  ◇  ◇
 共謀罪、について議論が起きている。日弁連と法務省でもサイト上で応酬しているようだけど、私はこの話は微妙につき、また詳しくないのであれこれは言わないのだけど、ひとつ思うのは、ちょっとした法律の改正とか、新法の導入のつもりで世の中、めちゃくちゃになってしまったというのを、日本もかつて経験しております。戦前戦中のことですね。ドイツだってそうですね。
 まあそんなわけで、拡大解釈できるような法を作ると、危険なのは確かです。
 しかも、今時のように、個人の利害ばかりにうるさくて、社会性のない世の中だと、権力者からするとそれほど御しやすいものはなく、危ういにおいをかぎつけるのは私だけじゃないでしょう・・・。




2006年5月08日(日)
先頃の小泉さんの「地方自治体の首長、知事さんなんかは退職金をもらいすぎなので、返上したらどうか」という発言でけっこう、各自治体の首長がびびっているという話がある。これについては、遅ればせではあるが(というか、なんでこういうことをもっと早く言わないで、終わりかけの今ごろになって言うんだろう)それにしても、小泉さんの行ったこと自体は非常によろしいと思う。
 というのも、知事だの市長だのは、ご承知の方も多いだろうが、普通の公務員とかサラリーマンは月給×在職年、なんだけど、知事さんなんかは月給×在職月、なんですってね。だからほんの数年、やるだけで、たとえば一期まるまる在任すれば×48で、なんと普通の会社員で言えば48年間もやったのと同じになるそうであります。しかも、選挙で改選されるたびにその期は退職したことになるので、4選も5選もされた人は、そのたびに48年分が出る。つまり200年も300年も務めた人と同じような退職金になるんだってね。だからそういう長期政権の知事さんなんかは、トータルで何億円も退職金を得る。
 まあ、なんでこうなってるかというと、民間企業の役員の退任慰労金にならっている、のだそうですね。役員報酬は大体そんな感じである、知事も偉い人だから役員なみにしましょう、ということです。
 はっきりいってそれは、知事さんも激務なんでしょう。それはまあ。いろいろとね。ではあるけどさ、民間企業じゃ役員の慰労金も、規定じゃそうなってても、在任中に経営が赤字になったら出さないとか、いやむしろ退任後に背任で訴えられるとか、そういうもんでしょう。
 じゃあ、知事や市長も、黒字経営なら満額もらえばいいけど、赤字の自治体は返上するのが当然だし、悪質な場合は逮捕されりゃいいんじゃないですか。
 なんなら、そんなに民間にならいたいなら、民間並みに「株主総会」でもやったらいいわな。毎年、会計監査した後は議会で承認するんじゃなくて、納税した県民全部に招待状出してね。それでどこかスタジアムで総代会でもやりゃいいや。
 で、知事に退職金出しますか、こういう金額ですけど、って議題にかけりゃいい。通るわけないけど。民間企業じゃそういうわけですよ。まあ、そのへんを公表しない会社も多いですけど、最近は株主も厳しいですから。
 世間の人も、株主利益ばかりさいきんは言いますが、まあそこに一応、気が回るようになっただけいいんですが、一歩進んで、納税者利益ももっと考えるべきでしょうね、こういうわけだから。そこの県とか町に住む、というのも、いってみればそこの自治体の株を買って投資するのと同じで、いやなら出て行ってしまう、というものでしょう。
 これから人口が減るというならなおさらですね。魅力が薄くて過疎化が進み、赤字経営になる自治体の首長はいわれるまでもなく退職金返上は当然のことでしょう。
 ◇  ◇  ◇
 今朝の新聞で、三菱UFJ信託銀行が株主として受け取っている「株主優待」の金品のうち、換金できるものは換金して、還元する、という話が出ていました。
 で、これまではせいぜいJRや航空会社の割引券の換金だけで、そのほかいろいろ割引券とか、グッズとか、株主優待がありますよね。精肉会社だとハムの詰め合わせとか、洋服会社だとお仕立て券とか。ああいうのは今までは、面倒くさいので全部捨ててたんだって! 信じられないよね。機関投資家からいろいろグッズとか割引券が流れているという話は前からあるけど、全部、そのまま廃棄していたなんて話は外部に出ていなかった。
 で、今後も生鮮食品なんかは捨ててしまうんだって。
 しかも、三菱UFJはこれがはじめての試みで、ほかの信託銀行はまだ廃棄しているわけですよ。
 お金がどうとかそういう話じゃなく、とくに機関投資家の場合は、はじめから株式会社に対して「うちはそういうわけだから優待は要りません」とあらかじめ話をつけろよ。そもそも一般の客のお金を預かって運用しているんだから、お前らの権利じゃないんだよ本質的には。そこで儲からないとか面倒くさいとか、そういう発想なんとかならないかね。
 そんなもの、はじめから「うちの分は寄付してください」とか、そういうきめ細かいことをしてみろというのだ。もちろん、そんなことをするとどんどんコストがかかって、一円でも儲けたいのだから、とかなんとかかんとかこういう業界は言うだろうが、そんなだから世の中おかしくなるんだ、早い話が。
 銀行の搬入口からそのまま未開封で廃棄されるハムの詰め合わせとか石鹸のセットとかを想像すると、とにかく不愉快になる。まあ、実際には廃棄といいつつ、そこからまたどこかに流れていくものもあるに違いないのだけど・・・。
 ◇  ◇  ◇
 ぜんぜんどうでもいいけど、市川市にあるニッケコルトンプラザの中にある三笠会館系のレストラン「アジオ」というのが、わりと気楽だけど本格的で、ファンなんですけど、それで銀座にある三笠会館には実は行ったことがないので、一度、見に行ってみようか、などと思って調べていた。
 そしたら、そこの並びのみゆき通りにある服地ブランドで有名なミユキの直営ショップ「ミユキハンドレッドクラブ」というのが、偶然に検索途上で引っかかった。で、サーフィンついでにそこのハンドレッドクラブを調べていると、すごいやねえ。
 まず、英王室に納める靴を作っていた元ジョン・ロブの職人という女性がオーダーを受ける完全ビスポークの特注靴が32万円〜というお値段。いちばん安くてこのお値段。それから完全オーダーメイドの、生地から注文で作る背広が72万円〜。この「〜」が泣けるね。
 こういうのに身を固めて、バシュロン・コンスタンティンの時計でもしてれば見事なおセレブであろう。
 しかしあれですよ。文学やっている人なら分かりますが、詩集とか純文学の本を出すには今時、そのハンドレッドクラブで靴と背広をあつらえたぐらいの金が平気でかかるんですよね実のところ。
 考えてみれば、こういう道楽ごとに比べりゃファッションなんて安いもんかもしれないし、さらにそれに比べれば、ちょっとした食道楽なんてぜんぜん大したことはない。
 ◇  ◇  ◇
 と思いつつ、まったく今更ですが、『他人を見下す若者たち』(速水敏彦)をちらちらと読んでみた。というか、はやりの新書を、流行遅れにならないように10冊ほど買い込んでそれでまあ、二晩ぐらいで全部ちらちら読んでしまったのだが、職業柄、読むのはまあ早いです、それでこの本とか、前に読んだ『国家の品格』とか、なんか、私がこういうところで書き散らしてることと基本的に似ているな、と思うんですね。
 ことにこの「他人・・・」に出てくる「仮想的有能感」という仮説はけっこうわが意を得たりだったですね。
 これ、読んでみると、別に若者のもんだいだけを取り上げているんじゃなく、むしろ今時のにんげんの精神状態全体をもんだいにしていますが、しかし、確かに、とくに若い人で、なにかものすごく自分は知っているとか、有能だとか、こんなことしていますとか、自己PRはうまいんだけど、ちょっとつっこむとぜんぜんダメで、それきりしょぼーんとしてしまう人、多いような気がする。
 一例ですが、ある席でうちの妻に向かって自分はスタジオ・ミュージシャンです、と威張った人がいて、それで妻がへええ、すごいですね。私は○○大学の声楽科出てるんですがと言ったら急に黙ってしまって、以後、ぜんぜん音楽の話をしないとか、あるいはこれもうちの妻の実例ですが、ドイツ語が得意です、とか言い出したのでじゃあ、これを読んでくださいといって、妻がドイツ語で書いた自作の漫画を見せたら、黙ってしまったとか・・・そういう「自分はひとかどの者だ」と言いたがるくせに、ちょっとまた自分より手強そうな人が現れるとしょんぼりして引き下がってしまう人が多い、と。
 これ、つまりは自分は本当は大したことない、負け組かも、という意識をごまかすためにはったりで強がっているわけですよね。
 それを、心理学者の速水先生という人が「仮想的有能感」と名付けた。これはまた「下層社会」で三浦展さんも「下層の人ほど根拠のない全能感をもっている」と喝破したのと通じます。
 いわゆるオンリーワン感覚ですね。
 しかし、「ドラゴン桜」のヒットとか、その後の格差社会論の広がりを見れば、こういう人種が過渡期の人種に過ぎないこともわかります。
 要するに、じいさんばあさんや両親の経済力をあてにできない未来には、こういう無根拠な優越感など抱いていることはできなくなるわけで、ただのあからさまな「格差社会」が到来するでしょう。はったりなどきくわけがありません。
 だから、こういう不快な人種というのも10年もすれば撲滅するんじゃないか、と予想します。
 それなりの生活を支えるには、要するにいやな仕事をするしかありません。なんとなく成功している人、なんて実際にはいないでしょう。世襲財産で豊かな人は別にして。

2006年5月07日(日)
連休で遠出された方、近場で散財された方、そしてほとんど休みなんてなかった方・・・皆様、お疲れ様でございます。今日あたりは、お出かけされた方も帰宅されて、ああ、また会社かよおおおおお、などと呻いておいでのことと存じます。私は5月5日の新聞休刊日以外は、ごくフツーの公休日があっただけでありました。が、それでもなんとなく、昼間には銀座に出かけてみたり、映画を見に行ってみたり、IKEAに向かってみたけどたどり着けなかったり(昨日の記述参照)・・・とにかくそれなりにGW気分でした。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、あの平塚の妙な事件は結局、なんなんでしょう。連休中の報道らしい報道というとあればかりだったようですが「平塚市西真土1のアパート一室で男女と乳幼児3人の計5遺体が見つかった事件は3日、女性の母親が殺人容疑で逮捕され急展開を見せた。だが乳幼児3人の身元や死因が分からないなど、事件は依然として多くの謎に包まれている。現場周辺は古くからの一軒家が並ぶ中に、新興のマンションやアパートが交じる地域。住民らはショックを隠しきれない様子だった」(毎日新聞」ということで、なにがなんだか分からないけど、一家を皆殺しにしてしまったようなんだねこの母親というの。なんなんだろう。
 ま、こういう実話が出てくるとそのへんのミステリーなんてみんな色あせますね。
 たとえば死んだ子どものなかの幼稚園児なんて、失踪したのは1984年! 私はまだ茨城県で高校生でしたよ、というぐらい昔の話です。遺体は骨髄が蒸発しきっていて鑑定も難しいそうです。DNAが取り出せないんですね。
 ◇  ◇  ◇
 ところでなんですけど。まーったく関係ないお話ですが。「またずれ」にお悩みの方。けっこういらっしゃいますよね。特に男性の方。女性でも太ももが太くてストッキングが切れてしまう人はいらっしゃるでしょうが、男性の場合だと、せっかく新調した高いスーツが瞬く間に摩擦で破れてしまって、いつのまにやら上下揃いのスーツは全然なくて、ワードローブを見ると「ブレザー」ばかり・・・という。
 ことに、そんなにすごい肥満という方でなくとも、摩擦に弱そうな織り目の粗い毛織の生地のスーツなど、けっこう擦れてしまうものじゃないでしょうか。
 いちばんいいのは、ポリエステルの混入率が高いスラックスをはくことですが、しかしそれはどうしても安物くさいのは否めない。
 毛織りでも目が詰まっていて分厚い、摩擦に強い生地というのはありますけど、しかし最近の流行の生地を見ると、どっちかというと薄くて弱そうな生地が多いなあ、と。
 で、これの解決策として、汗とりの小さな布をつけてくれるテーラーさんが最近は多いですよね、またずれを訴えると。量販系だと青山さんとか、こないだ行った銀座山形屋さんもそうでした。しかし、経験者として言いますと、少しぐらいああいう汗を吸う布をつけても摩擦が強いわけだからたちまちヨレヨレになって、肝心の汗とりの部分が摩擦で縮れてしまうというのが多い。
 ただ、私はこの、汗を布地に浸透させなきゃ、摩擦はあっても破れない、という考え方をかなりこれまでは、本気にしないできたんですが・・・だって、問題は汗じゃなくて、足の太さと摩擦だろ、なにをどうしたって無駄だよ、と思いこんでいたわけですが、しかしふと思い立ち、じじくさい、と呼ばれてももはや気にならない39歳ですから、ステテコ、股引あるいはズボン下ですね、関西じゃパッチなんていうところもありますか、あれを穿いてみました、先月ぐらいから。
 はっきりいって、太い足にさらにもう一枚加わっては、窮屈になってよけいに摩擦がひどくなるんじゃないか、と私は思っていたし、例の汗とり布にもそういう見方をしていた。
 が、試してみて、明らかに効果がありましたが、どんなに汗ばむ日でも、ズボン下が汗を吸ってくれて、決してズボンの生地まで浸透しない。その結果、ズボンはドライなままで摩擦があっても摺り切れない、というのは本当らしい、と思いました。
 また、太ももが太い人は、ズボンの布地がまたから尻にかけて妙なふうに食い込んだりよじれたりして、それで生地が傷むというのもよく経験されるでしょうが、ズボン下を穿くとそれもまったく気にならなくなります。
 結局、クール・ビズとかウオーム・ビズとかいうときにも、最近の若い人のようにシャツもズボン下もなしで、素肌の上にスーツを着込む、というのがここ何十年かの流行だったけれど、それは間違いで、ちゃんと昔の人のように下着をつけたほうが夏は涼しく冬は暖かいという話が、よく出てきます。
 で、またずれ、というのもズボン下をつけた方がまず間違いなく、防げると、これは自分で経験してみて思いました。
 ことに、最近の流行として、きちんとしたスーツ姿の人は靴下もロングホーズを穿くと思います。だとするならば、ロングホーズのときにはズボン下もあるほうが、きまると思います。
 要は、昔のオヤジのようなイメージじゃなくて、紳士のファッションとして着ければいいのじゃないかと思います。
 カフスボタンもやら、ネクタイピンやら、古風な小物も復活してきているといいます。ズボン下もそろそろ復権、というのはいかがでしょうか。
 まるでファッション系のブログみたいになりましたが・・・。

2006年5月06日(土)
 5月5日のこどもの日は、新聞休刊日であります。ということで、お休みでありました。もちろん6日からは普通に出勤ですので、世間の連休とは無関係。しかし一応、お休みはお休みでありました。
 そういうわけで、とりあえず午後に起き出して、近所の電器屋さんでDVDレコーダーなど見て・・・というのは、今になってもうちにはないからなんですが、せっかく大画面テレビを買ったので、レコーダーも買うか、という気になりました。もちろん、店頭で一番お安い機種を選びました。
 で、そこから・・・ふと気が変わりまして、なんとなく「IKEA」に行ってみるか、という話になりました。http://www.ikea.com/ms/ja_JP/local_home/funabashi.html
 IKEA(イケア)ってなんだ、と思われる方もいるかもしれませんが、4月末に船橋市のスキー場ザウス跡地にオープンしたスウェーデンの大型家具チェーンです。JR京葉線沿線では、3月ごろからチラシや立派なパンフレットが配布されていて、シンプルで飾り気のない、しかしいかにも北欧の合理的な発想の家具を、お手軽な価格で、ただし持ち帰りも組み立ても出来るだけお客様のセルフサービスで、というコンセプトがなかなか興味深く、一度行って見よう、と前から言っていたのではあります。ちょっと本棚を物色中なので、もしいいものがあったら、とも思いまして。
 それに同店は、ホットドッグスタンドとか、スウェーデン名物のディルを散らしたサーモンやミートボール(ミートボールというのはそもそもスウェーデンの郷土料理なんですってね、私はジョエル・ロブションの番組で知りました)を出すレストランもあるとか。それはちょっと
 ところが、先月ぐらいになると東京駅あたりでも大宣伝をはじめていて、テレビ番組、たとえばテレ東のワールドビジネスサテライトなんかでも取り上げたそうで、オープン初日は4万人近い人出、その後も駐車場待ちが3時間だとか、ディズニー並みの入場制限だとか、とにかくものすごい込みよう、という話が伝わってまいりました。
 が、そんなに本当に込んでいるのなら、どんなものか、怖いもの見たさで見にいってやろう、という出来心で、浦安のジャンクションから国道357で船橋に向かったのであります・・・まあ、普通なら30分ほどの道のりですね。
 ところが、5月5日、祝日の午後だったわけですが、357は・・・おや、すいているじゃないか。はっきりいっていつもより空いているかも。市川インターあたりはいつも大混雑なんだが、今日は大したことなく・・・さすがにしかし、船橋市に入ると渋滞。が、ここも予想したほどじゃないなあ・・・が、「IKEA右折」という表示のあたりまで来ると、ああ・・・面倒くさ。ここから駐車場がきっとえらいことになっているのだろう。もう青地に黄色でIKEAと大書した看板が見えていましたが、私は左折して、「ららぽーと」(こちらも隣接する巨大なショッピングモールです)に向かいました。ところがねえ・・・もともとこのへんは渋滞地獄なうえにIKEAですから。ららぽーと側もなかなか進めない。
 結局、その左折してからららぽーとの駐車場までで30分かかりましたかね。IKEA側に曲がっていたらどうなったかしらね。
 で、とりあえず、ららぽーとを見て、後でIKEAにも回ってみよう、と思ったのだけど途中のペットショップで、またまた今年もヤドカリ虐待セット「ハーミーズクラブ」なんてものを見つけてしまったり(昨年、悪名を高めた後、他社と合併して消滅したT社は一応手を引いて、日本動物薬品株式会社(ニチドー)http://www.jpd-nd.com/company.htmlが一手販売しているみたいですね、今年は)して、すっかり手間取ってしまいました。
 ちなみに、そのヤドカリ虐待セットというのは、生きたヤドカリをパック詰めにして飼育用の水槽と一緒に売りつけるもので、プラケース詰めにされたヤドカリが衰弱死してミイラとなることが続出、昨年あたりはかなり愛好家の間で問題になった商品です。
 そもそもニチドーとT社の共同企画だったんですね、本来。ニチドーは熱帯魚用の優れた薬品グリーンFなどで知られる会社なんですが、なんでこんな安易な金儲けにのったのかねえ・・・。
 まあ、それはともかく。そんなわけで、ららぽーと内ですでに7時半になってしまい、またちょっと見ると行きかう人は手に手にIKEAの袋を持っているので、こんな状態じゃどうにもならない、と断念。なにしろ一周するだけで3時間はかかる、と聴いています。それで今回は、目と鼻の先まで行ったけれどIKEAには入らないままで終わりました(同店は8時で閉店)。
 早めに出たので帰りはスムーズ。30分で浦安に戻りました。しかしあのまま愚図愚図していたら、渋滞につかまったかもしれません。

2006年5月05日(金)
先日、妻と話していて、足に合う靴がなかなかない、という話になり、それではどこかいいところで、それなりにいい靴でも捜したら、という話になった。で、「昔は銀座のヨシノヤが有名だったけど最近はどうだか」などというので、「吉野家? 銀座の牛丼店?」と真顔で聞いた私はアホでした。「銀座ヨシノヤ」と片仮名で書かれるとぴんと来る。老舗のブランド靴屋である。
 が、それでまた、基本的に女性向けブランドだろう、と思い気乗り薄なまま、しかしヨシノヤのサイトを眺めてみると・・・男性ものも展開しているらしい。それも、9分仕立てといって、すくい縫い以外の9割の工程が手縫い、手作りだそうである。そりゃすごい、グッドイヤー・ウエルトどころじゃないハンドソーンぶりやんけ。
 で、かえって私のほうが大乗り気になって、銀座ヨシノヤへ。はじめ松坂屋前の6丁目店に行くが、紳士物は和光の横の4丁目店、と聞いてそっちに行ってみる。
 で、見てみると・・・すごいのね。見事なできばえというの。なんとなく、すばらしい光沢のバーガンティのメダリオンが入った美しいストレートチップを見つける。「それは、タンナーがフランスの最高のところで、エドワード・グリーンさんなんかと同じ素材ですよ」と言われる。なかなか、靴マニアの心を読んだことを言われて、しかもエドワード・グリーンでこれと同じようなものを買えば間違いなく倍の値段である。
 で、清水の舞台から飛び降りたつもりで買ってしまった。クロケット&ジョーンズやリーガル、チャーチの靴をここ2か月ほどで買い集めたばかりじゃないか。ばかばかばか。でも買ってしまった。とにかく美しいんですよ、この色が。細工もいいし、適度な重さで見かけの印象よりぐっと軽い。繊細な靴である。
 で、今度は妻がオーダー靴をあつらえることにした。私もビスポークなんてしたことがないので、妻の採寸を興味津々で見る。「ほお、あんたの足はガース(足囲)がつま先から上の方までおんなじなんだね」なんて言うと、店員さんも、ある程度、こちらが知識を持っていると思ったらしく、けっこういろいろ話してくれる。「ひも靴のほうが合わせやすいんだよ。ゆるい靴ほど足が痛くなる」なんて言うと「そう、ご主人のおっしゃるとおりです」なんて具合で。で、かなり悪戦苦闘の末に妻用のデザインが決まる。やはりピアノを長い間弾いていたために、右足がペダルを踏み込む形で、指が変形していて、それが既成靴ではあわないのだ、という。
 ヨシノヤにはいろいろなお客さんが来て、まあ裕福そうなマダムとつれられてきた旦那という図が多いみたいだが、おしゃれな奥さんに引き替え、こういうところにいわゆるギョーザ靴のスリッポンで来る人を見ると、興ざめである。
 ◇  ◇  ◇
 さらに、今度は銀座山形屋に行ってみる。なんとなく、ここのオーダースーツというのを一度でいいから作ってみたかったのだが、行ってみて驚いたことに、ジーンズにセーター姿のオヤジがいる。バカじゃなかろうか。背広買いに来てあれじゃあなあ・・・。
 どこに行っても、興ざめな奴がイルものだ。
 ◇  ◇  ◇
 行きの地下鉄じゃ、やはりGWなのでお上りさんなのか、中学生ぐらいのいい年なのに、つり革にぶら下がってサルのように遊ぶ恐るべき田舎者の集団を発見。ここは常磐線か、と思ってしまった。これも興ざめな奴らだ。おそらく渋谷にでも行くんだろう。ことにいまどきピンクのはみパンで粋だと思っているらしい奴は、死んだ方がいいんじゃないか、と思われた。自分で負け組志願しているような奴らである。
 ◇  ◇  ◇
 思い出した。そういえばジャパネットたかたの威勢のいい番組についにのせられて、36回ローン、金利手数料は全部先方持ち、さらに古いテレビで3万円の下取り、という甘い言葉に乗ぜられて、とうとう、あんなに興味がないといっていた薄型テレビを買ってしまったのであった。本当に罪な番組だ。32型で22万円・・・安いのは確かである。シャープのアクオスという奴である。
 それで、いきなりプレステをつないでFF12をやってみた。巨大すぎてなんだか分からないかんじ。それから映画を何本か見てみる。「空軍大戦略」とか戦争映画が特にものすごい大迫力である。シネスコープ版の映画もちゃんと全面が見られて嬉しい。
 ・・・まあそんな散在をして、私の短いGWは終わったのでありました・・・。

2006年5月04日(木)
村上ファンドと阪神と阪急のことでなにやら騒いでいるが、実際のところ村上氏というのはいけすかない人だし、あの目つきは申し訳ないけど、詐欺師のようなすすどいものだし、好感を持つとはとてもいえない。あえていって、素直な目立ちたがり屋だった堀江被告より百倍悪党くさい(それだけやり手なんだろうが)。
 が、とにかく交渉の手練手管というのはいろいろで、結局は株を高く売り抜けるというのが最大の目標だろうし、いま村上ファンドから出てきている要求なんてものをいちいち真に受けて騒ぎすぎているのもいかがなものか、という面もあろう。
 それはそれとして、今回の阪神ファンの一部の声に、それは一部の声と思うが、、村上憎しというのはまあわかったが、「なんで今までのままであかんのか。これまで通りでそっとしといてや」というのがあるのは、私は違うと思う。あれだけの含み資産がありながら十年一日、内部留保を溜め込んでいい加減な経営をしてきた阪神本隊に問題があるのは間違いなくて、経営陣はいってみれば鎖国時代の中国の官僚とか、日本の幕府の役人みたいな連中であり、それだからこそこれまでもたびたび、阪神の選手から、フロントや本隊に対して不満の声、「あいつらはアホだ」というのが出てきていたのも事実ではないか。
 あのままでええ、わけではないのは間違いないのである。まあええわええわ、そのいい加減なところが阪神らしくてええんやないか、という情緒論みたいのが通らない時代になってしまった、ということなのは確かである。
 昨年、一昨年あたり、ヒステリーのように球界改革とか、民主化とか、いろいろいってみたが、結果は球界総ジリ貧ではないか、と前にも私は書いた。巨人の渡辺会長あたりを悪者にして、古田とか、よりにもよってホリエモンが改革の旗手だとか思って喝采を送っていた人たち。思うにこの人らは昨年の9月の選挙でも、小泉首相を、あんな実際にはもはや万策尽きて改革のイメージを保ちつつうまく引退するしか考えていない人物を、まるでこれから改革をやってくれる人のように応援したのだろう。
 だからさ、誰かがものすごい天才で、その人についていけばみんな大丈夫、なんて講談とか映画みたいな話は実際にはないんだって。

2006年5月03日(水)
 昨日は独仏英合作映画「戦場のアリア」を見てまいりました。「トロイ」「ナショナル・トレジャー」と大作に抜擢されて急激に知名度を上げてきたダイアン・クリューガーの新作でもあります。というか、クリューガーはそもそもドイツ人であって、ドイツ系でハリウッドのメジャー女優というのは近頃珍しい成功例。が、ぜひとも英語じゃないドイツ語でしゃばる彼女を見てみたい、と思いました。やっぱり言語が違うと、頭の中の発想から変わってきて、表情も違ってきますよね。だから「ヒトラー最期の十二日間」にはドイツ語のヒトラーを描く、というだけで意味があったのです。そこらへん分からない人には永遠に分からない感じですが。
 で、舞台は1914年、第一次大戦の劈頭であります。冒頭で、スコットランドの兄弟が「さあ、これで俺たちの人生が始まるんだ。戦争に行こうぜ!」と喜び勇んで出かけていくシーンが出てきますが、あれは本当に、ちょっとしたピクニック気分というか、当時の若者にとって戦争というのは、まだまだのんびりした、まあ貴族のたしなみの延長というか、気分転換のスリルのある冒険というか、まだまだ戦争というよりはいくさ、合戦、というイメージだったんですね。
 しかも、どこの国でも、「まあ戦争なんて言っても、クリスマスぐらいにはおしまいになるさ」というのが普通の見方で、ドイツ皇帝ヴィルヘルムもそんな演説をしています。した。4年も5年も続く国家総力戦なんて考え方は一般的ではなかった。というか、戦争を始めた指導者たちだってそんなに大変だと知っていれば始めなかっただろう(イラク戦争だって太平洋戦争だってそうですね)。緒戦では、飛行機も戦車も毒ガスも登場していないし、映画に出てくる各国の兵士も、ヘルメットを着用していないことに気付きます。みんな布製の帽子とか、ドイツ軍は革製の帽子です。そんなのどかな戦争という要素も残っている時期ですが、一方で、ドイツ軍の機関銃というものが、そろそろ非人道的な兵器という感じで出てきており、お互いに塹壕にとじこもってにらみあい、暗い冬を過ごす。「おや、こんなはずではなかった。こんなひどい戦争になるとは・・・」と誰もが思い始めた、そんな最初のクリスマス。
 そこで、お互いに先頭に疲れ幻滅し始めたなか、思いがけず、ドイツ軍側から美しい声で「きよしこの夜」が聞こえる。その素晴らしさと、戦場で聞く思いがけなさに連合軍側が感動し、拍手喝さいする。ドイツの歌手も、歌声が敵の心にも届いたことに感銘を覚えて、つい、さっきまで銃弾が飛び交っていた中間地点にクリスマスツリーを持って歩み出す。連合軍の兵士も銃を捨て、歩み出して・・・そんな、奇跡の様なことが、しかし実際にあったことなんですよね、これは。この映画を見る前から、そんなクリスマスの奇蹟、という話は知っていましたが、映画化されたのははじめてじゃないでしょうか。
 ダイアン・クリューガー、いつもの無理して英語でアメリカ人のふりしているような演技よりも、ドイツ語の彼女は本当に生き生きしています。フランス軍の指揮官役のギョーム・カネはご主人だったはずですが、最近、離婚したという報道もありますが・・・少なくともこの映画撮影時は夫婦だったはずです。歌手の役なので、歌うシーンは口パクあわせですが、そこらへんはあまり上手じゃないかも。ま、それはそんなに気になりませんでしたが、本筋じゃないことだから。
 いうまでもなく、ドイツ人はドイツ語、フランス人はフランス語、スコットランド人はなまりの強い英語を使っています。当たり前のことなんだけど、そこがいい。
 各国の軍服や軍装も忠実ですね。マニアも大満足でしょう。戦死者の弔い方、たとえばドイツ軍だと首からぶら下げた認識票下半分を折り取って記録に回すんですが、そんなところまで描いています。
 両軍の兵士が歩み寄るシーンは、まことに感動的です。そしてその後、顔を知り、名前を知ってしまうともはやお互いに発砲できなくなる。まして同じ宗教の人たちですから(そこらが太平洋戦争やイラク戦争との大きな違い)。また、後のほうで、同じキリスト教徒同士なのに、えらい司教様なんかは「ドイツ人を殺せ!」と説教しているシーンが出てきます。あんなんで宗教家といえるのか、というメッセージもありますね。どっちも同じ神様に祈っているというわけですから。
 最後には、敵と親しくなったのは国家反逆罪だと言って、各国の兵士たちは処罰の対象になります。ドイツ軍部隊は東プロシア、タンネンベルクに送られるようでした。指揮官は自らユダヤ系だ、といっていました。彼はもしタンネンベルクの激戦で生き残っても、その後はどういう運命を辿ったでしょうか・・・。
 ルワンダや、ヘルツェゴビナや、イラクでは、顔を見知っていて昨日まで仲良かった市民同士が、急に憎しみあい、戦争を始めるという実例も逆にあります。が、このような実話もあるんだ、決して嘘じゃないんだ、という強さ。
 今の時期にこういう映画が作られたことには、それだけの意味があると思いました。場内も思った以上に人が入っていました。
 考えさせられる一本でしたね。

2006年5月02日(火)
 アメリカじゃ「不法入国者」がストライキで大騒ぎだそうだが、あの国もここにきていろいろと、自分らの問題点を認識しはじめたのかもしれない。ひところの「アメリカは偉大な国だ」という口癖も、最近はかなり自信喪失しているようである。ブッシュも支持率33%と言う。テロとの戦いなんていっても、それは第二次大戦みたいな勝利者としてのカタルシスを得られる甘美な戦争じゃない。その当たり前のことに遅まきながら気付いたのだとしたら、もちろん、それは正常なことである。
 ◇  ◇  ◇
 近所のペットショップに「チズガメ」というカメの赤ちゃんがいて、前から妻が欲しがっていた。で、昨日は出かけて行ったところ、その種類は売り切れていて、別の「ハナガメ」というのを売っていた。それがまたかわいい、というので買うかどうかしばし悩んだ。とはいえ、うちにはすでに年齢25歳前後のカメと、赤ちゃんカメがいるので、今回は見送った・・・で、ここでも話題になったのだけど、「サイテス」の規制はまだかかっていませんか、まだ大丈夫ですが、サイテスに登録されると入ってきませんよ、というのが近頃のペットショップでの愛好家や店員のやりとりの決まり台詞だ。
 「サイテス」とはなんだ、と思う人も多かろう。CITESは、正式にはConvention on International Trade in EndangeredSpecies of Wild Fauna and Flora(絶滅の恐れのある野生動植物の国際取り引きに関する条約) だ。一般にはワシントン条約として知られており、1975年7月発効した。
 で、昨日行ったところはそうではなかったが、このところのペットショップやペットの通販サイトではやたらサイテスのことが書いてあって、しきりに「この種類はサイテス入り決定的。買うなら今!」と煽っているのである。まあ、あおりとばかりはいえなく、本当に取引禁止になるものもあるだろうからあれなんだが・・・しかし、煽られると焦りますよね実際に。
 あのいちばんありふれたミドリガメなんてのも、外来種なので、ひょっとしたら幻のカメになるかもしれないという。先ごろ、サルモネラ菌で大騒ぎしたが、あれはそもそも安易に飼い過ぎるのである。どんなペットでも人間ではないので人間にとっては危険な菌はいるものである。そのへん、理解しないで安易に幼稚園なんかで飼って、子供が死ぬというのはそれは管理者、大人の無知が一番もんだいである。
 先日、九州の某新聞社の支局長というのが、サイテス入りしていたカメを飼っていて、発覚を恐れそのカメをこともあろうに殺してしまった、なんて話題があった。もちろん動物虐待で、送検かなんかされたと思う。
 サイテスてのは、いうまでもなく動物保護の観点でやっているわけだけど、逆に投機的な売買を煽ったりすることもある。またびびってこういう馬鹿なことをしでかすヤツも出てくる。
 ペット商売も、まったく株の取引のように、金儲け、投機という発想だけでやっている人間も多くて、本当に動物好きな人から見ると腹立たしいものである・・・が、商魂たくましい人がいないと、珍しいマニア好みのものが入手できないのも事実である。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、さらに別のペットショップに行ったところが、前からあまりにも劣悪な環境で、昨年などはヤドカリにゴキブリの幼虫がたかっているような、ほかの鳥にしろ魚にしろ、ひどい状態で不潔なままにしている店で、冷房もなく、犬なんか暑くてぐったりしている、というまるで強制収容所みたいなところだったのだが、とうとう閉店したらしい。久しぶりに行ったところ、別の店に変わっていた。
 そういえば、今年あたり、どこへ行っても・・・ああ、今年もヤドカリの解禁となってあちこちでヤドカリが売られるようになっているが、昨年、あまりにもまた生き物を粗末にしたような「セット」を売っていたトミー社はもはや他社と合併して存在しなくなり、ヤドカリでも魚でもなんでも袋詰めにしてレトルト食品かなにかのように効率第一、儲け第一が見え見えの某社も、本年はヤドカリ「虐待セット」を今のところ出しているのかいないのか(確か昨年はあまりの動物虐待振りに警察の捜査が入ったとか聞く)・・・で、今年はもっとましなセットと、ましな飼育環境を整えようという雰囲気が確かに出ているように見えるが、どうであろうか。昨年までの「ヤドカリなんて簡単なんです。ほっとけば生きてます。それにすぐに死んじゃいますが、安いモンですから。沖縄いけばいくらでもうじゃうじゃいますから」なんて安易さは、そろそろ通用しないと思われる。あれはなかなか湿度管理が難しく、餌もかなり好き嫌いがあるし、脱皮させるのが非常に困難だし、そんなに簡単なペットではない。その一方、本来の寿命は30年近くある。すぐに死ぬ、というのも嘘で、本当にすぐ死んだのならそれは人間のせいである。
 昨年の、いかにも無知な初心者を騙すような商売は厳に控えていただきたいものだ。消費者もいつまでも馬鹿なわけではない。

2006年5月01日(月)
GW真っ只中、でございますね。私は本日は・・・たんなる公休です。しかしあれか、今日は逆に出社の人も多いんですね。わっははは・・・イイダロー(自虐?)。っていうか、たんなる公休なんでぜんぜんなんでもないんですが。昨日も会社から帰宅したのは午前1時ですので。千葉県香取市長選挙のせいです(いつも当サイトをご覧の方はご存知の通り、某新聞社におりますので)。
 しっかしさあ、夜9時半から開票って遅くない? 大勢判明が11時すぎって遅くない?
 新市長の宇井さんには、そのへんなんとかしてほしい(というか選挙管理委員会の問題かもしれないが。市町合併で慎重を期したのは理解しますが)。
 ◇  ◇  ◇
 東京は真夏日ですって。私の部屋も30度。真夏日です・・・。
 ◇  ◇  ◇
 かつて、某Jリーグのサッカーチームのホームグラウンドの入場者数を調査する仕事をしたことがある。ほんの1年前まで、そこに勤めている知人から「チケットが欲しいときは言って下さい。なんとかしますよ」とけっこうでかい態度で言われていた。
 が、Jリーグのチームが増えるに連れて、相対的に価値が低下。そしてまたたく間に人気低落してしまった。本当に、あっという間に入場者が減っていく・・・ものの半年もたたないうちに閑古鳥、だった。
 人間というのは共同幻想というか、神話というものをどんな人でも持っていて、とくにみんなの崇拝が重なっていればブランドというもんが成り立ち、それだけで一人歩きの値段がつく。どんなブランド物愛好者でも、自分の愛用するものの実用的価値から来る値段は、実際に払った値段の何分の一の価値しかないことを十分に理解している。ブランドイメージに投資するのだし、それを身につけることに意味があるのだ。
 だから、ブランドというのは、それに幻想を抱いていない人からするとほとんど値打ちがない。
 また、みんなが急激にその熱から冷めてしまうと、ブランドは本来の即物的値段だけのガラクタに転落する。ちょうど、国家が破綻したら、1万円札も5000円札もただの紙切れになるのと同じである。紙幣というのは、お守りと同じである。信仰心がなければ紙切れなのである。ブランドも同じである。
 Jリーグも、裾野は広がったが、ブランド価値は低下した。そしてサッカー人気は高まったものの、ワールドカップや国際試合の人気は上がっても、Jリーグそのものは興行としても人気としてもぜんぜんふるわなくなった。つまり珍しさもなくブランドでもなくなったのである。もはやテレビでもまともに扱わない。
 で、プロ野球である。巨人軍と阪神が、長い間、野球というもののブランド力を保障していた。この信仰が崩れた。よってたかって、これを否定するのがいいことだ、という風潮がずねてを洗い流した。そして、巨人というのはだたの凡庸な球団であることがみんなに分かってしまった。冷めてしまったのである。
 巨人軍の視聴率がまた低下したそうである。
 信仰を破壊することは簡単だったが、その結果として、全体のブランド力もなくなってしまった。物事は「民主化」したり「平等化」すればいいわけではない。
 皇室の議論なんかでも、同じようなことが言える。国民と同じ凡庸な人、ということがはっきり出てきてしまったら、その瞬間に神話は終わるのである。
 野球はもはや、国際試合以外は人気を呼べないものになったのだろう。サッカーの轍を踏みたくなかったろうに、サッカーのことばかり気にした一部の改革論者がダイナシにしてしまったのだと思う。
 古いものはうざったい。しかし、それを壊した後は不毛しか残らないことも多い。歴史や伝統を重んずる国はそういうことをよく理解している。英国が革命をちゃらにして王政復古したのはそういうことだった。
 

2006年4月30日(日)
やればできるんじゃないの。「大阪市が2005年度から、交際費を使った相手を全面公開し、支出対象や金額の目安なども明確にしたところ、支出総額が前年度の2183万円から107万円と95%も減ったことがわかった。「名前が出るなら遠慮したい」と供花などを相手先から辞退されるケースが相次いだことや、地域団体への賛助金廃止などで、交際費の劇的な“節約”につながったようだ」(読売新聞)のだそうだ。「香典や供花は、元市議や連合町会役員、市民表彰受賞者などに限定。「弔意は2万円以内を基本」「見舞いは1万円程度まで」と上限を定めた」というんだが、名前が出るなら不都合、というような話ならはじめから受け取らなければいい。
 例の「個人情報保護」というのばかりを押し立てると、世の中駄目だ、という証左でもありますね。とにかく官に近い世界ではプライバシーはないんだ、というのが原則であるべきで、日本のやっていることは世界的に見て退行でしょう。
 日本は成功者に嫉妬して足を引っ張る嫌な国で、アメリカなどはそのへんがおおらかだからうまくいっている、と勝ち組論者はいいたがりますが、それは嘘。勝ち組に嫉妬するなんてのは万国共通。どんな人種でも成功者には厳しい。ただ、そういう国じゃ、エリートとか成功者にはそれなりの作法があり、寄付も社会貢献もしなければならないし、プライバシーもばしばし暴かれる。個人の権利や自由を唱える国であっても、こと政治家や官僚などに関しては基本的になんのプライバシーも認めないに等しく、それが嫌な人は権力者になってはいけない、とされている。そんな感じで、立身出世というのは名誉だけどしんどいことなんですな、そういう場合は。「エリートも大変ジャン」と思えばこそ、少しは納得できる。
 それがどこかの国のように、なにがどうあっても責任はあいまいで、どんな失敗をやらかしても、まるで小市民のように個人情報とかいい逃れて、役得や美味い汁だけはこっそり吸い放題で・・・なんてのはそりゃ叩かれてもしかたあるまい、である。
 ◇  ◇  ◇
 にしても、最近はスパムメールは比較的減ってきた。スパムメールカット機能をつけたりして、結局、いい加減なメールはみんな自動的にゴミ箱行きである。そのかわりに、ブログのほうにエロサイトのトラックバックが連日やたらとくる。毎日12時前ごろに何十となく届くんだが、アホだよねえ。うちみたいな弱小サイトにリンクしてなんの効果があるんだろうか。
 ◇  ◇  ◇
 今日は、香取市長選挙という、全国的には誰も知らない千葉県のある市の選挙がある。これのせいで今日も私は日付が変わるまで帰宅できない予定である・・・。
 香取市? と思う人も多かろう。これは旧佐原市が周辺の町と合併したものだ。ゴールデンウイークに選挙を設定するなんて、悪いが、まずまともな感覚の町とは思われない。市民の方すみません。でもそう思いません? ほかの合併市はほとんどこないだの23日、千葉7区補選といっしょか、その前に選挙を済ませてますよ。



2006年4月29日(土)
 ふとテレビをつけたら、ベストヒットUSAの再放送をやっていた。小林克也さんが相変わらずやっている・・・自分が高校生ぐらいのときもこのスタイルだったから、20年変わりなし、はお見事である。
 この番組の「今日は何の日」のようなコーナーはたまに見ると面白く、少し前には、フリーのポール・コゾフとオジー・オズボーン・バンドのランディ・ローズの命日(3月19日)についてやっていた(どっちも飛行機事故だし、同じ日というのは機縁である)。
 本当に久しぶりにアメリカのチャートを眺めてみる。なんか一昔前の、ヒップホップとオルタナティブが席巻した状態・・・要するにリズムがクラブのりか古風なロックのりかの違いだけで、どれもこれも「メロディーがない」という状況からかなり変化しているのがわかる。ニーヨという若いシンガーのソウルフルなバラードは、2、30年まえのヒット曲かといわれてもおかしくない懐かしいもの・・・つまりは美しいメロディー、印象的なサビを持っている。なんだ、こういう曲もちゃんとあるし、こういう曲だってちゃんと理解できるんじゃないかアメリカ人。それに近頃話題の英国発ジェームズ・ブラント。かつて英国陸軍の兵士であって、宿営地でひそかに曲作りしていたのだというが、中にはあのコソボの基地で作曲したものもあるという。除隊後に見事にデビューし、昨夏あたりはすっかり売れっ子に・・・という人だが、確かに「ユアー・ビューティフル」なんて、この人もかなり昔のシンガー・ソングライターを髣髴とさせる。
 最近はまーったくヒットチャートに興味がなく、とくになんか幼稚な感じの「元気が出る曲」みたいなのが多い日本のチャートなどは、出てくるだけでうんざりする。あんなにパンク調の雑な曲がヒットしているのは今、わが国だけじゃないか。ま、今の日本は80年代のサッチャーのイギリスなんかに似た状況といえるので、わからないでもないが。
 が、USAチャートは、ひところの国を挙げた傲慢な感じが少し和らいで、こういうヒット曲もまあ日本で言うところの癒しを求めているというか、普遍的な「いい曲」が回帰している印象なのはよいことである。
 ◇  ◇  ◇
 世間は今日あたりから連休モードに突入、でありましょう。私は今日も明日も出勤ですけどね、毎度のように。連休前に決算発表する会社が多くて、こちらは困ってしまうのであるよ。昨日だけで百何十社も決算を発表してくれて、どうしてそういうことになるのか、今でも目立ちたくないとか、ひっそり終わりたいとか、そういう発想があるのかなあ。
 気付いたらソニーが業績急回復とか、全日空が絶好調とか・・・まあいろいろあるようであります。結局「ブラビア」が売れたみたいですね、ソニーは。まだまだソニーの新型、というブランド力は顕在だったようだ。それは素晴らしいが、しかしああいう薄型テレビはすでにメーカーからすれば底値も底値でまったく儲からないとか。今回の黒字の大きな要因は為替差益と厚生年金返上、ということらしい。「この後PS3が売れてくれないと厳しい」というのが大方の見方だとか。
 あれなあ・・・うちなんか、PS3が出れば欲しいとは思うんだけど、うちはゲーマーとしては携帯ライト派じゃなくて、高性能機の本格ゲーム派、ということになるので。それでまた、オンラインには興味がないのでパソコンではやらない。しかし、PS2のときも手に入れるのにかなり苦労したけど。入手したのは発売から2か月後だった。並んでまで買いたいというほど熱心じゃないので・・・。
 それはとにかく、一昔前には、全日空と日航は比較の対象とはいえなかった。横綱と小結ぐらいの差はあっただろう。ソニーとシャープも比較するような会社ではなかったように思う。ほんの数年先が読めないわけである。
 

2006年4月28日(金)
ほらまたみんな、なんとなく忘れてしまっているが・・・すでに定率減税から始まって増税は着々と進んでいくに相違なく、小泉さんはその直前に逃げ出すということに違いなく、国民の支持率がここまで高いのは「あれだけ威勢がいいことを言って来たのだから逃げないでよ」というのがホンネなんだけど、彼はあたかも自分の引き際の美意識であるかのようにいい募って相変わらずポーズ、かっこつけ、演出が好きな男である・・・しかも多くの国民はあれがたんなるかこつけとは思わない。国民なんてのはつくづくお人よしの馬鹿である。
 サラリーマン増税の計算ができるサイトを見つけた。
http://www.think-tax.jp/index.html  これでやると、うちなどは年間80万円近く増税となる。まあ簡単に言ってボーナスが全部吹き飛ぶぐらいの増税である。
 このうえに消費税が10%とかいずれは20%とかになる。たとえば定価8000円のものを買おうとすると、9600円になってしまって、ほぼ1万円がなくなるようになる。
 これがわれわれの未来である。何回か書いたが、ほしいものはいまのうちに買っておかれたほうが絶対にいいと思う。増税がきてから、では、とても買うことは出来まい。5万円のお小遣いの人は3万円に、3万円の人は1万円に、1万円の人は・・・ゼロにするしかなくなるのは確実である。
 昨年の9月に、「増税もやむをえない」などと政府の回し者のように書いていた人たちはさぞかし生活が豊かなのだろう。実際、そういう人らが想像していたレベルじゃないんだと言っているんだけどなあ・・・。
 ◇  ◇  ◇
 するととってつけたように、またこの人はポーズ、である。演出である。「知事とか市長の退職金は多すぎる。私もいらないから、知事や市長もあきらめてもらったらどうだろうか」小泉純一郎首相は27日の経済財政諮問会議でこう述べ、自治体トップの退職金の廃止を求めた。・・・首長は任期ごとに退職金が支給され、多選されると合計で数億円に達することも。ただ財政再建などのため退職金の廃止を今年に入って決めた自治体もある。宮城県知事は約5200万円、大阪市長は約2400万円を受け取れないことになった。一方、首相や閣僚などの特別職は、在任期間に応じ退職金が支給される。小泉首相が今年秋で退陣すれば退職金は600万−700万円とみられる。(共同通信)というのだが、自分はそもそもあまり大した額じゃない、というのが味噌だよね。というか、首相なんかにも退職金があること自体、そもそも奇怪である。だからああいうのは「職業」じゃないと思うんですがね。結局、彼は在任中、自分の給料を大幅に減らそう、とは言わなかった。どこの自治体よりも転覆している国のリーダーなのに。
 国だって結局は破産する。今のところ破産しないのは、世界の基軸通貨とやらを握っているアメリカだけで、あの国は、国家も国民もじゃんじゃん借金して贅沢やら戦争やらにうつつをぬかしており、日本は自分はボロボロになりつつあの国の借金を補填し、あそこの国民の借金を肩代わりしながら、輸出して見せ掛け上は景気回復している気になっている。
 昨年の9月前後、日本とアメリカの関係をば、今のグローバル時代には国と国が お互いに支えあわなければいけないんだ、日本が潰れたらアメリカも困るんだから決して見捨てたりしないんだ、妙にアメリカの陰謀なんて考えるべきじゃない、なんてのどかなことを書いてきた低能な人がいた。
 あほなことを言うなや。アメリカはトヨタなんかは必要であっても、日本国民は必要じゃないんだよ、当然だけど。「日本」という中に自分たちのような有象無象が入っているかどうか、よく考えてみればよい。
 ◇  ◇  ◇
「内閣府が日米韓など5カ国で実施した「少子化社会に関する国際意識調査」によると、子供を持つ男女のうち「子供を増やしたい」と答えた人は日本で約4割と調査国中で最も低く、約8割のスウェーデンの半分程度の比率にとどまった。日本や韓国では「増やしたくない」と答えた人の半数以上が「子育てや教育に金がかかりすぎる」と金銭的理由を挙げ、他国に比べて金銭負担が重荷となっている実態が浮かび上がった」(毎日新聞)というのはなぜであろうか。未来に希望がないからであろう。これからの時代は厳しいとはさすがにみんな分かってきた。実際、昨年9月のころよりも、そうであろう。こういう時代にやっていける子供を育てるとなれば一流の教育をして、留学させて、それはもう・・・一人の子供に何千万も投資しなければならない。しかも必ずものになる保障はなく、しかもそれで成功した子供がいたとしても、親の老後などみてくれるわけもなく・・・。
 つまらない控除とか手当てとかいっているが、控除なんてはじめから税金払っていない人には関係ないし、フランス式のN分N乗控除なんてのはあくまで世帯納税式のフランスでしか応用できまい。手当ても結構だが焼け石に水、それにそっちでいくら優遇しても上のように増税もばんばん押し寄せるのだからちっとも親は安心できまい。日本の場合、教育は基本的に無料で、公教育はなまじの塾より優秀、というスウェーデンのような体制をとらない限り、もはや子供の数は増えまい。



2006年4月27日(木)
そんなわけで、近頃公開の映画を連日、順次、片付けているわけですが、ゆうべはマトリックスのウォシャウスキー兄弟の新作にして、ナタリー・ポートマンの新作でもある「Vフォー・ヴェンデッタ」を見てまいりました。ポートマンが逮捕されて、髪を刈られ丸坊主にされるシーンが話題を呼んでいるようですが、このあたりにはいろいろあって、ぜひ実際にご覧のほどを・・・。
 さてそれで、大筋を言えば、2020年ごろの近未来のロンドンが舞台。アメリカが今世紀のはじめに開始した「第三次世界大戦」とそれに続く内戦で完全に没落。英国が全体主義国家となって勢力を盛り返し、アメリカを植民地として再支配している、という設定が面白いです。冒頭で、独裁者サトラーの代理人である演説家(ロンドンの声と呼ばれる人物で要するにこの政権の宣伝大臣ゲッベルスのようなものでしょう)が「あの元アメリカ・ガス臭国のありさまをみていただきたい。彼らは傲慢で身を滅ぼしたのだ」などと演説しますが、あそこはなんだか、ものすごく気が晴れますね(!)。英国人のアメリカに対するホンネというのが見えた感じであります。
 サトラーというのは、保守党出身の政治家で、国防次官から、国内外の危機をきっかけに世論を煽り立てて、ナチス流の謀略(国民を詭計にかけるにはまず、国民を「攻撃」し、危機を煽り立てる・・・テロリストはそのために絶対に「必要」な装置である)で独裁者に上りつめます。が、ここに一人の謎の仮面男「V」が現れ、たった一人による革命劇を開始するのであります・・・。
 Vは仮面の騎士であり、なんか怪傑ゾロのようでもあり、仮面の下に素顔を隠し、正義感なのか殺人者なのか、芸術を愛する繊細な人物なのか、ときにサディスティックな屈折した人間なのか。おりおり口走るシェークスピアやゲーテの詩句がますますこの人物を正体不明にします。まあハリウッドからは出てこないヒーローです。
 ずーっと、ガイ・フォークスのお面をかぶっている主演のヒューゴ・ウィーイングは「マトリックス」シリーズや、「ロード・オブ・ザ・リング」で有名です。「ロード・・・」ではリブ・タイラー演じるアルウェン姫の父・裂け谷の王エルロンドの役でした。表情が出せないので台詞回しと動きで魅力的に見せないといけない。難役だったと思います。
 この怪人物に恐怖を感じつつ、愛情を抱いて行ってしまうナタリー・ポートマンの渾身の演技も見物です。緊迫したシーンが多く、演じていて大変だったろうと思われます。で、少女と怪人の出会いと成長、愛へ、という展開は「オペラ座の怪人」にも似ています。実際に影響はあったのじゃないでしょうか。
 原作は英国のコミックで、キアヌ・リーブス主演でヒットした「コンスタンティン」のコミック版の原作者と同じ人物。癖のある人物描写にひねりのある世界観。そして全体のトーンの暗さ。確かにアメリカ人じゃ出てこない感じです。
 あきらかにナチス・ドイツのパロと思われる体制側がちょっと地味というか、いまひとつ怖さや迫力がないのが遺憾。サトラーというのはサッチャー+ヒトラーなんだと思いますが、彼がいかにしてカリスマになったか、というところは弱いかもしれません。やはり本人にそれなりの魅力がないとどんなに謀略を重ねても権力者にはなれても独裁者にはなりがたい。あの描き方だとただのずるい権力者です。実際、ヒトラーみたいな悪魔的な人物だったら、あのぐらいのVの国民扇動でも見事にはねかえしてしまうかもしれない、なんて思いました。サトラーの国民はただ恐怖と統制で抑えられているだけで、洗脳をいくらされても、ぜんぜん「崇拝」していないんですよ、独裁者を。あのへんがイギリスなのかしら。
 また、国民統制の方法がテレビ・新聞・ラジオ・監視カメラ・盗聴と、ジョージ・オーウェルの「1984」ぐらいのレベル。インターネットという概念がまだないんですね。これは20年前、サッチャー時代に描かれた原作だからしかたないけれど、今となっては近未来の独裁国家と革命のことを描くのにネット統制の要素が全くないと不自然に思われます。
 が、それにしても、原作の持ち味とスタッフ、出演者の奮闘で、とにかく「考えさせられる」映画という意味では久々の会心作、じゃないでしょうか。
 9・11より前にこの原作があった、というのは驚くべきことです。あの後の世界の変化を見れば決してこの内容は荒唐無稽じゃない、と思われます。日本においても、ちょっとした「風」で、昨年の9・11選挙で政権与党に独裁的な権限を与える経験をしたばかり。
 藤原正彦氏の「国家の品格」に、民主主義とは国民の成熟が前提だが、国民というのは永遠に歴史に学ばないので成熟しない、だから民主主義こそ、国民世論こそ、実際にはもっとも危険なものである、というようなことがありましたが、まったく同感です。我々はしばしば、本当に学校の学級会レベルでも、みんなの多数決で決めたことが本当にいちばん正しいことなのかあやしい、という経験を一度や二度はすると思います。その場の空気、風で人は判断します。この映画の独裁者も国民が作り上げたもので、Vは国民に対して「本当の責任者は誰だろうか。鏡を見てみればいい。そこにいるから」と語りかけます。
 ガイ・フォークスデイというのは日本人にはなじみがありませんが、これでなんか感じが分かった気がします。革命後に王政復古した英国にとってガイ・フォークスは変革の象徴という面があるんですね。
 チャイコフスキーの1812や、カルロス・ジョビンの曲等、クラシックやポップスの名曲も多数登場します。このへんの音楽の使い方も巧妙です。
 2時間20分、濃厚な気分に浸って、たんに楽しむというよりあれこれ連想させられ考えさせられる映画でした。ロマンスもありどんでん返しもあり、ストーリーとしても最後までひきつけます。いい映画だと思いますよ。

2006年4月26日(水)
今日は朝から木村建設とか姉歯の逮捕でわあわあ言っている。世間的にはなんだまだ娑婆にいたのかよ、だし被害者からすれば「お前らが捕まったからってなんにも解決にならないし」てなもんだろうし。
 ところで、今度の逮捕というのはほとんど別件逮捕というか、まあ本筋とはずれたところで、たとえば凶悪犯をたちションベンで捕まえるに近い感じであって、木村建設は粉飾決算でイーホームズは架空増資、姉歯容疑者にしても名義貸しが逮捕の容疑である。
 で、姉歯が名義貸ししていた相手が秋葉三喜雄というデザイナーである。
 が、この男、ちょっと調べていたらいまから10年ほど前に読売新聞の投書欄「気流」に寄稿してるのね。引用するとこんな感じです。
「1996/11/30 [気流]予算編成は政争離れ公平に 自営業・秋葉三喜雄36=千葉県市
川市 気流 読売東京
 自民党は役員連絡会などで、来年度の予算編成について「先の衆院選で新進党が大勝
した県については、予算配分で差をつける」との方針を確認したといいます。それを新
進党の西岡幹事長が批判すると、橋本総理は「我々が野党の時も、当時の与党でそうお
っしゃった方がいた」と反論したそうです。
 当選して行使できる権限を、自分たちの保身と反対勢力攻撃の材料とする――。衆院
選に投票した国民が、こんな行為まで“信任”したとでも政治家は思っているのでしょ
うか。こんなことで、次回の選挙でより多くの支持を集められると本気で考えているの
でしょうか。
 本来平等に配分されるはずの予算に、政党の思惑で手心が加わるとすれば、私たちが
納めた税金はだれのためのものかわからなくなります。「公」のものを「私」に使うと
いう考え方は、不祥事を起こした厚生官僚のそれに通じるものがあると思います。
 政治不信脱却には、「国民のため」という視点が不可欠のはずです。政治家の皆さん
には、このような報復論議をやめ、公平な予算編成を実現させるよう望んでいます」だってさ。義憤にかられて大いに書いているのだけど、10年後に自分が逮捕されてしまうとは思いもしなかったろう。
 ◇  ◇  ◇
 昨日は表参道ヒルズへ寄ってみた・・・うーん、悪いけれどちょっと期待はずれ。あの螺旋状の作りも、いまいったい自分が何階にいてどこの店の前にいるのか分かりづらく、かえって見逃すところが出てくる。かんじんのブランドも、場所柄、有名ブランドは表参道界隈にはとっくにでかい自社ビルが鎮座しており、ヒルズ内はいまひとつぴんとこない、かといってマニア心をくすぐるという感じでもなく、なんかどうも・・・という印象。たまたま入ってしまったのは・・・まあこういってはなんだけど、ありふれたダンヒルのお店。なんかあまり好みじゃないネクタイやカフス。時計もそのぐらいの値段ならもっと時計の一流ブランドのほうがいいし・・・。食事どころも少なすぎるよね。
 一軒、靴のオーダーメイドのコーナーがあって興味があったのだけど、なぜか店員がいなくてこっちもイヤになってクビ! あれは客を一人逃しましたぜ。特注でも7万円台なら安いと思ったんだけどなあ・・・。
で、近くのアニヴェルセーズという結婚式場系のレストランに入った。お値段もそれなりだが味は非常によろしい。といって、ひとコースで二時間以上かかるのは勘弁してほしかった、うちは貧乏人なんでとてもゆったりのんびり構えていられない。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば、リストランテ・ヒロのヒロ・シェフが大麻で捕まったという。悪いが、ラ・ベットラとヒロの合同企画なんかでは、ベットラのものと比べてヒロは引き立て役に感じたけど。大麻で味覚も狂っていたか。残念、というやつですねこりゃ(ああ、こういうのももう完全に消えたよなあ、なんとか侍というの)。



2006年4月25日(火)
昨日はJR山手線が止まっていた様だが、私は公休日だったのでお休み。で、なぜか葛飾の帝釈天の近く、川魚料理の料亭「川甚」http://www.kawajin.co.jp/に行ってまいりました。たまたま、私の両親の結婚記念日と、私たち自身の結婚記念日がともに4月、久しぶりに両夫婦で会食でも、という話でした。
 それにしても、昨日は珍しいぐらいにいい天気で、汗ばむほどの陽気。連休前なのでかえって帝釈天界隈はほどほどの人出、しかしいつのまにか寅さん記念館なんてできていて、矢切の渡しのあたりも綺麗に整備されて、ずいぶんと観光地として出来上がった感じ。もっとも以前の本当に小さな門前町、という感じよりはかなり鎌倉とか、名の通ったスポットの風情になってしまったかな、とも思います。
 で、川甚ですが、玄関先にでっかく「辻元様御席」とあるのにはびっくり。つい記念撮影してしまいました。個室をオーダーしたわけじゃないのに、空いていたのか事実上の個室。ほかのお客さんと時間がずれているんでしょう。で、七千なんぼの「雪」という8品のランチコースを注文・・・したところ、すごい分量で唖然。中ぐらいのコースでこれですから十なん品出てくる1万5000円のコースとかだとどうなってしまうのだろうか。
 コイのあらいが、なかなかのもの。じつにこりこりしていてうまい。よほどに鮮度がいいのでしょう。メインのうな重は、4人いてちゃんと全部食べたのは私だけ。ほかはお持ち帰りにしましたが、たれが渋めで、しかしきりっときまっていて、ウナギは柔らかくうまいものでした。よく老舗名店のウナギを食うと、タレの味が上品過ぎて、そのへんのスーパーなんかのえげつないような甘辛い味に慣れている人がかえって不満を感じるものですが、ここのは上品な味だけど微妙なところで深みがあります。その微妙なところが重要なんでしょうね、味覚というのは。
 なにせ、荷風とか漱石が好んで通って、小説にも登場する名店です。一度は来てみたかったので、あのちょっと枯れた雰囲気に満足しました。実際のところは4階建ての大きなビルディングに改装されているのに、中に入ると昔の料亭のまま、というつくりは考えてみるとよくできています。
 ◇  ◇  ◇
 その後、一休みして映画館へ。アメリカでスマッシュヒットとなった映画「アンダーワールド・エヴォリューション」を見てまいりました。それにしても最近、映画の公開が多すぎませんか? 気になるものがけっこうあるけど見ていられないなあ・・・。
 予告を見ていたら、「オーメン」「日本沈没」「ポセイドン」(これはポセイドン・アドベンチャーのこと)などとまるで70年代の映画館かと思うほどリメイクばかり。なんで今更、という感じもありますが若い人には新鮮なのかな。
 で、アンダーワールドですが・・・というか、数年前にヒットしたアンダーワールドの続編であることを認識しないで見に行ったもので、ありゃりゃ、最初のほうの人物関係がわからなくて混乱。これはもう、続編であることを調べなかったこちらの落ち度。しかし大丈夫で、だんだん人物の関係がわかってきて最後にはすっきりしました。いきなり見ても問題ないと思います。
 簡単に言って、1000年にわたる吸血鬼と狼男の闘争にピリオドが打たれるまでの激闘が描かれます。かなり残酷なシーンも多く、年齢制限があるのはうなずけます。
 我々はけっこう、ケイト・ベッキンセールという女優のファンなので、興行的にはこけたという「ヴァン・ヘルシング」」にしても、オスカーを逃した「アヴィエイター」でも、内容的にお話にならなかった「パ−ル・ハーバー」でもケイトの魅力には満足してまいりました。が、なぜか彼女の出世作のアンダーワールドは未見だったので、ここで見ることが出来てよかった。
 というのも、結局あれです、とことんベッキンセールのための映画、という感じ。本当に魅力的にとれています。が、それもそのはず、監督は彼女のご主人。第一作で彼女にほれ込んでしまってそのままゴールインだそうですから。さらに、小さいころの彼女の役で、本人たちの実の娘が出演しております。横顔が似ているな、と思ったらなるほど。この子もやがて女優になるのは決定かな。
 最後まで緩みなく、大いに盛り上がります。裏切りアリ、ロマンスアリ、ちょっと泣かせどころは弱いか、とにかく2時間の間、存分に楽しめます。スケールはちょっと小さいですかね。大風呂敷な話じゃありません。せいぜい中世までしか遡らないことに不満を持つ人もいるかもですが、それはもう設定ですし。
 うん、娯楽作品としては上々の上。かっこいい女戦士、を見たい向きには最高。そういうものをお求めの方にお薦めです。
 

2006年4月24日(月)
いやあ、昨日は案の定というか、一晩中、千葉県7区の衆院補選に振り回されましたが、しかしなかなか開票が素早かったというか、案外に早く太田候補の当確が出まして、またこの中途半端な速さが新聞泣かせだったりして・・・本当に深夜まで当落判定がずれこめば、かえって慌てないでよかったんだけど、10時半ぐらいに分かる、というのは間に合いそうで間に合わない時間で迷惑なんだよなあ・・・ってこれは新聞社だけの事情ですけど。
 それにしても955票差、というのは絶妙ですね。投票率はほぼ50%で、これはもう投票しなかった松戸や流山の人は損したね。こういうときこそ自分の一票の威力を実感できたと思うんですが。まあ、どちらかというと選挙に無関心な千葉県民にしては、そして補選としてはかなり投票率は高かった、ということだそうですが。
 まあ結果の理由はいろいろあって、小沢さんにとっては初戦、小泉さんにとっては最後の国政選挙、という勢いの差が出たのは間違いないし、また候補の選び方が自民党は今ひとつよくなかったよな、今回は。党執行部が公募で選んだ人を落下傘で地元に送り込む、というやり方が昨年の「郵政選挙」で成功したので、今回もやってみたわけだ。しかし、あのときはあくまでもワンテーマ選挙という特殊なもの。郵政に賛成か反対か、という観点だけで送り込まれた候補でもまあ、違和感が目立たなかった(私は嫌いでしたがね、ああいうやり方は。一度選挙で選んでしまっては、あと何年も地元の代表はその人。郵政民営化に賛成だという理由だけで地元の代表になった人なんて、あとは無用じゃないですか)。で、今回は斎藤候補、太田候補より年も上だし(普通に言えば十分若いのだけど、太田さんが26歳とあまりに若くて勝負にならなかった。タイゾー議員より若いんだから)、官僚出のエリートという経歴は、あの衆院選以後に高まっている「格差社会」の議論の前ではかえって足を引っ張ったかもしれない。去年の選挙ではセレブであることが有利だったが、半年たって有権者も分かってきたわけだ。彼らはセレブでエリート、しかし彼らに一票入れたからって自分自身はしょせん負け組という実態がね。しかしそれよりなにより、私は前にちょっと書いたけど千葉県民にとって「前埼玉県副知事」という経歴はかなりよくなかったと思う。別に埼玉がいけないのじゃないけど、なんか江戸時代や戦前の、中央政府に任命されてやってくるお上の役人のようなイメージになってしまった。実際、千葉県の自民党の県議や市議は最後まで斎藤候補をいまひとつ、支持しなかった模様。公明党だけが必死に支えたのでなんとかタイゲームに持ち込めたのが実相のようであります。
 まあ、いつまでも風が吹いたときのやり方を繰り返しちゃ駄目だよね。去年の9月というのはやはり、いくらなんでも異常でしたよ。
 今後、自民と民主が冷静にまじめに、日本の舵取りを考えて欲しいですね。今の日本がどういう状況かかんがえれば、甘ちょろいことを言っていられる時期じゃないはずです。
 ◇  ◇  ◇
 昨日は、個人的にちょっと機嫌がよかった。選挙がらみで忙しいのもそれで乗り切れましたよ。銀座松屋の靴売り場・・・よその百貨店と違い、高級靴オンリー売り場が独立してるんじゃなくて、わりと普通の靴の中に一箇所だけ有名ブランドのコーナーがどーんとあって、チャーチとかクロケット&ジョーンズがさりげなくあるのが面白いんですが、ふと目に留まったのがチャーチのウイングチップ。いかにも英国的な、ハリケーン戦闘機みたい、というんですか、無骨で頑丈そうな、それでいて威厳があってかっこいい靴があったので、ためらった挙句に試し履きし、結局、それなりのお値段だが買ってしまった。
 で、チャーチの靴というのは内側にサイズやラスト(木型)番号が手書きで書き込まれているのが特徴なんですが、よくみると「73」・・・おお、これはいわゆるチャーチのラスト73というやつか、と気付いた。これは知っている人は知っていることですが、チャーチはプラダに買収されてから、いかにも英国らしいラスト73の靴をあまり作らなくなってしまった。だが、いまでに一番人気があるのはプラダ風のスマートな靴じゃなくてラスト73なんですね。これは今となってはわりに珍しいリバイバル生産の品なんでしょう。ラスト73チェットウィンドというものでした。そんなことは考えずに、ふと出来心で買ったのがラスト73だったので、おお、自分もなかなか目利きになってきたのかな、とひそかに喜んでいるのでありました。
 いやあ、いいねえ、たしかに。歩き心地が最初からいいこと。しゅっと足が入り、ぴしぴしと反り返るようで靴底にバネが入ったように歩きやすい。トリッカーズなんかはちょっと足の甲が痛くなるんですが、これはぴったり。ビスポークみたい。ラスト73は自分の不恰好な足にもちょうどよろしいようだ。
 ということで、なかなかいい買い物が出来た、というので機嫌がいいのであります・・・。

2006年4月23日(日)
 おやおや、ひょっとして日韓紛争もありうるか、と緊迫した日本と韓国の竹島海底「国境紛争」でありますが、自民党政調会長の中川氏は「23日の民放テレビ番組で、・・・海底地形の命名問題から今回の騒ぎが始まっているが、共同で研究し、1つのチームとして命名作業をする発想があってもいいのではないか、と述べ、海底地形を日韓が共同で命名することを検討すべきだとの認識を示した。日韓両国の話し合いで意見の相違を乗り越えた、と評価した」(共同通信社)なんて話です。というとなんだか丸く収まったようですが、ぜんぜん丸く収まったような話じゃないですな。韓国は一応、今回は見送るというだけのようだし。
 私はこの件についてはわざと無視してここにはなにも書かないできましたが、日ごろ軍事ということに興味のない人には、こういうことも海軍力、空軍力の問題でもある、ということを認識していただきたいとは思います。孤島を巡って紛争となれば、結局はそういう能力の問題になってきましょう。古典的な制海権、航空優勢の問題です。
 中国海軍は空母を建造しようなんていっています。こことのぶつかり合いも増えていく一方でしょうね。
 こういうことに関しては、過去の歴史的経緯がどうとか靖国神社がどうとかいうのはまるきりキャンペーン用の話題であって、要するに実効支配して、そのうえでどれだけ国際社会を味方につけられるか、ということだけになります。最後には、客観的な正義なんてものはありません。
 それは島であればあからさまに軍事力の問題だし、隣接領土であっても結局は国際的な支持の問題ですね。明智光秀が「俺が天下を取った、取った」と叫んでも誰も相手にしてくれなかった、というようなことは国際社会でも起きます。
 フセインは、歴史的にクウェートはイラクのものだ、と主張して実効支配しましたが、国際社会を敵に回して結局、滅ぼされてしまいました。アルゼンチンは、マルビナス諸島はうちのものだ、と明らかに地政学的にはまっとうな主張である自国の沖合いの島を支配しようとしましたが、サッチャー首相の断固たる決意で英国海軍、空軍が取り返しフォークランド諸島に名を戻しました。もっと古くは、ヒトラーの第三帝国がオーストリアを併合したときには、国際社会は支持はしないまでもまあ、うやむやにしました。かかわるのが面倒くさかったんですね。そういうことがナチスドイツの侵略路線を後押ししてしまった、というのは今や国際的な議論の場でひとつの定説です。ああいう場合は早い段階で「ノー」と国際社会が言わないといけない、というのですね。
 そういや、日本が中国大陸に出て行って満州国を作った際には国際社会から総スカンを受けて、その後の日本の命取りとなりました。原爆から敗戦までの道はそこで決まってしまった。
 日韓の問題とか、日中の問題といって、なんとなく話せばわかる、ということでいけるんじゃないかと思っている人が日本には多いだろうし、紛争なんて面倒くさいから決して起きないだろう、と思っている人も多いでしょうが、そりゃまったく分かりません。
 アメリカという国も、そういう場合にはどういう態度を取るか分かりません。
 あまり楽観視するのはかえって危険と思います。それでなくとも日本は景気後退以後、自衛隊の戦力は横ばいでありますが、中国なんぞは世界一の金のつぎ込み方をしています。
 アメリカと中国、という二国間の関係も、むしろこれからが本番。要は経済摩擦です。日本が何十年にもわたってアメリカにいじめぬかれてきたのと同じ問題です。が、先日、中国の要人が、アメリカから人民元のレートの問題で厳しい要求が出ていることについて「日本とアメリカの経済摩擦の実例を我々はよく研究しています」と言ったようです。うちらはアメリカの属国じゃないし、軍事的にも独立しており、日本のように言いなりになって失敗はしません、中国にプラザ合意みたいなのは通用しないモンね、ということです。
 アメリカだってその、あの国は日本と違って基軸通貨のドルを持っている国、よく子供が言うように「お金がなきゃ、お札をたくさん刷ればいいじゃない」ということが本当に出来る国であり、日本なんかがせっせと米国債を買い支えていたりするわけで、日本が借金が払えなくて国家破綻するかもしれないときにも、相変わらず国も国民もどんどんローンで分不相応の高い買い物を続けて消費に狂い、借金だらけになりながら戦争をばんばんやっておりますが(だから、私はかなり不思議であって、本当に日本が統制社会からアメリカ型の経済・社会になってしまったら、実はアメリカは困るはずなんだが、とちょっと思う部分もある)しかし、いい加減に中国の黒字を黙って見ていられる状態じゃないでしょう。
 仲良くして貿易に専念していればいいんだ、みたいな子供のような感覚を持っているとこの先、ついていけないのじゃあるまいか、と思います。
 ◇  ◇  ◇
 ふと深夜番組で、妙なアニメを見ました。江戸時代テーマの時代物アニメで、登場人物は吉宗というから徳川将軍、なのに江戸の町の中には「ぶてぃっく」があり「すなっく」があり・・・なんじゃこりゃ。なんでも4月から放送が始まった「吉宗」というアニメだそうですね。これはそもそも、パチスロの人気ゲーム「吉宗」からアニメになったのだと。それは珍しい展開です。http://www.yoshimune-anime.com/index_content.html
 なんか、なにがどうということもないが、面白くて見てしまいました。妙なオタキズムにあふれるエドは奇天烈な世界でありました。
 しかし、上様はカミシモは着ないと思います。あれは基本的に臣下が着るものでは。将軍は武士の中ではいちばん偉いので、武士相手には礼装の必要がない。勅使とか、あるいは拝礼なんかでは公家としての礼装をする。よく将軍の肖像画で着ている、公家さん風の束帯姿ですね。あれが大礼服ですが。ま、そんなことを言うだけ野暮なアニメですが・・・。

2006年4月22日(土)
原油の価格が上がっておりますね。「21日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、イランの核開発問題をめぐる国際情勢の緊迫化を背景とした供給不安から急騰し、指標である米国産標準油種(WTI)の6月渡しは一時、1バレル=75.35ドルをつけ、83年の取引開始以来、初めて75ドル台を突破した」(毎日新聞)そうでありまして、とくに問題なのは、最近のOPECの生産能力の余裕(年間200万バレル、だったと思う。うろ覚え)というのは、イラン一国の輸出量(年間250万バレルだったかな)を下回る、ということ。要するに、今後、イランがますますもめて、経済制裁だ、じゃあ輸出拒否だ、となってくるとそのイランの穴埋めを国際社会は出来ない、ということでありますよ。つまり本当のオイルショックだね。そうなっちまうと、ばれるあたり80ドルとか90ドルとかも可能性が出てくる。で、そうなってくると・・・すでに、そのへんのドラッグストアなんかでもいつのまにか、ティッシュペーパーの特売をしなくなっているような気がしませんか? とにかく紙というのはいちばんの油食いで、昔の石油ショックでもちり紙を求めて暴動寸前だったわけですが、まあ、とにかくこのへんは値上がりしてくるな。新聞・雑誌も薄くなるかもしれない。その他、なにしろありとあらゆる経費に石油関連はかかわっているので、インフレ傾向、経済への影響、というのも避けがたくなってくる。
 デフレで安い買い物を謳歌してきた人たち、そろそろそういうのはおしまいかもしれないです。そして、金持ちの方もそうでない方も、なにか買い物するなら今が最後のチャンスかもなあ・・・と思う。消費税も少なくとも2,3年のうちには10%は行くだろう。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば明日は千葉県の7区の補選ですかね。私は元柏市民ですのでいくらかのかかわりがあるんで言うんですが、しかし・・・なんというんですか。あっちの姉ちゃんはあれでいいのかしら、だし、こっちのエリート臭い人は「元埼玉県副知事」というのが千葉県民にはかえって不興を買うと思うし。
 後は、なにがあっても選挙をサボらない創価学会・公明党さんの熱心さが勝負を決めるという最近のパターンなんでしょう。
 さてどうなりますか。

2006年4月21日(金)
 よくある話だが「21日午前7時ごろ、北九州市門司区・・・○○団地4階の男性から「隣室に住む女性が『気分が悪い』と訴えている」と119番通報があった。・・・405号室の中から女性2人の遺体が見つかった。助けを求めた女性は、やせて衰弱しており、病院に搬送された。・・・6畳間のベッドで小林寿子さん(78)が横たわっており、4畳半には長女の千代子さん(49)が倒れていた。寿子さんの遺体は白骨化しており、死後1年以上経過、千代子さんも死後約2か月たっているとみられる。病院に運ばれたのは、二女の真由美さん(46)で「長い間、食事をしていない」などと話しているという。 部屋の電気は止まっており、水道だけ使える状態だった。冷蔵庫には何も入っていなかったという」(読売新聞)てなことで、詳しい経緯は全く分からないけれど、恐らく、78歳(いや、死後1年以上たっているのだから、本人と確認されたら死亡年齢はもっと引き下げられるだろう)の老母が衰弱死した後、その年金だけで暮らしていた引き篭もりの中年姉妹が、なにをどうすることもできず、生活保護を受けるとか仕事を探すといった考えもなく、金を使い果たした後は飢え死にするまで待っていた、ということだろう。
 信じられないけれど、引き篭もりだのニートだのといわれる人の中でもいろいろ程度があって、本当に家から一歩も出られないで、小学校か中学校で不登校になって以来、社会に一歩も出たことがない、なんてタイプの人が本当にいて、こういう水栽培みたいな人は、親が死んでしまうと本当に餓死するまでぼーっとしているしかないのである。
 いや、まだしも今回は、46歳の次女の人が・・・これは自分で助けを求めたのか、偶然見つかったのか知らないが、もし自分で助けてくれ、といったのならかなりましだったりするのである。
 これほど生命力のない人が実在するわけで、ひょっとしたら若い頃はけっこう、それなりに裕福な両親の元で何不自由なく甘やかされて育ったのかもしれない。
 というのも、けっこう、似たような実例を知っているので(いや、もちろん餓死しちゃいませんよ。ただ、今のままで両親に何かあったら、なんにもできなさそうな社会性ゼロの人というのを知ってまして)。
 以前に、サラリーマン増税の議論・・・また多くの人は忘れてしまっているでしょうか。なんで忘れるんでしょうかね、日本人は。あれは小泉さんの退任あたりから次々に実行されるのは確実ですよ・・・まあそれはよろしい。そのときに、専業主婦について「生命力のないだらだらした女たち」みたいな言いかたしてかえって議論をぶち壊した馬鹿な審議委員がいましたが、あれの大間違いは、この時代に収入のある、高学歴でそれなりの旦那をつかまえて自分は専業主婦を謳歌できる人というのは、生命力のない人なんかじゃなくて、全くの逆、したたかで計算できる強い女性なんだ、ということです。かえって好きでもない仕事にしがみつくしかない人のほうがやる気を失っている場合もある。要するに、審議した人らは仕事もプライベートもバリバリに充実しているキャリアの女性(そんなタイプ、日本中にいったい何人ぐらいいるんでしょう。まあ感覚ですけどせいぜい数万人とかいう単位じゃないですか)を想定しているんでしょう、だけどそんな人種には定員があるわけだ、社会の中で数パーセント以上はいてはいけないわけですよ(社会全員が勝ち組というのが共産主義の幻想でした。現実はただ単に共産党幹部が勝ち組になっただけでした)。
 なにしろ収入のある男性をつかまえるには、自分もつりあうだけの学歴とキャリア、ルックスが必要です。できれば家もそれなりであるほうがいい。つまり、専業主婦になれる人というのは、キャリア女性また違う意味で、競争に勝てる人でないといけない。
 生命力がない人、というのはそうじゃなくて、こうして家にとじこもって、やがて飢え死にするのを待つような人らです。親がそこそこ裕福で持ち家のある人ほど、かえって危険かもしれません。貧乏人の子供は少なくとも閉じこもってはいられませんので。そして悪いことに、これからますます増えてきそうな雰囲気であります。
 ◇  ◇  ◇
 奈良県のあの「騒音オバサン」に実刑判決1年が出たそうですね。ああいうふてぶてしい人というのはまた、生命力のない人たちとは対極にある感じですけど・・・。


2006年4月20日(木)
 なんということもなく、世間的にもさほどなんということもないようで、私はこの後出勤が嫌だなあ、と思っているだけであったりします。
 ところで、昨日、銀座の松屋デパートで始まった九州物産展というのに立ち寄りまして、イートインで出店している「ボンジュール食堂」http://andouillette.ifdef.jp/というのに入りました。なんでも福岡で大人気のフランス料理店なのだとか。
 で、ナヴァランという羊肉の煮込みを頼んだんですが、いやあ、30分も待たされた。いいえ、それで不満を言っているのじゃない、簡易店舗できちんと、本店の味を完全再現しようと思って手抜きなくやっているらしいことがわかって、むしろ驚いたわけです。
 で、出てきたのが・・・これがうまいこと。実にうまいですよ。おそらく、フランスの田舎料理、というようなジャンルなんでしょうか。しかしそれはもう本格的なもので、私はあんなにうまい羊肉は久しぶりに食いました。
 昨日始まったばかりなので、是非一度お試しを。こういう物産展はあちこちでよくやっているし、ついこの間も日本橋三越でやっていたように思いますが、ほかにもすし屋さん、ラーメン屋さん、カレー屋さんと出店が4つもあって本格的なのが見物。あそこまでなかなかやらないと思います。
 なんとなく、世間は連休を控えて、こういスポットもむしろ人が少ないと思います。むしろ狙い時なのでは。
 ああ・・・うちは連休なんて関係ないんですけど。それどころか、実際に5月の勤務体制がいまだに分かりません。ゴールデンウイークというのはうちの社内では関係ない言葉ですね・・・。

2006年4月18日(火)
 「ショーン・コネリーが、昨年末にAFIの生涯功労賞を受賞したのを機に、正式にハリウッドを引退すると発表した。コネリーは現在、腎臓腫瘍の切除手術を終えて回復中で、俳優としての最後の仕事は、アニメーション映画『ビリー・ザ・ヴェット』(原題)の声の出演となるよう(FLiX)」だそうです。残念ですね。
 「史上最大の作戦」のちょい役とか、あまり売れなかったラブコメディーなんかで一応やっていたものの鳴かず飛ばず。それが、ボンド役で人気が出たのは30歳ごろから。その007を降りた後はまた再びぱっとせず、それが50を過ぎてから「プレシディオの男たち」「レッド・オクトーラーを追え」などで大復活。ダンディーでセクシーさもある中高年役、で引っ張りだことなりました。どちらかというと晩成型だったといえます。
 1930年生まれというともう76歳、ですか。惜しまれますが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 先日、覚えのない品物がなぜか行きつけの映画館から届けられました。なんだろう、と思えば「ナルニア国物語キャンペーン」で当選した、とのことで、なんと岩波少年文庫の「ナルニア国物語」全巻7冊が送られてきました。ありがたいなあ。じつは学生時代には持っていたのですが、引越しを繰り返して、今現在は持っていない。買おうかな、と思っていたところでしたので、本当にこれ、嬉しいプレゼントでした。
 ◇  ◇  ◇
 昨日は栃木県のゴルフ場に行っておりました。このところ天候不順でしたが、最高にいい天気で暑からず寒からず。しかし、なにしろこのところの夜勤続きの生活で打ちっぱなしに行く気もせず・・・夜勤続きなんだから、昼間はあいてるじゃないか、と仰るなかれ、どんなに時間が空いていたって、夕方から仕事があると思えば、そんなに遊んでいる気分にはならないですよ。ということで、なんとも滅茶苦茶ながら、ほぼ1年ぶり、一度もクラブを握ることなくいきなりコースに出るという暴挙。
 というか、もう前日も夜勤で家に着いたのは12時半だし。それに近頃は明け方の6時に寝て午後に起きる、という夜勤シフトになりきっているし。そりゃもう、朝の7時からゴルフ場に出かけたってうまくいくわけもありません。なにしろ日ごろならいちばん熟睡している時間に運動するんですから。たとえば、普通の方に、夜の12時に家を出て、深夜2時ごろから朝までゴルフしましょうといえばかなりきついでしょう。まあ自分にとってはそんな具合です。
 結果は言うまでもなく、トータル150を超えるしょうもないありさま。が、後半は70で回ったようですので、これでもう少しちゃんとやれば、人並みのスコアになるんでしょうが。
 とにかく空振りばかりしておりました。完全に感覚がなくなっているんですね。しかし後半になってようやくあってきて、ドライバーで230ヤードぐらい飛ぶようになってきた。アイアンも最後のころになってどうにか、ちゃんと飛ぶように・・・これでまた、思い出してきた頃にはまた忘れてしまうんですよね。
 ううん・・・夜勤職場もそろそろ、どうにかしたいんですがねえ。
 というわけで、本日は腕が筋肉痛でキーボードもうまく打てません。このへんで。

2006年4月16日(日)
いい年になって、また5月から泊まり勤務を命じられた。どうしてそんな30後半から40代の人らに泊まりをやらせるのかな、あの会社は。もっと若い者を置いとけばいいじゃないか。どうせ本当の緊急事態となれば誰も間に合わないんだから。ますます憂鬱である。
 また、うちの会社ときたら今時、宿直をさせるのに二段ベッドの寝室だったりする。なんであんなところでけちるんだろう。他人の雑音やら、車庫から自動車が発進する音やらでけっこう寝られないのである。
 今ちょっと、ノイズキャンセリング型のヘッドホンでも買おうかと思っているが。あれもしかし名門BOSEの製品だと確かに素晴らしいけど4万円以上もするとか、さすがにそれは気が引ける。日常、音楽を聴きながら歩く習慣はないのでなおさらである。数千円台の安いものもあるようだが、今度はそんなに安いと肝心のノイズキャンセリング機能はいかがなものか。ノイズキャンセラーというのは、要するに雑音を感知したらそれを打ち消すような周波数の音をアクティブで出して、相殺するというものだそうである。そもそも飛行機の中などで使うといい、とか。試して見たいとは思うんですがね。
 ◇  ◇  ◇
 小沢さんが創価学会の秋谷会長を訪問したというだけでかなり波紋が広がったとか。そんなもんですぐにびくつくのがおかしい。というか、今までの民主党の執行部は何をやっていたんだ、というか。政治は駆け引きですよ。このところ、なんでも若くて新しければいいという風潮がホリエモンと共に去りつつあるように思うが、政治などことに老獪な腹芸が絶対に必要であって、分かりやすければいいというものじゃない。分かりやすい、という理由である政治家を支持するなんてのはもってのほかである。
 敵対国があるから戦争します、といって始めた某大統領は確かに分かりやすかったが、あれでいいのか、ということだ。
 ◇  ◇  ◇
 「新京報など15日付の中国各紙によると、陝西省の西安第四軍医大学西京病院は13日、クマに襲われて顔面を損傷した雲南省の男性(30)に対しドナー(提供者)である脳死男性の顔面を移植する手術を実施、成功した」(共同)というのをきいて映画「フェイス・オフ」を思い出した。あのときは、ジョン・トラボルタのでかい顔とニコラス・ケイジの顔をすげかえるなんてできないだろう、トラボルタの顔があまっちゃう、と思ったが、しかしケイジもけっこう長い顔だから吸収できるか、とか余計なことを考えて興ざめだった。が、一応、現実にもこういうことは出来るらしい。もっとも、それでできあがりは脳死者の顔になるのだろうか。どうもなんとも、想像も出来ないが・・・。



2006年4月15日(土)
安達祐実が出産したかと思えば、間下このみも妊娠した、とか、かつての「名子役」という人たちも年齢を聞けば20代後半でそろそろ30がらみというところ。当然であるが、考えてみると、そういえば最近は全国的に名を知られた名子役、というのはいないのじゃないだろうか、とも思うが。えなり君あたりが最後じゃなかろうか。昔のケンちゃんシリーズみたいな子供がメインのドラマ、というのが案外にないのかもしれない。それに近頃の子供の世界の殺伐ぶりが知れ渡って、夢のあるお話にならない、という気もする。
 ◇  ◇  ◇
 昨日はアイフルで大騒ぎだった。「・・・熊本県内の多重債務者救済団体の相談員吉田洋一さんは03年8月、債務者の相談を受けた際、同社社員から「話を聞け、じじい」「お前らなんてつぶすのは何ともねえ」とどなり散らされた。吉田さんは「身の危険を感じた」として05年8月、慰謝料を求めて提訴した。・・・木村裕二弁護士は、「アイフルの違法取り立ては長らく指摘されてきたが、CMで優良企業とのイメージが先行していた。消費者金融業界の『我々はヤミ金とは違う』との説明が誤りだったことが露呈した」(読売新聞)なんて話だが、かれこれもう20年も前になるか、いわゆるサラ金問題が発覚して後、こういう貸金業者は「正常化」して、一部のヤミ金が駄目であって自分らはまともな企業になったと主張してきた。大手の金融グループと提携したり、チワワのCM流したり。
 が、一般の人らは何をどう考えるのか知らないが、CMというのはあくまで広告会社が企画して作るものであり、それが当たったというのはあくまでも、広告会社の作品が素晴らしいということであって、よく考えてみればそのスポンサーの実態とは何の関係もない。もちろんそれが、広告宣伝というもののひとつの本質ではあるが。
 アイフルというのも創業者が一代で大きくした企業で、武富士なんかもそうだったし、それをいえば市場から退場となったライブドアもそうだったが、そりゃかなり強引なことをしなければ、戦後の焼け跡じゃあるまいし、そんなに急成長できるはずのわけがない。
 なにかこう、我々というのは、なにかひとつ事件があって、それでマスコミが取り上げ、みんなが3か月ぐらい怒って、それでほとぼりがさめてしまえば忘れてしまう・・・特に日本人というのはそうじゃなかろうか。それで「あれだけ騒いだのだから、もう大丈夫だろうな」なんてなんとなく思っている。でも、実はその後、なんにも手が打たれていないで、関係者はじっと騒動が去るのを待っている・・・そういうことがすごく多いのである。
 バッシングの嵐が過ぎたら、また目立たないように元の木阿弥に戻してしまおう、というふてぶてしい人間ばかり、なんだよね実際は。だからいつまでもしぶとく、同じような事件や事故が起きる。たとえばだ、もう大事故から1年たって鉄道関係なんてもう弛んでいると思う。建築関係も、姉歯が終わればどうでもいい、ということでもうそろそろ緩んでくるんだろう。航空会社も本当の大事故は起きるのはこれからじゃないかね。「小泉改革」なんてのも、来年の今頃にはなにもなかったぐらい骨抜きになって官僚の天下が戻ってくるだろう、と私が予測するのもそういうことだ。
 日本人の興味関心はせいぜい3か月しかもたない。ドラマで言えばワンクールである。まともな政治が出来ないのも当然といえば当然である。

2006年4月14日(金)
なんか知らないが米軍と日本との間で、引越し費用を持てとか持たないとか騒いでいるわけですが「額賀福志郎防衛庁長官は13日夜に続き14日朝もローレス米国防副次官と東京都内で会談し、在沖縄海兵隊グアム移転経費の日本側負担について協議した。額賀長官は家族住宅を対象とした約25億ドル(約3000億円)の融資に一般会計からの財政支出を上積みする考えを示したが、約75億ドル(約8900億円)の負担を求める米側との隔たりは埋まらなかった。(毎日新聞)」てなわけです。
 要するに、沖縄県民の負担を減らしてやるために移転してやるのだから、引越し代は日本で持てよ、ということなんだろう。が、こっちとしちゃ、そもそも米軍再編というのは世界規模の再編であって、元々そちらの事情で出てきた話で、そこに沖縄県民のことをちっとは考えたふりをして経費をふっかけてくるのは納得いかん、ということだろう。
 どうも米軍の話というといつも妙な感じになる。そりゃつまり、日本を守るためにいてやっているのだ、ということに向こうではなっており、あっちの国の国民もなんだか守ってやっている、いてやっているということを非常に恩着せがましくいいたがる。が、こっちとしては敗戦の結果として置いてやっている、という気分があるのであってとても頼んでいていただいているとは思えない。じゃあ、嫌ならいつでも出て行けよ、と言いたくなるけれど、じゃあ本当にいなくなるとどうなのか。自衛隊だってそもそも米軍の補完戦力に過ぎないしというか、補完戦力という形にさせられてしまっていて、米軍抜きじゃ機能しない軍隊だしさ、というわけでなんとも屈折した思いにとらわれる。
 小沢一郎さんなら「普通の独立国になればいいじゃないか」と仰るだろう。それはその通りであるが、なにしろ60年もひとつのやり方が続くとよほどの破綻がない限り、変えるのは難しいものである。
 ◇  ◇  ◇
 山本周五郎の「青べか物語」というのを読み返している。まさに浦安市(作中では浦粕町とされている)の地名がどんどん出てくるのでそれだけで興味深い。ばかりか、作中に出てくる人物の子孫か縁者だろうと思う人も思い当たる。
 作中の「わたし」は、イコール山本本人じゃないのだろうが、しかし、パトロンの懐に頼って、掲載の当ては出版社と新聞社が一つずつあるだけで、当然に収入は乏しく、借金や無心で生活している・・・そんな昭和初期の文士というものの生活ぶりの記録でもある。
 それがひたすら羨ましい。
 近頃は、仕事も、詩やら文学やらも、なにもかもなんだか嫌になってきてしまった。なんのために人間は生きているのだろう、などと思い出すのはよくない兆候かもしれない。
 実際、なにがおもしろいのだろうかなあ。

2006年4月13日(木)
お役所の問題なんかで、ついつい厳しくならざるを得ないのは、民間企業でどれほどたるんだ経理をしていてもそれはしょせん、その会社の利益の問題だが、お役所のお金はすべて国民から強制的に集めている金だ、ということである。
 NHKというのも、そういう意味では同じである。カラ出張も架空請求も、はっきり言ってどこの民放でも、いやどこの民間企業でもある話には違いない。だがそれで「どこにでもある話だろ」と居直られては困るのは、強制的に取られた金の使い道だからである。そう非難されるのがいやなら、そういう官の仕事に就かないことである。
 それに、実際には、私の会社などでもそうだが、10年ぐらい前まではけっこう、ルーズな経理をしていたし、カラ出張まではいなかなくても、実際にはやっていない懇談費とか連絡費、宿泊費とかを見なし請求するのは珍しい話ではなかった。おそらく大企業じゃどこでものどかな時代にはそうだったと思う。だが、今じゃそんな話はすっかり消え果てた。そういうおおらかさは民間からは完全に消えてしまって昔話になっている。
 どうも官がらみのところは、そういう時代の変化がここまできても理解できていないように思われる。
「NHKの橋本元一会長は13日午前、自民党通信・放送産業高度化小委員会に出席し、チーフプロデューサーがカラ出張で約1700万円を着服した問題について・・・「(受信料支払いに)回復の兆しが見え始めている中で、改革のハードルが高くなったと厳しく受け止めている」と述べた。・・・自民議員から、「頭を下げれば済む段階は過ぎている」、「チェックできなかったのではなく、見て見ぬ振りをしてきたのではないのか」など厳しい声が相次いだ」(読売)なんて話だが、いやほんとうに。もし民放のプロデューサーがこういうことをしても、それだけならそのひとつの犯罪ですむ。NHKではそれではすまない。あんなものやまてしまえ、という話に結局なってしまう。
 民放のようにやりたい、なんてもし思うのなら(もっとも世知辛いこのご時世に、近頃は民放だってそんなにルーズな経理をしているとはとても思えないが)NHKをやめればすむことである。
 お役人がらみのあれこれ・・・もう国がらみの無駄遣いの話もいくらもあるわけだが、公務員OBの年金を減らす、という話も出てきているようだが・・・あんなのも、民間企業じゃいくらでもある話である、財産権をたてにとればそれでいい、という話はもう通用するまいけど、本当に、頼んで公務員をやっていただいているわけではない。江戸時代のお役人でもない。窮屈なのが嫌とか、たたかれるのが嫌という人は、どんどん民間に転職すればいいだけのことである。久間さんや森さんのように優秀な人が官僚にならなくなる、なんてのはよけいな心配である。ぜひやりたい人はそれでもやる。別にエリートであっていただく必要はないのである。
 じゃあ政治家がしっかりします、政策も外国並みに政治家でやります、となんでいえないのかね。まあ、そのへんがしょせん、自民党・・・というか、「幕府」の限界であろう?


2006年4月12日(水)
なんか毎日寒いですねえ。今日、ちょっと会社の診療所に行ったら風邪引いた人がいっぱいでした。皆様もお気をつけて・・・。
 ◇  ◇  ◇
 栃木県で起きたリンチ殺人で、警察の対応が悪かった、という判断が裁判で出たそうであります。暴力団関係者と交通事故を起こしたので金をくれ、とあちこちに電話していた青年は実は、犯人達に拉致されて強制されていたのに、電話に出た警官が「こちらは警察のものだ」なんて言ったもので、この青年はかわいそうに殺されてしまった、というような話である。
 警察の怠慢で問題が大きくなったり取り返しがつかなくなる、ということは多々ありますし、だからこそ例の情報公開法で、警察が情報の公開非公開を判断するなんてダメなんじゃないか、というこえが出たわけであります。マスコミに問題があるのはその通り、しかし権力である警察に権限をゆだねることはもっと危険じゃないのか・・・マスコミなら不買運動でもボイコットでもなんでもできますが、相手が警察じゃなにもできないのであります。
 なんでそのことが気になるかというと、実はゆうべ、我が家のすぐ近くの電柱に一台の車が衝突して大破しました。で、けが人がいるかもしれないし、それにちょっといやな話ですが、なにか我が家にも被害があると大変なので、すぐに通報しました。
 警察はしばらくして雨の中、来てくれまして、まあちゃんと見聞はして、車両をレッカー車で移動し残骸を片づけて・・・まあそこまではよろしい。
 が、今日、心配になって妻が念のために東京電力に連絡したら、警察からぜんぜん連絡が来ていない、というのです。電柱は相当に曲がってるし、それと電線がつながっている家にもいくらか被害が出ている・・・うちもちょっと壁材がいたんだし、中の機器も問題があるみたいです、だから決してそんなに小さな事故じゃないんですが。
 東電の担当者も怒っていたそうですね。「これだけひどい状況じゃすぐに連絡してもらわないと困りますねえ。こっちも24時間対応でやっているんですから」とのこと。
 なんでも、警察の担当者がまだ若い人で、不慣れだったらしく、今日は上司の人とやってきて再見聞していたようです。
 そこらへんは警察がちゃんとやってくれないとねえ。というわけで、我が家がなんとなくなぜかその事故の後始末を「中心となって」やるはめになりました。
 面倒くさいのか、話を大きくしたくないのか、しかし、当事者はそれじゃ納得しないのですよなにしろ、利害が絡むんだから。ま、こういう時節柄、しっかりお願いしたい、というわけです。

2006年4月10日(月)
これは・・・すごい! 以前にもメル・ブルックスの「プロデューサー」の映画化について書いたことがありますが、いよいよ日本でも公開となりましたので、さっそく見に行きました。いやあ、すごい。聞きしにまさるというか。ブルックス作品はこれまでも知的で洗練されているけどとてつもなく危険でえげつないブラックジョークのかたまりで、ある意味、見る側のレベルも問う、という感じもあったけれど、それにしても彼の最も得意ねたを連ねたこの作品が、最初の映画化から40年を経てこれだけ一般に大受けしているというのは驚くべきこと。だってブルックスの得意ネタとは「ホモ、ナチス、ユダヤ人」だもの。普通なら取り扱い危険で触らないタブーですよね。ところがこの才人は、わざわざ好んでこれを使うんです。そして「プロデューサー」こそはその最高傑作ですね。
 いやもうね、最初から最後まで場内爆笑で、終わったあとはみんな笑いつかれてぐったりしてましたよ。無論、自分も。笑いすぎて頭痛くなったぐらい。
 で、特にミュージカル好きな人と、あと、ナチス・ドイツ関係にそもそも詳しい人はそれはもう必見です。詳しい人ほどますます笑えるのは請け合いです。
 大筋をいえば、時は1959年、というからちょうどウエストサイド物語やサウンド・オブ・ミュージックがヒットしていた時代。まさに当時の新感覚のミュージカルが台頭していた時期ですが、かつて大ヒットを連発していたが近頃は泣かず飛ばずのプロデューサーがたまたまやってきた会計士から思わぬヒントを貰うのであります。つまり、出資者から資金を集めて興行を打ち、これがコケてすぐに打ち切りになれば、配当を払う必要がなくてかえってプロデューサーの手元に現金が残る・・・これ、会社を興すといって金を集めてからすぐに倒産して雲隠れするのと同じ粉飾のやり方でしょうが、とにかくショービジネスの世界ではこの手は今までなかった。そこで、必要なのは「必ずコケる史上最低のショー」ということになり、まず史上最低の脚本としてナチスを賛美する「春の日のヒトラー」、史上最低の演出家とそのチームとしてゲイの集団、ということでSMチックでホモチックなナチスのパレードと言うしょうもないゲテモノができることになってしまうのであります。
 しかし、なんというのかなあ。前にも書きましたがメル・ブルックスという人はナチスの持っていた視覚的な魔力、催眠的な魅力、そういうものをよくよく分かっている。実際のナチスもただの禍々しい悪の軍団じゃなくて、今日に至るまで、ヤマトのガミラス軍、スター・ウォーズの帝国軍やガンダムのジオン軍などに至るまでもろに影響を受けているほどの圧倒的なインパクトと大衆の心をつかむような、どこかふしだらといってもいいぐらい、常軌常道を心の底で踏み外したい、踏み外したいとどこかで願っている現代人の欲求に答えるような毒がある、そこを抉り出すのが見事なのですね。そこが分からない人がつまらない反戦映画を作ると、ちっともナチスの「毒」が伝わらない。毒の成分が美味いんですよね、どんな酒でもなんでも。そこを伝えないと、中毒になった人があんなにいたことを理解できないし、毒を知らないと、もっと強い毒への抵抗力がなくなる。私はだから、以前から、世の中から「ハーケンクロイツ狩り」をすることに反対しています。まったく毒のない無菌状態を作れば安全なのか。逆でしょう。情報を持っていない若い人に、いきなり毒を与えれば、無菌室に風邪の菌を撒いたようになるだろうと思う。今の日本が非常に危険なのはそこらへんです。簡単な扇動に乗りやすい馬鹿な国民性を鍛えるには、むしろ学校の授業でナチスの「毒と魅力」を研究させればいいのじゃないかと思う。
 これは、同性愛やユダヤ人の問題の取り上げ方でも同じで、なにかしら綺麗事で表面を糊塗しながら裏にまわって差別や迫害をする社会構造にあからさまな毒を送り込み刺激する、それがまたショービジネスの本質なんだ、というブルックスの認識でもあるのだろうと思われます。ナチス第三帝国の興味深さは、歴史上唯一、自分らで平然と差別迫害・悪の軍団をやってのけた、そういう意味では裏も表もない真っ黒なところでありましょう。表面だけ偽善的なアメリカ帝国と比較してみればよく分かる。
 ・・・それにしても、劇中劇「春の日のヒトラー」で、最初に碧眼金髪の絵に描いたような「親衛隊員」が歌う間は、観客が本気でナチス賛美ミュージカルだと思って怒っているのに見事に戯画化された女性的な「総統」が出現するや大受けしてしまうのですが、あのへんがもう見事で見事で。その歌い踊る「ハイル・マイセルフ」(ハイル我が輩!)の絶妙なることもうなんともかんとも表現しがたいです。まあ、「総統」が親衛隊の襟章つけているとか細かいことはよしましょう、あれはあくまでステージ衣装なんだから。
 そのアドルフ・エリザベス・ヒトラー(そういうミドルネームなんだと作品では紹介されています。ホンマかいな)の造形は映画史に残るでしょう。この作品の68年のオリジナル映画(これはミュージカルじゃなくてストレート作品)では既にブルックスがアカデミー脚本賞を手にしており、また、ミュージカル化ではトニー賞なんと12部門(オペラ座の怪人で7部門、レ・ミゼラブルで8部門、コーラスラインや屋根の上のヴァイオリン弾きで9部門、だそうです)ということですが、リメイクでもミュージカル映画としては初映画化なので、もう一度のアカデミー賞も狙って欲しいところ。
 こりゃもう、ぜーったいに見たほうがよろしい。下ねたもお馬鹿もお下劣も全部ありますが、ものすごく知的でクールです。これにかかればスティーブン・スピルバーグのときどき仕掛ける綺麗事映画など全部吹き飛びます。なお、ブルックス作品はいつでもそうなのですが、今作も最後のスタッフロールまで仕掛けが満載なので、途中で退席しないこと。ジ・エンドの後もいろいろありますので。あと、「オペラ座の怪人」のときに「音楽ばかりでつまらない」というような知能指数ゼロのコメントを書き散らしている低能な人を多く見かけたので(ロイド・ウェーバーの名前も出ていたし、あれでミュージカル映画だと知らないで見るなんて文句を言う前に本人が死ぬほどくだらないアホだとしか思えない)あらかじめ言っておきますが、本作は68年の普通の映画だったものをミュージカル化し、今度はそのミュージカルを映画化したものなのでミュージカル映画です。オペラを意識してほぼ普通の台詞ゼロだった「オペラ座・・・」とは違い、かなり歌わない地の台詞もありますが、ほとんどは歌のミュージカル映画です。
 ◇  ◇  ◇
 帰宅してから、どうしても見たくなって「メル・ブルックスの大脱走」をビデオで見直しました。共有する要素が多く、こちらの映画ではホンモノのナチス・ドイツ軍が大量に出てくるのですが、こちらでも「総統」役のブルックスが「ハイル・マイセルフ!」と叫ぶとか、非常に「プロデューサーズ」・・・おそらくオリジナルの68年版の影響を受けているのでしょうが、興味深いものがあります。また、この映画では大活躍しているブルックスの愛妻のアン・バンクロフトは、昨年6月に、新作プロデューサーズの製作途中で亡くなったとパンフレットで知り、元気な彼女の姿を見たくなったと言うこともあります。
 「珍説世界史」とか「マン・イン・ザ・タイツ」も家のどこかにビデオがあるはずですがなかなか出てこない。珍説・・・で宗教裁判のラインダンスなどは、プロデューサーズの劇中劇に通じるテイストです。あれももう一回確認したいが・・・これを機会に、オリジナルの68年版ふくめメル・ブルックス作品をどーんと集めて全集で再発してくれないだろうか、と思います。



2006年4月08日(土)
 先日、海部元総理の水玉模様のネクタイの話など書いたが、そういえば昨日の民主党の代表選挙では小沢さんが紺地の水玉だった。やはり正装していたのだろう。そこらへんの感覚はおそらくある人と思う。さすが慶応ボーイ、と思ったが考えてみるとファッションセンスのからきしない小泉さんだって一応、慶応であった。人生いろいろ、なのであろう。ふと、たまたまテレビでアイルランドとイングランドのサッカーの試合を見た。監督はどちらも太い帯のストライプ、というよりレジメンタルのネクタイを締めている。ああいう太い帯模様のネクタイというのは、旗の象徴で、ああいう場合はそれぞれの国旗を表すものを締めるというから、きっとそうなんだろうと思った。国際的な公式の場では、たんにファッションでストライプを締めるのはいけないのだそうだ。とくに英国式の左肩から右腰の方向に入るストライプネクタイは、そもそも英国の連隊旗を表すのだそうである。国や学校、軍隊などの表彰として締める。まだしも、アメリカ式の右肩から左腰方向に入るネクタイなら、まだそういう意味は薄らぐとも言う。まあ、そういうのも、要するに諸外国のエリートの人らは常に考えて衣装も身につけている。いちいち意味があるからである。どんどん、なんでもいい、と崩れていく日本のサラリーマンとか高校生みたいなのは、しょせん借り物ファッションなんだから。クールビズのときに、分かっている人ほどイヤな顔したのも、つまりはそういうことだったようだ。じゃあ、羽織袴に今更回帰するか・・・できるわけがないが。
 さて、その小沢氏だが、「政権交代こそ真の構造改革。国民の理解を得て、民主党政権をつくる必要性を訴えていきたい」(時事通信)と述べたそうだ。政権交代こそ構造改革である。まさにその通りであるが、さて、いつの日にか出来るかどうか。
 ◇  ◇  ◇
 「英国で、ロンドンの飛行場へ向かうタクシーの中でパンクを聴いていた男性が、テロリストの疑いをかけられ警察から事情聴取を受けた」という記事を見かけた。なんでも「男性は車内で・・・ザ・クラッシュやレッド・ツェッペリン、ビートルズなどを聴いていたそうだ、しかしザ・クラッシュの'79年のヒット曲「London Calling」に合わせ歌っていたところ、ドライバーはその歌詞「Now war is declared〜and battle come down(戦争が宣言された/戦いが始まる)」に危険信号を発したという。・・・「プロコル・ハルムをかけたら、ドライバーは気に入ったみたいだったんだ。だからオールディーズが好きなのかって思って、ツェッペリンをかけた。それからロンドンへ行くところだったからクラッシュ(「London Calling」)を流して、その後ビートルズにしたんだよ。運転手はツェッペリンもクラッシュも好きじゃなかったみたいだな。でも何も警察を呼ぶ必要はなかったよ」というのだが、かなり年配の運転手だったのか。40代以後ならクラッシュでもツェッペリンでもクラシック音楽のように聴くだろうに。が、ぴりぴりした諸外国の都市の雰囲気というのがよく分かる。たるんだ日本人の酔漢が、馬鹿なことを言ってしばしば、飛行機から降ろされる話もあるが、実際、テロが起きた街では冗談は通じないのである。英国人が腹の底からイラク戦争を倦んでいるというのも理の当然である。
 バグダッドじゃ、フセイン時代に戻りたい、と本気で言う人が増えているそうだ。民族自決主義というのをアメリカが掲げるたびに戦争が起きてきたのが20世紀以後の世界史であり、イラクはその最新版である。何千年も前から民族や宗派の対立がある国のことなど、アメリカ人に理解できるわけがない。ほんの数百年前にアフリカからつれてきた人らとの話も付かないのに。いい気な物である。
 ◇  ◇  ◇
 その宗教対立のひとつの源についてだが、読売新聞で「米国の科学教育団体ナショナルジオグラフィック協会は6日、1700年前の幻の「ユダの福音書」の写本を解読したと発表した」というのを読んだ。
 簡単に言うと、ユダは裏切ってイエスを売り渡したのではなく、イエスの命令に従ったのだ、というのである。これは実はえらいことじゃなかろうか。この件で何千年もユダは裏切り者の烙印を押されてきたし、たとえばヒトラーのユダヤ人撲滅に代表されるあれこれのユダヤ人差別というのも根はここにあるからである。「解読したロドルフ・カッセル元ジュネーブ大学教授(文献学)は「真実ならば、ユダの行為は裏切りでないことになる」としており、内容や解釈について世界的に大きな論争を巻き起こしそうだ。・・・13枚のパピルスに古代エジプト語(コプト語)で書かれたユダの福音書は、「過ぎ越しの祭りが始まる3日前、イスカリオテのユダとの1週間の対話でイエスが語った秘密の啓示」で始まる。イエスは、ほかの弟子とは違い唯一、教えを正しく理解していたとユダを褒め、「お前は、真の私を包むこの肉体を犠牲とし、すべての弟子たちを超える存在になる」と、自らを官憲へ引き渡すよう指示したという。同文書は3〜4世紀に書かれた写本で、1970年代にエジプトで発見され、現在はスイスの古美術財団で管理されている。・・・福音書はイエスの弟子たちによる師の言行録で、実際は伝承などをもとに後世作られたものと見られている。うち新約聖書に載っているのは、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人分だけ。ユダの福音書は、2世紀に異端の禁書として文献に出てくるが、実物の内容が明らかになったのは初めて」というのだが、確かにこれもひとつ、ありそうな話という気はする。イエスが救世主として完成するには肉体を失って、苦行のはてに死ぬことが必要である。そもそも聖書を読んでいても、その必要があり、そして裏切るのがユダと知っていて、その人物をずっと身辺に置いていたイエスの行動は俗な見方ではちょっとずるいような、ユダを利用しているようにも見える。しかし、両者理解のうえでの共謀ならなるほど・・・。
 この「裏切り役」を担う人物は永遠に汚名を着ることが予想されるからこそ、もっとも共に苦難を歩んで理解している一番弟子をあえて指名した、真相を知らない、または真相を知ってなおさら隠蔽するべくかもしれない、ほかの弟子は全部ユダが悪うございました、という話にしてしまった、というのは分かるような気もするが、しかしキリスト教の信者の皆さんはここまで通説がひっくり返ると、どう思うであろうか。
 今までの映画や文学作品もみんな内容を変えなきゃいけなくなるが・・・。


2006年4月07日(金)
民主党の代表選挙を今、テレビで見ている。小沢さんと菅さんの演説は・・・まああんなもんですかね。結果を待つ間・・・。
 ◇  ◇  ◇
 読売新聞に拠れば「北海道美唄市立中央小学校の6日の入学式で、国歌斉唱時の起立を促すため、学校側が教職員用のいすを用意しなかったことがわかった。教職員側との10回以上にわたる会議の末、最終的に岩城文雄校長が判断した。当日は、途中退席したり座ったりした教職員はなく、式は予定通り約40分で終了した」のだって。はじめから椅子がなければ座れないだろう、というのはおもしろい発想かもしれない。
 実際、40分ばかり、教師などずっと立たせておけばいい。内心、どっちでもいいけど教師仲間の雰囲気で、などと思っている先生も、初めから意思表示の必要がないんだからかえって安心して立っていられるであろう。
 私は、実のところ、現在の日本国家は大日本帝国が憲法改正して存続している国家であって、決して太平洋戦争の後で一度、大日本帝国が滅びて新しい国家ができたわけではない、という事実を確認するためには君が代も日の丸も国旗国歌としていったん、きちんと受け入れるべきだと思っている。これを変えたいと思う人は、単純に歌や旗の問題と考えず、全く別の新しい国を作るぐらいの、革命を起こすぐらいの覚悟を持って拒否してもらいたいと思う。なぜなら、とにかく今ある日本国家はこういうものであって、いいことも悪いことも、われわれのすべての生活も考え方も、すべてその日本国家の下にあることだからである。そこまで覚悟なく、今の国家制度の下で教育公務員優遇なんてされてぬくぬくやっている教員が、ポーズとして歌や旗だけ拒否すると言うのはちゃんちゃらおかしい、おこがましいと思う。そもそも、「反国家」である人なら、その国の教育公務員になどなるべきではなく、革命家なり、なにかしかるべきものになるべきであろう。
 ◇  ◇  ◇
 4時10分ごろに結果が出た。小沢一郎氏が47票差で圧勝したようだ。
 これは民主党の人たちだけでなくて、一般の人から見ても、いつも黒幕、と言う印象の強い小沢さんである、今度は正面に出てきたのだから、逃げも隠れも出来ない。が、だからこそ一度、やらせてみたいもの、という声も多かった人物である。豪腕と言われつつ肝心なときには雲隠れする、なんて評判もあった。
 なにしろ野党第一党の党首であり、今は落ち目と言いながらも、もし与党に失策があってちょっと潮目が変われば確かに政権とり、首相になることも十分に可能な立場でもある。
 面白くなった、とは思うのであるが。

2006年4月06日(木)
共同通信で「エッセイストの絵門ゆう子(えもん・ゆうこ、本名三門裕子=みかど・ゆうこ)さんが3日午後10時43分、転移性乳がんのため東京都中央区の聖路加国際病院で死去した。49歳。東京都出身。葬儀・告別式は7日午前10時半から東京都中央区明石町10ノ1、聖路加国際病院礼拝堂で。喪主は夫健一郎氏」という訃報を見てサブタイトルに「元NHKアナウンサー」とあったので、はて、誰であろうかと一瞬思ったが、それは池田裕子さんのことだった。2000年にがん告知を受けてから6年、芸名もこういうふうに改めていたのだった。一時はトレンディドラマにまで進出、順風満帆に思われたが、いつしかこういうことになっていた。自分とはちょうど10歳違いである。
 ◇  ◇  ◇
 なんかこう、春先と言うのは・・・調子が悪い。なんかこう、いまひとつ・・・。こういう時期に年度が始まるのがいいのか、悪いのか、という気もする。学校や職場で5月病なんてなるのも、この不安定な陽気に関係があるのじゃないか。諸外国にあわせたらどうか、と言う声もあるようだが。
 そろそろ学校は始まるんですかね。今日当たり、新年度ですか? とにかく毎日毎日、うちのまわりで遊びまわる近所の子供を見て、ほほえましい・・・なんて私のようなモンが思うわけがなく、なんであんなに毎日遊んでいるんだろう、いまに泣きを見るぞ、人生楽しいことばかりならいいのにねえ、と思うばかりでありました。


2006年4月05日(水)
政治ネタの今日でしたね。ひとつに「小泉純一郎首相は5日で在任日数が1806日となり、戦後歴代3位の中曽根康弘氏と並んだ。・・・首相は4日夜、歴代3位となることについて「一人の平凡な人間がここまでやれたのは、国民の多くのみなさんの支援と協力、あと運がよかったからでしょう。(任期満了まで)精いっぱい頑張る」と述べた」(夕刊フジ)ということで、まあご本人も言っているが、確かに強運だったと思う。
 というのも、なにしろ長い間にわたって野党がぜんぜん駄目であった、というのがいちばん大きいんじゃないか。「あんな野党じゃあ、小泉さんしかしょうがないじゃないか」という選択をする選挙民を、あながち頭から否定するわけには行かない。そのぐらい野党はアホボケできたわけである。
 で、今日は、小沢さんと菅さんが代表選挙に打って出る、とのことであります。お二人とも「小泉改革というのは、単なるパフォーマンスであって、中身を見れば改革というほどの物は何もない」「自民党内閣ではあれ以上は出来ないのだ」と言っていたが、そこらへんまでは全く仰るとおりである。戦前から続く政治家のプリンスの皆さん・・・安倍さんでも麻生さんでも、小泉さんだってそんな人ばかりであって、別に普通の人ではない。そして、この人らに代表されるような特権階級というのが国家の真ん中にしっかり存在しているし、この人らをどのようにしても動かせない・・・なぜといって、自民党政権が続いているからであって、それを始動しているのが過去60年間、GHQそしてそのなれのはての米政府であること自体は、間違っていない。
 が、しかし、問題はだ。それで小沢さんと菅さんが、これと対抗できるような政党を作れるかどうか・・・である。もちろんお二人ともそれなりの方だと思う。少なくとも、もし総理大臣をやらせればそれなりにはおやりになるだろう。しかしだ。
 ううん・・・なんともなあ。先のことは読めんわ。



2006年4月04日(火)
 例の投げ落とし犯の話だが「今井健詞容疑者(41)が昨年失職する前、・・・勤務態度が大きく変化していたことが4日、神奈川県警多摩署捜査本部の調べで分かった。・・・カーテン販売会社の社長の話では、店長だった同容疑者は業績を上げ、客の評判も良かったが、昨年3月ごろから出勤してもすぐに姿を消すなど、勤務態度が大きく変わったという。調べによると、今井容疑者はこのころから川崎市内のネットカフェを利用。同年9月に失職する直前まで13回通い、3時間コースで利用したこともあった。ほとんどが勤務日の昼間で、仕事の合間に時間をつぶしていたとみられる」というが、むしろネットの合間に仕事で時間つぶしをしていた、のじゃないか。
 なにがあったのだろうか。ネット中毒になった、ということなら分かりやすいが、そのほかになにかしら、本人がやる気を失うようなことがあったのか。
 別にこの容疑者を庇う必要もないが、しかし、仕事なんてしている人は日々、上司や客のちょっとした言動ですっかりやる気を失って鬱に、なんてことを経験していると思う。そういう人は帰宅しても家族に当たって、今度は奥さんや子どもが鬱に・・・と精神的不健康が伝染していく。
 この人の場合はどうかしらないが、今、日本で景気回復だ、と一部でいいつつも、ちっともあのバブル期やそれ以前の好景気のような浮き立つような高揚感がないのは、弱いものを蹴落とすことで成り立つ好況、というものをみんなが実感していて、不健康な精神状態が社会の端々まで蔓延しているからだと思われる。
 しかも、欧米型社会では競争も激しいが、転職もやり直しもしやすい。だから完全な絶望に至る前になんとか考え直しもできる。日本社会は欧米型の都合のいいところだけ利用した似非グローバリズムである。従来の日本企業にあった不合理な社内の出身差別や身内びいき、茶坊主的な人間の昇進を競争の体裁で誤魔化して正当化するような企業が多いのではあるまいか。
 犯罪は増えるんじゃないですかね、むしろますます。
 ◇ ◇ ◇
 ジュースダイエットに取り組んでいて、今日はことのほかつらい。ちょっと外出しても非常に疲れる。

2006年4月02日(日)
「2002年2月から始まった現在の景気拡大期は、4月も拡大が続いて期間が4年3か月となり、バブル景気(1986年12月〜91年2月)と並ぶ戦後2番目の長さになることがほぼ確実となった」(読売)って話ですけどね。まあ株価とか、経済指標とか、そういういうもので見ればその通りなんだろうし、それになんとなく、「景気がいいらしい」と思えば、不思議に金を使うもので、そもそも景気なんて心理的な動きですから、かくいう私だってゼツ不況と言われていたころよりは浪費・無駄遣いしている気もしますし、まあ倹約がトレンド、という時期が終わったのは間違いないですよね、確かに。2000年ごろまではかなり金持ちでもわざと1000円スーツとか着て100円バーガー食べてユニクロのフリースはおってみたりした。デフレに乗るのがトレンドでしたからね。
 今は、金がある人はあるらしくしよう、というのがトレンドになってきたから、それで目に見えてそれなりの人とそうでない人の雰囲気が違ってきた。
 格差社会、とにわかに言い出したのもそういうことだろうという気もする。
 ◇  ◇  ◇
 そうなってみると、去年のあの貧乏臭いクール・ビズも今年は少し変わってくるのじゃないかと予想する。やはり今年も盛夏のノータイというファッションはやると思うが、昨年にも増して、金持っている人は「いいシャツ」に気を使うに違いない。今や武部さんまでクレリックシャツを着る時代である。1万、2万のワイシャツを着る人はそれなりの人に違いなく、かえっていいネクタイ1本あればあとは安物でも誤魔化せる冬服より、歴然と布地の室なんかがよく分かってしまう。
 本当は欧米のドレス・コードを熟知している竹中大臣など、内心で小泉さんのじじ臭いシャツ姿をせせら笑っていたはずで、彼などはノータイのときは薄手のジャケットやポケットチーフを合わせるとか、さすがにそれなりのことをしていた。
 にしても小泉さんのファッションセンスはひどい。似合わないグレーの背広に下品な柄ネクタイをたるませたじじくさい首筋。あれをカッコイイ、と思うのは下層階級のババアだけである、というのはその通りだろう。かつて海部さんがいつも水玉ネクタイでワンパターンと言われたが、あれは三木さんから貰ったネクタイがそうだった、というだけでなく、実際のところネクタイの柄では水玉が一番、格式が高い。紺地の水玉ネクタイさえ締めていれば世界中、どこにいっても通用する、という事情がある。一国の総理がいつでも水玉でもそれはそれでよかったわけ。知らないで一方的に馬鹿にするようなものではなかった。そこで半可通で馬鹿にするのは決まって無知な下層民、ということか。
 去年は、貧乏で馬鹿な人をだます、というのが自民党の戦略だったが、もはや選挙によってそいつらの白紙委任状をとりつけたので、今後は富裕層を味方につけて「金持ちに有利な改革」を固定化しなければならない。もはや反対政党も存在しないので、今年はまた狙い目が違うだろうから、また自民党総裁も代わる訳だから、それに応じてまた、ファッションも変えてくるかもしれない。なにしろ「人は見た目が何割」というのは真実であり、下層民向けにはわざと貧乏臭い小泉ファッション、だが金持ちを味方につけたいときは今度は、上流階級のドレスコードをわきまえているところを見せる、といったことを恐らく、政権側はしてくるのじゃないかと予想する。
 ◇  ◇  ◇
 昨日は、ちょっとした記事の書き直しを命ぜられて死ぬほど腹が立った。違う、書き直しに腹が立ったのではない。半年もその企画を放置しておいて、異動してしまったある上司の態度に腹が立ったのである。その結果として、半年も前に書いた試作原稿のままほったらかしになっており、掲載直前になってごちゃごちゃいう。その無責任さに腸がにえくりかえった。日本の企業は本当に「思いつきだけの上司」で満ちている。
 それで業腹のまま、帰りのハイヤーに乗ったら、高速道路でパトカーに呼び止められてしまった。運転手はパトカーに連れ込まれて減点。私は30分も待たされた。高速なのに60キロ区間、車は85キロ出ていた、という。必死に謝る運転手に私は「不運でしたね」と言ってなだめた。警察としては年度始めのポイント月間か何かだろう。85キロで反則というのも正直のところ、もちろん厳密には違反だろうけど、気の毒にも感じる。ほかの車が60キロで走っているようにはとても思えないし。
 が、・・・・なんだか近頃、ついていないなあ・・・と私はひそかにどっと疲労していたのであります。


2006年4月01日(土)
おおや4月ですねえ・・・ところで、たった今、例の川崎のマンションから投げ落とし殺人の容疑者が逮捕された、41歳の無職男性、なんて話が伝わってきた。なるほどね。だいたいそんな感じか。41歳。・・・ああ、やっぱり自分と同年代のヤツらしい。なんとなくすごく若い人ではなく、もう少し上の世代の犯行のように感じたから。なんか発想がね。
 今の若い人たちは過剰な高望みさえなければ、一応は就職は出来るという。だから問題は20代の後半から40ぐらいまでの年齢の無職、フリーター、ニートである、とあちこちで書いている。
 この人たちが50歳になり、60歳になり、70歳になり、ということである。彼らこそやがて「小泉チルドレン」と呼ばれるべきかもしれない。周回遅れ、20年も遅れたサッチャリズムの落とし子たちである。
 ようやく今頃になって、世の中どうなっても大丈夫というほど資産を持っている人と、どうなっても将来が暗い中流以下の人との差が開く一方であるのに気付いていろいろ言い出したが、どうして去年の9月、そういうことに気付かなかったのだろうか、世間の人は。
 民主党は死んでしまったが、結局、9月に生命をたたれたものがここまで延命していただけのことである。もともと引導を渡したのは国民である。
 宮沢元総理がテレビで「民主党もあれではみっともない。あっちがあの調子では、自民党も駄目になってしまう。他人事ではない」と言っていたがその通りと思う。
 対抗勢力が存在しない一党独裁国家では、これからどこまで堕落していくか、しかもそれを追及する勢力がないのだから、どこまで国民の目がふさがれ洗脳されていくか。
 もはや想像するのも面倒くさい。
 ◇  ◇  ◇
 「漫才コンビ「島田紳助・松本竜介」で人気を集めたタレントの松本竜助(まつもと・りゅうすけ、本名稔=みのる)さんが1日午前5時2分、脳出血のため大阪市内の病院で死去した。49歳。・・・3月22日夜、大阪市内で倒れ、緊急入院していた。1975年、大阪の吉本興業に所属。島田紳助さんと組んだコンビは、リーゼントに作業服姿で乱暴な言葉も使う「ツッパリ漫才」で、若者の支持を受けた。お笑い番組「オレたちひょうきん族」にも出演、70年代後半からの漫才ブームの一翼をツービートらと担った」(共同通信)ということだが、そういえばツービートにしてもコンビの一人だけが突出してしまった。最近ではレイザーラモンというのがそう。HG一人が出てきてしまった。
 今となってみると竜介というのがどんな芸風だったかすら覚えていない。NHKの人形劇「三国志」で紳助と声を当てていたのぐらいしか記憶にない。
 久しぶりの話題が訃報というのは哀しいが、おそらく若い人など島田紳助が元々はコンビであったことをそもそも知るまい。
 ひょっとしたら、北野武がもともとコメディアンであることも知らなかったりして。

2006年3月31日(金)
なんか近頃、ニフティの「ココログ」というのが調子が悪い。ゆうべもアホかと思うほど待たされた。日付が変わってしまったらブログの意味がなかろうが。なにかメンテナンスをしてから調子が悪い。こういうことが続くと、東京証券取引所じゃないが、信用を失うぞニフティ。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、共同通信の記事だが「川崎市の小学3年、山川雄樹君(9っ)のマンション転落死事件で、転落場所とみられる15階通路の手すり(高さ130センチ)に山川君の指紋がないことが31日、分かった。手すりに触れず自力で乗り越えたとは考えられず、神奈川県警は投げ落とされたとほぼ断定した。事件3日前に15階通路で不審な動きをする男が防犯ビデオに写っていたことも判明した」ということで、少年の謎の死の後、今度は初老の作業員の女性が襲われたことから、殺人とみられるようになったのだという。
 にしても、同じところでやる、というのはあれかしら。黙っていれば少年の自殺か事故ですんだだろうから、犯人は大胆な残酷な犯行、として全国的に大々的に騒がれたかった、のだと思う。子供、初老の女性、と抵抗が少なく、持ち上げられるような相手を探していたんだろうことも間違いあるまい。
 ・・・にしても、マンションというのは空き巣なんかのセキュリティーは一戸建てよりいいかもしれないが、不特定の人が出入りするために、こういう不審者の侵入を許せば死角が多く、かえって危険である。特定の階しか止まらないエレベーター、というとかなり古い設計のマンションだったのか。プライバシー重視を言われたころの設計なんだろうが、こうなってみると犯罪をやりやすい環境だったようである。
 犯人は自転車でやって来た、という説もあるから近所の人間だろう、と思われる。
 ◇  ◇  ◇
 「民主党の前原代表(43)は31日、党代表を辞任する意向を固め、党幹部らに伝えた。永田寿康衆院議員(党員資格停止中)が引き起こした「偽メール」問題の責任をとるもので、同日夕、この問題の調査報告書がまとまった段階で辞意を表明する。後継代表選は4月中に実施されるが、代表選候補に小沢一郎・前副代表、菅直人・元代表らを推す声がある」(読売新聞)ということで、いよいよ民主党もおしまいのようだ。民主党をこのところ(反自民党という意味合いで)押していた人で、「今更、小沢なんか出てきたら、もう投票なんか行かない」と言っている人を知っているが、まあ私も同感ではある。
 



2006年3月30日(木)
FF12がちっとも進まない。当たり前か。なにしろ社会人がやることである。いまだにレベル18である。なんとか王の墓、で行き詰まってしまっている。まあ、先を急ぐのが人生でもない・・・。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、またなんとなく日本橋の三越によって、全国のお菓子物産展に行った。どうしても味覚が中部地方の人間なので、岐阜のあゆ菓子とか、みりんおかきとか、あのへんのものを買いあさってしまった。伊勢の赤福はいつ行っても売り切れている。あれは人気がある。
 その帰りがけにスポーツ紙の見出しを見て、「朝日新聞社長の息子、大麻で逮捕」と大きく掲げられているのを見る。そりゃあ、本人には直に関係ないし、息子も38歳とか、ほぼ私と同年代であって、この年で親のせいもなにもない。
 とはいっても、麻薬で逮捕、はあまりにも、である。芸能人ならともかく、朝日の政治記者の倅ぐらいでよほどいい生活でもしていたんだろうか。していたんだろう。なんといっても新聞業界でもいつまでもあの会社が最高給与である。あれは不思議な話である。絶対に他の会社は追い抜かないようになっている。部数じゃ追い抜いても、特ダネでは抜いても、給与だけは抜かないというわけ。
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 港陽監査法人、といえばライブドアの「監査」をしていたわけだが、地検に告発されたという。ほかにもあちこちの監査法人が処分を受けている。不動産のほうでも審査なんていくらしても意味がないことがわかった。こっちもそうで、会計士の監査なんて実際にはぜんぜん粉飾を見抜けない物らしい。
 こういう業界の人らは、そこらへん、大して何もしないで今日まで、いわば資格の上にあぐらかいて大もうけしていたわけだろう、そう言ったら言い過ぎだろうか。
 要するに監査なんて不可能、ということではないだろうか。違うというなら、いい手を考える必要がある。
 ◇  ◇  ◇
 読売によれば電通が「2007年から始まる団塊世代(1947〜51年生まれ)の大量退職に伴う経済波及効果が約15兆3233億円に達し、国内総生産(GDP)を0・6%引き上げるとの試算」を発表したそうだ。「消費を直接押し上げる効果は7兆7762億円で、別荘購入や住宅リフォームなどの不動産関連費が4兆924億円と過半を占めた。語学や資格取得、趣味など学習関連支出が1兆1965億円、海外・国内旅行が1兆1160億円、株式や投資信託などの金融商品購入が6755億円などとなっている」というんだが団塊の人らは、なんだかはやく仕事やめて金を使え、とせかされているようで面白くないのではないだろうか。
 こういう代理店なんかのあおりにのって、どんどん金を使うと後でひどい目に遭うかもしれないよ・・・私は関係ないがね。 

2006年3月29日(水)
また二日ほどネット断ちして、遊び暮らしている内に、麻原裁判が打ちきりになったり、姉歯元建築士の奥さんが自殺したり・・・いといろありましたようで。射水市の安楽死事件というのもありますねえ。
 麻原裁判について、「真相をうやむやにするモノ」なんて弁護団がコメントしておりましたが、それに対してあすキャスターが「うやむやにしてしまったのは弁護団じゃないですかねえ、遅らせるだけの手としてはひどいものですねえ」といっていたがその通りだろう。実際のところ、裁判が長引けば麻原個人の生命が永らえると言うだけのこと、結論に違いがあったとは思われない。
 姉歯氏の奥さんについてはお気の毒な、としかいいようがない。
 しかしふと思ったが、自殺の結果としてサンルーフを破られ壊れてしまった車の持ち主というのはどうなるのか。もちろん修理に保険はきくんだろうが・・・しかし、そんな車に今後も乗る気はしないだろうが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 「明治安田生命保険が28日発表した新社会人の意識調査によると、「理想の上司像」として、男性はプロ野球・東京ヤクルトスワローズの古田敦也・選手兼任監督が、女性はいずれも女優の黒木瞳さんと山口智子さんがトップとなった。・・・黒木さんは知性的でスマートなイメージが、山口さんは明るくて親しみやすいイメージが、それぞれ評価された」(読売新聞)というが、この調査、毎回見るにつけ、ああ、大学生の知っている人物というとせいぜいこんなものか、ということしか分からない調査だと思う。まだ指揮官としてなんの実績もなく、ノックも下手くそで、先年は選手会のリーダーとしてがんばった・・・ものの、彼が擁護したホリエモンなんてものが大みそをつけ・・・どう考えても、「理想の」という根拠がない。せいぜい「がんばってほしい人」に過ぎない。よく分からないですな。女性に至ってはいつもいつも、「ドラマで上司の役が似合いそうな女優」の投票に過ぎない。まあ大学生に聞いてもそんなものだろう。
 私なら? そりゃ「エルヴィン・ロンメル」とか答えるだろうが、決してトップ10には入らないから。
 ◇  ◇  ◇
 映画「デイズ・オブ・サンダー」を見てきた。ベン・キングスレー以外には大物も出ていないし、原作がレイ・ブラッドベリ・・・「火星年代記」で有名だが、まあ、そのぐらいしか話題性がない。しかし非常におもしろかった。ハイアムズ監督は「カプリコン1」の人らしいが、なんとなくあのテンポは共通性を感じる。要するにタイムマシーンで白亜紀に行って、ちょっとしたミスで歴史が狂ってしまい、生態系がどんどん変化して最後は人類が滅亡の危機に・・・というタイムパラドクスものの、まあほとんど元祖に近い話だろう。原作が書かれたのは50年も前である。
 とにかくスリリングで手に汗握る。生態系が変化して登場する、実際の地球には登場しなかった架空の動物たち、というのもおもしろい。特に猿のような顔の恐竜には、怖いと言うより奇妙な感じを抱く。
 が、かえっておもしろかったのは、2055年のシカゴの風俗である。流行の先端ファッションが、トップハットにダブルのコート、襟の高いドレスシャツにゴージャスなネクタイと、ダブルのスーツ・・・と、20世紀前半のようなファッションに先祖返りしているというのがおもしろかった。が、車がどうも、あのデザインはないんじゃないか。
 ちょっと特撮面で「予算不足?」という感じもあって、しょぼいところもあるんだが、なかなかおもしろかった。生態系の変化で現れる「人類?」がいちばんの見所である。


2006年3月26日(日)
財政制度等審議会、というのがある。これは財務大臣の諮問機関というやつで、ここがまた国民を脅かすための「長期試算」というのを発表するようだ。
 まあ、国の借金が公式に認められた額でも800兆円以上、しかしささやかれるのは1000兆円とも言われるので、・・・と書きつつ、しかしまた、そういうことをまるで知らないという人も世間には多いのだろう。多いのだろうが、そんなことは周知という前提で話は進む。
 そうそう、国が赤字だからなんだというんだ、オレには関係ない、という人がいるかもしれないが、改めて考えてみれば、とんでもない、国が破産したら国民の持っている金や資産は全部、差し押さえられてしまう。そういうことは外国ではあったことだ。金も資産もなにもない、うちは貧乏人だから関係ない? とんでもないだろう、今度は生活保護もなにもかもなくなるのだ。その他今まであてにしていた制度は全部なくなったうえに、それこそ消費税が50%とか100%になるかもしれない。第一次大戦の敗戦後のドイツのように天文学的なインフレが襲ってくればもはや、誰も生活が成り立たない。朝、パン一個が500円だったのに夕方には100万円になっていた、なんてことが本当にあったのである。国の経済が破綻するとはそんなことであって、関係ないなど、とんでもない話である、うまくそれ以前に海外にでも逃げ出せた人は知らないが・・・。
 で、まあ簡単に言って歳出削減、つまり政府のリストラだけで赤字体質を脱却するには、2015年度に「医療費8割負担」「年金受け取り開始67歳」「児童手当給付は5年生までで打ち切り」「国立大学の年間授業料200万円」「パトカーのリストラで犯罪への出動時間が今の7分から30分に」「国境警備やスクランブル発進ができなくなる」「公共事業費が減って、橋も道路も新規事業はなし。古い物の維持で精いっぱい」・・・などなどになるという。
 その一方で、歳出削減を全然しないで、いまのサービス水準を維持して増税した場合には2015年度に消費税22%にする必要があるんだとさ。
 でまあ、この試算の意図、というのは「政府のリストラだけじゃこんな感じになるけどいいんですか。イヤなら増税しますけど」という話の前ふりだそうである。
 が・・・なんとなく、上に書いたようなもろもろの事態が起きた上に、消費税が22%になるんじゃないか、というような予感すらするのであった・・・。
 まあなんとなく行間を読むに、その中間ぐらいの線で行きたい、という意図が分かるのではあるが、それはつまり、消費税が10%ぐらいで、医療費が5割ぐらい、年金受け取りが66歳ぐらい、国立大の授業料が100万円ぐらい・・・という感じであろうか。で、パトカーはじゃあ、15分ぐらいになるのかな。中国や北朝鮮の侵犯にはスクランブル発進はときどきは出来るのかな。ときどきしたってしょうがないが。
 もっともねえ、国立大の授業料なんて高くしていいんじゃない。そもそも東大こそいちばん金持ちの子弟が集まるんだし。東大を200万円にして、私学を安くしなさい。
 景気回復というので税収が増えればまた、話は変わってくる・・・が景気がよくなりゃ金利が上がって国債の支払いも増える。むずかしいはなしである。
 ◇  ◇  ◇
 そういえばワンセグというのがはじまるそうだが、つまりケータイやカーナビでテレビ中継がよく見られるようになるそうだが、あまりケータイに親しみがない私はぴんとこない。しかし災害の時なんかには便利だろうな、と思う。それはいいんだが、今でもカーナビでテレビ番組や映画を見ている危ないドライバーが多いのだが、警察としてはそのへんどう考えているのか。ケータイだけは取り締まるが、映像を見ているのは取り締まらないんだよなあなぜか。もっと危ないと思うんですが。

2006年3月24日(金)
 フランスで暴動が広がっている、というのはどなたもご存知だろう。実際、このところのフランスは相当に揺れている。若年失業率が26%だかあって、移民の問題があって、そのへんで相当に鬱積しているようである。
 あの国の若い衆が暴動を起こしているについて、アホだなあ、と思うのはこちらの感覚である。が、ニートとかフリーターとか言っていられる余裕がないのだろう。わが国じゃ仕事がなかろうがなんだろうが、みんなおとなしく家に引き込んでしまっている。感覚としちゃあちらのほうが正しいかもしれない。それに、移民の問題だって、わが国の未来像であるかもしれない。
 世間は景気がよくなってきている、よくなってきている、という。もちろん、みんながそういえば金が回りだして本当に景気がよくなるので、それでいいのだが、そしてそれでインフレ傾向に転じてくれたほうがよろしいのだろうが、長期ローンなどある人はインフレウエルカムだろうが、しかし、これまでデフレ価格だからなんとか生きてこられた、という人も多い。景気がよくなる、ということは金利が上がってくるのでいいこともあろうが、借金のある人には苦しい。増税もしやすくなる。
 つまり、この間に実際に自分の収入が上がっていかない人はますます苦しくなるはずである。
 ◇  ◇  ◇
 ロイター電によると「インドのコルカタ動物園で23日、推定年齢250歳のアルダブラゾウガメが肝不全のため死亡した。地元当局によると、この亀はもともと、18世紀中頃に英領インドの基礎を築いた英軍人ロバート・クライブのペットとして飼われていたものだという」とのことで、おそらく世界最高年齢のカメだったと思われる。
 ロバート・クライブとは何者か、といえば、ウィキペディアには「ロバート・クライブ (Robert Clive、1725年9月29日〜1774年11月22日)は英領インドの基礎を築いたイギリスの軍人、政治家。・・・1743年18歳でイギリス東インド会社の最下級の書記として入社し、翌年マドラスに赴いた。・・・1747年英軍将校に任命される。軍人としてインドの覇権をめざすフランス東インド会社と戦い、1751年にはマドラス西方の仏軍要塞アルコットを占領した。・・・1756年セント・デーヴィッド要塞知事として再びインドに赴くが、この年フランスと同盟したベンガル太守がカルカッタを奪取したため、1757年クライブは600人のイギリス兵、800人のセポイ(インド人雇用兵)、500人の水兵を率いて34,000のベンガル太守軍をプラッシーに破った。この勝利によってベンガルにおけるイギリスの覇権が確立する。1760年再び帰国して下院議員の席を買い、1764年にはナイトに叙爵された。1765年にはベンガル知事として再びインドに赴き、ムガール帝国皇帝からイギリスのベンガル支配を公認する勅書を受ける。これによって英領インドの基礎は完成した」というわけで、戦史に有名なブラッシーの戦いの立役者である。また、英王国が「大英帝国」になれたのも、この人の根回しで英国王がムガール皇帝を兼ねるようになってから、である。が、このクライブ卿という人も晩年はいろいろねたみ嫉みから失脚して、最後は自殺したという。実際、晩年と言っても49歳の若さである。太く短い人生の典型のようである。250年遡れば、問題のカメはクライブが30歳ごろ、軍人として有名になってきたころ小亀だったはずである。
 なんでも、ダーウィンが飼っていたカメ、というのも存命というし、とにかく人間の感覚じゃ理解できないタイムスパンで悠然と生きているものである。我が家にも、妻が子供のころに飼いはじめたおそらく25歳を超えているクサガメがいるが、まだまだ年を取ったようには見えない。そもそも、性的成熟は30歳、なのだという。ではあれでもまだ子供、未成年ということか。
 こうしてみると、昔の恐竜なんてのも何百年も生きるようなのもいたかもしれない。
 が、そういえば先日、九州の某新聞社の支局長が、輸入禁止のカメを飼っていて、ペット店の店長が逮捕された後、塁が及ぶのを恐れてそのカメを殺してしまい、捕まったというのがあった。馬鹿な男だ。飼っていただけならそれほど大きな問題はなるまい、わが身可愛さに、ペットを殺してしまうなどとんでもないヤツである。こんなヤツ、自分のためにはなんでも犠牲にするヤツに違いない。そこの新聞社は、こんな卑怯者はクビニするにしくはないと思う。
 

2006年3月23日(木)
東京メトロの地下鉄東西線がまた止まったらしい。もういい加減にせえや、最近。こう毎週毎週、会社にたどり着くのに苦労させられては嫌気が差す。別に楽しいわけでも愉快なわけでもないのだ。
 この時期になると、スーパーなんかで「1年生になったら」という童謡が流れているが、まあ文句を言ってもはじまらないし、前向きでなければとてもいけないのだから、気持ちは分かるんだが、しかし聞きようによっては欺瞞的な話で、私は昔からこの歌が大嫌いであった。友達が百人できようが、テストで百点とろうが、表彰されようが、なにがあろうが、学校なんてものは楽しいものであるはずがない。そもそもあれは、兵営のモデルなのである。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、期せずして日本橋の三越本店に行き、期せずして、「江戸物産展」というのに入ってみた。なかなか面白かったのだが、出来心で買ったのが「おすもう金太」という張りぼて細工で、とぼけた顔のクマと金太郎がしこを踏んでいる人形である。
 閉店間際に飛び込んで、「これください」といったら、店番のオバサンがあわてふためき、もうそんな時間に買うものなどいないだろうと油断していたのだろう、人形を取り落とすわ、サンプル品を間違えて置くわ・・・しこを踏んでいるのに、上げているはずの右脚で立ててしまい、全然「おすもう」じゃなくなってしまったのである。まあそんなこんなであったが、案外に有名な和菓子や工芸品などが軒を連ねて壮観だった。
 

2006年3月22日(水)
国交省の天下り先への不正発注なんて話が先日あって、かなり大きく新聞なんかじゃ取り上げていたが、同じ日の目立たない記事で、政府系金融の話も載っていた。
 小泉改革の一環と言うことで、あやしげな国の裏会計の元凶である政府系金融を思い切って統廃合しましょう、という話が決まって、それは小泉改革だ、といって大々的に報道された。しかし、その話を具体的にした行革法案では、ある廃止が決まっている地方自治体向けの融資期間の財務基盤=地方自治体から上がってくる金利収入を元にした引当金=これをそのまま維持しましょう、と明記してあった、というのが取り上げられていた。
 前段階の閣議決定では、移行期間が過ぎたらそのお金・・・なんでも2兆円以上とかいうのだが、それは当然ながら廃止しましょう、というものだったが、法案の条文では「この部分はずっと維持してもいいですよ」という書き方にさりげなく変わっていたのだという。
 さすがである。お役人達は、このようにメディアでぱっと取り上げられる間はおとなしくしておいて、それであほな国民が「改革が進んだ、進んだ」と思っていると、実際の法律では微妙に一行とか二行、付帯事項とか、文言の変更があって、それで実際に法律が施行される数年後には、ぜんぜん中身がなくて看板の掛け替えになっている、というのを常套手段としている。一般の国民としては、最初は大騒ぎしても、法律がその後、どう通って、どう施行されるかまでは関心がないので、そこがお役人と政治家にはつけいる隙なのである。PSE法の件を見てみれば分かる。法案が成立して、施行まで何年もあったりするのだ。一般の国民なんてすっかり忘れてしまうのは当然である。
 こうして、この政府系金融改革も実際には名前は変わっても金の動きは変わらず、ということになって、小泉さんが退場したとたんにすべて元の木阿弥、という一例となるだろう。
 自民党政府の、それが限界である。しかし、それに換わる政党はもはやない。
 ということは、それが日本国の限界である。小泉改革なんてモノが数年以内になにもなかたことになるかもしれぬという、そういう懸念を昨年の9月にいかに冷静に述べても、聞く耳もたないバカな人が多かったので、今、書いておくのである。
 ◇  ◇  ◇
 そんな国柄だから、マスコミはしっかりしないといけないのだが、まあ上の例はそれでも小さくとも新聞で扱っただけいいわけだが、じゃあ、こんなニュースをテレビで流して誰か喜ぶかというと、視聴率は取れない。ややこしくて専門用語も多く、絵にはならないからである。新聞でも、こういう記事なんてちっともおもしろくない。我々とて仕事でなければおよそ読まない。なにかと日本のマスコミはダメだ、ダメだ、とこれまた一つ覚えでそればかり言いたがる人もいるが、それなりになにか書いていてもなんの反応もない、ということではこちらも商売である、ばかげた一般うけの話題に差し替えるしかない、というのも一面の事実である。
 ◇  ◇  ◇
 某裁判所が某事件で、某社の記者が公務員からリークを受けた事件について、情報提供した公務員の名前を法廷でいわないのはけしからない、というようなアホな判決をした。同様の話はアメリカでもあったから、裁判官なんてモノは愚なものだが、またすぐに別の裁判所が「記者は情報入手先を言わないでいい」という判決を出した。
 結局のところ、記者クラブ制度で守られている日本のマスコミなんて、と二言目には批判する向きもあるし、またそれに問題があるのもまたその通りだが、しかし、そういう関わりの中で、正義感がわりにある公務員とか、中には思惑がらみでリークしてくる政治家とか、まあそういう人もいるわけである。そういうリークの中に、真実があることもあるわけである。そのどれを採用するかは新聞社なら新聞社の編集権というやつである。そのへんの判断をろくにしないのが週刊誌であるけど、時々はヒットする。そしてぜんぜん、判断できないのが民主党という連中である。
 で、上のような法案の話だって、おそらく誰かのリークから出てくるのである。マスコミなんてものは華々しい調査報道なんて言っていなくても、実際あるだけでもかなり効用はあるのである。そりゃよく分かっている人も多かろうが、なんかよくわかりもしないで誰かの意見の尻馬にのっているだけの人も多いから、念のために書いておくのである。
 というのも、当のマスコミの中でももっとも評判の悪いテレビ局の流すドラマの中に、いつまでもいつまでも、マスコミというのは人権侵害ばかりして、国民の「知る権利」をかさにきてくだらないリポーターが押しかけるダメな連中、という描き方が多いのが、あれは脚本家がバカなんだろうが、いつまでもいつまでも同じようなステロタイプである。近頃はどこの報道機関もおそろしく慎重になっているし、逆にアホな人のステロタイプを真に受けてしまうバカな裁判官が出てきてしまう昨今である。
 教育でもそうだったじゃないか、いつまでもいつまでも「受験戦争は悪だ」「偏差値競走はやめましょう」とマイクを向けられると答える半可通が多いわけだった。そういう人が何も考えないで同じことばかり言っているから、文部省がその国民の声に答えて「ゆとり教育」をやったのではないか。その背景には「日本人は教育レベルが世界一高い」というまたこれもアホな思いこみがあったのは言うまでもない。
 気をつけねばならないのは思いこみである。「野球はアメリカのもので、アメリカノ野球は世界一」というのも一種の誤解だったとようやくアメリカ人は気づいたと言うが、その手のワンパターンが一番みっともなく弊害が多い。
 前に、もう物価が下がっているころになっても、マイクを向けると「物価が高い」と、インフレ時代に覚えたせりふを唱えるバカな高齢者がいたモノだった。
 さて、またしばらくすると、今度は急激にインフレに振れてしまうかもしれない。
 にんげん、いつまでも同じことを言っていてはいけないのである。君子は豹変すべきモノであり、「ぶれない」とか「頑固一徹」なんていうのはせいぜい1年2年。それ以上は押し通すのはただの馬鹿者である。
 

2006年3月21日(火)
今日は世間的にもお休みだろうから、テレビを見ていた人も多かろう・・・。いやあ、小心者の私は怖くて怖くて、今回もチラッと見てはチャンネルを変え、を繰り返した。最初見たときには・・・おお、4−1でニホンが勝っている! その後、5−1、6−1・・・見るたびに勝っている。こりゃあひょっとして、と思いつつ、ちょっと席を外して戻ってみると、ゲゲ、6−5!! いかんいかん、こういう場合は私は見ていてはいけないのだ。見ていると必ず負けるので見ないようにして・・・で、もう一度つけたら、9回表にまた得点していたようだ。いやあ、怖い怖い怖い。が、あとは・・・一応安心して最後まで見ておりました。
 というわけで、日本がWBC初代チャンピオンということになった。当初、こんなことを信じていた人は実際にはいるまい。そりゃケチをつける人もいるのかもしれないが(いやあ、事前はともかく、こうなればもうあまりいないか)、オリンピックだってサッカーや陸上の世界大会だって、最初は「なんだあんなもの」と言われ難癖をつけられて始まったものだった。それに比べればよほどまっとうな大会だったと思うし、それに実際に始まってしまえば、やはり国別対抗の魔力である。ステージが上がるたびに試合内容も実に緊迫していて、確かにそのへんのリーグ戦のような駄試合はひとつもない。いやあ、このぐらいやってくれれば、面白いですよ。大会の展開もドラマチックになったのはおそらく開催者の想定外で、一度ほとんど駄目になりかけた日本が這い上がってきて、二回負けた相手に勝ち、そして34回だか負けた強敵を倒してここまできたのである。私のような門外漢のひねくれ者もこれは素直に嬉しいですね。初代チャンピオンというのはとにかく1回しかチャンスがないんだからね、なにしろ。今後、どこの国が何回、優勝しても初代だけはとれない! 
 その監督が王さんだった、というのもよかったよね。チームの風格が上がりましたよ。やはり日本チームの総帥は王さんか長嶋さんじゃないとね。
 松坂投手がMVPのトロフィーを持って「壊れちゃいましたこれ」と笑うのがおかしかった。あれもティファニーが作ったの? シャンパンかけで、王さんは「いやあ、今までのどの優勝より嬉しいね」と言っていた。そりゃそうだろう。やはりこういう場を作ったことは正解だったと思われるのである。
 しかしサッカーでもそうですが、こういう国際大会を経験してしまうと、そのへんのリーグ戦・・・これは大リーグももちろん含む、そんなもんがみんなかすんで見えるのも事実ですねえ。
 もう、半年おきぐらいでやってくれんかねえ。いや、五輪だってサッカーW杯だって4年おきだから値打ちがあるんで、出し惜しみぐらいでいいんでしょうけどね。
 ディフェンディング・チャンピオンとなれば、次回以後はまた厳しいだろうけど、それはまた先の話。とりあえず、よかったなあ、ということで。

2006年3月19日(日)
 夜勤明けにつき、目を覚ましたときには四回裏、0−0だった。怖いのでまた消し、しばらくしてつけたら、五回裏0−0。さらにしばらくおいてつけてみたら、6回、4−0、と出ていた。以後、雨の中断を挟んで最後まで見守ってみた。WBC日韓戦である。
 やはり、2度負けた相手ゆえにかえって3度目の正直ということになったか。あるいは、あちら側が集中力が切れたか。ひょっとして、他人事ながら「徴兵免除」は最終戦まで残しておいたほうがよかったかもしれない。
 さすがにスポーツ音痴で野球にシンパシーのない私としても、相手が韓国で国別対抗で、準決勝ともなると無関心ではいられなかった。こうなってみると、やはりなんだかんだいっても、出なかった人は失敗、ということになるんじゃないかと思う。日ごろのリーグの優勝というのは・・・まあたとえていえば、である。それなりにメジャーな文学賞は毎年、たくさん催されていて、受賞者も沢山いるのだが、一般メディアに取り上げられるのは芥川賞だけである、みたいなものであろう。しょせんはその業界の中の問題である。が、国別対抗となってしまうと話が違う、実際に外交や政治のバランスにも微妙な影響を与えるので決して軽視すべきものではない。
 ◇  ◇  ◇
 どうもそういいつつ、私はスポーツに関しては国別対抗レベルにならないと関心がない人間であるのに、ほかのものでは、マイナー志向が強いにんげんでもある。昨日だか、すっかりセレブになってしまったU2のボノのインタビューを見て、つまらないヤツ、と思った。実はWARアルバムまではファンだったし、コピーもしたことがある。ヨシュア・トゥリーで「世界一のバンド」とやらになってからまるで興味がない。実際、聴いてみてもWARのころの貧乏臭い中に漂う鬼気迫るような緊張感がない。
 同じアイルランド出身というと思い出す、ゲイリー・ムーアという人がいる。先日、割と最近の映像も入ったDVDを出来心で買ったが、オーバー・ザ・ヒルズ・アンド・ファーラウェイとか、アウト・イン・ザ・フィールドとか、私が大学生の頃の曲を嬉々として演奏している彼の姿に心が動いたね。この「成長していない」姿が素敵である。ロックミュージシャンは成長するべきでも単にビッグになるべきでもない。永遠に欲求不満で永遠に斜に構えていて、永遠にアウトローで、ごく一部の熱狂的崇拝者だけがついている、というのが理想である。グローバル・スタンダード音楽はマドンナなんかに任せておけばいい。
 ◇  ◇  ◇
 珍しく文学の話をすれば、どうも世間で評判がいいものがよく分からなかったりする。詩でも、そう。賞をとったりする詩集ほど、つまらないと思われる。要するに私に褒められるような詩集は決して評価されないのだと思う。
 私自身のものもそう。確実に非常に気に入ってくれる人がごく少数いるのだが、大方の人は近頃は、相手にしてくれないようである。もともと市場がないだけに、詩人の皆さんに興味をもたれなければそれまでである。
 そういえば、ずっと以前、高校生のときに通信添削の教材をやっていたことがある。それで幸田文の随筆が出てきて、欄外に通信欄があるから、「もって回ったつまらない文章だ」と書いてやったことがある。そしたら添削のセンセイがえらく憤慨した調子で「こういう文章が分からないあなたは偏狭で駄目な人だ」みたいな返事をよこしてきた。私の答案そのものは、満点であった。
 私は不快に思ってさらに次の回で書いてやったね。「どういう文章にどういう感想を持とうが個人の勝手である。文芸作品を気に入るかいらないかに採点基準はあるまい。私は幸田露伴の娘であろうがなんであろうが、こういう美文風のめそめそした文章は嫌いなのだから仕方がない」というような趣旨を書いてやった。次回に返事はなかった。
 私はどうも、いわゆる文学好きの人が喜ぶような文章が苦手なのだと思う。無駄がなくて明瞭に、どんな難解な情景でも心理でも一刀両断に料理しているような、切れ味のいい文章が好きで、なんだか味のあるだか、妙に凝った比喩を散りばめたような、つまり詩文くさい文章が嫌いである。
 要するに、私は詩文の情緒じゃなくて、描写の論理とリズムを愛するのである。音楽を聴くのに、サウンドを愛する人とメロディー、ハーモニー、あるいは技巧を愛する人で意見が違うように、文章の評価もそのへんで好みが分かれるように思う。
 新聞社にいるから、ではない。これは気性の問題だろう。漱石や鷗外の文章なら何度でも味読できる。案外に田山花袋のような人の美文臭いものも、変に情緒的でないから読める。
 どうも自分の個性は、詩壇文壇のたぐいでは、受け入れられないアウトローのようなものにならざるを得ないのかもしれないと、そんな昔のことを思い出してますます思うのであるが。

2006年3月18日(土)
 ふとテレビをつけたら「功名が辻」をやっていて、ちょうど姉川の合戦である。が、なんとも大味な姉川決戦であることよなあ・・・で、千代が山内一豊の浮気に怒ってしまう、という現代劇みたいな展開だったが、一豊という人は戦国大名なのに本当に側室を持たない主義の人だったそうである。あの時代には本当に珍しいことではないだろうか。
 にしても、永楽銭の旗の波が続く織田軍の中で、一豊だけ千代の手縫いの旗指物、なんてのは本当にあった話なのかしら。ついでながら、この「千代」という名前は確定しているんですよね。というのは、昔は歴史の本には必ず名前がなくて「山内一豊の妻」と書いてあったが。歴史上、菅原なんとかの娘、とか父や夫の名前がらみでしか実名が伝わっていない女性は多いのである。
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 WBCの韓国チームはなぜ強いのかというと、単に愛国心ということじゃなく、上位進出すれば兵役免除、というのが現実的な問題としてあったのだそうですね。で、実際に準決勝進出で、11人が免除になったという。そういう事情があればそりゃ一生懸命やるよな。逆に言ってそういうメリットもなく参加しているイチロー以下の日本選手は奇特な人たちということかもしれない。
 アメリカのほうじゃさすがにメキシコに敗れたのはそれなりにショックだそうである。がアメリカ戦でも客席に空きがあるところを見るに、そもそもアメリカ本国でも野球というもの全般が斜陽である、という感じがしないではない。大リーグの試合でもけっこう空きがあるものなあ。審判の誤診だらけだし。牛肉の判定は出来ないわ、野球の審判は出来ないわ、イラクは滅茶苦茶でブッシュの支持率は最低だわ・・・どこらへんが偉大な国かね。
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 早稲田大学などが茨城県つくば市に作った発電用風車が動かないというので、訴訟を起こされたと聞いて、関係者には悪いがアホかね、と思った。どういう行き違いがあったのかしらないが、しかしはっきりしない計画で何億円も予算をつけてしまうというのが理解できないというか・・・お役人のやることは太っ腹だねえ。

2006年3月17日(金)
ゆうべ、深夜帰りのハイヤーが高速道路でやたらとハンドルをとられているようなので「風が強いんですか」と聞くと、運転手が「いやあ、台風並みですね」という。そんな大げさなと思ったが、降りてみるとごうごうととんでもない暴風だ。
 で、今朝ともなれば風速30メートルを超えているというから、完全に台風並みである。そんなことはどうでもよろしいのだが、そのせいで近くの地下鉄もJRも止まっているようである。というか、地下鉄は完全に駄目で、JRのほうも、以前に強風で止まってしまって閉じ込められたことがある。とんでもない・・・。海沿いなんてこのザマである。ちょっと風が強いともう身動きが出来ない。これから出社なんだが、さて、どこまで出ればいいのかしら。近くの都営地下鉄の駅なんかに歩くにしてもちょっとした距離があるが・・・。
 ということで、のんびりしているわけにはいかないのである。
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 ところで、すっかり誰もが諦めていたWBC野球だが、どういうわけかメキシコがアメリカを下してしまったそうで、どういうわけか、日本は準決勝に進めた様である。「日本が準決勝進出決定!! ワールドベースボールクラシック(WBC)の2次リーグ・プール1、メキシコvs.米国の一戦が17日(日本時間)、米国のエンゼル・スタジアムで行われ、メキシコが2−1でアメリカを下した。これで2次リーグは、日本、アメリカ、メキシコが通算成績1勝2敗で並び、大会規定の失点率で日本の準決勝進出が決まった」とのことだが、嘘のような話があるもんである。が、またしても次の相手は韓国だというから、これまで二戦やって負けている我がほうなんて普通に考えれば分が悪い。しかしなんでああも勝てないかねえ。それにアメリカが負けてしまったんじゃ、後の興業はどうなるんですかね、そんなことは私は知ったことじゃないけど。が、いかに興味のないアメリカ人でも決勝まで行けば少しは乗ってきたろうに・・・。もう二回目はないかなあ。
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 「リアルタイム財政赤字カウンター」というもんがあるのをご存知だろうか。知らない方は次のアドレスを見てもらいたい。http://ueno.cool.ne.jp/gakuten/network/fin.html
 ただいまの日本国の累積赤字は1048兆5000億円、だそうである(今現在、見たところの数字)。詳しいことはしらないが、数字から見て国と地方を合わせた金額だろう。
 政府がプライマリーバランスの試算につかっている数字(880兆ぐらいですか)よりだいぶ大きい。そして大本営発表よりもこっちのほうが真実に近いだろう。おおよそ本当のところは1000兆円、とよくいわれるからである。
 日本の国家歳入なんて40〜50兆円であろう。歳出というのは目に見えるのだけで80兆円ほどであろう。普通の家庭で月収40万円で80万円使えば、すでにこれだけで話にならない赤字だが、40兆円ほど国債、つまり借金をしている。ところで、目に見えない特別会計を入れると日本の「隠れ予算」は200兆円とも400兆円とも言われる。つまり何百億円か、お役人がテキトーに使っているのだそうである。こっちはどういうことになっているのか知らない。
 日本人は、悲劇がやってくる直前まで「なんとかなるさ」が口癖である。戦争でも災害でも、いつでもそうである。
 今度ばっかりは、なんとかなるとは思えないが。 
 

2006年3月16日(木)
今日はなんの日なのか、というと「スクウェア・エニックスは、本日3月16日に発売を開始したプレイステーション 2用ソフト「FINAL FANTASY XII」(FFXII)を記念し、東京・渋谷にあるSHIBUYA TSUTAYAにおいて発売記念カウントダウンイベントを開催した」(ITメディア)ということである。
 つまり「ファイナルファンタジー12」が発売された、のである。
 「SHIBUYA TSUTAYAがFFXIIの発売を開始する午前7時を前に、スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏や同取締役で本作エグゼクティブプロデューサーの河津秋敏氏を招き、発売を待ちに待ったファンとともにカウントダウンをし、祝うというもの。この際、ソフトを購入するともれなくプレゼントとして先日サントリーから発売された「ポーション」がもらえ、さらに購入者の中から抽選で、同日18時から同会場2階で開催されるFFXII挿入歌「Kiss Me Good-Bye」を歌うアンジェラ・アキさんのプレミアム・ミニステージ観覧整理券が当たるとあって、多くのファンが早朝だというのに集まった」のだそうである。
 私は、いまひとつイベントに並んで他人より少し早く手に入れたいというほどの熱心なファンの心情は理解できないが(それほどまでして欲しいというものは何もない)、それにしても今日は、我が家もFF12の予約は入れてあるので、手に入るはずである。とはいっても、私は今日も夜勤であって、家に帰ってくるのは実際には17日明け方であるから、実際にFF12のオープニングを目にするのは明日の朝であろう。
 そのころには、もう閉じこもってゲーム攻略に励んでいる人はもう最初の一周、終わっているんじゃなかろうか・・・そのぐらい、他人より早く、という人がいる。まあ大作ゲームでも4,50時間あれば上手な人は一周はできるであろうから、2日もあれば寝食を忘れてやるゲーマーは終わってしまうだろう。こちとらは仕事の合間にしかできないから、一周が終わるにも2週間はかかる算段である。まあ、あまり急いで終わらせるのが好きではないのでどうでもいいのだが。
 このところ、「零式艦上戦闘記2」「ウオーシップガンナー鋼鉄の咆哮2」「魔界戦記デスガイア2」と立て続けに3本もゲームを買っていて、零式は四つあるシナリオの一つだけは終戦まで、ガンナーも一周は出来たが、ディスガイアはいまだレベル12、という体たらくである。ここに新たなゲームがきても到底、手につかないかもしれない。時間もないがお金もなく、気になっていたガンパレードマーチの続編は諦めるしかなさそうだ。もし手に入れても、とてもやる余裕はないだろう。
 なんだ、なんだかんだいって結構、やっているんじゃないか、ゲーム。1日に1時間とか2時間とか、ではあるが。
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 どこやらの調査で、今、例の「裁判員」をやったらあなたはどういう判決を下しますか、というアンケートをやったところ、少年犯罪だろうが酒の上での犯行だろうが、なんでもかんでも「死刑」という判断をする人が1割はいる、ということが分かったそうだ。
 私も多分そうだな。結局、その人の個性ということだ。加害者に対してはあまり同情しないのではないかと思う。職業として、相場で量刑を決める裁判官とはどうしても一致しないだろう。それに面倒くさい裁判員なんてものを押し付けられたら、ふてくされた気分でなんでも極刑を言い立てる人も出てくるだろうし、逆に面白がって、死刑、死刑と言いたてるふざけた人も出てくるだろう。
 一方で、死刑廃止論者、なんて者がいたらどんな凶悪犯でも死刑は下さない。嫌ならそういう者はさせないしかないが、制度としてもそうもいくまい。
 今の日本国民のレベルをどの程度と考えているのか知らないが、なにしろくじ引きでいい加減に決めるのだから、不適当な人種も裁判員になるのはどうにもならない、滅茶苦茶になるかもしれないぜ、あんな制度。アメリカなんかじゃ有罪・無罪を決めるだけでしょう、評決は。量刑まで素人がやるんですからねえ。
 とにかく、裁判員になった人の思惑は9割がた「なんでもいいから早く終わって欲しい」というものじゃないかしら。それともあれかな、堂々と会社がさぼれるので、できるだけ裁判に長引いてもらって、会社には「ちょっと今日も裁判関係で呼ばれているんで」といって、いつもいつもさぼる手に使う、というのもありかもしれない。
 ああ、そりゃいいなあ。麻原裁判なんて担当したら何十年も、堂々と会社をさぼれるわけですなあ。

2006年3月15日(水)
二日ほどネット断ちをしていた間にもいろいろあったようで。WBC野球はアメリカの八百長勝ちなんてありそうな展開だったとか(もちろん後で知ったこと)。今朝はメキシコに快勝、とか言っておりますが、まあこのへんで負けているようでは・・・。
 民主党はおわび広告掲載、新聞社としては儲かります。前原代表の「起きあがり小法師」だけ起きあがらない、というのは苦笑もの・・・。本当にもうダメかもね。なんとかタイゾーは結婚報告・・・なんてなんで首相にするのかね。そんなに暇なの、首相って。議員は暇みたいだけど・・・本人が就任前に言っていたとおり、おいしい仕事みたいね。
 ライブドアのほうも上場廃止、と思ったらUSENが乗り出してくるとか、いろいろあるようですねえ。
 春闘の回答がそろそろ出るようですが、うちの会社もまだ結論は出ていません。まあ、そこそこ、なんじゃないでしょうか。新聞社というのはあまり世間の好景気不景気にダイレクトにかかわらないので。景気がいいからと言って100部とるなんて人もいませんし。不景気でもかえって情報収集と言うことで日ごろより熱心に読む人もいますし。広告や事業の面は景気がいいに越したことはない。が、テレビ局のようにほっといてもウハウハ金が入ってくるような仕掛けもありません。まあなんとも言えません。
 就職戦線は採用人数はバブル期並に、といいますが、あのころと違うのは「人数が足りないからと言って、レベル以下の人材はとらない」という企業が多いこと。これ、私のようなバブル期入社の社員が頭数採用で質が悪かったから、ですね(すみません、私どもの世代がご迷惑をかけます)。だからあまり楽観的な態度じゃ厳しい、ともいいます。
 「これからは資格だ」なんて専門学校のパンフレットには踊っていますが、少なくとも企業の人事部の採用基準では「資格」「語学力」なんて不問だそうですね。たとえば「簿記ができるので計理しかやりません」とか「語学力があるので海外部門しかやらない」とかいう社員はかえって邪魔。やりたいことがある、というのはいいことだが、えてして「そのことしかやらない」という発想になりがちです。が、大きな会社ほど、そう初めからうまくはいかないし、優秀なライバルも多いから希望通りとは行かない。
 資格や語学なんて入社後でもできるから、と人事の人は言うのであります。じゃあどういう人がいまどきほしいのか、というと「コミュニケーション能力」のある人、だそうですね。交渉力がある人、ということ。メールでしか意思表示しない人なんて論外、なんでしょうな。もちろん、ITスキルをそこそこに使いこなせるなんてのは前提条件ですが。
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 今日の読売新聞の夕刊に、「地球温暖化の原因はオゾン層破壊が原因、と誤解している人が7割」という記事がありました。皆さんはご存じでしたか。そう、地球温暖化の原因は温暖化ガス、つまりは二酸化炭素の増加が主因ですね、オゾン層は関係ありません。あれはフロンガスがらみの話で紫外線が増える、というほうです。環境問題ではあるが温暖化の問題ではない。が、不思議とごっちゃにしている人が多いとか。
 こういう、なんとなく知ったかぶり、ということが世に満ちておりますね。
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 昨日、ディズニーリゾートにふらりと言ったら、ものものしい機動隊の車両が10台ほど通過していった。「なんだなんだ、VIPでも来ているのかな」と思っていたところ、夕方のニュースで判明。皇太子ご一家が来ていたんですね。
 あんなに機動隊が来るんだなあ・・・なるほどなあ。
 窮屈なもんですね。

2006年3月12日(日)
読売新聞のこんな記事を読んでいてひたすら不快になった。「自民党の久間総務会長は11日、東京都立川市内で講演し、都心にある国家公務員宿舎を売却する構想について、「首相公邸の周りの一等地に公務員が誰も(住んで)いなかったら、何かの時にパッと会議もできない。一等地にある宿舎が効率良く使われていないのは問題だが、必要なものは置かなければならない」と述べ、危機管理などの観点を踏まえ、慎重に検討するよう求めた」ここまではよろしい。私もその通りと思う。
 が「『官民格差をなくせ』と言って、官をたたいて一番困るのは国民だ。公務員は中間よりも上の連中を使わなければならない。官民格差はあって当たり前ではないか。自衛隊や警察官など危険な仕事をして、ほとんど差がないなら民間に行ってしまう」と訴えた」というのである。公務員は「中間より上の連中」を使わなくてはならないのだとさ。で、あとは中間より下の人で構わない、とそういうことなんだね。公務員の皆さんだって「中間より上の連中」なんて言われればむかつくであろう。なんだ、連中、とは。ここが「優秀な人材が必要だ」というなら別に異論はないが、「中間より上」とはなんだ。要するにこいつめ、国民を階層分けして上、中、下と考えているのがばればれとなった。もちろん、腹の中じゃみんなそうであろうが、公開のところではっきり言うんだから、相当に「馬鹿無用論」な人なのであろうと思う。
 で、ご自分らはその中でどのへんに位するわけ? 政治家は中間より上なんだか下なんだかそれともどうでもよくて金やコネなのか。生意気な男である。
 自衛隊や警察など、ほとんど差がないならみんな民間に行ってしまう、といってそういうことならアメリカみたいにみんな民営化するがいい。国が破産しかかっているのだからそんな寝言は聞きたくない物である。
 森前首相もしきりと、国家公務員は国会答弁のために毎日徹夜している、とかいって、都心に官舎を置かなければ、といっている。あのなあ、お前ら「センセイ」とか「大臣」のお世話をするために残業させられているのぐらい分かっている。が、民草としては優秀な人らにあんな国会のぼんくら議論のレジュメや資料作りなどしてほしくないのだよ、高い給料で連中を雇ってさ。国会じゃ、省庁のトップのお役人がつまらない資料を読み上げては、「よけいな事を言わないでいいんだよ、事務方は。質問に短く端的に答えなさい」とお説教をセンセイからくらう情けない絵ばかりじゃないか。あんな姿見ていてあこがれるなんて人はアホですよ。
 給料が安くて住宅がないなら公務員は辞めて民間に行きます、というような人材ならはじめから公職などつかないでよろしい。それでブランド大学だけが売り物の人がいなくなればかえって、二種採用で実力のある人らが浮かぶ瀬も出てこようという物だ。
 中間より上、というより一般人がいらないと思っているのは「一種キャリア」である。国滅びてキャリアあり、になって欲しくないのである。というのは、前の日本帝国敗戦でも我々は、陸海軍は廃止と一応なったが、国やぶれて官僚機構あり、を見てきたわけである。
 まあ見ているがいい。こういう声が出てきて、またなんとなく小泉さんが退任する頃にはほとんどすべての特権は回復されるから。名前が変わったり、いろいろ抜け道はあるだろうけどさ。
 で、まもなく金利が上がって国債の支払いが出来なくて国が倒産して消費税が30パーセントとか50パーセントになって年金は廃止になって・・・あとはなんだ。もう何が起こっても驚かないね。アルゼンチンみたいに国債償還不能になるか、IMFのお世話になってまたまた敗戦を経験するか・・・。それでもまた、その「中間より上の連中」だけ生き残るんだとしたら、もはやクーデーターでも起こしてその優秀な連中と政治家連中を皆殺しにでもするしかない。
 それができんというなら、やはり日本を見捨てるか。




2006年3月11日(土)
東京地裁で昨日、電車内での痴漢の容疑を掛けられた男性会社員(42)の容疑が濡れ衣であった、という判決が出た。去年の4月に中央線の電車に乗っていて30代の女性の尻を触った、としてその女性に取り押さえられたのだという。ところが、その女性、というヤツもはっきりとその男性が犯人、と確認していたわけじゃないらしく、今となってこういう話になったようだ。
 男性は長い期間、休職してひどい目にあったというが、こういう場合には誰が責任を取るのか。その女性、というのはなんにもおとがめナシなのか。気になるものである。
 私は以前、地下鉄千代田線に乗っていて、ある女性が「あんた、なにすんのこの痴漢」と叫んだ現場に乗り合わせたが、その瞬間に間髪入れず「なんだとこのバカ。お前みたいなの触るか、このブス」と男性がやり返したのが印象的であった。本当のところどうだったか、その後、どうなったかは知らない。というのもその後、ますます人が乗ってきて、もうなにがなんだか分からなくなってしまったからである・・・。
 ところで、妙なもんだがものすごーく美しい男性に触られたら、女性は「痴漢!」といって騒ぐのかそれとも喜ぶのか。もちろんその逆もある、タイプじゃない女性にもてあそばれたら男性は怒るだろうが、すごくきれいな女性に痴漢されたら・・・はっきり言って私は怒るかどうか判然としない。
 ストーカーというのもそのへん、微妙である。というか、一目惚れして、強引にアタックするとか、ストーカー状態になる・・・相手の家や家族が気になって調べたくなったり、行き帰りになんとなく見張ってしまったり・・・そのあたりまでは、どなたも経験があるのじゃないかと思う。
 たまたまそのへんで見かけた人を一目惚れしてしまった場合には、実際のところ、ストーカーすれすれになるのは、まあ仕方あるまい。
 じゃあどこからストーカーなのか、といえば、ひとつには当たって砕けて、いまでいう「告ってみる」、すなわち告白をしてみて、それで相手から拒絶された場合に、それでもかまわず、いつまでもしつこくアタックを続ければストーカーとなる。もっともなあ、しかし一度であきらめないで何度もアタックするというのも、それ自体はあり得るとは思うが・・・しかし、やはり一度玉砕して、それで諦めないとストーカーとなってしまうのだろうな。
 二つには、最近の人に多いのだが、その玉砕、告白を初めからしないで一方的にストーキングをする。これはもう話にならない。
 で、問題はである。見ず知らずの人がアタックしてきた場合、気に入って、受け入れてくれればそれはストーカーにはならないで一目惚れが成就した、というハッピーなお話に一転する。
 まあ・・・しかし、ストーキングや痴漢の被害にあった人や、また上の例のようにやってもいないのに濡れ衣を着せられた人(こういう人もまた痴漢被害者でもある。はじめから痴漢がいなければ濡れ衣も掛けられない)は、こんな暢気なお話ではすむまいが・・・。
 それに、上の例ではどうか知らないが、たちの悪い、なんでもかんでも痴漢とか被害をねつ造して騒ぎ、金をせしめるような悪女も実際にいるので、恐ろしい話である。
 いちばんいいのは、出来るだけ、両手でつり革なり手すりにつかまっていることだ。何か言われても手がふさがっていればどういう言いがかりもつけられまい。
 ◇  ◇  ◇
 ブルガリ、というブランドが銀座に「ブルガリタワー」という10階建てのビルをぶっ建てるという。来年末には銀座2丁目に出来るそうだ。周りにはほかのブランド店もある。
 近頃の「階級社会」を説く本にはしばしば、「ブランド物に走るのは下流」と書いてあるが、おそらくその通りだろう。ブルガリも全売り上げの30%は日本市場だそうだし、ほかの有名どころもみんな日本で儲けているそうだ。そもそも、日本向けの商品、というのも多いのだろう。バーゲンセール用の商品、というのをわざわざ仕入れる百貨店のやり方と同じだ。
 このタワーの最上階はVIP用ラウンジだそうである。無理して半年間カップラーメンすすって節約し、それでお上りしてきて「最新流行のもの」を求める下流のブランド好きと、「なんでもいいので今日の予算は1000万ぐらいでね」とオーダーするホンモノの人とはもちろん扱いが違う。というか、本当に凄い人なら店になんか行かないだろうが。ブランドのほうからお屋敷に出向くんじゃないの。
 というか、ホンモノのおしゃれさんは、必ずしもブランド、というものは好かない、というかみんなが知っているようなヴィトンとかシャネルとかブルガリとかいうものは敬遠して通人しか知らないような品がいい高級品を人知れず愛用しているのじゃないかと思う。
 ところでそのブルガリというの、なんか妙な名前だな、と思っていた。アルマーニだのサバチーニだのフェラーリだのという名前と比べると響きが違う。本当にイタリア人の名前なの、と思ったらそもそもの開祖のブルガリ氏はギリシャ人で、しがない銀細工職人だった。バルカン戦争のときに戦火を逃れてイタリアに出てきた。オスマン・トルコに押し出されなければブルガリは世界ブランドにはならなかったかもしれない。ローマに開店したのは1870年。これ、ファッションの世界じゃさほど老舗ではない。たとえばドイツの靴の老舗のエデュアルト・マイヤーなんてのは豊臣秀吉の時代の1595年だかに開業していると記憶する(1,2年違うかもしれないがまあそんなもの)。
 で、ブルガリが海外に出店したのは1970年代に入ってから、だというから実はこの業界じゃ新参者らしい。
 だからどうこうケチをつけるわけじゃない。そういう由来というものを知らないで有名だから高いから、と珍重するのはニホンの下層階級だ、と思うまでである。私はいちいちの新作のモードより、そういう由緒由来のほうに興味を抱くけどね。

2006年3月10日(金)
 昨日はニフティのブログサービス「ココログ」が終日、メンテナンスとそれに伴う混雑で全然使えないために、そちらの更新は出来ず、本サイトの不定期日記だけ更新した。
 まあ、はっきりいって「なーにをやってるんだか」と思うね。更新できなきゃブログの意味がないだろうが。
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 ところで昨日は、「日銀の量的緩和政策解除」というのが、堅い新聞なんかのトップニュースだった。それがなんだか一般人にはさっぱり・・・まあマクロ的なことなんぞ知ったことじゃないわけで、それで自分の生活にはどうかかわるのか、である。
 要するに、やがてゼロ金利が解除されて、たとえば住宅ローンが上がる、なんていう話である。すると安い金利で安心してローンを組んでいた人は困るだろう、というわけだが、うちなんかは見直しが面倒くさいから割高も気にせず固定にしているので知ったことではないのである。
 まあ、後は本当に世の中の景気が回復しているかどうか、である。デフレが脱却しているか、である。しかし街頭インタビューなんかで、景気が何となく回復しているというのは無責任な年金生活者だったりする。なんでこんな人が景気がよくなっているとかなっていないとか言えるんだろう、なんてのが「なんとなくよくなっている気がしますねえ」なんて暢気に言っているのをさっき、テレビで見た。なに言ってるんだか。
 

2006年3月09日(木)
サンスポによりますと「離婚に向けた話し合いを行っていると一部で報じられたフジテレビの佐々木恭子アナウンサー(33)が8日、東京・港区の同局で行われた韓国ドラマ・・・の発表会見に登場した。・・・プライベートな質問を受ける機会はなかったが、左手の薬指には結婚指輪がはめられていた。昨年5月、TBSの池田裕行キャスター(43)と結婚した」ということだが、ああそうなんだ。離婚の話があるんですか。
 それにしても、もともと局の違うキャスター同士の結婚というのはかなり難しいとは思っていたんですが。そういうことと関係があるのか、ないのか。なにしろ仕事がらみの話は家で一切出来ない、ということではねえ・・・。息苦しいでしょう、そりゃあ。同じ職場結婚で奥さんが自分の仕事振りを何もかも知っていて、「もっとああしなさい」とかアドバイスされてしまう家庭も嫌ですけどね。
 にしても、テレビ局だとこういうカップルは構わないのですかね。報道に携わっている人じゃなければ・・・というけど、アナウンサーやキャスターなら、携わっているわけでしょうが、取材はしてなくても、他社には秘密の機密情報は流れてくると思いますが。会社でも「あいつにはこれ以上、話さないほうがいいな」なんてことで、大事なことになると外されるかもしれません。
 こっちの活字の業界ですと、たとえば朝日新聞と読売新聞の記者同士が恋仲に、ということはない話じゃありません。ことに支局勤務で、狭い範囲・・・地方都市の警察と県庁と市役所とイベント会場・・・と立ち寄り先も似たり寄ったり。しょっちゅう同業他社の人と出くわせば場合によっては親密になることもないとはいえないです。そういうケースだと、まあどっちかの会社に引き取る、年齢階級の若い方を移籍させる、ということが実際、あったように記憶してますが。やっぱり恋愛も婚姻も自由ではあるけれど、なかなか難しいですわな。ことに情報そのものが売り物の業種では。
 また、学生時代から付き合っていて、それぞれライバル社に就職した場合、という実例もありましたが、その場合は女性のほうが結局、結婚と同時に退職しました。父親とライバル関係の会社にわざわざ就職した人、というのもいました。この人は1年ほどで、結局は父親の会社に入りなおしました。
 ま、そんな具合で、ずっとそのまま、というのは、映画や小説の設定ならありそうですが実際のところは、まあ窮屈になりますね、間違いなく。はっきりいってお互いの給与明細を見せ合うのもまずいかもしれないし、勤務時間や締切時間だってお互いに秘密にしないといけないかもしれません。新聞社では、何時に締め切ってどこの工場で印刷を開始して、なんてタイムスケジュールは大雑把なことはお互いに分かっているとはいえ、本当のところは「軍事機密」です。正確にその辺を知っていれば、微妙なタイミングで他社を出し抜いて特ダネ掲載なんてことも可能ですから。テレビ局もそのようなことはあるに違いない。
 もっとも最近はうちの会社でも、他社から中途採用で移籍した人も増えたし、以前のように厳しくはないかもしれないですが。
 ◇  ◇  ◇
 どこやらのニュースで14歳の中2の少年が自宅に放火し、赤ちゃんが焼死、40歳の両親も重傷・・・なんて話がありました。詳しいことは分かりませんが、遅く出来た妹の出現が少年の心に影響を与え、それが親との関係も悪くさせた可能性はありますね。「俺は一人っ子だ」と思ってきたものが、親がそのぐらいになって突然、妹ができると動揺するものじゃないのかしら。そういう経験がある人のお話を聞かないと分かりませんが。私のところは夫婦ともども一人っ子ですので兄弟姉妹、というのがいまひとつ理解できません。先日のナルニア国・・・なんて映画も筋として兄弟の葛藤は分かるけれど、深い共感はなかなか。骨肉ってのは、なにかと親の愛やら主導権やらを争うもの・・・なんですかしら。
 よく一人っ子というのはわがままに育つ、といいますがどうも私は二タイプが出来ると思います。本当に親の愛を一身に受けてわがままに育つタイプ、それは絵に描いたような一人っ子タイプ、ですが案外に私はそういう実例を、知ってはいますがむしろごく少ないです。むしろ、子供のころから大人しか相手がいないので非常におませの耳年寄り、悪くするとアダルト・チルドレン気味の老成した感じの子供になる。私はそういうタイプの一人っ子のほうがよく知っていますが。そういう人は・・・私もそうですけど、子供というものを知らないので、小さい子供が嫌いです。幼い話題や無邪気なことが嫌いで、年上の人との話を好む傾向が、けっこう多いと思う。
 小さいうちにおにいちゃんになればそれで乗り越えられるのだろうけれど、十何年もたってから妹弟の出現は、邪魔者のガキが割り込んできたとしか思えないでしょうねそれは。これがまた、もう少し年が離れて大学生とか社会人なら、また違うんでしょうが。
 本当のところ、ここの家庭はどういうことになっていたのでしょうか。
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 その後の続報によれば、この少年は父親との連れ子だったらしい。それはもともとぎくしゃくしていただろうし、赤ん坊の誕生はかなりショックだったのじゃないだろうか、とは想像されるがしかしなあ・・・殺してしまっては。

2006年3月08日(水)
 あるスイス系の金融グループのCMを見ていたら、専用ビジネス機に乗りこもうとするエグゼクティブらしき人の映像をバックに「ある人は特権階級という。私たちはカスタマイズされたソリューションと考える」。次いで、初老の人と子供が親しんでいる映像に「ある人は2世代という。私たちは後継者育成と考える」というナレーションが入る。その後、そこの会社のロゴと一緒に社名がアナウンスされる・・・そんなのがあった。なーにが、と思いますね悪いけど。鼻につくというか。特にカスタマイズされたソリューション、てなにかねそれは。それ、特権階級という翻訳でぴったりじゃないの? 英語にすりゃ発想が変わったとでも? なんかしかし、日本じゃ訳の分からないイメージものがうけるんで、外資系もこういうはったりと横文字で誤魔化しにかかってくるのか。
 なんでもかんでもイメージと情緒と、空騒ぎだけの国。なんだっていつまでもいつまでもイナバウアーなんて言っているのかも分からない。五輪での荒川選手の快挙は私も手放しで賞賛した、それはあの状況で狙ったとおりの結果を残した彼女には一点のケチもつけられないからである。だが、それから2週間たっても3週間たっても、ことに悪乗りした政治家までなにかといえばイナバウアー、なんてのは頭がおかしいんじゃないかと思う。そんなにいつまでも騒いでいるのはどういうことか。関係者でもあるまいに。
 繰り返すが荒川選手自身の問題ではない。いつまでも同じ話題できゃっきゃはしゃいでいるテレビ局とそれをまた眺めている人々である。どうかしていると思う。つい1か月前まではなんでもかんでも藍ちゃんだったではないか。五輪本番前はほかのアイドルぶったフィギュア選手や勘違いしたスノーボードの選手を持ち上げていたではないか。荒川本人も「帰国したら私よりもイナバウアーが有名になっているのに驚きました」と、これはけっこう皮肉なことを言っているのではないか。つまり一個の流行語となって一人歩きしている「イナバウアー」は自分とは関係ない、ということだろう。
 大体、語源となったイナ・バウアーというドイツの選手をどれだけの人が知っているのかしらないが、いい加減に適当に取り上げるのはよすがいい。
 スポーツニュースなんかでもいつまでもいつまでも、大リーグの話題というと日本人選手がヒットを打ったとか出塁したとか、いちいち伝えているがなんでそんなものがいまだにニュースバリューがあるのか分からない。一選手が打とうが勝とうが、そのことが国民的ニュースなのか。日本人がはじめて出ていったころとは違うだろう。こういうのもしかし、伝えるテレビ局がいけないんだが。
 ◇  ◇  ◇
 木村一八が日本刀所持で逮捕、というニュースを聞いて驚いた。36歳なんだという。なんだ、私とあまり変わらない年ではないか。一時的にはアイドル的な人気が出て、中山美穂なんかと共演までしていたのに。今じゃ住所不定の身だそうだ。こんなヤツがいたよなあ、という人になってしまった。やはり親の名前で出てきたヤツは・・・。でも若い頃は確かに顔はアイドルだったが・・・。

2006年3月07日(火)
 さて、昨日、私は「ナルニア国物語 第一章 ライオンと魔女」を見てまいりました。それで、最初に二つほど。一つ、この映画は最後のスタッフロールの途中で追加映像があるタイプの作品です。慌てて席を立たないこと。そして二つ。もしあなたが第二次大戦に興味があってドイツ軍に興味あり、というタイプの方なら冒頭の数分を見るだけでもこの映画をご覧になること。ここはネタバレとかに関係ないだろうから書きますが、このお話は第二次大戦(確か原作じゃ第一次大戦じゃなかったかという記憶もありますが)を背景にしております。そしてドイツ軍の空襲を逃れて4人の兄弟姉妹が田舎に疎開するところから始まるのですが、・・・私は心ひそかに、ドイツ軍もちらっと登場しないかな、と期待しておりましたところ・・・もう期待を大きく超える大敢闘賞もの。冒頭いきなりハインケルHE111の編隊が大映しになるわ、ハインケルのコクピットの中でドイツ人搭乗員が爆撃目標を探すシーンが出てくるわ、おまけに爆撃開始、となるとハインケル独特の「縦置き方」(つまり爆弾を普通に横に寝かせて積むのでなく、弾頭を下にして縦に立てて積む)爆弾倉がはっきり描かれるわ・・・あれ、とてもついでに撮ったシーンとは思えない。誰か関係者、というかおそらく監督がかなり詳しい人なのではないかと思いました(そこらまで観察した人がどれだけいるだろうか。でも、たくさんの観客の中には必ず、ちょっとマニアックな人もいるので映画は手抜きが出来ない厳しいものですね)。
 で、いきなりまったくの余談で失礼しましたが(でも自分みたいなビョーキの人は今になるとハインケルのシーンばかり頭に焼きついていたりして)、しかし私はちゃんとファンタジーも好きです。よく三大ファンタジーと言って、「指輪物語」「ゲド戦記」「ナルニア国年代記」が挙げられてきました。で、いずれも映像化の話が何度も出ては、あまりの難しさに見送られてきた、ということがあります。が、まず指輪・・・が「ロード・オブ・ザ・リング」として映像化されて、映画人はあっけにとられてしまった。「ああ、今の技術ならその気になればなんでも撮れるじゃないか」と気付いたわけですね。で、ついにナルニアが映像化されるし、おまけといってはなんですがゲド戦記まで宮崎駿さんの息子さんがアニメ化するみたいですね・・・ちなみに昨日、劇場予告でそのジブリ版「ゲド戦記」の予告を見ましたが・・・「ナウシカ」の世界そっくり、に描くみたいですが。アースシー(ゲド戦記の世界)は風の谷だったのかあ。ちょっと原作のテーストよりは冒険活劇風になるみたいに見えましたが・・・。
 それで、ナルニア国、ですけど。私が気になるのは本来は「ナルニア国物語」じゃなくて「ナルニア国年代記」なんですよね。本気でやれば全七巻、ハリー・ポッターに負けない長いシリーズになっちゃうんですが。こっちはちゃんと7作までやるんでしょうか。
 原作者のC・S・ルイスは、指輪物語「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者J・R・R・トールキンとは友人で、同じ時期にオクスフォード大学の教官となり、トールキンが膨大な分量のファンタジーを書いている、というのがルイスを刺激して、じゃあ俺も書いてみるか、というのでナルニアを生んだ、ということで、実はこの二大ファンタジーは兄弟のような作品でもあります。で、どちらもなんとなく、第一次、第二次の世界大戦の影を背景に感じさせるとも言われます。
 もう微に入り細に入り、どんな服装だとかどんな建物だとか精細に語っているトールキンの作品は、あまりに巨大な情報量のゆえに映画化は難しかったのですが、こっちのナルニアのほうは基本的には児童作品ですので、割にあっさりとした描写の原作なため、個々人のイメージがかなり違っていたりします。だから、「ああ、こういう絵になるのか」というのがきわめて鮮烈です。ロード・・・のほうは、きちんと原作どおりに再現されているかどうかという見方になりましたが、こっちは「ああ、アスランの軍というのは、つまりこんなにでかい軍隊なのか」という感じですね。
 基本的に原作に忠実、といってよいですが、視覚化に当たってはスタッフが自由に腕を振るっており、特にロード・・・で名を上げたWETAがここでも大活躍しております。そして、とにかくこの映画を見ると、特に「ああ、こういう絵になるのか」の感が強いのが魔女役のティルダ・スウィントン。この人の魅力にはまってしまう人は多いでしょう。最近ですと「コンスタンティン」で大天使の役をやっていましたが、やはりなにか超人間的な役をやらせるとぴたりとはまる女優さんです。個人的には、ロード・オブ・ザ・リング」のガラドリエルもこの人にやらせたかったな、と今になると思います。とにかく強大な魔力と権力をもったしかも禍々しく妖しい魅力に満ちた危険な女王というイメージがびしびしと伝わってきまして、これは映像化によって新たに獲得された魔女像でしょう。また、ライオンの王アスランの威厳も見物です。これも少し前なら映像化は出来なかったと思います。なにしろライオンが偉大な王様であって、自然にみんなの敬意を集めているように納得できないといけないので、繊細な表現が必要だったと思います。声を演じているのが「シンドラーズ・リスト」のリーアム・ニーソンというのも見所です。
 4人子役・・・これが、平凡な子供たち、というイメージが非常にあって、はまっていると思いました。本当に、彼らは平凡でないといけないのであります。美男美女でもなくどうってこともない子供だけど、異世界に連れて行かれて・・・こういうパターンのお話は今や、アニメなんかでは世に満ち満ちているのですが、原型の一つはナルニアに在ります。
 冒頭の空襲シーンから、大団円まで息をつかせぬ展開は見事で、監督が非常に原作を愛し理解しているというのが分かります。指輪・・・に対するピーター・ジャクソンと同様、こういう有名な原作があるものは監督が原作に惚れていないと成立しませんね。
 ぜひ、「さいごの戦い」まで映像化してほしいものですが、ハリー・ポッターのシリーズも子役たちがどんどん大人になってしまうのが大きな難点となっております。こっちも、この第一章に出てきた子供たちは、原作どおりならその後の章にもかかわってきますので、同じ役者がずっとやれるのかどうか・・・ということが気になりますが(7作も作ったらそれだけで10年以上はかかりますからね)。

2006年3月05日(日)
 今、中国で全人代をやっている。一党独裁国家のことゆえ、ここで発表されることは全て無条件で承認されて現実になる。・・・もっとも日本の場合も既にほぼ一党独裁となっているのであまり変わらないのだが(閣議できまったことはすべて実行されるからね)。で、全人代の話だが毎日新聞によると「全人代報道官の姜恩柱外事委員会主任は4日、記者会見し、中国の06年度国家予算案の国防費が2838億元(約4兆1100億円)、前年当初比14.5%増に上ることを明らかにした。前年実績比で14.7%増となる。姜主任によると、財政支出に占める割合は7.4%でほぼ前年並み。国防費増加の理由として、(1)経済発展に伴う人件費の高騰と福利厚生の改善(2)国際原油価格の高騰(3)人材育成の強化(4)防衛強化のため装備費増加――の4点を挙げた。中国の実際の国防費については米国が「公表数字の2〜3倍」とみており、国際社会で透明化を促す声が高まっている」とまあもっともらしい話だが、しかし「人件費と福祉予算の膨張」というのはおそらく本当にあるだろう。さすがにあれだけ経済発展すると、徴兵した兵隊をただ働きさせるというのは通らなくなってきているはずである。これまで、日本の防衛費は世界で二番目、これに対抗するならこのぐらいの防衛費は当たり前、というキャンペーンを唱えてきたあの国だが、いうまでもなく日本の「防衛費」というのはほとんど人件費である。日本の自衛官はひとつの職業なのであって、ほかの仕事と比べてそれなりの給与水準や福祉構成が伴わないと誰も自衛官になってくれない。物価も給与水準も世界一高い日本、それに武器の輸出ができない国柄では装備品のお値段も世界一高く、軍隊も無駄遣いだらけの贅沢品となってしまうのである。
 もし今後、国家財政のリストラを真剣に考えるなら、実は日本製の武器を海外に輸出するといったことをしないと間に合わなくなるかもしれない。それは恐らく平和愛好的な人々を激怒させるが、しかし先進国はどこでも武器で儲けており、またそれで自国の武器の単価を下げている。だから紛争国が世界のどこかにないと、軍備が整えられないで困るのである。なぜ世界から戦争がなくならないか・・・なくなってもらっては困る人も多いのである。
 既に中国も本質的には徴兵制じゃなくて(なにしろ本気で徴兵すると人数ばかり増えすぎる)実質志願制だが、まだまだ人海戦術の時代の名残がある。しかし一人っ子政策以後に生まれた大切なお子様を人海戦術などで消耗できるはずがなく、中国軍も兵隊の待遇改善を進めざるを得ないのだろう。
 ところで、ナポレオンの時代に、傭兵の時代から国民皆兵の国民軍の時代に入り、戦争は総力戦の時代に入った。その頂点が第二次大戦だったが、時代は今や一周して、プロの志願兵の時代になっており、おそらくは今後はさらに、「民間警備会社」という傭兵の時代に逆戻りするだろう。日本なんかも、今の状況では傭兵を雇うような道を選ばざるを得なくなるかもしれない。国防の民間委託・外注という事だ。いずれどこの国もそうなっていけば国防費だの兵隊の数だので脅威だとか脅威じゃないとか言い合うのは不毛になるだろう。
 一方で、時事通信に拠れば「今年の経済成長目標を昨年と同じ8%前後に、今年から5年間の第11次5カ年計画の成長目標を第10次計画よりも0.5ポイント高い年平均7.5%に設定した。・・・昨年の経済成長率が9.9%という高度成長を続ける中、トウ小平氏が唱えた「先富論」(一部が先に豊かになる)に基づく発展至上主義から、「共同富裕」(共に豊かになる)を重視した持続可能な「安定」成長へと政策を転換。農村、就業、医療、教育、環境などの分野で深刻化する社会矛盾の是正を最優先させる方針だ」ともいう。
 しかしあの国が共同富裕の守りに入ったらどうなるか・・・である。人件費が安いから魅力があるのであって、そうでなくなったらただの中進国である。市場がでかいから、が二言目にはキャッチフレーズだが、世界人口はすでに65億人。先進国化した中国人口は確実にブレーキがかかるので、少しずつ中国人の世界人口の中に占めるシェアは小さくなっていくと思う。そしてやがては中国もグローバル化の流れの中で、攻める側から攻められる側に回る日が来るだろう、もっと人件費の安い国から雇用を脅かされ市場を脅かされる、という。
 私は案外に、50年後も100年後も中国が素晴らしく伸びているとはあまり見ていないのであるが(といって、そりゃここ10年とか20年以内に没落していく雰囲気濃厚な日本よりはもちろんいいわけだが)。

2006年3月04日(土)
ふとあるポータルサイトの広告を見ていたら「WBCを見る人もWBSを見る人も、これで運動不足解消!」とあって、リンク先を見ればよくある健康器具なんかの通販サイトにつながるのだった。それはまあよいのだが、WBCはワールドベースボールクラシック、であろう。一応自分のようなスポーツ音痴も知っている。しかしWBSは分からない。ちょっと検索してみたら、テレビ東京のビジネス情報番組「ワールドビジネスサテライト」の略称、和歌山放送の略称、プログラム制作などのスケジュール管理をするときの工程表の略称、外国のどこかのポータルサイトの略称・・・なんかが出てきたが、どうもなにか違うようだ。まさか「世界野球」と同格でテレビ東京の番組が語られているとも思えないが・・・いまだ分からなかったりする。
 ところが私は、WBCの方だって、王ジャパンの壮行試合の2試合目ぐらいまで、ワールドベースボールクラシックという名前も知らなかったのである。実際、まだ冬季五輪もやっていたし、野球なんて「ああ、ロンドン五輪で落とされた負け組スポーツね」て感じしかなかった。そんなわけだから、昨日、出社してみるとテレビで中国戦というのをやっているのを見て驚いてしまった。私はまだ壮行試合かなんかだと思った。試合の最後でアナウンサーが声張り上げて「王ジャパン、やりました!」なんて言うからなにを大げさな、と思った。で、新聞の12版が刷り上って一面記事を見て、ようやく理解した。なんだ、もう本番やっているのか。
 とにかく興味がない、というのは恐ろしいことである。昨日なども「またなんか壮行試合でもやってるんですかね」なんてほかの人に言ったら恥をかくところだった。何事もしかし、ある程度ぐらいは知っていないと世間様とずれてしまう。
 しかし詳しい人に聞けば、要するに米大リーグが五輪に選手を派遣するのを嫌がったので五輪から落とされた、そこでアメリカ本国じゃ凋落気味の大リーグとしてはそれに代わるものを作る必要が出てきてWBCを作り上げた、そこにやはり凋落気味の日本球界なども乗った、ということらしい。で、これまた私は興味がないのだが、イチローは愛国的な人なので出ているが、松井は自分のこと優先なヤツだから出ていないんだ、と批判的だった。そうなんですか? まあ、わたしはそもそもイチローのほうが100倍ぐらい評価が高い。もっとも個人的に評価が高いのは、最初に出て行って扉をこじ開けた野茂である。何事もパイオニアが偉いというのが私の見方だ。
 知らないが、まあやたら年俸も上がり、その割に冷静に見るとこれまですごい成績を残しているとも言えない松井としては、WBCなんて出ている余裕がないのだろう。ヤンキーズのために、と言っていないとアメリカ人にぶちのめされそうだ。イチローのほうはもはや大リーグの歴史に名を残す存在である。この二人は決して同格じゃないと私は思う。
 まあしかし、ベスト4ぐらいまで行けば私ももう少し熱が入った見方書き方になるかもしれない。しかしそんなに勝てるであろうか。
 WBCの顔ぶれを見ても野球というのは、アメリカ勢力圏のスポーツ大会のような感じもあるのである。やはり世界的に見るとマイナー競技である。
 私は正岡子規の事績で一つだけ嫌いなのは、彼が日本に野球を普及させたことである。
 ◇  ◇  ◇
 トマコマ、という略語も「駒大苫小牧」高校であることをかなり後まで知らなかった。実際のところ、そのトマコマが甲子園で優勝したことを知ったのは、昨年、優勝後に不祥事発覚して「取り消しも」なんて話になってから、であった。スポ−ツニュースとしては自分の中で無価値で、社会ネタとなってはじめて認識されたわけ。で、今回である。この学校がセンバツの出場校であることは「もちろん」知らなかった。それを知ったのは、今回の卒業生飲酒事件と出場辞退のニュースから、である。
 つまりあれだ。私がスポーツ関係で「知る」というのは、五輪などの世界レベルの試合で優勝した場合か、不祥事の場合のみ、ということだ。私に知られるというのは、その選手にとって大変な名誉か、よほどの不名誉の場合に限られるようである。
 なにしろ新聞ではスポーツ面を開くことはなく、スポーツ紙をたまたま手にしても政治ネタなどしか読まないし、ニュースでもスポーツです、とキャスターが告げるとチャンネルを変えてしまう。
 なんでここまで興味がないのかねえ・・・我ながら。
 で、結局WBSってなんなのよ?

2006年3月03日(金)
 ひな祭り、ですか今日は。私は男の一人っ子なので小さいころ、雛人形と言うのは見たことがなかったが、なにしろ歴史的なもの、平安時代の装束なんかには興味があったので、密かに欲しいなあ、と思ったものだった。今のように親に隠れてネットで通販で買う、なんてことができない時代である。どうしたらいちいち他人に知られずに(だってなんで男の子の癖にお雛様、なんていわれたら面倒ではないか)あれが買えるのか・・・しかし、お店でも変な顔をされるのは間違いないし、ううむ・・・などと考えたものだった。
 妻のほうも、雛人形を飾るという習慣のあるような実家ではなかったらしく、そういうわけでいまだ、あれがどういうものなのか手にとって見たことはない。
 普通の人の興味とは違い、私のような者はやはり束帯の構造である。十二単よりそっちのほうに興味がある。ま、今時はネット情報などでそういうのも検索できるので(なにしろ実物が欲しければ、束帯を一式ネット注文なんて出来るご時世である)あれですが。
 ◇  ◇  ◇
 公務員住宅を売れとか、公務員の総数を減らせとか、今頃の土壇場になって小泉さんは手をつけているようだが、土壇場だからできる、という判断なのか、できなくとも時間切れなんだから自分の責任じゃないよ、と言い逃れるつもりなのか。天下りにしても談合にしても、キャリア制度と早期勧奨退職をなくさなければどうにもなるまい。なにしろちょっとした幹部で早期退職金が9000万円とか、1億円近いのだそうである。そりゃ辞めて天下りしたほうがお得であろう。原資は税金だというわけだから腹が立つが。そういえば今日の読売新聞の記事で「人事院は2日、国家公務員に特権的に認められていた「休息時間」制度を廃止する、と発表した」なんてのを見かけた。
 なんだね、休息時間とは?
 「休息時間は有給扱いで、正規の勤務時間に算入できる。従来は8時間勤務のうち30分間が休息時間だったが、廃止により実働時間は30分長くなる。人事院規則を3日に改正し、7月1日から施行する。全国のほとんどの自治体も休息時間を設けており、総務省は各自治体にも制度廃止を求める方針だ」ということで、なんだって、休息時間は有給扱いだったんだって? へえそうなんだ。民間企業じゃ昼休みは実働時間には入れないですよね。
 うちの会社なんかは始めから休憩時間なんかないよ。飯食いたければ自分でなんとかしろ、でも仕事はどんどんその間もくるからね、という感じですね。
 「人事院規則は1949年以降、国家公務員に対し、無給の「休憩時間」を「おおむね4時間勤務後に30分間」、休息時間を「おおむね4時間勤務ごとに15分間」認めている。これを踏まえて、各省は運用上、昼休み1時間のうち、初めと終わりの15分ずつを休息時間、真ん中の30分を休憩時間としている。人事院は休息時間の廃止にあたり、昼休みの1時間枠は変えず、終業時刻の30分延長を各省に求める」だってさ。あほくさ。
 まあ中央省庁の人らはそもそももっと長い時間、働いている人も多いだろうけどね。しかしはっきりいって絵に描いたような9時5時仕事のお役所も多いから、というかほとんどそうですか。そういうところで今までぴっしゃり5時半ぐらいに帰っていた人にとっては痛いかもしれないですな。しかし記事に拠れば「ただ、夕方に子どもを保育園に迎えに行くなどの事情がある職員については、昼休みを30分間にする特例を認める」ってさあ、そういう事情のある人は民間企業じゃ特別な申請して、出社退社をゆるくしてもらって時短勤務扱いになるけど給料は減りますよ、ノーワークノーペイです、というのが多いのでは。そんな申請していても、仕事が終わらないから結局ほかの人と同じように残業してたりね(しかもそういう申請しちゃってるんでまるまるサービス残業)。
 ま、なんでもいいけど国が破産寸前なんですね、それは景気動向とは別問題で。潰れかかっている会社の人間は待遇が悪くなっても仕方がない。公務員の人らはどうもまだそのへんの感覚がないんだよなあ・・・。

2006年3月02日(木)
民主党の永田議員は辞職すべきではないのか、という声が高まってるようだが私もああなった以上は辞めりゃいんじゃないかと思いますね。公開の場も公開の場、テレビも入って速記もとっているところで、「あなたの倅は犯罪者だ」とやったわけで、それがまるきりたった一枚の怪文書だけだったというのは・・・いやはや、本当に繰り返しになってしまうが、本当になんの裏も取らないで、あんなことをやった神経がどうしても理解できない。危ない橋かも、という疑問がまったく湧かなかったとするなら・・・はっきり言ってそんな緊張感のない人やら政党は百害あって一利もない、辞めてもらいたい。
 武部さんという人に人徳がないというのはその通りかもしれないが、とにかくまったくの作り物というんじゃ話にならぬ。
 こうして、今後は日本から政治はなくなるのであろう。
 ◇  ◇  ◇
 近頃は、実は安物の特売の靴など履いていたら、それがために足が痛くなってしまった。それを機会に、ちょっといい靴でも買ってみようと思い立ち、まずは先日、ドイツのトリッペンhttp://www.trippen.co.jp/というメーカーの靴を買った、というのは前に書いた。さらにもう少しコンフォート系じゃなくてドレッシーな靴も、と思って、こないだは英国の名門クロケット&ジョーンズhttp://ukism.net/crockett/cj_brand.htmlというメーカーのストレート・チップを、さらに昨日は銀座のお店「トレーディング・ポスト」http://www.lifegear-tradingpost.com/shop/aoyama/index.htmで、憧れの英皇太子御用達メーカー、トリッカーズhttp://www.netlaputa.ne.jp/~urvanmar/Tricker's.htmのウィングチップを買ってみた。
 どっちも、靴一足の値段としてはなかなか高いのだが、一度はいてみるとやめられないねえ・・・履き心地がいい。
 なんか足がぴしっと決まっていると、なんとなく気分もいい物だ。靴なんて消耗品でどうでもいいや、と思っていたのだが、そういうものでもないようだ。
 ところで、そのトリッペンみたいなコンフォート系の靴に多い、羽根(甲に当たる部分)が下に縫いつけあるのじゃなくて、上に出ているタイプの靴を「ブリッチャー」ということを最近知った。そのブリッチャーというのは「考案したドイツ人の名前から」とファッション事典などにはあるのだが、そのブリッチャー氏は、なんとナポレオン戦争の英雄ブリッヒャー(ブリュッヘル)元帥であることが分かった。
 近年の例だと、袖の縫いつけ方で「ラグラン袖」というのがあるが、あれが英国のラグラン将軍の考案だ、というのは有名な話だ。また英国のアパレル大手アクア・スキュータムというのも「水の盾」つまり塹壕用のトレンチコートのメーカーが原点だという。
 時計の名門のロレックスにしろIWCにしろ、またドイツのチュチマなどもみんなどうだが、時計メーカーの老舗も大抵は軍用時計が原点だったりする、というか腕時計なんてもともと軍用なんだから当然だ。カーキ色なんてのも、もともと英陸軍のインド駐屯軍の迷彩色で語源はインドの言葉である。
 ファッションもミリタリー原点の物が意外に多いのが面白い。


2006年3月01日(水)
さて3月。・・・なんですが寒いじゃないの。かえって。なんなのこの冷たい雨は。というか雪なんですって、ほかの地方では。「平成18年豪雪」と命名されたそうですね、今回の豪雪は。「38豪雪」以来、2回目の異常事態だとかで。140人近い方が亡くなったといいますが、とんでもない、大抵の災害よりも多くの人命が失われているんですね。
 地球温暖化イコール暖冬、というのは必ずしも真ではない、という話は科学的にもあるそうで、温暖化が進みすぎると極地との海水の対流が止まってしまって、逆に暖かい海水が極地に流れなくなり、温暖化が頂点に達したところで突然、極寒がやってきて氷河時代が襲ってくる・・・というとんでもないシナリオがあるそうで、これに基づいて作られた映画があのローランド・エメリッヒの「デイ・アフター・トゥモロー」でした。なんで温暖化時代に氷河期なんだよ、と思った人は多いでしょうが、理屈の上では決して突飛じゃない話だそうであります・・・。
 ◇  ◇  ◇
 たまたま今、NHKを見ていたら、またどこかの調査で、日本の高校生が興味があるものというと「漫画・音楽が66%」、一方で「成績を上げたい」、という意欲のがある人は33%で世界的に見ても極端に少ない・・・のだそうであります。これつまり、7割ぐらいの日本の高校生は、いわゆる負け組み志願、ということなんだと思います。
 いいんですかねえ・・・いやあ、まだまだ日本社会は過去の食いつぶしでなんとか、遊んでいようがさぼっていようが生きていけますが、10年、20年、30年後はどうなんでしょうかしら。
 なんでも韓国なんかは90年代に完全に経済が崩壊した後、徹底的な競争社会になってしまって、企業などは管理職になれない人は40歳で定年が来てしまうという。そして下から何パーセントかの「ぶら下がり社員」は毎年のようにみんなクビ、なのだそうだ。
 そんなことで、毎年のように韓国の受験地獄が報道されて「あっちの国は相変わらずあんな学歴なんてくだらないことで血道を上げているのか。日本なんて学歴があろうがなかろうがみんなそこそこにやっていけるから、あんなのは卒業だ」と我々は思ってきたのだが(私だってそうだ)、そうではない、あれは日本の未来の姿なんだ、という話がある。
 要するに留学し名門大学に入り、それでも安心できないのだそうである。どこの学校でも選ばなければ入れるじゃないか、なんて全入時代の日本でも、しかし本当にどこでもいいということかといえば、そうではないのは自明の理である。今時、大学出なんてこと自体ではなんの意味もないからだ。
 まもなく、日本の大学も世界の大学ランキングの格付けというのをされると思う。早稲田や慶応がいちはやく法人としての格付けを受けていたのも、その準備なのだろうと思う。今のままでは、まあそういう日本のブランド学校は財務体質的には健全だろうが、学校ランキングとしてはめちゃくちゃ低くなりかねない。そうなってみると、東大出だ、というのもぜんぜんブランドじゃなくなってしまうかもしれない。
 そういう時代に、今から敗北主義者みたいな若者は、いったいなんの生きる道があるというのだろうか。他人事ながらぞっとする。目先の景気が回復しているといっても、国の破産状態はちっとも直っていないのである。増税も福祉カットも変わりはしない。
 ◇  ◇  ◇
 ながきにわたって、改革のイメージだけ振りまいて実際には、民間企業の自助努力に任せて中央政府はたいしたリストラをせず、したふりをしてもぜんぜん中身がなく・・・道路公団改革も、国会議員年金もそうだったではないか。そんな小泉政権であった。国会議員と公務員を徹底的に減らし、自分らの給料も半分とかにして、国有財産は国会議事堂に至るまで外資にでも売り払い、そのぐらいやってから増税なり、福祉カットなり・・・私ははじめ期待したとき、小泉首相にそういう「暴挙」を期待した。だが、彼がやったのは自民党の改革に過ぎなかった。日本国家の改革ではなかった。そして、彼が一番の人材なのだそうだからもうこれ以上の「改革」はない、ということだろう。
 そこへきて、民主党・・・私はいまだかつて、民主党が積極的な意味でいい政党だなんて思ったことはない。小沢一郎も鳩山由紀夫もちっとも好きではない。そりゃ政党としては自民党のほうがなんぼかましであると思っている。
 が、自民党のままでは、結局、上のような「改革」しかできないのである。だったらなんでもいいから政権交代してもらって、それで一度、日本の政治に破綻してもらって、がらがらがっしゃんと再編した貰わないとどうもなるまい・・・まあ、そういうことで私はあえて駄目ながら気に入らないながら、民主党に微々たる期待をつないできた。
 が・・・永田議員の謝罪会見とやらをちらちら見て・・・もうあかんわ。もう決してこれで日本には革命的な変化はおきないということが分かった。
 さよなら民主党。あなた方は戦前の帝国議会で政局を狙って、統帥権というパンドラの箱を持ち出して、以後、自分らの手足を縛り軍人たちの政治介入を許した愚かな政治家たちと同じである。
 目の前の政敵を倒すのに躍起になって、大戦翼賛会を作ってしまった。まったく同じ話である。ガセネタメールは歴史に残るかもしれない。

2006年2月28日(火)
 テレビなどつけると面白くもないニュースばかりだ。民主党のガセメール話・・・あれも今となっては問題外だがいつまでもぐちゃぐちゃ言っている。もういいよだから。自民党の独裁国家になったんだからもうどうでもいいや。
 フィリピンじゃおおもめのようだし、タイでも大騒ぎだそうである。いずれの国でも政権交代を求める国民の動きがあるようだが、ああいうのを見て昔は「アジア諸国は政治が成熟してないからなあ」なんてのどかに解説したものである。しかしそうであろうか。
 実際には選択肢がまったくないどこかの国よりよほど健全という見かたもあるかもしれない。
 ◇   ◇   ◇
 面白くないなあ、という話ばかりであるが、私は今日は公休であるし、弛緩しきっているのであります。その理由の一つは・・・なぜか浦安市に温泉が出来てしまったからである。
「湯巡り万華郷」というのだが、昨日、行く気もなくただ、近くを通りがかったので玄関を入ってしまった・・・ところ、入場しただけでお金が取られる事が分かった。それじゃあ湯に入らないともったいない、ということで入ってみた。http://www.yumegurimangekyo.com/
 にしても、本当に地下1400メートルから掘り出した正真正銘の温泉なのだそうであるから驚く。浦安市といえば埋立地である。地下というから海底温泉なのであろう。よくそんなものを掘り当てたものである。
 さすがに温泉であるから、入ってみると確かにリラックス、というより弛緩しきってしまうのであった。
 そんなにお安いとは言えないだろうが、ホンモノの温泉地に行くことを考えれば・・・ああでも、ここもホンモノの温泉なのか、だから。
 なかなかいいものである・・・。

2006年2月26日(日)
いよいよ終盤の五輪ですが、つい先日、「とにかく日本はアルペンスキーが弱いから冬季五輪は盛り上がらないんだよな」といったことを書いた。それは早計でしたね。昨日の男子アルペンでの日本勢入賞、ことに皆川選手の4位は本当に見事です。
 これやはり、金メダルの快挙に背中を押される感じもあったかもしれない。ほかの競技の結果というのは微妙に影響するものです。
 今更ですが、日本勢にとって最初のほうの不振、つまりスノーボードの大敗というのが後に悪い感じを与えたような感じはあります。関係ない、と言いきれない気が致します。今回の五輪は駄目だな、という感じになると絶対によくないと思われます。
 ◇  ◇  ◇
 2・26ですね。日本の歴史が大きく変わったクーデターの日です。あの冬は東京は雪でした。今日は冷たい雨であります。
 こういう日にもこれから出勤なんですよね、自分。ああ、面倒だ・・・。
 ま、そんなことで今日はこのへんで・・・。

2006年2月25日(土)
友が皆、我より偉く見ゆる日よ・・・という石川啄木の歌がある。屈折気味だがなんだかよく分かる話だ(まあちょっと鬱気味、ということだろう)。
 今、この感覚にあるとするなら・・・安藤美姫その人だろう。
 が、昨日はご祝儀気分で私も「いいこと」しか書かなかったのだけど、安藤美姫に関してはさっそく「あれでいいのか」という論調も聞こえてくる。夕刊フジの記事だが「トリノのアイドルになり損ねた安藤美姫(18)が土俵際に立たされている。15位に終わり、フィギュアの華であるエキシビションにもお呼びがかからなかった安藤。イタリア有力紙が1面と中面で『荒川静香大特集』を破格の扱いで掲載したのに対し、安藤の記事は一行もなかった。・・・「今回(トリノ五輪)はこんな感じです」とケタケタ笑い、重圧から解放されてホッとした表情だったが、女子フィギュア界の「アイドル」としての商品価値は下降気味だ。理由は15歳、浅田真央の存在にある。・・・米国メディアは・・・「15歳のライジングスター浅田が、2010年バンクーバー五輪で2位に敗れたサーシャ・コーエン(米国)と金メダルを争うことになる」と予想。安藤ではなく出場していない「浅田真央」を取り上げた。今大会、日本スケート連盟では「安藤は練習量からみて難しいとも思っていた」(日本代表・城田憲子監督)と戦前から苦戦は想定内。加えて、金メダリストの荒川を最近まで「し〜ちゃん」とニックネームで呼ぶ安藤に対し、連盟幹部が「その呼び方はよくない」と言い続けていたが、聞く耳をもたないなど、連盟内の安藤評もイマイチだった」ということだが、実は私も「しーちゃんの演技を長野五輪で見て、ミキはスケートを始めたの」てな発言をテレビで見て、とにかく6歳も上の大先輩をつかまえて、自分はもう同格かそれ以上の気分なんだろうか、と奇怪に思っていたのではある。
 まあ確かに。ここ何年かの日本のエースは間違いなく村主だった。この人にとっては今回の4位は不本意だろう・・・採点基準の変更なんかが響いたのは明らかだ。で、荒川は一時完全に引退モードに入っていた。この間、ミキティなんて呼ばれてアイドル的な人気を一身に集めて「サイコーの高校生活」をエンジョイしていたのが安藤だったのは間違いない。
 で、その上の世代と自分の比較でもって安泰気分であった彼女にとって意外だったと思われるのは、下の世代の思ったよりも早い台頭だった。いわゆる「野辺山合宿組」の第一期が荒川たちで、安藤はその次世代、だが合宿効果は予想以上にあって、中学生でもう追いつき追い越すような人材が育ってしまっていたのだから、実は安藤にとってはものすごくまずいことになっていたのだ。つまり、「第一人者になる間がないうちに旧式化」しつつあったのである。しかも、もはや「上の世代」は時間の問題で消えていって自分の天下、のはずだったが、村主は徹底的に自分を鍛えて一歩も譲らないし、そのすきにおそらく安藤としては、もう追い抜いた過去の人、だと思っていたはずの荒川がいつの間にか短期間で第一線に戻ってきてしまった。
 こうしてみると、安藤も実は「これから」じゃなくて、トリノで成果を出さないと出遅れになる世代だったことが分かる。
 そりゃ、普通の18歳ならそれでよかった。酷な話だと思う。しかしアスリートというのは「自分のピーク」がいつかを計算しないわけにはいかないと思う。かつて岩崎恭子が「自分の人生でいちばんうれしい」と発言してなんとなく、子供らしくてかわいい、というふうに受け取られたが、実は中学生なりに「14歳の今、金メダルを取った時点が自分の選手としても人生としても頂点で、あとは何十年も長い余生なのではないか」ということを直感したのではないかと私はあのバルセロナの時、思った。そしてアスリートというものの過酷さを思った。
 しかし、程度の差こそあれ、誰しものどんな人生もまた、どこにピークをもっていくかということを無意識に考えざるを得ないのではないか。
 おそらく、安藤選手もさすがに目が覚めたのではないか。そうでなければ残酷だが本当にここまで、ということである。
 また、一度引退しかけた荒川にアメリカ留学を勧めたのはスケート連盟の幹部だったという。こういうふうにたまたまいい人に巡り会わないと人間の運はなかなか開けない。
 たとえばだが、信長の家臣に秀吉がいなければ、織田軍団があれほど強くなれなかったのは間違いなく、秀吉も又、信長に仕えなければせいぜい「なかなか有能な足軽頭」ぐらいで終わったに違いないのである。
 10歳で開花する人も、50,60,なかには100歳近くなって花咲く人も実際にいるものである。
 五輪というのはなんといっても一世一代の勝負であるから、あれを見ているといろいろ考えさせられるものである。
 さっそくまた、荒川がこれで億万長者になれるだろうとか、上のように安藤はもうおしまいとか、いろいろまたあることないこと書かれるわけだろうが、どうか皆さん、雑音を気にしないでがんばっていただきたいもの・・・なんて自分でもこんな雑音を発していてなんですけどね。


2006年2月24日(金)
 見ていませんでした。怖いですからね、というか見ているとよく、応援しているほうが負けるんですよ、私の場合。そう、荒川選手のフィギュアのことです。後で落ち着いて拝見いたしました・・・優雅な貴品ある演技。これが勝因ですね。
 荒川選手はもうずっと以前から有名なわけですが、今回は彼女の成熟振り・・・選手としてもそうだし、一女性としてもすごく美しくなられていましたね。それは初めから感じましたねえ。いわゆる「日本人離れした」という形容がありますが、今回の荒川はまさにそのように見えました。
 あのプレッシャーの中で勝ったというのは本当に素晴らしい。自分らの競技だけではなく日本全選手壊滅という中での出場で、なにも影響がないとは思えません。しかも強敵をおしのけて、東洋人としても初めての金メダル。これはもうどう讃えても讃えすぎではないでしょう。しかし「今後に関して「これからはアイスショーなどで滑っていけたら幸せ。だれかに見たいと言ってもらえるようなスケーターになりたい」と話し、今季限りの引退を示唆した」(共同)そうであります。まさに選手人生のピークをトリノに合わせることに成功した今回唯一の日本選手だった、ということでしょう。
 しかし、中央に穴の開いたでっかいレコード盤のような金メダルなんですね。なにしろ今回は誰一人、何色のメダルもとっていないので、トリノ五輪のメダルというのがどんなデザインなのか、日本人には分からないままに終わるかも知れなかったわけです。
 4位に入った村主選手も立派です。SPから順位を維持したことは大いに評価されていいでしょう。また、安藤選手については、これがいい経験になって、次に向けて成長してくれればいいでしょうね。というか、あの場にいたのだから「次は自分が」といちばん思ったのは彼女でしょう。次回に出るとすれば22歳。やはりまだまだこれからの人、です。
 ついでにいえば、このところいい話のなかったプリンスホテルの皆さんの喜びよう。こちらにも朗報だったようですね。
 とまあ、私にしては珍しく率直にべた褒めしてみました。たまにはいいじゃありませんかこういうのも。

2006年2月23日(木)
いちばんみっともない展開になっているようだ。「民主党の永田寿康衆院議員(36)(比例南関東ブロック)は23日、・・・、「党に迷惑をかけた。責任を取って辞職したい」として議員辞職する意向を党幹部に伝えた。・・・前原氏に関しては、現時点では責任問題に波及しないとの見方が党内の大勢だ。ただ、参院議員の間では「これでは来年の参院選を戦えない」という不満の声も出ている」(読売)ということだが、第一報を聞いたときには、これを持ち出す以上、それなりの裏づけがあるもの、と誰しもが思ったし、自民党側もこの怪メールの存在をあらかじめ知っていたにしても、「さらになにかあるのかも」と身構えたのは間違いない。「あれはガセネタ」という反撃が始まるまでいくらか間があったのも、民主党側にあれ以上の補強材料がない、という点を確認する必要があったからだと思われる。
 つまり、あの紙っぺら一枚、本当にただそれだけだったらしい。それは何を言われても仕方ないだろうなあ。
 ◇  ◇  ◇
 というわけで、民主党もこれでおしまい、やがて空中分解して多くは自民党に流れることになるのだろう。そりゃもう仕方がない、ほかに政党らしい政党はないのである。
 こうして、日本は完全な一党独裁国家となるわけだろうが、表面的には民主主義国風の装いをしているだけ中国なんかよりよほどたちが悪い。思想信条も政治的立場も自由が保障されているが、現実には政党が一つしかない、だから選挙にいったって与党に入れるか棄権するしかない、なんていうのは。
 これで、官僚社会の既得権も結果としてほぼ温存されるだろうし、日本の貧乏人は完全に死にたえるだろうし、中韓とはまもなくこと切れとなるだろうし、どこの国から見てもあってもなくてもどうでもいい国になりはてて、豊かだった時代の資産を食い潰した後は、日本の未来は没落するというのはほぼ決まったようなものである。
 なんとなく、直接かかわるまいがトリノ五輪の体たらくを見ていると、そんなことの暗示のように思える。
 私はもうその点については諦めてしまった。本当に、いつのタイミングで日本を見捨てるべきか、と考え始めている。
 ◇  ◇  ◇
 なんだか暑かったり寒かったりで、調子が狂う。体調を崩しておられる方も多いのではないか。やる気が出ないことおびただしい。
 
 


2006年2月22日(水)
分かっていたことだが「ライブドア(LD)グループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は22日、04年9月期連結決算で53億円余を粉飾したとして、前社長の堀江貴文被告(33)ら4人を同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で再逮捕し、熊谷史人代表取締役(28)=逮捕後に代表権異動=を新たに逮捕した。・・・LDの上場廃止は確実になった」ということでして、後場の取引が終わったのを見計らって5人が逮捕されたそうでありますが・・・終わりましたね。
 堀江被告は「黒字にしろとは言ったが粉飾の指示はしていない」などと否認、宮内被告は大筋で粉飾を認めている・・・というのもなにがなし、某教団の裁判で教祖と弟子の対立のような構図を思い出す。
 ライブドアというのは、平成不況のどん底で現れた一種の「拝金教」のような要素を持っていた。だから「信者」といってよいような人も現れるし、今もって「信心」を捨てない人もいる。
 が、とにかく「教団」の中枢にいる数人だけが億万長者になれるわけで、信仰していてもおすそ分けには預かれない。株を買っていた人たちは、言って見れば「在家信者」でご利益もあったわけだが、今となっては取り返しがつかないことになってしまった人も多い。
 それをいえば、「小泉フィーバー」というのも似たようなものであって、やはり「藁をもつかみたい」という、一種の信教だったように今となっては思う。
 政府は今日、景気判断を上方修正してますます日本経済は復調、といっているが、それはもちろん間違いじゃないのだが、実感から遠い人も地域もあるだろう。
 なんでといって、最近のデータによると、勝ち組企業の人の収入はこのところぐっと増えているが、負け組、中小企業一般の平均はますます低下している、ということで景気回復しても、いわゆる「格差社会」の度合いは膨らんでいるのである。
 これに加えて、生まれつきの差、つまり親や祖父母がどれだけ資産を残したか、でこれからの人間の人生は決まってしまう、という。
 こうなってしまうと、新興宗教めいていようがうそ臭かろうが、無一物から這い上がってているように見えたライブドア一派が眩しく見え、それにあやかりたいと思う人が出てくるのも心情として分かるのではある。
 これがくじけてしまった今、「ああ、下の人間は、こういう汚い手でしか這い上がれないのか」「つまり、もはや這い上がれないということか」という諦めの境地が蔓延する。
 考えるほどに、先のことを思えば気が遠くなるのである。
 ◇  ◇  ◇
 60年代とか70年代のヴィンテージ楽器、特にアンプの類が取引停止になるというので音楽関係者が慌てているという。5年前に施行された法律で、電気機器などは製造から5年以後は中古品などを取引してはならない、というのが決められていたのだそうだ。これは主に、古いテレビなんかがしばしば発火事件を起こしたからだが、それで5年間は周知徹底と中古品リサイクル業者の在庫整理などのために猶予がついていた。いよいよ4月にそれがはずれるのだそうだ。
 が、「電気機器」という範疇に、楽器とかアンプを想定していなかったのが、楽器業界であった。また、演奏家たちであった。
 古いアンプは、古い真空管がまさに味のある音を出してくれるのだが、そういう古い真空管を使った商品の売買は法律違反となる。発火する古いテレビと同じ扱いである。
 古いハモンドオルガンやキーボードも駄目だし、電子回路によってはエレキギターの一部も駄目かもしれない。
 ロックの世界じゃ、1960〜70年代というのは黄金時代であって、そのころに生産された電子楽器は、いってみればロック・ポップス界のストラディバリウスである。ヴィンテージのレス・ポールなんてギターは数百万円の値段がついても不思議でない。クラシックの人らからすれば大したことはないかもしれないが、戦国時代に作られた楽器とは違う、わずか30年ほどの時間でこれだけ高騰しているのだから、希少価値の高さは分かる。
 今後は、そういうものを持っている人はますますストラディバリウス並みに値段が上がるかもしれない。なにしろ店頭じゃ取引できないとなれば、個人的なやり取りでしか手に入らなくなるのだろう・・・。
 ・・・しかし考えてみれば、私の持っているフェンダー・ストラトキャスターも1987年製で、今となっては立派なヴィンテージなんだな、考えてみれば。今までそんなこと、考えたこともなかったが・・・みんな年を取っていくわけね。楽器も、持ち主も。

2006年2月21日(火)
これはどういうことなんだろうか。「自民党の平沢勝栄衆院議員は20日、毎日新聞の取材に、ライブドア前社長の堀江貴文被告から同党の武部勤幹事長の二男に対する送金を指示したと民主党が指摘したメールについて、独自に入手したコピーを所有していることを明らかにした。・・・「宮内の指示を仰いで」の前の伏せられていた部分に「問題があるようだったら」と書かれ、最後の堀江という署名の前に「@」が付いている。平沢氏は「情報の信ぴょう性があると印象付けるため、意味のないところも消したのではないか」と指摘した。メールの入手経路や入手時期は言及を避けたが、コピーの存在は自民党幹部にも伝えたという」ことで、やはりこのような文書が出回っている、ということ自体は本当なのだろう。
 民主党がこれを入手するのと同じく、自民党の議員も手に入れていたのだったら、公表から間もなく「その時間にはホリエは移動中だった」といってガセネタ扱いして突っぱねることが出来たのもいくらか理解できるようになる。つまり、内々で調べてあって、もし野党が出してきたらどう対応するかも、誰かのレベルで考えていた、ということだろう。
 で、本当のところはどうなんだろうか。が、それを外野で憶測するのは意味がないようにも思う。結局、小泉政権のレイムダック化の表れ、というようなことだろう。
 ◇  ◇  ◇
 麻原裁判の「打ち切り」の可能性について昨日は言われていたが、「審理の中でもっと真相を明らかにすべきだ」という模範解答的な意見を心底から思っている人間がどれだけいるのだろうか。被害者、遺族などの当事者はまた単純に割り切ることはできまいが、あのもともと妄想癖が強く逃避願望の強い男・・・だから、オウムというのはそもそも自分のための夢の王国を作って閉じこもったのである、それが敗北を認めて許しを請う、なんてことが実際ありうるかどうかを考えれば、100年裁判をやっても決してまともな論理の謝罪などするわけもない。
 これ以上、まただらだらと裁判をやることがいいのかどうか、疑問に思うのである。弁護団なんて連中も、自分らの面子やら立場やらで動いていないで、自分らで裁判の継続が無理だと思ったのなら、初めから二審控訴などしないことである。
 ◇  ◇  ◇
 近頃、クロ○○の宅急便で思うことがあるが、他社の場合は、代金引換の荷物など、必ず事前に電話してくる。また、この家は昼間に来ても人がいないな、と思った場合は以後はまず朝や昼間には来ない。だがどうしてか、私の家の管轄の○○ネコのドライバーは、どんな金額の代引きでもいきなりやってくるし(たまたま現金がない、なんて可能性をまったくその男は考えていないらしい)、馬鹿の一つ覚えのように来るといったら毎度、午前10時から12時の間にやってくる。共働きの家ならいないのが当然だし、私のうちのように夜勤が多くて午前中には起きることが出来ない、こともある。世の中、土日が休みの家庭ばかりでもないし、9時―5時の勤務ばかりでもない。
 もちろん、こっちの都合ばかり言い立てても仕方がない。しかし、ほかの会社のドライバーは二回目からは工夫しているように思われる。おおむね、辻元さんのお宅は午後じゃないと出てくれないな、と思えばそのようにあわせて来る。ことに代引きの場合は、事前連絡無し、なんてことはいまだない。
 業界の雄であるク○ネ○の社員教育が行き届かない、とは信じがたい。おそらくそのドライバー個人の資質の問題であろう。
 が、個人的なものだろうがなんだろうが、私のその会社に対するイメージは世間評価に比べて決してよくないのは事実である。

2006年2月19日(日)
何を今更と思うが、時事通信の記事で「トリノ冬季五輪は18日で前半戦を終えた。全84種目中46種目を消化したが、・・・1976年インスブルック大会(オーストリア)以来30年ぶりの「メダルゼロ」も、現実味を帯びてきた。・・・外国勢の力を見抜けなかった分析能力の低さは情けない限りだ。ひとりの入賞者さえ出せなかったスノーボードハーフパイプ(HP)。米国勢は国内の賞金大会を優先するため、ワールドカップ(W杯)出場が少ないのは周知のこと。それでも、全日本スキー連盟の佐々木峻スノーボード部長は「米国勢より日本のほうが力を持っている」と、胸を張っていた。HP勢は選手村での生活態度の悪さが目に余ったという。弱い上にだらしないでは、強化費の無駄遣いのそしりは免れまい。・・・6大会続いていたメダルが途切れたスピードスケートの男子500メートルで、金メダル候補と騒がれた加藤条治は弱冠21歳。惨敗したかつてのエース清水宏保とは10歳も違う。世代交代がうまくできていない観もある」だそうである。
 とにかく事前の素人予想でも、以前のジャンプとか、清水が全盛だった頃のスケートとかに匹敵するような新人という話はついぞ聞かれなかった。せいぜい世界レベルといえるのは女子のフィギュアだけだが、それも今現在もっとも力があるという人が出られないのだから割り引いて考えるしかない。となれば、外国誌の「とれても二つがやっと」という予想は今回に関しては妥当、いやかなり甘く見積もってもらっているのじゃないか、ぐらいは見通しがついたので、私も戦前からそのように書いてきた。しかしその通りになってみるとなんともむなしいものである。
 ハーフパイプの連中は弱い上にだらしない、のですか。選手村でも遊んでいたんだろうねきっと。そんな競技、やめてしまってはどうよ。大勝負の前に腰を痛めてしまって、見るもみっともない失敗を繰り返した女子選手がいたが、話では、今度あれでCDデビューするとか間抜けな予定もあるそうだが、本当にやるんですか。実績のないスポーツ選手なんて普通の人以下でしょう、厳しいようだが私はそう思うね。
 夏の競技では「国なんか関係ない、自分がエンジョイしてきます」みたいなことは死んでも言ってはならない、というのが定着してきた。昔の軍隊みたいなメンタリティーは駄目だけど、国家代表である以上はホビー感覚でやることは許されない。そういうのが嫌ならオリンピックなど否定する、つまり出ないことである。
 スノーボードはまだ歴史が浅いからそのへんの厳しさが分かっていないんだろうね。五輪となると日頃はスポーツなんて話題の端にもしない私のような人間もこうしてこんなところで一言、言いたくなるものだから。いつものワールドカップなんてものとは次元が違うのである。いつも言っていることだが、五輪というのは疑似戦争である。そう思えない者、生まれついての個人主義者は、はじめから目指さないことである。
 ◇  ◇  ◇
 今日、地下鉄に乗って出社の途中、車掌が「途中駅で車両交換します。一度皆様、列車をおりて代わりの車両が来るのをお待ち下さい」といいだした。
 電車というのは、既得権、というものを考えるのにいい場所である。始発駅からじっと待っていた人は座席を確保する確率が当然ながら高く、後の駅になるほど立たされることになるが、また一方で、運がいい人はたまたま目の前の席があいて、あっという間に着席組の仲間入り、ということもある。人生ゲームの縮図といえるだろう。
 だがまた、このように突然の「車両交換」なんてものもあるのが世の中である。突然のルール変更とか、あるいは戦争とか、革命、災害なんてこともある。それまでの財産権が否定されるような不条理な突発事、である。座り心地の良い席を楽しんでいた人等も全員、追い立てられて新しい車両で仕切り直しとなる。
 その、交換するという駅で私は出口のあたりに立った。見返ると、私が今まで座っていた席に、今頃になってどっこらしょ、と座ろうとしている人がいる。情報に疎い、乗り遅れている人である。数分後、「早く降りて下さい」と追い立てられることを知らないで、席について安心しているのである・・・。
 今の日本で、どうしても座り込んで席を譲らない人等がたくさんいるわけだ。特に高齢者ほどそうであるし、お役所ほどそうであるわけだ。ときどき「改革だ」というアナウンスがあるとどっと人がそっちに流れて、投機をする人のように「勝ち馬」に乗ろうとするわけだが・・・日本という電車そのものが「車両交換」になったり、ひどいと「途中で運転中止」ということだってあり得る。後は自力でなんとか行って下さい、というわけだ。
 「降りろ」と言われた後、歩いてでも、先に進める自信があるであろうか、などと私は思うのである。

2006年2月18日(土)
昨日、さほどの興味があるわけではないが例の「ガセネタ(と小泉首相がいう)メール」について、はっきりしないうちにガセネタと断言するのは、おそらくまたそういう言葉で切って捨てれば、付和雷同する「国民」とやらが多いからだろう、というような趣旨のことを書いたらいくらかの反響があった。
 私は、あのメールの送信時間に堀江被告が移動中だったのじゃないかとか、民主党の追及がお粗末ではないか、というのはすべてその通りと思うし、また文字通りのガセネタである可能性も否定しない。そもそもメールというのは自筆の文書ではないから、それを知らないといわれれば立証は難しいのである。
 ただ、いずれにしても日ごろはあやふやな、あるいはなにかと「適切に判断します」といった答弁しかしない首相がいきなり強い表現でガセネタ、という俗語、業界用語を持ち出したについては違和感を覚えた。いいたいのはそのことである。
 ただねえ・・・まあどうでもいいや、実のところ。私はもう日本国と日本国民に興味がなくなりつつあります。どうでもいいや、本当に。
 ◇  ◇  ◇
 私には値打ちの分からないものが流行り、私がいいと思うものが廃れることが多い、と前にも書いたのだけど、そういえば次のボンド・ガールにはエヴァ・グリーンが決まった、と聞いた。紹介する記事には「ほぼ無名の女優」なんてあった。確かに下馬評はシャーリーズ・セロンとかだったからそういう人と比べればほぼ無名、だろうが、私個人的には彼女が出ていた「キングダム・オブ・ヘブン」も「ルパン」も見ていたので、そして久々に「この人、伸びてくるんじゃないか」と思っていたので、意外ではなかった。というか、なかなか007シリーズのキャスティング担当の人はよく考えているかもしれない。ブランドが既にあるシリーズなので大物に頼るよりは、これから伸びる人を育てたほうが得策というのは正しい判断じゃないかと思う。
 久々に、私が伸びると思った人が、伸びてきそうなので嬉しい。たまには当たるようである。上戸彩以来じゃないかしら(無名時代の彼女をうちの会社のCM撮影で見て、成功しそうだと感じた、という話はこれまでも何回か書いた。当時、彼女は14歳であった)。
 もう一つ、NHK[みんなのうた」の「グラスホッパー物語」についてもこれまでに「当たりそう」と書いたけれど、やはり当たっているらしい。放映延長が決まったようだ。あるいは年末の紅白には高見ノッボさんが出てくるかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 滋賀県の、中国人の母親が送迎途中で近所の子供を視察した事件は・・・まあはっきりいってノイローゼであろう。こんなのはもう防ぎようがない。
 あるいはなにもかも捨てて中国に帰りたかったのかもしれないが、真相はなんなのであろうか、おそらく本人も冷静になってみると訳が分からないのかもしれないが。 

2006年2月17日(金)
いいのかねえ、「ガセネタ」とまで決めつけて。そう、例の堀江被告が武部幹事長のせがれに訳の分からない金を支払っていたかもしれない、という疑惑のこと。時事通信によりますと「堀江貴文被告が武部勤自民党幹事長の二男への資金提供を指示する社内メールを送っていたと民主党が指摘した問題について、小泉純一郎首相は16日夜、「がせネタをもとに委員会で取り上げるのはおかしい」と疑惑を全面否定した。さらに「(自民党への国民)不信を募らせるために、事実無根の話を取り上げたんでしょう」と民主党の姿勢を厳しく批判した。・・・武部氏も首相との会談で、二男に電話で確認した結果として「まったくの事実無根」と説明。細田博之国対委員長も「名誉棄損も甚だしい」と、衆院予算委でメールを公表した永田寿康氏に対する懲罰動議提出を検討する方針を明らかにするなど、党執行部は火消しに努めた。 ただ、・・・「資金提供が事実なら政権の危機になりかねない」(閣僚経験者)。実際、武部氏が堀江被告の衆院選出馬を主導したのに加え、同被告の求めに応じプロ野球巨人の渡辺恒雄会長に面会を持ち掛けるなど2人の関係は浅くはなさそう。党幹部は「もし本当なら武部氏の辞任どころか、内閣が吹っ飛ぶ」・・・」という話だ。
 もちろん、ガセネタかもしれない。しれないけれど、いつものようにこういう強硬な態度で突っぱねて、都合の悪いことも「首尾一貫して」「ぶれずに」言い立て続ければ「頭の悪い国民など必ず騙される」というヒトラー式の論理を実践してきた小泉政権(そして堀江被告というのも国民は馬鹿だ、が持論だったわけですね)も、このメールというのが正真正銘ホンモノであった場合は、命取りになる可能性は確かにあるでしょう。
 しかも、そのメールというのがガセだかなんだか知らないが、なかなかにリアルな感じのものなんですよね。
 「シークレット、至急扱いで処理してほしいんだけど、遅くとも31日できれば29日までに(武部氏の二男あてに)3000万円振り込むよう手配してください。前回、振り込んだ口座と同じでOK。項目は選挙コンサルティング費で処理してね」(中日新聞から引用)といった内容なんだそうだが、いかにも堀江被告の地の文のような感じがあるが。
 妙に青筋たててガセネタ、といきりたつのは、いつもの木で鼻をくくったような会見ばかりしている小泉さんらしからぬ。
 武部氏の二男という人も、留学した後、起業しては失敗ばかりしていて、父親の名前を取り上げればニートも同然の人らしい。つまり思いきりあやしい人物のようであるが。
 ◇  ◇  ◇
 ドン・キホーテもTOBで敗北したのにごり押しでオリジン株を買い占めているというがあれでやった、やったといって成功した、という話で世の中通るんだろうか。あえて言ってみれば停戦後も正式の講和発効はまだ、と言って侵略を続けたソ連軍のようなやり方であるが、これで今の世の中の雰囲気、支持されるとも思われない。
 ドン・キホーテも一脈、堀江流に通じる企業体質だと思うのである。こういうのはあまりよく思われないし、たとえばこれで弁当屋だのコンビニだのいってもいいイメージはないと思うが(それにドンキ+弁当屋というスキームがそんなに爆発的な支持をうけるのだろうかなあ。どうしてそんなに執着するのか理解に苦しむ)・・・はっきりいって私はそんな店、名前を聞いただけで行きたくないけど。

2006年2月16日(木)
 五輪も盛り下がっているし、その他の話題も特に大して・・・まあいろいろあるんだろうが自分的にはあんまり。
 ただ、岡崎選手34歳、優勝したロシアの選手も34歳という女史500メートルは、特に日本あたりの若いものの目を覚ますのに十分だったんじゃないの。
 だからさ。若い、というだけでは値打ちがないんだよ、何事も。特に今時は、15歳も45歳も精神的にも肉体的にも大きな差はないと思われる。
 ◇  ◇  ◇
 そういや、読売新聞の今日の記事まで自分は知らなんだが「アフロサムライ」という漫画があるんですって? というか、日本国内じゃまだぜんぜんでまわっていないけど、いきなり全米でテレビアニメ化されるうえに、実写映画まで制作されるのが決定しているとか。
 「人気俳優サミュエル・L・ジャクソンさん主演によるハリウッドでの実写映画化、米国でのコミック発売などの企画も進行中だ。米国の映画業界では、日本の漫画への注目度が高まっているが、日本でも無名の作品がいきなり「全米デビュー」を果たすのは珍しい。「アフロサムライ」は、東京都在住のグラフィックデザイナー、岡崎能士さん(31)の作品。黒人の侍が様々な敵と戦いながら、父の仇を探して旅するストーリーで、・・・漫画は1998年、美大時代の仲間らで出版した雑誌に掲載したが、発行は数百部。これが、アニメ製作会社GDH(新宿区)・・・の目にとまった・・・「スター・ウォーズ」などに出演する実力派の黒人俳優ジャクソンさんに持ちかけたところ、強い関心を示し、主役の声優、共同プロデューサーとしての参加が決定。これが弾みとなり、大手ケーブルテレビ局「スパイクTV」で、今年11月ごろ全米で放映されることになった。・・・ジャクソンさんを主演、「バットマン ビギンズ」を手がけたチャールズ・ローベンさんをプロデューサーに迎え、日米共同で実写映画の計画も進められている」というんだが、同人誌から大出世したと言ってもここまで出世した作品もあるまい。世の中何があるか分からないものである。はっきりいって甘ったれたものが好きな日本人より、クールなものが好きなアメリカ人に受けそうな要素があるようである。既に英語のサイトが先行して存在するみたいである。http://afrosamurai.com/昨年の夏から既に一部で話題になっていたが、全国紙が記事にするのだから本決まりになってきたのだろうと思われる。今のうちにチェック・・・といっても、国内じゃ同人誌しかないんですよね今のところ。
 ◇  ◇  ◇
 なんとなく前から買ってあったのに、見ないで置いていたDVDを一度に見てしまった。古いドイツの戦争映画「橋」を見たのだが・・・感動したね。大昔に深夜放送で見たきりでまるっきり細部を忘れていました。それにしてもドイツ軍の兵営の描写がすごく・・・ってこんな名作でもそんなところばかり見てる私であった。凡百の戦争映画がみんな吹き飛んでしまうし、また凡百のいわゆる「反戦映画」も吹き飛んでしまいますね。監督が「史上最大の作戦」のドイツ側の監督でもある、なんてことを改めて認識いたしました・・・よく撮れているのじゃない、この1950年代ぐらいのドイツの戦争映画って言うのはまるっきりドキュメンタリーですね。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000066AGN/ref=pd_bxgy_text_1/250-6888441-4359469


2006年2月14日(火)
 勝った負けたもないと思うんだが・・・。「ーー検事に勝った。ライブドアグループの証券取引法違反事件で13日に起訴された堀江貴文被告(33)。接見した弁護士に、こううそぶいているという。一方、前財務担当取締役の宮内亮治被告(38)は、「家族につらい思いをさせた」とむせび泣き。かつてあうんの呼吸で錬金術に精を出していた2人は、今や全くの“別人格”になっているようだ。「起訴するならすればいい。主張は法廷で行いたい」。“臭いメシ”を食らう生活もはや3週間。だが、強気の姿勢は全く崩していない。・・・不正の証拠となるメールを突きつけられても、「それが偽造かもしれないでしょ。自分のパソコンで確認して、本物だったら法廷で認めますよ」。接見した弁護士には「検事と議論し、やりこめてやった。検事に勝った」と得意げに話したという。・・・堀江容疑者の超強気にも、東京地検幹部は「立証には十分な自信がある」と断言する。また、ライブドア株は東京株式市場で、前週末比30円安の61円にまで下がり、もはや上場廃止に向け秒読み段階に入っている。平松庚三社長(60)は13日夕の会見で、「ライブドア」の社名変更の可能性も示唆。強気を貫こうとも、もはやご自慢の“功績”さえ風前のともしびなのだが…」(産経新聞)てなわけだが、おそらく、彼が逮捕されてからの世間の雰囲気の変化をご存じないから、だと思う。
 まだ、いまのところは話題性はあるけれど、今後は・・・たとえばイランあたりで開戦とか、なにかあれば堀江なんて人がいたこと自体、忘れられてしまう日も来るかもしれないですぜ。「あの人は今」なんてコーナーの対象になりかねない。
 ◇  ◇  ◇
 ゆうべ、女史のハーフパイプと男子500メートルを一応、見ていたけれど・・・なんかあれですね。外国誌の予想「日本はせいぜいメダル2個」というのはむしろ甘い予想だったということじゃないかしら。
 こりゃあ・・・一つもなし、ということもあるかもなあ、と。
 500メートルの加藤については、「製氷作業のために10分待機させられたのが響いたのではないか」という声があるみたいだが、ああいうことはしょっちゅうあるのではないかしら。分かっているならなんとかならんものか、と思う。
 ハーフパイプについては、なんか今まで日本選手はそれなりに健闘してきたそうなのだが五輪での本番を見る限り、アメリカなどの上位選手と引き比べると次元が違う、というように素人目にも見えた。なにか考え直す必要があるかもしれませんね。
 



2006年2月12日(日)
 何を今頃、と思うのだが「毎日新聞が10、11の両日実施した世論調査(電話)で、小泉内閣を「支持する」と答えた人は1月の前回調査より4ポイント減の48%となり、「支持しない」は5ポイント増え40%に達した。・・・半年ぶりに50%を割り込んだ。依然高水準にはあるものの、無党派層で不支持が支持を逆転するなど支持構造に変化も出始めている・・・女性は1ポイント減の50%と前回と大差がなかったが、男性が52%から45%に大きく落ち込んだ。年齢別では老後を考え始める50代が48%から35%に13ポイント減ったのが目立つ。・・・支持政党なしでは「支持する」39%(前回44%)、「支持しない」44%(同37%)と支持・不支持が逆転した。支持する理由は「政治のあり方が変わりそうだから」が46%、「小泉純一郎首相の指導力に期待できるから」が29%など前回とほぼ同じだった」・・・ということですが、男性が不支持にまわっている、支持政党なしの人でも不支持が広がっているというのは、要するにコイズミバブルが弾けつつあるということ、ことに老後を考える世代で急激に不支持が増えているというのは、冷静に考えれば、小泉「改革」なんてものに任せておいても未来は暗い、ということが見えてきたという次第だろう。それはまあその通りだろうが、支持者の理由に今でも「政治のあり方が変わりそうだから」なんてのがあるのはどういう了見なんだろうか。なんであろうと小泉マジックはもう終わりである。これ以上、彼になにかを期待するのは酷というものではないだろうか。
 最近の急激なレイムダック化を自分で感じて、小泉さんは小林一茶の句を引用してなにか言っていたようだが、私は平賀源内の晩年の句を彼にささげたい。
 「功ならず名ばかり遂げて年暮れぬ」・・・話題は振りまいたものの、結局これといって実のあることはできないまま、自分の人生は終わりのようだ・・・。
 ◇  ◇  ◇
 元モーニング娘のK女史が喫煙発覚で芸能活動自粛なようだ。ちょっと前にはNEWSのメンバーも飲酒で問題になっていた。どう思っているのか知らないが、これらの連中は今ひとつ分かっていないようだが、「格差社会」ではタレントというのは激しい嫉妬の対象になる。かえって昔よりおおらかさがなくなっている、と思っていい。アメリカなんかじゃ、ほかの国じゃ下火になっているパパラッチがむしろ激化しているというが、日本もそうなっていくかもしれない。というのは、下のものが、セレブの失脚を望むとしたら、「激写」がいちばん手っ取り早いからである。
 ◇  ◇  ◇
 トリノ五輪じゃジャンプの原田が体重不足で失格、モーグルの連中もぜんぜんふるわず、だったようだが、だいたい今回の五輪での日本勢の結果が早くも見えてきた感じである。
 モーグルというのがなんかよく分からない。ジャンプをさせておきながら、タイムも計っている。タイムを早くしたければ大きなジャンプなどしないほうがいいに決まっている。しかし一方で「滞空時間の長いジャンプ」も必要なんだというのは明らかに矛盾だ。ただ単に時間が早ければいいというレースでもないのだというから、一体なにを基準に勝負をしているのかさっぱり分からない。
 ◇  ◇  ◇
 今、ロシアが絶好調だそうである。何の話かといって経済である。石油価格高騰があの国を潤している。OPECの次の産油国というのはロシアであって、旧ソ連というのも石油資源を元に成り立っていた同盟だった。そもそもOPECが先進国の非石油エネルギー開発を阻止しようとして生産量を増やし、それがソ連経済に深刻なダメージを与えた。焦ったソ連が中東への覇権を狙ってアフガンに手を出したのがソ連の没落の真因で、決して「自由主義の勝利」などではない、という説が最近多いがそのとおりだと思う。
 今後も石油文明の続く限りロシアは優位に立つ。冷戦後、没落したというイメージがあるが世の中はいつまでも同じではない。
 ドルを武器に日本などから借金を重ねて無理やり生き延びている粉飾国家アメリカや、表面的急成長の影に深刻な貧富の格差や高齢化の恐怖を抱える中国などより、ロシアの復権のほうがよほど見込みがあるかもしれない。
 世界史の流れは決して一方向ではない。正しい方向、よりよい方向に人類が進んでいるなんてのはもちろん幻想である。歴史は行き当たりばったりの迷走を後知恵で意味づけしているだけの、知的お遊びに過ぎないのである。

2006年2月11日(土)
昨日、というか今朝、つまり日付が変わってから帰ってきたのだけれど、妻から「それでトリノ五輪っていつからなのよ」と聞かれ、「さあて、なんでも日本時間では11日からでしょ」「というと今日の何時?」「さあなあ・・・」といい加減な生返事をしておいた。なにしろスポーツに疎い我が家である。で、ちょっとメールのチェックでも、と思いネットをつなぐと「トリノ五輪はいよいよ11日午前4時に開幕・・・」とある。おや? 午前4時というのは今ではないか。
 ということで、まったくその気もなく興味もないのに、4時からの五輪の開会式をばっちりと、ほぼ全編見てしまった。ルチアーノ・パバロッティが出てきて「誰も眠ってはならぬ」なんて歌いだしたところで、悪いけど寝させてもらった次第である。
 「白いポンチョ姿の観衆に囲まれた真っ白なステージが真っ赤な炎を噴き上げて幕を開け、場内を駆け巡った火花が地上57メートルの聖火台に火をともした。10日夜、当地のコムナーレ競技場で開かれたトリノ冬季五輪の開会式は、イタリアが世界に誇る情熱と創造性が鮮やかな色彩の中でほとばしった。心臓が脈打つように燃え上がる火柱、後頭部から炎を噴き出しながら場内を疾走するスケーター。アルプスの牧歌的な風景をバックにしたワルツが聞こえたかと思えば、SFの世界を思わせる金属的なパフォーマンスが続く。宙に浮いた巨大な金属の輪が垂直に立ち上がると、五輪のシンボルマークが火花とともに現れた。
 イタリアが生んだ夏季五輪メダリストらに見守られて掲揚された同国国旗は、ジョルジオ・アルマーニがアレンジしたもの。スカートのふくらみをアルプスの雪山に見立てた衣装の女性が各国選手団を先導。ダンテの「神曲」の朗読に、ボッティチェリの「ビーナスの誕生」。ファッションと芸術大国の洗練されたセンスが華やかな祝祭空間を演出した」と時事通信の記事は今時にないほど美文調だ。これまでも五輪の開幕というと結構、名文記者みたいなのが大げさな記事を書いていて、新聞記者時代の井上靖とか司馬遼太郎のこういうレポートもなにかで読んだことがある。
 が、昔と違ってリアルタイムで見られてしまう今の時代、かような美文に踊らされることなく自分の目で見た感じで言えば・・・「けったい」だったね。やはりイタリア人の感性は分からないかも。日本人が逆立ちして百万年考えても出てこないような思い付きで溢れていた。芸術的というかシュールだったかもしれない、全体的に。
 次から次へと人が出てきてはどんどん去っていくんでなんだか分からない、といえば分からない。オノ・ヨーコが唐突に出てきたのも分からないし、老け込んじゃったピーター・ガブリエルが声質にあっていない「イマジン」を無理やり苦しそうに歌わされているのもよく分からないのであった。一方で、見所もあった。最初のほうで北朝鮮も顔負けのマスゲームで巨大なジャンパーを作ったのは面白い趣向だったし、突然フェラーリのF1カーをあの場で組み立てて走らせるのもド肝を抜かれた。入場行進のBGMが80年代ディスコ音楽集なのもなんともルーズでおかしかったが、とりわけ「YMCA」がやたらに場内で受けていたのも面白かった。あの曲、世界的によく知られているんですね。青山アナは「ヤングマンですね」なんて言っていたがそれは邦題というものだろう。アレサ・フランクリンとかドゥービー・ブラザース、ヴァン・ヘイレンの曲などが聞き取れたけど、世界中継で使うんだから使用料は払うんでしょうね、やっぱりねえ。
 ソフィア・ローレンがまだまだ元気なんですね。あれはおお、と思った。その後の五輪旗掲揚で、あれはイタリア軍なんだろうか、すごくきまっていないし手足もそろわない(間違っている人までいた)のが印象的だったりする。国旗掲揚で出てきた軍警察というのもそれよりはましだったが、あまりカッコよくなかった。やはりイタリアは自由奔放の国。きちんと組織的な軍隊、というものは合わないらしい。
 聖火の点灯は時事通信がいうようになるほど見事だった。ああいうのは見たことがない。
 とにかくしかし、まことに奇抜な印象のもののオンパレードでなんともかんともけったいな開会式だった。


2006年2月10日(金)
なんだか知らないけれど、世界中でもめている。「アナン国連事務総長は9日、イスラム教預言者ムハンマドの風刺漫画の転載が続いていることについて、「理解できない。火に油を注いでいるだけだ」とし、転載を見合わせるべきだとの見解を示した」(読売)そうだ。
 「アナン氏は「報道の自由には責任が伴う」とし、転載は「無神経、侮辱的、挑発的」と強い調子で非難。「編集者は世界中で起きていることを見るべきだ」と訴えた。また、「暴力が解答ではない」として過激な抗議デモの自制も求めた」というんですが、しかしこれだけ騒ぎが大きくなると、どんなものなのか見たくなるという心情も出てくるであろうし、それにである。はっきりいって欧米キリスト教圏の人らの内心にくすぶっているイスラム教徒への不信感とか不満・・・無論、イスラム教徒のほうも大いに不満があるんですが、イスラム教徒の移民などを受け入れている国の側にだって口に出せない不満があることは容易に想像できますね、そういうものがどっと噴き出しているんだろう。
 まあ簡単にいって、今時の世界でグローバルスタンダードに従った生き方、と宗教的な生き方の2種類に分かれつつあるんじゃないかと思われるわけです。そして当節、宗教らしい宗教というとイスラム教だけなのではないか。前者は後者を基本的に負け組み、と規定しているのでもあります。
 中国や北朝鮮のような共産主義とか主体思想とかいう「宗教」を持つ国も、長い目で見ればよほどイスラムの行き方よりは世俗的かつ話せば分かる、ということだろうと思う。
 よくわからないですがね・・・日本のどこか馬鹿な雑誌が転載しないように、とは思いますがね。わざわざ巻き込まれるのは愚の骨頂ですが。
 もっとも、平均的日本人にとってはイスラム教の問題というのはあまり興味がない、ということもあるでしょう。
 ◇  ◇  ◇
 市民の声「市役所に共稼ぎの場合、どちらかを退職させ、少しでも多く若い人を採用してほしい」 総務課 「免職には、相当の理由が必要であり、共稼ぎを理由に免職はできません。全体計画の中で職員数の適正化に努めます」・・・これは今、話題になっている九州某市の議論ではなく、ふと見つけた大船渡市の公聴会の記録の一節である。
 公務員が共稼ぎをしているからといってそれを理由に本給を2割削減するなんてのはかなり暴挙暴論であるのは間違いない。共稼ぎしちゃいけないとか、職場結婚しちゃいけないという理由が見当たらないからだ。
 ではあるが、特に地方に行くとけっこう、市民の中から上のような声が出てくるのも事実であって、某市の市長はじゃあ、それで押してみれば市民が賛成してくれるんじゃないか、とその点に賭けてみたんだろう。「この市でも平均して年収800万ですからね、二人なら1600万で・・・生計ということなら貰いすぎじゃないでしょうか」と市長は言っていたが、実際、相当に疲弊している、率直にいってかなり田舎のその市で、一般の市民と引き比べて年収が1600万円もある家(しかも税金である)が目障りであるのは事実であろう。
 実際その、某市は財政逼迫して破産しかかっているという。その厳しさをアピールする意味もあったのだろうと思うので、市長さん、この案が潰れた場合は、「じゃあ、共稼ぎとか関係なく、全職員の給与を削減します」ともっていけばいい(というか、そうなると思います)。
 ◇  ◇  ◇
 アメリカの牛肉の話題で、「歩行困難牛」が食肉に回されていたのが明るみに出たというのだが、どうせもっといい加減にあちこちでやられているはずだ。日本への輸出どころの騒ぎじゃない。アメリカという国はことこういう問題ではいい加減な国なのである。
 そもそも貧乏人向けの安い肉など、安いのだからリスクがあって当然でしょ、という体質なのである。あと10年、20年するとあの国でも、貧困層、下級世帯を中心にBSE発病者がどんどん出てくるんじゃないですか。ま・・・どうせそんな国です。ほんのちょっと前まで自分ら、世界史のトップランナーだと思っていたんですがね。アメリカが世界を救う映画ばかり作っていた国ですがね・・・。
 



2006年2月09日(木)
私の知り合いのまた知り合いぐらいの実話だが、50をすぎてからほんの1、2年天下りして、またどこか外郭団体に天下り、さらにどこかの民間企業に・・・と繰り返し退職金で億万長者になった、という人の話を聞いたことがある。もう10年以上前の人のことではあるが。「ええ、また退職金?」と近所で噂になっていた、なんて聞くのである。
 ほんの10年ぐらい前まで、日本の公務員は薄給だが一生懸命国を支えていて、汚職三昧で駄目な政治家を尻目に頑張っているのだ、と国民は信じ込まされていた。ドラゴン桜流でいえばまさに「東大出のやつが東大出に都合がよいように」世論まで作っていたのである。
 実業家やタレント、流行作家などが売れて金持ちになれば、よってたかって嫉妬もされるし監視もされる。しかし、人知れずに退職金で太っていった人らは、若いうちはただ同然の官舎で過ごして貯蓄に励み、表面上にはない手当てで優遇され、トップになれない者もそれなりに処遇を受けて・・・まあ要はキャリアで普通にやっていれば、間違いなく億万長者レベルまでは誰でもなれた時代があるということだ。
 そして、その原資というのは税金、つまり貧乏人から巻き上げた金なのである。
 最近はそれほどあからさまなことはできないようだが、しかし、実態はちっとも改まっていないとも聞くが。なにしろ法律や規則の網目をすりぬけるのが官僚の仕事である。
 もちろん、そんな甘い側面ばかりだというつもりはなく、ハードワークなんだろうし、いろいろ問題もあるだろう。しかしなんであろうと民間じゃないのである。
 ◇  ◇  ◇
 読売新聞によれば「防衛施設庁を舞台にした談合事件で、同庁建設部の建設企画課が、退職者の業界への天下りを組織的にあっせんしていたことが関係者の話で分かった。建設工事の受注予定業者を割り振る配分表には、同庁OBを天下りで受け入れた企業だけが掲載されていたことも判明。・・・元審議官のOBが天下り先を退職するときは審議官クラス、元部長が退職する際には部長クラスを再び送り込むのが通例だった。防衛庁や防衛施設庁の職員の天下りについては、2000年7月の自衛隊法改正により、退職後2年間は、密接な関係にあった企業への再就職が禁止された。このため、「防衛施設技術協会」など防衛庁所管の財団法人を経由する形で、業界への天下りが続けられていたと見られる」のだそうだ。
 ほら、財団法人を迂回すればいいんだと。おそらくどこのお役所でも相変わらず似たようなことをやっているんだよね。
 コイズミ改革ってなんだったのだろう、とまた思う。ほら、これもぜんぜんなにも出来なかったじゃないか。族議員を成敗すればよくなる、とまた信じ込まされた多くの「有権者」とやら。確かに族議員は癒着の温床だが、同時にまた鈴木宗男さんを見ればわかる、官僚から見てもっとも手ごわい政治家でもある。それを甘ちゃんのチルドレンなんてド素人に置き換えればよくなる、なんてわけがない。
 「あるゼネコン幹部は「OBを受け入れていない企業が入り込む枠はごくわずか。結局、施設庁が自分たちのためにOBの天下り先を確保するという、官のための談合だ」と指摘する」とのことだ。つまり業界にとっても迷惑な談合だったということである。なにか談合というとゼネコンなんかが自分らの欲得でやっていると思いがちだが、こういう官製談合というのは一にも二にもお役人の私利私欲、老後の生活、ゴージャスなお屋敷や外車、それにその家の息子や娘をまた東大やハーバードに進学させるための教育費・・・となることを理解しなければなりません。
 小泉さんにはなんにもできなかった。(いわゆるコイズミびいきの人らが言うように)ほかの人やほかの政党にはもっとなんにもできないということなら・・・もう日本に未来はない、ということじゃないですか。違いますかね?



2006年2月08日(水)
なんだか秋篠宮のところのご懐妊で大騒ぎみたいですな。「小泉首相は、皇室典範改正について、政争の具にしないよう慎重に取り運んでいきたいと述べ、慎重な議論が必要との見解を示した。笹木竜三委員(民主)の質問に答えた。小泉首相は、皇室典範改正について「慎重に議論して、誰もが『こういう改正が望ましい』という形で成立するのが望ましい。そういうことを考えて、より具体的にも議論されると思う。ゆっくりと時間をかけて慎重に審議をすることによって、大方の国民が、いま賛否両論、意見が分かれているようだが、政争の具にしないように、慎重に取り運んでいきたい」と述べた」(ロイター)なんてことで、いつまでも論議していても仕方がない、早く・・・まあはっきりいって自分の政権の手柄にしたい、という感じがあった小泉さんとしても、こうなっては急ぐ訳にはいかなくなったみたいである。
 なにしろ、もしここで男の子が出来たら皇室典範の改正をここでやる必要はなくなってしまうのである。40歳に近い妃殿下が懐妊ということを想定していなかった、ということだろうが今時は年齢感覚が違う。はっきりいって50ぐらいまでは分からないというものだろうよ。それで、そもそも急ぐ必要など無かった議論・・・つまり、現在の皇太子、その弟の秋篠宮がいずれもまだ40そこそこ、その後のことなどまずもって何十年も後の話、ということが分かっているのに騒いでいたのが、急に目が覚めてきたんじゃなかろうか、と思う。実際の所、なんでそんなに急がなきゃならないのか理解に苦しむ。
 ついでにいえば、男系天皇じゃなきゃいかん、という議論にだって実際には現実的な解決が取られて行くに違いない。「女性天皇に反対」なんて人は復古派の人にもいない。そもそも皇室の祖神は女神様なんだから。ダメだと言われているのは「女系天皇」つまり父親が皇室にたどりつかない人、ということですね。愛子様はれっきとした男系天皇になられるので(だって今の天皇の息子さんの孫、つまりきちんと男系である)問題はそのお子さんである。しかし、ここでお婿さんになる人に皇室の流れの人を持ってくれば、要するにいいわけだから、結局、愛子天皇におかれては、自由恋愛は事実上認められないで、そういう系統の人をそれとなくお見合いさせられていくのではなかろうか、と思う。
 ま、なんにしても・・・私は三笠宮がいろいろ文章を発表しているけれど、男系が絶えれば日本国の滅びの始まりになるんじゃないか、というようなことを言っておられるようですけれど、それはなんて大げさな、と思う人もいるかもしれない、しかし相撲の土俵に女性をあげない、みたいなもので、どうでもいいことなんだけど、そういうしきたりとか伝統の積み重ねがすべてであって、なんでもよくしたら、本当になんでもよくなってしまう、というものが世の中にはあります。皇室なんてものもそういうこと。
 皇室がなくなっちゃったら日本国はなくなるのか、そんなことはあるまい、という人はそれは早計である。つまり、今までこれが日本で、これが日本らしさだ、と思ってきたものの淵源に間違いなく皇室という物があったわけで、ここがどうでもよくなってきた場合、すでにそれでなくとも、なんでもかんでも「どうでもいい」という風潮が蔓延しきっている日本はまったくただの日本語を話す負け組の集まり、になるんじゃないか、という懸念である。
 そういうことは、考えている人も多いのじゃ無かろうか。
 日本国民は、2050年には8000万人台、2100年には4000万人を切るという話があるが、つまり「日本語」の通用する範囲もそれだけ萎むのである。そのころ世界人口は90億人か100億人か、いずれにしても日本語というものも萎むし日本文化も萎む。その空いた空間に・・・・おそらく流れ込んでくるのはアメリカか中国、であろうけれど、要するに我々の知っている日本国は、21世紀中に解体・吸収されるかもしれないという危惧は実はこの皇室の問題とも深層でかかわっていると思えてならない。
 だから、日本語の文学なんてものもまもなく3000万人しか読める人がいなくなるとして、どうなってしまうだろうか、である。新聞も書籍も部数は4分の1になるはずである。
 人口が小さい国のそれなりの生き方、というものを学ぶには、アメリカなんかじゃなく北欧なんかのほうが参考になるのじゃないか、という議論もその辺から出てくる。
 なぜ子供が生まれないのか、本当にわからない政治家は馬鹿である。日本に未来などないのではないか、今の文明もどれほどももたないのではないか、ということを直感している人がそれだけ多いと言うことだ。そこを何とかしない限り、決して子供など増えない。
 国民がいなくなった日本国には皇室も必要なくなるのかもしれない。それも案外に早く。100年もしたらもう・・・。



2006年2月06日(月)
これは毎日新聞の千葉県版の記事だそうだが「伊豆諸島の鳥島(東京都)に生息する国の天然記念物・アホウドリの「デコちゃん」(雄・推定年齢13歳)が、島営巣地内に設置されたプラスチック製の実物大模型の「デコイNo22」を本物の雌と思い込み、約9年間も求愛行為をしていたことが5日、山階鳥類研究所(我孫子市高野山)研究チーム主任の佐藤文男研究員(53)によって確認された。No22は5月に撤去される予定で、デコちゃんの熱愛は“実らぬ恋”として終結する。・・・雌の模型は他に92個あったが、デコちゃんが寄り添うのはいつもNo22。別の雄アホウドリがNo22に近付いて求愛ダンスした時、激しく威嚇する“悲姿”もあったという。・・・(関係者は)「模型に9年間も求愛した例は聞いたことがない。今度こそ、デコちゃんは本物のアホウドリに恋をしてほしい」と話している」のだって。かわいそうだねえ・・・どうしてこいつ、自分に振り向いてくれないんだろう、と思い続けてきた9年間。でもずっと銃愛を貫いてきたんだねえ。
 どんなに熱い思いを抱いても、無駄ということですねえ。
 ◇  ◇  ◇
 近頃急激に、日本という国に対する愛想が尽きてきてますよ。デコイに純愛を捧げてみてもなんにもなりゃしない。共同通信によれば「統計の専門家らでつくる社団法人・エイジング総合研究センター(東京)は3日、日本人の人口推計を発表した。2050年には、05年と比べて3779万人減り8833万人に落ち込むと試算。1億59万人に減るとした国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計を下回る見通しを示した。・・・人口は05年7月の1億2612万人から、40年に1億5万人に減少。45年には9415万人と1億人を下回るとした。50年には8833万人と、1955年の水準に減少。2100年は3700万人と、明治並みになるとみている」というが、これははっきりいって、「日本の過疎化が進む」ということじゃないかと思う。
 どうも、私が生きている間にも人口は1億人を切りそうだ。これつまり、今、コイズミ改革の成果なのかなんなのかしらないが、20年遅れのサッチャー改革の猿真似の結果、日本の地方は壊滅しかかっている。これしかし、コイズミとか竹中の数年前のつもりでは、東京都か名古屋のような拠点は、地方を切り捨て、さらに弱いもの、駄目なものを切り捨てることで生き残れるはず、であった。大の虫を生かすには・・・という戦略判断そのものは間違っているとは私もあながち思わないが、実はこの戦略じゃ足りなかった。というのは日本国そのものが世界の中の片田舎になり、東京が冴えない県庁所在地みたいになりかけているので、どう頑張っても日本の過疎化が進まない、のである。子供が生まれない、というのは日本の未来に今の日本人が投資することは無駄だと感じている、それより今もっている金も資産も自分らで使い切ってしまおう、という考えの人が多い・・・いわゆる余裕があって勝ち組らしき人ですら、そう思っているということだと思う。竹中さんのような人にはいちばんその辺が見えていることだろう。
 ◇  ◇  ◇
 いつまで日本円は「強い」であろうか。日本では、とにかくなんといっても食費が馬鹿高い。だからどんな貧乏人でもべらぼうに金がかかってしまう。一ヶ月に30万はないと生きていけない社会である。
 できるだけ早く、相対的に円が強いうちに海外に移住したほうが得なのではないか、ということで今、東南アジアなどに移住する人が増えているが、それは実際、考え方としてありだと思う。
 私も近頃、急激に日本への「愛」がさめてきた。とにかく「みんながいいと思うもの」をいいとする価値観がはびこっている、この独立心のかけらもない国民性がどうしても自分には合わない。そして、私とか、私の妻もそう言っているのだが・・・なんだか、みんながいいと言っているものがどうしてもいいと思えない。そして私なんかがいいと思うものはちっとも人気がない。
 本当にそういうことが多すぎるのである。
 そんなもんで、私らの書いたり発表するものもちっとも評価されない。自分らが力不足なのは間違いないのだけど、それよりなにより、人気のあるなにかに似ていない、というものはちっとも理解されないこの雰囲気には絶望しています。
 どうも私らなどは、この国に合っていないのかもしれませんね。だから、先々、どこかに出て行くかもしれません。そんなことを近頃かなり本気で考えていますが。
 そう思ったらなんだか楽になってきましたね。でも、もっと後の世代の方々には・・・さあどうしたらいいんでしょうか。 とにかく私は船長じゃないので責任は取れません。
 

2006年2月05日(日)
こういう手合いがいるから怖いのですねえ。「乗客乗員約1370人を乗せたエジプトのフェリー「サラーム98」が紅海上で沈没した事故で、沈没の直前、船長をはじめフェリーの乗員が乗客の救出をせず、自ら救命ボートを使って避難していた疑いが4日、浮上した。・・・乗員から「大丈夫だから脱げ」と指示され、胴衣は取り上げられたという。また、別の複数の生存者も「乗員は乗客を残したまま、真っ先に救命ボートで脱出した」「最初に脱出したのは船長」などと語った。エジプト政府によると、同船には十分な数の救命ボートが用意されていなかった。乗員がこうした事情を知った上で自らの避難を優先させた可能性もある。船長の安否は依然不明」(読売)だって。最初に脱出したのは船長、というのだからあきれる。船長は船と運命を共にする、なんてのは今時はないようだ。
 しかし日本国の船長だって危なくなればいつでも逃げ出しそうである。ボートの数が足りないことを誰よりもよく知っているのは「船長」ですからね。小泉さん。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば、昨日、ちらっと見たのだが、ヒンギスがシャラポワを破ったそうですね。昔の強くて強くてどうしょうもなかったころのヒンギスは決して好きではなかった。鼻っ柱が強くて上昇志向丸出しで、嫌な小娘だった。しかし、今回はすっかり落ち着いて、いい表情になっていた。この対戦では、まったくチャレンジャー気分でいけるヒンギスのほうが、プレッシャーのかかるシャラポワより実は有利だったと見るべきだろう。女子テニス界というとエバート、ナブラチロワ、グラフ、ヒンギス、ウィリアムス姉妹、シャラポワ・・・という具合で割りに「とにかく実力がある人」と「実力ももちろんあるけどアイドル系」という人が交互に出てきて、ヒンギスというのはどっちかいうと実力系、であったように思う。本人はモデルとか女優もやりたい、なんて言っていたが。その後、本当に女優も出来るシャラポワが出てきて今時はルックスもいいのが当たり前、となった。が、ヒンギス女史、なかなか「女前」も上がったようだ。一度は引退したベテランといってもまだ25歳かそこらなんでしょう? シュテフィ・グラフが頂点だった時代・・・ガブリエラ・サバチーニとか、日本の伊達が活躍した時期に思い入れのある人は多かろう、私もそうである。また盛り上がってきそうな気配である。男子のほうはそこへいくと今や誰がいるか全然聞かないが・・・。
 ◇  ◇  ◇
 例のメダカの話はすでに知れわたっていると思うが、おさらいすれば「遺伝子を組み換えて体が黄緑色に光る観賞用メダカ約800匹が、違法に輸入販売されていた疑いがあるとして、環境、農水両省は3日、業者に販売の中止や回収などを指導したと発表した。・・・このメダカは、「ナイトパール」という商品名で売られていた。クラゲの遺伝子が組み込まれており、04年秋から今年1月にかけて、兵庫県の業者が台湾から輸入し、東京や神戸、北九州市など9都県の12小売店に販売。1000〜2000円ですでに500匹が売られていた。・・・環境省野生生物課は「野生のメダカへの影響は分からないが、河川に放流せず、できるだけ早く店に返品してほしい」と呼びかけている」(朝日)なんてことである。
 え、光るメダカなんてそのへんのペットショップで売ってるじゃないの、と思ってぎょっとしたが、どうもそのへんで売っているのは大抵は蛍光塗料を皮下組織に注射したもの(それだってかなり嫌な感じ)。問題のものは、クラゲ遺伝子組み換え、改造メダカなのであるから恐ろしいといえば恐ろしい。
 よく映画に出てくる、狂った科学者が人間に蛇の遺伝子とか虎の遺伝子とかいろいろ加えて化け物を作るというのがあるが、あれである。
 技術的には、人間にクラゲの遺伝子を入れても光るわけだろう。そういうこともできるはずであるな。
 まあ、やろうと思えばもはやなんでもできるんだし、やっている人もいるんじゃなかろうか。人間の頭脳を持った動物を作るとか、動物の能力を持った人間をつくるとか。
 近未来は怖いねえ。SFで言っているような恐ろしいことは全て実現するけれど、夢みたいないい部分はひとつも実現しない未来になりそうだ。近未来には、ロボットが働いていて人間は快適に宇宙旅行など楽しんでいるはずであった。
 石油もあと30〜50年のうちに枯渇するという。私はまあその石油文明の間に人生ほとんど決着がつくであろう。若い世代の人らは違う生き方、というのを探る必要があるのかもしれない。

2006年2月04日(土)
うーん、どーもよくわからないのだが。「世界に最も「良い影響」を与えている国は日本―。米メリーランド大が世界の約4万人を対象に実施した英BBC放送との共同世論調査で、こんな結果が出た。同大が3日発表した。日本が世界に「好影響」を与えているとの回答は、調査対象33カ国中31カ国で「悪影響」を上回り、平均すると好影響が55%、悪影響が18%だった。逆に最も悪影響を与えている国はイランだった」(共同)というんだが、これはあれですかねえ、経済的にも軍事的にも脅威じゃない、せっせとお気楽な漫画やアニメを生産している、でまあ・・・どこの国から見ても要するに「いい人」、これ、たとえば身近の人間で言っても毒にも薬にもならないいい人、というのはあると思うんですが、言って見れば存在感がない、ということでもあるのか、と思う。またはっきり書いていないが、33か国の中で2か国だけ日本が悪い国、と言っている国民があって、まあはっきりいってあそことあそこ、であろう。これもまたいつもいつも・・・。
 毒にも薬にもならない感じというのは、たとえばこんなところでも・・・。共同によれば「米国の専門誌スポーツ・イラストレーテッド最新号は、恒例の五輪メダル予想を特集し、トリノ冬季五輪での日本のメダルをフィギュアスケート女子の荒川静香(プリンスホテル)とスピードスケート男子500メートルの加藤条治(日本電産サンキョー)の銅メダル2個と予想した。・・・浅田真央(グランプリ東海ク)が出場すれば金の最有力候補で、ミシェル・クワン(米国)は期待薄としている」という話だが、いつもこの雑誌の予想にいささか憤慨させられるのだが、というのもとにかく日本をコバカにしたような予想が多くて嫌になるのだが、かえってそれで発奮するのか、ここ何回かの五輪は夏も冬も、日本勢は予想を上回る活躍を見せているのは間違いない。
 が、今回は別に違和感もなく腹も立たない。へえ、二つも取れそうなんだ、とむしろ思うのである。
 というか、いつもならもう少し話題になっていると思うんだが、今回という今回はものすごく盛り上がっていないような気がするが。やはり浅田真央を欠いた時点で大きく興味をそがれたのは間違いない。ジャンプ、スピード、どれをとっても昔の名前の人はさすがに最盛期を過ぎているし、すごい有望株の新人が出てきているという話もあまり聞かれないのは残念である。モーグルとかスノーボードというのは日本人選手はいい人がいるんだろうけれど、まあどうしてもまだまだ認知が浅い。
 結局、スキーがぜんぜんレベルに達していないからなあ、日本の場合。冬季五輪の花形というとやはりスキーでしょう。スケートなんてぐるぐるミズズマシみたいに回っているだけだ、とか言った馬鹿な知事がいましたが、しかし確かにスキーが弱いと目立たない。
 なんか、もう開幕間近なんだろうがねえ・・・。

2006年2月03日(金)
 堀江貴文はああいう顛末になったが、村上世彰のほうは今のところピンピンしている。そして、阪神電車のほうもますます買い増していよいよ発行株式の半数を抑える勢い。それにまた松坂屋のほうも、こんな有様だ。「名古屋の百貨店大手松坂屋に、全従業員の解雇や店舗閉鎖を含む経営戦略の見直しを非公式に打診していたことが2日、分かった。同社幹部は見直しについて「常識では到底考えられない」内容としている。村上ファンドは昨年末時点で松坂屋株式の5・46%を保有する筆頭株主になったことが、1月提出の大量保有報告書で明らかになったばかり。関係筋によると、打診は松坂屋の役員が昨年12月、表敬のため村上氏を訪ねた際、村上氏側から「松坂屋側の同意が得られれば」との前提付きでもちかけられた。松坂屋はこれを要望や提案とはみなさず、同意もしていないため、経営に直ちに影響することはないとみられる。村上氏側は、松坂屋の東京・銀座でのビル開発や土地などに興味を示した、という」(共同)というんだが、はっきりいってこいつこそハゲタカの中のハゲタカである。株主利益を、なんて唱えるといかにもみんなの利益のために言っているみたいに聞こえるが、別に、自分の利益を主張しているわけである。
 要するにあれかねえ。銀座店をつぶしてみんなクビにして売れってか? まあなんだかしらないが、村上の手をつけた企業は数々あるが、それを契機によくなった会社も確かにあるそうだが、かえって利益を減らした会社も多いと聞く。そりゃ、株主に還元しろ、配当しろと圧力を掛けられて泣く泣く配当増やしたら、はい、左様なら、と売り抜けて去ってしまうのだから、これははっきりいって暴力団がゆすりたかりをして、金を巻き上げて去っていくのと変わらない。
 もちろん、日本の経営者にうかつなところ、甘ったれたところがあることは百も承知である。しかし、それでこういう手合いと一緒になって変革だ、改革だ、と叫んでみても本人はあくまで自分の最大利益だけを考えているのだから、聞こえのいいスローガンに騙されないことだ。そもそも、若い世代はどう思っているか知らないが、甘っちょろいだらだらした社会だからこれまでなんとかみんなやってこれたのも日本の事実であって、みんながニートでもフリーターでも生きていかれるのも、そういう甘っちょろい社会で甘っちょろく、適度に美味い汁を吸ってきた世代があなた方のお父さんやお母さんだったりするから、その蓄財や持ち家、年金なんかで暮らしていけるんじゃないですか。
 全部、ぶっ壊すのは簡単だが、後は野となれ山となれなんだよね。そして、改革を唱えた人は気がつくとどこかに逃げ去ってしまっている。そりゃもう、日本国のリーダーたる某コイズミという人だって、そういう次第である。
 日本は今のままじゃ駄目だ、駄目だといってソリッドにしていけばいいんだ、という話になるとき、いつも思うのだが、自分はそれでどっちの立場なのか、ということ。
 私自身もそうだけど、結局、無用な人材、要らない人材が社会の9割だ、と宣告されてそれで嬉しいんだろうかしら、と。9月の選挙でも、どうしてもそのへんが理解できなかったねはっきりいって。
 ◇  ◇  ◇
 ま、そんなことはまあいいんで、ちょっとその問題の銀座松坂屋をのぞいてこようかな、と思っていたりする。なんでも「世界の腕時計博」というのをやっているそうだ。なんか珍しい時計でもあるんだろうか、と思うのである。http://www.matsuzakaya.co.jp/ginza/fair/m060131.html

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 時代は六本木ヒルズじゃないそうだ。急速にあれは勝ち組、じゃなくてただの傲慢な成金の下品な街、というイメージになってきているという(でも元々そうじゃないの、なにを今頃気付いたわけ)。なにしろソフトバンクが六本木ヒルズから移転すると言い出したそうだ。「ヒルズ族という言葉で一緒にされたくない」のだそうである。しかし、今度は原宿に「表参道ヒルズ」である。こないだ原宿に行ったときに、ほぼ完成した状態の表参道ヒルズの外観を見たがなかなかのスケール。六本木のように無駄に背が高くなくていい。これからはヒルズといったら表参道、となるかもしれない。http://www.omotesandohills.com/


2006年2月02日(木)
 なんでもオリコンの調査でラブソングの人気投票というのをやったところ、一位はレミオロメンの「粉雪」だったという。なんじゃそりゃ、という方も多かろう。私は一応、レミオロメンなるバンドがあることも「粉雪」なる曲がテレビドラマ(1リットルの涙でしたか)のテーマ曲になって売れていることも、話としては知っていた。が、知っているというだけで今に至るまで聞いたことがない。
 ヒット曲、といったところで要するにごく限られた人が知っているだけ、という状況になって久しい。これは私の経験的なものだが、若いうちはなんかこう、BGMというものを欲するのではないか、人生に。まあ20代の前半ぐらいまでは私もBGMというものは結構必要としていたように思う。ウオークマンも持っていた。が、30ぐらいからか、もうほとんど音楽というものを聞かなくなったのは確かである。
 なんというのか、自分の頭の中で自分のBGMというのが流れていることはあるが、そういう場合は外の音楽は非常に邪魔である。
 結局、自分のリズムというのが確立すると、他人の演奏が邪魔になるらしい。そもそも私は音楽というものはリズム隊で聞く方である。ドラムスが気に入らないと聞く気にならないのである。
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 流行っていたけど知らなかった、といえばタカラの「ウォーキービッツ」という玩具がある。これも知らない人は知るまい。http://www.takaratoys.co.jp/walkiebits/
 少し前の産経新聞によると「タカラが販売するカメのおもちゃ「ウォーキービッツ」が米誌タイムの「2005年最も優れた発明品」でロボット部門の優秀発明品に選ばれた。14日発売の同誌に発表された。タカラの受賞は、02年の犬語翻訳機「バウリンガル」に次いで2度目。5センチほどの大きさで、背中の甲羅を押すと歩き出すのが特徴。一定のリズムで甲羅を押すと、そのリズムに合わせた歩き方したり、音楽が流れたりする。カメはペットとして人気が急上昇しており、今年6月の発売から10万個を出荷している。タカラでは「小さいながら高機能で幸福の象徴でもある。カメのかわいさが評価されたのでは」と話している。価格は1344円」ということだが、先日、近所の模型店になぜか一個だけこれが置いてあって、なんとなくうちの母親から「カメの玩具が流行っているらしい」という話を聞いていたので、買ってみたのである。
 が、なんか確かにかわいいのな。うちにはホンモノのカメ(推定年齢25歳にもなる)もいるんだが、この玩具もなかなか面白いのである。よちよち歩くのが確かにかわいい。
 というか、カメはペットとして人気が急上昇、してるんですか。知りませんでした。
 で、昨日、銀座の松屋百貨店に行った折に玩具コーナーに寄って「タカラのカメは?」と聞くと「あ、あれはないんです。入荷してもすぐに売り切れちゃって」と即答された。なんだ、本当に手に入らないのか。じゃあ近所の模型店にあったのは奇跡だったらしい。
 そういえば、そこのお店はなんでも定価より安い設定なのに、そのウォーキービッツは確か2000円以上した。さっきの産経の記事には1300円とある。店頭ですでに値上がりしているのか(後で聞いてみると、うちが買ったのは「着せ替え甲羅」がいっぱい入っている豪華セットだったらしい。普通はカメ単体で1300円だから、いろいろセットで2000円はやっぱり安いようであった)。
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 その松屋というのは、なんか催事場で物産展みたいなものをやっているので見にいったのだがお目当ては、あの予約が取れないレストラン「ラ・ベットラ」の出店である。前にもこういう企画があったときに行ってみたので、また行ってみた。うまかったね。これも流行りものなんかもしれないが、うまいものは年齢性別関係なく分かるからいいやね。


2006年2月01日(水)
わはははは。大笑いである。「ライブドアのせいで大損ーー。中学生や高校生がつづるブログ(日記風サイト)には、悲鳴にも似た書き込みが続く。単価が安く、初心者が手を出しやすかったライブドア株。証券取引法違反事件の摘発による暴落は、未成年の投資家にも影響を及ぼしている。ライブドア株10株を購入した東京都足立区の高校1年後藤卓也さん(16)の含み損は31日現在、約6000円。当分は様子を見るつもりだという」(共同通信)ってえんだがなに、この後藤さんは700円ぐらいの株を10株、7000円ぐらいで買ったとして、今日現在は100円割れだそうだから、6000円の含み損、ということかしら。ということは年末のお小遣いでいちばん高い時に買ったな。かわいそうに・・・。
 どこのネット証券会社も何十万口座も持っているけれど、こういう未成年の中学、高校生の口座も多かろう。まあ「お小遣い口座」である。はっきりいって、ちょっとどこのものでもいい、スクリーニングという機能で買える株式を低位から探してみると、一株あたりの値段と取引単位で考えて、おおむね2万円以下で買えるものは20銘柄ぐらいしかない。その中で順調に伸びているといったらこれまでライブドア系の銘柄だったから、手を出した人が多いのは当然。これがたとえば10万円以下、となると一挙に200銘柄以上出てきて、たとえばフジテレビとライブドアの騒動で有名になった北尾氏のSBI(ソフトバンクインベストメント)なんてものも一株だけなら7万円台で買える(今日現在)。名のある大企業の株となれば少なくとも50万とか100万とかないとまともに買えず、とても生計を持っていない子供が扱えるものじゃない。
 中高生のお財布がわりというならせいぜいまあ、自由になる資金は5万円以下であろうから、ホリエモンの銘柄は貴重だったわけ。そういうマネー教育的な部分というか、教材としてはいい銘柄だった。そのうえに、経済犯罪の結果と株取引の恐ろしさ、というところまで教えてくれたんだとしたら、ライブドアの教育効果はきわめて高かった。素晴らしい教訓を残したのじゃないか、子供たちに。大人になっても非常にいい投資家に育つんじゃあるまいか。
 とはいえ、ほかにこのぐらいの値段でしかも順調に伸びている株式銘柄もなく、無茶な百分割とかいうのはできなくなったわけだが、こういう「入門編」株式というものも、市場には必要かも知れない。
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 と思えば、オリジン弁当、というかオリジン東秀とドン・キホーテの争いというのもにわかにホワイトナイトのイオンが出てきて、これがまた俄然面白くなったと言ったら当事者には申し訳ないが、片思いのTOB合戦というのは日本初である、オリジン株を持っている人は悩みどころであろう。大いに株価は上がっているのだが・・・。村上ファンドとか堀江のようなあくまで投機的としか見えない連中のとは違って、ドンキはオリジンに総菜を作らせて自分らは雑貨を扱い、コンビニ形態になりたいということらしい。イオンはオリジンに泣きつかれたということらしいが、もちろん、こちらが優良な総菜チェーンを参加に入れれば業態から見てプラスが大きいのは分かる。要するに、オリジンというのが評価が高い、ということである。
 昨年、うちの母親が長期入院した時に、父親がさんざんオリジン弁当さんのお世話になったように聞いている。けっこう、今日はなにを食べようかな、なんて楽しみにしていたようである。私としては、望んでいない男に強引に結婚させられるような結末は見たくないものであるが、ドンキのファンというのもいるであろうから。
 しかし、このドン・キホーテというのもいろいろ、問題、トラブルの多い会社ですよね正直申しまして。なんでこの会社をドンキと略するのかも謎だ。どうしてもドンキ・ホーテかと思ってしまうではないか。もっとも、ミスドでもってミスタード・ナッツだと思う人もいないからいいのか。関西ではマクドというあのバーガーチェーンもマクド・ナルドだとは誰も思っていないか。
 とにかく、去年の秋に100株17万円ぐらいでオリジン東秀を買った人が今でも持っていたなら、今日現在31万円になっている。
 という意味でそう高いわけじゃないが、中高生のお小遣いで買うにはやはりちょっと高い買い物だろう。
 

2006年1月31日(火)
おおおお、もう1月も終わりじゃないですか。またこうして無為に1年が終わってしまいます・・・って気が早いか。
 なんか国会のほうがにわかに揉めておりますね。特に中川農相はピンチですな。それから防衛施設庁の談合もまだまだごたつきそうであります。
 ヒューザーはアホな訴訟起こす一方で自分は破産訴訟起こされ。とことんアホらし。堀江のところの女性税理士もあれこれしゃべっていていろいろありとかなんとか。たとえば子会社から水増し請求で黒字粉飾なんて、たとえば私の家で、私の一ヶ月のお小遣いをいったん貰い、それを家計に返還して、我が家の一ヶ月の収入はこんなに大きくなりました、みたいな話である。簿記を習ってる人なら一目でいんちきだと思うであろう。そういうのをプロがやってしゃあしゃあしてたんだから・・・。
 なんか他人事な感じ? すみません、今日は公休なもんで私も弛緩しております。
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 たいした話題もありませんが、ディアゴスティーニという、毎週少しずつ冊子を出版してそろえると百科事典になります、みたいな分冊出版専門の出版社があります。よくある「毎週ちょっとずつ部品をそろえて戦艦大和を作ろう」とか「帆船を作ろう」とかいうあれですね。で、前には「世界の100人」なんてのを出していて私はあれ、全巻そえろえました。「ワールド・ウエポン」なんてのもそろえましたね。
 で、世界の100人というのは第一巻がケネディ、第二巻がヒトラー・・・という具合でしたが、今度は「日本の100人」というのを始めた。その第一巻はやはりというか思ったとおりというか、織田信長です。ついで第二巻は坂本竜馬、ということで日本の歴史人物の人気者一位、二位候補が早くも登場、です。
 その第一巻の信長を買って見ましたが、なかなか面白いですね。なにより、マニアには知られているけれど一般にはあまり流通していない「三宝寺の信長肖像」を大きくフィーチャーしているのが見物です。http://www3.omn.ne.jp/~nishiki/sanpoji.htm案外、許諾がなかなかでないのか、イメージが壊れるのがまずいのか。有名な信長一周忌の長興寺の肖像が広く出回っています。それで思い出しますがかなり前にどこかの民放ドラマで、若き松平元康(後の徳川家康)が現代にタイムスリップするという設定の戦国自衛隊とは逆のような設定のものがありました。元康役はなんとキムタクだったのですが、その現代にやって来た家康が、信長の有名な肖像を見て「これが信長? 似ていない。もっと目つきの鋭い男だ」などと呟くシーンが印象的だったので妙に記憶に残っています。が、考えて見ますとその長興寺の肖像というのは本能寺の変の後で描いたもので今で言えば葬式用の写真ですから、大人しい、ちょっと哀しげな雰囲気なのは当然なわけです。ぎらぎらした時代のリアリティーというと、この山形・三宝寺のものに勝るものはあありません。信長らしいというか、宣教師が描いた洋風のスケッチできわめて写実的です。信長の次男・信雄の子孫の天童藩に伝わったものだそうですが、すごいものが現在まで残っているものです。
 写実的な肖像画というと、ミカドの肖像で有名なキヨッソーネの「明治天皇肖像」「西郷隆盛肖像」がありますが、さすがに安土桃山時代の絵、というのは驚かされます。なるほどこの覇気満々たる男なら第六天魔王と呼ばれるにふさわしい、と思われます。ほかにも朝倉宗滴の逸話、最近の説による長篠合戦の真実など、ちょっとしたトリビアネタをうまく盛り込んで、コンパクトながら、かなりマニアでも納得できそうなつくりです。
 いろいろほかにもこのシリーズ、今までに流通している肖像画が違うらしいということで、信玄、尊氏、頼朝などの肖像が一番有名なものからほかのものに差し替えになっております。それだけでもなかなか興味深いかもしれません。
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 もう一つ、最近買った冊子で「日本軍人列伝」(宝島社)というのがありまして、これも案外に面白いアプローチでまとめていて好感を持ちました。たとえば旧陸海軍の「軍人」の筆頭としていきなり昭和天皇を取り上げるなど、かなり大胆な姿勢です。以下、山本五十六のような人気者、辻政信や牟田口廉也、石井四郎のような悪名高い人、2・26事件の安藤輝三、さらに戦争で左腕を失ったことで知られる漫画家・水木しげるの興味深いインタビューまで112ページの冊子ながらなかなかうまくまとまっております。いわゆる名将列伝とは違い、編集の視点が面白いのです。多少、「召集」を「招集」と表記していたり、一部で連合艦隊司令官、とか舞鶴鎮守府司令官(正しくは司令長官でしょう)などとあったり引っかかりもありますが、総じてコンパクトに問題点を摘出してよく書けています。
 この中のトリビアを一つ。板垣征四郎の項目で「当時、満州で歯科医だった小沢開作は、生まれてきた三男に板垣(征四郎・陸軍大将)と石原(莞爾・陸軍中将)の名前を借りて「征爾」と名づけている。後の世界的指揮者、小沢征爾である」。ご存知でした?


2006年1月29日(日)
 世の中、困った人というのもいて、例の東横インの違法改造事件にからんで、東急インに抗議の電話をしてくる馬鹿な人がいるという。それどころか、なんか偽装とか違法と聞いて、ヒューザーなんかの話とごっちゃにしている人までいるとか。
 困ったもんですけど、ちょっと前まで「政治とか経済とか、よくわかんなーい」と舌足らずで言ってれば、世の中それでいい、という風潮があったが近頃は急に変わってきたよな。それはやはりネットの効用の部分か。「知らない」とよく考えないでいうことは恥となってきたよね。だって、ちょっと「魔法の箱」で検索すれば、おおづかみな情報は得られるのだから。
 たとえばパレスチナの選挙で過激派のハマスが勝った。そんなこと、日本には関係ないし自分には関係ないし、なんて言っている人は、これからの時代はダメ。「ハマスが勝つと日本国が破産する」というぐらいに想像できないといけない。これは無理な「風が吹くと桶屋が」みたいな落語ネタとは言い切れない。ハマスが勝つ、すると中東情勢が緊迫する、石油価格が上がる、日本のCPI(消費者物価)が上がる、デフレ脱却に向かう、日銀の量的緩和政策解除が早まる、金利が上がる、国債の償還が厳しくなる、日本国の破綻が早まる、というような連鎖はそれなりにあり得る。
 そこで唐突だが、ボリビアの大統領が自分の給与を半分にするという。自動的に副大統領以下の高官もそれ以下になる制度になっているそうだ。さらに大統領は国会議員にも給与の半減を呼びかけるという。この人は、同国で初めて先住民系から選ばれた人。自分の給与を半分にするところからはじめれば、役人も国民もことの重大さに気づく。そのぐらい経済が切迫していて破綻目前と言うことだ。
 そこで思うんだが、私は5年ほど前、小泉という男が出てきたとき、そのへんからやるのかと思った。やはりまずは自分の給与を大幅に減らす、そのうえで「ネクタイも買う金がないので」といってクールビズをはじめる。そういうところから手をつけて、閣僚も役人もみんな給与を半分にしましょう、ということからやるものとばかり、私は思っていた。なぜならそのぐらいに日本の状態は悪いからだが、事実上、破綻したアルゼンチンより今や悪いとすら言うんだが、あいつは結局、オペラ見たり、ワイン飲んだりしているだけだった。
 あの男が9月に退陣するのはほとんど間違いないと思うが、それは欲がないのでは決してない。まもなくものすごく難しくなるので、逃げ出すなら今のうち、なのである。
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 ソニーの決算発表で、テレビとかエレクトロニクス部門は好調だったが、映画部門はきわめて悪かった、と言われた。名指しで「こけた映画」とされていたのが、発表資料によると「ザスーラ」と、この間我が家が見た「ザ・レジェンド・オブ・ゾロ」である。まあどっちも「なんでこんなに時間がたつのに今更続編なの?」と思われたのは間違いない。ゾロだってうちはバンデラスのファンだから見たので、そうでないとどうだろうか、と思う確かに。
 それでまたふと思い出した。チャーリー・シーンというスターがいましたよね、80年代に。同じ頃のスターのトム・クルーズは近頃は人気低下気味だけどとにかく生き残っています。あっちはその後、どうなったんですかね。というのは、近頃のホリエモンがらみの話でマネーゲームで浮かれていた80年代のアメリカ、といえば「ウォール街」なんて映画があったよな、と思い出したからである。
 このところ、堀江というのはエンロンとか5,6年前のアメリカの手法、と私は書いたが、さらに識者によれば、かれこれ20年も前のアメリカ経済停滞期(そのころ日本は絶頂期であった)の、ミルケンとかボースキーとか、ソロスとか、金の亡者みたいな連中の手口というのがつまり堀江、というか堀江のネタ元らしい村上の原点だろう、という。若き起業家が大企業をM&Aで乗っ取って大成功、みたいな話はそのころ続出したわけだ。
 で、そのボースキーとかミルケンとかいう連中はほとんど逮捕されたのである。ほとんどの者がまあ、ユダヤ系であったとも聞く。まあ良くも悪くも、えげつないのは確かである。で、この連中を牢屋に送った担当検事というのが、後のニューヨーク市長、ジュリアーニである。彼はこれで男を上げてイタリア系の星となり、さらに15年ほどたって9/11テロでの対処でまた男を上げた。
 堀江を逮捕した東京地検の担当者はその後、いい報いがあるかしら。とにかく、ジュリアーニはそうやって生き残ったけれど、「若手起業家」は没落して、チャーリー・シーンも消えたのであった。エンロンなんかは、しばらくたってみんなが忘れた頃だろう、と思って古い手をより巧妙にリバイバルしたというのが正解みたいである。
 日本と来たら、本当に何年遅れているんだろう・・・。無理もない、20年前には「もうアメリカに学ぶことなどない」なんて言っていたのだから。
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 私のサイトを見に来られる方・・・まあ、おおむね平均して200〜300人ぐらいは毎日いらっしゃるのだけど、私は私人という肩書でやってますが、あまり詩人の人がうちのサイトを見ているとは思えない。だって詩だの文学だのの話って、年に何回も書かないですからね。
 がまあ、ちょっと今日届いた「現代詩手帖」という雑誌を見ていて・・・詩人以外の方のために説明すれば、一応、詩の業界じゃいちばん権威のある商業誌である。が、はっきりいってしまって関係ない人が見れば、詩人仲間の同人誌のようにしか見えないだろうとは思う。私も近頃まるでご無沙汰だが、まあ何度か寄稿したことはある。
 その最新号の対談で「グローバリズムの時代に詩が担う役割は」というのがあった。まだ中身を良く読んでいないのだけど、笑った。グローバリズムというのは基本的に経済の問題である。また文化様式の問題としては、普遍性のないものは要らない、という主義である。要するに日本語の詩などいちばん無用なものの筆頭である。それ以上に何か言うべきことがあるのか、である。
 だから担う役割なんてないのである。いうならば、「日本語の詩を書く者は反グローバリズムでなければいけない」ということである。もちろん外国語堪能で世界的に活動していますという「詩人」はいるにはいるだろうが、それで自分の日本語の詩が外国で流通するわけではなく、翻訳したとたんにもはやそれは日本文学じゃない。その国の流通市場の商品である。日本の詩に、それほどの強靱さがアルかどうか、だけが問題であろう。しかしそれはだから、なにかの役割を担うなんてことじゃない。アクセスできるか、できないかという問題であって、共存できるわけではないのである。
 そんなことなら、日本の産業界がはじめた「新日本様式協議会」なんて話のほうが分かりやすい。日本の伝統様式をいかにこの時代に情報発信できる形にするか、という試みだそうである。
 日本の詩人団体がたとえばこういう協議会に参加することなんてあり得るだろうか。無理であろう。流通力がないものは情報発信する資格がはじめからなかったりする。


2006年1月28日(土)
ほらほら、まーたですよ。「名前だけの小泉改革」パート・・・いくつかな。「国会議員互助年金(議員年金)廃止に向け、納付金の返還と年金受給が選べる「選択制」を盛り込んだ与党の議員年金廃止法案が二十七日、衆院議院運営委員会で採決され、賛成多数で可決された。・・・財産権の問題も絡み、「廃止」とは呼べない内容となった。・・・在職十年以上の現職は「返還」を選ばなければ、年金は支給される。現職議員全員が廃止対象になっていた民主党案に比べ生ぬるい」(産経)のだそうである。「しかも、議員からの納付金がなくなれば、年金はすべて国税から支給されることになる。さらに、自民党内では、在職十年未満で、年金廃止対象となる議員の声に配慮して、共済年金や厚生年金への加入のほか、退職金制度の創設を求める動きが活発化している。・・・退職金制度が導入されれば、かなりの割合を税金で賄う可能性が高く、「議員年金を廃止しても実態は変わらない」(民主党若手)ことになる」(同)ということで、国会議員だけは小泉の言う「痛み」とは無縁ということらしい。
 このアホどもに狂喜乱舞して「改革・改革」と連呼して投票した知能指数の低い「有権者ども」は率先して税金をたくさん払ってもらいたいものである。
 ◇  ◇  ◇
 なんでもチーズが値上がりするらしいですな。「雪印乳業と明治乳業がそれぞれ2月と3月に10%近い値上げに踏み切る。六甲バター(神戸市)も2月に平均7・1%引き上げ、消費者には痛手となる。原料の輸入チーズの価格が世界的に高騰、さらに円安、原油高による包装資材のコスト増という「三重苦」に各社が見舞われているためだ。チーズ原料の高騰の背景には、経済発展の続く中国やインド、ロシアで乳製品需要が急増したことがある。「中国やアジアの洋風化も影響している」(六甲バター)。主要産地のオセアニアが2002年からの干ばつによって乳牛が減ったことも重なり「オーストラリア産原料はこの2年で40%も値上がり。企業努力ではカバーできなくなった」(雪印)という」(河北新報)というようなことだが、基本的に、中国で洋食を、というかピザとかハンバーガーを大量に食うようになってきたのがひとつの原因であるそうである。
 これから10億人を超える人口が、少しでも早く今の「先進国」に近づいておこうと贅沢三昧にふけっていくはずである。グローバリズムとは、要するに先進国の中流以下の人間が途上国の人間に仕事を奪われて貧しくなる一方で、途上国が全般に生活レベルを上げて行って世界中の中流以下の人間の生活水準が平準化することを意味する。
 もっとかんたんいえば、これからは徐々に人種国籍に関係なく、金持ちと貧民の二種類だけに世界中がなっていく、ということである。
 今、先進国の人々が本当に望むべきことは・・・実はソ連邦を再生してもう一度冷戦を始めてもらうことではないか。先進国、共産国、途上国の三つに世界が分かれている状況は非常に居心地がよかった。テロも目立たなかった。格の恐怖に怯えていたといっても、実際には核戦争は起きなかった。むしろ今の状況のほうが核拡散して不安定である。
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 ところで村上ファンドというのはなにもないのかねえ。堀江の師匠というのは村上なわけでしょう。

2006年1月27日(金)
 ゼネラル・モーターズといえばなんといっても世界最大の自動車会社でかつてはみんなの憧れ、という時代もあった。というのに「GMが26日発表した05年12月期決算は、最終損益が約9900億円の大幅赤字となった。ガソリン高や日本車の攻勢を受けた北米での販売低迷が響き、経営危機に直面した92年以来、13年ぶりの年間赤字に転落した。市場ではGM破たん観測も浮上している」(毎日新聞)というていたらくである。
 いやほんとうに、破綻してしまうかもしれない。日米貿易摩擦盛んな頃ならいろいろ問題になっただろうが、今時のアメリカじゃ自動車産業なんてあまり問題にしていない。結局、見捨てられているのだろう。ブッシュなんて人が土地とか金とか石油とか言う発想に傾く人物で、昔の封建領主のような人だから、というのもあるのか。
 GMは何年か前に軍需部門をジェネラル・ダイナミックスに譲渡したんだけど、そのジェネラル・ダイナミックスといえばM1戦車とかF16戦闘機とかのメーカー。ところがその名門ジェネラル・ダイナミックスがまた今やロッキード・マーチンに吸収されている。
 戦争好きの大統領の下ゆえ軍需産業は安泰なのかというとさにあらず。再編は進むのである。軍需部門を手放した時点でGMは蚊帳の外なんじゃなかろうか。その気になればどんな汚い手でも強硬手段でも使うあの国が、ほったらかしているのだから、かなりもうどうでもいいのかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 とにかく決算発表やら業績見通しやらがぽつぽつ出る時期となった。巨艦GMの没落の記事と並んで、ここしばらくやはり凋落の色が強かったソニーのひさびさの好決算、というのも出ていましたね。「ソニー(6758)は26日、2006年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比57%減の700億円となる見通しだと発表した。100億円の赤字予想から一転して黒字予想となった。記者会見した大根田伸行CFO(最高財務責任者)は「テレビやパソコンなどのエレクトロニクス分野が好調だったのに加え、為替が予想より円安で推移したことや株式市場が好調だったことも貢献した」(日経)と語ったというんだが、液晶テレビ「ブラビア」がなんといってもよく売れたという。
 というか、別の発表に拠れば昨年はついにブラウン管テレビより液晶などの薄型テレビのシェアが上回ったとも言う。
 ふーん。相当にどこもかしこも薄型にしたのね。で、ソニーもようやく参戦したブラビアがけっこう売れてくれたわけね。でもあれですよ、なんかブラウン管時代のソニー=名門というイメージに引きずられて買う人もいるんだろうが、・・・ブランド力というのは今もってすごいですね。しかし心臓部は韓国サムスン製じゃないんですか、今のソニー。だからいかんということじゃないけれど、昔のイメージでは見ないほうがよろしい。
 ここもほんの5,6年前には就職したい企業ナンバーワンでしたけどね。いつも思うんだがああいう調査で学生さんたちが答える企業名を見ていると、・・・かわいそうだけど、いかに学生さんなんてものが先を見る目がないか、とは思うね、社会に出てみると。
 うちはですね、いまもって薄型に変えません。もう10年選手のしょぼーいブラウン管を見てます。うちはケーブルテレビなんで例のアナログ放送打ち切りも関係なし。壊れるまで替えないつもりです、はい。
 必要がないのだからいらんです。世間の流れなど関係ありません。
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 流行を追わない私なので、また妙なものを買い込んでみた。今度は旧ソ連製の手巻き時計である。ロシア製ではない、旧ソ連製、である。ポレオット/ボストーク社の「コマンダスキー」というものである。http://www.rakuten.co.jp/katsuboya/150666/161066/まさに「指揮官時計」という意味だろう。旧ソ連軍で供給されていたモデルだという。なかなかに綺麗な時計で、ヘビーデューティで、しかも軍用時計なのにきらびやかですらある。バンドの皮革も非常になめらかで質がいい。旧ソ連といってやや疑問符もついたのだけど、現品を見るに素晴らしいものである。おそらく将校用なので出来が格段にいいのだろう。もう近頃はあまり出回っていないそうであるから、買うなら今が最後なのかもしれない。文字盤に・・・どうもT55か何かだと思う、ソ連戦車のイラストが描かれている。また赤い星がばっちり。黒い文字盤に非常に映えるのである。
 ちなみにこいつは私がメインで使うのじゃなく、妻用である(!)。実際しかし、案外に軍用時計と言いつつ、女性がしていてもおしゃれな感じである。変なブランド物まがいを無理してつけているよりよほどにクールじゃなかろうか。前に買ったドイツ製ハンハルトhttp://www.hanhart-japan.com/wrist-w/replika.html、ラコーhttp://www.bidders.co.jp/dap/sv/nor1?id=19481557&p=y#bodyとともに我が家の主力軍用時計(?)となるであろう・・・。


2006年1月26日(木)
前にも話題になりましたが、暴走族というのがいよいよ下火だそうであります。「昨年の全国の暴走族の構成員数は、一昨年から3725人(19・8%)減って1万5086人となり、ピークだった23年前の約3分の1になったことが26日、警察庁のまとめでわかった。・・・構成員数の減少について同庁では、道交法改正に加え若者の暴走族への関心が薄れたことが影響しているとみている。・・・大阪府警が02年に高校生214人を対象に行ったアンケートによると、暴走族に「あこがれる」と答えたのは、わずか3%だったのに対し、「ダサい、格好悪い」と「関心がない」が合わせて67%にのぼった。その反面、暴走族OBらが古いバイクを改造して集団暴走を繰り返す「旧車会」と称するグループは、全国35都府県で291団体に上る。こうしたグループは、30歳代を中心に数年前から増え始めており、昨年は86人が道交法違反(共同危険行為)容疑で逮捕されている」(読売新聞)というのですが、これ、近頃言うところの社会の変化にも沿っているのじゃないでしょうか。
 というのも、今現在の本当の若者、10代から20歳と言う人らはかえって現実的で勉強でも仕事でも人生観でも、はじめから日本経済が傾いている時代に生まれ育ったものだからしっかりしているのではないか。ゆとり教育なんてのも、かえって早くから問題視されていたのでむしろ対処を考えていると思う。それにこの人ら、徐々に人口減少していく中で、ちゃんとやっていけばむしろ「勝ち組候補」であると思われる。実際、今の世の中、どの分野でも10代から20歳前後ぐらいの若い人の活躍がむしろ目立つ。
 じゃあどこがへこんでいるのか。それは20後半から30、40ぐらいで若い頃には好景気を経験し、援助交際とかだらだらと親のすねかじりとかで楽をしてきた人、そして教育水準もどんどん低下していたのに気がつかないで放置されていた人。この人らが問題なんですよねおそらくこれからは。
 毎日、通勤電車に乗って働いているやつは馬鹿だ、なんて言っていた人たちですよ。へえへえ、どうせ私らは馬鹿でございます。だが、親がよほどの資産家じゃない限り絶対にお前ら、泣きを見るからな、と私はずっとずっと前から、それこそ10年以上も前から思っていたし、なんの影響力もないけれど書いてきたつもり。
 はっきりいって私らのころは教育水準は高かったのだよ、本当に。大学生協の書籍部にはごく平然とフーコーとかデリダの思想書がおいてあって、当時の値段で5000円も6000円もするのに飛ぶように売れていた。小説なんて余り誰も読んでいなかったね。もっと堅くて思想系の本を好んで読んでいた。もっとも私がロード・オブ・ザ・リングの原作「指輪物語」を愛読していたのもそのころ。そんなわけで、ここ数年、無理に出版社がひねり出してきた「学生作家」の書いていることがどうも面白くもなんともない。次元の低いつまらん男女の問題とか家族の問題とか他人に聞かせても意味のない悩み事ばかりでどこが問題なのかさっぱりわからなかったりする。バブル前後の統計で世界的に見ても一番といわれていた頃の学生なんだから。正直言わせてもらうが、東大の入学式を5、6年前に仕事で見たことがあるが・・・心からがっかりしたね。本当にこんな感じで東大生なわけ、という。こりゃあくまで直観だが、私らの頃と比較して同じ大学の学生でも2ランクぐらい下方修正してみないと駄目なんじゃないの。そう思った、本当に。
 しかしあれからまた数年立っているから、かえって近頃はまた雰囲気が違うかもしれないのである。自助努力はすすんでいると思われる。なにより勉強して将来に備えるのはダサいこと、みたいな空気が2000年ごろまであったと思う。そう、1990年ごろから2000年ごろの間、だ。ふざけていること、だらしないことがカッコイイとされるような価値観がこの時期の若い衆を覆ったと見ていた。
 この時期の空気を吸ってしまった人らはこれから大変なんだと思うね。
 ◇  ◇  ◇
 先の見通しということで、堀江の逮捕から急に、小泉政権のあり方というものについて疑義を呈するようなものの言い方が増えてきた。それは結構なことだが、またここで急ににわかに堀江叩きとか、小泉批判とかに走る向きには一言。私はね、みんながこぞってあいつらを応援していたときからずっと一貫して、あいつらの改革路線とか手法とか言うのはでたらめでいい加減でとんでもない、と言い続けてきたし書き続けてきた。そりゃもう何年も、である。だから私みたいなものには最近の展開は慶賀というか、やっと少しはみんなも目が見えてきたか、と思うが、またにわかによく分からないでけしからん、けしからんと叩いてまわる向きも目障りだね。
 だから小泉内閣でできたことがあるならひとつでも教えてもらいたいものですよ。なにが勝ち馬に乗れ、だ。自民党とかアメリカとかいう者が永遠に勝ち馬だという保証がどこにあるのさ。堀江で分かっただろう、そのへん。一夜でがらがらひっくり返るんだって。
 勝ち馬なんか考えるな。自分で考えろ、自分で!!
 ◇  ◇  ◇
 関係ない話を一つ。江戸時代には「藩」という言葉があったのかないのか、という話題で不毛な議論をしているアマチュア歴史研究家のサイトを見かけた。あほらしい。「藩」という言葉はあったにきまっている。ただ日常使うような言葉じゃなかったということだ。たとえばある大名の肖像画に「前○○藩主、羽林次将」なんて書いてあるのを見たことがある。後半の羽林次将というのは、唐名、つまり中国風の言い方だ。中納言・光圀を水戸黄門というのと同じで、近衛中将のことだ。同じようなことで、大名であることを中国風に言えば藩主、なのである。それは中納言を黄門、中将を次将と呼ぶのと同じで外国風の気取った言い方なんですよ。最近でも、大蔵大臣なんてのをアメリカ風に財務大臣と改称したじゃありませんか。そのほうがカッコイイ、という認識があったわけ。「藩」てのも普通に言えば国だったものを、気取って言うときの言葉。日常に使うと馬鹿にされたに違いない。



2006年1月25日(水)
とうとうライブドア株に「買い」が入ったそうで。つまり会社の資産価値よりも株が値下がりしたんですね(それもすごい話)。なんでも「25日午後の東京株式市場で、ライブドア株は1時53分に前日比21円安の155円で取引が成立した。強制捜査が始まって以来、7営業日ぶり。ライブドアは、株価急落が続いたため割安感が出ていることに加え、新経営陣が発足したことや、投資ファンドなどによる買収観測の浮上も、買い注文増加につながった。東京証券取引所は24日、ライブドア株の売買件数が急増してシステムで処理し切れなくなる恐れがあるとして、同社株の取引時間を午後1時半から3時までに限定する異例の措置を発表。25日から実施しているが、売買注文の受け付けは通常通り午前8時から始めた。一方、ライブドアと同じく監理ポストに移ったライブドアマーケティング株は引き続き売り注文が殺到、売買が成立しない状態が続いている。その他のグループ上場5社の株価は、ライブドアオートが上昇するなど売り買いが交錯した」(共同通信)ということで、まあ株取引に自信のある人、ベテランの人、資力のある人にはこたえられないマネーゲームの局面じゃないんですか。この後はなんにしても整理ポストに移ったとしても、普通一か月はそこでさらし者になるわけで、その間に細かく上がったり下がったりするので、デイトレーダーの皆さんには絶好のねらい目となる。もちろん、要するにライブドアの「亡骸8なきがら)」にたかってハゲタカのように儲けてやろう、という感じもあるんだけど、その会社自体がそもそもハゲタカなので、みんな大いに食い物にしてやるべきでしょう。
 とはいうものの、今から参戦する人はそれでいいけれど、これまでに、値段の高い頃にたくさん買ってしまった人としてはもはや取り返せない道理ですね。なにしろちょっと前まで700円を超えていたものが、今や150円である。缶ジュース一本である。そのへんのゲームで使うおもちゃの紙幣ほどの値打ちもなくなってしまったのである。今後、上がり下がりがあるといっても会社の値打ちから適正に見るとせいぜい180円だそうだから、それ以上に大きく上がることは期待できまい。
 ライブドアなんて既にどこのメディアでも「IT関連企業」つまりIT企業ではないと見なしておりまして、実質は投資会社である。本業のない会社である。はじめから亡霊みたいな亡骸みたいな会社だったといえますけど。
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 今日の報道ではどこのテレビでも「あんなに豪勢な生活をしていたホリエモンも、今日からは3畳一間」みたいなことで面白おかしく転落人生を語っている。堤さんのときもそうだった。テレビ局は、人々の嫉妬と低劣な感情を刺激するのである。
 が、テレビ朝日の朝の番組にはずっこけたね。堀江容疑者がよく出かけていたという渋谷の焼き肉店・・・そもそも焼き肉なんてしょせん、セルフサービスであるから高級といっても高がしれている、そこが紹介されて、「ええ、このお肉一枚で2000円ですか!」なんてリポーターが大げさに驚いて見せていたが、こっちが驚いちゃったね。一人二万円ぐらい使った、なんて紹介してたけど、それ、きわめて庶民の値段じゃない? 
 え、このお肉一枚で2万円ですか、とか5万円ですか、というんならまあ分かるけど。しかしそんなレベルのだって、けっこう普通の人でも食ってるんじゃないの、今時は。毎日は無理でも、月に一回とか半年に一回なら、そんなもん食えますもんね。
 もうちょっとそれなりのお店を見つけられなかったのかね、テレ朝さん。
 他局では、一機30億円の個人用ジェット機、なんてのも紹介していた。これじゃあニューヨークに直行できないので、もっと大きい60億円のものを注文中、なんて言っていたけれど、これも考えようじゃないの。仮にもジェット機なんだから。軍用機だと一機で何百億円だし。まあエグゼクティブだというならそのぐらいで驚かなくてもいいのではないか。
 車も「4台も持っていました」なんて言っていたけど、フェラーリのほかはそれほど目をむくような車じゃないしね。まあはっきりいって、月収1000万円とか言う人の割りにはむしろけちくさいですよ。Tシャツもああ見えても一枚何万円という高いもので、なんてつまらない話だこと。それやっぱりけちくさいですよ。何十万、なんて値段のものも世の中にはあるでしょう。
 なんか、本当にそんなレベルならけちくさい野郎だし、それともテレビ局がそれ以上、ネタが思いつかないのなら調査不足だし。
 まあとにかく。何よりも拘置所じゃネットが出来ない。いちばんこたえるのはそういうことじゃないですか、ああいう人間には。
 
 

2006年1月24日(火)
今、午後5過ぎだが、堀江貴文容疑者がライブドア社長を辞職するようである。これで彼の肩書きは天下晴れて容疑者のみである。
 自民党がなかなか「あいつを選挙に立てて準公認にして応援したのは率直に間違いでございました」と言わないのだが、早く言え。人選ミスであることは間違いない。
 ◇  ◇  ◇
 読売新聞によれば「ライブドアグループの証券取引法違反事件で、関連会社・・・株の高値売り抜けに、海外のプライベートバンクの口座や、タックスヘイブン(租税回避地)に本店登記した会社などが利用されていたことが、関係者の話で分かった。・・・関係者によると、約7億円をライブドアに還流させる過程で利用されたのが、スイス系のプライベートバンクや、タックスヘイブンの英領バージン諸島に本店のある会社、香港の証券会社などだった。プライベートバンクは個人資産家の財産を総合的に管理するのが主な業務で、特にスイス系の金融機関は、匿名性が高いとされる。捜査機関の口座照会を拒むこともあり、指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融グループによる事件など、犯罪収益のマネーロンダリングに悪用されるケースも多い。また、タックスヘイブンは、法人税の免税などの優遇措置があり、ペーパーカンパニーの設立も容易で情報も秘匿されやすい・・・堀江容疑者らは資金還流の過程を隠ぺいしようとしたとみて、解明を進めている」なんて話も出てきた。
 いろいろ「知りませんでした」とか言い訳しているようだが、タックスへイブンで資金洗浄なんてのは基本的に暴力団がやること。やましいところがなければこんなことはするまいよ。
 堀江容疑者。いい響きである。
 オウム事件なんかと同じで、知りませんでした、なんて言い訳は通るまい。そもそも順法という意識はなかった連中だと思うので、知っているも知らないもないと思う。おそらくはこれだけ大物になって選挙まで出て、時価総額も大きくなったのだから、少々なにがあっても捕まらないだろう、という高のくくりかたがあったのじゃないか。
 西部の堤氏とか、カネボウの帆足氏とか、経済犯罪にかかわった人らというのは、みんなそれぞれ「若き改革者」と呼ばれた時期のある人である。
 持ち上げすぎた、ということだ。明らかに。一人の天才に世の中、変えてもらおうという意識はいい加減に捨てたいものである。
 ◇  ◇  ◇
 ところで、堀江が逮捕されている間、私はのんきに「レジェンド・オブ・ゾロ」なんて映画を見ていた。つまり会社は公休だったのである。ラッキーでした。
 マスク・オブ・ゾロから7年近くたっての続編だが、この間に無名の新人だったキャサリン・ゼタ・ジョーンズはすっかり大物になった。
 それを反映して、子供が出来て所帯じみてしまったゾロ、という設定なのだが、そのなんだか冴えない前半と、徐々に家族の絆と覇気を取り戻していく後半が上手に描かれていて面白い。演出の冴えを感じる。
 監督は007なんかもてがけているので、なんとなくボンド映画のような雰囲気もある。
 まあとにかく、痛快、面白い。そのへんは見てのお楽しみだが、興味深いのはアメリカ南北戦争を誘発して、アメリカ合衆国を瓦解させてしまおう、というヨーロッパの秘密結社が出てくるんですね。そのへんは深い意味があるわけじゃないのだろうが、やはり9・11以後の設定、というのを感じる。その親玉はフランス出身のアルマン伯爵というんだが、はっきりいってゾロ夫妻の活躍に胸躍らせながらも、何となく私はアルマンを応援していたのである。「アルマン頑張れ、アメリカを倒せ」てかんじで。
 アメリカがここで分裂していればスーパーパワーではなく、後の二つの世界大戦もまったく違う結果に・・・いや、ことに日本については黒船来航も太平洋戦争もなかったかもしれないのである。
 それにしても、アントニオ・バンデラスの夫人はメラニー・グリフィス。キャサリン・ゼタ・ジョーンズの夫はマイケル・ダグラスである。
 グリフィスとダグラスは、夫婦役で「嵐の中で輝いて」という非常によくできた第二次大戦もの映画に出ていた。
 世の中狭いものである・・・。
 
 




2006年1月23日(月)
なんでも産経新聞に拠れば「昨年の衆院選でライブドアの堀江貴文社長を自民党が支援した責任をめぐって、武部勤幹事長への風圧が高まっている。武部氏は二十二日、和歌山県みなべ町で講演、ライブドア事件について「本当にショックで残念極まりない。若い人たちの期待感を集めた堀江君のことだけに、本当に悔しい」と嘆いた。同時に、堀江氏が出馬前に民主党の岡田克也代表(当時)と会っていたと強調、「(堀江氏は)両てんびんにかけていた」と弁解も。この問題では、自民党内からも「カネがすべてという人を政界に招こうとしたのは事実。『間違えていた』と明確に言わなくてはいけない」(加藤紘一元幹事長)との批判が出ている」ということである。まあ当然であろう。
 実際、あの選挙で落選していて本当によかったんじゃなかろうか。
 私は前々から幾度かこういうところで、堀江氏の手法というのは新しいのではなくて、逆に古臭いのではないか、と書いてきた。つまりアメリカなんかじゃ時代遅れの手法を輸入して、本当に先を見ている人なら使わないような手を使ってきたのではないか。
 結局、その通りであったみたいである。ぜんぜん、新しい人種ではなかった。昔からよくいる守銭奴の一人であった。
 本当の社長は実は宮内氏のほうらしい。これは前から言われてきたこと。港陽監査法人なんてのもこの人のY高つらなりであろう。
 叩き上げでのし上がってきた宮内氏、私とは同じ年だが、今までのブログでは「もっと豪腕かましてやる。ジジイどもをぶちのめしてやる」みたいなことを放言してきたようだ。
 私は、社会の老害、というものに懸念を大いに抱くにんげんのひとりではあるが、しかし一方で、これから日本全体が老化するのにいちいち「若い者VSジジイ」という対立構図で語るのはむしろ時代遅れなんではないか、とも思い始めている。
 結局、ものの見方にはひとつの要素しかない。合理的で的確な判断であるか、そうでないか、だけである。その意見を言ったものの年齢も人種も性別も宗教も関係ない。老人の意見でも正しいものは正しく、若者の意見でも駄目なものは駄目である。それだけのことだ。
 いちいちそういう構図を描いて、たとえば「改革派VS守旧派」ということで煽り立てるやり方がことに昨年あたり横行した。まさにくだらないレッテル張りであって、ものごとをひとつの構図だけで描いて扇動するのはナチスのやり方だと知るべきである、日本の一般の人々は。
 結局、堀江さんたちというのも実は時代遅れの、三流どころの経済マフィアだったということである。あのあたりを仮初にも「勝ち組」だと思った人は浅はかで、本当に日本社会の勝ち組の人は、あんなに下品でもがつがつもしていないし、ビッグマウスでもなく、目立とうとはしないはずである。
 分かりやすいもの、を大衆は求めているというが、つまり分かりやすいもの、大衆向きのものというのは、まがいものである、と知っておくべきである。
 


2006年1月22日(日)
 「作家・小川洋子さんのベストセラー小説を映画化した「博士の愛した数式」が21日、初日を迎え、主演の寺尾聰(58)、吉岡秀隆(35)、深津絵里(32)らが都内で舞台あいさつを行った。徹夜組が登場し、立ち見の観客が40人以上出るほどの大入りに寺尾は「後ろのドアが閉まらないほどお越しいただいて、こんなに胸が熱くなったことは最近ない」と感激の表情」(サンスポ)という記事を見かけた。記憶が80分(でしたっけ?)しかもたなくなった数学者と家政婦の母子の交流という大筋のお話であるが・・・ところで、どういうわけかこのところ「記憶喪失もの」が流行っているように思う。「私の頭の中の消しゴム」なんてのもあった。テレビゲームの「フロントミッション5」というのもヒロインが特殊能力と引き換えに記憶を失っていく話である。
 結局、個人というものは「記憶」である、という真理に多くの人が思い当たったか。先行きが分からない競争社会のストレスの中で、なまじい「俺はオンリーワンだ」なんてスマップの歌に励まされても「オンリーワンってのはひとつの分野のナンバーワンのことだろう」とドラゴン桜のセンセイに怒鳴られてしまうと、急にしぼんでしまった。それでも、自分という「存在」の計量不可能な、つまり経済価値とか社会的地位じゃない部分の「かけがえのなさ」という哲学的な値打ちは確かにあるはずだ、とそれはどんなに自分が詰まらない人間であっても感じるもので、そのよりどころというのは、つまるところ「個人の記憶」にほかならないのである。
 どんな人の記憶であっても、それは絶対に他人とは取り替えがきかない。そこにみんなの気分が集まってくるのかもしれない。
 ◇  ◇  ◇
 そういう個人とか、民族とか、それぞれのかけがえのなさを無視してなんでも値段で測れるようにしよう、という感覚がある意味で単純きわまる粗雑なアメリカ人の頭に浮かんだグローバリズムであって、経済万能主義であった。
 ニューエコノミーなんていって、アラン・グリーンスパンですら「なぜアメリカ経済がこんなに好調なのか私にも分からない」と言ったほどの2000年前後、つまり今から5,6年前。あのころはアメリカは得意の絶頂にあった。ITと英語と軍事力で世界を征服できると本気で信じたのである。まさかこれほど早く、世界中が、途上国に至るまでファイバー網を張り巡らせて追いついてくるとは思っていなかった。英語なんてのも別に文学や哲学をやるんじゃない、ビジネスに使う程度の決まり文句さえ分かればいいだけのこと。9・11テロでぶちのめされ、さらにニューエコノミーが悪質なバブルの一種であることを2002年までに思い知らされて、アメリカはようやく目が覚めた。そして、イラク戦争の泥沼にはまって、カトリーナにまたぶちのめされて、ようやく大方のアメリカ人も馬鹿げた万能感とか根拠のない勝利感から目が醒めつつあると言う。
 2002年までに思い知らされた、ということの大きなものに「エンロン、ワールドコムの破綻」というのがあった。このへんも、お若い人はすでに知らないかもしれないので簡単に言えば、当時アメリカでも最大のエネルギー企業のエンロンが2001年末、最大のIT企業ワールドコムが2002年夏に相次いで破綻したのである。粉飾決算、規制の緩い投資組合による利益の付け替え、株式分割による株価上げ、と、どこかで聞いたようなことばかりやって急成長した両社だった。
 このことで衝撃を受けた米議会の対応は早く、企業改革法を2002年7月、つまりワールドコム破綻のその月のうちに成立させている。
 ◇  ◇  ◇
 ホリエモンが常々、ぼくは人が気がつかないことを少し早く気付いてやっているだけですと言っていたのは実は、5,6年前までアメリカで流行っていて、その後は禁止されているインチキ経営のやり方をまねしていた、ということである。5,6年前の洋楽のヒット曲を換骨奪胎すれば日本で流行る、というポップス界のやり方と同じである。
 しかし日本では、アメリカの実例を見ているのに金融庁なんてむしろ、違法じゃなきゃなにをやってもいい、という態度を取り続けてきた。企業改革法に当たる投資サービス法はやっと今国会に提出、施行は早くとも来年である。1か月で成立させたアメリカとのスピードの違いはなんだろうか。このこと一つ見ても、小泉改革なんて実は何にもやっていないことがわかる。一番大事な市場改革に手付かずだった、ただアメリカの5,6年遅れのことをやっている経済ヤクザみたいなものを「改革者だ」なんて持ち上げて、自分の党の準候補者にまでしたぐらいである。要はなんにもわかっていなかったんだろう。
 わかっていたのはひとり、東京地検だけか。検察ってやっぱり偉いと思う。
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 アメリカの粉飾決算ではアンダーセンが監査法人として命脈を絶たれた。それまでは飛ぶ鳥落とす勢いで、日本でもアンダーセンに勤めています、というとそれだけでなんだか値打ちがあるみたいな態度をとるものが多かった。が、粉飾事件の後、そういう粉飾に手を貸していたということでまるっきり駄目会社のレッテルを貼られた。
 ライブドアについても監査法人というのはあって、港陽監査法人というのだが、そもそもライブドアを上場企業に育てたのがいちばんの自慢という新興企業である。一蓮托生でどんな不正帳簿でも通していたに違いない。粉飾のアドバイスさえしたんじゃないか。
 というのもこの会社、検索してみると「ベンチャー企業のよきメンターでありたい」なんてPR文を書いているのである。馬鹿だ。みっともない。せめてこんな後は広告文をはずしておくべきである。メンターだって。じゃあ逮捕されない粉飾の指導をしてくれるんだろう。
 また監査のいい加減さ、そして監督官庁の怠慢・・・これまたどこかで聞いたような話である。そう、建築の世界である。

2006年1月21日(土)
深夜の二時ごろ、家に帰ってくるときにはまだまだ大丈夫でした。夜空はどんよりした曇天でしたが。が、新聞の工程スケジュールは大幅に繰り上げ。なにしろ「関東地方平野部でもかなりの大雪」という予報だったからです。
 そしたら、5時過ぎには本当に降ってきた、降ってきた。今、これを書いているのは昼の12時すぎですが、ものすごい降りかた。既に10センチは軽く超えているように見える。なんていうとほかの地方の方はお笑いになるでしょうが、・・・かくいう私も新潟や福井の豪雪地に住んだこともあるので、こんなささやかな降雪で騒ぐなという気分はなきにしもですが、しかし、なにしろ関東というのは地震が多い代わりといってはなんだが、雪はほとんどなし、という土地柄。特に暖冬傾向のここ数年は、年に一度か二度、ちらつくという程度のことが多い。積雪すること自体がかなり大変なことだったりします。だから、交通機関等もその年に一回か二回ののための備えは薄い。10センチ超の雪というともうかなり厳しい。まあ、いまのところはしかしなにもテレビじゃ言っていないが・・・ほとんどの人はお休みだからなあ。でも私は今日も出社しなければなりません。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、会社に行ったらもう、アメリカの牛肉のことで大騒ぎ。なんでそんなに騒ぐのかとも思うが、要するに約束違反、信義違反なんだよな。日本人というのは政治や軍事ではものすごくナイーブで自己主張も出来ないし、合理的な判断も出来ない駄目駄目な民族であることは間違いない。しかしこと「消費者」という立場に立つと、急に世界で一番てごわい人種となる。なんでなんだろうか・・・やはり「町人国家」なんですね。政治家や軍人の気質がもともと乏しい国なのである。だから背伸びして無理してやった戦争でこてんぱんにやられたのでしょう。
 読売新聞に拠れば「牛の脊柱が米国産牛肉から見つかった問題で、マイク・ジョハンズ米農務長官は20日、緊急記者会見し、混入の原因は米国の検査官が、日本向けの輸出基準を取り違えた米国側のミスだったことを認めて謝罪した。・・・「農務省の担当検査官が違反に気付くべきだった」と検査の不備を認め「事態を非常に深刻にとらえている」と遺憾の意を示した。・・・米国食肉協会(AMI)のパトリック・ボイル会長は20日の記者会見で「問題の牛肉は米国内では食用が認められている」と強調し、「1施設による1回だけの出荷だけで、日本政府が米国産牛肉を全面的に輸入禁止とするのは支持できない」と述べ、日本の措置は過剰反応だとの見方を示した」というjことで、要するにアメリカ国内向けの検査をしてしまった、ということ。で、食肉協会のボイルとか言う仁は、アメリカ人はこの肉を食っているのだから文句言うな、というんですね。なんかこういう反応が出てくると日本人というのは日ごろの屈折した思いを刺激されてむかつくので、こういう立場の人は言わないほうがいいと思うんだが。アメリカなんかじゃそうやって自己主張するのが正しいのだろうけど、日本じゃカスタマーに信頼されなくなったブランドはとにかく頭を低くしているしかない。理屈なんかないのですよ。日本の町人は、消費者という唯一、どんなにんげんにも保証された強い立場をここぞとばかりふりかざしたくなるのである。まして、「俺たち一等国のアメリカ人が食って平気な肉を、お前ら占領国の人間が文句言うなんて生意気だ、黙って宗主国のお下がりを食っていろ」というように聞こえると(ひがみでそう聞こえるんですよ、アメリカ人に言われると)本当に面白くない。
 政治的な理由で強引に再開したんだろう、というイメージがますます強くなるばかり。不思議に2006年に入って、去年までいけいけどんどんの「小泉流」というのが、なぜか潮目が変わっている、という印象もあります。
 ◇  ◇  ◇
 潮目が変わっているといえば、ライブドアもそう。その「いけいけどんどん」の象徴だったし、「捕まらない限りどんなことをしても構わないのだ」という感覚を蔓延させてきたひとつの文化の終わりの始まりかもしれません。
 小躍りしているのがおそらくフジテレビ。同じく読売に拠れば「12・75%出資しているフジテレビジョン首脳は20日夜、「株を買った以前に、ライブドアが違法なことをしているとは知らなかった。それで損害を受けるのは困るので、場合によっては補償を求めることもある」と述べ、保有するライブドア株が上場廃止などで損失を被れば、損害賠償などを要求することもあり得るとの考えを示した。・・・「投資で損をすることは当然ある。単に損をしたから補償を求めると言っているわけではない」としており、ライブドアが違法行為を行っていながら、意図的に隠していたとの疑念を示した」というのだが、まっとうな意見だと思う。もともとフジとライブドアの提携なんてほとんど進んでおらず、解消に向かうだろうというのが専らの観測だがこれもまた当然であろう。
 まあ結局、粉飾決算があったかどうか、それが誰の指示だったか、という点。粉飾があったんならそれはもう経済詐欺ですので、文句なく逮捕者が出て刑務所行きで、日本のエンロンとなる。会社そのものも解体するでしょう。セシールとかダイナシティとか、売るべき商材を持っている会社だけがどこかにまた売却されて存続するのじゃないか、という話も多いですが。
 「捕まらない限りなにをしてもいいし、手段を選ばない」「金さえあればなんでもできるんだ」と繰り返し唱えてきたホリエ氏。しかし金を失い捕まったら彼に何が残るんでしょうかしら。
 私は彼がそのような放言をしたことが昔から嫌いなのです。モラルがないことが嫌いなのじゃない。そういうあけすけなことを言ったり書いたリするのが嫌いである。それは馬鹿な信者に影響を与えるからである。本当に金儲けしたいだけの人なら、そういうことはホンネでは思っていても決して言わない。ヒトラーは「国民は馬鹿だ」と内輪では言っていたけど国民向けの演説では「皆さんは世界一、優秀な民族だ」とぶち上げた。堀江氏は「国民は馬鹿だ」と放言し続けて選挙まで出て、政治に庇ってもらえると思っていたようである。
 甘い、小泉流は放任政治である。君が支持した小泉自民党は、そういうときに世話を焼いてくれない政党である。昔の義理人情の自民党なら助けてくれるんですけど・・・君みたいな人種がそういう部分をぶち壊してしまった。
 あんなにいろいろ放言する堀江氏は、本当はやっぱり目だって、大物になって、威張りたいだけの人物だったのじゃないかしら。金がほしいだけ、というのなら村上さんのようにのらりくらりしているべきである。本心は言うべきではない。
 彼は馬鹿を騙せばやっていけると信じていたようである。野球参入の件でも馬鹿なファンと馬鹿な選手会を味方につけた。渡辺会長ら経営者を打倒すべきふるい権力というイメージで攻撃した。
 しかし今、冷静になってみれば、参入したのがライブドアじゃなくてソフトバンクと楽天で本当によかったではないか。ああなったらチームはまた放り出される。
 それに、チームを減らして1リーグにしたほうが結局正解なんじゃないか、今の野球なんてその程度のものじゃないか、という経営者たちの考え方のほうがよほど現実を見ていて正しいのじゃないか。
 「ドラゴン桜」に煽られて今年は東大受験生が多い。今頃、雪の中で試験に奮闘し手いる人も多いだろうが、しかし「世の中は頭のいいヤツが馬鹿を騙して成り立っている」というあの漫画の台詞は間違いないけれど、ひとちだけご注意申し上げておくが、自分は頭がいい側の人間だ、と信じていても、もっといい人間から見れば馬鹿の一人である、という事実である。東大中退・堀江貴文。手口を見ていれば実に初歩的な粉飾ばかりである。
 彼の人生、ここまですべて一種の粉飾である。背伸びである。実体のない詐欺である。
 この程度のまがい物を見抜けない人は、自分はよほどに馬鹿の側だと思えばよい。
 

2006年1月20日(金)
「ライブドアの関連会社株をめぐる証券取引法違反事件で、東京地検特捜部が約100台のパソコンを押収、約10万通の電子メールの解析を進めたところ、大量のメールが消去されていたことが19日、分かった。特捜部は・・・パソコン計約100台、電子メール約10万通などの電子データを押収した。ところが、特捜部がパソコンや記録媒体などの解析を進めるうちに、データが不自然に失われ、隠すために消去した痕跡が多数あることが判明。
メールは個人使用のパソコンから消されているケースがほとんどで、社内ネットワークのサーバーからデータが消去された形跡は見つかっていないという」(共同通信)のだって。
 これはあれですね、NHKのせいですね。
 つまり、あのライブドアに捜査が入った日、たまたまNHKを見ていた人だけが・・・もう4時すぎには「ライブドアに検察が家宅捜索」なんてのが流れてしまった。実はほかのマスコミは捜査に協力して黙っていたのだが、なぜかこの局だけはまだ捜索に着手していないのに「予報」を出してしまった。
 これが特ダネ、スクープで大手柄なのか、というとさにあらずで、実際に捜索に着手したのが6時すぎなので、ライブドアに2時間も余裕を与えることになってしまった。2時間もあればいろいろできますわな。
 激怒した検察はNHKを出入り禁止にしているらしいですね。当たり前だな。前に黒田清子さんの結婚に関しても、NHKだけが空撮をやって宮内庁から出入り禁止を食らっているようですが、すっかり威信失墜したNHKとしては、皆様の信頼を何とか回復するには特ダネを、と思っているのかもしれないがライブドアに関する話じゃ、こんなフライングをして誰が喜んだかといえば堀江社長であろうよ。
 私は近頃はNHKってのも国会中継ぐらいしか見ない。ニュースもケーブル局のニュースチャンネルしかほとんど見ないにんげんである。
 よけいなことをしくさって。ひょっとしてNHKの幹部でライブドアのシンパがいるんじゃあるまいか。
 東証の株価は昨日も今日も回復している。ライブドア関連以外はむしろどんどん上がっている模様である。ついでにいえば今のところセシールだけは関連会社でもいくらか買い気配のようである。一応、商品を売る、という実態がある会社だからだろう。金やら情報やらを扱っていますという会社は、そもそも信用以外に売り物がないから、こうなってしまえば存在そのものが否定される。
 とにかく検察には、見せしめとして二度と立ち直れないように止めを刺して欲しいと思うのである。ああいう人間は明らかに、世の中を悪くしているのである。
 そういえば大阪の岩井証券がライブドアと関連株の担保能力をゼロとして、つまりそれらの持ち株を担保にしている投資家に対しライブドア株は紙切れですよ、と通告した。これはマネックス証券についで二例目。
 最初に「引導を渡した」マネックス証券は、批判があるのに対して反論コメントを出しているようである。でまあ、私はむしろよくやったと思うね。株を持っている人は激怒したろうけれど。
 ◇  ◇  ◇
 ほかにも、主人公たちとは関係なくとばっちりで批判が集まっているもの、というのが世の中にある。ひとつは東証。なんで1日に400万約定ぐらいしか処理できないのか。アメリカのニューヨーク取引所なんて「1時間に3600万件」処理できるじゃないか、ということである。もうひとつは・・・小嶋社長の「補佐人」をやった鶴見弁護士という男のことである。

2006年1月19日(木)
 昨日はたまたま仕事が早く終わったので、ちょっと原宿まで足を伸ばしてみた。原宿なんてもう、たけのこ族が踊っていたような80年代ごろに行って以来、まったく足を向けたことがなかった。
 で、お目当てというのがドイツの靴メーカーさんの店がある、と知ってのこと。ドイツの靴といえば健康志向で人間工学を考えて設計されているということで、世界的に有名ですがそういう靴というのは、決しておしゃれじゃないという印象があった。しかし、90年代に出てきた新興ブランド「トリッペン」というのがなかなかデザイン的にもひとひねりあっておしゃれである、というのをネット情報で知ったのであります。
 私、いわゆるブランド物には全く興味がない。原宿に林立するグッチだろうがエルメスだろうが、正直にいいましてただでくれるとでも言われればもらうけど、というぐらいに値打ちを感じない。当節、あまりにも出回っているそれらの「ブランド」はもはや、かえってありふれたつまらない日用品のようにしか思えない。そんなもので上流気分を感じる人間なんてむしろゲスの田舎者なんじゃないだろうか、と思いますが。
 しかし、ドイツ製、という言葉にだけはかなり弱い。しかし実際にドイツ製品、確かに堅牢で落ち着いたデザインで、私の心を打つものがあるんですよ。時計も実用一点張りだけど機能美があるし、リモワのケースもとにかく頑丈で頼れる感じがする。
 かといって日本のもののようなマスプロダクツ臭はしない。不思議なものです。
 で、そのトリッペンですが、原宿通りをかなりどんどん行って・・・「あれ、通り過ぎたかな」と振り返ったところ、そのお店はありました。本当に間口の小さいかわいらしいお店ですが、ありましたねえ、これがトリッペンの靴か、と。
 で、さっそく穿いてみたのですが、土踏まずにしっかり内装が合ってくる感じで、既製品なのに実にきれいに収まる。甲高の日本人にはスマートなイタリア系のデザインより間違いなくこっちのほうが正解だろうと思います。ヒールは取替え可能で、10年はもちます、ということだそうで、決してお安いものじゃないが購入。というのも、ちょっと今まではいていた靴で足に合わないものがあり、痛めてしまったので・・・。
 なお近くには同じくドイツのブランド「ビルケンシュトック」も出店している。こっちは紳士用については割と普通の靴であった。まあここはむしろサンダルで有名なんだろう。
 その帰り、またふと立ち寄った服飾輸入品のお店「アンバー・コート」に入ってしまったのだが・・・なかなかこちらはお高いものだらけ。フランス製の一本1万6000円ぐらいのベルトとか、15万円ぐらいの靴とかがずらずら並んでいるが、目に留まったのがイギリス製のブーツ。とにかく堅牢そのものでしっかりしているので、どこのものかときけばスリッカーズ、でしたっけ。英王室御用達の靴屋さんですね。こりゃそれなりの値段だけど確かに見事である。
 それと、ツィメリだったかしら、なんとかいうスイスの下着メーカー。ロバート・デニーロとか英王室のメンバーとかが愛用している下着だそうである。パンツ一枚で9000円ぐらいするんだが、これもなかなか・・・。なんでもその会社、スイスで女性下着を作っていたけれどイマイチ人気が出ず、一念発起して女性用で培った繊細な技術で男性用の下着を始めたら馬鹿売れして、今じゃ男性下着専門なんだとか。
 でまあ、ふと私の目に留まったのが綺麗なクリスタルのカフス。tateossianというイギリスのブランドらしいのだがなんて読むんだ、テートオーシャン、か? こいつも決して安からぬ値段だったが、買ってみた。
 帰りに北海道レストランの「花火」という店に入ってみた。原宿に詳しい人には今更なんだろうが、テレビなんかでも紹介されたなかなか有名店なのらしい(もちろんそんなことは知りもしないが、店内のサインを見るとどうもそうらしい)。ここのジンギスカンがうまかったですね。あれはどこで食べたものよりうまかった。
 ま、そんな感じでちょっとおのぼり気分で原宿をぶらぶらしてみた。ふーん、なかなか面白いやんけ。しかし小遣いがなくならないように気をつけないと。ついつい欲しくなるものが出てきてしまうからなあ・・・。
 ◇  ◇  ◇
時事通信に拠れば「18日午後2時35分ごろ、那覇市安里のホテルの客室内で男性が血を流して倒れているのを、ホテルの従業員が見つけた。市内の病院に運ばれたが、死亡が確認された。男性はライブドアのグループ会社社長も務めたエイチ・エス証券の野口英昭副社長(38)。那覇署は自殺とみて状況などを調べている。エイチ・エス証券はライブドア関連会社の企業買収をめぐる証券取引法違反事件に関連し、東京地検の家宅捜索を受けた」のだそうである。38歳ですか。私、辻元と同じ年ですね。ライブドアの幹部という人たちも一番年上でこのぐらいの年齢です。
 ひとつには、正直言ってえらいなあ、と思う部分があります。最近のヒルズ族およびその関連の皆さん、私が企業の下っ端で無責任な仕事をしている間、一生懸命大きな仕事をしておられたのだろう、それはそれ、立派なことです。
 しかしまた、しょせんは自分と同年代なのだから、ものの見方も人間としての深さも、せいぜいこんなものだろうという想像もつく。
 とうとうライブドアのせいで、東証が取引時間を短縮したうえに、海外の市場まで影響を受けだしたようですが、かくなるうえは、関連銘柄を持っている投資家の皆さんには申し訳ないけれど、ライブドア関連の取引を停止して早急に整理ポストに入れ、廃止するべきでしょう。いち「経済詐欺集団」のためにこれほどの人が迷惑を蒙ることはあってはならないこと、許されないことではないでしょうか。ライブドアは「日本のエンロン」として記憶されるかもしれません。
 その結果として、あのグループが立ち行かなくなることもあると思いますが、それもこうなってしまっては仕方があるまい。あそこの社員さんもほとんど1年ぐらいで転職するというから、いざとなったらみんな見限って逃げ出してしまうかもしれない。結局、羽振りがいいのは堀江さんほか数人の幹部だけなんですね。
 前からうすうす目のある人は、堀江という人物はある日、突然、「高ころげにあおむけに転び候ように見え申し候」・・・ふっと脚をすくわれてずでんとひっくり返り、思いがけなくおしまいになるんじゃないか、という予感を持っていたと思われる。私もそうです。なお、「高ころげに・・・」というのは戦国大名・毛利家の武将の安国寺恵慧という人が、織田信長に会ったときに感じた印象の言葉。同じときに、まだ信長の一部将だった羽柴筑前守こと後の豊臣秀吉を、なかなかの人物、と評価しています。人を見る目があったんですな。
 東証全面安だが悲観するには当たるまい。むしろこれから投資したい人には好都合かも。かえって駄目な嘘つき会社を淘汰するにはいいのじゃないだろうか。
 ◇ ◇ ◇
 それでふと、昨日「這い上がれない未来」(藤井厳喜著、光文社)というのを立ち読みして、結局、買ってみた。三浦展さんの「下流社会」の延長上にある類書、という感じの一冊であるが、「郵政改革に賛成か反対か、の総選挙で、小泉自民党を支持した層は、その後の調査で都市部の負け組サラリーマンが中心だったことを示している。・・・Jリーグやプロ野球のサポーターやファンは、その多くが中流の下か下流である」なんて断言が面白くて、というか日ごろ私がこういうところで書きなぐっていることとよく似ているので買ってしまった。「トリックに過ぎない小泉首相の言葉を信じて、日本は改革される、その結果、私たちの暮らしはよくなる、という絵空事にまだ1票を投じようとする人々である。じつは、現在の日本の上層部にいる人々は、みな日本が大火事であることを知っている。ただ、火事だ火事だ、と叫ぶと、国民も自分もどうなってしまうかわからないので、怖くて言えないだけである」なんてもうその通りであろう。
 いやもう本当に私は、資産のある方は外国に資産を移すか、あるいはそれほどじゃない方はもはや日本円で貯蓄などしていないで、今のうちにぜいたく品でも気に入ったものでも買っておいたほうがいいのでは、いざとなったらいいものじゃないと物々交換も出来ない、なんて正直、思う。
 ところでこの一冊、後半に行くほど尻すぼみの感がある。上流階級の人ほど者の言い方がシンプルで、下の人間ほどあれこれ偉そうに薀蓄とか、ブランドの講釈とか垂れたがるが、大物はいいものしか身につけないし食わないので、かえって気にしない、なんて指摘まではものすごく面白い。アメリカの教育事情なんかも参考になる。が、その後になるとちょっと初めのほうの勢いが減速する感じがある。
 それと、日本の陸海軍では将官で戦死者は山本五十六ぐらいじゃないか、というところはもう少し違って、ちょっと考えてもミッドウェーで死んだ二航戦司令官・山口少将とか、大和以下の水上特攻を率いた第二艦隊長官・伊藤中将とか、レイテ沖開戦で遊撃部隊を指揮した西村中将とか、あと真珠湾の立役者でサイパン防衛司令官の南雲中将も自決ではあるが、とにかく海軍だとかなり思いつく。陸軍でも硫黄島守備隊の栗林少将や沖縄防衛司令官の牛島中将なんてのは玉砕戦の結果ではあるがやはり戦死したということだろう。まあ、そこらへんはどうも欧米では将校というのは指導階級でいざとなると率先して死地に飛び込む義務がある、ということで、日本の場合はそれに比べると高級将校や官僚が戦争となっても後ろに引っ込んでいて逃げ回っていた、という話から出てきているんだろう。
 が、まあそういう要素は間違いなくあったのだけど、しかしたとえば特攻隊なんかについて言えば、この本の指摘じゃなくて世間の言い方として、海兵出の正規の将校が少なくて学徒出身者ばかりだった、正規の将校は卑怯だったというような指摘があったりするがこれはちょっと当たらず、もう1944年末となると、海兵出の正規の将校がほとんど消耗してしまって、本当にそもそもその時期になるとあまりいなかった、というのが真相だともいう。
 ま、そういう話は一面的にならないようにしないと危険ではある。ただ、大筋として日本の場合、指導層がいざとなると逃げ回って、責任を回避するというのは事実であろう。
 その最近の例では・・・まあ小嶋とか、堀江はどうするのか・・・そして、なんといっても小泉純一郎でしょうな。国が破綻する頃には、どこかに亡命してオペラでも見ていることだろう、この仁は。


2006年1月18日(水)
ライブドアの格付けが「E」に落ちたとか、本体の粉飾がはっきりしてきたとか、上場廃止かもしれないとか、にわかに・・・とんでもないことですね。株価つり上げては自社株と交換して他社を買い占める、ということを繰り返してきた、つまりは「私設の紙幣発行」をしてきたようなもの、というんだからなんで7000億円も試算を持っていたか分かる。
 まあ、みんなだまされていたわけだ。
 ◇  ◇  ◇
 そういうニュースを見つつ昼休みに久しぶりに会社近くの本屋に行ってみる。「日本経済これから絶好調」という内容の本と「本当の破局はこれからだ」の二局に別れるんですね、最近の経済書って。
 いちばん暗い見通しのものだと、なんだかんだいって日本の国の借金は1000兆いや2000兆でもおおげさじゃないかもしれない。こんな国のたどる道は国家破たんであって国債が紙切れになった上、ハイパーインフレがやってきて、最後には国民は個人の資産も全部国に差し押さえられてしまうだろう・・・という感じである。
 少なくとも国債の債務不履行、はあり得る話だと思いますね。
 また、消費税なんかも9%でも15%でもまだまだ甘い、少なくとも45%、いや本当のこと言って90%(!)にしないといけない、というような話もざら。
 15%でも月々に4万以上の負担増だと言ってるんですよ。月々に今よりも20万円、税金が増えたらどうしますかね。でもあり得るんですって。
 気分がどんどん暗くなるので経済コーナーは見ないに限りますね。
 藤原正彦さんの「国家の品格」ですか、ちらちら立ち読みしてみた。おもしろいと言えばおもしろいけど、そんなにすごいことを言っているとも思わない。ただ、英語なんぞかじりついてやっている人間はバカだ、というくだりは非常に共感しましたね。
 まあ、そんなこんなのなか、自民党はのんきに大会など開いている。「9月の総裁選を「国民が参加意識を実感できるよう、開かれた形」にすることなどを盛り込んだ2006年運動方針を了承した」のだそうであるが、なんのことか。じゃあ首相公選をやってはどうなのか。ほんとにこれは一党独裁ですな。一政党が国家と一致してくるという発想は。
 で、「子や孫に誇れる夢と希望のある『道義国家日本』を築く」とし、改革を加速する必要性を強調した」のだそうである、小泉さんは。なーにが、である。
 堀江がつぶれてくれれば、私の念願はもう一人、小泉首相が暗殺されるなりなんなり、ひどい目に遭うことである。
 なぜなら、この重大な時期に「郵政選挙」、彼がやったことといえば結局、これだけじゃないか。ホリエモンも村上ファンドも小泉路線が生んだ鵺の一種であります。
 なにが強いリーダーシップだ、ぶれない、実行力がある、だ。なんにもしていないんだってだから。借金増えただけなんだって。
 どうしても現実を直視できない人が多いわけだが・・・戦争中と同じ、日本人の悪い病気だよなあ。
 が、それがダメになってきたのだから・・・いい加減、日本の目覚めの時、ではあるまいか。

2006年1月17日(火)
今日は公休日でして実家に行ってのんびりと・・・いやあラッキーでした!! だって今日はあれでしょう、宮崎勤の最高裁判決にホリエモンの続報にヒューザー小嶋社長の証人喚問に、阪神大震災の11年、とでかい目玉が4つも控えていた。こんな日の新聞社は最悪です。うずたかくゲラが積み上げられるけど使われるのは半分もなかったり。普通ならこのどれか一つだけで十分に紙面が埋まります。
 宮崎の死刑判決は1時半すぐに伝わった。これはよかったですね、裁判長によっては判決を最後まで言わない人がいます。重大事件ほど、結果が悪いときほど、後回しにする傾向があります。が、今日はわりとあっさり申し渡した。待機していた関係者はよかったでしょうねえ・・・なにしろ判決の読みあげったって大事件だと何時間もかかる。
 宮崎という男、当時、こういうヤツがとうとう日本にも現れたか、という扱いでしたが単に猟奇的というより、なんだか未熟な、精神的に幼稚で性的に未成熟な、あたまでっかちで仕事らしい仕事がないいわゆる「オタク」が起こした犯罪ということで、その後の日本の犯罪に与えた影響は大きい。酒鬼薔薇なんとかもこの男の影響を受けたようでした。そのまた影響を受けたような人間が近頃もしばしば現れます。オウム真理教事件にも間接的影響を与えた感じもあります。きわめて後のことを考えると、この男、罪深い。また世のオタク、というかアニメ、漫画好き全般のイメージを決定的に悪くした張本人でもあり、一定の復権を果たしたのは昨年の「電車男」まで15年を要したともいえます。
 ところで、16年もこいつの裁判にかかりましたが、こんな件の裁判員に選ばれたらあなたはどうなさいますか。人生、台無しですよ。被害者の幼女たちも生きていたらもう就職活動とかしている年です。時間掛けすぎですよ、こんなもの。
 精神状態がなんであろうが絶対に許すべきものではなかった、といえます。
 ◇  ◇  ◇
 小嶋の喚問は、あれでいいんですか。あいつも前の喚問で藤田社長を怒鳴りつけたりしてすっかり男を下げました。藤田社長のほうは得しましたね、結局。なんかかわいそう、てイメージで。テレビの影響力は大きい。
 もともと味方なんかいないだろうが、決定的に世論を敵に回したですな、後は堕ちる所まで堕ちて貰うしかない。「新聞、雑誌等で報じられていますとおり、刑事告発の可能性がありますので、証言は拒絶させていただきます」と百回以上、言ったのじゃないか。
 なんなら冒頭の委員長の「小嶋進君ですか」とか「生年月日、住所、職業を言って下さい」まで「証言は拒否いたします」といえばよかったんだ。「さて、私は誰でしょうかしら?」とね。
 しかし前にも書いたが、今回の物件はみなあわてて取り壊しとなったが、もっと古い建物でもっと耐震強度で危ないものはいくらでもあるはず。そういうものはほっとくのだろうか。変な話じゃないですかね。
 ◇  ◇  ◇
 で、堀江の話である。売れる商品があって、金が儲かって、上場する。商品や技術、サービスに素晴らしいものがあって成功する。これは当然のこと。たとえばドクター・シーラボがあっという間に一部上場したのは素晴らしいことです。楽天なんかはやはりネット市場で実績がある。
 そこへいくと、ライブドアなんてイメージを除けばあの会社の実態とはなんなのか。前からその点が納得行きませんでした。
 粉飾決算が立証されて、彼の関与がはっきりすれば、堀江氏本人も逮捕されるかもしれませんし、少なくともブレインの取締役連中の誰かは捕まるでしょう。
 マネーゲームで遊んであぶく銭を儲けよう、というふざけた風潮の申し子がここでくじけるのなら、今後の日本にとってむしろいいことかもしれません。
 今日は軒並み関連株が暴落してストップ安の模様です。さらに六本木ヒルズに本社を構えるような企業全般の株価が急落したそうで。
 まあ、六本木バブルが弾けた、とはいえるのかもしれませんね。
 

2006年1月16日(月)
おお、そうですかそうですか。ライブドアもいよいよなあ・・・。ロイター電によりますと「東京地検は16日、ライブドア<4753.T>の捜査に着手したことを正式に発表した」のだと。つまりとっくに子会社化していた「マネーライフ」という会社を新たにほかの子会社との株式交換で子会社化するというニュースを流して株価を吊り上げたんじゃないか、ということのようで。
 「ライブドア関係者によると「今回の捜査は、2004年4月にライブドアがマネーライフ社を取得していたにも関わらず、約半年後の2004年10月にライブドアの子会社であったバリュークリックジャパンとの株式交換により子会社化したと発表したことが証券取引法違反に該当すると指摘されているようだ」としている。また、元マネーライフ社の社員は「マネーライフ社は2004年4月にはライブドアに買われていた」ことを明らかにしている」のだそうであります。
 それでなくとも、なんだか最近、あまり意味のない芸能番組に立て続けに出てみたり、馬鹿みたいなCMに出演してみたり、かなり話題づくりのネタが枯渇してきている感じのあった堀江社長である。ここまで、たまたま運がよすぎた、ということだ。そろそろ逆風もあるのが人生であろう。
 結局、話題を作ることで株価を上げる、それで資金を得て合併を繰り返す、その話題でまた株価を上げる・・・ここまで彼のやってきたのは基本的にはそういうこと。まあアメリカなんかじゃ10年ぐらい前の手法、ということか。今まで、そういうことが目新しかったのでこの手でもうまくやってこれたが、日本人の適応力はなかなか高い。堀江、堀江と話題になり始めてから2年もしないうちに、手の内はすっかり知れ渡ってしまった。
 ヤフーとか楽天とか先行する企業には到底追いつくことは出来ず、実際のところ、どこの業界業種でも「3位以下は淘汰される」といわれる時代である。つまりライブドアもにわかに精彩を欠いてきたのは間違いない。
 5、600円で投資できるという点でなかなか投資初心者には魅力的な会社であったわけだが・・・。
 人一人の思いつけることなんてかなり限られている。特別な天才、というほどの人間でない限り、ネタは出尽くしてしまう。
 実際、10年、20年、30年と現役を晴れるポップスターという人は、柔軟に他人の意見も聞いて、商品としての自分らしさをあえて他人からプロデュースさせることを厭わないような人じゃあるまいか、と思う。作家や映画監督、漫画家、みなしかりじゃないだろうかしら。一人の天才の仕事でブレイクできる範囲というのはせいぜいが半年とか1年、お笑い芸人の一発芸の思いつきでもつ期間を考えてみればいい。
 まあ、そろそろ彼氏の真価を問われる時期なんじゃなかろうか。

2006年1月15日(日)
別に目立つ話題じゃないから、大方の人は知るまいけれど、日本総合研究所というシンクタンクが消費税が上がった場合のマクロとミクロの経済に与える影響、というのを試算したのを発表した。http://www.jri.co.jp/press/press_html/2006/060113-2.html
 それのさわりを読むと「消費税率1%ポイントの引上げは、消費者物価を0.9%押し上げ。これに伴う実質所得の減少により、初年度の実質個人消費は0.6%、実質GDPは0.4%、それぞれ下押しされる。世帯あたりの負担増についてみると、年収下位20%の世帯(平均年収347万円)では月あたり 2,000円、年収上位20%の世帯(平均年収1,234万円)では同4,000円」とある。
 物価の1パーセント弱の押し上げ、それはデフレを脱却したいといっている状況から見れば手ごろな上がり方のように思われるかもしれない。個人消費0・6、国内総生産0・4の下げ、というのは一般人の感覚として「ああそうですか」というようなもの。じゃあつまり具体的にはどうなんですか、という段で月々2000〜4000円の負担増、ということで「なんだ、そんなもんか。そのぐらいならいいや。消費税上げに賛成」という話になる。
 こないだの選挙のときも、なにか「国の財政がこれだけ厳しいのだから消費税上げはやむをえない。国民も痛みを分かち合うべきだ」としきりに説いている「一般人」・・・政治家や官僚など関係者が言うなら分かる、 そのへんの有象無象の若い者などがしきりに賛成、賛成と唱えているのがまあ、気が知れないのであった。
 アホな人というのは、なんだかマクロ経済がどうのこうの、という難しげな話でごまかされ、1%での上昇でせいぜい数千円、と聞かされまあいいや、そのぐらいで「すべてが解決するなら」それでいい、と思い込む。こないだの選挙なんか、その前提としてなぜか「郵政民営化さえすればそういったことも含めて全部うまくいく」という頭の悪い人向けのあおりにそろいもそろって「有権者」とやらが乗ったわけだ。
 が、この日本総研の試算だって、もっと上がった場合のことはPDFファイルの中のほうにこっそり書いてあって、都合の悪い情報はなかなかすぐに取りだせなかったりする。ドラゴン桜の台詞じゃないが「頭のいいヤツは馬鹿に本当のことを隠す」ということである。
 細田国対委員長がどこやらの講演で「少なくとも消費税8%に」と言ったようである。が実のところ世間で言っているのは15%ぐらいにはなるんじゃないか、ということで、日本総研の資料を読むと、その15%になった場合のミクロの影響というと、年収347万円の家で今より月に2万円、1234万円の人だと月に4万2000円の負担増、ということになる。しかも定率減税の廃止をし、配偶者控除をなくし、その他、もろもろの「サラリーマン増税」というのをやった挙句にこれをやるとなれば、まあそこそこ収入のいい「1234万円」の人だってギブアップであろう。地主か経営者じゃない限りまあ、おしまいである。
 ◇  ◇  ◇
 そういえば道路公団民営化なんて、小泉政権のここまでで唯一の実際に手をつけた成果のはずだった。が、ご承知の通りで結局、高速道路は計画しているものは全線着工ということになったのでありますね。結局あんな改革も形骸化、というかはじめから表向きだけで中身はない、とずーっと心ある日とは言って来たのにこのザマ。猪瀬なんとかだってわあわあ言っていたのにほれみろ、やっぱりこの程度のことじゃないか、ということである。
 また税金を投じるわけですね、不採算路線ほど。どこに金あるんですか、しかし。
 そういえばついでに、「出産の無料化」なんて話がどっと出て、これはどうも「新人議員大臣」の猪口女子のフライングらしい。やっぱり財源の裏づけのない話のようである。
 かえってフィンランドみたいに人口が500万人しかいない国のほうが、ドラスティックな改革はやりやすい。それであの国は10年で国際競争力世界一の高知力国家に生まれ変わった。日本なんかもなんだかんだいって世界でまだ9番目に人口が多い国である。あそこの国など大学まで完全に無料である。だから大学まで行かない人なんていないであろう。要するに馬鹿がいない国なのである、今や。しかし税金は高いし賃金は硬直的でその意味では沢山の馬鹿を踏み台にして勝ち組を支える、そしてやる気のある有能な人を海外から輸入して社会を活性させるというアメリカ型社会モデルとは対極である。
 人口減少といって騒ぎすぎだと思うのは、どう考えても本当は日本国なんてもっと規模を縮小したほうが身動きが執りやすいと思うからである。
 そろそろ気付くと思うんだが・・・アメリカ式移民社会の真似をそのまましようと思っても日本では維持できない。踏み台であるべきたくさんの馬鹿が腐っていって最後は勝ち組を支えることも出来なくなりみんな総倒れになるであろう。「小泉路線」とやらが正しいかどうかはまったくあやしいところなのである。

2006年1月14日(土)
 なんかまた妙な話だと思うのだが、読売新聞に拠れば「日本軍が捕虜米兵らを炎天下、歩かせた「バターン死の行進」についての月刊「文芸春秋」の記事が「歴史を誤って伝えるものだ」として、ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)は13日、当地で抗議の記者会見を開き、文春側に元捕虜らへの謝罪を求めた。・・・昨年12月号に掲載された「『バターン死の行進』女一人で踏破」。ジャーナリストの笹幸恵さんが、フィリピンで行進のルートを4日間かけてたどり、「栄養失調気味の私ですら踏破できた」と報告。「日本軍による組織的残虐行為」との批判に、疑問を投げかけた。・・・「水や食事をきちんととって歩いた彼女の行程は、当時の状況とかけ離れている」と批判した。・・・同センターは1995年、文芸春秋社の月刊誌「マルコポーロ」の「ナチスのガス室はなかった」とする記事に抗議し、同誌は廃刊になった経緯がある」ということであるが、ユダヤ人団体がホロコーストがらみのことで抗議してくるのは分かるが、バターン死の行進は基本的には戦争中に起こったまあ、不祥事とか事故の一種である。
 捕虜の移送中にひどい扱いをしていっぱい死んだ、なんて話は第二次大戦においても決して珍しくもなく、独ソ戦なんかだと日常茶飯事である。
 それに、当時の日本軍というのは自分たちは歩兵として世界一しごき抜かれていた。なにしろ最後の最後までほとんど自動車なんて配備されなかったから、一日に30キロとか40キロとか、ものすごいスピードで、ろくに飲まず食わずで何十キロの装備を担いで歩けてしまった人たちである。なにしろ徒歩で中国大陸の奥深くまで大陸打通といって行ってしまった軍隊である。そういう自分らの感覚で、敗北した連合軍のひょろひょろした兵隊を歩かせたものだから、ああなった、ということだろうと思う。「なにを貴様! 一食や二食ぬいても死にはせん、精神力で歩け」というような言い方で自分らは平気だったから、捕虜なんてものに思いやりがなかったのは間違いない。当時の日本軍の参謀長の手記には「全行程約六十数キロあまり、それを四〜五日がかりで歩いたのだから牛の歩くに似た行軍であった。疲れきっていたからである。南国とはいえ夜になると肌寒くなるので、日本兵が焚火をし、炊き出しをして彼らに食事を与え、それから自分らも食べた。通りかかった報道班員が見かねて食料を与えたこともある。できればトラックで輸送すべきであったろう。しかし貧弱な装備の日本軍にそれだけのトラックのあるはずもなかった。次期作戦、すなわちコレヒドール島攻略準備にもトラックは事欠く状態だったのである。むろん道中でバタバタと彼らは倒れた。それはしかしマラリア患者が大部分だった。さらにもう一つ付け加えれば、彼らはトラックで移動することを常とし、徒歩行軍に馴れていなかったことである」 ということである。要するに贅沢なアメリカ兵で、そのうえ南方の気候でぐたぐたになり、おまけに4か月篭城していたためにますますへばっていたから死んだ、ということ。しかしトラックに乗せてくれ、なんていっても当時、日本軍にはトラックなんてぜいたく品はほとんどなかったのである! あんなものは、さっさと見捨てて逃げ出したマッカーサーが一番悪いのは言うまでもない。で、文春の記事がどの程度の内容だったかしらないが、おそらく「連合軍はぎゃあぎゃあ騒ぐがなにをあの程度で騒いでいるのか。結局、戦争には勝ったからつべこべ言っているが、あの一戦じゃ負けたんだから仕方ないだろ」というスタンスだったのだろう。まあそういう企画をここで持ち出したのはなんだか空しいというか幼稚な感じは確かにあるのだが(しょせん日本は敗戦国、なにをいってもかなわない)。にしても、ハリケーンに被災した自国民だって何日もほうりっぱなしにしていた国がよく交戦中の相手国に対して、偉そうなことがいえたものである。
 まあそのへんはしかし、当事者としてはいろいろあるだろうからこれ以上ふれない。それにしてもなんでユダヤ人団体なんかがしゃしゃり出てくるの? そこが分からない。日本軍は捕虜は虐待したかもしれない。というのは日本軍にとって捕虜になるような不面目な人間は死ぬのが当然だったからである。あちらの国は近代軍隊のつもりで戦争しているが、日本の側は戦国武将のような精神のままだったんだから。しかし、捕虜がユダヤ系だから、ということで虐待したとは思えない。
 はっきりいって日本にユダヤ問題など存在しない。こっちから見ればケトウなんてみんな同じである。マルコポーロ廃刊問題も、面白くなかったのは、日本人はユダヤ人迫害などかかわりのないことだからである。もっともマルコポーロについては、廃刊して惜しくない状態だったというのがそもそもあったように思われる。文春を廃刊することはあるまいし、日本の国民の第二次大戦に対する空気も変わったから、今度は滅多に降参しないだろうと思う。
 ホロコーストなど関係ない。そう言い切ると変に「心の優しい人」がびっくりするのかもしれない。しかし虐殺も虐待も民族浄化も現代に至るまで歴史上にありふれており、第三帝国のホロコーストは特に有名なだけである。日本人がかかわっていない問題について妙に理解している振りをしてみたり「同情」をするべきではない。ホロコーストなどなかった、などという議論には私はくみしないのは言うまでもない。ラインハルト・ハイドリヒは間違いなく「最終解決」したかったのだと思う、しかし出来やしなかった、ということだと思う。
 ◇  ◇  ◇
 遅ればせながら、戦国武将で思い出した。今、山内一豊の「功名が辻」第一回を再放送で見た。というか、桶狭間の戦いのシーンを見たのだが、江守さんの今川義元が暴力団のドンみたいなのが笑えた。木下藤吉郎が信長の馬のくつわを取ったりしていないのがよろしかった(くつわをとって馬と同じ速度で走れるわけがない)。
 それにしても高知のイメージの山内一豊ももちろん尾張の出。信長、秀吉しかり、家康はお隣の三河の出、である。後にそれらの天下人に取り立てられて大名になった人もほとんど東海地方の出身者である。だから、江戸時代の武家文化、というのは基本的には上級武家では全国的に東海地方の文化、だったといえる。
 で、濃尾地方の優秀な人材はこの時代にみんな偉くなってしまって、明治以後は東京に住んだであろう。それ以後、しばらくどちらかというと地味な東海地方だったが、近頃はむしろ日本をリードしている経済圏となっている。
 なかなか乱世に強い風土なのかもしれない。


2006年1月13日(金)
13日の金曜日、である。ま、日本人には関係ないけども。例のアイスホッケーのお面かぶった化け物の映画も近頃は作らなくなったし(しかしあれはなんだったんだろうか。実のところ最初から最後までちゃんと見たのは第一作と第二作だけなのだが、最初の作品はむしろ日本製のホラーのリングなんかに似た感じのお話だった)。
 今度は大和證券SMBCが「誤発注」したという。顧客の注文と違う銘柄を売ってしまった、ということだ。しかしみずほ証券の一件以来、この手の話が続々と報道されるのは、もともとこんなトラブルはしょっちゅうある、ということであろう。なにか世の中、たとえばクレーン車が転倒すると日本中で類似の重機の事故が発生し、某社のランドクルーザーが事前発火するとなるとあちこちで発火するように感じられる。JRで脱線事故があると、また日本中の駅でオーバーランしていると言い出し、高速バスの運転手が飲酒運転するとほかバスでも一斉に同じような話が出てくる。警察官、教師、公務員の不祥事が明るみに出ると次々にまた似たようなものが・・・。
 というのは、ひとつには今まではありふれた問題、大した問題ではなかったものが、急にニュースバリューを持つためにマスコミが関連ニュースとして取り上げるからである。ふたつに、類似の問題が表に出たことで、同じようなことがあることに気付いた人が進んで周囲にある問題を告発するからである。それで、しばらくして世間の関心が薄れると急に同様のニュースがなくなるのであるし、また一回の問題で、似たような事例がいったん「掃除」されて「在庫切れ」すると話題そのものもなくなる。
 しかし、またこれで10年もたつと記憶が薄れるので、またたるんだ人が出てきて、同じようなトラブルが起き、マスコミは再び「○年前の教訓は生かされていなかったのか」などと騒ぐ。「風化させてはいけない」などと言いだすが、実際には風化させた張本人が自分らだったりする。
 証券会社の誤発注なんてものは間違いなくしょっちゅうあるはずである。しょせん人間がやっていることだ。完全に最初から最後まで機械がやるなら、故障はあるかもしれないが誤りはない。それでも、今度は機械のプログラムをするのがまたしょせん人間である。
 人間なんて必ず間違えるものである。「なぜ間違えるのか」といって精神論に持っていく旧日本軍みたいなやり方では絶対に解決しない。
◇  ◇  ◇
 よく続く、といえば近頃、目立つのが在日米軍の犯罪、不祥事である。もっともけしからないのがキティホーク乗組員の殺人であるが、ほかにも轢き逃げとか、いろいろあるようである。
 そんな中で、日本の自衛隊が米海兵隊と組んで「孤島の奪取」を目的とした奇襲上陸の訓練を行った、なんて報道も見た。そりゃもう、はっきりとは言わないが、仮想敵は中国ということだろう。
 ということで日米の軍事上の接近、というかほとんど融合はますます進む、というかもともと自衛隊なんて米軍の現地補完部隊なんだから当然なのだろうが、しかしあれだ、米軍なんてのはしかしそもそも、アメリカ社会の負け組みの吹き溜まりである。質の悪い人間も多いのはまあ当然である。
 実はこのところスクウェア・エニックスが年末に出した新作ゲーム「フロントミッション5」というのをやっている。まあ近未来の人型兵器を使った戦争もの、というありがちなジャンルだが、どうもアニメ臭いほかのものとは違い、ロボット兵器を迷彩塗装できるとかなかなか本当に兵器臭く、マニア心をくすぐる。軍の内部でも、階級の低い隊員しか部下に出来ないとか、なかなか芸が細かいのがいい。
 で、設定としてはアメリカのなれの果てのUSNという国家の軍隊、というのが主人公が属する組織なんだが、さすがにアメリカのなれの果て、訓練シーンでも、上官が口汚く罵ること罵ること、なんかああいうお下品さがいかにもアメリカ軍の末裔である。
 かつてロンメルいわく、「指揮官たるものは教育係の下士官の口の利き方を忘れてはならない」。それはその通りだが、しかしいかにもアメリカ的な低俗な気合の入れ方がどうもなあ・・・好きになれない。「お前らはクソ虫だ!」「やつらのケツのアナにありったけの弾をぶちこんでやれ!」とかね。高級将校がそんなことを言って発破かけていると、日本人のメンタリティーではふざけているようにしか聞こえない。簡潔で無駄のない命令伝達のほうがよほどに気が引き締まる。ゲームと分かっていても「そんな調子で無駄なエネルギー使ってないで、真面目にやってくれよ」と私など思ってしまう。
 とにかく・・・アメリカ軍というのはそんなに絶対的に強いわけじゃない、というのがけっこうイラク戦争の印象だったりする。アブグレイブ刑務所なんてそんなノリの延長でやったんだろう。どこの国の軍隊でも新兵いじめのノリの延長で下っ端が問題を起こす。かつての日本軍だってそうだっただろう。中学の部活動みたいなものである。1年生が入ってくると勢い込んで、昨日までの下級生である2年生が先輩風を吹かすわけだが、じゃあ一番下っ端はどうするかというと、もっと下の人間、占領地の民間人とか、捕虜を虐待する。
 在日米軍の日本人に対する態度も、つまりそういうことであろう。「占領地の民間人」つまり三等兵より下っ端の「クソ虫以下」の連中、というのが連中の見方であると、私などは思わないではいられない。

2006年1月12日(木)
 共同通信に拠れば「大雪による死者が12日、山形、福井両県で新たに4人確認され、共同通信の集計で昨年12月以降の死者は17道県計80人となった。全国的に気温が上がり、雨の降る所も多いため、13日から15日にかけて積雪の多い地域で雪崩の危険が高く、気象庁は警戒を呼び掛けている。また新潟県津南町の積雪は12日午前、397センチとなり、年明けに記録を塗り替えた最大積雪量を再び更新した」とある。死者80人、である。大抵の地震や台風、事故なんかよりも死者が多いのである。
 だが、今回はかつての38豪雪みたいな名前がつくかどうか知らないが、まああえていって「06豪雪」である。こういうじりじりと、少しずつ襲ってくる自然現象についてはどうしても感度が鈍くなる。
 地球温暖化だから今後は暖冬だ、という断定は駄目であろうと思う。そうではなくて年中四季を通じて異常気象、ということが増えると思う。次の夏も猛暑かもしれないが逆にまた異常な冷夏になるかもしれない。要はそんな簡単な話じゃない、自然のシステム全体が異常をきたしているからなにが起こるか分からない、ということだろう。
 なにしろ今後は中国がどんどん公害を撒き散らしていく。資源もせいぜいあと30年以内に限界を迎えて、今の文明は行き詰るという話もいよいよ出てきている。近未来はますます暗いのである。
 ◇  ◇  ◇
 唐突だが、以下の例文の誤りを指摘しなさい。

 1940年12月8日、真珠湾のアメリカ艦隊を日本海軍が奇襲して、太平洋戦争
が始まった。山本五十六・連合艦隊司令官の奇抜な発案が生んだ作戦だった。
 当時、空母「赤城」乗り組みの下士官で海軍少尉だった飯田武夫さん(75)は「我
々、搭乗員にとっても思いがけない作戦だった」と語る。海軍士官学校を卒業後、パイ
ロットの道を進んだ飯田さんにとっても、飛行機が戦艦を撃墜するということは想像外
のことだった。
 また、二等軍曹だった山本太一さん(85)も「驚いたが、さすがに山本さんだ、と
思いました」と感慨深げに言う。山本さんは後に、戦艦「愛宕」乗り組みのときにレイ
テ作戦に参加し、自分の艦が撃沈して生死をさまよった。
 飯田さんが戦後、復員すると米軍の戦闘機B29により街は廃墟と化していた。
 今、呉市に住む飯田さんは港に停泊する海上自衛隊の戦艦を見ながら、平和の尊さに
思いをはせている。
 
 1・太平洋戦争開戦は1941年12月8日(現地は7日)
 2・山本五十六は「司令長官」。海軍では「司令官」は規模の小さい戦隊の指揮官 
3・少尉は「下士官」ではなく「下級士官」。下士官とは士官より下のランク
 4・「海軍士官学校」は日本にはなく「海軍兵学校」。陸軍は「陸軍士官学校」
 5・「飛行機が戦艦を撃墜する」ではなく「撃沈する」。「撃墜」は撃ち落とすこと
で船や地上目標には使わない。
 6・「二等軍曹」ではなく「二等兵曹」。海軍では軍曹とは言わない。
 7・戦艦「愛宕」ではなく巡洋艦「愛宕」。戦艦とは大和のような巨砲を積んだ大型
の軍艦を指す。
 8・「自分の艦が撃沈して」ではなく「撃沈されて」。撃沈とは撃破して沈めること
で、敵を撃沈するか、敵に撃沈されるか、である。自分を撃沈することはない。
 9・「米軍の戦闘機B29]ではなく「爆撃機B29」。戦闘機とは敵の飛行機を撃
ち落とすための飛行機。B29は爆撃専用の飛行機である。
 10・「海上自衛隊の戦艦」ではなく「艦船」「艦艇」など。戦艦とは先に書いたと
おり巨砲を積んだ軍艦のことで、現在は世界中に一隻も現役のものはない。もちろん自
衛隊にも戦艦は存在しない。戦闘用の艦艇全般を指す言葉は「軍艦」だが、自衛隊の場
合、軍と呼称せず「自衛艦」と呼ぶので適当とは言えない。
 11・飯田武夫さん(75)は明らかに若すぎ。開戦時10歳そこそことなる。

 以上の例文は、実際に戦争ものの記事や、イラク戦争関係の記事で出てきた誤りに基
づいております。
 みんなできたあなたは、この手の話では基礎知識のある方です、おめでとうございます。しかし特に商品はございません・・・。


2006年1月11日(水)
シュワルツェネッガー「知事」がバイクで事故を起こした、というのも間抜けな話だったが、なんだ、あのひとやっぱり人間なんだ、ということ。でもそれだけじゃなかったらしい。なんとおまけに無免許運転だったことが、この事故がきっかけでばれてしまったという。
「AP通信によると、オーストリア出身の同知事は、ヨーロッパ在住時はオートバイの免許を所持。しかし、1968年に米国に移民後は、同州の自動車運転免許しか取っていなかった。知事は、ハーレー社の大型オートバイを所有してツーリングなどを楽しんできたが、「免許を取ることを考えもしなかった」とコメントしている。8日にロサンゼルス市内で車と衝突した事故では、知事はサイドカーに息子を乗せていた。このため広報担当者は、「三輪車と見なされ、車の免許で運転可能だ」と主張している。しかし、警察は「サイドカーがあっても、オートバイ免許は必要」との見解で、知事を交通違反の疑いで調べるかどうか検討中という。オートバイの無免許運転は100ドル以上の罰金となる」(読売新聞)というんですけど、そうするとあれだ、ターミネーターにしろほかのなんにしろ、バイクに乗っているシーンってみんな無免許運転なんだな。まあ未来からやってきたロボットが免許持ってなくてもしょうがないか。
 ちなみに、ファンの人には知れきったことだろうが、調べてみてシュワちゃんの本名というのはアルノルト・アロイス・シュヴァルツェネッガー(という感じが、ドイツ語読みだと。古い人だとさらにシュヴァルツェネッゲルなんてしたくなるかもしれない)ということで、ミドルネームはアロイスなんですな。この名前ってのもヒトラーの兄貴と同じ名前。戦前にはごくありふれた名前だったアドルフというのが戦後のドイツ、オーストリアでは事実上、消滅しましたが、アロイスという名前は特になんでもないのかな。まあ、ヒトラーに異母兄がいたなんてこと自体、知らない人は知るまいが。
 ◇  ◇  ◇
 という話題となんのかかわりもないが、シュワちゃん以後のドイツ系の世界的スターといえばトーマス・クレッチマンである。名を上げたのは「戦場のピアニスト」だが、近い所じゃ「キング・コング」にも出ていた。東独から亡命経験があるということで、若い世代ながらドイツのなんとなくかげりのある部分を感じさせてくれて、アメリカ人の俳優なんかじゃあの味は出ない、貴重な存在である。
 で、うちの妻というのが以前はアントニオ・バンデラスのファンであった(今でもそうだが)のだが最近の人だとクレッチマンなんだという。で、この人が以前に出たかなりマイナーな映画を手に入れた。原題は「マイ・ファーザー」というシンプルなもので、原作小説はドイツの小説だが映画そのものはどうもブラジル映画(?)のようである。で、日本版の邦題というのがものものしくなって「マイファーザー 死の天使 アウシュビッツ収容所人体実験医師」とかいう長々しい副題が付いてしまうのである。
 そう、これはアウシュビッツの「死の天使」こと、何千人のユダヤ人を人体実験の犠牲にしたヨーゼフ・メンゲレ親衛隊大尉のその後、を描く問題作、なのであった。
 で、なんとまた南米ブラジルのマナウスに逃げているメンゲレを演じるのがチャールトン・ヘストンである。驚いたね。で、父親に贖罪をさせようと思いつつ、親子の情のために葛藤するかわいそうな息子の役、というのがクレッチマンである。
 はっきりいって、戦時中のメンゲレの悪行というのがばっちり描かれているのか、と期待したのだがそこらへんはあまり出てこない。残念である。やはり基本的には息子のクレッチマンの葛藤がテーマであって、史上最悪レベルの犯罪者であり逃亡中である、というような人物を父親に持ってしまった息子の苦悩、が主題である。だからこそ原題も「父親」という素っ気もないものなのだろうよ。が、ある意味で、その大罪人がメンゲレであろうと、ほかの悪人であろうと、あまり関係ないような気もしないではなかった。確かに父親は有名人であり、ユダヤ人団体から追われている身であることが自体を一層、緊迫させるのだが、それでもお話の主旋律はあくまで倅としての苦悩というか、「それでも父さんは世界でただ一人の父さんだ」というようなところのようだった。
 面白かったのだが、ちょっと食い足りないような気もしてしまった。
 にしても、そんなわけなのに、あのまがまがしい副題に、パッケージにもでっかいハーケンクロイツである。そりゃドイツマニアの人は私たちのように飛びつくけど、内容的には文芸作品ですよねこれは。あまりナチスがどうのこうのという感じではないのだった。


2006年1月08日(日)
 妙なお話である。「仙台市・光ケ丘スペルマン病院(志村早苗院長)から連れ去られた生後11日の乳幼児が8日早朝、「国立病院裏の廃虚に赤ちゃんを解放した」との電話通り、50時間ぶりに無事保護された。スペルマン病院には身代金6150万円の要求があり、捜査本部は不審車の目撃情報などを基に、男女2人から身代金目的誘拐容疑で事情を聴いている。・・・男は6日午前3時半すぎ、病院に侵入し、・・・ベッドで寝ていた柊羽ちゃんを奪って逃走した。翌7日午前2時40分、病院から約700メートル北東の朝日新聞販売所「ASA鶴ケ谷」裏のガラス戸に封筒が張り付けられているのを、出勤した従業員が見つけた。封筒の中にあった文書には、(1)赤ちゃんは元気で自分以外の人が世話をしている(2)6150万円を用意しろ(3)警察に連絡したら取引は中止する(4)病院長には貸しがある――などと書かれていた。さらに、志村院長がJR仙石線で7日午後9時52分仙台発の普通電車で石巻に向かい、連絡を待つよう指示していた」(朝日Web) というような展開になったのであるが、ゆうべは午前2時ごろの新聞最終版の締め切りをすぎたころからにわかに「朝日新聞の販売店に妙な張り紙があった」という話が伝わって、うちらの会社の編集局も結局ずっと報道協定が解けるのを待っていた。つまり子供が戻ってきて犯人が捕まれば協定解除、という話だったのだが、赤ちゃんが見つかったのはもう朝の6時だったようだから待つのは無駄だったようである。
 しかしこう、赤ちゃんが無事で容疑者が捕まってしまえば大したお話でもなくなってしまうので、あんなに騒ぐ必要はなかったんじゃないか、とも思えてくる。まあえてして報道機関というのは必要以上に大騒ぎするものである。
 が、今のところその「院長に遺恨がある」というのがどういう遺恨なのか分かっていないので、・・・朝日の販売店の張り紙というのもちら、と読んだけれど具体的な話は書いていなかったようである、だからなにが原因がちっとも分からない。
 それにしてもなんだって販売店に張り紙したんだろうか。容疑者は新聞販売店で働いたことがある人じゃあるまいか、という気もする。普通の人が、販売店なんて思いつくだろうかしら、と。
 ◇  ◇  ◇
 関係ない話だが、ドイツ製のアタッシェケースを購入した。ケルンにある「リモワ(RIMOWA)」社製のものである。金属製の頑丈なケースというのが欲しいと前から思っていたのだが、とりあえずはありがちなゼロ・ハリバートンを物色していた。しかしゼロ・ハリなんてありふれてしまっている。近頃じゃ随分と値下がりしているものもある。そこへいくとリモワは、旅行用のカートなんかじゃ人気が高いみたいだが、ビジネス用としてはあまり日本じゃつかわれていない。それで、こっちにしてみたのである。
 まあはっきりいって総ジュラルミン製のケースであるから、それなりのお値段である。ゼロ・ハリみたいに妙に安い通販のお店、という話もない。
 しかしいいですねえ。これはもう護身用と言って良い。もちろん布や革の鞄より重いのだがほどよい重量感、というのか、見かけよりずっと軽く(1・8キロ)なかなかのものである。3桁のダイヤルもついていてさぞかしいいものでも入っていそうである(とりあえず傘と手帳が入っているだけですが)。
 リモワ社は戦前からやっていて前後にスタートしたアメリカのゼロ・ハリバートンより先輩である。もちろん全金属製のケースというのもこっちのほうが先輩である。ケースの表面に等間隔で溝が彫ってあって耐久力を高めているが、このアイデアというのはあの第二次大戦で大活躍したドイツ空軍の輸送機・ユンカースJU52/3M、いわゆる「タンテ・ムー」三発機の機体表面を模倣したのだそうである。1930年代にユンカースが世界に先駆けて全金属製の航空機を発表したとき、この溝のある表面は強い印象を与えて、日本海軍の技術陣なども熱心にユンカースの技術を学んだという。その中には後の零戦の設計者・堀越二郎氏などもあって、間接的に影響を与えている。零戦以後、採用された沈頭鋲などという表面処理もユンカース社の工作技術に淵源があるだろう。
 とまあ、そんなことを連想させるケースである。まず普通に使う分には壊れるようなものじゃなく、永く愛用させてもらうつもりである。
 にしても、ハンハルトやラコーの時計にリモワのケースである。つくづくドイツびいきの私なのだが、車だけはドイツ車に興味がない。ドイツ車のクオリティーはそんなに今や高くない、というのが業界筋の定説みたいでもある。
 もし戦前の復刻モデルで、車幅表示棒がサイドカバーについたクラシックなホルヒでも作ってくれれば考えますがねえ・・・。


2006年1月07日(土)
「8日午前6時までに予想される24時間の最大降雪量は、新潟県で80センチ、長野県や北海道で60〜70センチ、東北地方の日本海側と群馬、北陸、近畿北部、岐阜県で40〜50センチ。読売新聞のまとめでは、雪の被害者は7日正午現在、全国で死者61人、重軽傷者1150人」(読売新聞)とのことですが、どうなっているんでしょうか。さすがに新潟などでもこの時点で街中で4メートル近く雪が積みあがっているのは異常なんだと思います。地球温暖化、なんていっていましたが自然というのは全く理解できません。とつぜんこんなこともしてのけます。にんげんの小ざかしい予想やら対策やらいっても、ぜんぜんどうしようもない。
 にしても、関東平野部ではいまのところ雪らしい雪もない。元日から昨日までずっと曇りか雨だったが、今日になってようやく日が差した。少し鬱気味であった私もようやくいくらか気が晴れた。
 ◇  ◇  ◇
 それでなんですが。松の内も終わりまして、年賀状もそろそろそろったところ、と思いますが・・・正直に申しまして「今年は元旦に届いた年賀状が少ないな」と思った人、いらっしゃいませんでしょうか。なんか気のせいか、私も妻も、毎年必ず元日に届くべき人の賀状が遅れてきたり、というのが目立つような・・・。ひとつにはこの豪雪の影響は間違いなくあるでしょうが、ひとつには、どうなんでしょうか、民営化の問題、それから局員やアルバイトの士気やモラルの問題・・・というのは。昔から年賀状を捨てちゃう高校生ぐらいのアルバイトはいました。私もずっと以前に、あやしいな、と思った年があります。なぜかその年の年賀状がえらく少ない、ということがありました。なにかごまかされたのじゃないか、と思ったものです。今年もそういう話が出てきておりますが、当節の風潮、いい加減な人もいることだろうと推測されますが。
 ◇  ◇  ◇
 昨日、たまたまNHKの深夜番組で「ブロードウェイの歴史」の最終回を仕事の合間に横目で見ていた。けっこう面白くて、ここまで切れ切れながら見ていたのだが、最終回の冒頭はあのメル・ブルックス監督が登場した。もちろん、「メル・ブルックスの大脱走」「珍説世界史パート1」「裸の銃を持つ男」「マン・イン・ザ・タイツ」などの超おふざけ映画で有名なあの監督だが、今回はもちろん、彼のデビュー作「プロデューサーズ」を劇場版にして2001年にトニー賞12部門を総なめにした、という話だった。この話のあらましを書けば、売れないブロードウェイのミュージカル・プロデューサーである主人公が、やけになって打った大博打というのが、なんとナチス親衛隊員が脚本を手がけた史上最悪のミュージカル「ヒトラーの春」というもので、これで間違いなく興業はこけるが、過剰な投資をスポンサーから募って、主人公は高飛び・・・のはずだった。ところが、思いがけないことに「ヒトラーの春」はブラックコメディーとして思いがけなく大ヒットしてしまい・・・というまた妙な話であります。
 で、その劇中劇「ヒトラーの春」のシーンが出てきたんだが、おかしいこと。ナチスの制服を着込んだ美女軍団が鍵十字の形の隊列組んでヒトラーを賛美するようなシーン続出。ブルックス作品には以後も、しばしばヒトラーが登場するんですが、というかとにかくユダヤ人の自虐ギャグと、ヒトラーを無理にも出すのがこの監督のトレードマークですが、「大脱走」の劇中劇にもこの流れを汲むヒトラーをおちょくる芝居が出てくる。笑ってしまいますが不思議とナチスの制服などきちんと時代考証していて手を抜いていない。憎しみもあるがまたあの異様なビジュアルの高揚感もしっかり理解している、ということであります。
 ナチスコスプレの人を排除していればいい、という程度の日本のアホなイベント主催者とはぜんぜん奥の深さが違う。ナチスというのは見ていてとても面白くて絵になる、しかも恐ろしいものだ、という正確な理解があるんですね。だからわざわざ、再現してみせる。そのインパクトの強さ、これだけ時間がたっても残っている強い影響力を示してみせる。強靭な精神性と知力がなければできない芸当です。
 ああいう人が日本にもいるといいんですが。しかし本人がユダヤ系というのをあそこまで生かしきっている人もいない。私はブルックス監督は例外的に全面的に支持しているユダヤ系の監督です。
 スピルバーグ監督の「ミュンヘン」はさして見たいと思わない。しかし、なんでも今年中に「プロデューサーズ」劇場版の映画化リメイクが公開されるらしい、とその番組を機にちょっと調べてみて、知りました。それはぜひ見てみたいものです。
 ◇  ◇  ◇
 それで思い出しましたが、イスラエルのシャロン首相が危篤ですね。はっきりいって、近頃は和平を進めようという姿勢を進めていたしガザ地区西岸からの撤退などもやってのけたのだから一面的評価はいけないと思いますが、それまでのシャロンといえばとんでもない野郎の一言。イランのまたまたお騒がせ大統領が「彼が先祖と出会えることを願っている」とホンネを(またどうしてこの人、普通の人のように無防備に言うんでしょう)言ってしまいましたが、病気だからかわいそう、ですましていい人物ではないかもしれません。
 が、とにかくこのところは少なくともイスラエルの内部を抑えていたのも事実なので、彼がいまいなくなると、またまた滅茶苦茶になるということは言えるでしょう。こちらもどうなりますか。

2006年1月05日(木)
日興シティ証券のアホな話にはどなたも驚いたことと思う。「日興シティによると、同社社員が4日午前、個人的な資産運用目的で日興シティに注文を出す際、約50万円の株価を500円程度と勘違いし、用紙に株数を誤って記入。注文内容をチェックする同社の法務部門や取引担当者も、社員の口座残高をはるかに超える異常な取引額に気付かず、そのまま東京証券取引所に注文した。直後にミスに気付いた社員は1998株の売り注文を出したが、一部しか売買が成立しなかった。証券会社は社員の個人的な株取引を認めているが、必ず自社に注文し、法務部門が法律に抵触しないかチェックすることを条件としている(共同)」というようなあらましだが、そもそも証券会社の規定というのがどういうものか知らないのだけれど、就業時間中に社員が取引をしてもいいんだ、証券会社って。それ、普通のことなんですよね、おそらく。
 別に個人の取引だからいいじゃん、という問題かどうかですね。法務監査部門が審査してインサイダー取引じゃないことは確認したのだろうが、それにしても、どこの部門の社員だったかも日興は公表していないし、社内申請した時間まで「個人情報」といって発表していないそうである。またこの、なんでもかんでも都合のいいところで「個人情報」という言葉を振り回す最近の風潮でもあるが、それにしても同じ就業中といっても、事務員さんなのか取引やる人なのか営業マンなのか、で話が違うであろうし。別にその人がどういう人物かを暴こうというのではなく、どういう仕事をしていたかぐらいは公表してしかるべきである。
 にしても、毎日毎日、それはもう今までもあったのだろうけれど、特にジェイコム問題の後は株取引について問題、トラブルが表沙汰になる。カブドットコム証券でも、一部の人の口座に持っている以上の株式数が表示されて、それで実際に取引が成立してしまったというのだが、なんかそんなことでもうけている人はもうけているのだな、と思えば日々、会社などに行っておもしろくない仕事をしているのが耐え難くなってくる。
 みんな、会社に行って就業時間中に、コンピューターにかじりついて投資に明け暮れているればいいんじゃないか、こんなことなら。
 申しわけないが、証券会社というのは信頼できるんだろうか。なにしろどの業界もこの業界も、モラル崩壊している今日この頃である。社内で甘い取引をやっているのじゃあるまいか、という気もしてくる。今回はたまたま正月ぼけした馬鹿な人が失敗したが、いつももっとやってるんじゃないのか、いろいろとさあ。
 



2006年1月05日(木)
なんかあれですねえ・・・まあ、世間的にもまだ大ニュース、というのはないけれど自分自身も正月気分というより、なんか目標がない状態のまま、だらっとしておりますねえ。まあ、あれかなあ・・・男の更年期というのがとうとうやってきたかな。
 どういうもんか。まあ多くを語る必要もないですが。景気がいいと言ったって、個々人の生活はむしろ苦しくなる一方のようだし。
 駄目ですね今日は。正直な心境のみにてここまで。

2006年1月04日(水)
もう本当に嫌々ながら・・・ああもう、本当に嫌々ながら会社に行ってみた。一応、私の場合、大晦日から元日の明け方まで働いた後、3日までお休み、4日の朝から出ておりますのですが・・・ちょっと感心したね。といいますのは、うちの会社のすぐわきの道路というのが年に1回だけ全国的な注目を集める。つまり箱根駅伝の発着地点なんですな。あのあたりは、大晦日にはひそかに日本テレビの車両が場所取りにやってきて、いつのまにか報道各社のカメラマンの脚立なども並んでいる。が、ミレナリオを見に来た人たちの多くは、その目立たない小道が、あの駅伝の発着点などとは知らないわけである。
 まるきりスポーツに関心なき私も、一応、たまたま昨日の亜細亜大学の優勝シーンは見ていた。これは6位からの逆転だそうですごいこと。それはそうと、あれだけの旗の波、人混みが出ているのだからゴミだって大量に出るわけですが、やはり今日、朝になってみるとゴミ一つなく綺麗になっている。
 もちろん、私も仕事でこの箱根駅伝のスタート、ゴールの関連で出社した経験があるんでゴールの後は、関係者が一生懸命、ごみ拾いをしているのは知っている。というか後かたづけの手伝いをしたこともある。が、そういう能動的にかかわったときと違い、まるきり無関係の身で、テレビで傍観して、で、なんのかかわりもない気分のままふらりと出社してみると、今回も後かたづけをした人たち、ご苦労さんだっただろうなあ、という感慨を覚えたものである。
 ああ、ちなみに、あの新聞社の紙旗というのはどういうものか。少なくともうちの会社においては、本社が宣伝予算で購入して、新聞販売店のスタッフが配るものである。どこか東北地方の小さな工場で手作業で作っている、と聞いた。とかくあれについて苦情もあるのだが、それにランナーの妨害になりかねないという声も事実あるのだが、毎年主催する側からすると、あのぐらいのPRをさせてもらえないと主催する意味がない、というのもまあ、企業の理屈から言えば当然である。
 ◇  ◇  ◇
 興味ないついでに、柄にもなくサッカーの中田英の話でも。というのは、なんでも海外の報道で、近頃の彼氏はぜんぜん活躍の場がなくて、また移籍だか解雇というのもあり得る、というのである。私はこの人とか、野球の松井とか、もちろんそれぞれたいしたものだし立派な者だとも思うが、しかし世間の持ち上げ方もどうも、というのは「あの程度の活躍で褒めてしまって、それで日本人として満足していていいのか」というのが私などにはあるのである。そこそこ通用している、ということでそんなに褒めてしまっていいのかしら。ほとんどのにんげんがその域の足元にも達していないことは重々承知の上での暴言であるが、しかし彼らは日本では天才であった、しかし世界の場ではやはり平凡な一選手であった、ということでそんなに褒めてしまうのかいかがなものか、と私のようなものの評価の辛い男は思う。で、中田というのは、その前にいろいろあったに違いないけど、かつて「年寄りは要らない」といって三浦カズなどを排斥した男である。そういう自分も気付けば30歳が見えてきている。自分がその「年寄り」の年齢になったらどういうつもりか、と私は前から思っていた。
 すると、彼というのはいつまでもサッカー選手にこだわるつもりはない、と言ったそうである。それにその報道によれば「自分はサッカーは好きだが愛しているほどじゃない。実際の所、プレイするのは面白いが見ていて面白いスポーツとは思わない。なんでファンが熱心に応援するのか理解できない」と言ったそうである。
 いいことをいうじゃないか。こう思っているなら、なるほど彼の言動というのもわからんじゃない。はっきりいって私など彼の言を百回でも肯定したい。私自身が常々スポーツ嫌いを公言する理由の根底にあるのはまさに中田が言うような認識であるからだ。
 実際、スポーツなど見ていて何か面白いものだろうか。プロの仕事ぶりを見て感動する、という。しかししょせん他人の、それも恵まれた天才の仕事じゃないか。それでかれらは億万長者じゃないか。なんで彼らに貧乏人が(またああいうもののファンという者ほどなぜか貧乏人が多いのじゃあるまいか)金を落とさねばならないのか。応援せねばならんのか。
 弱肉強食の競争社会、というならスポーツの成功者なども邪魔なにんげんの一部である。彼らに回るべき金の一部でも自分に回ってくるように祈るべき時代である。
 しかし、中田ほどの選手が内心で「ファンは馬鹿だ」と思いつつやってきたのだとするなら、わかりやすい。やはり彼は「みんなの英雄」などではなく敵の一人である、ということである。
 IT長者がこぞって野球チームを持ちたがるのは何故か。ネットにしろプロスポーツにしろ、大多数の貧民を熱狂させだまくらかして金を落とさせるシステムに実にマッチしているからである。そして、「天才選手」というのはそういう場での見せ物、サーカスに売られたキングコングのようなものである。
 
 
 

2006年1月03日(火)
あけましておめでとうございます。大晦日、仕事をしながら横目で曙がボビーなんとかに殴られているシーンを見て「よほど金がないのかなあ、ヨコヅナ」と思いつつ、年を越した1時すぎに地下鉄に乗って帰宅。毎日、終夜でなくとも2時ぐらいまで電車を動かしてくれれば楽なのに、と思う。
 あとはもうずっと寝てくらす典型的寝正月。なんだか天気も悪くてあまり正月らしい穏やかさ、という感じもしない。
 テレビをつければどこの局のどの番組も同じようなお笑いタレントばかり。がまあ、少しずつその中でも、徐々に露出が減っている人、増えている人というのはあるみたいである。
 言うまでもなく、芸人さんの世界に横並びはあるまい。和やかそうにトークしていても、実際にはお互いライバルなわけである。誰かが目立てば誰かの影が薄くなる。
 ◇  ◇  ◇
 元日特ダネということで、読売新聞がそれらしきものを一面に持ってきていた。「幼稚園まで義務教育」というのである。まあ、話の筋としては、教育格差というのは小学生に上がる前の段階でついてしまっていて、その後では挽回が難しい、だから金もなくほったらかしのひどい親の子供も、金持ちの子供も、幼稚園教育ぐらいは平等に与えてみよう、という考え方は分からなくはない。少子高齢化、といいつつ、かえって足を引っ張るような出来の悪い子供が増えても、なんにもならない。そういう趣旨は分からなくはないがまたこれには金が要る。どこを削ってこっちに回すのか。
 日本の場合、とにかく選挙に来るのは老人だから、ということで医療と年金に金を使って子供や若い者はほったらかしてきたが、こないだの選挙で若い者も時として選挙に来ることが分かった。そういうこともあるんだろうとは思う。
 そりゃあ分かったが、今若いものもあっというまに年を取る。そりゃもうあっけないものである。子供がいる人だって「教育が大変だ」と思うのは人生の限られた期間である。子供が独立した後は、教育なんてどうでもいいから年金をくれ、ということになる。
 近頃、毎日新聞の「縦並び社会」という連載をけっこう興味深く読んでいるが、先日も勝ち組に残れなかった元花形IT企業の社長の話を取り上げていたし、今回は、年金暮らしの日本人が大挙して東南アジアに住み着いて、しかし実際には金のない「下流の日本人」も多く現地が困っている、という切実な話が載っている。
「年金は月13万円。娘の世話にはなりたくない。・・・不安はあったが、インターネットで移住先を探した。3LDKの家賃は4万8000円。外食中心の食費は約2万円で済む。ライスとチキンに偏るので生野菜だけは買って煮る。月10万円ちょっとで暮らせるが、日本の住民税や保険料を払えばぎりぎりの生活だ。
 ペナンは5年の長期滞在ビザで暮らす人がこの数年で急増し、日本人だけで400人ともいわれる。・・・事業に失敗して年金生活の計画が狂った老夫婦、会社をリストラされ、年金をもらえる60歳まで安く暮らすために来た世帯……。年金不安が海外移住に拍車をかけている。マレーシアは年金が25万〜30万円の「中流の上」の世帯を対象に「日本の2倍豊かな生活ができる」と宣伝してきた。だが、生活保護世帯からの問い合わせも来るため、軌道修正を検討している。単身の男性が認知症になり、日本に送り返されたケースもある。政府観光局の関係者は心配する。「いずれ日本人の路上生活者が出かねない」
 総務省の04年全国消費実態調査によると、主な収入が年金という夫婦2人世帯では、1カ月の平均消費支出額は約25万7000円。経済的にゆとりのある老後を送るためには、月に約37万9000円は必要(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」)というデータもある。一方、夫婦2人で国民年金に40年間加入した場合、年金は月約13万2000円にとどまる」というような話である。
 持ち家の人はローンが終わっていれば、とりあえず家賃は要らない。しかし固定資産税というのが曲者だ。あれもしかし国によってはそんな税金のない国もある。
 私は、まもなく39歳を迎える身で、もっと若い人たちには恐縮だが、しかし自分らの段階でも年金なんて出るかどうか分からない、とは思う。生きていけるんだろうか。たとえば70から支給で月額5万円、とかになっているかもしれない。
 いずれ50歳を過ぎたら死ね、というような話になるのかもしれない。
 新年早々、ろくでもない話でなんだが。

 

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