”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。


不定期日記 2011年

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2012年12月31日(月)
 さて、2012年もいよいよ大晦日を迎えました。先ごろ発表された読売新聞の「2012年10大ニュース」は@山中教授ノーベル賞受賞Aスカイツリー開業Bロンドン五輪──という具合。個別に見ればいろいろあるにしても、大災害の類は上位に入らず、まずまず平穏な1年だったといえるのかと思います。年末の政権交代も、誰にとっても予想通りの結果だったため、大した驚きはなかった、というのが大方の実感のようですね。
 私個人としましては、とにかく『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)を1月末に刊行できたのが大きい1年でした。さらに瞬間風速ですがamazonの軍事入門書部門で1位を獲得し、東京新聞、中日新聞、週刊ダイヤモンドなど13の新聞、雑誌に書評を掲載して頂き、ついに9月には重版することができました。出版不況といわれ、阿川佐和子さんの『聞く力』が年末の重版で100万部を突破した以外、ミリオンセラーが出なかった、というような今年ですが、その中で無名の私たちの書籍が健闘してくれました。ひとえに読者の皆さま、関係の皆さまのお陰でございます。年末に当たり、改めまして厚く御礼申し上げます。
 日刊ゲンダイ紙上の連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」も通算40回を超えました。こちらも重ねてご愛読に御礼申し上げる次第です。
 来年も、新たな展開ができたら、と考えております。またこのような場でご報告できたら幸甚です。
 どなた様もよい御年をお迎え下さいませ。本年もまことにありがとうございました。


2012年12月28日(金)
年末も押し詰まりましたが、このたび、私の大学時代のサークルの後輩で、現在は福島県郡山市の安積国造神社の宮司を務める安藤智重さんが新刊書『対談 東の艮斎 西の拙堂』(歴史春秋社)を刊行されました。
 安藤さんは、郡山にもう古墳時代の昔から鎮座する同神社の第64代、直系の後継者で、また幕末期に活躍した儒学者・安積艮斎(あさか・ごんさい)の父から9代あとの縁者、という立場の方ですが、これと、やはり幕末に活動した斎藤拙堂の子孫、斎藤正和氏が対談した内容をメインに、関連資料を加えた一冊です。
 対談の内容は多岐にわたりますが、お二人の強く言われているのが、精神教育がなくなって、責任感やリーダーシップの欠落した日本の現状への危惧です。「士」としての強い責任感や大局観を養う教育がなくなり、最近でいえば東京電力や政府の幹部の無責任ぶりを見ていると、日本の戦後教育の何が問題だったのか、露わになっている、という視点が強く感じられます。ことに福島県在住の安藤さんにとっては、ことは他人事でないわけです。
 序文を前福島県知事の佐藤栄佐久氏が寄せているのも注目されます。
 本体価格1200円。発行元は歴史春秋出版(電話・0242-26-6567)。

2012年12月27日(木)
 映画「レ・ミゼラブルLes Misérables」を見ました。本作は1985年初演の同名ミュージカルの映画化です。ですからセリフはすべて歌になっています。前に「オペラ座の怪人」が映画化された時、ミュージカルだと知らないで見てがっかりした、などと映画評掲示板に書き散らす人が多かったのであらかじめ、ご注意申し上げておきます。ミュージカルは苦手、と思う人は初めから見ないように。
 というわけで、すでに日本でも何回も上演されているミュージカルですし、原作もあまりにも有名なヴィクトル・ユゴーの「ああ無情」なわけですから、本筋は皆さん御承知の通り。たったパン一個を盗んだ罪で19年にもわたって牢獄につながれたジャン・バルジャンと、その逮捕に異様な執念を燃やすジャベール警部。私は1991年夏に帝国劇場で舞台を見ました。滝田栄、村井国彦、島田歌穂、斎藤晴彦、松金よね子・・・などという面々が出ていた記憶があります。
 劇場の場合、舞台ならではの演出があるわけです。単純に映画にすればいいというものではなくて、舞台だからあっと驚くような仕掛けも、映画ではどうということもない、ということになりかねない場合もあって、じつはミュージカルの映画化はなかなか難しいものだとか。
 しかし今回は「英国王のスピーチ」のトム・フーパー監督と、「レ・ミゼラブル」のほかにも「キャッツ」「オペラ座の怪人」「ミス・サイゴン」と数々の大ヒットミュージカルにかかわってきたキャメロン・マッキントッシュがタッグを組む最強の布陣。バルジャン役に、元々ミュージカル・スターでもあるヒュー・ジャックマン、ジャベール警部にラッセル・クロウ、ファンテーヌにアン・ハサウェイ、コゼットにアマンダ・セイフライド、テナルディエ夫人にヘレナ・ボナム・カーターと実力派ぞろいの豪華キャスト。また、オリジナルの初演時にバルジャンを演じたコルム・ウィルキンソンが、重要な役どころであるミリエル司教役で出ています。
 ときは1815年、ナポレオンがワーテルローの戦いに敗れフランスが王政復古した時代。トゥーロンの刑場で船を引く囚人ジャン・バルジャンは、看守のジャベールから仮釈放の書面を渡されます。晴れて自由の身に、と思うのは早計で、前科者に世間の目は冷たく、行き倒れ寸前のところをミリエル司教に救われます。命を救ってもらった恩をあだで返すように、司教が大事にする銀の祭器を盗み出すバルジャンでしたが、すぐに警察に捕まります。ところが驚いたことに、司教は「その銀器は私が彼に与えたものです」とかばった上に、「これも持って行きなさい」と銀の燭台もバルジャンに与えます。その慈悲の心に打たれたバルジャンは、改心して生きることを決意。
 1823年、マドレーヌと名を変えたバルジャンは、実業家として成功し、モントルイユ市の市長に。しかしここに、ジャベールが赴任してきます。動揺するバルジャン。そのころ、彼の経営する工場を解雇されたファンテーヌは、娘の養育費を稼ぐために髪を切って売り、歯も抜いて売り、ついには娼婦に身を落とします。バルジャンは息絶える寸前の彼女から、娘コゼットの身を託されます。一方、仮釈放の身から逃亡したとして追われているジャン・バルジャンが逮捕された、という知らせを受けて彼は苦悩します。自分が名乗り出なければ、無実の人間がジャン・バルジャンとして牢獄に送られてしまう。バルジャンは法廷に赴き、自分こそがジャン・バルジャンである、と告白します。
 ジャベールが後を追いますが、バルジャンはコゼットがいるテナルディエ夫婦の安宿へやってきます。ろくでもない人種である夫婦に法外な金を支払い、コゼットを助け出したバルジャンは、そのまま姿を消します。ジャベールは正義の名のもとに決してバルジャンを逃さないことを誓います。
 そして1832年、パリの街は貧富の差にあえぐ人々の声で満ち、またもや革命の機運に満ちていました。革命運動に励む青年マリウスは、街で出会った女性に一目ぼれ。マリウスは仲間のエポニーヌに、彼女の家を探してほしい、と依頼します。しかしエポニーヌはテナルディエ夫婦の娘であり、そのマリウスが求める女性がジャン・バルジャンと共に姿を消したコゼットであることに気付きます。同じころ、パリに赴任していたジャベールもバルジャンがパリにいることを知ります。6月、革命に向かって歴史が大きく動いていく中、バルジャンとジャベールの宿命の対決は、そしてマリウスとコゼットの恋は、さらにエポニーヌとの三角関係はどうなっていくのでしょうか・・・。
 というわけで、ヒュー・ジャックマンは最近ではXメンのウルヴァリンのイメージがあまりに強いのですが、今作で実力演技派で歌唱力もあるスターであることを見せつけたのではないでしょうか。それからアン・ハサウェイの熱演は特筆もので、実際に髪を切られる体当たり演技は凄まじいです。またこの作品は、舞台版でもエポニーヌ役と、革命指導者のアンジョルラス役に歌唱力のある人を充てるものなのですが、この映画でエポニーヌは、舞台で同じ役を演じているサマンサ・バークス、アンジョルラスはミュージカル畑出身のアーロン・トヴェイトと、やはり実力派で固めています。それから、なんといっても欠かせないのが、革命派に属する少年ガヴローシュで、舞台でも上手な子役が必ず抜擢されますが、本作ではダニエル・ハトルストーンという子役が見事な演技を見せています。
 舞台では、バリケードがぐるりと回って、そこで赤い旗を掲げて事切れているアンジョルラスの姿が登場し、観客を驚かせるのですが、映画ではそのままやっても効果的ではなく、うまい方法で解決しています。その他、映画ならではの演出やシーンもかなりあるようで、さらに映画オリジナルの曲も追加されて、舞台版とは少し異なっている部分もあります。
 とはいえ、何しろ名曲ぞろいで出演者は熱演、感動の幕切れはまさしく感涙もので、私が見た映画館でも場内ですすり泣いている人がたくさんいました。
 最後、どうなるか分かっている話なのに、これだけ心を打つのはすごいものです。今年はおそらくこれが最後に見る映画でしょうが、年末に本当にいい映画を見ました。

2012年12月22日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第43回が、22日発売号に掲載されました。今回は「カフスボタンはもともとヒモだった」として、シャツの袖口を飾るカフリンクスの歴史を紹介。本連載は隔週土曜日掲載(次回は新年1月12日発売号予定)です。
 ◆  ◆  ◆
 ところで、今号のゲンダイの31ページにはうちの辻元玲子さんのイラストも載っています。「内臓の隠れ病は顔に出る」という記事の図説ですが、病気の顔の絵ですから、ちょいと不気味です。


2012年12月21日(金)
 ピーター・ジャクソン監督の新作「ホビットの冒険 思いがけない冒険 THE HOBBIT UNEXPECTED JOURNEY」を見ました。あの10年前に映画界に革新をもたらした「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の続編──、いや、正確にいえば「前日譚」です。今回の「ホビットの冒険」シリーズも三部作の予定ですので、全部で6作。そして、先に三部作を作り、それより遡った時代で三部作を製作するという経過は「スター・ウォーズ」シリーズと同様です。すなわち、本作品は指輪物語シリーズの「エピソード1」ということになります。
 原作者のJ・R・R・トールキン教授は、初めに子供のためのおとぎ話として「ホビット」を書き上げました。ところがこれが非常に評判がよく、ここからさらに話をどんどん大きくして、彼の創造したファンタジー世界「中つ国」の世界大戦の模様を壮大なストーリーで描く「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」を書くことになりました。
 映画の製作順は、原作の執筆順とは逆になっているわけですが、そのおかげで、トールキンが続編を書くにあたって、前作をいろいろ整合性をつけるために書き直さざるを得なかったのとは逆に、この映画ではロード・オブ・ザ・リングでの展開を踏まえた伏線をいろいろ張れるわけです。
 中つ国の片田舎で小人族のホビットたちが住むホビット荘。袋小路屋敷の当主ビルボ・バギンズは、平和で満ち足りた暮らしを満喫していました。しかしそこに魔術師ガンダルフが訪れ、さらにドワーフ族の王族トーリン・オーケンシールドと13人のドワーフが突然、やってきます。トーリンはかつて悪竜スマウグに奪われた離れ山の「山の下の王国」を奪還しる決意を固めていました。ガンダルフはビルボを本人に断りもなく「忍びの者」としてメンバーの一人に推薦していたのです。あれこれの経緯の後、ついに安定した生活を捨てて冒険の旅に出かけることにしたビルボ。しかしその行き先には、単に竜を倒して古い王国の宝の山を見つけに行く、というおとぎ話的な展開にとどまらず、中つ国に再び復活し始めていた古の魔王の影がちらつき始めていました・・・。
 ということで、原作はわりとゆるい児童文学なのですが、映画はあくまでもロード・オブ・ザ・リング三部作のエピソード1として、非常に壮大かつシビアな味に仕上げており、前の三部作を見た人は必見です。原作の「ホビット」には描かれていないが、「指輪物語」で大幅に増補した部分が取り入れられてます。たとえば原作では名前しか登場しない茶色の魔法使いラダガストが大活躍したり、サルマンやガラドリエルが参加する白の賢人会議の描写が描かれたりします。ファンには嬉しい要素ですね。また、映画の冒頭部分も、冒険の60年後、そして「ロード・オブ・ザ・リング」の少し前の時点で開かれたビルボの100歳を祝う誕生パーティーを描いており、ここで前作でビルボを演じたイアン・ホルムズと、フロドのイライジャ・ウッドが再演してくれているのも嬉しいサービス。昔からの原作ファンなら「ああ、このシーンも映像化してくれたか」と思うこと請け合いです。
 上記の二人のほか、ガラドリエルのケイト・ブランシェット、エルロンド卿のヒューゴ・ウィーヴィング、そしてガンダルフのイアン・マッケランが、とても楽しそうに10年ぶりの役を演じています。そして驚かされるのが、サルマン役のクリストファー・リー。なんと今年90歳を迎えましたがかくしゃくたるもので、前作より60歳若い白の魔術師サルマンを演じています。何しろリーはトールキン教授と会ったことがある唯一の出演者ですから・・・。
 若き日のビルボを演ずるのはマーティン・フリーマン。「銀河ヒッチハイクガイド」で無理やり宇宙旅行に連れ出される情けない地球人の役をやって有名になりましたが、同じような役柄といえますね。また、本作のもう一人の主役であるトーリン役はリチャード・アーミティッジ。これまでですと「キャプテン・アメリカ」でナチスの諜報員などを演じた程度で、まだまだ無名に近いのですが、これで注目されることは間違いありません。国を奪われた悲壮な王子役を熱演しています。
 さらに、本作ではあのゴラム(ゴクリ)がパワーアップして登場。前作ではまだぎこちない部分もあったモーション・キャプチャーももはや完成の域。演じるのはもちろんアンディ・サーキスです。
 この「ホビット」で、ビルボはゴラムから「指輪」を手に入れることになり、これが60年後のフロドの冒険につながっていく伏線になるわけですね。
 とにかく圧倒的な映像美です。ホビット荘、ゴブリンの地下王国、ドワーフの王国、いずれも見事な視覚化で、もはやこれを上回るものは難しいのでは、と思われます。「ロード・・・」の映画のファン、原作小説のファンも見ておくべき映画だと思いました。
 
 

2012年12月18日(火)
 総選挙が終わりました。結果についてどう思うか? まあそういう話題はやめておきましょう。しかし、3年かけてやったことは公約になかった増税だけ、というどこかの政党が大敗したのは当然じゃないでしょうか?
 これで私もやっと年末モードに・・・。妻の玲子が近所の和菓子屋さんで「クリスマス和菓子」を買ってきてくれました。サンタさんやトナカイのお菓子ですが、こんなかわいい顔を食べるのは、ちょっとかわいそうですね。

2012年12月13日(木)
 「007スカイフォールSKYFALL」を見てきました。1967年生まれの私としましては007ジェームズ・ボンドはやはりショーン・コネリーかロジャー・ムーアまで、です。率直に言って、ティモシー・ダルトン以後のシリーズはほとんど見ておりません。もちろん、6代目のダニエル・クレイグ版も、テレビ放映しているものをながら見しただけで、ちゃんと観賞したことはありませんでした。
 しかし、シリーズ第1作の「ドクター・ノウ」が公開されたのが1962年ということで、今作は記念すべきシリーズ50周年作品。それで、あまりの食わず嫌いもいけないかな、とも思い、劇場に足を運んでみた次第です。
 ところで、本作のタイトル「スカイフォール」というのは何かと言えば、ボンドが子供のころに育ったスコットランドのスカイフォール邸という建物に由来しております。つまり、ボンドが50周年を機に、ルーツを見つめ直す、という制作意図を強く感じる内容になっております。実際、クレイグ本人もインタビューなどでかつての黄金時代の007に回帰する意欲を強く見せております。クレイグ本人はやはり初代コネリーのボンドに憧れがあるそうで、特に「ロシアより愛をこめて」とか「ゴールドフィンガー」が好きだとか。
 本作は冒頭、イスタンブールでの激しいアクションから開幕します。「ロシアより愛をこめて」以来のロケ地となったイスタンブールの市街で、ボンドと謎の殺し屋パトリスが死闘を繰り広げます。パトリスは各地に潜入している諜報員のリストを奪って逃走中で、これが悪用されると組織は壊滅してしまいます。英国諜報部MI6長官Mの指令で、このリストを追うボンドは、爆走する列車の屋根の上でパトリスを追い詰めますが、焦ったMが諜報部助手のイヴに狙撃を命令、イヴは狙いを外し、犯人ではなくボンドを撃ってしまいます。ボンドは90メートルも転落して川に落ち、殉職したものと思われました。
 その後、リストを奪った謎の敵はMI6の本部を爆破、潜入諜報員を次々に処刑し、MI6を揺さぶります。Mの上司である国家情報委員会の新委員長マロリーは、Mに責任をとっての引退を勧告。さらにMは議会に喚問され、大臣から査問を受ける羽目に陥ります。MI6は時代遅れで、諜報部などリストラの対象にすべきだ、というのです。この危機の中、死んだと思われていたボンドがふらりと姿を現します。マロリーはボンドに対しても、引退を示唆しますが、ボンドはMと組織を守るためにも謎の敵に挑んでいきます。リストを奪った殺し屋パトリスは中国・上海で活動しており、ボンドは激闘の末に彼を倒します。さらにここから、マカオに敵の首領がいることを突き止め、マカオのカジノに乗り込みます。謎めいた美女セヴリンと接触したボンドは、ついに敵の親玉であるシルヴァと対面。彼は元英国諜報員で、MI6とMに対して激しい憎悪を抱いている人物でした。
 ボンドはシルヴァを捕まえ、ロンドンに護送しますが、これはシルヴァの仕掛けた罠で、彼は初めから議会で査問を受けるMを襲う計画でした。ボンドはマロリーやイヴと協力してMを守り抜きますが、このままロンドンにいては危ない、ということでMを連れてスコットランドへ。自分の故郷、スカイフォール邸に赴き、シルヴァとの対決を迎えます・・・。
 というような展開なのですが、冒頭の激しいアクションは、とりたててジェームズ・ボンドというよりは、普通のアクション映画です。ところがこれが、少しずつ話が進むうちに私のような昔のシリーズが好きなオールド・ファンにも納得の「原点回帰」精神がにじみ出てくる展開となります。
 まあ、いくつか例を挙げれば、ここ数年は姿を消していた装備係のQや、Mの秘書マネーペニーが復活するのですよ。さらに往年のコネリー・ボンドが乗っていた名車アストン・マーチンまでが復活します。セリフ回しもどことなく、初期シリーズを思わせる英国的ユーモアをたたえたものがちりばめられています。
 そして、本作は最後の最後、衝撃的な展開に向かっていきますが、ここはぜひ劇場で・・・。
 シルヴァ役のハビエル・バルデムと、M役のジュディ・デンチというオスカー受賞者はさすがの演技で存在感を示しています。マロリー役のレイフ・ファインズもいいです。そしてボンドガールのナオミ・ハリスとベレニス・マーロウも魅力的。特にハリスは大活躍しますが、セヴリン役のマーロウは意外に出番は控え目で、もうちょっと見たかったかも。
 まあ、正直なところ、やはりダニエル・クレイグは私のイメージの中では007にはどうしても見えないのですが、しかし上記のように初期のシリーズとの関連付けを意識している本作を見ているうちに、最後の方では彼がボンドに不思議と見えてきたのです。非常に巧みに出来た50周年記念作で、私のような、最近、ちょっと御無沙汰、という人ほど、試しにご覧になってみるといい映画なのでは、と思いましたね。

2012年12月09日(日)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第42回が、8日発売号に掲載されました。今回は「セーターの語源は汗をかくための運動着」として、冬の定番ニット衣料柄の歴史をご紹介。この連載は隔週土曜日掲載(次回は12月22日発売号予定)です。


2012年12月01日(土)
いよいよ師走ですね。普通なら、年末モードなんですが、今年は総選挙ということで、私も本業が一応、報道機関であるわけで、これが終わらないとなんとも・・・、という感じでございます。
 それにしても政党が乱立して、困ってしまいます。先日は、ようやく「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」なんて長い党名を覚えたと思ったら、瞬く間に「未来の党」に吸収合併されてしまいました。党が多いから候補者も乱立、それも政党が合従連衡するたびに立候補予定区まで調整が入って変わってきますから、もう大変です。
 しかし、ちょうど1年前には、「図説 軍服の歴史5000年」の最終追い込みにてんてこまいしておりました。あれからもう1年、あるいはまだ1年・・・。うーん、どっちともいえますね。ちょっと早いですが、来年も「戦史・服飾史研究家」として新しい仕事をしたいな、と思っておりますけれども。どうなるでしょうか。
 というような、近況でした。

2012年11月25日(日)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第41回が、24日発売号に掲載されました。今回は「ナチスが世界初の迷彩軍服を作った」として、カジュアル衣料にも多く見られるカモフラージュ柄の歴史を紹介。この連載は隔週土曜日掲載(次回は12月8日発売号予定)です。


2012年11月22日(木)
 二つの展覧会を見てきました。いずれも辻元玲子が参加している「理科美術協会」の先輩方の作品展です。
 ◆まずひとつは、艦船画の第一人者で、日本出版美術家協会の副会長でもある水野行雄先生の「水野行雄×仲埜和男 Art Grage展示会」です。水野先生の船の絵はすでに定評があるわけですが、今回は仲埜氏によるアール・グラージュという手法により、たとえば戦艦大和が昼間の光線から、徐々に日が暮れて夕日を浴びる様、さらに夜、月の光に照らし出される様、と徐々に変化していく画期的な技術により、さらに魅力的になりました。特殊な蛍光塗料を原画に重ねて塗り、光線で照らすことにより、この斬新な効果が生まれます。これは本当に見事なものです。この展示会は今月24日(土)まで、銀座8−12−3 アートスペース&バーREVERSE(リバース)03-6228-4844で開催。時間は11時〜19時(最終日は18時)。また、12月8〜10日には大阪でも展示会を開く予定だそうです。
 ◆もうひとつは、「リチャード・アンセル展」です。第一次大戦時までの複葉機の復元図で国際的に活躍する英国出身のアンセル先生の毎年恒例の個展ですが、今回は日本の航空黎明期の飛行機に加え、フォッカー戦闘機の詳細な図解が並びます。リヒトホーフェン航空隊の所属機が一堂に会する展示は圧巻です。こちらは今月27日(火)まで、新宿区西新宿6-6-2 ヒルトンホテル東京地下1階のヒルトピアアートスクエア03-3343-5253にて。11時〜18時半(最終日は16時)です。

2012年11月22日(木)
 また豊洲のユナイテッドシネマに行きました。私が浦安市内の映画館以外にわざわざ足を運ぶというのは・・・また例によって、ニコラス・ケイジの新作(って、今年はもうこれで3本目ですが)がやっているんですね。日本での題名は「ゲットバック」ですが、英語題名はSTOLENです。このところ、国内では地味な展開が続くニコラス作品、今作も全国35館ほどで公開、ということでどこでも見られる状況ではありません・・・かわいそう、ニコラス。
 が、本作はサイモン・ウェスト監督とニコラスとのコンビ。ウェスト監督と言えば最近、話題の「エクスペンダブルズ」シリーズですが、それより前に、ニコラスの15年前の出世作「コン・エアー」の監督でもあります。というわけなので、きちんと押さえるべきツボを押さえた、テンポの良いクライム・アクション映画に仕上がっております。
 舞台はニューオリンズ。銀行の金庫破りの名人ウィル(ケイジ)は、相棒のヴィンセント、ハッカーのホイト、紅一点のドライバー・ライリーの4人組で今日もまんまと仕事に成功。警察の裏をかいて1000万ドルの大金を手に入れます。しかし、銀行をずらかる直前、清掃員の老人に顔を見られてヴィンセントが激昂、老人を射殺しようとします。「殺しはやらない」とこれを阻止するウィルはもみあいになり、ヴィンセントは間違って発砲、自分の脚を撃ち抜いてしまいます。このトラブルで時間を失い、ホイトはウィルを見捨てて、負傷したヴィンセントを車に乗せて逃走。ウィルはFBIのハーランド捜査官に逮捕されてしまいます。
 そして8年後、刑務所を出所したウィルは、一人娘のアリソンに会いに行きますが、8年前に父親が犯罪者だということを知り、心に大きな傷を受けたアリソンは父親を拒絶。タクシーをつかまえて走り去ります。その後、ウィルに届いた小包の中に入っていた携帯電話が鳴り出します。その電話の主は、ウィルが服役中に死亡したと聞かされていたヴィンセントでした。ヴィンセントはあのトラブルの後、片足を切断し、落ちぶれてしまったと言います。そして、「娘を預かっている。俺はいまタクシーの運転手でな、トランクに娘を入れている。娘の命が惜しかったら、あの8年前の1000万ドルを俺によこせ」。ところが、ウィルは逮捕される寸前、刑を軽くするため札束をすべて燃やしてしまっていました。ウィルはハーランド捜査官の元に自ら赴き、事情を説明しますが、ハーランドもウィルが本当は1000万ドルをどこかに隠していると疑い、またヴィンセントは死亡していると信じているので、まともに取り合ってくれません。ウィルは身柄を拘束しようとするFBIの手を逃れ、昔の仲間、ライリーを訪れ、最後の大仕事にかけようとします。手元に大金がない以上、娘アリソンを救うには、ヴィンセントに別の金を用意して渡すしかありません。彼は8年間、刑務所の中で考えていた金庫破りの計画をライリーとともに実行しようとします。さあ、ウィルはアリソンを無事に救い出すことができるのでしょうか・・・。
 というような展開が、もうジェットコースターのようなめくるめく速さで動いていきます。アクション満載、筋書きも上出来、非常に面白いドラマになっています。仲間に裏切られ、家族に見放されて、警察に追われる男を演じるニコラスは、はまり役。哀愁漂うニコラス・ケイジでなければ成り立たない作品ですね。悪役のヴィンセントは「ステルス」「ポセイドン」などで知られるジョシュ・ルーカスが熱演。ほかの出演者もニコラス以外にビッグネームという人は出ていませんが、キャスティングもよくていい映画だと思います。
 ニコラスは、すでにニューオリンズを舞台にした映画に4本も出ていて、つい最近の「ハングリー・ラビット」もそうでした。ニューオリンズ名物のお祭り「マルディグラ」が出てくるのもお定まりの展開。ニコラスはちょっと前まで、ニューオリンズ市内に2軒も家を持っていたとかで、本当に愛着があるんですね。
 サイモン・ウェスト監督は「エクスペンダブルズ3」にはニコラスを招集する予定だと言いますので、本作はその伏線ともいえるでしょうが、コン・エアーのコンビはやはりいい仕事をしていると思いました。

 
  

2012年11月13日(火)
 開催中の「本の世界を彩ってきた挿絵画家たちの原画展 粋美挿画展2012」。現在はいよいよ最終週を迎え、18日(日)まで「時代小説の世界」と題し、新撰組や戦国武将を描いたイラストが多数、展示されています。
 我が家の辻元玲子さんも大鎧を着た武者の絵・・・これ、モデルは私です。それから徳川家康の南蛮胴具足や、井伊直政の具足(あの、ひこにゃんの赤い鎧ですね)、南北朝期の胴丸のイラストを展示しています=写真=。会場は、〒101-0051千代田区神田神保町1-17、東京堂書店神田神保町店6階の「東京堂ホール」にて、入場無料です。どうぞ東京堂書店においでになってください。

2012年11月10日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第40回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「縞模様のシマは長崎・出島の島」として、いろいろな生地の模様、ペイズリー、チェック、ストライプやボーダーの歴史を紹介。この連載は隔週土曜日掲載(次回は11月24日発売号予定)です。


2012年11月09日(金)
 例によって映画を2本立てで見てきました。野村萬斎主演の戦国時代劇「のぼうの城」、そしてリンカーン大統領が実はヴァンパイア・ハンターだったという異色のホラー「リンカーン/秘密の書ABRAHAM LINCOLN VAMPIRE HUNTER」です。
 ◆「のぼうの城」は原作小説がすでにベストセラーとなっており、また水攻めのシーンが津波を連想させるため、昨年の公開を延期し、1年待って今の公開となったことでも話題になりました。
 「のぼうの城」というのは「でくのぼうの城」という意味で、忍城(おしじょう=現在の埼玉県行田市)の指揮を執った武将、成田長親(なりた・ながちか)の呼び名からついた題名です。
 物語は1582年、備中高松城を水攻めする羽柴秀吉のシーンから始まります。巨大な堤を築いて水を入れ、城郭ごと水没させてしまう水攻めは、圧倒的な武力と財力を持った天下人の軍勢しかなしえない究極の戦術で、その豪壮な有様に、秀吉の部下、石田三成は「いつか自分もこのような戦がしてみたい」と憧れの念を抱きます。
 やがて本能寺の変で主君・織田信長が倒れると、後継者になった秀吉は瞬く間に西国を平定して天下人となり、関白に就任して豊臣秀吉と改名。天正18年(1590年)には最後に残った関東の有力大名である後北条氏の小田原城を征伐することになります。北条家傘下の大名である忍城城主・成田氏長は、北条家の参陣命令に従い兵を率いて小田原に出立しますが、忍城の留守部隊には「自分は関白に内通して降伏し、所領を安堵してもらうつもりなので、関白の軍勢がやってきたら何もせず、黙って開城するように」と言い残します。
 ところで、忍城城代家老で、城主・氏長の叔父である成田泰季(やすすえ)はこの重大事に病を得て急死。泰季の子で、それまで「でくのぼう」の意味の「のぼう様」の名で、領民や家臣から侮られながらも愛されていた氏長の従弟・長親が急きょ、城代となることに。
 一方、豊臣軍の方では、小田原城を包囲しながら周囲の支城を攻略することにします。秀吉は、自分の側近の三成が、実戦での経験が乏しく諸大名から侮られているのを考慮し、冷静で部略にたけた大谷吉継、傲慢だが理財の才がある長束正家(なつか・まさいえ)を参謀につけて、2万の大軍を与え、館林城、忍城の攻略を命じます。じつは両城とも内通しており、簡単に落城することは秀吉には分かっていました。そのことを知らない三成は館林城が一戦も交えず、開城するとあまりのあっけなさに落胆します。次いで忍城に攻め寄せると、三成はわざと傲慢不遜な長束正家を軍使にして忍城に派遣します。あまりに高圧的で人を馬鹿にした態度をとる正家を前に、これまで「でくのぼう」と思われていた長親は態度を改め「坂東武者の槍の味、とくと味わわれよ!」と啖呵を切って、わずかに500人の守備兵で2万の豊臣軍と戦うことを宣言。部下も領民も最初はとまどいますが、「あの、のぼう様が言いだしたことなら仕方がない」と長親を支持、一方、内心、戦がしたかった三成も「そうこなくては!」と喜び、ついに大籠城戦が始まることになります。さて、のぼう様と忍城の人々はどうなるのでしょうか・・・。
 というようなわけで、基本的には400年前の史実がベースとなっており、石田三成の忍城水攻めというのは、歴史ファンにはよく知られた話なのですが、このようにスポットライトを浴びたことはこれまでなかったわけです。成田長親なる武将もこれまでは無名で、急にこれで取り上げられて著名になったわけで、面白いものです。
 なんといっても「のぼう様」役は鬼才、野村萬斎でしかなし得ず、彼なくばこの企画は映像化できなかったのではないでしょうか。「うつけ」なのか「天才」なのかよく分からない人物像は、言ってみれば「大うつけ」と呼ばれた若き日の織田信長をソフトにした感じですね。また関白・秀吉役の市村正親の存在感、長親の盟友である正木丹波を演じた佐藤浩市の確かな演技が光ります。成宮寛貴、山口智充、榮倉奈々ら忍城の面々もみなキャラクターがはっきりしています。鈴木保奈美が11年ぶりに映画出演しているのも注目。領民の前田吟、尾野真千子、そして芦田愛菜もいい演技しています。石田三成役の上地雄輔、大谷吉継役の山田孝之、長束正家役の平岳大の3人もいい味を出していますが、この3人、これからわずか10年後には関ヶ原の戦いに臨むことになるので、その伏線のような要素も多く、演じる上でもそのへんを随分、考慮したとパンフレットにあるようですね。
 なかなか考証的にも興味深いシーンが多く、城主・氏長(西村雅彦)が甲冑を着込むシーンや、長束正家に対して宣戦を告げる際、正木丹波が右手に置いていた太刀を左側に回す(いつでも抜けるようにする)といった細かいところも行き届いています。全体的によく出来た映画でした。
 史実では、成田氏長はこの後、秀吉配下の有力大名・蒲生氏郷に従って大名に復帰、長親はその時代に氏長と不和になって出奔し、晩年は尾張に住んだといい、また甲斐姫(榮倉)が秀吉の愛妾になるのも、実際にはその蒲生家時代で、映画のように忍城攻めの直後ではないようです。
 ◆「リンカーン/秘密の書」は、実は第16代合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが吸血鬼ハンターの顔を持っていた、という一見、荒唐無稽な設定なのですが、見てみるとこれがなかなか説得力があるのですね。セス・グレアム=スミスの原作小説のヒットを受け、ティム・バートンが制作、そしてあの「ウォンテッド」の鬼才、ティムール・ベクマンドルフが監督、ということで独特のおどろおどろしい感覚がなにやら19世紀アメリカの闇の部分を巧みに描き出しています。
 この話は、要するに南北戦争の根本原因と言うのが、単なる黒人奴隷解放ではなく、黒人奴隷を食料源とするシステムを南部に構築していたヴァンパイアたちとリンカーンとの暗闘であった、という見方なんですが、そう言われるとそう思えてくるほど、史実をうまく使っています。リンカーンが貧困な家庭で育った、というのは有名な話ですが、その一家を虐げ、母親の命を奪った奴隷商人バーツが実はヴァンパイアであり、少年リンカーンはこのバーツを倒すべく、謎の男、ヘンリー・スタージスの指導を受けて有能なヴァンパイア・ハンターになります。ヘンリーの命令を受けてヴァンパイア狩りをする中、運命の女性メアリーと出会い、また個別にヴァンパイアを倒すだけではなく、合衆国の奴隷制度そのものを改めなければ、と思い立ち、宿敵バーツを倒した後は政治の世界を志し、ついに大統領に。しかし南部はリンカーンに反抗して南北戦争が勃発。南軍を支援するのは吸血鬼の首領でリンカーンの真の敵であるアダムでした・・・。
 私の立場だと、どうしても19世紀のコスチュームに目が行ってしまいます。それがよくできていますね。この時代はフロックコートにクラバット、トップハットが全盛期で、紳士はみなそのような服装をしています。南北戦争の描写では両軍の兵士が出てきますが、これもちゃんと考証が行き届いています。ヴァンパイアたちはサングラスを使用している者が多いのですが、この時代にはそろそろ一部で普及していたのは本当のようですね。
 史実では、リンカーンの子供は4人いたようですし、またメアリー夫人との結婚生活も実際にはあまりうまくいっていなかったような話もあります。リンカーンの実在の盟友であるジョシュア・スピードがヴァンパイアに殺されてしまったようですが、あのへんはあれでいいのでしょうか? まあこちらは史劇ではなくて、あくまでファンタジーですから、あまりシビアに見る必要もないのですが、しかしなかなか考証面はしっかりしているので、ついつい真面目に受け取ってしまう作品です。それだけうまく出来ている映画だったと感じました。
 

2012年11月08日(木)
 昨日は、銀座のエトロ本店にて、エトロ家の長男ヤコポ・エトロ氏と、エトロ名物「ペイズリー」模様を手描きで制作し続けている職人さんが来日し、イベントがありました。
 その制作作業を拝見しましたが、聞くと、紙も至って普通、絵具もごく普通の水彩と、まったく画材はありきたりなものなのに、超絶技巧であの凄まじい模様が生み出されるんですね。この原画を基にテキスタイルが制作され、あの華やかなネクタイやスカーフになるわけです。デジタルで作られた模様が世の主流でしょうが、こういう形で伝統的技法と、最先端のファッションが結合していくわけですね。
 至って普通の紙と、普通の水彩絵の具を愛用する我が家の画家・辻元玲子さんも大いに親近感を抱いていたようです。

2012年11月03日(土)
 11月18日(日)まで、4週間にわたりまして開催中の「本の世界を彩ってきた挿絵画家たちの原画展 粋美挿画展2012」。あす11月4日(日)までは「ミリタリー・アートの世界」と題し、戦車や戦闘機、軍艦、そして軍人のイラストが集結します。プラモデルの箱絵で著名な高荷義之先生、大西將美先生や上田信先生、水野行雄先生の作品、それに小松崎茂先生、梶田達二先生など巨匠たちの作品も多数、展示。我が家の辻元玲子さんも「ヒトラー」や「ロンメル元帥」の肖像を出展しています。
 きょう3日には、大西先生と水野先生のサイン会がありまして、私ども夫婦も両先生からサインをいただきました。
 本展は今後、11月5日(月)〜11日(日)は「ミステリー&サスペンスの世界」で、推理小説や探偵小説を彩ったイラストが一堂に会します。そして最後、11月12日(月)〜18日(日)は「時代小説の世界」。新撰組や戦国武将を描いたイラストが多数、展示されます。こちらにも辻元玲子の甲冑武者や具足の作品が展示される予定です。
 〒101-0051千代田区神田神保町1-17、東京堂書店神田神保町店6階の「東京堂ホール」にて、午後8時まで、入場無料です。関連グッズや書籍、さらに一部、原画の即売もされる予定です。ぜひ皆様、ご来場下さい。


2012年10月30日(火)
 いよいよ10月も終わり、年末ですね。ところでまずはお知らせです。日刊ゲンダイの連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」は、予定通りだと11月3日(土)発売号に第40回が載るところですが、3日は祝日につき1週飛んで、11月10日(土)発売号に掲載となります。宜しくお願い申し上げます。
 ◆  ◆  ◆
 11月18日(日)まで、4週間にわたり開催中の「本の世界を彩ってきた挿絵画家たちの原画展 粋美挿画展2012」。
 本展は四つのカテゴリーに分けて開催され、現在は2週目の「ミリタリー・アートの世界」を展示中です(〜11月4日・日曜まで)。いろいろな専門誌のイラストやプラモデルの箱絵として使用された戦車や戦闘機、軍艦、そして軍人のイラストが集結中です。あの巨匠・小松崎茂先生の「戦艦大和」をはじめ、小松崎一門の高荷義之先生、大西將美先生、上田信先生、水野行雄先生の作品、それに梶田達二先生のご作品もあります。我が家の辻元玲子さんも「ヒトラー」や「ゲーリング」「ロンメル元帥」の肖像などを出展しています。
 会場は、〒101-0051千代田区神田神保町1-17、東京堂書店神田神保町店6階の「東京堂ホール」にて、入場無料です。関連グッズや書籍が同書店1階で販売されており、さらに一部、原画の即売もされています。
 今日は、午後3時過ぎにうかがいましたら、水野行雄先生がいらっしゃいましたので、撮影させていただきました。学研やモデルアートの専門誌で有名な艦船精密画の原画が多数、展示されています。水野先生の原画は、いずれも販売しており、お安いもので30万円ほどから。先生が仰るに、小松崎一門の作品がこれだけそろう展覧会は今まであまりなかった、とのことで、特に大西先生がこれだけ多数、出展されるのは珍しいとか。上田先生もイカロス出版の「ミリタリー・クラシックス」でおなじみの楽しいご作品などをたくさん、出されています。
 ぜひこの機会に、素晴らしい作品群に接していただければ、と思います。

2012年10月27日(土)
 11月18日(日)まで、4週間にわたりまして日本出版美術家連盟主催の「本の世界を彩ってきた挿絵画家たちの原画展 粋美挿画展2012」が開催中です。今日は、あのアース・ウインド&ファイアーやエレクトリック・ライト・オーケストラ、カーペンターズなどのレコードジャケットで世界的に著名な長岡秀星先生のサイン会があり、私もいただいてきました。 本展は4部門に分かれ、あす28日(日)までは「カー&トレインの世界」として、自動車や蒸気機関車などの絵を特集。29日(月)〜11月4日(日)は「ミリタリー・アートの世界」と題し、戦車や戦闘機、軍艦、そして軍人のイラストが集結します。11月5日(月)〜11日(日)は「ミステリー&サスペンスの世界」で、推理小説や探偵小説を彩ったイラストが一堂に会します。そして最後、11月12日(月)〜18日(日)は「時代小説の世界」。新撰組や戦国武将を描いたイラストが多数、展示されます。
 我が家の辻元玲子さんも、「ミリタリー・アートの世界」と「時代小説の世界」で合計6点を出品します。会場は、〒101-0051千代田区神田神保町1-17、東京堂書店神田神保町店6階の「東京堂ホール」にて、入場無料です。11月3日まで、東京堂書店を含む神田周辺で、毎年恒例となっております第53回神田古本市も開催されます。どうぞ東京堂書店においでになってください。

2012年10月21日(日)
 改めて宣伝です。いよいよあす10月22日(月)から11月18日(日)まで、4週間にわたりまして日本出版美術家連盟主催の「本の世界を彩ってきた挿絵画家たちの原画展 粋美挿画展2012」が開催されます。パンフレットも出来上がりました。見てみると、我が家の辻元玲子さんと、あの小松崎茂先生の絵が並んでいたりします・・・。家宝にしなければ。
 本展は4部門に分かれ、10月22日(月)〜28日(日)は「カー&トレインの世界」として、自動車や蒸気機関車などの絵を特集。29日(月)〜11月4日(日)は「ミリタリー・アートの世界」と題し、戦車や戦闘機、軍艦、そして軍人のイラストが集結します。11月5日(月)〜11日(日)は「ミステリー&サスペンスの世界」で、推理小説や探偵小説を彩ったイラストが一堂に会します。そして最後、11月12日(月)〜18日(日)は「時代小説の世界」。新撰組や戦国武将を描いたイラストが多数、展示されます。
 出展するのは、世界的に著名な長岡秀星先生、空山基先生、またプラモデルの箱絵で知られる高荷義之先生、大西將美先生や上田信先生、水野行雄先生の作品、それにあの巨匠・小松崎茂先生、梶田達二先生、堂昌一先生ら亡くなった先生方の作品も多数、展示。その他、現在活躍中の35人の画家の作品が集まります。
 我が家の辻元玲子さんも、「ミリタリー・アートの世界」と「時代小説の世界」で合計6点を出品。今日は赤帽のトラックをチャーターして、作品を搬入してきました。
 会場は、〒101-0051千代田区神田神保町1-17、東京堂書店神田神保町店6階の「東京堂ホール」にて、入場無料です。関連グッズや書籍、さらに一部、原画の即売もされる予定です。10月27日〜11月3日には、東京堂書店を含む神田周辺で、毎年恒例となっております第53回神田古本市も開催されます。どうぞ東京堂書店においでになって、この展覧会もご覧下さい。


2012年10月20日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第39回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「ミニの流行は第1次世界大戦がきっかけ」ということで、英国から生まれて女性の服装を変えたミニスカートを紹介。この連載は隔週土曜日掲載(次回は11月3日発売号予定)です。


2012年10月16日(火)
 本日、前回この欄でお知らせした「粋美挿画展2012」のご案内を持って、銀座の「サローネ・オンダータ」を訪れました。特にこちらの柳下望都さんは、我が家のイラストレーター・辻元玲子さんの展覧会に以前もおいでいただいているので、今回もご案内しようと思ったわけです。
 それで、先頃、発売された季刊誌「メンズ・プレシャス」にも掲載されていましたが、柳下さんの手縫いによるオール・ハンドソーン・ビスポークというスーツが正式に発売されております。これの経緯と申しますと、そもそも今から4年ほど前に、私が「型紙から起こすオール・カスタムメイドはオンダータにはないのですか?」と質問したところ、滝沢滋さんから「完全手縫いで作りましょう」というご返事があり、元々は私・辻元個人用の特別注文で始まったようなわけでした。
 そして、このプロトタイプが完成するのに2年ぐらいかかったのでありますが、昨冬に私のワードローブにこれが加わったわけです。そして、このほど、柳下さんによるフルハンドメイド・スーツが正式ラインナップに加わったということであります。
 なにしろほとんどお一人で完全手縫い、それにほかにもいろいろご多忙、というわけで、やはり今、注文すると1年半から2年はお待ちいただく、ということだそうです。
 しかし、こちらの総手縫いは基本から違いがあるとのことで、要は、19世紀半ば以後、服作りが既製品化、大量生産化する以前の注文服の製作法を再現する、というテーマを持っているそうです。現在、手縫いのスーツといっても、その多くは、工場で量産される工程の機械の部分を人間に戻す、というのが普通だそうです。タキザワシゲルの場合、そこが違うのだと言います。
 ということで、オンダータの玄関入ったところに見本が飾られています。繊細きわまりないハ刺しが丹念になされたそれは、手工芸のすごみを見せてくれています。

2012年10月11日(木)
 ひとつお知らせです。10月22日(月)から11月18日(日)まで、4週間にわたりまして日本出版美術家連盟のイベントが開催されます。「本の世界を彩ってきた挿絵画家たちの原画展 粋美挿画展2012」という展覧会です。これは昨年、大好評だった粋美挿画展の第二弾で、書籍の表紙や挿絵などを飾ってきた絵の原画の展示会です。
 本展は四つのカテゴリーに分けて開催されます。10月22日(月)〜28日(日)は「カー&トレインの世界」として、自動車や蒸気機関車などの絵を特集。29日(月)〜11月4日(日)は「ミリタリー・アートの世界」と題し、戦車や戦闘機、軍艦、そして軍人のイラストが集結します。11月5日(月)〜11日(日)は「ミステリー&サスペンスの世界」で、推理小説や探偵小説を彩ったイラストが一堂に会します。そして最後、11月12日(月)〜18日(日)は「時代小説の世界」。新撰組や戦国武将を描いたイラストが多数、展示されます。
 出展するのは、あの世界の名匠・長岡秀星先生、空山基先生、またプラモデルの箱絵で著名な高荷義之先生、大西將美先生や上田信先生、水野行雄先生の作品、それに小松崎茂先生、梶田達二先生、堂昌一先生ら亡くなった巨匠たちの作品も多数、展示。その他、現在活躍中の35人の画家の作品が集まります。
 我が家の辻元玲子さんも、「ミリタリー・アートの世界」と「時代小説の世界」で合計6点を出品し、時間により会場にも行く予定です。
 会場は、〒101-0051千代田区神田神保町1-17、東京堂書店神田神保町店6階の「東京堂ホール」にて、入場無料です。関連グッズや書籍、さらに一部、原画の即売もされる予定です。
10月27日〜11月3日には、東京堂書店を含む神田周辺で、毎年恒例となっております第53回神田古本市も開催されます。どうぞ東京堂書店においでになって、この展覧会もご覧下さい。


2012年10月06日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第38回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「紳士傘は日傘がルーツ。権威の象徴だった」ということで、ダンディーな英国紳士の代名詞・雨傘の歴史を紹介。この連載は隔週土曜日掲載(次回は10月20日発売号予定)です。


2012年10月05日(金)
 「アイアン・スカイ」IRON SKYなる映画を見てきました。フィンランド、ドイツ、オーストリア合作というもので、今時なかなか日本では上映されないのですが、フィンランド始め欧州各国で大ヒットして、日本にも上陸した、ということです。私の近所では豊洲ららぽーとで上映しているので見てきました。
 これ、簡単にいえば、1945年にナチス・ドイツは滅びておらず、一部は空飛ぶ円盤ハウニブに乗って地球を脱出、月面の裏側に基地を作り、ドイツ第四帝国を樹立していた、という話。そしてアメリカをはじめ地球人たちに対する復讐の日を虎視眈々と狙ってきた、というわけです。
 時は2018年、アメリカ初の女性大統領(名前は出てこないですが、どう見ても元アラスカ州知事のサラ・ペイリン氏にそっくりです)は支持率低下に悩み、ヴィヴィアン報道官の提言を受けて実に50年ぶりの月面着陸を計画。特に目玉は黒人宇宙飛行士ワシントンの存在でした。ところが月面に到着した途端、船長は何者かに射殺され、ワシントンも捕まってしまいます。一体、誰に? それは月面ナチ第四帝国の親衛隊准将アドラー率いる警備隊でした。
 ワシントンは捕虜として、月面帝国総統コーツフィライシェの元に連行されます。取り上げられたスマートフォンは科学者リヒターを驚愕させます。エレクトロニクス分野では地球は月面よりはるか先に進んでおり、小型コンピューターはいまだ月面では実現していないのでした。これを用いてコーツフライシェが40年もかけて建造してきた秘密兵器・巨大宇宙戦艦「神々の黄昏」号の心臓部が起動します。しかし、動き出したとたんに電池切れでダウン。アドラーは地球に潜入して携帯電話を奪取する計画を立て、総統に承認されます。かくて、アドラーは、リヒター博士の手により白人化されたワシントンを連れてアメリカに乗り込みますが、そこには予定外なことに、アドラーの婚約者でリヒターの娘であるレナーテが密かに同行していました。
 そのころ、月面着陸が失敗して大統領は激昂し、ヴィヴィアンに八つ当たりしています。ヴィヴィアンも部下に当たり散らし、起死回生の策を練らなければ、と焦ります。そこに現れたのがアドラーとレナーテの二人。携帯電話奪取などは方便で、じつはアメリカ合衆国と提携してコーツフライシェ総統を倒し、自分が権力を握ろうと野心を抱くアドラーは、大統領との面会を望んでいました。一方でレナーテも、彼女が純真に信じる国家社会主義の教義を地球に布教してナチス化することを画策していました。この二人の奇妙な魅力に惹かれたヴィヴィアンは、大統領に引き合わせ、大統領の選挙参謀に抜擢します。ナチス式の選挙戦術で大統領の支持率はみるみる回復。
 だが、アドラーの動きに不審を抱いたコーツフライシェは、地球攻略計画を発動。ナチスの宇宙艦隊が大挙、ニューヨークを襲います。さて、地球の運命はいかに? 神々の黄昏号は動き出すのか?
 ・・・といった展開です。歴史上の第三帝国でなく、今も生き延びている第四帝国、という設定ですのでなんでもあり、です。制服の類も70年前とあまり変わっていないようですが、厳密に言うと変なところもいろいろなくはない。それにしても、オカルトのネタとしては「ナチスは生き延びていた」というのは珍しくはないのですが、それで本当に映画を一本作ってしまうのはすごいです。
 かなりきわどいブラックジョークが満載です。「ヒトラー最期の十二日間」や「博士の異常な愛情」などのパロディー・シーンも満載。特に「博士の・・・」のテイストに似ている映画だと思いました。とにかく全体にどぎつく描かれるのは、ナチスというよりはアメリカです。ある種、アメリカこそがナチス・ドイツの後継者なのではないか、という感が強くします。本物のナチスが登場することで、アメリカの本質があぶりだされてくるわけです。「やったわ、これで私も戦時大統領よ。1期目で戦争を始めた大統領が落選したことはないわ」とうそぶく大統領は、敵がナチス残党と知って大喜びし、「今までアメリカがまともに倒したのってナチスだけなんだもの、ルーズベルトになった気分だわ」と絶好調です。エンディングまで、とにかくアメリカの世界支配のあくどさが、これでもかという感じで描かれて、痛快です・・・アメリカ人が見るとどうなのか分かりませんが。
 宇宙艦隊の戦闘シーンもなかなかの出来栄えで、非ハリウッドの低予算の映画でこれだけやれば見事なもの。どこかレトロな第四帝国の兵器の造形も魅力的です。
 レアものの一本ですので、あまり人が見ていなさそうな映画をお求めの方は、ぜひご覧ください。
 

2012年10月01日(月)
 10月に入りましたが・・・なんですかこの暑さは。街行く人で冬物に衣替えしている人はついぞ見かけません。そりゃ30度超えでは当然です。私も軽いジャケットだけ羽織って、夏の半袖シャツで出勤しました。まあ、これは台風17号が連れてきた暑さみたいで、明日にはまた気温が下がってくるという話も・・・それはそれで、気温の変化がつらいですね。体調管理が難しいこの頃です。
 ところで、今日は東京駅のあたりを通りがかったのですが、すごい人混み。丸の内側が大混雑していました。今日は東京駅の改修工事が終わってお披露目の日だったのですね。長らく無粋な工事用のシートが被っていましたが、今日はキレイに取り払われて、完工したクラシック駅舎が姿を現していました。
 そういえば、今日は街中で黒いスーツ姿の若い男女が目立ちます。あれですか、就職活動の解禁日ですかね。
 ということで、最後の暑さが残る中、スタートした10月。こんな暑さですが、年末が近づいているのですね。
 

2012年9月28日(金)
 「ローマ法王の休日」HABEMUS PAPAMというイタリア映画を見ました。個性的な作風と、自分自身が映画に出演して俳優として活躍することでも知られるナンニ・モレッティ監督の最新作で、カンヌ映画祭では問題作として話題をさらったと言います。近頃、イタリア映画なんてなかなか日本の映画館では見られないのですが、日本では今月初めから都内で上映を始め、ついにご近所の舞浜の映画館でも上映が始まったので、見に行った次第です。
 ところで、原題のハベムス・パパスというのは、英語で言うとWe have a Pope!という意味だそうで、訳すれば「法王が決まった」というラテン語です。が、これをオードリー・ヘプバーンの名作「ローマの休日」Roman Holidayをもじって邦題をつけたセンスはなかなかのものですね。
 実際、この邦題はうまく内容を表しています。バチカンでローマ法王が亡くなり、各国のカトリック教会を指導する枢機卿たちがシスティナ礼拝堂に招集されます。そして、枢機卿たちの投票による長時間の秘密会議コンクラーヴェが開催されます。何人かの有力な候補がいましたが、長い長い会議の末に事態は思わぬ展開に。そして最後に投票者(大体、出席する枢機卿の数は120人前後だそうです)の3分の2以上の多数を制して指名されたのは、全く下馬評に上がっていなかったメルヴィル枢機卿でした。
 さっそく、サン・ピエトロ広場に集まった世界中の信者に向かってお披露目となり、司会の枢機卿が紹介しようとしたその瞬間、新法王は突然、錯乱して叫びだし「助けてくれ、自分にはできない、無理だ」と席を立ってしまいます。突如、お披露目は中止。当然、世間では大騒ぎとなり、新法王の病気説、ついには死亡説まで飛び交う有様に。
 バチカンにはひと癖ある自信過剰気味の精神科医(モレッティ監督本人が出演)が招かれ、法王を診察しますが、埒が明かない。おまけにこの医者は無神論者で、物議をかもします。結局、彼の提言を受けて、側近の報道官は、法王の身分を知らない外部の医師(精神科医が離婚した前妻)に法王を診察させることにします。
 ところが、診察の帰り道、法王は一瞬のすきを突いて逃亡し、ローマの街に姿をくらましてしまいます。彼は、女医にいわれた「自分の人生を振り返る」ことをしようと思います。そして、さまざまな人と出会い、自分が果たせなかった夢を思い出し、人々の暮らしに接していきます。
 一方、新法王の正式発表ができないバチカンでは、秘密保持のために一歩も外に出られない枢機卿たちと精神科医があれこれと、暇つぶしにふけり、また法王の精神状態の回復に期待していますが、最後は医師の勧めで国別対抗バレーボール大会を開催することに。
 そんなドタバタ騒動の中、ついに秘密を隠しきれなくなった報道官は枢機卿たちに法王の逃亡を発表。ローマ市内の劇場で、若いころ憧れていた役者になる夢を思い出しつつ、チェーホフの芝居を観劇している法王の元に、スイス衛兵隊を引き連れた枢機卿たちが現れます。法王はついに連れ戻されて、大聖堂のバルコニーに立つことになります。さて、「ローマ法王の休日」を経て、新法王メルヴィルが出した結論はなんだったのでしょうか?
 ・・・というような話で、もちろん法王に指名された枢機卿が錯乱する、などという話は熱心な信者なら面白いはずはなく、当然、バチカンの援助も全く受けられないわけで、たくさんの法王や枢機卿、スイス衛兵の装備や衣装、それに巨大なセットを組み上げてバチカンを再現していますが、これが非常に見ものです。もちろん現実そのままではないでしょうが、綿密に取材して再現しているコンクラーヴェの模様は本当に興味深いです。聖人の名を唱えながら行進する枢機卿たち、その中には日本人の枢機卿の姿もあります(2005年のコンクラーヴェには浜尾文郎枢機卿が出席しました)。緊迫した会議に、新法王が決まるまでの興奮・・・それから、中世以来の伝統を誇るスイス傭兵隊の先生の儀式なども再現されています。ラテン語とイタリア語が幅を利かすバチカンで、彼らの宣誓はドイツ語なんですね。きっとこのへんも取材して再現しているのでしょう。
 前半はとにかく、一種のドタバタ喜劇で大いに笑えます。時代劇によくある「将軍様がお忍びと仰って街に出てしまわれた」ということで、側近たちが慌てふためく、という図です。ただ、能天気な枢機卿たちをよそに、一人で奮闘する報道官がなんだか可哀想に見えてきます。後半になると、段々とこうトーンが変わってきまして・・・幕切れですが、なんとも物悲しい印象なんです。基本的にはコメディーなんですが、やはりひと癖ある監督だけに、ただの喜劇では終わってくれません。このへん、人によってどう思うか、というところだと思いますが、まあ単純明快を好むハリウッド映画では絶対にできない展開かな、とも思います。
 どうでしょう、熱心な信者の方だとまた感想は違うと思います。前半はとにかく傑作なコメディーですし、とても勉強になります。後半、特にエンディングは議論が分かれるところか。そこが「問題作」である所以ではあります。
 それにしても・・・枢機卿にまで昇った人たちが、内心では「自分だけは法王はやりたくない」と念じているものなんでしょうか。本作では、結局、まったく野心のなかったダークホースのメルヴィルが、思いがけなく法王に推されて、覚悟もなにも出来ていないままに舞台に立たされ、耐えられなくなってしまうわけですが・・・。しかし、何十億人の指導者、ということになると、心がすくむのも理解できる気もしますが。ひと癖ある映画を見たい人には絶対的にお薦めです。
 

2012年9月22日(土)
 私ども辻元夫婦が4年間かけて今年の2月1日付で刊行しました『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)ですが、このほど重版出来、2刷ができました。月内にも店頭に並ぶと思われます。この出版不況と言われる中、なんの知名度もない私たちの作品が、重版できたというのは本当に応援していただきました皆様のおかげでございます。改めまして厚く御礼申し上げます。


2012年9月21日(金)
 東京都稲城市の京王よみうりランド駅にほど近い「森の中のギャラリー コンティーナ」にて、「不世出の万能画家 梶田達二 追悼展」が開催されております。早いもので、梶田先生が亡くなられてまもなく1年になります(2011年10月8日没)。ということで、先生の個展を毎年、開いていたこちらの画廊も追悼展として、この個展を企画したとのことです。
 本当にたくさんの油絵作品・・・特に海王丸や日本丸、歴史上の帆船などの海洋画に、2式戦闘機「鍾馗」や百式重爆「呑龍」、3式戦闘機「飛燕」などの雄姿、蒸気機関車、さらに動物画、プラモデルの箱絵など盛りだくさんの内容で、先生の50年を超える画業の概観が一覧できる素晴らしい内容です。
 特に絶筆となった描きかけの作品、本当に心を打たれました。
 その絶筆など一部の貴重品を除き、展示作品は販売もされています。これを機会に梶田先生の生の御作品に触れてみたい、という方はぜひご覧下さい。
 私ども夫婦が訪れた際は、奥様もいらっしゃって出迎えて下さいました。感激いたしました。
 本展は9月24日(月)まで、午前10時〜午後6時半。東京都稲城市矢野口3206の「森の中のギャラリー コンティーナ」(☎042・379・4456)で開催。京王線の京王よみうりランド駅からタクシーならワンメーターで、歩いても10分ほどで行けます。小田急線のよみうりランド前駅からはバスで「ランド坂下」停留所へ。

2012年9月15日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第37回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「浴衣は江戸時代のバスローブ」ということで、秋祭りにも活躍する浴衣の歴史を紹介。この連載は隔週土曜日掲載(次回は1回飛んで、10月6日発売号予定ですのでご注意を!)です。


2012年9月13日(木)
 幕張メッセで開催されている「世界最大 恐竜王国2012〜恐竜オールスター、幕張に大集結。〜」Dino Kingdom 2012を見てきました。本展は今月23日(日)までですので、最後の滑り込み、という感じです。
 今回のテーマというと、今や「恐竜は絶滅などしなかった」、つまり鳥が恐竜の子孫である、というのは定説化してきましたが、さらに突っ込んで、恐竜には初めから羽毛が生えていた、ということは、初めから恐竜は飛ばない鳥類だったのであり、いってみれば恐竜の中で飛べるようになったものが鳥類である、ということです。それで今回は、現生の鳥類の骨格やはく製も多く展示され、両者が基本的に同類であることを強調する内容担っているのが興味深かったですね。
 例によってお土産コーナーで、ぬいぐるみに目のない我が家の玲子さんはあれこれと、恐竜のぬいぐるみを購入。目玉はティラノザウルスですが、今回はテーマに沿って、いつも見慣れた茶色いゴジラみたいな姿ではなく、頭も身体にもふかふかの毛が生え、カラフルな色彩の鳥のような雰囲気に・・・ところが面白いもので、毛を生やしてふかふかにしただけで、恐竜もみんなかわいらしくなってくるのですね。
 まさに、恐竜のイメージが大きく変わってきた、といえるのかもしれません。

2012年9月12日(水)
 きょうは上野・東京都美術館で開催されている「第38回 東京展」を見てきました。我が家の玲子さんの絵「ポーランドの有翼騎兵」を出品しています。が、搬入しただけで本当に飾ってあるのか分からないため(!)現場を見ておくことに。行ってみたら、当然ですがちゃんとありましたね。
 本展は絵画、立体、版画、イラスト、写真、絵本などの作品が一堂に会する大規模な公募展です。会期は16日(日)まで。時間は午前9時半〜午後5時半(最終日は午後1時半)。入場料は一般 800円、学生と70歳以上は無料。問い合わせは03・3823・6921。
 なお、同じ美術館でマウリッツハイス美術館展の会期末ということで、もう大変な長蛇の列。現在、東京展のほかに主体展、院展が開催されていますが、これら公募展を見にきた方は、間違ってマウリッツハイス展の行列に並ばないように! なんとなく行列と見ると並びたくなる方もいるようですが、公募展は会場に直行すればすぐ入場できますので。


2012年9月09日(日)
 今日は銀座6丁目にあるエトロETRO銀座本店で、「秋冬コレクション・トランクショー」が開催され、モデルさんたちによるファッションショーが行われました。ペイズリー柄に代表される大胆な色彩感覚にあふれるエトロならではの世界を堪能しました。今季はまた、アステカなど南米の民族柄も新しいモチーフとして取り上げているようです。
 それにしても、本物の外国人モデルさんたちの体形の素晴らしさは・・・。八頭身というものがアニメキャラではなく、生身の人物として実在することが分かるとショックです。見とれてしまいますね。

2012年9月06日(木)
 近頃は、私の枕元にエジプトの神様「アヌビス」と「バステト」のぬいぐるみが鎮座しています。アメリカの業者から取り寄せたものですが・・・なかなかかわいいのです。ま、それはそうとしまして・・・ここ数日、夜になると虫の音が盛んです。日中は真夏のままの猛暑、と思われるのに、夕方になるとかなり雰囲気が秋めいてきました。虫たちは敏感にそれを察して、もう秋だ、と告げているのですね。
 実際、先日は山形で芋煮会をやっていました。今月も後半になると、「来年の干支の置物の生産がピークに」とか言い出します。そして「クリスマスケーキやおせちの予約開始」とか「第九コンサートの受け付け開始」とか言い始めます。関連業界からすれば、9月はもはや年末の前哨戦なわけです。
 まあ、今年の場合は、政局でもうひと山ありそうですが・・・。

2012年9月01日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第36回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「ステテコのルーツはポルトガル人のタイツ」ということで、夏の衣料として再注目されるステテコを取りあげています。この連載は隔週土曜日掲載(次回は9月15日発売号予定)です。


2012年8月30日(木)
 映画「プロメテウス」を見ました。一言でいえば、「2001年宇宙の旅」+「エイリアン」という感じの一作ですね。だから重厚で、残虐です。当節の映画としてはそんなに長尺ではないですが、見終わると結構、疲労している・・・そんな作品かと。映像的には本当に素晴らしい。ここ何年かの映画でも最高じゃないでしょうか。
 監督は「ブレードランナー」や「エイリアン」などSFの名作と、「グラディエーター」「キングダム・オブ・ヘヴン」など史劇で知られるリドリー・スコット。ところで最近、弟のトニー・スコット監督(「トップガン」など)が自殺しましたが、何があったのでしょうか。それはともかく、久々のSF作品ということでして、パンフレットにあるご本人の弁によれば、なかなか作品にするにふさわしいテーマが見つからなかった、のだとか。
 それだけ本作は、久々に手ごたえを感じたテーマだった、というわけですね。その柱となるのは「人類発祥の起源はなにか」というもの。
 映画の冒頭はいきなり謎めいています。原始の地球らしい惑星。大河のほとりに一人の異星人らしき人物が立ちます。彼はおもむろに謎の壺のようなものを取り出し、黒くうごめく物質を飲み込みます。すると彼の肉体は崩壊し始める。彼は身もだえしながら河に身を投じます。彼の身体は分解し、遺伝子情報が残る・・・それはおそらく人類の遺伝子となるのでしょう。
 それから数万年の後。舞台は今日から80年ほど後の2089年。スコットランドのスカイ島の古代遺跡で、考古学者のエリザベス・ショウ博士は新しい壁画を発見します。3万5000年も前の壁画にははっきりと、巨人の姿と、それが指し示す星の図が見られました。同じ図柄は世界中の古代遺跡から見つかっており、彼女と、恋人で相棒のチャーリ・ホロウェイ博士は、これらの図は、人類を創造した異星人がやってきた星を示していると考えます。
 そして3年後の2093年。大富豪ピーター・ウェイランドの建造した宇宙船プロメテウス号は、地球から35光年の彼方、移籍に描かれていた未知の惑星に到達します。ショウ、ホロウェイを中心にした探査隊は、「人類の創造主」に出会うためにやってきたのです。
 しかし一行の中には不穏な雰囲気もあります。一行の監督官でありウェイランド社の幹部であるメレディス・ヴィッカーズは威圧的で、なにか裏がありそうな感じ。また、一行の世話役として参加しているロボットのデビッドも、何者かからの密命を受けているようで、どこかおかしな挙動を見せます。
 そんな中、一行は異星人が築いたらしいピラミッドを発見。さらに異星人の遺体と、巨大な人間そっくりの頭部の石像、そして、謎の黒い壺のような物体がおびただしく並んでいる様を見ます。異星人の遺体から取り出したDNAは人類のものと一致し、彼らが人類の先祖に当たることが判明。そのころ、突然襲来した嵐のため、プロメテウス号に戻れず遺跡に取り残された二人は、謎の生命体と遭遇します。このモンスターに襲われ、連絡を絶つ二人。一方このとき、密かに黒い壺を船に持ち帰ったデビッドは、不可解な行動を取り始めます。さて、異星人と人類とのかかわりの謎は解けるのか、そして黒い壺の正体は、現れたモンスターは一体、なんなのか?
 ・・・というようなことで、前半は2001年宇宙の旅のような未知の世界への探索、後半は二転三転して凄惨なアクションシーンの連なるエイリアン風になります。
 ウェイランド社というのは、エイリアン・シリーズに出てくるウェイランド・ユタニ・コーポレーションの前身だそうです。よって、この作品世界は結局、エイリアンの世界につながっていく設定ということになります。
 謎めいた人造人間、デビッドがなんといっても興味深い。2001年宇宙の旅で人間に反乱をおこすコンピューターHALを想起させる部分、またブレードランナーに出てくるレプリカントや、エイリアンに出てくるアンドロイドも思い出させます。演じるのは近年、注目株のマイケル・ファスベンダーですが、役作りには苦労したようです。このデビッドが、往年の名作映画「アラビアのロレンス」が好きという設定で、ロレンス役のピーター・オトゥールの髪形を真似しているのですが、それがすごく似ています、オトゥールに。面白い設定です。
 それから、こちらも何を考えているのか分からない正体不明の謎めいた美女、メレディス・ヴィッカーズを演じたシャーリーズ・セロン。素晴らしい存在感で映画を引き締めています。
 ヒロインのショウ博士を演じるのは、これから伸びてきそうなノオミ・ラパスが熱演。後半の体当たり演技はエイリアンのリプリー役、シガニー・ウィーバーを思い出させるもので、見事です。演じるのは大変だったのではないでしょうか。
 最後まで行って、謎が残ったまま続きがありそうな展開で本作は終わります。実際、今後のシリーズ展開もあるのでしょうか?
 娯楽作品の多いこのごろ、久々に本格派の重厚な作品です。というわけで気楽に楽しめるとは言い難い一本。それに何もかもを明快に語る作風でなく、謎を謎のまま残す感じですから、そのへんは最近の、明快で親切な娯楽作品に慣れた人には向かないかもしれません。
 けっこう、夢に出てきそうな刺激の強いシーンも多い。これはリドリー・スコット作品ならではのものですが、ご覧になる方はある程度の御覚悟を。

2012年8月28日(火)
 滝沢滋さん率いるスタイルクリエーションズ社のオーダーサロンである「サローネ・オンダータ」(紳士服部門)と「サロンドバーグレー」(婦人服部門)が銀座松坂屋の裏手にある清月堂ビル5階に移転、オープンしました。24日の開店イベントにもちょっと顔を出させていただきましたが、今日は通常営業が始動した同店を訪問いたしました。
 新店舗は前にも増して落ち着いたサロンという趣で、赤い絨毯がゴージャスです。しかし調度品は前のまま、そして林店長はじめ皆さんの笑顔もいうまでもなくこれまで通り、というわけです。
 私も、前店舗でお願いしていたソラーロ色の上着を着ております。
 新・サローネ・オンダータは銀座5−9−15 清月堂ビル5階、月曜定休です。

2012年8月27日(月)
 このほど、我が家のイラストレーター辻元玲子が、二つの展覧会に作品を出品致します。
 ★まず一つ目は「第43回 日本出版美術家連盟展」です。今回の統一テーマは「自由 Freedom or Liberty」ということで、同連盟に所属する画家のうち36人が出展します。上田信先生、大西將美先生、水野行雄先生、根本圭助先生ら、玲子がお世話になっている小松崎茂一門の先生方も参加されています。会期は8月27日(月)〜9月1日(土)。時間は午前11時〜午後7時(最終日は午後4時)。銀座ソニービル近くの中央区銀座6−4−6 646ビル9階、Salon de G(サロン・ド・ジー)。入場は無料です。問い合わせは03・5283・6720。
 ★もうひとつは、「第38回 東京展」です。絵画、立体、版画、イラスト、写真、絵本などの作品が一堂に会する大規模な展覧会です。会期は9月9日(日)〜16日(日)。時間は午前9時半〜午後5時半(最終日は午後1時半)。上野の東京都美術館で。入場料は一般 800円、学生と70歳以上は無料。問い合わせは03・3823・6921。
 銀座や上野にお立ち寄りの際は、ぜひご覧くださいませ。
 

2012年8月23日(木)
 映画「アヴェンジャーズ」Marvel's The Avengersというのを見ました。マーヴェル・コミックスの人気キャラであるキャプテン・アメリカ、マイティ・ソー、超人ハルク、アイアンマンなどが集結してチームを作り、世界を守るという趣向。要はむかしよくあった「怪獣総進撃」とか「忠臣蔵」みたいなオールスター映画ですね。本作はすでに「アバター」「タイタニック」に次ぐ記録的な興行収入を得ている大ヒット映画。ですので、普通の私の感覚だと「そんなに流行っているものなら見ない」というところですが、今までに「キャプテン・アメリカ」や「マイティ・ソー」を見ているので、その続きということで見ることにいたしました。
 本作は、直接的には「キャプテン・アメリカ」と「マイティ・ソー」の流れを直に受けている内容になっておりまして、まず、70年前の第2次大戦下。キャプテン・アメリカが戦ったナチスの秘密組織ヒドラは、北欧の遺跡から発掘した未知の宇宙エネルギーを放つ謎の物体「4次元キューブ」を兵器に応用して、世界を征服しようとしました。これはキャプテン・アメリカの活躍で阻止されましたが、その後、4次元キューブは行方不明となって70年が過ぎ去りました。
 さて一方、異次元宇宙の世界であるアスガルドでは、王位継承をめぐってマイティ・ソーと弟のロキの争いが勃発。紆余曲折の末、ソーが勝利し、ロキはアスガルドを追放されて地球にやってきた、という次第です。
 ここまでは、これまでの映画のお話。それで、本作では4次元キューブが発見され、秘密組織シールドがこれの研究を開始。それに目を付けたロキが、これを奪って地球侵略を画策します。4次元キューブを使って異宇宙との通路を開き、強力な軍隊を招き寄せようというわけです。シールド長官ニック・フューリーは世界を守るべく、超人たちを結集してアヴェンジャーズを編成することを計画。キャプテン・アメリカ、ハルク、アイアンマン、ソーが集まってきますが、個性の強いヒーローたちのことゆえ、チームプレイは苦手でうまくいかない。しかしその間にも、ロキは世界侵略の手を打ってくる。これに対抗するには、なんとしてもみんなが力を合わせないといけない。さて、アヴェンジャーズはちゃんと始動できるのか・・・。
 というような話ですが、要するに全くの娯楽作品ですので、理屈は無用でしょう。ジョス・ウェイドン監督は本作を作るにあたり、リーダーが個性的な人間を一人一人、集めてチームを作り敵と戦う、という意味で、「七人の侍」とか「特攻大作戦」を参考にしたと言います。なるほど、共通点がありますね。
 オールスター映画なので、各ヒーローは、ある程度均等に見せ場を作らないといけないわけで、バランス感覚が難しいでしょうが、テンポのいい脚本はよく練られていて、うまく考えられた映画です。これまでの作品の脇キャラを全部出すと収拾がつかないため、基本的にあまり出さない方針だったそうですが、アイアンマンからはグウィネス・パルトロウが、マイティ・ソーからはステラン・スカルスガルドが出演しています。
 すでに確立しているキャラで、慣れた役を演じている俳優たちはとても楽しそうです。スカーレット・ヨハンソンは日頃の金髪より、この赤毛の方が似合うのじゃないでしょうか?
 娯楽路線映画の王道で、映像的にも申し分なく、まあとにかく何年も前から伏線を張ってヒーロー映画を計画的に作り続け、ここにまとめあげたという企画力がすごいですね。まず話題ものとして一見の価値がある、と思いました。
 なお、ラストのクレジットの後にオマケ・シーンがある映画ですので、クレジットになっても焦って席を立たれないことをお薦めします。

2012年8月18日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第35回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「ビーチサンダルは日本が発祥」ということで、夏のビーツの定番、サンダルの歴史を古代から振り返っています。この連載は隔週土曜日掲載(次回は9月1日発売号予定)です。


2012年8月16日(木)
 終戦から67年がたちました。当時、20歳だった若者も87歳。太平洋戦争も「歴史」となっていくのでしょうね。ところで、このほど映画「トータル・リコール」を見てきました。ポール・バーホーヴェン監督、アーノルド・シュワルツネッガー主演の1990年の同名大ヒット映画のリメイクです。率直に言って、第一報を聞いたときには「なんで? 別に90年版は古びていないのになんでこのタイミングで?」と思いました。ところで、90年版では、シュワちゃんの奥さん、ローリー役を演じた当時無名の女優、シャロン・ストーンがブレイクしたのでした。それで、今回のリメイク版ではケイト・ベッキンセールがそのローリー役を演じると言います。まあ、今回メガホンをとっているのが「アンダーワールド」シリーズでケイトを起用し、おまけに結婚しちゃったレン・ワイズマン監督なんで、当然ではあります。我が家はベッキンさんのファンなので、見ておこうというわけでした。
 トータル・リコールは、伝説のSF作家フィリップ・K・ディックの小説を基にした作品です。じつは日本のコミック、アニメ「コブラ」もこれを基にしています。要するに、自分はしがない平凡な市民だと思っていた男が、ふとしたきっかけに、自分の記憶が書き換えられていることに気付き、本当の自分の正体は何者か、と探ることになる・・・そういう話ですね。
 90年版のケレン味たっぷりで奇想的な作風が、どうアレンジされているのか・・・まあ見どころとしてはその点になります。
 近未来の地球。化学戦争のために世界中のほとんどの地域が汚染で居住不能になり、英国を中心にした欧州のブリテン連邦(UFB)と、オーストラリアのコロニーにだけ人類は生き延びている、という設定。それで、両者の間は地球の真ん中を貫通する超高速エレベーター「フォール」でのみ行き来できます。富裕層はみなUFBの住民で、貧困層はコロニーに住み、毎日フォールに乗ってUFBに通勤し、働いている。本作の主人公ダグラス・クエイド(コリン・ファレル)も、そんな生活をしているコロニーの住民で、UFBでは戦闘ロボットの工場で働いています。ところが毎晩、奇妙な夢にうなされる。見知らぬ美女と一緒に敵に追われ、最後は捕まる夢です。そのことを不思議に思いながら、退屈な日常にうんざりし、自分は本当はこんな生活をしていたくない、と思っています。そのころ巷で流行しているのが、思い通りの「記憶」を脳に与えるというリコール社の商売。頭の中だけの夢の世界では、大富豪にでも世界的ロックスター、スポーツ選手、なんにでもなれる、というわけです。クエイドもリコール社に出かけ、術を受けようとしますが、そのときわらわらと警官隊が押し寄せてきて彼を逮捕しようとする。すると彼の体は無意識に反応し、何十人もいる警官隊を皆殺しにしてしまう。なぜ俺にこんなことができるのか? 命からがら家にたどり着くと、今度は妻のローリー(ベッキンセール)が急に彼を殺そうとする。そして、自分は妻でもないし、ダクラス・クエイドなんて人物も存在しない。今まで彼が信じていた記憶は偽物で、自分は妻のふりをしていた監視役だった、という。ここもすんでのところで逃げ出したクエイド?は、夢に出てきた美女メリーナ(ジェシカ・ビール)に助けられ、徐々に自分の正体がUFB代表コーヘーゲンの右腕で、その後、コロニー独立運動のレジスタンス一派に寝返ったという世間でも有名な危険人物、カール・ハウザーその人であることを知ります。さてクエイド=ハウザーは、この世界のなかで自分を取り戻し、UFBとレジスタンスの戦いの中でどう行動していくのでしょうか・・・。
 ということでして、90年版では火星を舞台に描かれた話が、地球の中の二つの地域の間の紛争という形になっていますが、大筋の流れは90年版と同じです。話のプロットだけ見ればそのまま、といっていい。が、描き方はかなり違いますね。90年版にあった独特のユーモアはなくて、なにかシリアスでスタイリッシュな映画になりました。
 もちろん22年間の間に進んだ特撮技術の進歩は大いに感じられます。めくるめく空中アクションなどはまぎれもなく今のものです。コロニーの描き方は、やはりフィリップ・k・ディック原作の「ブレードランナー」を思わせる東洋風なのも興味深いです。
 しかしですねえ・・・ここは正直な感想。やはり「90年のバーホーヴェン+シュワちゃんの映画は偉大だった」というのが本当のところかもしれません。まあ、前作をまったく見ていない若い人なんかだと、また感想も違うんでしょうが。
 前作ではシャロン・ストーンのローリーは割とあっけなく死んでしまって、リクターという敵役がシュワを追い詰めるんですが、今作ではリクターがいなくて、ローリー本人がクエイドを追い詰める、ということになっています。ですからベッキン様の登場シーンは非常に多いし、アクションも満載です。ベッキンセール・ファンならまず見るべきですね。
 また、前作を引き継ぐシーンやセリフも結構あります。たとえば乳房が三つある遊女が出てきたり、検問所では前作でシュワちゃんが頭にかぶっていた女性タイプの被り物が衝撃的でしたけれど、あの役を演じていたのと同じ女優さんが登場して、同じセリフ「2週間よ」と言います。まあそういうわけで、見比べる面白さはあちこちにあります。
 しかしまあ・・・やはりシュワちゃんの存在感とコリン・ファレルはちょっと比較にならないですかねえ。シュワの場合、「なんで俺はこんなところで、こんな仕事をしているんだろう」という違和感がすごく自然に見えた。どう見ても普通の人じゃないだろう、と思ったらやっぱり普通の人ではなかった。そのほうが説得力があると思うんですが。
 前作では巨匠ジェリー・ゴールドスミスの音楽も非常に印象的でした。今でもテレビ番組のBGMでよく流れます。今回は音楽も印象に残りませんね。
 また90年版ではシャロン・ストーンのローリーと、レイチェル・ティコティン演じるメリーナが全く違うタイプの女性だったのですが、今回はベッキンセールとビールがルックスもイメージも全くダブります。監督は「似ているから起用した」とパンフレットにあるんですが、ここで両者が似ていなければならない必然性がちょっと分かりません。
 この件に限らず、90年版の方が話のメリハリ、設定、全体にきっちり出来ていた感じがあります。今回はなんか納得いかない点が多い。次々に明らかになる、意外などんでん返しも前の方がずっと、効いていた。今作はなにか展開も平板です。
 何より目新しさを求めて、火星から地球の近未来に設定を変えているのが、弱い。はっきりいってどうもピンとこない設定にも思えます。単にスケールが小さくなってしまった。
 ということで・・・やはりベッキンセール様のファンのための映画、かも。まあだから、我が家的にはこれでもいいんですが。

2012年8月12日(日)
さて、いよいよロンドン五輪が閉幕します。仕事上でかかわりのあった私にとりましては結構、長くてきつい日々でした。
 最後になって、ボクシングの村田選手の48年ぶり金メダルという話もあり、メダル総数37個(金6、銀14、銅17)は本当に立派な活躍でした。
 しかし同数だったアテネ大会の37個(金16、銀9、銅12)と比べると、やはり金メダル数についてはちょっと残念ですね。後半、レスリングに救われた感じですが・・・。アテネ五輪では柔道で8個も稼いだわけです。このときぐらい柔道の調子が良ければ、事前の日本選手団の目標、金メダル15個というのも大風呂敷ではなかったわけですが・・・。
 まあ、4年後、さらに8年後(東京?)に期待しましょうか。そのへんの時期の主力選手というと現在、小中学生の人たちになってくるのでしょうが。
 さらにその次の12年後となると、私もそろそろ60歳手前、そろそろ会社員としては引退を迎えるころです。4年に1度の五輪というものは、自分の人生のサイクルも思わせるものがありますね。

2012年8月06日(月)
 本日の読売新聞一面の一番右下に、彩流社の書籍広告が出ていまして、1月末に刊行した私どもの『図説 軍服の歴史5000年』も半年ぶりに宣伝されています。「究極の精密考証イラスト200点以上! 軍服の変遷を通史として理解できる画期的軍装解説本」とあります。お陰さまでロングセラーとなってくれたようです。読者の皆様、本当にありがとうございます。

2012年8月04日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第34回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「ジャージーは英領原産のニット生地が起源」ということで、ロンドン五輪たけなわにちなんで、スポーツ・ジャージーの歴史を取り上げています。この連載は隔週土曜日掲載(次回は8月18日予定)です。


2012年7月29日(日)
 さて、ロンドン五輪が始まりましたが・・・前回の北京と違い、時差のある大会は、明け方に締め切り時間がある新聞にとってはとてもやりにくいものです。ちょうど一番、決勝などがある時間帯に締めきらなければならないので、大変な修羅場になりがちなわけです。
 それにしても、先日の開会式を観ていて、ロンドンっていうのは涼しいんだな、と思いましたね。実際、今年は例年以上に冷夏ぎみ、22,23度ぐらいしかない、ともいいます。だからスーツにネクタイ姿で平気でいられる。ときにロンドンあたりで「30度の猛暑」とか熱中症で搬送、とかいう話を聞くと、40度近くなることも珍しくない日本人は驚いてしまいますが、まあ本当に基本的に涼しいのですね。ロンドンは北緯51度。日本の札幌市は北緯43度、というわけで、とんでもない北の街なわけです。
 この街で、しかも比較的に寒冷だった19世紀に生まれたのが現代の紳士服。おおむね中世の10〜14世紀は比較的に温暖、15〜19世紀は寒かった、といわれます。そして20世紀でも温暖期と寒冷期があったようですが、ここ数十年はあきらかに温暖期。
 その温暖期に、夏場は亜熱帯となる日本で、ロンドン発祥の紳士服スタイルが無理だというのも致し方ない話ではあるわけです。彼ら、英国人もいちはやく、20世紀に入ってからは熱帯地用の衣服は別物として考えたわけで、夏の日本も7、8月は熱帯被服でいいのではないか、ということですね。
 それだから、私は単にネクタイを外すたぐいのクールビズ、ってのは今もって中途半端なので好きではありません。やるのなら、やはりアロハとかかりゆしとか、本格的な熱帯地の服装でいいのではないか、と思って、そんな格好をしています。
 まあ、高齢層にアロハシャツにあまりいいイメージがないのは、戦後の一時期、そのような派手シャツはいかがわしい輩の服装、という印象が刷り込まれたからでしょうが、それも今となっては古いような気がしますし。
 

2012年7月25日(水)
 私どもが今年1月末に刊行した『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)ですが、もう半年が経過して動きも一段落かな、と思っていたら、どうしたものかここ数日、アマゾンで急に動きがあり、つい先日、在庫20冊、と表示されていたのに本日になるとたった3冊。そして、書籍全体ランクで2250位、軍事入門書部門では2位に返り咲いていることが判明しました。はて、半年もたった本がなぜここにきて? なにか書評でもどこかに載ったのでしょうか。ご存知の方、ぜひお知らせください。私どもも、ちょっと驚いております。

2012年7月21日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第33回が、きょう発売号に掲載されました。今回は「マクドナルドの制服はなぜ半袖なのか?」ということで、長い間、西欧では受け入れられなかった「半袖」の歴史を紹介。この連載は隔週土曜日掲載(次回は8月4日予定)です。


2012年7月20日(金)
 銀座1丁目のArt Space銀座ワンで開催されている麻利邑みみ先生の個展「夜のアリス・2」を見て参りました。昭和の薫り漂うレトロなビルの2階にある画廊で、それだけで雰囲気があります。そこに、麻利邑画伯らしい個性溢れる画風の作品群が、じつによく合うのです。複数の連作を組み合わせることで初めて全貌を表す大作は今回の見所。また、大きなものから小さなものまで、20点ほどが展示されており、一部販売されていますが、7000円で販売されているネコの小さな絵など大人気で売れているようでした。また、絵はがきも人気で、じつは我が家の玲子さんがモデルになったはがきもありまして、玲子さん本人も気恥ずかしがりながら買っておりました。
 本展はあす21日(土)午後5時まで、中央区銀座1−9−8奥野ビル2階の銀座ワン(メルサの近くです)にて開催中。

2012年7月17日(火)
 銀座にある滝沢滋さんのテーラー「サローネ・オンダータ」が、入居している「とらやビル」の取り壊しに伴い、移転することになりました。今、同店では壁面に寄せ書きをしておりまして、私も僭越ながら滝沢さんの「ありがとう、とらやビル」とメッセージを書いて参りました。
 林倫広店長によれば「salone Ondataならびにsalon de vaguelette両直営店舗は現店舗での営業を8月10日 金曜日にて一旦終了し、8月24日 金曜日に銀座5丁目にリニュアルオープン」するとのことで、現店舗からは歩いて5〜6分のところにある「清月堂ビルの最上階」に開店するそうです。新店舗は銀座三越のすぐそばで、とても分かりやすいところ。しかしこれまでの「とらやビル」の、ちょっとわかりにくい隠れ家的な雰囲気も捨てがたいものがありましたね。
 というわけで、新店舗でのますますのご発展をお祈りする次第です。 

2012年7月15日(日)
 丸善・丸の内本店の4階で開催されている二つの展覧会を見ました。
 ひとつは「Nature Art動物・植物画展 現代ネイチャーアート&ボタニカルアートの世界」というもので、動植物画を得意とする画家たちの作品60点あまりが展示されています。我が家の玲子が加盟している理科美術協会の会員、佐藤忠雄画伯の作品も展示されています。同展は17日火曜日まで、午前9時〜午後9時(最終日は午後5時閉場)。
 もうひとつは「永井伸八朗 江戸の町並みを描く 今よみがえる町のぬくもりと人々の暮らし」で、40年以上にわたって精緻な江戸の町並みを描き続ける永井画伯の画業を紹介しています。私たちが訪れたときには永井先生ご本人がいらっしゃり、いろいろ詳しい解説をして下さいました。さらにご著書にサインまでしていただきました。本当に光栄でした。同展はやはり17日火曜日まで、午前9時〜午後9時(最終日は午後5時閉場)。
 

2012年7月12日(木)
 このたび我が家にエケコ様がやってきました。・・・ってなんのことかしら、という方も多いでしょうから簡単に説明しますと、ペルーやボリビアのお祭りで売られる願かけ人形がエケコなんですね。近年では海外の旅行客向けの土産品として人気が上昇し、本来は祭礼の時だけのものだったのが、通年、いつでも売られるようになったとか。
 日本ではここ数年、いくつかのテレビ番組で放送されて知名度が上がったとかで、通販サイトなどでもかなり売っています。で、我が家でも前から興味はあったのですが、ご近所・葛西のショッピングモールに南米物産店があり、ここでエケコが売っているのを発見した次第です。
 願かけ人形なので、紙幣とか車とか、家のミニチュアを持たせる、ということになっています。豪邸に住みたい人は豪邸のミニチュアを持たせるといいわけで、大学に合格したい人は学位記を持たせたりするわけです。「お友達」のリャマ人形を並べて、我が家にお迎えしたエケコ様、さて御利益はありますでしょうか・・・。

2012年7月07日(土)
日刊ゲンダイ連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第32回「特別版」が、きょう発売号に掲載されました。今回は「服飾史評論家 辻元よしふみ氏が伝授! 正統派クールビズでキメよう」ということで、いつもより大きくセンター面見開き、写真4点付きで掲載されています。この連載は隔週土曜日掲載(次回は7月21日予定)です。
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 東京国際フォーラムで開催中の「第20回日本テディベアwith Friendsコンベンション」を見てきました。テディベア作家・岡部紀代美様のご招待をいただきました。いつもながらフォーラムの広い会場を埋め尽くす300近い出展作家さん達の熱気に圧倒されますね。あいにくの雨天ながらお客さんもいっぱいでした。私たちも入り口の英国近衛兵クマさんたちと記念撮影してきました。同展はあす8日(開場午前10時、閉場午後4時)まで。

2012年7月06日(金)
 このところ結構、出無精の私があちこちに出歩いては記事を更新している、と思われるかもしれません。じつはこの一週間ほど、早めの夏休みをとっていました。
 それで、最後に房総の奥、長生郡長南町にあります長福寿寺というお寺にうかがいました。こちらは桓武天皇の勅願で798年に創建したという関東でも屈指の古刹で、室町時代に当時の学頭の夢に現れたゾウが霊験あらたか、ということで本堂の前に大きな白象の像が立っており、「吉ゾウくん(きちぞうくん)」のニックネームで親しまれています。この吉ゾウくんの脚をさすりながら願い事をするとかなう、とのこと。それで、私ども夫婦2人であれこれ思いながら吉ゾウくんにお願いしてきました。
 お土産処では吉ゾウくんグッズがいろいろあり、かわいいぬいぐるみも売っていました。ということで、このところぬいぐるみが増えていた我が家に、吉ゾウくんのぬいぐるみがさらに加わった次第です。

2012年7月04日(水)
 先日、ソラマチに行った際に、栃木県のアンテナショップ「とちまるショップ」を見たのですが、そこで行列ができていたのが南ヶ丘牧場http://www.minamigaoka.co.jp/のソフトクリーム・スタンドでした。この牧場は那須高原にあり、日本では珍しいガーンジィー種の牛の乳によるおいしい牛乳やアイスクリームが有名です。
 ところで、そのスタンドに客寄せとして置いてあったウシとヒツジの2体のぬいぐるみ。うちの妻の玲子が「かわいい」と言い出し、ショップの店員さんに聞いたところ、とちまるショップの売り物ではない、あくまでディスプレイとのこと。しかしどうしても手に入れたくなった玲子さんは、南ヶ丘牧場の通販サイトを調べてみて・・・どうも公式には乳製品などしか売っていない。そこで執念深く同牧場に電話し、「どうしてもあのぬいぐるみが欲しいのですが」とお願いしたら、1体980円で通販してくれました。ウシはガーンジィ種の「がーんじぃろう」君、ヒツジは「げんき」君という名前です。
 ついでに、先日、ニコラス・ケイジの映画を見に行った幕張では、千葉県の名産品ショップで千葉県のキャラクター「ちーばくん」のぬいるぐみを入手しました。これは横から見ると千葉県の形をしているというイヌのようなキャラ(ただし説明では不思議な生き物、ということでイヌとは言っていません)です。舌にあたる部分がディズニーランド、浦安市だそうです。
 ということで、ここ数日、新しいぬいぐるみが増えました。

2012年7月03日(火)
 表参道に出て、ウェンディーズに行ってきました。3年前の日本撤退を残念に思った一人なのですが、このほどの復活にすぐに行きたいと思いつつ、自分の生活圏では表参道というのはあまり行かないエリアなので、ようやく行くことができました。日本限定のフォアグラ・バーガーというのを試しました。価格も1200円を超え、普通のハンバーガーという次元のものじゃない感じですが、あのロゴマークの復活は懐かしい限りです。
 ついでに表参道ヒルズも見てきましたが、ここは開業当時に行って以来、ご無沙汰していましたけれど、店のラインナップもすっかり変わっているように見受けました。
 

2012年7月01日(日)
 つい先日、公開中の「ハングリー・ラビット」を見たばかりですが、実は先月23日よりもう一本、ニコラス・ケイジの新作が公開されています。その名は「ブレイクアウト」Trespassという作品http://breakout-movie.com/。主演がニコラスと、ニコール・キッドマンという2人のオスカー俳優で、監督は90年代のバットマン・シリーズや「オペラ座の怪人」で知られるジョエル・シューマカー。というわけなので、スペック的には堂々たる映画なのに、扱いは「ハングリー・ラビット」よりさらに悪く、全国でたった22館しか公開しない、というありさまでして、ああまたしても、本当にかわいそうニコラス。ここ数年、ニコラスの主演映画はこんな感じで、見るのに苦労しています。
 そんなわけで、私の周辺でも千葉・幕張でしかやっていないため、わざわざ行ってきましたのがシネプレックス幕張。入ってみますと、昼間の回ですが案外にお客さんがいる。この映画はふと思いつきで見るようなものでもないので、わざわざおいでになった方も多いのじゃないでしょうか。パンフレットを買おうとしたら、製作していないという状態。仕方ないのでチラシをもらってきました・・・。
 さてそれで、見てみての感想ですが、さすがにオスカー男優と女優の競演。脚本もよく出来ていてなかなかの秀作サスペンスです。埋もれさせておくのはもったいないですね。
 ダイヤの取引で成功して財をなし、豪邸に住むカイル・ミラー(ケイジ)。美しい妻サラ(キッドマン)と、娘エイヴリーに囲まれて、仕事に明け暮れる日々を送っております。あまりに仕事にのめり込んでいてサラとの間はギクシャクし始めており、エイヴリーも難しい年頃で交友関係に問題がありそう。その夜も、一家でディナーを、という両親に逆らい、エイヴリーは近所の悪ガキたちのパーティーに無断で出かけてしまいます。
 続けてカイルもまたしても仕事で出かけよう、としたそのとき、豪邸の玄関のモニターに警備員の制服を着た男たちの姿が映ります。「特別警戒中です」という言葉に、彼らを中に通すと、この連中は男性3人、女性1人の4人組の強盗でした。たちまち脅されるミラー夫妻。強盗のリーダー格はカイルに金庫を開けるように要求します。ところが「断る」と言い張るカイルに、サラも愕然とします。「殺されるのよ、どうして」どんなに脅されても、決して金庫を開けないカイルにはなんの秘密があるのでしょうか。
 それに、強盗たちの様子も一枚岩ではなく、なんだかおかしい。明らかに一人の男はリーダー格の部下ではなく、お目付役のように振る舞っています。また、一人の若い男は、明らかにサラを庇いだてしており、「俺は君だけは守る」などと言い出します。この男はサラを知っているのでしょうか。サラも覆面をしていても、その男が誰だか思い出します。この豪邸を新築しているとき、警備システムの設定にやってきた若い警備員の男だということに。さて、この男とサラの関係はなんなのでしょうか。
 そんななか、パーティーに幻滅したエイヴリーが家に帰ってきます。さて、カイルは家族を守り抜くことができるのでしょうか・・・。
 ということで、パーティーのシーン以外はほとんどが豪邸内だけに終始する密室劇です。登場人物もほとんど上記の7人で、緊迫したセリフのやり取りだけで見せる手法。ですから派手なVFXなどあるはずがなく、また室内に限られるのでやたら大げさなアクションシーンもないわけで、役者の演技力が問われる内容になっています。金庫になにか秘密を持っているカイル、強盗一味の一人とかかわりがあるらしいサラ、こういう人物の心理描写が非常に重要な作品で、さすがにオスカー俳優2人の表現力は素晴らしく、最後まで引っ張られます。
 大きなスケールの作品ではないですが、秀逸な密室劇だと思います。派手な仕掛けで見せる映画に食傷気味、という方ならぜひご覧になってはいかがでしょうか。

2012年6月29日(金)
 今日は所用があって銀座に出た後、どこかに行こう、と思ったところ、お天気もいいので、不意にスカイツリーのお膝元ソラマチに行って見る気になりました。5月の開業から1か月を経て、どうなっているかな、という気分。夏休みシーズン前の平日ということで、人出もそれほどではなく、楽しめました。30階にある「ブラッスリー・オザミ」というレストランに行きましたが、素晴らしい眺望で良かったです。高所恐怖症の私にはこの30階、31階あたりでもう十分かもしれません・・・。

2012年6月29日(金)
 横浜市みなとみらいに昨年9月、出来た新名所「カップヌードル・ミュージアム」というところに行きました。インスタントラーメンの発明者・安藤百福氏の記念館なのですが、世界で一つだけの自分で内容を選択したオリジナル・カップヌードルや、チキンラーメンを麵から手打ちするコーナーなど、体験型の展示が好評です。私も自分だけのカップヌードルを作ってきました。それにしても安藤百福氏、事業に失敗し一念発起、チキンラーメンの製品化に成功したのが48歳、そして90歳代になっても宇宙食の開発に執念を燃やすなど、まさに大器晩成の典型という人生です。「我々はラーメンを売っているのではない、お客様に時間を提供しているのである」といった含蓄ある言葉は勉強になりました。

2012年6月23日(土)
日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第31回が、きょう発売号に掲載されました。今回のテーマは「レインコート」ということで、アクアスキュータム、バーバリー、バーヴァー、マッキントッシュなどのブランドを紹介しています。この連載は隔週土曜日掲載(次回は7月7日予定)です。

2012年6月22日(金)
 このほど豊洲のユナイテッドシネマで映画を二本立てで見てきました。なんでわざわざ豊洲でまで、といいますと、またまたニコラス・ケイジ出演の映画がこのへんじゃ豊洲でしかやっていなかったからなんですが・・・。というわけで、ニコラス・ケイジの「ハングリー・ラビット」と、シャーリーズ・セロンの「スノー・ホワイト」を見た次第。
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 さて、昨年も「デビルクエスト」「ドライブアングリー3D」と、主演映画が全国公開されたとはいえ、いずれも本当に全国で20〜30館ぐらいでしか上映していない、という感じで、すっかり日本市場では淋しい扱いのアカデミー俳優ニコラス・ケイジ。今回の「ハングリー・ラビット」もざっと数えて全国で44、45館での公開で、私の住んでいる周辺でいえば豊洲と蘇我でしか見られない状態。ああ、本当にいつもかわいそう、ニコラス。でもですね、実際に見てきての感想ですが、これはなかなかの快作です。よく出来たサスペンスですよ。
 今回、ニコラスが演じるのはニューオリンズの平凡な高校教師ウィル・ジェラード。なんの特殊能力もない平和主義者です。しかし彼の自慢といえば美人の奥さん。妻のローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)はオーケストラのチェロ奏者で、二人で幸せな生活をしています。
 が、それは突然、破られるのです。公演の練習で帰りが遅くなったローラは、ある男に襲われて性的暴行を受けてしまいます。傷つき病院のベッドに横たわるローラを見て茫然自失となるウィル。するとそこに目つきの鋭いスーツ姿の謎の男サイモン(ガイ・ピアース)が現れ、言うのです。「奥さんはお気の毒に。ところで我々は犯人の男の居所を知っている。強姦の常習者なのだ。たとえ警察に逮捕されても長い裁判になり、奥さんは苦しむことになる。検察の主張が通っても強姦罪の刑期は11か月にすぎない。だからただちに正義の鉄槌を下してはどうか。もしあなたが望むなら、我々の組織は犯人に正義を下すことができる。しかしその見返りとして、あなたにはちょっとした手伝いをしてもらうことになる」即答を求められたウィルはこの申し出を受け入れます。そして翌日、ローラを襲った男が射殺されました。
 それから半年、ローラも徐々に立ち直り、そんなことを忘れかけていたある日、ウィルにサイモンから電話が入ります。例の「ちょっとした手伝い」をしてもらいたい、というのです。サイモンの指示通りに行動するウィルですが、最後にサイモンから来た指示は、幼児性欲犯の常習者である男を高速道路上の歩道橋から突き落として殺害しろ、というもの。要するに、この組織にかかわると、自分の恨みのある人間を誰かが始末してくれる見返りに、自分も見ず知らずの人間を殺害するという「交換殺人」を前提にしているわけです。
 ウィルは虫も殺せぬ平和主義者。当然、要求を拒否します。そしてその男に話しかけると、突然彼はウィルに襲いかかり、自分で勢い余って歩道橋から転落、死亡してしまいます。ウィルはこの件で殺人容疑者として警察に逮捕されますが、尋問する刑事は奇妙なことを質問します。「では、空腹のウサギ(ハングリー・ラビット)は?」「空腹のウサギ?」そこでウィルは思い出します。サイモンとのやり取りの中で聞いた合言葉、それは・・・。「跳ぶ。空腹のウサギは跳ぶ、だ」すると刑事はなぜかウィルを釈放し、逃がします。「自殺と見せかけて消されるから気をつけろ」と忠告して。さて、ウィルは謎の「組織」の正体を突き止め自分とローラの身を守れるのでしょうか・・・。
 そんなわけで、非常にスリリングなサスペンスで、非力な高校教師という設定の割にウィルはなかなかすごい行動力を発揮してサイモンを追い詰めていきます。信じていた人間に裏切られるどんでん返しとか、それがまた三転する展開とか・・・主要な登場人物もそんなに多くないのですが、最後まで大いに引っ張ってくれます。ニコラスの哀愁漂う演技、それにローラ役のジョーンズもいい感じですし、ガイ・ピアースが得体のしれない謎の男をよく演じております。ということで、やたらメジャーじゃない拾い物の映画が見たい、というあなたにはぜひお薦めです。
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 さてもう一本の「スノー・ホワイト」は、いうまでもなくグリム童話「白雪姫」そのものであります。基本的な流れも原話通りで、悪い継母が魔法の鏡に「世界で最も美しいのは誰」と聞くと、「今まではあなただったが、白雪姫があなたを上回るようになる」という返事。そこで白雪姫を殺そうとするが、猟師がそれを助けてやり、森で小人にかくまわれる。継母は毒リンゴを白雪姫に食べさせて殺害しようとするが、結局、よみがえった白雪姫は・・・。
 というような、基本的な流れはそのまんま。なのにこの変貌ぶりは何だろうか。まるっきりロード・オブ・ザ・リングのようなスケールの大きなファンタジーになっています。悪い継母なんてレベルのものじゃなく、王国を簒奪した悪の魔女。この悪の女王を打ち倒すため、反乱軍を率いた白雪姫ことスノー・ホワイトは白銀色の甲冑に身を固め、ジャンヌ・ダルクのように雄々しく闘います・・・。
 昔むかし、マグナス王が治める平和な王国に不幸が襲います。王妃が突然、愛娘のスノーホワイトを残して亡くなってしまったのです。さらに謎の黒い軍隊が現れ王国を侵略します。王は軍を率いてこれを打ち破り、囚われていた美女ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)を助け出しますが、その美貌に一目ぼれ。王妃に迎えます。しかし婚礼の夜、ラヴェンナは魔女としての正体を表し、国王を殺害。城に自分の軍勢を迎え入れて王国を乗っ取ってしまいます。スノー・ホワイトは高い塔に幽閉されてしまい、王国はこの悪の女王の統治で光を失い疲弊してしまいました。
 それから7年、女王ラヴェンナに魔法の鏡が告げます。「スノー・ホワイトがあなたを上回ってこの世で一番美しくなります。そうなったらあなたの魔力は衰えてしまう。しかし、彼女の心臓をあなたが食べれば、あなた美貌は永遠となり、力も衰えることはなくなります」そこで女王はスノー・ホワイト(クリステン・スチュワート)を殺そうとしますが、彼女は隙をついて城を脱出、黒い麻の森に逃げ込みました。女王は森に詳しい猟師エリック(クリス・ヘムズワース)に「一人の娘を探し出す」よう命じます・・・。
 というようなわけで、おとぎ話ではなんだかはっきりしない部分が非常によく描かれていまして、女王ラヴェンナがなぜそんなに美貌に執着するのか、なぜスノー・ホワイトを殺さなければならないのか、といった理由付けが明確です。女王も単純な悪役ではなく、不幸な生い立ちもあって哀れな存在でもあるのです。そのへんをさすがのオスカー女優セロンが、妖艶かつすごみたっぷり、貫禄充分に演じていますが、本当に楽しそうでもあります。
 一方、クリステン・スチュワートがいかなる逆境にもめげず気高く立ちあがる王女としてのスノー・ホワイトを熱演していますが、こちらも魅力的。従来の白雪姫像を覆す戦うヒロインの登場です。
 おとぎ話での王子様に当たるハモンド公爵の息子ウィリアム(サム・クラフリン)というのも出てきますが、この作品では影が薄いです。男性陣では、おとぎ話ではチョイ役にすぎない猟師役のヘムズワースが中心人物で、原題もだからSNOWWHITE&HUNTSMAN(白雪姫と猟師)だったりします。
 とにかくスケール感が大きくてどえらいシビアな話になっている、という白雪姫です。本当によくもまあ、ここまで話を大きくしたな、と感心します。後半、スノー・ホワイトが反乱軍を立ち上げていくまでのエピソードは大いに盛り上がります。しかし、ラブロマンスみたいな要素は希薄です。二人の強力なヒロイン中心に語られる新感覚の白雪姫、ですね。いや、非常に堪能しました。

2012年6月17日(日)
日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」ですが、16日に発売の土日版に掲載予定でしたが、都合により、次週23日発売号に掲載となりました。いつもご愛読の皆様、申し訳ございません。

2012年6月16日(土)
 今日は4年に1度の「浦安市三社祭り」の日です・・・が、あいにくの雨。いまひとつ盛り上がりに欠けるのも否めないようです・・・。

2012年6月10日(日)
 会社の近くの東銀座に「ぐんまちゃん家」(ぐんまちゃんち)という群馬県のアンテナ店がありますhttp://kikaku.pref.gunma.jp/g-info/。店名は、群馬県のキャラクターである「ぐんまちゃん」という馬のキャラからきています。これがかわいい、ということで、妻の希望でぬいぐるみを買いました。確かにこう、ほのぼのとしたかわいさがあります。

2012年6月04日(月)
きょう発売の「週刊ダイヤモンド」6月9日号のブックレビュー欄に、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)の書評が掲載されました。評者は服飾評論家の遠山周平先生です。「男の装いに軸を通すには 戦いの歴史をたどるのも妙手」という見出しで、25行にわたって素晴らしい書評を賜りました。遠山先生並びに同誌編集部の皆様に厚く御礼申し上げます。
 一部を抜粋して紹介しますと・・・「われわれが仕事に使うスーツの歴史はたかだか150年余りだが、軍服の歴史はその30倍に及ぶ。男の服装は戦争によって大きく進化してきたが、スーツもそのルーツは軍服にあると『図説 軍服の歴史5000年』の著者、辻元よしふみは説く。(中略)この本を単なる軍装好きのマニア本と考えるのは間違い。読み進むうちに、人間の壮大な戦いのドラマとその装いの歴史が把握でき、知らずしらず自分の中に着こなしの軸が形成されていることに気付くはず。男の装いには伝統的かつ論理的な連続性があり、その軸を軍装に捉えたのがこの本。画期的な服飾評論になっている。辻元玲子による忠実でわかりやすい絵も見事だ」。
 これで、2月の公式発売以後、約4か月で本書は13の新聞、雑誌に書評を掲載して頂いたことになります。自分のメモとして列挙しますと、@東京新聞A中日新聞B世界の艦船(海人社)Cミリタリークラシックス(イカロス出版)D歴史群像(学研)Eタミヤニュース(タミヤ)Fメンズクラブ(ハースト婦人画報社)G日刊ゲンダイH朝雲(朝雲新聞社)I軍事研究(ジャパン・ミリタリー・レビュー)Jコンバットマガジン(ワールドフォトプレス)K世界日報L週刊ダイヤモンド−−となります。改めまして、各編集部の皆様、評者の先生方に厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

2012年6月02日(土)
日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」が、このほど第30回を迎えました。きょう発売号に掲載の今回のテーマは「詰め襟学生服はフランスの軍服がモデル」ということで、詰め襟学生服と女学生のセーラー服の由来について、紹介しています。この連載は隔週土曜日掲載(次回は6月16日予定)です。

2012年5月31日(木)
 「メン・イン・ブラック3」MIB3という映画を見てきました。言わずと知れたウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのヒット・シリーズの3作目。しかし1997年の1作目、2002年の2作目ときて、実に10年ぶりの新作、ということだそうです。ウィル・スミスも最近、話題を聞かないと思ったら、俳優としての活動を休んでいたようで、4年ぶりの復帰作でもあるとか。
 さて、映画は前作からそのまま10年後の設定。月面にある刑務所から、凶悪犯のボクロダイト星人、ボリスが脱獄します。彼はMIBのエージェントK(ジョーンズ)に恨みを抱いている様子。1969年にKによって片腕を撃ち落とされ、逮捕されたのでした。そのころニューヨークでは、長年MIBのニューヨーク部長を務めたエージェントZが亡くなり、後任に女性のエージェントO(エマ・トンプソン)が着任。そこへ、人の内臓を食い荒らしているエイリアンがいる、という通報が入り、KとエージェントJ(スミス)は異星人の経営する中華料理店に出動します。そこで取引されていた違法な宇宙エビをみて、Kは悟ります。それは凶悪犯ボリスの大好物だったのです。と思うまもなく、ボリス本人が現れ二人を襲撃。「おまえは過去で死ぬ」という謎の言葉をKに残して逃げ去ります。
 そして翌日、Kは忽然と姿を消し、みんなの記憶からも消えてしまってることにJは気付きます。Oに聞くと「Kは40年前、1969年7月16日にボリスに殺された」というのです。歴史が変えられ、過去に戻ったボリスによって若き日のKが殺されたことを確信したJは、Oの指示を受けて自分も1969年7月にタイムトリップすることに。それはまさにアポロ11号の月面飛行が行われる歴史的な日でした・・・。
 というわけで、今回はタイムトリップものという趣向を取り入れているわけで、1969年のアメリカが主要な舞台になります。芸術家のアンディ・ウォーホルのような有名人も登場します・・・この作品の通例ですが、彼もまた異星人という設定です。
 当然ながら若き日のKが登場しますが、こちらはジョシュ・ブローリンが熱演。しゃべり方や雰囲気がそっくりで、見事に20代のKを演じています。
 もう全体としては、定評あるシリーズの続編で、テンポよくお話が展開して、娯楽作品の王道路線といえます。まさに安心して見ていられる一作です。といって続編ものにありがちのマンネリ感もなく、そのへんはタイムトリップという仕掛けを入れたことが奏功しているのでしょう。60年代のMIBの様子や、当時の異星人などの描写も興味深いものです。
 普通、10年も間があくとなんで今さら、という違和感もあるものですが、本作に関してはそういう感じもあまり受けません。そのへんは製作側の見えない努力が多々あるのでしょう。とにかく小さなアイデアを一つ一つ積み重ねて成立している作品で、よく出来ている、と感心させられました。

2012年5月24日(木)
 「ダーク・シャドウ」DARK SHADOWSという映画を見てきました。ジョニー・デップ主演の新作で、製作もデップが担い、監督はデップの盟友ともいえるティム・バートン。そもそも本作に私どもはすごい興味があった、というわけではないのですが、「キックアス」以来、注目しているクロエ・グレース・モレッツが出演していると知り、見てみることに。さらに本作はティム・バートン監督の映画なので、ヘレム・ボナム・カーターは当然として、ミシェル・ファイファー、エヴァ・グリーンと豪華な共演陣です。本作はそもそも1966年から71年の5年にわたりアメリカで放送された人気テレビドラマの映画化だそうです。
 時は18世紀、英国からアメリカ植民地にわたったコリンズ一家は、メイン州で水産業会社を起業し大成功します。何不自由なく育った御曹司のバーナバス・コリンズ(デップ)は使用人のアンジェリーク(グリーン)を愛人にしていますが、やがて本命の美女ジョゼット(ベラ・ヒースコート)と婚約。これに嫉妬したアンジェリークは、実は恐ろしい黒魔術を用いる魔女で、コリンズ夫妻を暗殺し、ジョゼットも自殺に追い込んだ挙句、バーナバスに呪いをかけてヴァンパイアにしてしまいます。アンジェリークが煽動した町の人々は、バーナバスを捕えて棺桶に入れ、生き埋めにしてしまいます・・・。
 それから200年ほどたった1972年。メイン州の旧家コリンズ家の家庭教師として、ヴィクトリア(ヒースコートの二役)がやってきます。この家はかつては大いに栄えたと言いますが、すでに没落して借金まみれ。女当主であるエリザベス(ファイファー)は、反抗期の長女キャロリン(モレッツ)、母親を亡くし落ち込んでいる甥デヴィッド(ガリー・マクグラス)、盗癖と女癖が悪く問題だらけの弟ロジャー(ジョニー・リー・ミラー)、デヴィッドの心理療法をするため雇っているアル中の女流精神科医ジュリア・ホフマン博士(ボナム・カーター)などひと癖ある人物に囲まれ悩み多き日々を送っています。
 さてある日、近くの工事現場で古い棺桶が掘り出されます。200年の眠りから覚めたバーナバスは、コリンズ邸にやってきて、自分の子孫たちの没落ぶりに驚愕。またジョゼットに生き映しのヴィクトリアに一目ぼれします。彼はエリザベスと協力し、コリンズ家を再興しようと動き始めますが、立ちはだかるのは町の水産業を独占しているライバル企業エンジェル社の存在でした。そして、その社長というのは、18世紀末から200年にわたって町に君臨する魔女アンジェリークなのでした・・・。
 ということで、浦島太郎状態のバーナバスが、ヒッピー文化全盛期の70年代アメリカにやってきて、時代錯誤な古めかしい言動で繰り広げる珍妙なドタバタがじつにおかしい。シェークスピア劇みたいな言い回しのバーナバスは、ジョニー・デップの独壇場で、こういう癖のある役をやらしたら本当にうまいですね。
 それに重要な敵役であるエヴァ・グリーンの美しい魔女ぶりはお見事です。この人が存在感がないとまったく駄目なわけですが、本作での悪女ぶりは素晴らしい。清楚な美女役が多かった彼女としても、本格的なコメディーで、しかも悪役は初めてではないでしょうか。
 ミシェル・ファイファー、ヘレム・ボナム・カーターの二人のベテランも大いに存在感を出しています。さすがに安心して見ていられますね。それから、まだ売り出し中といえるオーストラリア出身のベラ・ヒースコートが透明な美しさを出していて、この人は今後、注目されてくるのじゃないでしょうか。
 クロエ・モレッツはサイケデリック文化にかぶれた70年代の屈折したティーンを好演しています。しかし彼女、単に反抗期で屈折しているのでなく、実は大きな秘密をかけていますが、それは見てのお楽しみ。
 70年代のアメリカを舞台にしているので、「ケネディ大統領」とか「ベトナム戦争」という言葉も多く出てきます。また、音楽もそのころのヒットナンバーが効果的に使われています。ヴィクトリアがコリンズ邸に来る途中のシーンでは、ムーディー・ブルースの「サテンの夜」がテーマ曲的に使われています。ほかにもディープ・パープルやブラック・サバスや、カーペンターズのヒット曲が次々に流れます。さらに、ちょうどこの時期に有名になったロック・シンガーであるアリス・クーパーが本人役で出演して2曲、披露するのも見どころでしょう。当時、20代だった彼が、64歳になっているのにあまりイメージが変わらずに、40年前の本人役で出演しているのは考えればすごいことです。
 けっこう、コメディータッチな前半から、後半はシリアスかつ本気のホラータッチになっていきます。そのへんはティム・バートン流ということでしょうか。笑える内容ながら、登場人物たちの抱える弱さや宿命といった部分が、意外に物悲しい後味を残す一作でした。

2012年5月21日(月)
 金環日食、皆様はいかがだったでしょうか。私の住んでいる千葉県周辺は曇りという予報でしたので、私はまったく諦めていました。が、たまたま午前7時過ぎは起きていて、「おや、暗くなってきたな」と思い、窓から太陽の方を見ますと、雲のカーテンの奥でバッチリ太陽が円い枠のように見えています。「これが金環日食か」と感動しました。時計を見ると7時33分ちょうど。その状態は数秒続いて、また太陽が姿を現しました。ということで、かえって雲がかかっていたこと幸いし、偶然にも特別な遮光をしないで金環日食を目撃できました。何十年に1回のことを、意識しないで目撃できてラッキーでした。

2012年5月19日(土)
日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第29回が、きょう19日発売号に掲載されています。今回のテーマは「スーツの下のポケットに物を入れない」ということで、スーツのちょっとした着こなしの基本の由来について、紹介しています。

2012年5月18日(金)
日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」ですが、あす19日発売号に第29回が掲載される予定です。今回テーマは「スーツのお約束」ということで、スーツのちょっとした着こなしの基本の由来について、です。

2012年5月11日(金)
日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」ですが、これまでのペースですと、あす12日発売号に第29回が掲載されるところです。が、都合により来週土曜日の19日発売号に掲載されることになりました。いつもご愛読の皆様、よろしくお願い申し上げます。次回テーマは「スーツのお約束」というような内容になるはずです。

2012年5月07日(月)
 今日からGW明けで出社、ということで憂鬱な方も多いかも。今年は寒気が残っていて天候も不順ですね。
 さて、今日もひとつご報告ですが、4月29日付の「世界日報」紙に、私どもの『図説軍服の歴史5000年』の書評が掲載されていました。後で知りましたが、書いていただいたのは評論家の阿久根利具先生。大きな扱いで掲載していただきありがたく思っております。
 振り返りますと、1月末に発売した『軍服の歴史5000年』は、これまでに@東京新聞A中日新聞B世界の艦船(海人社)Cミリタリークラシックス(イカロス出版)D歴史群像(学研)Eタミヤニュース(タミヤ)Fメンズクラブ(ハースト婦人画報社)G日刊ゲンダイH朝雲(朝雲新聞社)I軍事研究(ジャパン・ミリタリー・レビュー)Jコンバットマガジン(ワールドフォトプレス)、そしてK世界日報――に書評が掲載されました。各編集部の皆様、評者の先生方に厚く御礼申し上げます。

2012年5月04日(金)
 こどもの日を前にしまして、我が家では家宝である(?)甲冑を持ち出しました。甲冑?と思われるでしょうが、我が家には着用できる実物があるんですね。とはいってももちろん骨董品ではなくて最近作られた新作です。『図説軍服の歴史5000年』のイラスト製作に当たり、イラスト担当の玲子が、日本の甲冑の、特に縅し糸(おどしいと=日本の甲冑の部品をつないでいる鮮やかな色の太いヒモのことことです)の雰囲気がどうしても実物がないと描けない、ということで思い切って購入。西洋のイラストレーターが描く日本の武士の絵など、よく描けているのだけれど、日本の鎧独特の、ヒモでつないだ折り重なるような雰囲気がつかめなくて、一枚板のように描いてしまうことが多いのですが、それはやはり本物を見る機会がないからですね。やはり外国では日本の甲冑を目にすることはまずないでしょうから。
 この甲冑を参考に、「軍服の歴史」のカラーイラストの南北朝時代の大鎧を描いていますが、甲冑の方は大鎧ではなく胴丸という形式のものなので、イラスト化する際に胸に栴檀と鳩尾の板という大鎧独特の部品をつけたり、足回りを大鎧らしく四枚の草摺にしたりしています。なお、気がつかれた方もいるでしょうが、その鎧武者のモデルは私自身です。

2012年5月03日(木)
 映画「テルマエ・ロマエ」というものを見てまいりました。ヤマザキマリさんの同名コミックの実写化です。古代ローマ人が現代日本の銭湯や温泉に出現する奇抜さで、原作は500万部を超える大ヒットになっていることは、皆様御存じのとおりです。
 この映画化を聞いた時に、ローマ人の役を阿部寛をはじめ、市村正親、宍戸開といった日本の比較的「顔の濃い」俳優たちが演じると聞いて、はたしてそれでうまくいくのか、外国人を使った方がいいのでは、などと思いましたが、見てみて、これで正解だったのだろうと思いました。本作では、TVシリーズROMEで使用された壮大なローマの街のセットが使われており、1000人ものイタリア人エキストラを動員して、本格的な史劇映画に負けないほど完ぺきな古代ローマを再現しております。その絵の中で、顔が濃いめ、とはいってもどう見ても日本人にみえる阿部寛などがローマ人になりきっている演技がそれだけでどこか滑稽であり、しかしこれでかえって違和感がなく、彼が日本の湯治場や銭湯に出現して繰り広げられるドタバタもかえって説得力がある、という感じです。
 お話は西暦128年、第14代ハドリアヌス帝が治める帝政ローマ。ハドリアヌスといえば五賢帝の3人目で、まさに古代ローマの最盛期です。当時のローマは浴場文化が花開き、皇帝を始め権力者は競って大規模な大衆浴場テルマエを建設して、市民の支持を得ようとしていました。浴場設計技師のルシウス(阿部)はそんな中、自分の浴場設計プランが認められず、落胆しています。ある日、浴場で汗を流していたルシウスは謎の急流に飲み込まれ、ふと気付くと全く異世界の風呂場にいることに気付きます。背景にはベスビオス火山(本当は富士山)の絵があり、マッサージ機があり、そして冷たいフルーツ牛乳があり・・・。われわれローマ人を超える文明を、この「平たい顔族」の連中は持っている! ルシウスは衝撃を受けます。そのルシウスを見かけた漫画家志望の真実(上戸彩)は一目ぼれ。一方、またふと気付くとローマにもどっていたルシウスは、日本で見た銭湯を参考に浴場を設計し、なんと斬新な、素晴らしいと絶賛され、たちまち名声を得ます。そしてある夜、突然に宮廷に呼び出された彼は、皇帝ハドリアヌス(市村)直々に皇帝専用の個人風呂の設計を依頼されます。しかし新しいプランは湧かない・・・。悩んでいると彼は再び日本へ。さて、話はさらに皇帝後継者問題をめぐりどんどん大きくなっていきます・・・。
 ということで、とにかく現代日本に来て、銭湯の牛乳や、トイレのウオッシュレットなどを見るたびに「これはなんだ!」と感動する阿部の演技がなんといってもおかしく、漫画以上の説得力があると思います。私が見た劇場でも場内大爆笑でした。本当におかしいです。またコミック版とは違う真実というヒロインを設定していますが、これとの絡みも後半、感動的です。コミックと違う映画という枠にすることで、非常にうまくいっているのではないでしょうか。ということで、何か難しい理屈が必要な映画ではありません、面白いです。しかも先にも書いたように、古代ローマのパートは本格的で、史実にうるさい方も納得かと思います。

2012年4月29日(日)
28日(土)発売の日刊ゲンダイに、連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第28回が掲載されました。今回のテーマは「蝶ネクタイ」。近頃、おしゃれな人の間で徐々に人気が復活している蝶ネクタイの来歴や種類、合わせ方などを紹介しています。

2012年4月28日(土)
 今日も御報告を。軍艦や船舶の専門書として有名な雑誌「世界の艦船」(海人社)6月号の119ページブックガイドに、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』を取り上げていただきました。約40行ととても大きく扱っていただきまして、本当に感謝申し上げております。「世界の艦船」は海洋専門誌の老舗で、非常に格調高い雑誌。光栄です。冒頭を引用しますと「古代シュメールから現代までの約5000年におよぶ軍服の歴史を、著者の夫人である玲子女の筆になる200点以上の考証イラストを添えて記述した労作である・・・」
 ここまでで振り返りますと、1月末に発売した『軍服の歴史5000年』は、これまでに@東京新聞A中日新聞B世界の艦船(海人社)Cミリタリークラシックス(イカロス出版)D歴史群像(学研)Eタミヤニュース(タミヤ)Fメンズクラブ(ハースト婦人画報社)G日刊ゲンダイH朝雲(朝雲新聞社)I軍事研究(ジャパン・ミリタリー・レビュー)Jコンバットマガジン(ワールドフォトプレス)・・・こういった紙誌に書評をいただいたことになります。改めまして関係各位に厚く御礼申し上げます。

2012年4月27日(金)
 お知らせを一つ。私どもの『図説 軍服の歴史5000年』ですが、軍装品専門店であるカンプバタリオン様 http://kampfbataillon.militaryblog.jp/
で、私と玲子のサイン入り本を限定5冊、販売しております。ご興味のある方は上記のブログをご覧ください。
 ◆  ◆  ◆
 28日(土)発売の日刊ゲンダイ(土日版で定価150円)に、連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第28回が掲載されます。今回のテーマは「蝶ネクタイ」です。こちらも宜しくお願い申し上げます。

2012年4月26日(木)
 映画「タイタンの逆襲」WRATH OF THE TITANSを見てまいりました。「アバター」で主演したサム・ワーシントンが、その直後に主演した「タイタンの戦い」(2010年)の続編にあたり、やはりワーシントンが主役のペルセウスに扮しています。
 2年前のタイタンの戦いは、1981年の同名映画のリメイクでありました。ギリシャ神話の世界観に基づき、傲慢になって神を信じなくなった人間たちに罰を与えるために、冥界の王ハデスが放った怪物クラーケンを、大神ゼウスと人間の子であるペルセウスが退治するというストーリーです。で、81年版では、クラーケンの生贄として捧げられるところだったアルゴス王国のアンドロメダ王女をペルセウスは救い出して、二人は結婚して仲良く暮らしました、めでたしめでたし・・・という普通の昔話のパターンでした。しかし2010年版はちょっとひねくれており、ペルセウスはアンドロメダ王女を救ったけれど無視して、長年、彼の成長をゼウスの命で見守ってきたイオ(ジェマ・アータートン)という女性と結婚してしまいます。そして、神として生きることも、国王になることも拒否、一介の漁民として地味に暮らす道を選ぶのでした。
 さてそれから10年が経過した、というのが本作の設定です。前作と違って今回はオリジナル・ストーリーなわけです。で、前作でジェマ・アータートンに注目した、という人もいらっしゃるかと思います、私もそうでしたが、残念。今作の冒頭シーンは、イオの墓を詣でるペルセウスの姿から始まります。この10年の間に彼女は死んでしまったようです。そして漁民として暮らすペルセウスは、残された長男と二人で相変わらず地味な生活をしています。と、そこに突然、父である大神ゼウスがやってきます。前作では、親子であるけれどどこかしっくりいかなかった親子。いくらかペルセウスもわだかまりはなくなり、ゼウスを父と呼ぶのにためらいはなくなっています。で、ゼウスはペルセウスにいうのです。力を貸してくれないか、と。人間たちはますます神を信じなくなり、神々は力を失いつつある。その結果、かつてゼウス、ポセイドン、ハデスの三兄弟で地下に閉じ込めた巨神(タイタン)の王であり、この3人の神の父親でもあるクロノスが復活してしまう、というのです。クロノスが目覚めれば、ゼウスが創造した地球も、人類も破壊してしまう、世界は滅亡するというのです。しかしペルセウスはゼウスの申し出を断ります。自分は息子のそばで普通の人間として生きたい、と。
 さて、ゼウスはポセイドンと共に、地下の冥界にいる兄ハデスを訪ねます。3人で協力してもう一度、クロノスを幽閉している地下牢タルタロスを修復し、世界を立て直そう、というのです。が、兄弟を迎えたハデスは、すでにクロノスについて裏切っていました。ポセイドンに傷を負わせ、ゼウスを捕えてしまいます。ゼウスの能力をすべて吸収し、クロノスに引き渡してその復活を企む、というのです。おまけに、ゼウスの息子(ペルセウスからみれば兄)である軍神アレスが、クロノス側についていました。常々、疎んじられてきたアレスは、さらにゼウスの関心がペルセウスに移ったことが気に入らなかったのです。自分の息子に殴り倒されるゼウス。たちまち、クロノスの力が増し、タルタロスから魔物が次々に地上に現れます。
 突如、漁師町を襲撃した双頭の怪物キメラと死闘を繰り広げ、ペルセウスは辛くもこれを倒します。その後、瀕死のポセイドンが現れてペルセウスを訪れます。アルゴスのアンドロメダ女王の元に、彼の息子アーゲノールがいると告げ、二人の神の息子が協力して、地下の国に赴き、ゼウスを助け出し、世界を救ってくれ、と言って息絶えます。本来、不死であった神々ですが、力を失い、もはや死ぬ=消滅するようになったのです。
 さて、天馬ペガサスにまたがったペルセウスは、世界と息子を守るために、アンドロメダ女王の治めるアルゴスに向かいます。彼は父親を救いだし、世界を守り抜くことができるのでしょうか・・・。
 ということで、今作を流れる大きなテーマは父と子、それから兄弟、という人間関係だと言えます。ゼウスたち兄弟の確執、アレスとペルセウスの確執があります。またゼウスとアレス、ペルセウスの親子関係、さらにクロノスというのが神々の父親でもあります。血縁にある人間ほど、愛憎も濃い、ということなのでしょう。
 神々が信じられなくなった時代、戦争が続くため、軍神アレスだけは多くの祈りを捧げられて元気な様子です。そして、人々が彼に祈りをささげると、敵に回っているアレスはその場所を察知し、死神として登場します・・・だから決してアレスに祈ってはならない。神に祈ってはならない、という設定が、「神々の死」に向かう世界観をよく表しています。だからなんとなく、楽天的なギリシャ神話というより、神々の黄昏を描く北欧神話のようなダークな雰囲気です。そしてアクションに次ぐアクションシーン、見事なCG、そのへんは見どころ満載です。
 ということで、娯楽作品であってアクション映画ですが、単純な娯楽作品でなく、重厚な人間ドラマという趣もあります。どこか哀愁のあるサム・ワーシントンがはまり役です。ゼウス役のリーアム・ニーソンも好演しています。見応えのある一本です。

2012年4月24日(火)
 本日も一つご報告。このほど発売されたミリタリークラシックス(イカロス出版)37号の書評コーナーにて、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』が掲載されました。とても丁寧に読んでいただいた書評を賜りまして、イカロス出版編集部様に厚く御礼申し上げます。

2012年4月19日(木)
 さて本日は、面倒くさいので映画を一日に2本立てで見てきました。一本はウォルト・ディズニー110周年記念作品「ジョン・カーター」、もう一本はユニバーサル映画100周年記念映画「バトルシップ」。どちらも記念大作映画で、しかも主演も同じくテイラー・キッチュ。じつは見に行くまで、両映画の主演俳優が同じ人だと気づかないで行きましたので驚きました。テイラー・キッチュは、まず長髪の主人公に扮するジョン・カーターを、その後に短髪にした海軍軍人役のバトルシップを立て続けに撮ったようです。
 ◆  ◆  ◆
 まずは「ジョン・カーター」ですが、今から100年も前に書かれたSFスペースオペラの古典「火星シリーズ」の第一作「火星のプリンセス」を原作としています。原作者のエドガー・ライス・バローズは他に「ターザン」でも知られています。砂の惑星の描写や、リアルな異星人など、どこかで見たような感じを受ける方も多いでしょうが、「アバター」も「スターウォーズ」もみな、火星シリーズの影響を受けていますので、つまりこの作品の方が元祖なわけです。
 1881年、一人の青年エドガー・ライス・バローズ(つまり原作者と同名)が、急死した叔父ジョン・カーターの遺産相続人として呼び出されます。ジョン・カーターは宝探しで財をなした人物で、アメリカ南北戦争で活躍した元騎兵軍人です。弁護士はエドガー青年にジョンの残した日記を手渡します。そこには驚くべきことが書かれていました。
 それは13年前の1868年のこと、アリゾナ州で無理に軍隊に復帰するよう強制されたジョンは逃走し、ある洞窟の奥で突然、未知の世界に飛ばされてしまいます。その地は砂漠が広がる世界で、重力が軽く、ジョンは驚くべきジャンプ能力を身につけていることに気がつきます。通りがかったサーク族の族長タルス・タルカスに捕えられたジョンは奴隷扱いを受けますが、そこに飛来したゾダンガ王国とヘリウム王国の飛行船同士が空中戦を開始します。ゾダンガ皇帝サブ・サンは、ヘリウム王女デジャー・ソリスと政略結婚し、両国を統一して支配しようとしております。サブ・サンの手を逃れた王女デジャーが、飛行船から墜落しようというその時、ジョン・カーターは超人的なジャンプで彼女をしっかりと抱きとめ、地上に降り立つのでした。こうして、この世界の戦争に巻き込まれていくジョンは、ここが地球で火星と呼ばれてる星「バルスーム」であり、うち続く戦争の背後に影の支配者「サーン」の暗躍があることを知ります。さて、ジョン・カーターは王女とバルスームの未来を守り、地球に戻ることができるのでしょうか・・・。
 ということで、波乱万丈の物語はさすがスペースオペラの元祖の中の元祖、よく出来ています。この先どうなるのだろう、という興味が最後の最後まで緩むことなく続いて、じつに心地よく出来ています。古典的な作品に、見事に新しい生命を吹き込んだ作品だと思いました。一方、19世紀末のアメリカを描いている部分も重厚で、手抜きはありません。最後の最後になるほど、こういう決着になっていくのか・・・出だしのエドガー青年がなんで必要なのかも最後まで見て分かるようになっております。じつに上手い構成ですね。
 ◆  ◆  ◆
 さて二本目は「バトルシップ」。まずこのバトルシップBattleshipという言葉は何か、というのを正確に知っていないと、この映画の題名の意味とか、最後の方が理解できません。戦争で使う船をなんでも「戦艦」だと思っている人がいますが、違います。戦争で使う船は全体で「軍艦」Warshipといいます。それで、その中には航空母艦とか、巡洋艦とか、駆逐艦とかいろいろな種類があり、戦艦Battleshipはその中の一種類の名前にすぎません。戦艦というのは基本的に、でかい大砲で撃ち合いをするための軍艦です。第二次大戦までは海軍の主力でしたが、その後はミサイルを搭載した、もっと小回りのきく巡洋艦や駆逐艦、あるいは潜水艦、航空機を搭載した空母に主役を譲り、引退していきました。つまり今となっては戦艦は骨董品であり、現役の軍艦ではない、ということが大事なポイントなのです。
 さて、本作の冒頭で主人公のアレックス・ホッパーは、無軌道な青春を送る青年です。彼はふとしたきっかけで知り合った海軍提督の令嬢サムに一目惚れし、彼女のために深夜のコンビニに押し入ってチキン・ブリトーを手に入れますが、警察に御用に・・・。アレックスの兄で海軍軍人のストーン・ホッパーは、弟に「精神を入れ替えて海軍に入れ」と厳命します。それから数年後。立派に海軍大尉にまで昇進したアレックスは、しかし相変わらずの無軌道ぶりでたびたび規則破りをし、今回も環太平洋合同演習で一緒になった日本の海上自衛隊の艦長ナガタと殴り合いを演じ、今度こそ海軍を首になる寸前に。サムとの結婚を提督に許してもらおうと思っていた彼ですが、それどころではなく最大のピンチを迎えてしまいます。さてところで、それまでNASAはある地球外の惑星に生命が存在するのではないかとの予測から、ハワイの電波天文台から強力な信号を発信していました。すると、その星から突如、五つの飛行船が飛来して、一機は中国の香港を直撃、その他はハワイ周辺の海に落ちました。演習中の各国連合艦隊のうち、ストーンの指揮する駆逐艦サンプソン、アレックスの乗る駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズ、そしてナガタが指揮を執るイージス艦みょうこうの3隻が、異星人の船に接近していきます。突如、異星人の船は巨大なバリアを張って3隻を閉じ込めてしまいました。地球の未来はこのたった3隻の日米の艦艇にゆだねられることとなりました。未知の攻撃を繰り出してくる異星人に対し、苦戦する地球側の艦艇。彼らを阻止することはできるのでしょうか・・・。
 ということなんですが、少しネタバレ的なことを付記しますと、結局、上に書いた3隻だけでは止めをさすことができず、ハワイに停泊している記念艦の戦艦「ミズーリ」が引っ張り出されて、その巨砲が火を噴く、ということになります。戦艦ミズーリといえば、太平洋戦争の最後、マッカーサー元帥が日本の代表を呼んで日本の無条件降伏文書に調印したので有名です。まさかこの骨董品の戦艦が役に立つとは・・・というわけで、本作の題名になっているわけです。
 提督役にリーアム・ニーソン、ナガタ艦長に浅野忠信、また女性下士官の役でアメリカを代表する歌姫リアーナが熱演しています。サム役のブルックリン・デッカーも魅力的です。
まあよくよく考えるとけっこう突っ込みどころもありますが・・・やはり、宇宙人が地球の通常兵器で互角に戦える程度の敵である、というのが、そうでないと話が成り立たないからそういう設定なのでしょうが、弱すぎるような感じもあります。がまあ、緊張感あふれる面白い映画になっています。
 ◆  ◆  ◆
 ということでテイラー・キッチュ二本立てでしたが、個人的には長髪のジョン・カーター役の方が似合っていたような感じがします。いずれにしても、正統派の二枚目で、今回の大作に立て続けに出ることで、大いに名を上げるのではないでしょうか。 

2012年4月15日(日)
 本日は、私どもとしては嬉しいことですが、東京新聞(それとおそらく同系列の中日新聞にも)4月15日付の10面「読書」コーナーにて、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)の書評が掲載されました。ちょっと専門的な内容の本ですので、一般の新聞などでの紹介は難しいのかな、と思っておりましたので、本当に光栄なことです。
 書評を賜りましたのは、法政大学教授の川成洋先生です。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。また、東京新聞の書評面ご担当のみなさまにも、感謝申し上げる次第です。
 ちょっとだけさわりを引用しますと・・・。
 「軍服は通常われわれが着ることのできない服装の一つだが、虚心に見れば、スマートというか、掛け値なしで美しい。軍服のもつビジュアルイメージは、他のなにものにも代えがたいのだ。ギリシア最古の叙事詩であるホメロスの『イーリアス』が「戦争は勇壮な男の仕事である」と謳ったように、戦士たる者は戦闘の只中にあっても、そのダンディズムを捨てなかった。これがミリタリー・ファッションの嚆矢であり、それ以降、意外な展開を繰り広げたことがさまざまな逸話から紹介される・・・。(中略)
 精密な時代考証に基づく二百点余りの軍服の色鮮やかなイラストは、実に説得力があり、本書の何よりの魅力である。 評者 川成洋(法政大学教授)」

2012年4月14日(土)
 さて本日は、ちょうど100年前の1912年に、あの豪華客船タイタニック号が氷山に衝突した日・・・沈没したのは翌15日未明だったようです。
 それはさておき、本日発売の日刊ゲンダイ(土日版で定価150円)に、連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第27回が掲載されます。今回のテーマは「ブルゾンとジャンパーはどう違う?」ということで、20世紀前半から登場したジャンパー型衣料について、A2ジャケットやバリスタリーノ、G9、MA1などを紹介しています。

2012年4月13日(金)
 このほど発行された「タミヤニュースTAMIYA NEWS」5月号(Vol.516)に、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)の紹介が掲載されました。12ページにこの記事はあり、文章は私、辻元が自分で書いたものです。伝統あるタミヤニュースに載せていただけるのは本当に光栄なことです。同編集室様にこの場を借りまして厚く御礼申し上げます。

2012年4月12日(木)
 浦安市はじつは結構、街中に桜の木が植えられていまして、何本かの街路は桜並木で埋められています。ですのでこの時期になると、あちこちで見られるのですが、一方で、昨年の大震災のために川沿いの街路、歩道などが大きく損傷し、桜の木も撤去されたところもあるようです。よく見るとそんな痛々しい箇所もところどころで見られます。
 それにしましても、今年もそろそろ桜も見おさめ、ということで、天気は悪かったのですがJR新浦安駅近くの「若潮公園」の桜を見てまいりました。この公園は、ポニーやヤギ、カピバラなどの小動物もいて、子供たちに人気のスポットになっています。
 3年前、胆石で入院した際、久しぶりに退院して解放され、まず順天堂病院のすぐ横にあるこの公園にきたのを思い出します。桜が激しく舞い散る中、ポニーが不思議そうに花びらを食べていました。のどかな陽射しの中、ああ、やっと自由になれたのだなあ、としみじみ思ったものです。
 

2012年4月10日(火)
 声優の青野武さんが亡くなりました。シネマトゥデイの記事には「10日、声優・俳優として活躍した青野武さんが、亡くなったことが明らかになった。所属事務所が認めた。75歳だった。テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」の“おじいちゃん”さくら友蔵役の2代目を、1995年から2010年に解離性大動脈瘤(りゅう)で入院するまで約15年間務めていた青野さん。「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの真田志郎役、映画『ホーム・アローン』シリーズでジョー・ペシが演じたハリー役など声優を務めたテレビアニメ、劇場アニメ、吹き替えを担当したハリウッド映画は、数知れない」とあります。
 ヤマトの真田さんが・・・ショックです。また本当にいろいろなところで、青野さんの声を聞くことがありました。ご冥福をお祈りいたします。

2012年4月07日(土)
 本日は、玲子がお世話になっている日本出版美術家連盟理事・麻利邑みみ先生が出展されている「四月祭」という展覧会を見て参りました。本展は十九回目を数え、活躍中の女流画家・イラストレーター33人の作品が一堂に会するものです。
 本展は東京メトロ千代田線千駄木駅近く、文京区千駄木1−20−8 千駄木画廊(03−3823−5021)にて、14日(土)まで開催中です。午前11時〜午後6時半(最終日は午後4時まで)。

2012年4月06日(金)
 すみません。新年度に入りましてはや、6日がたちましたが・・・この間、日記やブログの更新が止まっておりました。こういうとき、「ひょっとして体調がまた悪いのでは? 辻元は大丈夫か」と思われる方、特にいつもここをご覧の方はいらっしゃるかと思います。大丈夫です。ご安心下さい。単にさぼっていただけです(笑)。
 それにしても、昨年の今頃は尿管結石で会社を病欠、3年前の今頃は胆管結石と急性肝炎で入院していまして・・・もっと遡ると22歳の今頃も盲腸で緊急入院していました。春先の3月、4月はどうも身体の不調が起こりやすくて恐ろしいのであります。ついでにいえば、我が家の母親がクモ膜下出血で入院したのも、やはり胆管結石で入院したのもいずれも4月。これだけ続くと、なにか嫌な感じになってきます。4月というと、桜、というより病院を思い出してしまいます。桜の花散る中、病院を行き来した記憶が何度もありますのでね。
 このところは、まあ人生、一進一退といいますか、いいお話もありますし、うまくいかない話もありますし、という感じでしょうか。まあ徐々にそのへんも、おいおいご報告できることが出てくれば、ご報告致します。
 ともかく、まずは健康第一で、と思っております・・・。
 


2012年3月31日(土)
日刊ゲンダイ「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第26回が今日発売の紙面に掲載されております。今回のテーマはベルト、サスペンダーです。「ベルトは肥満対応のアイテムだった」として、今では当たり前にズボンの腰に巻かれているベルトの歴史と、ズボン吊りの登場について紹介しています。「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」は隔週土曜日に連載しております。

2012年3月30日(金)
 妻のイラストレーター・辻元玲子が加入している「理科美術協会」の会員、滝波明生先生の画業50周年を記念する個展が、27日から、市ヶ谷の山脇ギャラリー(東京メトロ市ヶ谷駅A2出口すぐ)で開催されておりまして、本日は玲子と私で見て参りました。50点もの風景画や図鑑向けの鳥、植物、動物の精密画。さらにガンとの闘病中に描かれたという壮絶な自画像など、滝波先生のこれまでの画業を回顧する一大展で、本当に圧巻といいますか、その歩んでこられた道、そして対象に対する精緻にして愛情の溢れたまなざしに打たれるものがありました。
 先生ご夫妻が入り口におられて、本当に恐縮致しました。ありがとうございました。
 この展覧会は4月2日まで、午前11時〜午後6時(最終日は午後1時まで)です。

2012年3月29日(木)
 日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第26回が、3月31日(土)発売の紙面(土日版で定価150円)に掲載されます。今回のテーマは「肥満で必要になったベルト?」として、ベルトやサスペンダーなど、ズボンを固定するアイテムの歴史を取り上げます。宜しくお願い申し上げます。
 ◆   ◆   ◆
 昨日、日ごろお世話になっているある御夫妻と、我々夫婦とで、横浜はとバスツアーに行ってきました。はとバスといえばあの黄色いバス、誰でも知っていますが、かえって首都圏在住の人は乗ったことがない方が多いのでは? 私たちもそうで、これが初めて。それで東京駅丸の内口の乗り場に行ってみたら、なんと2階建てバスの最前方の席、ということで最高の見晴らし。あれは素晴らしいですね。で、中華街のお店に行った後、ランドマークタワーで夜景を展望、というお決まりのコースですけれど、なんでも至れり尽くせりで、チケットもいらない、どこでも玄関に付けてくれる、なにも考えなくていい・・・ツアーっていいですね。やっぱり楽。自分で考えて行くと、結局、よけいな回り道をして目的を達することができなかったりします。こういうコンパクトなツアーもいいものです。

2012年3月22日(木)
 映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」The TRON LADYというものを見てきました。本作でサッチャー英国元首相を熱演したメリル・ストリープは先ごろの第84回アカデミー賞で2度目の主演女優賞を獲得、またメーキャップ賞も受賞していますね。そういうわけで話題の作品です。英国もの映画はしばしば話題になりますね。数年前の「クィーン」や、昨年の「英国王のスピーチ」など実在の人物を取り上げながら、感動的なヒューマンドラマに仕上げているものが多いですが、本作もその流れの中にあると言えます。
 さて、この映画製作の発端は、2008年に刊行されたサッチャー元首相の娘、キャロル・サッチャーの著書から始まったそうです。その内容は、あの「鉄の女」として知られ、強靭な精神力の女性として畏敬されたサッチャー女史が認知症を患い、夫のデニス・サッチャー氏が亡くなったことすら認識できなくなっている、というもので、世界に衝撃を与えました。
 同年8月のAFP電の記事にこんなものがあります。「【8月24日 AFP】マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)元英首相の娘の新著の抜粋が24日の英日曜紙に掲載され、最近の元首相の様子が明らかになった。キャロル・サッチャー(Carol Thatcher)さんによると、症状が最も悪い日のサッチャー元首相は、文章1文ほどの内容を話すことも困難な状態だという。しかし、時折、過去の輝きを取り戻すことがあり、特に首相だったころの話をするときには顕著だという。
 キャロルさんの新著『ガラス張りの金魚鉢での日々(A Swim-On Part In The Goldfish Bowl)』は、英日曜紙メール・オン・サンデー(Mail on Sunday)での連載を書籍化した回想録。キャロルさんは、「母は、いつまでも年を取らず、永遠で、鋳鉄のように丈夫だと思っていた」とつづった。
「昔は、母に同じことを2度言うことはなかった。1度話すだけで、その驚異的な記憶力で母親は何でも覚えた。でも、少しずつ、母は同じ質問をくり返しするようになった。しかも、何度も質問していることに気づかない」(『ガラス張りの金魚鉢での日々』)
 また、キャロルさんによると、サッチャー元首相は、夫デニス(Denis)さんが2003年に死去したことも頻繁に忘れたという。キャロルさんは、「何度もくり返し、父が死去したという事実を母に伝えなければならなかった」と記した。「50年以上連れ添った夫はもう死んでしまったということをようやく母に納得させると、いつも決まって母は、気持ちを抑えてようとこらえる私を見つめて、悲しい顔で『まあ』と言う。そして、『わたし達はみんなその場に居合わせた?』とおだやかな声で私に尋ねる」(『ガラス張りの金魚鉢での日々』)」
 この本に衝撃を受けたフィリダ・ロイド監督が、映画の製作を企画し、「マンマ・ミーア!」でタッグを組んだメリル・ストリープを起用したのがこの映画、というわけです。
 ということで、基本は上のキャロル・サッチャー氏の著書に沿っているわけですが、近年のサッチャー元首相の日常については大胆に脚本家が想像して描いているとのこと。映画は、老いたマーガレットがコンビニエンスストアで牛乳を買って、その値段の高さに驚くシーンから始まります。「ひとりで買い物に出すな」と揉める側近たちを尻目に、淡々とした日常をこなすマーガレット。彼女はいま一つの決断をしようとしていました。8年前に亡くなった夫デニスの死を受け入れて、その遺品を整理し慈善団体に寄付する、ということです。しかしその彼女のそばにはいつも、夫の幻影が現れます。今もまた、亡き夫の幻影と語り合いながら、古いビデオ映像をみて過去を振り返るマーガレットは、戦時下の空襲におびえた少女時代から、大学に進み、国会議員を目指して奮闘したころや、優しいデニスとの出会い、子供たちが小さかった頃、そして当選した後も下層階級出身の女性議員ということで差別された日々、徐々に保守党の中でのしあがり、閣僚、さらに首相にまで上り詰めた嵐のような人生を振り返っていきます。衰えていく日常と、夫の幻影と、過去の出来事がめくるめくオーバーラップするなか、あの1982年、運命のアルゼンチンとの領土戦争であるフォークランド紛争へと回顧は続いていきます・・・。
 ということで、複雑ないまと過去のオーバーラップを巧みにさばく脚本が見事です。そしてさすがに素晴らしいメリル・ストリープ。本当はアメリカ人なのですが、英国人の俳優たちに交じって堂々たる英国英語で、戦う鉄の女と、衰えて苦悩するいまを演じ分けていきます。夫デニスの亡霊を演じるジム・ブロードベントの演技も素晴らしく、決して「政治映画」ではなくて、やはり夫婦の愛の物語といっていいと思います。エンディングは感動的で、心を打ちますよ。
 鉄の女にも平等に訪れる老いと孤独。それは人間というものの本質を描き出しています。実在の著名人を取り上げることで、もっとも普遍的なテーマを描き出した名作だと思いました。



2012年3月17日(土)
今日は東京・恵比寿ガーデンプレイスのガーデンホールで開催されている「ジャパン・テディベア・フェスティバル2012イン・トーキョー」Japan Teddy Bear Festival 2012 in Tokyoを見て参りました。前から玲子がお知り合いの作家さんである岡部紀代美さんのご招待をいただきました。広大な会場いっぱいにたくさんの創作クマのぬいぐるみと作家さんたちが大集合。岡部様のオリジナリティー溢れる「カボチャくま」さんを玲子が買いました。また陳列品では、ドイツの名門シュタイフのクマだったと思いますが、フリードリヒ大王の軍服を着込んだクマが目に付きました。時代考証がしっかりしていて、やはり本国の人たちは歴史も勉強していますね。

2012年3月16日(金)
日刊ゲンダイ「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第25回が今日発売の紙面に掲載されています。今回のテーマは靴下・ホーズです。「中世ではズボンより靴下が主役?」として紳士の足元を彩ってきた靴下の歴史を紹介しております。「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」は隔週土曜日に連載しております。

2012年3月09日(金)
 このほど発売された「歴史群像」(学研パブリッシング)4月号で、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)が新刊紹介コーナーに掲載されました。今回は3名様に本書のプレゼント企画付きです。同誌の巻末ハガキに記入の上で応募し、4月6日消印有効、だそうです。

2012年3月08日(木)
 日によって寒暖の差が激しくなってきました。どうか皆様、ご自愛を。さてそれで、このたびは映画「アンダーワールド 覚醒」UNDERWORLD AWAKENINGというものを見てきました。ケイト・ベッキンセール主演のSFホラー・アクションの4作目です。今までのシリーズをずっと見てきましたので、またうちの妻が特にベッキンセール・ファンなので、見逃すわけにいかない、というわけです。
 しかしこの作品、2月24日に公開されたのですが、なにか今回、扱いが良くないようで、私たちがいつも行く映画館でもやってくれない。わりと御近所でやっていそうなところを検討した結果、木場の109シネマ木場まで出かけて見てきました。
 このシリーズは、「パールハーバー」で名を上げたベッキンセールが、影のある吸血鬼の女処刑人セリーン、という役どころで熱演して2003年に第1作を公開、それからほぼ3年に1作のペースで続編が作られ、今回で9年目、ということに。1作目で20代だったベッキンセールも、38歳。それに3作目はそれまでの世界観の前日譚という扱いで主演しなかったため、6年ぶりに主演復帰、という作品でもあります。
 この作品世界、長きにわたり抗争を続けるヴァンパイア(吸血鬼)とライカン(狼男)の死闘を描いてきましたが、今作は、2種族の存在に気付いた一般の人間たちが、異種族狩りを開始、どちらも絶滅寸前までおいやられる、というところから始まります。そしてセリーンは、恋人であり、史上ただ一人、ヴァンパイアとライカンの混血種(ハイブリッド)であるマイケルと共に人間につかまってしまいます。そして冷凍保存され、実験台に・・・。
 それから12年がたち、彼女はバイオ企業であるエンテジャン社の実験室で、突如、何者かに目を覚まされます。看守たちを倒し、地下に逃げ込んだセリーンは、そこで一人の少女と出会います。この少女はヴァンパイアとライカンの特質を併せ持つ存在で、しかもセリーンが実験台とされている間、知らぬ間に誕生させられたセリーンとマイケルとの間の子供でありました。突然、娘が目の前に現れ、当惑するセリーン。一方、少女の後を追うエンテジェン社の責任者、レーン博士にはある秘密と大きな野望がありました。娘を守りながら戦うセリーンは、一体、どんな陰謀に立ち向かうことになるのでありましょうか・・・。
 ということで、いきなり母親となり、母性に目覚めて、ひたすら冷酷無情な処刑人であったセリーンに微妙な変化が出てくるのがこの作品の最大の見どころ。また愛娘役はあのオリビア・ハッセーのお嬢さんであるインディア・アイズリーという人。アクション満載、めくるめく展開、これまで通りにアクション娯楽映画の王道といっていい作品です。もう安心してみていられる面白さ、です。が、とにかく残念なのが、今回は明らかに宣伝・公開体制に力が入っていない。本当にいい映画なのに、もったいない。そう思いますが。
 これは本格的な3Dカメラで撮影されており、やはり映画館の3D大画面でご覧になっていただきたいな、と思いました。

2012年3月07日(火)
 日刊ゲンダイの2月25日付紙面、書評コーナー「出版トピックス」に私たちの『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)を取り上げていただきました。見出しは「古代シュメールの軍服は超SF的!」。同編集部には、この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。

2012年3月03日(土)
日刊ゲンダイ「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第24回が今日発売の紙面に掲載されています。今回のテーマはブーツです。また今回の写真撮影には、銀座のサローネオンダータ様にご協力頂き、扱っていらっしゃるドイツ製の乗馬ブーツを使用致しました。ウェリントンタイプ、ブルーチャータイプとも、底光りする革の質感も艶めかしく、本当に素晴らしいです。こちらでは、なんと脚にあったオーダーで10万円前後から誂えることが出来るそうです。改めてサローネオンダータ様に感謝申し上げます。


2012年3月02日(金)
 日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第24回が、3月3日(土)発売の紙面(土日版で定価150円)に掲載されます。今回のテーマは「2大ブーツの起源は歴史上の名将」として、ワーテルローの戦いに名を刻んだ2人の将軍にあやかるブーツなどを紹介します。
 今後も、隔週土曜日に、男の服飾史がらみの記事を載せていくことになっております。どうぞよろしくお願い致します。


2012年3月01日(木)
 思わぬ雪を経て3月となりました。今日は「コンバットマガジン4月号」(ワールドフォトプレス)の書評コーナーで、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』が取り上げられているのを発見しました。ありがたいことでございます。

2012年2月24日(金)
 「タイムIN TIME」という映画を見ました。近未来SFアクション、というような分類になるかと思いますが、いかにもSF的な科学上のコアな設定というのもなくて、あえていって「近未来のボニー&クライド」というか、「近未来版・俺たちに明日はない」という感じでしょうか。
 いつとははっきりしない近未来。人類の遺伝子操作技術は究極に達して、人は25歳に達すると成長が終わり、不老不死となります。肉体年齢25歳のままで永遠に生きられる。しかしそれでは人口が増えすぎて体制が成り立たない。そこで導入されたのが「時間」です。すべての人は左腕に自分の「持ち時間」が表示されます。これは働くと時間が増え、消費すると減る。つまり貨幣であり、労働=時間の切り売り、という資本主義の究極の形といえます。要するに、億万長者はあくせくせず、永遠に生きていられる。しかし貧乏人は働けなくなると死ぬしかない。払う「時間」がなくなると即死する。この設定は、今の息詰まりつつある資本主義を誇張したものでしょう。今の世の中にあっても、要するにお金というのは時間です。会社で何時間すごす、その代価が支払われる。そのお金で生きていける。お金がたくさんある人は労働しなくていい。だから自由な時間が「買える」。これを、お金を仲立ちにしないでダイレクトに、お金持ち=時間持ちということにしたのがこの映画です。
 さて、それで近未来では、1000年以上も時間を持つ大金持ちと、1日分の時間を日給で受け取って、一日でも仕事を休むと死ぬしかない貧民に分かれ、住む地域も世界も違う、という二極化が進んでいます。中流というのはない。富裕層と貧民と。その貧民街に、一人の富裕層が現れて、気前よく「時間」をばらまいて歩きます。彼はすでに100年以上も生きて、生にうんざりしている。彼はふとしたことで知り合った貧民街の青年ウィルに100年以上の時間を与えて、自分は時間切れで死にます。「私の時間を無駄にするな」と書き残して・・・。同じころ、50歳のウィルの母親は急に値上がりしたバス料金を支払う時間がなく、時間切れで即死。ウィルの腕の中でこときれます。怒りに燃えたウィルは、富裕層の住む世界に乗り込み、時間を搾取している連中の実態を見てやろうと決意します。
 その富裕層街で、ウィルは大富豪の娘シルビアと知り合います。やがて時間捜査官に追われる身となったウィルは、シルビアを人質にとって逃走を始めます。
 さて、二人はこれからどうなっていくんでしょうか・・・。
 ということですが、冒頭に書いたように、ちょっとボニー&クライドみたいになる、といえば察しのよい方はお分かりかと思います。そういうわけで、まあ本質からいえば資本主義への風刺も込めたギャング映画、みたいな感じになっております。展開もよくて面白い映画です。まあ、ちょっと食い足りないというか、もうちょっと・・・という部分もありますが理屈を言わなければ非常に面白いです。
 近未来ですが、いわゆるSF的な部分はあまりなく、服装もドリス・バン・ノッテンとかプラダ、ヴェルサーチだったり、走っている車も60年代のノスタルジック・カーだったりします。実際、富裕層は保守的であり、ぶっとんだものは好まない、というのはリアルな話かもしれません。
 

2012年2月21日(火)
 本日、手元に届きました「メンズクラブMENSCLUB」4月号(ハースト婦人画報社)の巻末にあるインフォメーションコーナーに、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)の紹介が載りました。
 一応、書店での分類上は軍事・ミリタリー分野に入れられることが多い私たちの本ですけれど、ミリタリー・ファッション全般を取り上げており、そしてミリタリーの要素というのはファッション界でもしっかり定着したカテゴリーなので、実はこちらの世界の方でも読んでいただければ、と思っておりました。ですのでメンズ・ファッション誌の老舗中の老舗であるメンズクラブに取り上げていただいたことは非常に光栄で、嬉しく思います。

2012年2月20日(月)
 本日は、私どもの公式サイトhttp://www.tujimoto.jp/が大幅にリニューアルされましたので、ご報告する次第です。
 今回最大の改正点は、サイト名の変更です。2003年春のサイト開設時に「ロック詩人 辻元佳史のハードロック・ポエムランド」としてスタート、2008年春に「戦史・服飾史研究家 辻元よしふみのハードロック・ポエムランド」と改名して、今日まで参りましたが、このたびは『図説 軍服の歴史5000年』の刊行を受けて、私・よしふみと、イラストレーター・玲子の共同公式サイトといたしました。名前も「戦史・服飾史研究家 辻元よしふみ&イラストレーター辻元玲子 公式サイト」といたしました。
 当然ながら、玲子の手がけたサンプルイラストを紹介する「イラストギャラリー」を新設しました。今後、徐々に増やしていくつもりです。
 今後とも「辻元よしふみ&辻元玲子 公式サイト」をよろしくお願い申し上げます。

2012年2月19日(日)
 今日は日本経済新聞の書評面に彩流社の広告が掲載され、私たちの『図説 軍服の歴史5000年』が、このところおなじみというか、いつもお隣にある快楽亭ブラック師匠の御本などと一緒に掲載されています。日経新聞というと、やはり読者層もバリバリの知的なビジネスマンの方が多いのでしょうか。
 ところで、長らく今月の3日夜から欠品状態が続いていたアマゾンも、ようやく『軍服の歴史5000年』を仕入れたようです。たちまちアマゾン順位も上位に返り咲き。それにしても2週間以上も放置しているとは、どういうシステムなんでしょうか。
 

2012年2月17日(金)
 日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第23回が、2月18日(土)発売の紙面(土日版で定価150円)に掲載されます。今回のテーマは「目出し帽を生んだのはナイチンゲール」として、さまざまなファッションのヒントを生んだ19世紀のクリミア戦争について紹介します。
 今後も、隔週土曜日に、男の服飾史がらみの記事を載せていくことになっております。どうぞよろしくお願い致します。


2012年2月14日(火)
 久島海こと田子ノ浦親方の訃報には驚きました。46歳の若さ。つい先日、ホイットニー・ヒューストンさんの48歳の急逝に驚いたばかりです。久島海関は、私は相撲に詳しい人間ではないですが、ほぼ同世代としてプロ入り前から、「すごい学生横綱がいる」というのは自分も中学、高校生時代から知っていて、たしか当時のテレビニュースでも取り上げられて、将来が楽しみ、というような話題を見たことがあります。その人が、この若さで逝くとは・・・もちろんそんなことは想像できるはずもなく、前途洋洋たる若者、というか私より少し上の先輩、という姿が強く印象に残っていて、信じられないものがあります。
 人生、なんともわからないものですね。
 ◆  ◆  ◆
 そろそろ自分たちの本の話題も、書きすぎるとしつこいとお叱りを受けるかと思いますので、なんなのですけれど、しかし読売、朝日と新聞広告も出そろったことだし、どんな感じかな・・・というところで、アマゾンのランクはもはや5万位とか8万位。それも当然、今月の3日夜に在庫切れして以来、もう10日以上も在庫補充をしてくれないので、新たな注文があるはずもありません。それにしてもちょっと補充が遅すぎるような・・・。
 それに代わりまして書店でのランキング・・・これもお店によってさまざまですが、14日朝現在、丸善&ジュンク堂のランキングで、ミリタリー書部門で3位にランクインしておりますようです。同書店グループのミリタリー書取り扱いは現在1731点。なかなか健闘しているようです。

2012年2月13日(月)
 11日のことですが、たまたま妻と二人で入ったお店のBGMでホイットニー・ヒューストンの歌が流れていました。「そういえば、ホイットニーといえば、自己破産寸前なほどお金に苦労しているみたいだね、最近の報道によると」「どうして? あんなに売れっ子だったのに」「一度、頂点を見た人の後半生はつらいもんだね」などと会話しました。そうしたら。虫の知らせ、の一種だったんでしょうか?
 報道によれば・・・【ロサンゼルス共同】自らが主演した映画「ボディガード」の主題歌「オールウェイズ・ラブ・ユー」など数多くの曲がヒットし、米音楽界最高の栄誉、グラミー賞を6回受賞した米女性歌手のホイットニー・ヒューストンさんが死去した。48歳。・・・ということで、私より4歳上、ほぼ同年代だったんですね。
 ◆  ◆  ◆
 朝日新聞の12日付読書面に、彩流社の広告が掲載されました。私たちの『図説 軍服の歴史5000年』も載っておりました。

2012年2月10日(金)
発売から2週間ほどたった私どもの著作『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)でございますが、早くも書評を掲載して下さったメディアがございます。まず朝雲新聞社の「朝雲」。それから軍事専門誌である「軍事研究」最新号にも書評をいただきました。厚く御礼申し上げます。
 また、下記のような方々のブログにも掲載されています。
 滝沢滋散歩日記http://blog.goo.ne.jp/shige0516/e/02891fe02f58eaee038369938b936283
 中野香織ブログhttp://wwwmode.kaori-nakano.com/blog/2012/02/post-46c2.html
 snoozerのblog http://cognitivebiassnoozer.blogspot.com/2012/02/blog-post_09.html ふるゆきホビー館 http://furuyuki.jugem.jp/?eid=1132
 サローネオンダータ公式ブログ
 http://ameblo.jp/salone-ondata/entry-11149741477.html?frm_src=thumb_module 

 ほかにも私がまだ拝読していない記事もあるかと存じます。本当に皆様、ありがとうございます。

 ところで、上のサローネ・オンダータ公式ブログの記事に紹介されている、滝沢滋氏の愛弟子、柳下望都さんの100%ハンドメイド・スーツ・・・これは私が無理を言って、2年も掛けて作って頂いたのですが、こちらも大評判のようです。実は、この100%のものというとさすがに私のスーツ一着しか、まだこの世にないので、この春に大展開する柳下さんの商品紹介用に、お貸しすることにしました。
 モデルの体形が太短いのがどうも申し訳ないのですが・・・柳下さんもぐっと名を挙げてこられるに違い有りません。私は柳下さんが滝沢門下に入門された頃から応援して参りましたが、本当に立派な職人さんに成られて、私も嬉しいです。

2012年2月08日(火)
 全国発売から12、3日が経過しました私どもの『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)につきまして、いろいろブログなどで感想を書いていただきました方、当方までお寄せいただきました方に厚く御礼申し上げます。またすでにお買いあげいただきました方、本当にありがとうございます。
 ところで、アマゾンはじめネット通販書店では、先日に軍人入門書部門で瞬間的に4位になったあたりから、在庫切れが続いております。が、こういうネット書店は大きな在庫を持たないのが普通で、ちゃんと在庫供給しておりますので、ご安心下さい。ご迷惑をおかけしておりますが。

2012年2月04日(土)
 日刊ゲンダイの連載「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第22回が、今日発売の紙面(土日版で定価150円)に掲載中。テーマは「防寒帽」。土日版ですので今日、明日、発売しています。

2012年2月03日(金)
 節分ですね。我が家もささやかな豆撒き、それからご近所の回転寿司店で恵方巻きも食べました。しかし無言で丸ごと食べろ、というのですが、きついですよね。そこのお店のは18センチサイズで、一人で平らげるのに結構、難儀しました。
 今年は本当に本格的な冬で、私のいます千葉県・・・関東の中でも温暖な地ですが、それでも明け方は氷点下でした。各所で大雪、と聞いております。私も子どもの頃、新潟県や福井県に住んでおりましたので、豪雪地の大変さは理解しているつもりですが、本当にご苦労が多いと思います。
 さてところで、本日は読売新聞の一面右下に、彩流社の出版広告が載りました。一面下のこういう書籍広告は3段、八つ組なので三八(さんやつ)広告というのですが、お気づきになった方もいらっしゃるでしょうか。で、私どもの『図説 軍服の歴史5000年』もささやかですが、広告を打たせていただきました。
 ということで、やっと本格的に発売、という気分です。
 ◆  ◆  ◆
 日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第22回が、2月4日(土)発売の紙面(土日版で定価150円)に掲載されます。今回のテーマは「防寒帽は厳寒の国、ロシアが発祥」として、冬場のおしゃれアイテムでもある帽子の中でも、特に毛皮製の防寒帽を中心に歴史などを紹介しています。
 今後も、隔週土曜日に、男の服飾史がらみの記事を載せていくことになっております。どうぞよろしくお願い致します。


2012年1月31日(火)
 今年はさすがに「暖冬傾向」だの「温暖化」だのという言葉はついぞ聞かれませんね。本当にしっかり寒い冬です。結局、その年、その年の傾向でみんなその場限りの反応をしているだけで、要は暖かい冬もあれば寒い冬もある。物事が一つの方向に一直線に進むなんてことは、自然界に関してはないように思います。
 しかし、人口動態なんかは先の予測がちゃんとつくもので、先日ですか、50年後の2060年頃の日本の人口は8千万人台に、高齢者は人口の4割に、などという報道がなされていました。まあ、だいたいそんな感じでしょうが・・・しかし50年後となると、私などはもう「高齢者」にも入っていなくて、おそらくこの世にはいないでしょうから。
 そんな頃、日本は、世界はどうなっているか、予測は付かないですね。たとえば1910年頃の日本人に、1960年頃の未来を予測できたか。その間に世界大戦が二つもあって、同盟国だった英国が敵に、敵国だったドイツが味方になり、結局、日本は敗北して焼け野原になり、アメリカに占領され、そこから立ち直って・・・まあそんなことを予想できた人はいないでしょう。しかし、今の新入社員ぐらいの人たちはその頃、72、3歳。今の子どもたちもみな中高年世代となっています。彼ら彼女らはどんな日本を造るのでしょうか。
 ◆  ◆  ◆
 『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)が売り出されて5、6日経過しました。すでに温かい激励や感想を賜った方もいらっしゃいます。厚く御礼申し上げます。近日、新聞広告も出る予定です。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 ちなみに、今日、私の母親が、近所の駅近くのスーパーの上にある書店に「軍服の歴史5000年」を注文しに行ったそうです。そうしたらなんとその本屋に・・・大きな所ならいざ知らず、そんな非拠点駅前のスーパーの上の書店に、この本がそもそも一冊、あったというんですね。これで我が家の親たちが大喜びしまして。店員さんに「うちの子どもです」
といって自慢してきたそうです(笑)。
 私も、そんなところでちょっと親孝行できて喜んでおります。
 

2012年1月26日(木)
 私どもの新刊『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)がアマゾンでも販売解禁となったようですが、なんとしたことか、いきなり「在庫切れ」となっている模様。どうも予約分で同社の在庫がなくなってしまったようです。
 たとえば「軍服の歴史5000年」で検索していただくと、版元ドットコムなどでも販売しております。宜しくお願い致します。

2012年1月20日(金)
 日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第21回が、1月21日(土)発売の紙面(土日版で定価150円)に掲載されます。今回のテーマは「貴族のプライドを意味した手袋」として、冬場のおしゃれアイテムである手袋、グローブの歴史とお薦めブランドについて紹介しています。
 今後も、隔週土曜日に、男の服飾史がらみの記事を載せていくことになっております。どうぞよろしくお願い致します。
 ◆  ◆  ◆
 ご報告をもう一つ。『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社:予価2500円)が無事に刷り上がり、初刷りが手元に届きました。我ながらなかなかの出来栄え、です。特に印刷会社さんが頑張って下さって、カラーページの発色もすばらしくいいですし、中のページのイラストも見事にシャープに刷れています。これなら、なかなかの迫力かな、と自賛してもいいかと思っております。
 書店には来週いっぱいかけて配本されていく予定。ぜひとも宜しくお願い申し上げます。

2012年1月17日(火)
 今日はちょっと個人的によいことがありました・・・。前々から、歯医者さんに行かなければな、と思っていたのです。というのも、もう7年ほど前に通院して以来、行っていないもんですから。普通、このぐらい放置しておくと、なにか出てくるものです。しかし、なんらのメンテナンスもしなかった訳です。
 ということで、このほど、意を決して久しぶりに歯科医院に行きました。私と妻がお世話になっているのは銀座オーラルクリニックhttp://www.62-oral.com/ というところです。こちらは無痛治療として点滴で意識が遠のいた状態での治療もしてくれます。私も以前、やってもらったことがあります。それ以外にも、基本的にとても患者本位で考えてくれるのが嬉しい歯科医院ですが・・・ではありますが、やはりそれでも緊張しますね。
 で、南雲院長に診ていただいたところ「おお、素晴らしいですね。問題ないじゃないですか」と仰るんですね! これはびっくりです。歯もきれいに磨けているし、とりあえず通院の必要なし、ということです。これは久々に快挙といいますか、嬉しかったです。通院しないでいい、というのが嬉しいだけでなく、日頃のケアも正しい、ということですから。
 一緒に診てもらった妻の方も問題なし。よかったよかった、ということになりました。
 しかし、これからは半年に1回はクリーニングしてもらいに行こうと思いました。悪くなってから、痛くなってからじゃ駄目なんですよね、歯というのは。
 こちらの銀座オーラルクリニックは、南雲先生もスタッフの皆さんも、こちらが一生懸命に口を開けようとすると「そんなに開けなくて大丈夫です。ちょっと開ける程度で十分ですよ」と仰るんです。ここが嬉しい。よその病院では「もっと開けて。もっと大きく開きませんか」なんて怒られたものですが、ここは違うんですよ。そのへん、いろいろトラウマのある方に私はこちらの病院をお薦めします。

2012年1月15日(日)
 入稿をすませた私たちの次回本『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社)につきましてですが・・・手を離れたのだから、楽になったのだろう、と思われると存じますが、そうはいきません。出版する、となったら今度はどこに謹呈するか、どこの雑誌の編集部に書評をお願いするか・・・こういったことに頭を悩ませている日々です。お世話になった方々にはやはり一冊ずつ謹呈すべきだし・・・ということで、著者というのは実際には、相当な冊数を買い取らないと本当のところ、あっという間に在庫がなくなってしまいます。本当に出版ってのは苦労多く、しかしもうかる物ではなく、むしろ持ち出しばかり・・・となりがちなものです。それでも出したい、というのはやはり、自分たちがなんといっても充実感があるし達成感がある、それに喜んで下さる方が確かにいらっしゃる・・・それに尽きます。
 とはいえ、この刊行前となると、著者というのはどなたもそうでしょうが、ナーバスな気分にも陥ります。酷評する人や、中には悪質な中傷めいたことをしてくる嫌なヤツだっているかもしれません。読者といってもいろいろ、味方ばかりではない、敵に回る者だって出てくるでしょう。建設的な意見ならいいですが、足を引っ張るような誹謗もあり得ます。
 そんなことを考えると、どんどん暗い気分に落ち込みます。よく、そんなしんどいことが出来るな、と仰る方もいるでしょう・・・まあ、好きだからこそ、少しでも意味があると思っているからできる、としか申せませんですね。
 ところで、本書の単価は結局2500円となりました。250頁ほどの本ですので、ページあたりの単価は10円。どうかご理解いただきたいところです。精いっぱい、版元さんと我々、著者で頑張った価格ですので・・・。
 特にイラスト担当の妻には、本当に感謝しなければならないと思っています。丸4年もかかってイラスト総数約200点。もし外部の画家に頼めば、どんなに安くしてもらったとしても、仮に1枚1万円としても(しかし、実際にはこの値段じゃ引き受けてくれないと思います。簡単なカット画ではないので)200万円はかかってしまいます! カラー画もありますので、まあ最低でも300万円ぐらい請求されるのが順当でしょう。
 話を単純にして、イラスト料金が300万円ちょうどで、初刷り部数が3000部、とした場合、どうでしょう・・・。本の一冊当たり単価は、なんと1000円アップ! 従って2500円のものが3500円になってしまうわけです。本当はそのぐらいの値付けをして妻に報いてもいいような話なわけです・・・。
 家族だからできた企画、というわけなんですね。まあはっきり言って、外部の画家さんなら、料金が300万円でも400万円でも、4年間も拘束されるとしたらなかなか引き受けてくれないと思う次第です・・・。
 そんなわけで、とにかく早いところでは25日ごろにも店頭にお目見えする予定です。もう本当に、楽しみというよりは気がかりですが・・・。

2012年1月12日(木)
 先日、東京・大井町にある軍事・歴史書籍の専門書店「軍事選書堂」さんに行ってきました。http://www.chickenhead.co.jp/cgi-bin/top.cgi
 年初に、あるイベントでこちらの出展ブースにお邪魔した妻の玲子が、私たちの既刊『スーツ=軍服!?』や、ほかの彩流社の軍事・歴史系の書籍、たとえば山下英一郎さんの『制服の帝国』などを置いてくださっているのを発見し、我々がいま刊行準備中の『図説 軍服の歴史5000年』の宣伝も兼ねて、夫婦そろって大井町まで出かけたわけです。
 さすがに専門書店だけに圧巻の品ぞろえ、ことに洋書がすごいです。日本では絶対に出回らないようなマニアックな本だらけです。有名なオスプレイ・シリーズも、日本でよく見かけるのはごく限られたものですが、ここは珍しいものがいろいろ。というわけで、一挙に30冊近くも買い込んできました。
 こちらの売り上げは、8割がインターネット通販だそうですが、やはり実店舗に赴いて実物に触れ、品ぞろえを確認しながら、というのは醍醐味です。
 ご興味のある方、ぜひ一度、足を運んでいただきたいと思います。

2012年1月06日(金)
 日刊ゲンダイに連載中の「辻元よしふみ おしゃれウンチク堂」第20回、そして2012年の第1回が、1月7日(土)発売の紙面(土日版で定価150円)に掲載されます。今回のテーマは「コートが広まるきっかけはナポレオン」として、冬場のおしゃれの中心アイテムとも言えるオーバーコートについて、チェスターフィールドコートやトレンチコートなどをまとめています。
 今後も、隔週土曜日に、男の服飾史がらみの記事を載せていくことになっております。どうぞよろしくお願い致します。
 ◆  ◆  ◆
 ご報告をもう一つ。『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社:予価2500円)が無事に印刷会社に入稿されました。今月20日頃までに初刷り、そして早い書店では今月の27日頃から店頭に並ぶ見込みとなりました。
 こちらも宜しくお願い申し上げます。

2012年1月05日(木)
 「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ─太平洋戦争70年目の真実─」という映画を見てまいりました。いうまでもなく、太平洋戦争開戦時の連合艦隊司令長官であり、真珠湾攻撃を成功させた山本五十六大将の伝記──おおむね、米内海相の下で海軍次官を務めた時期から、最後に乗機が撃墜されて戦死するまで、を描いた作品です。
 山本役は、日本を代表する名優・役所広司。年齢的にもいま、役所さんは58歳で、55歳で司令長官になり、59歳で亡くなった山本役にはぴったりなんですね。それから、なんとなくいつまでも青年将校のイメージがしてしまう阿部寛。彼は山口多聞提督の役なんですが、ええ、こんな役を彼がやるの、と一瞬思ったものの、実は彼は現在、47歳。ミッドウエー海戦で戦死した山口少将は49歳だったそうで、じつはこれもぴったり、だということです。
 なんとなく、昔の提督などというと、すごく年上の偉い人のようなイメージがしてしまうのですが、かくいう私だってもうすぐ45歳。ああいう時代に軍人をしていたら、それなりの地位について責任を負っていたかもしれない年齢です。人の生死と、国家の命運を担う重さというものを想像すると、翻って自分のいまやっていることを比較すると、やはりああいう時代の人たちはすごいな、と思ってしまいますね。
 基本的に、山本の郷里・長岡の後輩でもある半藤一利さんの原作をもとに、ほぼ史実に忠実に描いている作品です。ですが、これまでにもいろいろ語られてきた題材だけに、そして日米関係が緊張し、日本がナチス・ドイツに傾斜していく時代を描くというのがなかなか難しいために、ただ史実を描くのではなく、いろいろ工夫もあります。
 それで、現代の総力戦というものをイメージできず、日露戦争の勝利の延長でしか理解できないで、戦争待望論を軽佻に口にする庶民たちを描く居酒屋のシーンとか、ドイツとの同盟を煽りたて、日米開戦をしきりに煽動するけしからん新聞記者、とかが登場します。なかなかそういう描き方が巧みだと思い、脚本は難しかったと思いますが、よく考えられているな、と感心しました。
 で、これは映画の脚本上、いわば「悪役」といえるのが新聞社論説主幹の宗像(香川照之)という人物で、全編を通していちばんけしからん人間というと、どう見ても彼。マスコミがいかに罪が重いか、というのが一本通っているのですが、一応、自分もそういう会社に在籍しているので、すごく重く感じました、そのへん。
 それに、山本の立場を中心に描く以上、仕方ないわけですけれど、基本的に米内光政大将(柄本明)、井上成美少将(柳葉敏郎)、それに予備役の堀梯吉少将(坂東三津五郎)なんかが「善玉」で、軍令部総長の永野修身大将(伊武雅刀)と、南雲忠一中将(中原丈雄)が「悪玉」という描き方になるわけです・・・ちょっと見ていて、特に南雲さんが描き方としては御気の毒というか、ちょっと彼一人のせいであれもこれも失敗したんだ、という感じに見えなくもないのは、かわいそうな気もしないではありませんでした。
 まあ、開戦までの過程にしても、それに真珠湾やミッドウエーなど個々の戦闘についても実態はいろいろ複雑で、それを分かりやすく映画にして見せるのは難しいわけです。不満を持つ人だって出てくるでしょう。しかし私は、そういう難しいところも、最大限、うまくさばいて脚本にまとめているな、と思いました。いや、史実ものは大変ですよね。
 お芝居である以上、史実そのまま、というわけにはいかないわけです。その一環として、史実での三和義勇参謀にあたる人物として、三宅義勇(吉田栄作)という人が出てきます。微妙に史実通りじゃないんですね、だから名前を変えているんでしょう。
 肝心かなめの役所演じる山本については、彼の器の大きさとか、人間的魅力とかが存分に描かれていましたが、どうも山本本人というのはもうちょっと複雑な人のような印象もあります。もうちょっと癖の強い人だったような感じもあるんですよね、無類のばくち好きで、喜怒哀楽や好き嫌いもかなり激しい人だった、という話も伝わっていますし。
 今までも、たとえば三船敏郎の演じる山本五十六は古武士のような剛毅でカリスマ的な人物像、山村聡の演じた山本五十六は、スマートで英明な知将、という感じが強かったですが、今回の役所版・山本五十六はあくまでも優しい人情家、という描き方だったような感がします。
 戦争映画ですが、意外に戦闘シーンというのが多いわけではありません。前半は戦前ですし、後半も基本は最高指揮官である山本の視点ですから、最前線のシーンは抑え目といえます。が、出てくる戦艦や空母とか戦闘機、攻撃機とかは、模型とCG、セットを駆使しているわけですが、日米共によく描けているように感じました。零戦は実物大を製作したようですが、なかなかの出来栄えです・・・ただ、風防が妙に揺れて見えるのが難でしょうか。
 劇中、何度か山本のセリフとして「それで、その根拠は?」というのが出てきます。海軍の官僚的な幕僚や新聞記者の楽観論に対して、繰り出されるのですが、これはいまの日本でも、官僚やマスコミの煽りたてる、もろもろの事があるわけです・・・最近でいえば「原子力発電所は絶対に安全だから事故はありえない」とか「津波など来るはずがない」とかいうようなものです。日本をリードする人たちが何故か陥りやすいのが、この「根拠のない楽観論」で、しかもこれに反対することは難しい、というのは「庶民」というのが見事にこういう楽観論の洗脳に乗っかって、迎合していくからで、あの時代でいえば「早くドイツと同盟を結べ」「バスに乗り遅れるな」「アメリカと開戦しろ」という声ですね。
 日本人の体質というのはあまり変わっていない、そして山本のような立場を貫くのは難しい、というのが本作の大きなテーマで、しかも、その開戦反対派筆頭であった彼が、結果的に流れを変えることができないばかりか、逆に戦争の指揮をとらされることになった、という歴史の皮肉が、大いに考えさせられます。
 いま、日本という国はあの時代と似ており、閉塞的で難しい局面にありますが・・・そしてそういうときに、妙に勇ましい声、妙に楽観的な意見というのが耳に心地よかったりしますが、そこで「根拠は?」という発想ができるのか、今の我々にも問われている問題だと思います。そんなことを考えた一作でした。
 
 
 
  
 

2012年1月01日(日)
 明けましておめでとうございます。2012年も宜しくお願い申し上げます。

 さて、冒頭から御報告があります。このところ、記事を更新するたびに書いていました出版準備中の新刊書『図説 軍服の歴史5000年』(彩流社、予価2500円)の校正作業がすべて完了いたしました。さきほど、最後の最後の直しを確認し、校了としました。長らくお待たせしていた皆様、また「そろそろ出ないのか」というお問い合わせが版元にも寄せられていたようですが、今月末には店頭に並ぶ、ということになりました。
 何度も書いておりますが、まるまる4年間、いや、年が変わりましたので足掛け5年ということになってしまいます、これだけの時間をかけてようやくまとまりました。もちろん、不備な点は多々あると思いますが、とにかく自分たちなりに精いっぱいやった、という感慨はございます。
 どうぞご覧になって、ご高評をたまわれれば、と思います。

 この本の刊行で、またたくさんの方と御縁が結べれば、と念じております。何卒よろしくお願い申し上げます。




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